COMPANY PROFILE / 光通信・フォトニクス
Broadcom
― スイッチのチップとレーザーの工場を両方持ち、CPOを3世代続けてきた会社
BroadcomはAI向けのカスタムチップやEthernetスイッチで知られる半導体会社ですが、光通信の世界では CPO(Co-packaged Optics)を2021年から世代を重ねて出してきた会社として名前が出ます。 2025年10月には第3世代のTomahawk 6 – Davisson(102.4Tb/s)を発表しました。 もう1つの顔は、レーザーを自社の工場で作る光部品メーカーでもあることです。 米国SECへの年次報告書は、ペンシルベニア州の自社工場を「光ファイバー製品向けのInP(インジウムリン)ウェーハの唯一の供給源」と書いています。 本稿ではソフトウェア事業を含む会社全体の規模は最小限にとどめ、CPO・光DSP・レーザーの3つで何をしてきたかを、同社の公式リリースとSEC提出書類だけで整理します。
- 30秒でわかるBroadcomと、光通信・フォトニクスでの立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 光通信・フォトニクスの世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(ソフトウェア事業を含むため簡潔に)
- 光通信・フォトニクスにかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は光通信・フォトニクスで何を目指しているか
- 光通信・フォトニクス分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるBroadcomと、光通信・フォトニクスでの立ち位置
パロアルト3421 Hillview Ave
(レーザー工場も自社保有)光の領域はデータセンター内の光インターコネクトが中心
TH6-Davisson102.4Tb/s、1チャネル200Gb/s。2025年10月発表
第1世代TH4-Humboldt第2世代TH5-Baillyを会社は「業界初の量産CPO」と説明
Breinigsville光ファイバー製品向けInPウェーハの唯一の供給源
(1チャネル400Gb/s)開発中と2025年10月に公表。時期は非公表
光通信に関わる企業は、大きく光部品・光モジュール/半導体・ファウンドリ/通信装置・通信事業者の3種類に分かれます。 Broadcomは半導体の会社ですが、この分野では珍しく光部品の側にも足をかけています 事実。 10-Kによれば、同社は製造の大半を外部に委託する一方、光ファイバー通信用のVCSEL(面発光レーザー)や、GaAs・InPを使った端面発光レーザーは自社の工場で作っています。 つまり、スイッチのチップ(Tomahawk)、光の信号を処理するDSP、光のエンジン、そしてレーザーまで、CPOとプラガブル光モジュールの両方に必要な主要部品を1社で持っているのが特徴です。 同じ半導体会社でも、レーザーを外部から買うNVIDIAとは、ここが決定的に違います。
2. ロゴと社名の表記について

Broadcomのロゴは同社の商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、
Broadcom公式サイトで使われているロゴ画像を img/broadcom_logo.svg として設置しています。
表記の注意:法定開示上の社名は Broadcom Inc. です。日本語では「ブロードコム」と読まれます。 CPOの製品名は「スイッチのチップ名+光エンジンの名前」で、たとえば Tomahawk 6 – Davisson はスイッチチップ Tomahawk 6 と光エンジン Davisson の組み合わせを指します。 会社自身も「TH6-Davisson」「TH5-Bailly」と略記しており、本稿もそれに合わせます。
公式サイト:https://www.broadcom.com/3. 光通信・フォトニクスの世界で、この会社はどこにいるか
光のどの領域に関わるかでいえば、中心はデータセンターの中の光インターコネクトです 事実。 ただし10-Kは、光部品の用途としてEthernetネットワーク、ストレージ、アクセス網に加え、メトロ網・長距離の通信網も挙げており、 さらに産業向けの光ファイバー部品やフォトカプラも扱っています。 本稿は、このうち一次資料で具体的な製品と数値が追えるデータセンター向け(CPO・光DSP・レーザー)を中心に扱います。
4. 会社の規模(ソフトウェア事業を含むため簡潔に)
Broadcomは半導体事業のほかにVMwareなどのソフトウェア事業を持つため、会社全体の数字は光の規模とは大きくかけ離れています。規模だけを押さえます 事実。
| 指標(百万ドル) | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高(全社) | 51,574 | 63,887 |
| うち半導体ソリューション部門 | 30,096 | 36,858 |
| うちインフラストラクチャー・ソフトウェア部門 | 21,478 | 27,029 |
| 研究開発費(全社) | 9,310 | 10,977 |
会計年度は10月31日に最も近い日曜日に終わります(2025年度は2025年11月2日まで)。表の「2025年10月期」はこの年度を指します。
従業員は2025年11月2日時点で約33,000人、うち約57%が研究開発職です。特許は約19,000件を保有しています 事実。 半導体部門の売上が伸びた理由として、10-Kは「カスタムAIアクセラレータとAIネットワーク製品への強い需要」を挙げています。
上の数字は会社全体と部門全体のものです。 Broadcomは光部品、CPO、光DSPの売上を個別に開示していません 未確定/将来。 半導体ソリューション部門には、カスタムAIチップ、Ethernetスイッチ、無線通信用の部品、ブロードバンド、産業用製品などがすべて含まれます。 「Broadcomの光事業は○億ドル」という数字は調査会社の推計や報道によるもので、本稿では採用しません。
5. 光通信・フォトニクスにかけているリソース
金額と人数は非公表ですが、何をリソースとして持っているかは10-Kと公式リリースから具体的に読み取れます。
| リソースの種類 | 内容 | 確認 |
|---|---|---|
| 人(専任組織・人員) | 光の製品はOptical Systems Division(光システム事業部)が担当している(リリースの発言者の肩書き)。人員数は非公表。全社では約33,000人のうち約57%が研究開発職 | 組織は確認。人数は非公表 |
| 金(研究開発費・設備) | 全社の研究開発費は2025年10月期に109億7,700万ドル。光関連の研究開発費・設備投資額は非公表 | 非公表 |
| 自社の光工場 | 米国ペンシルベニア州Breinigsvilleの工場が、光ファイバー製品向けInPウェーハの唯一の供給源。III-V族(化合物半導体)ウェーハの自社製造の大半は米国とシンガポールで行う。VCSELとGaAs・InPのレーザーは自社工場、標準的なCMOSは外部委託 | 確認できた |
| 外部への出資・買収 | 光関連の出資・買収は、本稿の調査範囲の一次資料では確認できなかった | 確認できず |
| 製造・製品の協業先 | TSMC(Davissonの光エンジンにCOUPE技術)、Corning(ファイバー・コネクタ)、Foxconn Interconnect Technology(CPO用ソケット・着脱式レーザー光源の部材)、Twinstar(CPO用ファイバーケーブル)など | 確認できた |
| 顧客・評価の協業先 | Tencent(2022年にCPOスイッチを共同開発)、Meta(CPOの信頼性試験)、Micas Networks・Delta Electronics・Celestica・HPE・Nexthop AI(CPOスイッチのシステム化) | 確認できた |
| 規格づくり | 他社とともにOCI MSA(Optical Compute Interconnect Multi-Source Agreement)を設立したと2026年3月に公表 | 確認できた |
| 大学・研究機関・公的資金 | 光関連で大学との共同研究、CHIPS法などの公的資金の採択は、10-K・リリースに記載なし | 確認できず |
10-Kのリスク要因の欄に、Breinigsvilleの工場が光ファイバー製品向けのInPウェーハの唯一の供給源だと書かれています 事実。 InP(インジウムリン)は、光ファイバー通信で使う波長のレーザーを作るための化合物半導体で、シリコンのように大口径のウェーハで大量に作ることができません。 結晶の成長、エピタキシャル層の積み重ね、端面の加工と保護膜の形成まで、材料とプロセスのノウハウが工場の中に閉じている分野です。
Broadcomは標準的なCMOSを外部に委託しながら、この部分だけは自社で持ち続けています。 10-Kはその理由を「IPを守り、製品化までの時間を短くするため」と説明しています。 裏を返せば、この1つの工場に問題が起きると、光ファイバー製品のレーザーの供給が止まりうるということであり、会社自身もそれをリスクとして書いています。 材料の側から見れば、「作れる工場が1つしかない」ことが強みであると同時に最大の弱点でもある、という構図です 未確定/将来。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2021年 | 第1世代CPO TH4-Humboldtを投入(2025年5月のリリースの記述)。高密度の光エンジン、端面結合、着脱式ファイバーコネクタを導入 | CPOの供給網全体で「早い学習サイクル」を回し始めた |
| 2022年8月22日 | Tencentと戦略的提携。25.6Tb/sのHumboldt(Tomahawk 4+3.2Tb/sの光エンジン4個)を提供し、Ruijie Networksがスイッチを製造・試験してTencentに納入。1310nmの非冷却CWレーザーを採用 | 中国の大手クラウドが最初の実運用の相手になった |
| 2024年3月14日 | 第2世代 TH5-Bailly(51.2Tb/s)を顧客に出荷。6.4Tb/sの光エンジン8個。光インターコネクトの消費電力を70%削減、シリコン面積の効率は8倍と主張 | 容量を倍にし、量産の工程を作り込んだ |
| 2025年5月15日 | 第3世代(1チャネル200Gb/s)CPOの製品ラインを発表。Baillyを「業界初の量産CPO」と位置づけ、第4世代(400Gb/s)の開発も約束。Corning、Delta、Foxconn Interconnect、Micas、Twinstarが量産や出荷の節目を公表 | 部品と装置の供給網が揃ってきたことを示した |
| 2025年10月1日 | Metaでの試験で、400G換算で累計100万ポート時間、リンク断(link flap)ゼロを達成したと発表。プラガブルに比べ光の消費電力を65%削減 | 「壊れにくいか」という最大の疑問に、顧客側のデータで答えた |
| 2025年10月8日 | 第3世代 TH6-Davisson(102.4Tb/s)を発表。TSMCのCOUPEで作った6.4Tb/sの光エンジン16個。レーザーは交換式のELSFPモジュール。第4世代(400Gb/s)を開発中と公表 | CPOの容量で最大級に並んだ |
| 2026年3月12日 | OFC 2026に向けて、1レーン400Gb/sの光DSP「Taurus」と400GのEML・受光素子を発表。200GのVCSEL・EML・CWレーザー、3.2TのVCSEL型NPOも展示。OCI MSAを他社と設立 | CPOだけでなくプラガブル向けの部品も次の速度へ進めた |
7. 今後の計画
スケールアップXPU(AIチップ)同士の接続にもCPOを提供すると製品ページに記載
2025年5月のリリースは、第3世代CPOの狙いを「銅配線並みの信頼性と電力効率が求められる、512ノードを超えるスケールアップ」と書いています 事実。 つまり、今はGPUやAIチップ同士を銅のケーブルでつないでいる領域(スケールアップ)まで、光で置き換えることを視野に入れています。
次はいずれも、本稿の調査範囲の一次資料に記載がありません 未確定/将来。
CPOの出荷台数・売上・価格/TH6-Davissonの量産出荷の開始時期(2025年10月のリリースは見出しで「出荷中」と書く一方、本文では「早期アクセス顧客へサンプル出荷中」としている)/ 第4世代CPOと3.2T光モジュールの提供時期/Metaなど試験先が実際に大規模導入したかどうか/光関連の設備投資額。 2024年3月のリリースには「プラガブル光モジュールがスイッチシステムの電力の約50%、コストの50%超を占める」という記述がありますが、 同じリリースで調査会社のアナリストが同趣旨の見通しを述べており、会社自身の実測か市場推計か区別できないため、本稿では採用しません。
8. この会社は光通信・フォトニクスで何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| CPOとプラガブルの両方で勝つことを狙っている | CPOスイッチを世代ごとに出す一方、2026年3月にはプラガブル光モジュール向けの400G/レーンDSPとEMLを発表。TH6-DavissonもDR型のトランシーバーやLPOとの相互接続を明記している | 推測 |
| CPOを複数社で作れる「開かれた」技術にしたい | OCI MSAの設立、IEEE 802.3準拠の明記、TSMC・Corning・Foxconn Interconnectなど外部の供給網を前面に出す発表の構成 | 推測 |
| 次の主戦場はスケールアップ(AIチップ同士の接続)の光化 | 第3世代を「512ノード超のスケールアップ」向けと説明し、製品ページで「XPU向けのCPO」を掲げている | 事実 |
| レーザーは今後も自社で作り続ける | 10-Kが、IPの保護と製品化の速さを理由にレーザーを自社工場で作ると説明。400G EMLも「自社初」として発表 | 推測 |
| CPOの普及の鍵は信頼性の証明だと考えている | 2025年10月にMetaの試験結果(リンク断ゼロ)を単独のリリースとして出し、TH6-Davissonの発表でもリンクの安定性を主な利点に挙げている | 推測 |
2026年3月のOFC向けリリースで、Broadcomが最初に大きく扱ったのはCPOではなく、プラガブル光モジュール向けの400G/レーンの光DSP「Taurus」と400G EMLでした 事実。 リリースは、これらを使えば光モジュールメーカーが低消費電力の1.6T光モジュールを作れ、将来は3.2Tにつながると書いています。 CPOが普及すればプラガブル光モジュールは減るはずで、CPOの旗振り役がプラガブル向けの部品を強化するのは一見矛盾しています。 本稿はこれを、どちらが主流になっても、スイッチのチップ・DSP・レーザーのいずれかで売上が立つようにする両面作戦と読みます 未確定/将来。 レーザーを自社で作っている会社だからこそ取れる戦略ですが、会社自身がこの意図を説明したわけではなく、これは本稿の解釈にとどまります。
9. 光通信・フォトニクス分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
| 製品・技術 | 公表されている仕様 | 段階 |
|---|---|---|
| TH6-Davisson(BCM78919) | 102.4Tb/s。6.4Tb/sのDR型光エンジン16個。1リンク200Gb/s。交換式のELSFPレーザーモジュール。スケールアップで512個のXPU、2段のネットワークで10万個超のXPUに対応。IEEE 802.3準拠をうたう | 早期アクセス顧客にサンプル出荷(2025年10月時点) |
| TH5-Bailly | 51.2Tb/s。6.4Tb/sの光エンジン8個。400G FR4×128ポート。Broadcom Fiber Connector(BFC)を採用し、現場で交換できる複数のリモートレーザーモジュールに対応 | 会社は「業界初の量産CPO」と説明 |
| TH4-Humboldt | 25.6Tb/s。3.2Tb/sの光エンジン4個。1310nmの非冷却CWレーザー | 第1世代(2021年〜) |
| Taurus(光DSP) | 1レーン400Gb/sの光DSP。400G EML・受光素子と組み合わせ1.6T光モジュールを実現し、3.2Tへの土台とする | 2026年3月に初公開 |
| レーザー・受光素子 | 200G/レーンのVCSEL・EML・CWレーザー、400G EML。VCSELとGaAs・InPのレーザーは自社工場で製造 | 製品群として提供(個別の出荷状況は非公表) |
| VCSEL型NPO | 3.2TのNear-Packaged Optics(チップの近くに光部品を置く方式) | 2026年3月に展示 |
| 光ファイバー部品(従来型) | Ethernet、ストレージ、アクセス網、メトロ・長距離通信向けの光部品。産業向けの光ファイバー部品・フォトカプラ | 販売中(売上は非開示) |
CPOの省電力効果について、Broadcomは「光インターコネクトの消費電力を70%削減(プラガブルの3.5分の1以下)」(2024年3月・2025年10月)、 「Metaの試験データではプラガブルに比べ65%削減」(2025年10月)と、文書によって異なる数字を示しています 事実。 CPO紹介ページには「光のコストをビットあたり40%削減」「帯域密度は1mmあたり1Tb/s超」とも書かれていますが、比較の条件は示されていません。 「業界初」「業界唯一」も会社自身の表現です。 IEEE 802.3への準拠は、TH6-Davissonのリリースで会社が主張しているもので、規格団体の認定を本稿が確認したものではありません 未確定/将来。
Broadcomは第1世代から端面結合(edge coupling)と着脱式のファイバーコネクタを採用し、2024年のBaillyでは「高度に自動化された高密度の端面結合によるファイバー接続」を量産の決め手に挙げています 事実。 端面結合は、光のチップの側面(端面)から光ファイバーの光を入れる方式で、結合の損失を小さくしやすい一方、端面の研磨や保護、ファイバーを固定する接着剤の位置精度と長期の安定性が効いてきます。 一方、NVIDIAはSpectrum-X Ethernet Photonicsでチップの表面から光を出し入れする方式(surface-normal I/O)を採ったと自社の技術ブログで説明しています(出典11)。
どちらの方式でも、光ファイバーとシリコンの導波路の位置合わせはμm以下の精度が必要で、 温度サイクルで接着剤が伸び縮みすれば、その分だけ光が漏れます。 CPOの信頼性試験で「リンク断ゼロ」が大きく扱われるのは、電気の接続よりも光の接続のほうが、材料の経時変化に敏感だからです 未確定/将来。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| レーザー工場が1か所 | Breinigsvilleの工場が光ファイバー製品向けInPウェーハの唯一の供給源であることを、10-Kと2026年の10-Qがリスクとして記載 | 事実 |
| 製造の大半は外部委託 | 10-Kは「主に外部委託の製造モデル」と記載。Davissonの光エンジンもTSMCの技術に依存している | 事実 |
| 顧客の集中 | 2025年10月期に売上の32%を1社が占め、上位5社で約40%。光の製品に限った内訳は非公表 | 事実 |
| 出荷段階の読みにくさ | TH6-Davissonのリリースは見出しで「出荷中」、本文で「サンプル出荷中」と書いており、量産の段階が外から判断しにくい | 事実 |
| CPOが主流になるかは未確定 | 会社自身がプラガブル向けの部品を強化しており、CPOとプラガブルのどちらが主流になるかは会社の資料からも読み取れない | 推測 |
| 競合 | NVIDIAもCPOスイッチを量産段階に入れており、NVIDIAは10-KでBroadcomをネットワーク製品の競合に挙げている。Broadcomの10-Kは競合の社名を挙げていない | 事実 |
12. 用語集
- CPO(Co-packaged Optics)
- 光の送受信部をスイッチのチップと同じパッケージに載せる方式。電気の配線を短くして電力を減らす。
- 光DSP
- 光モジュールの中で、ゆがんだ信号を整えるデジタル信号処理のチップ。電力を多く使う。
- EML
- 電界吸収型変調器つきレーザー。レーザーと変調器を1チップにし、高速で光をオン・オフする。
- VCSEL
- 面発光レーザー。基板に垂直に光を出す。安価で、短距離の多モード光ファイバーに使う。
- InP(インジウムリン)
- 光ファイバー通信の波長のレーザーを作るための化合物半導体。
- 端面結合
- 光のチップの側面から光ファイバーの光を入れる方式。
- リンク断(link flap)
- 通信の接続が一瞬切れて、つながり直すこと。AIの学習を止める原因になる。
- NPO(Near-Packaged Optics)
- 光部品をチップと同じパッケージではなく、そのすぐ近くの基板上に置く方式。
- MSA
- Multi-Source Agreement。複数の会社が互換性のある製品を作るために合意する共通仕様。
- スケールアップ
- AIチップ同士を1つの大きな計算機のように密につなぐこと。今は主に銅の配線を使う。
13. 出典
- Broadcom Inc. Form 10-K for the fiscal year ended November 2, 2025(米国SEC提出、2025年12月18日)。本社・沿革、事業内容(光部品・PHY・AI向け製品)、自社工場(Breinigsville・Fort Collins・シンガポール)とレーザーの内製、売上高・部門別売上・研究開発費、従業員数、特許数、顧客集中、競合の記述。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1730168/000173016825000121/avgo-20251102.htm
- Broadcom Inc. Form 10-Q for the quarterly period ended August 2, 2026(米国SEC提出、2026年9月10日)。Breinigsvilleの工場がInPウェーハの唯一の供給源であるというリスク記載(2026年時点でも継続)、半導体部門の伸びの理由。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1730168/000173016826000080/avgo-20260802.htm
- Broadcom Inc. プレスリリース「Broadcom and Tencent Partner to Accelerate Commercialization of Co-Packaged Optics Network Switch」(2022年8月22日)。Tencentとの提携、25.6Tb/sのHumboldt、Ruijie Networksの役割、1310nmの非冷却CWレーザー。 https://www.broadcom.com/company/news/product-releases/60461
- Broadcom Inc. プレスリリース「Broadcom Delivers Industry's First 51.2-Tbps Co-Packaged Optics Ethernet Switch Platform for Scalable AI Systems」(2024年3月14日)。Baillyの出荷、光エンジン8個、消費電力70%削減・面積効率8倍の主張、端面結合によるファイバー接続、製品仕様。 https://www.broadcom.com/company/news/product-releases/61946
- Broadcom Inc. プレスリリース「Broadcom Announces Third-Generation Co-Packaged Optics (CPO) Technology with 200G/lane Capability」(2025年5月15日)。第1〜第3世代の経緯、第4世代の開発の約束、協業先の節目、スケールアップ向けの位置づけ。 https://www.broadcom.com/company/news/product-releases/63126
- Broadcom Inc. プレスリリース「Broadcom Showcases Industry-Leading Quality and Reliability of Co-Packaged Optics」(2025年10月1日)。Metaでの試験(400G換算で累計100万ポート時間のリンク断ゼロ)、光の消費電力65%削減。 https://www.broadcom.com/company/news/product-releases/63616
- Broadcom Inc. プレスリリース「Broadcom Announces Tomahawk® 6 – Davisson, the Industry's First 102.4-Tbps Ethernet Switch with Co-Packaged Optics」(2025年10月8日)。TH6-Davissonの仕様、TSMCのCOUPE、ELSFP、IEEE 802.3準拠の主張、サンプル出荷、第4世代の開発、協業先のコメント。 https://www.broadcom.com/company/news/product-releases/63626
- Broadcom Inc. プレスリリース「Broadcom Showcases Industry-Leading Solutions for Scaling AI Infrastructure at OFC 2026」(2026年3月12日)。400G/レーン光DSP「Taurus」、400G EML・受光素子、200G VCSEL・EML・CW、3.2T VCSEL NPO、OCI MSAの設立、200Tへのロードマップ。 https://www.broadcom.com/company/news/product-releases/64036
- Broadcom Inc. CPO紹介ページ「Here. Now. Leading the future of Co-Packaged Optics (CPO)」(2026年9月閲覧)。CPOの利点の主張(消費電力3.5倍超の削減、ビットあたり40%のコスト削減、1Tb/s/mm超の帯域密度)、スイッチ向けとXPU向けのCPO。 https://www.broadcom.com/info/optics/cpo
- Broadcom Inc. 公式サイト(社名表記の確認)およびロゴ画像の取得元。 https://www.broadcom.com/
- NVIDIA Corporation 技術ブログ「Scaling Power-Efficient AI Factories with NVIDIA Spectrum-X Ethernet Photonics」(2026年1月6日)。比較のために参照した、NVIDIAのCPOの光の入出力方式(surface-normal I/O)。 https://developer.nvidia.com/blog/scaling-power-efficient-ai-factories-with-nvidia-spectrum-x-ethernet-photonics/
- NVIDIA Corporation Form 10-K for the fiscal year ended January 25, 2026(米国SEC提出、2026年2月25日)。比較のために参照した、NVIDIAがネットワーク製品の競合としてBroadcomを挙げている記述。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1045810/000104581026000021/nvda-20260125.htm
14. 主張と出典の対応表
| 本文の主張 | 区分 | 出典 |
|---|---|---|
| 正式名称、本社所在地、沿革、会計年度 | 事実 | 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1730168/000173016825000121/avgo-20251102.htm |
| 売上高・部門別売上・研究開発費(2024〜2025年10月期)、従業員約33,000人と研究開発職約57%、特許約19,000件 | 事実 | 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1730168/000173016825000121/avgo-20251102.htm |
| 光部品の用途(Ethernet・ストレージ・アクセス・メトロ・長距離)、産業向け光ファイバー部品 | 事実 | 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1730168/000173016825000121/avgo-20251102.htm |
| VCSELとGaAs・InPレーザーの自社製造、III-V族ウェーハの製造拠点、Breinigsvilleが唯一の供給源 | 事実 | 出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1730168/000173016826000080/avgo-20260802.htm |
| 顧客集中(1社32%、上位5社約40%) | 事実 | 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1730168/000173016825000121/avgo-20251102.htm |
| Tencentとの提携(2022年)、Humboldtの仕様、Ruijieの役割 | 事実 | 出典3 https://www.broadcom.com/company/news/product-releases/60461 |
| Baillyの出荷(2024年3月)、仕様、消費電力70%削減・面積効率8倍の主張、端面結合 | 事実 | 出典4 https://www.broadcom.com/company/news/product-releases/61946 |
| 第1世代(2021年)からの経緯、Baillyが業界初の量産CPOという会社の説明、第3世代の狙い、協業先の節目 | 事実 | 出典5 https://www.broadcom.com/company/news/product-releases/63126 |
| Metaでの試験結果(リンク断ゼロ)と65%削減 | 事実 | 出典6 https://www.broadcom.com/company/news/product-releases/63616 |
| TH6-Davissonの仕様、TSMCのCOUPE、サンプル出荷、第4世代の開発、IEEE 802.3準拠の主張、協業先 | 事実 | 出典7 https://www.broadcom.com/company/news/product-releases/63626 |
| Taurus、400G EML・受光素子、200Gレーザー群、NPO、OCI MSAの設立、200Tへのロードマップ | 事実 | 出典8 https://www.broadcom.com/company/news/product-releases/64036 |
| CPO紹介ページの利点の主張、XPU向けCPO | 事実 | 出典9 https://www.broadcom.com/info/optics/cpo |
| 光通信企業の3類型の区分(光部品・光モジュール/半導体・ファウンドリ/通信装置・通信事業者) | 本稿の計算 | 本稿による整理。企業名は本シリーズで扱う企業から例示 |
| 光部品・CPO・光DSPの売上、光関連の研究開発費・設備投資・人員数 | 未確定/将来 | いずれも非公表。本稿では推計もしない https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1730168/000173016825000121/avgo-20251102.htm |
| TH6-Davissonの量産出荷時期、第4世代・3.2Tの提供時期、Metaでの大規模導入の有無 | 未確定/将来 | 出典3〜9に記載なし。報道ベースの情報は採用しない https://www.broadcom.com/company/news/product-releases/63626 |
| プラガブルがスイッチ電力の約50%・コストの50%超という記述 | 未確定/将来 | 出典4に記載があるが、調査会社の見通しと区別できないため本稿では採用しない https://www.broadcom.com/company/news/product-releases/61946 |
| 光関連の出資・買収、大学との共同研究、公的資金 | 未確定/将来 | 出典1〜9に記載なし。本稿では存在しないとも断定しない https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1730168/000173016825000121/avgo-20251102.htm |
| CPOとプラガブルの両方で勝つ両面作戦という読み | 推測 | 出典7・8の製品構成からの本稿の解釈。会社は意図を説明していない |
| CPOを複数社で作れる開かれた技術にしたいという読み | 推測 | 出典7・8のOCI MSA・規格準拠・供給網の記述からの本稿の解釈 |
| レーザーを今後も自社で作り続けるという読み | 推測 | 出典1の内製の理由と出典8の400G EMLからの本稿の解釈 |
| 普及の鍵を信頼性の証明と見ているという読み | 推測 | 出典6・7の発表の構成からの本稿の解釈 |
| InP工場が強みであり弱点でもあるという読み、光の接続が材料の経時変化に敏感という解説 | 推測 | 出典1・2・4の記述に基づく本稿の解説 |
| NVIDIAがBroadcomを競合に挙げていること、NVIDIAのCPOが表面から光を出し入れする方式であること | 事実 | 出典11・12 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1045810/000104581026000021/nvda-20260125.htm |
最終更新:2026年9月26日/Troy Technical
本稿の数値は、Broadcom Inc.が米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類と、同社の公式プレスリリース・製品紹介ページに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。性能の数値は会社の主張であり、第三者が検証したものではありません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。