COMPANY PROFILE / 光通信・フォトニクス
NVIDIA
― 光部品を作らない会社が、光の供給網ごと自社スイッチに組み込もうとしている
NVIDIAはGPUの会社として知られていますが、光通信の世界ではCPO(Co-packaged Optics)スイッチを量産段階に乗せた会社として名前が出ます。 2026年5月31日の発表で、同社はSpectrum-X Ethernet Photonicsを「量産中(now in production)」と書きました。 ただしNVIDIAはレーザーも光ファイバーも自分では作っていません。 光のチップはTSMCが作り、レーザーはLumentumや住友電工などが、光ファイバーはCorningなどが供給します。 2026年には光部品メーカー2社にそれぞれ20億ドルを出資し、複数年の購入契約も結びました。 本稿ではGPU事業の規模は最小限にとどめ、NVIDIAが光通信で何を作り、誰に何を頼り、どこへ向かっているかを、同社の公式リリース・技術ブログ・SEC提出書類だけで整理します。
- 30秒でわかるNVIDIAと、光通信・フォトニクスでの立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 光通信・フォトニクスの世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(GPU事業は簡潔に)
- 光通信・フォトニクスにかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は光通信・フォトニクスで何を目指しているか
- 光通信・フォトニクス分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるNVIDIAと、光通信・フォトニクスでの立ち位置
サンタクララ2788 San Tomas Expressway
(工場を持たない設計会社)光の領域はデータセンター内の光インターコネクト
「量産中」2026年5月31日の公式発表。出荷の本格化は2026年後半
各20億ドル2026年3月2日。複数年の購入契約つき
光通信に関わる企業は、大きく光部品・光モジュール/半導体・ファウンドリ/通信装置・通信事業者の3種類に分かれます。 NVIDIAはこのうち半導体で、しかも自社工場を持たない設計会社です 事実。 同社がCPOスイッチで自分で設計しているのは、スイッチのチップと、光の信号を作るマイクロリング変調器(Micro Ring Modulator)を使ったシリコンフォトニクスのエンジンです。 そのチップの製造はTSMC、実装はSPIL、光源のレーザーはLumentum・住友電工・Coherent、光ファイバーとコネクタはCorning・SENKOなど、組立はFoxconnとFabrinetが担う、と同社の技術ブログは書いています。 つまりNVIDIAの強みは光部品そのものではなく、スイッチとGPUという「光の出口」を自分で持ち、その仕様に合わせて供給網全体をまとめ上げる力にあります。 2026年に光部品メーカーへ次々と出資したのは、この弱点(光部品を外に頼ること)を資本で補う動きと読めます(第8章)。
2. ロゴと社名の表記について

NVIDIAのロゴは同社の登録商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、
NVIDIA公式サイトのブランド素材として公開されている画像を img/nvidia_logo.png として設置しています。
表記の注意:社名は英字で NVIDIA(すべて大文字)、日本語では「エヌビディア」と読みます。 光通信の製品名は2025年3月の発表時点では「Spectrum-X Photonics」でしたが、2026年の資料では 「Spectrum-X Ethernet Photonics」と表記されています。InfiniBand側は「Quantum-X Photonics」です。本稿では出典の表記に合わせています。
公式サイト:https://www.nvidia.com/en-us/3. 光通信・フォトニクスの世界で、この会社はどこにいるか
光のどの領域に関わるかでいえば、NVIDIAの取り組みはデータセンターの中の光インターコネクトに集中しています 事実。 2026年5月の発表は、CPOスイッチの用途を「scale-out(ラック間の接続)とscale-across(データセンター間をまたぐ接続)」と書いています。 長距離の通信網や光ファイバーそのもの、LiDARといった領域の製品は、本稿の調査範囲の一次資料には出てきません。
4. 会社の規模(GPU事業は簡潔に)
GPU事業そのものは本稿の主題ではないので、規模と、光に最も近い「ネットワーク製品」の売上だけを押さえます 事実。
| 指標(百万ドル) | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高(全社) | 60,922 | 130,497 | 215,938 |
| うちデータセンター向けネットワーク製品 | 8,575 | 12,990 | 31,376 |
| 研究開発費(全社) | 8,675 | 12,914 | 18,497 |
2026年1月期のネットワーク製品は全社売上の約14.5%です 本稿の計算。 従業員は2026年1月期末で約42,000人(38か国)、うち約31,000人が研究開発に従事しています。 また10-Kは、イスラエルにいる約6,000人の従業員が主にネットワーク製品の研究開発・製造・販売を支えていると書いています 事実。
上の「ネットワーク製品」は光製品の売上ではありません。 10-Kによれば、この区分にはNVLink(ラック内をつなぐ電気の配線)、InfiniBandとEthernetのスイッチ、ネットワークアダプタ(DPUを含む)、 そして「光モジュールを含むケーブル製品」がまとめて入っています。2026年1月期の伸び(前年比142%)の主因として10-Kが挙げているのも、 GB200・GB300向けのNVLinkの立ち上がりです 事実。 CPOスイッチや光モジュールの売上、光関連の研究開発費は、いずれも開示されていません 未確定/将来。
5. 光通信・フォトニクスにかけているリソース
金額と人数はほとんど非公表ですが、何をリソースとして投じているかは公式リリースと技術ブログから具体的に読み取れます。
| リソースの種類 | 内容 | 確認 |
|---|---|---|
| 人(専任組織・人員) | CPOの専任組織名・人員数は非公表。10-Kで確認できるのは、全社の研究開発人員約31,000人と、主にネットワーク製品を支えるイスラエルの約6,000人まで。技術ブログは、CPOの開発が「4年がかり」で「数百件の特許」を伴ったと書いている | 一部のみ確認 |
| 金(投資額・研究開発費) | 全社の研究開発費は2026年1月期に184億9,700万ドル。光関連の研究開発費・設備投資額は非公表。そもそも自社の光工場を持たない | 非公表 |
| 外部への出資 | Lumentumに20億ドル、Coherentに20億ドル(いずれも2026年3月2日発表)。Marvellに20億ドル(2026年3月31日発表。シリコンフォトニクスでの協業を含む提携) | 確認できた |
| 購入契約・供給枠 | Lumentumとは「数十億ドル規模の購入契約」と先進レーザー部品の将来の生産枠の権利、Coherentとは同規模の購入契約と、先進レーザー・光ネットワーク製品の将来の供給枠・生産枠の権利。いずれも非独占 | 確認できた(金額の詳細は非公表) |
| 製造の協業(エコシステム) | TSMC、SPIL、Lumentum、住友電工、Coherent、Browave、Corning、SENKO、TFC Communication、Foxconn、Fabrinetの11社(製品ページに掲載) | 確認できた |
| 光ファイバーの長期提携 | Corningと複数年の商業・技術提携(2026年5月6日)。Corningは米国の光接続製品の生産能力を10倍、光ファイバーの生産能力を50%超増やすとしている。NVIDIA側の出資の有無・金額は同リリースに記載なし | 提携は確認。出資は確認できず |
| 買収 | 光部品会社の買収は、本稿の調査範囲の一次資料では確認できなかった。ネットワーク事業の土台は2020年のMellanox買収 | 確認できず |
| 大学・研究機関・公的資金 | 光関連で大学との共同研究、CHIPS法などの公的資金の採択は、10-K・リリースに記載なし | 確認できず |
NVIDIAのCPOスイッチでは、光の信号を作る部分(シリコンフォトニクスのエンジン)と、光そのものを出すレーザーが切り離されています。 レーザーは「外部光源(External Laser Source、ELS)」というモジュールにまとめられ、スイッチの前面から抜き差しでき、 スイッチ本体とは別の、温度を管理した場所に置かれます 事実。 技術ブログは、1つのELSに8個のレーザーが入り、Quantum-Xスイッチの送信576レーンのうち32レーン分を1モジュールでまかなうこと、 データセンター全体でレーザーの数が従来設計の4分の1になることを書いています。
材料と信頼性の目で見ると、これは「最も壊れやすく、熱に弱い部品を、最も熱い場所から遠ざける」設計です。 化合物半導体のレーザーは、温度の上下を繰り返すと劣化が進み、波長もずれます。 一方、スイッチのチップのすぐ横に置かれるシリコンのエンジンは、熱で性質が変わりやすいマイクロリング変調器を使うため、温度の制御が要になります。 NVIDIAの技術ブログがTSMCとの協業の成果として「製造工程の精密な管理」「熱による感度の抑え込み」を挙げているのは、まさにこの点です。 レーザーを外に出し、交換できるようにしたことは、信頼性の問題を材料の改良ではなく配置で解いた例といえます 未確定/将来。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2016年〜 | エコシステムの協業先との共同開発が始まる(技術ブログの記述) | CPOは突然出てきた製品ではない |
| 2020年 | Mellanoxを買収し、ネットワーク製品に参入 | InfiniBandとEthernetのスイッチを持つことが、のちのCPOの前提になった |
| 2025年3月18日 | GTC 2025でSpectrum-X PhotonicsとQuantum-X PhotonicsのCPOスイッチを発表。協業先としてTSMCなど11社を公表。Quantum-Xは「2025年後半」、Spectrum-Xは「2026年」に提供予定とした | 光通信の世界へ、スイッチの会社として正面から入った |
| 2025年3月27日 | 技術ブログで、開発に4年、数百件の特許を要したことと、TSMCのCOUPE(光と電気のチップを重ねる製造技術)の採用を説明 | 製造の担い手が明らかになった |
| 2025年8月 | 技術ブログで、マイクロリング変調器が波長あたり200Gb/s(PAM4)で動くこと、ELSでレーザーを4分の1にすることを説明。提供時期はQuantum-Xが「2026年初め」、Spectrum-Xが「2026年後半」と記載 | 3月の発表より時期が後ろにずれた |
| 2026年1月6日 | 技術ブログで、Spectrum-X Ethernet PhotonicsをRubin世代のプラットフォームと組み合わせると説明。SN6800は409.6Tb/s | 次世代GPUと光スイッチをセットで出す方針 |
| 2026年3月2日 | LumentumとCoherentに各20億ドルを出資。複数年・非独占の購入契約と、将来の生産枠の権利を取得 | レーザーの供給を資本で押さえにいった |
| 2026年3月31日 | Marvellに20億ドルを出資し、NVLink Fusionでの提携に加えシリコンフォトニクスでも協業すると発表 | 光DSPとシリコンフォトニクスを持つ半導体会社とも組んだ |
| 2026年5月6日 | Corningと複数年の提携。Corningはノースカロライナ州とテキサス州に新工場3棟を建て、3,000人超を雇用するとした | 光ファイバーと光接続の生産能力を確保 |
| 2026年5月31日 | Spectrum-X Ethernet Photonicsが「量産中」と発表(Vera Rubinの量産発表の中で)。CoreWeave、Lambda、Oracle Cloud Infrastructureが初期の採用先 | CPOが発表から量産へ移った |
| 2026年6月1日 | 公式ブログで量産の分担を説明:TSMC(光のチップ製造)、SPIL(実装・試験)、TFC(レーザーのチップをモジュール化)、Foxconn(システム組立) | 台湾の供給網で作られていることが明示された |
7. 今後の計画
NVIDIAはCPOスイッチについて、「プラガブル光トランシーバーと並んで」AIデータセンターの成長を支えると2025年3月の発表で書いています 事実。 同じ発表は、プラガブル側の担い手としてCoherent、Eoptolink、Fabrinet、InnoLightの名前を挙げています。 つまり同社の計画は、すべてをCPOに置き換えることではなく、CPOとプラガブルを使い分けることだと読めます。
次はいずれも、本稿の調査範囲の一次資料に記載がありません 未確定/将来。
CPOスイッチの販売価格/出荷台数/売上/Quantum-X Photonicsの出荷開始日(2025年3月には「2025年後半」、8月のブログでは「2026年初め」とされたが、出荷開始を明言した一次資料は確認できなかった)/ GPU同士をつなぐNVLinkを光にする計画の有無と時期/Corningへの出資の有無と金額(NVIDIAのリリースには書かれていない)/ Lumentum・Coherentとの購入契約の具体的な金額。 「NVIDIAのCPOが○年に○万台」といった数字は報道や調査会社の推計が多く、本稿では採用しません。
8. この会社は光通信・フォトニクスで何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 光部品メーカーになるのではなく、光部品の供給を自社の仕様と数量で確保することを狙っている | LumentumとCoherentへの出資はいずれも「購入契約」と「将来の生産枠の権利」とセットで、非独占。自社の光工場の建設に関する記載はない | 推測 |
| CPOはまずラック間・データセンター間の接続から入る | 2026年5月の発表は、CPOスイッチをscale-outとscale-across向けと明記している | 事実 |
| CPOとプラガブルを当面は併用する | 2025年3月の発表が、CPOスイッチと並んでプラガブル光トランシーバーが成長を支えると書き、その担い手を挙げている | 事実 |
| 最大の制約はレーザーの数と信頼性だと考えている | ELSで「レーザーを4分の1に減らす」ことを繰り返し強調し、2026年に最初に出資した相手がレーザーを作る2社だった | 推測 |
| 光の供給網の一部を米国内に置きたい | Lumentum・Coherent・Corningの3件のリリースがいずれも「米国内の製造」を出資・提携の目的に挙げている。一方で量産の実務は台湾の4社が担っている | 推測 |
| GPU同士の接続(NVLink)の光化は、時期を明かしていない | 本稿の調査範囲の一次資料には、NVLinkを光にする計画・時期の記載がない | 事実 |
2026年3月2日の2本のリリースは、出資の相手こそ違いますが、構造がほぼ同じです。 (1) 複数年・非独占の契約、(2) NVIDIAによる数十億ドル規模の購入の約束、(3) 将来の生産枠の権利、 (4) 20億ドルの出資、(5) その使途は研究開発・将来の生産能力・運営と、米国内の製造拡大 事実。 出資だけなら「成長企業への投資」とも読めますが、「生産枠の権利」が必ずセットになっている点が重要です。 これは、需要が急に伸びたときに先進レーザーの生産ラインを他社に取られないための予約と読むのが自然です。 さらに3月31日にはMarvellとシリコンフォトニクスでの協業、5月6日にはCorningと光ファイバーの提携が続きました。 レーザー → 光のチップ → 光ファイバーと、光の供給網を上流から順に押さえているように見える、というのが本稿の読みです 未確定/将来。 ただし会社自身がこの意図を説明したわけではなく、これは本稿の解釈にとどまります。
9. 光通信・フォトニクス分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
| 製品・技術 | 公表されている仕様 | 段階 |
|---|---|---|
| Quantum-X Photonics(Q3450) | InfiniBandのCPOスイッチ。800Gb/s×144ポート、全二重で合計115.2Tb/s。Quantum-Xチップ4個を搭載し液冷。200Gb/sのSerDes | 発表済み。出荷開始日は確認できず |
| Spectrum-X Ethernet Photonics(SN6810) | EthernetのCPOスイッチ。102.4Tb/s、800Gb/s×128ポート。液冷 | 2026年5月に「量産中」と発表 |
| Spectrum-X Ethernet Photonics(SN6800) | 409.6Tb/s。800Gb/s×512ポート、または200Gb/s×2,048ポート。チップ4個を内蔵の光ファイバー配線(fiber shuffle)で束ねた構成 | 同上。提供は2026年後半(製品ページ) |
| シリコンフォトニクスのエンジン | マイクロリング変調器で波長あたり200Gb/s(PAM4)。Spectrum-X用は1エンジンあたり送受各16レーン・3.2Tb/sで、1パッケージに32エンジン。はんだリフローで基板に載せ、光ファイバーは着脱式コネクタで最後に取り付ける | TSMCのCOUPEで製造 |
| 外部光源(ELS) | 1モジュールにレーザー8個。スイッチ前面から交換できる。データセンター全体のレーザー数を従来の4分の1にする、と会社は説明 | 量産品の構成部品 |
| ケーブル・光モジュール(プラガブル) | 10-Kはネットワーク製品に「光モジュールを含むケーブル製品」があると記載 | 販売中(売上は非開示) |
CPOの効果として、2025年3月の発表と2025年の技術ブログは「電力効率3.5倍」「信号品質63倍」(別のブログでは64倍)「耐障害性10倍」「導入1.3倍速」を挙げていました。 2026年の資料では、Spectrum-X Ethernet Photonicsについて「電力効率5倍」「AIの稼働時間5倍」「導入1.3倍速」に変わっています 事実。 比べる相手はいずれも「従来のプラガブル光トランシーバーを使ったネットワーク」ですが、測定条件は公開されていません。 世代が変わって数字が良くなった可能性もあれば、比べ方が変わった可能性もあり、本稿では区別できません 未確定/将来。 技術ブログが示す内訳(従来は1.6Tb/sのトランシーバー1個で約30W、うちDSPが半分以上。CPOでは最低9Wまで下がる、200Gb/sの電気信号の損失が最大約22dBから約4dBへ)も、会社の説明として読んでください。 CPOスイッチが準拠する規格(IEEE 802.3やOIFの仕様)について、会社の一次資料に明確な記載は確認できませんでした。
2026年1月の技術ブログは、Spectrum-X Ethernet Photonicsの光エンジンがはんだリフロー(基板を炉に通して一括ではんだ付けする工程)に耐えること、 そのため取り付け前にエンジンを全数検査でき「良品だけを使うので歩留まり100%を保証できる」ことを強調しています 事実。 光ファイバーを最後に着脱式コネクタで付けるのも同じ発想です。
材料の側から見ると、これは光の部品に電子部品と同じ熱履歴を課すということです。 光を通す接着剤やレンズ、導波路の周りの樹脂が、リフローの温度で黄変したり、位置がずれたりすれば、光の結合効率はすぐに落ちます。 光ファイバーをリフローの後に付けるのは、ファイバー周りの材料を炉に入れずに済ませる工夫とも読めます 未確定/将来。 光部品を「半導体の実装ライン」に乗せられるかどうかが、CPOを量産できるかどうかの分かれ目であり、 そこでは光学特性と耐熱性を両立する接着・封止材料が効いてきます。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 光部品を外部に依存 | 光のチップ製造(TSMC)、実装(SPIL)、レーザー(Lumentum・住友電工・Coherent・TFC)、光ファイバー(Corningなど)をすべて他社に頼っている。10-Kは自社を「ファブレス・製造委託」型と書き、ファウンドリや受託製造先が増産できなければ需要に応えられないリスクを挙げている | 事実 |
| 提供時期のずれ | Quantum-X Photonicsは「2025年後半」から「2026年初め」へ、Spectrum-X Photonicsは「2026年」から「2026年後半」へと、公式資料の記載が後ろにずれた | 事実 |
| 出資先の株価変動 | 10-Qは、上場企業への出資が株価変動の影響を受け、業績に大きく影響しうると書いている。2026年上期に上場企業・非上場企業への出資を追加したとも記載 | 事実 |
| 競合が多い | 10-Kはネットワーク製品の競合として、AMD、Arista Networks、Broadcom、Cisco、HPE、Huawei、Intel、Lumentum、Marvellを挙げている。出資先のLumentumとMarvellも競合に含まれる | 事実 |
| 中国の規制 | 中国の独禁当局が、Mellanox買収の承認条件に違反したとの予備的判断を2025年9月に公表した、と10-Kに記載。ネットワーク事業への制限の可能性に言及 | 事実 |
| CPOが主流になるかは未確定 | 会社自身がプラガブルとの併用を前提にしている。故障時の交換や、光モジュールを選べなくなることへの顧客の受け止め方は、一次資料からは分からない | 推測 |
12. 用語集
- CPO(Co-packaged Optics)
- 光の送受信部をスイッチのチップと同じパッケージに載せる方式。電気の配線を数mmまで短くできる。
- プラガブル光トランシーバー
- スイッチの前面に差し込む光モジュール。交換しやすいが、チップから遠く電力を食う。
- シリコンフォトニクス
- シリコンの半導体工場の技術で、光の導波路や変調器を作る技術。
- マイクロリング変調器
- 小さなリング状の導波路で光をオン・オフする素子。小さいが温度に敏感。
- 外部光源(ELS)
- レーザーを光エンジンから切り離し、別モジュールにまとめたもの。交換できる。
- PAM4
- 1回の信号で4段階の強さを使い、2ビットを送る変調方式。
- SerDes
- チップの内外で、並列のデータを高速の直列信号に変換する回路。
- COUPE
- TSMCのシリコンフォトニクス技術。電気のチップと光のチップを3次元に重ねて一体化する。
- scale-out/scale-across
- ラックとラックの間の接続/データセンターとデータセンターをまたぐ接続。
- InfiniBand
- スーパーコンピュータやAIで使われる、低遅延のネットワーク規格。
13. 出典
- NVIDIA Corporation Form 10-K for the fiscal year ended January 25, 2026(米国SEC提出、2026年2月25日)。本社・設立、売上高と市場別売上(ネットワーク製品)、研究開発費、従業員数、イスラエルの従業員、Mellanox買収、ネットワーク製品の構成と競合、中国の規制、ファブレス・製造委託の方針。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1045810/000104581026000021/nvda-20260125.htm
- NVIDIA Corporation Form 10-Q for the quarterly period ended July 26, 2026(米国SEC提出、2026年8月26日)。上場企業・非上場企業への出資と、その価格変動リスク。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1045810/000104581026000075/nvda-20260726.htm
- NVIDIA Corporation プレスリリース「NVIDIA Announces Spectrum-X Photonics, Co-Packaged Optics Networking Switches to Scale AI Factories to Millions of GPUs」(2025年3月18日)。CPOスイッチの発表、構成、効果の主張、協業先11社、TSMC会長のコメント、プラガブルとの併存、提供予定時期。 https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-spectrum-x-co-packaged-optics-networking-switches-ai-factories
- NVIDIA Corporation 技術ブログ「A New Era in Data Center Networking with NVIDIA Silicon Photonics-based Network Switching」(2025年3月27日)。4年の開発と数百件の特許、2016年からの協業、TSMCのCOUPE、協業先の役割分担、1.6Tb/sトランシーバーの消費電力。 https://developer.nvidia.com/blog/a-new-era-in-data-center-networking-with-nvidia-silicon-photonics-based-network-switching/
- NVIDIA Corporation 技術ブログ「Scaling AI Factories with Co-Packaged Optics for Better Power Efficiency」(2025年8月18日)。SN6810・SN6800の仕様、電気の損失(約22dB→約4dB)、提供時期(Quantum-Xは2026年初め、Spectrum-Xは2026年後半)。 https://developer.nvidia.com/blog/scaling-ai-factories-with-co-packaged-optics-for-better-power-efficiency/
- NVIDIA Corporation 技術ブログ「How Industry Collaboration Fosters NVIDIA Co-Packaged Optics」(2025年8月26日)。マイクロリング変調器(200Gb/s PAM4)、TSMCとの製造上の課題解決、光サブアセンブリとエンジンの構成、ELS(8レーザー、レーザー数4分の1)、Q3450の仕様。 https://developer.nvidia.com/blog/how-industry-collaboration-fosters-nvidia-co-packaged-optics/
- NVIDIA Corporation 技術ブログ「Scaling Power-Efficient AI Factories with NVIDIA Spectrum-X Ethernet Photonics」(2026年1月6日)。Rubin世代との組み合わせ、1.6Tb/sポートあたり電力5分の1、着脱式ファイバーコネクタ、はんだリフロー対応の光エンジンと全数検査、SN6800の仕様。 https://developer.nvidia.com/blog/scaling-power-efficient-ai-factories-with-nvidia-spectrum-x-ethernet-photonics/
- NVIDIA Corporation プレスリリース「NVIDIA Announces Strategic Partnership With Lumentum to Develop State-of-the-Art Optics Technology」(2026年3月2日)。20億ドルの出資、複数年・非独占の購入契約、先進レーザー部品の将来の生産枠の権利、米国の新工場。 https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-announces-strategic-partnership-with-lumentum-to-develop-state-of-the-art-optics-technology
- NVIDIA Corporation プレスリリース「NVIDIA and Coherent Announce Strategic Partnership to Develop Optics Technology to Scale Next-Generation Data Center Architecture」(2026年3月2日)。20億ドルの出資、複数年・非独占の購入契約、先進レーザー・光ネットワーク製品の供給枠と生産枠の権利、20年来の関係。 https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-and-coherent-announce-strategic-partnership-to-develop-optics-technology-to-scale-next-generation-data-center-architecture
- NVIDIA Corporation プレスリリース「NVIDIA AI Ecosystem Expands as Marvell Joins Forces Through NVLink Fusion」(2026年3月31日)。Marvellへの20億ドルの出資、NVLink Fusionでの提携、シリコンフォトニクスと光インターコネクトでの協業。 https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-ai-ecosystem-expands-as-marvell-joins-forces-through-nvlink-fusion
- NVIDIA Corporation プレスリリース「NVIDIA and Corning Announce Long-Term Partnership to Strengthen U.S. Manufacturing for AI Infrastructure」(2026年5月6日)。複数年の商業・技術提携、Corningの生産能力拡大(光接続10倍、光ファイバー50%超)、新工場3棟と3,000人超の雇用。 https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-and-corning-announce-long-term-partnership-to-strengthen-us-manufacturing-for-ai-infrastructure
- NVIDIA Corporation プレスリリース「NVIDIA Vera Rubin Ramps Into Full Production to Power Agentic AI Factories Worldwide」(2026年5月31日)。Spectrum-X Ethernet Photonicsの量産、用途(scale-out/scale-across)、効果の主張(電力効率5倍など)、初期の採用先、Vera Rubinの出荷時期。 https://nvidianews.nvidia.com/news/vera-rubin-full-production-agentic-ai-factory
- NVIDIA Corporation 公式ブログ「NVIDIA GTC Taipei at COMPUTEX 2026」(2026年6月1日の項「NVIDIA Spectrum-X Ethernet Photonics Ramps to Production」)。量産の分担(TSMC・SPIL・TFC・Foxconn)。 https://blogs.nvidia.com/blog/nvidia-gtc-taipei-computex-2026-news/
- NVIDIA Corporation 製品ページ「NVIDIA Silicon Photonics」(2026年9月閲覧)。CPOスイッチの製品構成、Q3450、Spectrum-X Ethernet Photonicsの帯域と提供時期(2026年後半)、協業先11社、初期の採用先。 https://www.nvidia.com/en-us/networking/products/silicon-photonics/
- NVIDIA Corporation 公式サイト(社名表記の確認)およびロゴ画像の取得元。 https://www.nvidia.com/en-us/
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年9月25日/Troy Technical
本稿の数値は、NVIDIA Corporationが米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類と、同社の公式プレスリリース・公式ブログ・製品ページに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。性能の数値は会社の主張であり、第三者が検証したものではありません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。