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Credo Technology Group|光通信・フォトニクス 企業解説

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COMPANY PROFILE / 光通信・フォトニクス

Credo Technology Group
― 銅ケーブルで急成長したSerDesの会社が、シリコンフォトニクスを買って「光」へ踏み出した

Credoは、高速の電気信号を送受信する回路技術(SerDes)とDSPを強みとする、工場を持たない(ファブレス)半導体会社です。 2026年4月期の売上高は13億3,512万ドルで前年の約3倍になりましたが、その伸びの99%超は銅線のアクティブ電気ケーブル(AEC)によるものでした。 一方で同社は、光トランシーバーに入る光DSPを第7世代まで出荷し、自社ブランドの光トランシーバーも持っています。 そして2026年5月、イスラエルのシリコンフォトニクス企業DustPhotonicsを総額約12.5億ドルで買収し、 光の事業で2027年4月期に5億ドル超の売上を見込むと公表しました。 本稿では、この会社が光通信・フォトニクスに何を投じ、誰と組み、どこへ向かおうとしているかを、米国SECへの法定開示と会社の公式リリースだけで整理します。

構成:2026年4月期 Form 10-K(2026年6月15日提出)、2027年4月期第1四半期 Form 10-Q(2026年9月2日提出)、DustPhotonics買収に関するリリース(2026年4月13日、Form 8-K添付)、2027年4月期第1四半期決算リリース(2026年9月1日、Form 8-K添付)を一次情報として使用/最終更新 2026年9月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるCredoと、光通信・フォトニクスでの立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. 光通信・フォトニクスの世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模
  5. 光通信・フォトニクスにかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社は光通信・フォトニクスで何を目指しているか
  9. 光通信・フォトニクス分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるCredoと、光通信・フォトニクスでの立ち位置

正式名称Credo Technology Group
Holding Ltd
ケイマン諸島の持株会社。事業拠点はサンノゼ
設立2008年北米とアジアに拠点
上場Nasdaq: CRDO米国SECに10-K・10-Qを提出
この分野での区分半導体
(ファブレス)
ウェーハは全量TSMCに委託
売上高13億3,512万ドル2026年4月期。前年比205.7%増
研究開発費2億7,938万ドル2026年4月期。売上高の20.9%
光事業の見通し5億ドル超2027年4月期の光関連売上。会社の予想
最大の買収DustPhotonicsシリコンフォトニクスのPIC。2026年5月28日完了
まず押さえるべき1点

光通信・フォトニクスに関わる企業は、大きく光部品・光モジュール/半導体・ファウンドリ/通信装置・通信事業者の3種類に分かれます。 Credoはこのうち半導体の会社で、それも自社工場を持たないファブレスです 事実。 10-Kによれば、2026年4月期のウェーハ生産はすべてTSMCに委託し、組立・試験も外部に委託しています。 光通信との関わりは、もともとは光モジュールメーカーに光DSPを売る立場でした。 それが近年、自社ブランドの光トランシーバー(ZeroFlap Optics)、マイクロLEDによる光接続の買収(Hyperlume)、 そしてシリコンフォトニクスの光チップ(PIC)の買収(DustPhotonics)と、光の部品側へ垂直に降りてきているのが現在の姿です。 会社はこれを「SerDes、DSP、シリコンフォトニクス、システム統合にまたがる垂直統合の接続スタック」と表現しています。

2. ロゴと社名の表記について

Credoのロゴは同社の商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、 公式サイトのヘッダーに掲載されている画像を img/credo_logo.svg として設置しています。

表記の注意:法定開示上の社名は Credo Technology Group Holding Ltd(ケイマン諸島の免税会社)で、実際の事業は子会社が行っています。 リリースの発信地は米国カリフォルニア州サンノゼです。日本語では「クレド」と読まれますが、本稿では英字表記に統一します。 公式サイトのドメインは credosemi.com です。

公式サイト:https://credosemi.com/

3. 光通信・フォトニクスの世界で、この会社はどこにいるか

光通信・フォトニクスに関わる企業の3つの類型 同じ「光通信の会社」でも、どこで光を扱うかがまったく違う 光部品・光モジュール 半導体・ファウンドリ 通信装置・通信事業者 光を出す・送る・受ける部品を売る 電気と光をつなぐチップを作る 光でネットワークを作り運用する Lumentum/Coherent InnoLight/Ayar Labs ほか NVIDIA/Broadcom TSMC/Intel ほか NTT/Ciena Nokia/Cisco ほか レーザーと光実装の量産力 スイッチ・GPUの出口を持つ 長距離伝送と網の運用知見 大口顧客への依存が大きい 光部品は外部に頼りがち データセンター内は変化が速い Credoはこの中央。ファブレスの半導体会社で、光モジュール向けDSPと光トランシーバーを持つ 2026年4月期の売上13.4億ドルの大半は銅のAEC。光事業は翌期に5億ドル超を見込む(会社予想)
図1 光通信・フォトニクスに関わる企業の3類型と、Credoの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。Credoが自社で工場を持たないファブレスの半導体会社であり、光モジュールメーカー向けの光DSPと自社ブランドの光トランシーバーを持つことは2026年4月期 Form 10-K の記載に基づきます。

Credoは光だけの会社ではありません。光のどの領域に関わるかを、銅の製品と分けて整理します 事実。

領域主な製品(10-Kの記載)光か銅か
データセンター内の光インターコネクト光DSP(50G〜200G/レーン、第7世代)、ZeroFlap光トランシーバー、シリコンフォトニクスPIC(DustPhotonics)、マイクロLEDのアクティブLEDケーブル(開発中)光
データセンター内の電気接続ZeroFlap AEC(最長7mの銅ケーブル)、PCIeリタイマー、SerDesチップレット、メモリ接続のOmniConnect銅(電気)。売上の大半
通信網ラインカード用PHY、5G向けの産業温度対応PAM4 DSP電気・光の両方

4. 会社の規模

指標(百万ドル)2024年4月期2025年4月期2026年4月期2026年5〜7月
売上高193.0436.81,335.1479.0
売上総利益119.4282.9908.3―
研究開発費96.3146.9279.4114.5
純損益△28.452.2472.3129.4
有形固定資産の取得15.736.157.37.3
ここで注意:売上のほとんどは光ではない

10-Kは、2026年4月期の増収(8億9,830万ドル)の99%超がAEC(銅のアクティブ電気ケーブル)によるものだと書いています 事実。 2026年5〜7月期も、増収の90%超がAECでした。 Credoは光だけの売上を開示していません 未確定/将来。 手がかりは、DustPhotonics買収のリリースで示された「光トランシーバー、光DSP、シリコンフォトニクス製品を合わせて、2027年4月期に5億ドル超の光の売上を見込む」という会社の予想だけです。 2027年4月期の第2四半期の売上見通しが5億2,500万〜5億3,500万ドルなので、光の売上が5億ドルを超えるなら、年間売上のおよそ4分の1前後になる計算です 本稿の計算(通期売上を四半期見通しの4倍程度と仮定した粗い目安)。

人員・顧客(2026年4月期)内容
従業員807人(うち技術者616人)。北米330人、アジア477人
顧客の集中上位10社で売上の約90%。売上の10%以上を占める顧客が2社。10-Kの注記では最大の顧客が49%、次が32%。社名は非開示
特許米国で登録86件・出願中39件、中国本土で登録52件・出願中41件(うちHyperlumeが米国16件・中国13件の出願を保有)
手元資金現金と短期投資で7億6,430万ドル(2026年8月1日。DustPhotonics買収の現金支払い後)

5. 光通信・フォトニクスにかけているリソース

本稿で扱う4つの観点(人/金/外部への出資・買収・合弁/大学・研究機関・公的資金)について、 確認できたことと、できなかったことを分けて示します。

観点内容区分
人技術者616人(全社)。光の専任人数は非開示。DustPhotonicsの買収で同社の人員が加わった(買収時に未確定分のストックオプションを25万4,000株分のRSUに置き換え)全社は事実/光の専任は非公表
金(研究開発)研究開発費2億7,938万ドル(2026年4月期)。光だけの内訳は非開示。設備投資の多くは新製品のマスク代と説明総額は事実/光の内訳は非公表
買収(光)DustPhotonics(イスラエル、シリコンフォトニクスPIC):2026年5月28日に完了。取得対価の総額は12億5,111万ドル(現金7億6,959万ドル、株式1億6,907万ドル、条件付き対価3億1,000万ドルなど)。Hyperlume(マイクロLEDによるチップ間光接続):2025年9月29日に完了、9,202万ドル事実
買収(光以外)CoMira Solutions(通信の誤り訂正・リンク層・セキュリティのIP):2026年2月25日、3,510万ドル事実
製造自社工場なし。ウェーハは全量TSMC、パッケージはAmkorとASE、試験はKYECとSigurd、AECの製造はBizLinkに委託事実
顧客との共同開発Oracleと、リンクの瞬断(リンクフラップ)を抑えるZeroFlap Opticsを共同で作り上げたと10-Kに記載事実
大学・研究機関・公的資金10-Kに書かれているのはインターンと大学新卒の採用のみ。共同研究や公的資金の採択は記載なし確認できず
素材技術者の視点:DSPの会社がPICを買うと何が変わるか

光トランシーバーの中身は、大きく電気のチップ(DSP・ドライバ・TIA)と光のチップ(レーザー・変調器・受光素子、またはそれらを集積したPIC)に分かれます。 Credoはこれまで前者だけを持っていました。シリコンフォトニクスのPICは、シリコンの上に光の導波路・変調器・受光器を作り込んだチップで、 レーザーを外付けまたは貼り合わせで組み合わせて使います(一般的な解説)。

DustPhotonics買収のリリースは、PICを社内に取り込むことで「外部供給への依存を減らし、製品開発を速め、量産時の原価構造を大きく改善する道が開ける」と書いています 事実。 DSPとPICを同じ会社で設計すると、変調器の非線形性や帯域の不足をDSP側で補正する前提で光チップを設計する、といった協調設計ができるようになります(一般的な解説)。 Credoが先行して打ち出したLRO(受信側のDSPを省く方式)のような電気と光の役割分担を変える設計は、両方を持つ会社のほうが最適化しやすいと本稿は考えます 未確定/将来。

6. これまでの取り組み

時期できごと意味
2008年Credo設立SerDes技術の会社として出発
時期は記載なし100G〜800GのAEC市場を開拓(会社は「新しい製品カテゴリーを確立した」と主張)。800GのLRO用DSPを「世界初」として投入(会社の主張)銅と光の両方で「電力を下げる」製品を出してきた
時期は記載なしOracleと共同でZeroFlap Optics(リンクの瞬断を抑える光トランシーバー)を作る光トランシーバーを自社製品として持つ
2025年9月3nmの200G/レーン光DSP「Bluebird」を発表(1.6Tトランシーバー向け)光DSPの世代交代
2025年9月29日Hyperlumeを買収(9,202万ドル)。マイクロLEDによるチップ間の光接続技術レーザーを使わない光接続という別の道
2025年11月メモリ接続のOmniConnectと「Weaver」を発表電気側の製品を拡大
2026年2月25日CoMira Solutionsを買収(3,510万ドル)通信IPの取り込み
2026年4月13日DustPhotonics買収で最終合意を発表。光事業で2027年4月期に5億ドル超の売上を見込むと公表「光の転換点に達した」と会社が表明
2026年4月期通期売上13億3,512万ドル(205.7%増)、純利益4億7,228万ドルAECが牽引
2026年5月28日DustPhotonicsの買収を完了(取得対価総額12億5,111万ドル)光チップを社内に持った
2026年9月1日2027年4月期第1四半期の売上4億7,900万ドル(前年同期比114.7%増)。CEOは「製品群がミリメートルからキロメートルまで、光と銅の両方に広がった」と発言光・銅の両面展開を強調

7. 今後の計画

光事業の売上5億ドル超2027年4月期。会社の予想(2026年4月13日)
2027年4月期 第2四半期5.25億〜5.35億ドル全社売上の会社見通し(2026年9月1日)
シリコンフォトニクス3.2Tまでの
PICロードマップ
NPO・CPO向けにも設計中と記載
マイクロLEDアクティブLEDケーブル
(最長30m)
開発中。発売時期は非公表

DustPhotonicsのPICは、リリースによれば400G・800G・1.6Tの製品群があり、3.2Tまでのロードマップを持ち、 内蔵レーザー型と外部レーザー型の両方の構成があります。 すでに大手ハイパースケーラーのAIクラスターで使われるトランシーバーに搭載され、NPOとCPOの用途でも設計が進んでいるとされています 事実。

確認できなかったこと

次はいずれも10-K・10-Q・公式リリースに記載がありません 未確定/将来。

光だけの売上実績・研究開発費・人員/DustPhotonicsのPICを採用している顧客名/ DustPhotonicsのPICをどのファウンドリで製造しているか/アクティブLEDケーブルの発売時期/ 条件付き対価(最大約280万株と3,160万ドル)の達成条件の具体的な数値。 DustPhotonics買収のリリースにはシリコンフォトニクスPIC市場の規模予測も載っていますが、調査会社(LightCounting)と会社の推計であるため、本稿では採用しません。

8. この会社は光通信・フォトニクスで何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
電気のチップ会社から、電気と光の両方を持つ接続の会社へDustPhotonics買収の目的を「SerDes、DSP、シリコンフォトニクス、システム統合にまたがる垂直統合の接続スタック」と説明事実(会社の説明)
AECで得たハイパースケーラーとの直接取引を、光へ横展開しようとしている10-Kが「最終顧客と直接関わり、その供給者にCredoの製品を使うよう求めてもらう」二本立ての販売戦略を説明。DustPhotonics側も「Credoのハイパースケーラーとの関係」を統合の利点に挙げる推測
光トランシーバーでは信頼性(リンクの瞬断対策)で差別化するZeroFlap Opticsの説明が、遠隔監視・事象記録・帯域内通信による瞬断の予兆検知を中心に構成されている事実(製品の説明)
レーザーだけに頼らない複数の光の方式を並行して持つシリコンフォトニクス(DustPhotonics)とマイクロLED(Hyperlume)の両方を買収推測
推測の根拠を1つだけ詳しく:なぜ「今」光なのか

Credoの成長は、AIサーバーのラック内・ラック間を銅のAECでつなぐ需要が支えてきました。 AECは最長7mまでで、それを超える距離は光の領域です。 10-Kは、マイクロLEDのアクティブLEDケーブルについて「到達距離を30mまで伸ばし、GPUを1〜2ラックに詰め込む必要がなくなる」と説明しています 事実。 つまり、AIクラスターが大きくなってラックをまたぐ距離が伸びるほど、銅のAECだけでは届かなくなる。 CEOの「ミリメートルからキロメートルまで、光と銅の両方」という発言は、銅で押さえた顧客を、距離が伸びた先でも逃さないための布陣だと本稿は読みます 未確定/将来。 本シリーズの技術解説「光インターコネクトとSerDes」「シリコンフォトニクス」もあわせて参照してください。

9. 光通信・フォトニクス分野の提携マッピング

Credoを中心とした光通信・フォトニクスの関係図 SEC提出書類と公式リリースに記載のある関係のみ。報道ベースの関係は含まない 製造委託・共同開発・主要顧客(濃紺の実線) 光の買収(橙の実線) 光通信以外の買収(灰の点線) Credo ファブレス半導体 TSMC ウェーハを全量委託(2026年4月期) Oracle ZeroFlap Opticsを共同で開発 DustPhotonics 2026年5月に買収・約12.5億ドル Hyperlume 2025年9月に買収・マイクロLED CoMira Solutions 通信IPを2026年2月に買収(光以外) Amkor・ASE・KYEC・Sigurd パッケージ・試験を委託 上位10社の顧客(社名非開示)=売上の約90%
図2 Credoを中心とした光通信・フォトニクスの関係図。出典:2026年4月期 Form 10-K、2027年4月期第1四半期 Form 10-Q、2026年4月13日のDustPhotonics買収リリース。TSMCと後工程の各社は製造の委託先であり、共同開発の相手ではありません。Oracleとの関係は、10-Kが「Oracleと共にZeroFlap Opticsを作った」と書いているものです。AECの製造委託先(BizLink)は銅の製品なので図から外しました。顧客は社名が開示されていません。

10. 提供している技術・製品・サービス

10-Kの製品説明から、光に関わるものを中心に整理します。性能の数値は、量産品か開発中かを明記しています。

製品内容(会社の記載)状態
光DSP(50G/レーン)Seagullファミリー。1×50G〜8×50G、50G〜400Gのトランシーバー・AOC向け。64Gファイバーチャネル用も量産
光DSP(100G/レーン)Dove・Lark・Robinの3世代。4×100G・8×100G。シリコンフォトニクス・EML・VCSELのそれぞれに合わせたレーザードライバ内蔵品。各世代にLRO用の片方向8×100G品量産。「第7世代」と記載
光DSP(200G/レーン)Bluebird。3nmプロセス。フルリタイム型とLRO型の1.6Tトランシーバー向け2025年9月に発表
ZeroFlap光トランシーバー200GBASE-DR2、400GBASE-DR4、800G 2xDR4。IEEE 802.3-2022 Clause 124.7に準拠した光性能で、MPO-12の並列シングルモードファイバーで最長500mと記載。リンク品質の常時監視、事象の不揮発記録、帯域内通信による両端の遠隔管理製品として提供
シリコンフォトニクスPICDustPhotonics由来。400G・800G・1.6Tの製品群、3.2Tまでのロードマップ。内蔵レーザー型と外部レーザー型大手AIクラスターのトランシーバーに搭載済みとリリースに記載。NPO・CPO向けは設計中
マイクロLED(ALC)Hyperlume由来。アクティブLEDケーブルで最長30m、AECと同じ差し込み型の形状開発中
(参考)AEC銅のアクティブ電気ケーブル。100G〜1.6T、最長7m。光と比べ最大50%低電力と会社は主張量産。売上の大半
素材技術者の視点:マイクロLEDで光を送るという発想

データセンターの光通信は、ほぼすべてがレーザー(VCSEL、DFB、EMLなど)を光源にしています。 Credoが買収したHyperlumeの技術は、レーザーではなくマイクロLED、つまり髪の毛より小さい発光ダイオードを多数並べ、1本1本は比較的低速でも本数で帯域を稼ぐ方式です(一般的な解説)。 10-Kは、これを「高速なミクロンサイズのLEDと超低電力の回路」によって数テラビットの帯域を出す技術と説明しています 事実。

LEDはレーザーより作りやすく、温度に強く、しきい値もない一方、光が広がりやすく、遠くまで・速くは送りにくいという性質があります(一般的な解説)。 そのため用途は、30m程度までのラック間の短い距離に絞られています。 材料側から見ると、ディスプレイ向けに開発が進んできた窒化ガリウム系マイクロLEDの量産技術を、通信の信頼性要求(寿命・温度変動)に合わせられるかが鍵になると本稿は考えます 未確定/将来。 なお、HyperlumeのマイクロLEDの材料系は10-Kに書かれておらず、窒化ガリウム系かどうかは確認できていません。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
顧客の極端な集中上位10社で売上の約90%。10-Kの注記では最大の顧客だけで49%事実
製造委託先の集中ウェーハは全量TSMC。光DSPの供給はTSMCの生産能力と台湾の地政学に依存する事実
光事業の実績が見えない光だけの売上は非開示。5億ドル超という予想の達成度を外部から確かめにくい推測
買収の統合10-KがHyperlume・CoMiraの統合をリスクとして明記。DustPhotonicsは取得対価12.5億ドル規模で、のれんと無形資産の減損リスクを伴う事実/減損は推測
競合10-Kは主な競合としてBroadcom、Marvell、Astera Labsと、各種のケーブル・光トランシーバー供給者を挙げる事実
輸出規制アジアの市場で輸出規制の対象企業がある、と10-Kが記載。中国に特許・拠点を持つ事実
光モジュールメーカーとの競合関係光DSPの顧客である光モジュールメーカーに対し、自社ブランドの光トランシーバーで競合する形になりうる推測

12. 用語集

SerDes
シリアライザ/デシリアライザ。並列のデータを1本の高速信号にまとめて送り、受け側で戻す回路。
光DSP
光トランシーバーの中で、電気信号の波形を整え、誤りを訂正するデジタル信号処理チップ。
LRO
Linear Receive Optics。受信側のDSPを省き、送信側だけにDSPを残して消費電力を下げる方式。
AEC
Active Electrical Cable。両端に信号を整えるチップを入れた銅ケーブル。数mの接続に使う。
PIC
光集積回路。1つのチップに変調器・受光器・導波路などの光の機能をまとめたもの。
シリコンフォトニクス
シリコンのチップ上に光の回路を作る技術。半導体工場の設備で作れる。
マイクロLED
数µm〜数十µmの微小な発光ダイオード。多数を並べて使う。
ファブレス
自社で半導体工場を持たず、設計と販売に専念する事業形態。製造は外部に委託する。
概念図:ラックの中は銅ケーブル、ラックの外は光ファイバーで、1つの会社のチップが両方をつなぐ構造
図3 Credoの「銅と光の両方」の概念図(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。

13. 出典

  1. Credo Technology Group Holding Ltd Form 10-K for the fiscal year ended May 2, 2026(米国SEC提出、2026年6月15日)。事業内容・製品(光DSP、ZeroFlap光トランシーバー、マイクロLED、AEC)・製造委託先・従業員・顧客集中・特許・売上と費用・HyperlumeとCoMiraの買収・DustPhotonics買収(後発事象)・リスク要因。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026043303/crdo-20260502.htm
  2. Credo Technology Group Holding Ltd Form 10-Q for the quarterly period ended August 1, 2026(米国SEC提出、2026年9月2日)。DustPhotonicsの取得対価の内訳(総額12億5,111万ドル)と目的、四半期の売上・研究開発費・投資キャッシュフロー。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026060111/crdo-20260801.htm
  3. Credo Technology Group Holding Ltd プレスリリース「Credo Agrees to Acquire DustPhotonics, Accelerating Expansion into Silicon Photonics and Next Generation Optical Connectivity」(2026年4月13日、Form 8-K の Exhibit 99.1)。買収の目的、DustPhotonicsの製品群、2027年4月期の光売上5億ドル超の予想、CEOのコメント。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026024892/april20268-kex991.htm
  4. Credo Technology Group Holding Ltd 決算リリース「Credo Technology Group Holding Ltd Reports First Quarter of Fiscal Year 2027」(2026年9月1日、Form 8-K の Exhibit 99.1)。四半期売上、手元資金、第2四半期の見通し、CEOのコメント。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026059795/credoq12027ex-991.htm
  5. Credo Technology Group Holding Ltd 公式サイト(社名表記とロゴ画像の取得元)。 https://credosemi.com/

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
正式名称(ケイマン諸島の持株会社)、設立2008年、上場市場、公式サイト事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026043303/crdo-20260502.htm
ファブレスで、ウェーハを全量TSMCに、後工程をAmkor・ASE・KYEC・Sigurdに、AECをBizLinkに委託事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026043303/crdo-20260502.htm
売上高・売上総利益・研究開発費・純損益・設備投資(2024〜2026年4月期)、増収の99%超がAEC事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026043303/crdo-20260502.htm
従業員807人(技術者616人)、顧客集中(上位10社約90%、注記で最大49%)、特許件数事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026043303/crdo-20260502.htm
光DSPの各ファミリー、Bluebird、ZeroFlap光トランシーバーの仕様とIEEE準拠の記載、マイクロLED(ALC、30m)、Oracleとの共同開発、LRO用DSPの「世界初」という主張事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026043303/crdo-20260502.htm
Hyperlume(2025年9月29日、9,202万ドル)とCoMira(2026年2月25日、3,510万ドル)の買収事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026043303/crdo-20260502.htm
DustPhotonics買収の完了(2026年5月28日)と取得対価の内訳、買収の目的事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026060111/crdo-20260801.htm
2026年5〜7月期の売上・研究開発費・純利益・設備投資、増収の90%超がAEC事実出典2・4 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026060111/crdo-20260801.htm
DustPhotonicsの製品群(400G〜1.6T、3.2Tまでのロードマップ、NPO・CPO向けに設計中)、外部供給依存の軽減という狙い、光売上5億ドル超の予想事実出典3 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026024892/april20268-kex991.htm
手元資金7億6,430万ドル、第2四半期の売上見通し、CEOの「ミリメートルからキロメートルまで」の発言事実出典4 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026059795/credoq12027ex-991.htm
光売上が年間売上の4分の1前後になるという目安本稿の計算出典3の予想と出典4の四半期見通しから本稿が概算。通期売上を四半期見通しの約4倍と仮定
光通信・フォトニクスの3類型の区分本稿の計算本稿による整理。企業名は本シリーズで扱う企業から例示
光だけの売上・研究開発費・人員、PICの顧客名と製造委託先、ALCの発売時期、条件付き対価の達成条件未確定/将来出典1〜4に記載なし。報道ベースの情報は採用しない https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026060111/crdo-20260801.htm
シリコンフォトニクスPIC市場の規模予測未確定/将来出典3に記載があるが調査会社と会社の推計のため採用しない https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1807794/000162828026024892/april20268-kex991.htm
AECで得た顧客関係を光に横展開する、複数の光の方式を並行して持つ、距離が伸びた先の顧客を逃さないという読み推測出典1・3・4からの本稿の解釈
DSPとPICの協調設計の利点、マイクロLEDの材料上の論点推測一般的な技術の解説にもとづく本稿の説明
光事業の実績が見えないこと、減損リスク、光モジュールメーカーとの競合関係というリスク推測出典1〜3からの本稿の解釈

最終更新:2026年9月26日/Troy Technical
本稿の数値はすべてCredo Technology Group Holding Ltdが米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類と、それに添付された公式リリースに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。