TECHNOLOGY EXPLAINER
LiDAR
― 光の往復時間で世界を測る。波長を決めているのは受光器の材料
LiDAR(ライダー)は、レーザー光を当てて跳ね返りを受け、対象までの距離を測るセンサーです。 光は1ナノ秒で往復15 cm分しか進みません。200 m先の物体からの光は、20 m先に比べて100分の1の弱さで戻ってきます。 そして、使う波長が905 nmか1550 nmかを分けているのは、じつは光を受ける半導体の材料です。
- LiDARとは何か(3行でつかむ)
- 測り方①:ToF ― 往復時間を数える
- 測り方②:FMCW ― 周波数のずれで距離と速度を同時に測る
- 本稿の計算:戻ってくる光は距離の2乗で弱くなる
- 905 nmか、1550 nmか
- 素材技術者の視点①:波長を決めているのは受光器の材料
- 光源と検出器
- ビームの振り方 ― 回転、MEMS、フラッシュ、光フェーズドアレイ
- 素材技術者の視点②:「動く部品のない」LiDARの難しさ
- 課題と未確定事項
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=規格・査読論文・企業の公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・見通しであり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。
論文の実験値と企業の製品仕様は性格が異なるため書き分け、「業界初」などは企業の主張として扱います。
1. LiDARとは何か(3行でつかむ)
LiDAR(Light Detection and Ranging)とは、「レーザー光を対象に当て、戻ってきた光から距離(と速度)を測るセンサー」です。 光を細かく振って多数の点を測ると、周囲の立体形状が「点群」として得られます(本記事による解説)。
- 何に使うか:自動運転車は周囲の車両・歩行者などを検出する必要があり、安全性と正確な推定のために、カメラやレーダーを補うものとしてLiDARが導入されてきた——と Li と Ibanez-Guzman のレビュー論文(IEEE Signal Processing Magazine, 2020)は説明しています事実
- 測り方:光の往復時間を測るToFと、周波数を連続的に変えた光の「うなり」から距離と速度を測るFMCWの2方式があります事実
- 波長:主に850〜950 nm(近赤外)と1550 nm(短波赤外)が使われ、同論文は905 nmなどの近赤外が「依然として主流」としています事実
LiDARは通信用の光技術を「測る」ために転用したものです。 1550 nmの光源と光ファイバー、コヒーレント検波、シリコンフォトニクスは、本シリーズの「半導体レーザー」「コヒーレント光通信とDSP」「シリコンフォトニクス」編とつながっています。 受光素子の一般論は「光検出器」編、シリコンの屈折率が温度で変わる話は「波長多重とマイクロリング」編で扱いました(本記事による整理)。
2. 測り方①:ToF ― 往復時間を数える
ToF(Time of Flight)方式は、光を出してから戻るまでの時間 Δt を測り、r = (1/2n) × c × Δt(c は光速、n は媒質の屈折率で空気ではほぼ1)で距離を求めます事実。 レビュー論文は、ToF方式が構造と信号処理の単純さから現在の車載LiDAR市場で主流である一方、 目の安全のための送信パワーの制限で最大距離の伸びしろが限られ、強い太陽光や他のLiDARの光から干渉を受けうる、としています事実。
- 前提:空気中の屈折率を1、光速 c = 約30万 km/s とする
- 往復時間 1 ns = 距離 約15 cm 本稿の計算(c × 1 ns ÷ 2)
- 200 m先の物体からの往復時間は 約1.33 µs
前提と限界:単純な換算で、検出回路の遅延や信号処理は含みません。 距離を1 cm単位で分けるには、約67 psの時間の分解能が要る計算になります。 第7章で見るソニーのSPADセンサーが「15 cm間隔」で測距するとしているのは、ちょうど1 nsの時間刻みに相当します(本記事による解説)。
3. 測り方②:FMCW ― 周波数のずれで距離と速度を同時に測る
FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式は、周波数を三角波やのこぎり波で連続的に変えたレーザー光を送り、手元に残した参照光(局部発振光)と戻り光を混ぜます。 すると、往復時間に比例した周波数の差(中間周波数)が生まれます事実。 レビュー論文は、この方式を「FMCWレーダーの光版」と呼び、次の特徴を挙げています事実。
- 距離と速度を同時に直接測れる(ToFは連続した測定から間接的に速度を推定する)
- 連続的に照射するため少ない送信パワーで済み、目の安全の要件を満たしやすい
- 他の光源や強い太陽光からの干渉を減らせる
- ただし長いコヒーレンス長を持つ高品質なレーザーが必要
レビュー論文の式 fif = 4rB/(cT)(B:変調の帯域、T:波形の周期)と、v = fdλ/2 を使います本稿の計算。
- 前提:B = 1 GHz、T = 10 µs、距離 r = 100 m と仮定
- 中間周波数 fif = 4 × 100 × 10⁹ ÷ (3×10⁸ × 10⁻⁵) ≒ 約133 MHz
- 相対速度 30 m/s(時速108 km)のときのドップラー周波数 fd = 2v/λ:1550 nmで 約38.7 MHz
前提と限界:B・T・r は本稿の仮定で、実際の製品の値ではありません。 光の周波数(1550 nmで約193 THz)をGHz単位で精密に掃引し続ける必要があり、それが「高品質なレーザー」が求められる理由の一端です(本記事による解説)。
4. 本稿の計算:戻ってくる光は距離の2乗で弱くなる
レビュー論文は、パルスLiDARの受光パワーを近似的に Pr = Ep × cηAr/(2r²) × β × Tr と示しています事実。 Ep はパルスのエネルギー、Ar は受光開口の面積、η は系全体の効率、β は対象の反射率に関わる係数、Tr は大気の透過です。 論文は、受光パワーが距離の2乗に反比例して減ること、送信パワーを単純に上げることは目の安全規格 IEC 60825で制限されること、 だから光学系・受光器・信号処理で系全体の効率を上げる必要があることを述べています事実。 霧・雨・塵・雪では、空気中の粒子が光を散乱・吸収します事実。
目の安全を定める国際規格 IEC 60825-1(本稿が確認したのは2014年の第3版)は、波長180 nmから1 mmまでのレーザー製品に適用され、 危険の度合いに応じたクラス分けと、製造者による安全情報の提供を定めています事実。 LiDARの送信パワーの上限は、この枠組みの中で決まります(本記事による解説)。
5. 905 nmか、1550 nmか
レビュー論文は、波長の選び方を「大気の窓、目の安全の要件、コスト」を総合して決めるものとし、2つの波長帯を比べています事実。
| 観点 | 850〜950 nm(近赤外、905 nmなど) | 1550 nm(短波赤外) |
|---|---|---|
| 目の安全規格で許される最大パワー | — | 1550 nmのほうが高い。そのぶん長い距離を狙える |
| 受光器 | 成熟したシリコンの受光器が使える(安価) | 高価なInGaAsの受光器が必要。効率はシリコンより低い |
| 大気中の水による吸収 | — | 850〜950 nmより強い |
| 光源の入手性 | 安価なダイオードレーザーも、強力なファイバーレーザーも市場で容易に入手できる | 同左 |
| 結論(論文) | 905 nmなどの近赤外のLiDARが依然として主流 | |
すべて事実(Li・Ibanez-Guzman, IEEE Signal Processing Magazine 37(4), 2020[出典1])。「—」は同論文に比較の記述がない項目です。論文は2020年時点の整理です。
6. 素材技術者の視点①:波長を決めているのは受光器の材料
レビュー論文は、受光素子の選択はレーザーの波長の選択と密接に結びついているとし、 シリコン系APDは可視から近赤外の約1000 nmまで感度を持ち、1700 nmまでの長い波長ではInGaAs系APDが使われると説明しています事実。
理由は半導体のバンドギャップです。光子1個のエネルギーは波長に反比例し、905 nmで約1.37 eV、1550 nmで約0.80 eVです本稿の計算(1239.84 ÷ 波長nm)。 シリコンのバンドギャップを約1.12 eVとすると、吸収できる波長の上限は約1107 nmの計算になり、1550 nmの光はシリコンを素通りします(本記事による解説)。 だから1550 nmを選ぶと、InGaAsのような化合物半導体の受光器が必要になります。
一方で、905 nmもシリコンにとって楽な波長ではありません。バンドギャップに近い波長ほどシリコンの吸収は弱く、光は深くまで入り込みます(本記事による解説)。 ソニーセミコンダクタソリューションズは、車載LiDAR向けSPADセンサーについて、「光の入射面に凹凸を設けることで入射光を回折させて吸収率を高めて」、 905 nmで24%の光子検出効率を実現したとしています事実。 表面の微細な凹凸という「形の工夫」で、材料の吸収の弱さを補っているわけです(本記事による解説)。
つまり905 nmと1550 nmの選択は、「安価で成熟したシリコンの受光器を、工夫して使い切るか」と 「高価な化合物半導体の受光器を使って、目の安全の余裕を取るか」の選択です。 光源より先に、受光器の材料とコストが波長を決めていると読めます(本記事による解説)。
7. 光源と検出器
光源
レビュー論文によれば、ToF方式にはパルス光が必要で、パルス半導体レーザーかファイバーレーザーで作ります事実。
| 光源 | レビュー論文の記述 |
|---|---|
| 端面発光レーザー(EEL) | 通信で長く使われてきた。ビームが楕円形で、整形の光学系が要る |
| 面発光レーザー(VCSEL) | ビームが円形。1チップ上に2次元アレイを作りやすく解像度に有利。ただし出力の制約で距離は短め |
| 車載のパルスレーザーダイオード | レーザーチップにコンデンサーとMOSFETを組み合わせたハイブリッド部品。905 nmの出力は安価なシリコン受光器で受けられる。繰り返し周波数とピーク出力に限界があり、冷却が要る場合もある |
| フラッシュ用の光源 | 端面発光のバーを縦に積んだスタック。放熱が課題でヒートシンクが必要 |
| ファイバーレーザー | 出力が高く、長い波長で有用。ファイバーで複数箇所に分配でき、繰り返し周波数やビーム品質に優れるが、大きく車両への統合が難しい |
すべて事実(Li・Ibanez-Guzman[出典1])。
検出器
| 検出器 | レビュー論文の記述 |
|---|---|
| PINフォトダイオード | 逆バイアスをかけ、吸収した光子が電流を生む基本形 |
| APD(アバランシェフォトダイオード) | 逆電圧でなだれ増倍を起こし、約100倍の内部利得。現在のLiDARで一般的 |
| SPAD | 単一光子を検出できるAPD。利得は10⁶。CMOS技術で1チップにアレイ化できる |
| SiPM(シリコン光電子増倍管) | SPADとクエンチ抵抗の組を多数並べ、光子数を数えられるようにしたもの |
すべて事実(Li・Ibanez-Guzman[出典1])。
SPADを製品化した例として、ソニーセミコンダクタソリューションズは2021年9月、車載LiDAR向けの積層型SPAD距離センサー「IMX459」の商品化を発表しました(「業界初」は同社の主張)事実。
| 項目 | 同社の発表内容 |
|---|---|
| 構造 | 裏面照射型のSPAD画素チップ(上)と測距処理回路のロジックチップ(下)を、Cu-Cu接続で積層し、画素ごとに導通 |
| 画素 | 10 µm角、有効約10万画素、1/2.9型(対角6.25 mm) |
| 905 nmでの光子検出効率 | 24%(入射面の凹凸で光を回折させ吸収率を高める) |
| 応答 | 画素ごとのアクティブ・リチャージ回路で、一光子あたりの応答速度を通常時約6 ns |
| 測距 | 遠距離から近距離まで15 cm間隔で高精度・高速に測距 |
すべて事実(ソニーセミコンダクタソリューションズ ニュースリリース 2021年9月6日[出典6])。発表時点の製品情報です。
8. ビームの振り方 ― 回転、MEMS、フラッシュ、光フェーズドアレイ
1本のビームで周囲を測るには、光を振る(走査する)必要があります。 レビュー論文は、機械式の回転、MEMS、フラッシュ、光フェーズドアレイ(OPA)を比べています事実。
「動く部品のない」光フェーズドアレイ(OPA)は、シリコンフォトニクスの技術で作られてきました。主な査読論文の内容は次のとおりです事実。
| 論文 | 内容 |
|---|---|
| Sun ら(MIT)Nature 493, 195 (2013) | 64×64(4,096個)の光ナノアンテナを、576 µm×576 µmのシリコンチップ上に集積し、全アンテナの強度と位相をそろえて設計どおりの遠方放射パターンを作った。8×8アレイで動的なビーム走査も示した |
| Poulton ら Optics Letters 42, 4091 (2017) | シリコンフォトニクス上で光フェーズドアレイを用いたコヒーレント(FMCW)固体LiDARを初めて実証したと報告。三角波の周波数変調で距離と速度を同時測定。300 mmウェハのCMOS互換プラットフォームで作製 |
| Rogers ら Nature 590, 256 (2021) | 512画素のコヒーレント検出器アレイによる3D撮像。光と電子回路のモノリシック集積を活用し、光4 mWで75 m先を3.1 mmの精度で測定。これまでのシステムは20画素未満に限られていたとする |
すべて事実(各論文の要旨[出典2・3・4])。いずれも研究段階の実証で、車載製品の仕様ではありません。
9. 素材技術者の視点②:「動く部品のない」LiDARの難しさ
Sunらの論文は、OPAの利点と難しさを一文で書いています。 光の波長は電波よりはるかに短いので大規模な集積が見込める一方、「短い光の波長は、製造に厳しい要求を課す」——その結果、それまでの実証は1次元か小規模な2次元アレイにとどまっていた、というものです事実。
OPAは、多数のアンテナから出る光の位相をそろえて、狙った方向でだけ強め合わせる仕組みです。 位相は「光学的な長さ ÷ 波長」で決まるので、導波路の幅や厚み、屈折率が場所ごとにわずかでも違うと位相がずれ、ビームがぼやけたり不要な方向へ光が漏れたりします(本記事による解説)。 4,096個のアンテナを「強度と位相をそろえて」並べたことが成果になった理由は、そこにあります。
さらに、位相を動かすことでビームを振るには、屈折率を変える必要があります。 本シリーズ「波長多重とマイクロリング」編で見たとおり、シリコンの屈折率は温度で変わります(熱光学係数 約1.8×10⁻⁴ K⁻¹)。 これはOPAではビームを振る手段になり、同時に周囲の温度変化で意図せず向きが変わる原因にもなります(本記事による解説)。 Poultonらが「多群にまとめたカスケード型の位相シフタで制御を単純化した」としているのも、多数の位相をどう扱うかが実装の要であることを示しています事実。
機械式やMEMSの「動く部品」をなくす代わりに、ウェハ全面の膜厚・線幅・屈折率の均一性と温度安定性が性能を決めるようになる—— それが固体LiDARの材料・プロセス上の本質だと読めます(本記事による解説)。
10. 課題と未確定事項
(1) どの方式・波長が主流になるかは確定していない
レビュー論文は2020年時点で905 nmなどの近赤外が主流だとしていますが事実、 FMCW方式や光フェーズドアレイが車載でどこまで広がるかは、本稿の調査時点で確定した一次情報を確認できませんでした未確定/将来。
(2) 論文の実証と製品の距離
Rogersらの「4 mWで75 m先を3.1 mm精度」やSunらの4,096アンテナは研究段階の実証です事実。 車載の温度範囲・振動・寿命の条件で同じ性能が出るかは、本稿では確認していません。
(3) 目の安全規格の版
本稿が確認した IEC 60825-1 は2014年の第3版です事実。 波長ごとの具体的な許容値は規格本文(有料)にあり、本稿では数値を記載していません。
(4) 本稿で扱わなかったこと
LiDARの窓材・カバー材の光学特性や、汚れ・雨滴への対策、点群処理のアルゴリズム、特定企業の製品の比較は本記事の範囲外としました。
- LiDARは光の往復時間(ToF)か、周波数のずれ(FMCW)で距離を測ります事実。1 nsの往復は約15 cmです本稿の計算
- 戻り光は距離の2乗で弱まり、送信パワーは目の安全規格で制限されます事実。200 mでは20 mの100分の1です本稿の計算
- 905 nmはシリコン、1550 nmはInGaAsで受けます。1550 nmは許容パワーが大きい一方、受光器が高価で水の吸収が強い——近赤外が主流です事実
- シリコンで905 nmを効率よく受けるため、表面の凹凸で光を回折させる工夫が製品化されています事実
- 動く部品のないOPAは、製造の均一性と温度安定性が性能を決めます(本記事による解説)
11. 用語集
- LiDAR
- Light Detection and Ranging。レーザー光で距離を測るセンサー。
- 点群
- LiDARが測った多数の点の3次元座標の集まり。
- ToF
- Time of Flight。光の往復時間から距離を求める方式。
- FMCW
- 周波数を連続的に変えた光を使い、参照光とのうなりから距離と速度を求める方式。
- 局部発振光
- コヒーレント検出で、戻り光と混ぜるために手元に残す参照光。
- ドップラー周波数
- 対象が動いているために戻り光の周波数がずれる量。速度に比例する。
- IEC 60825-1
- レーザー製品の安全の国際規格。危険度に応じたクラス分けを定める。
- バンドギャップ
- 半導体が光を吸収して電子を生むのに必要な最小エネルギー。これより長い波長は吸収しない。
- InGaAs
- インジウム・ガリウム・ヒ素の化合物半導体。1550 nm帯の受光に使う。
- APD
- アバランシェフォトダイオード。なだれ増倍で信号を約100倍に増やす受光素子。
- SPAD
- 単一光子アバランシェダイオード。光子1個を検出できる。CMOSでアレイ化できる。
- SiPM
- SPADを多数並べ、光子の数を数えられるようにした受光素子。
- 光子検出効率
- 入射した光子のうち、検出された割合。
- VCSEL
- 面発光レーザー。チップ面から垂直に光を出し、2次元アレイにしやすい。
- MEMSミラー
- チップ上に作った小さな可動鏡。光を1軸または2軸に振る。
- フラッシュLiDAR
- 視野全体を一度に照らし、画素ごとに同時に測る方式。
- 光フェーズドアレイ(OPA)
- 多数の光アンテナの位相を制御して、動く部品なしにビームの向きを変える技術。
12. 参考資料(一次情報)
- Y. Li, J. Ibanez-Guzman「Lidar for Autonomous Driving: The Principles, Challenges, and Trends for Automotive Lidar and Perception Systems」IEEE Signal Processing Magazine 37(4), 50–61 (2020)(arXiv:2004.08467で本文公開) https://doi.org/10.1109/MSP.2020.2973615
- J. Sun ほか(MIT)「Large-scale nanophotonic phased array」Nature 493, 195–199 (2013) https://doi.org/10.1038/nature11727
- C. V. Poulton ほか「Coherent solid-state LIDAR with silicon photonic optical phased arrays」Optics Letters 42(20), 4091–4094 (2017) https://doi.org/10.1364/OL.42.004091
- C. Rogers ほか「A universal 3D imaging sensor on a silicon photonics platform」Nature 590, 256–261 (2021) https://doi.org/10.1038/s41586-021-03259-y
- IEC「IEC 60825-1:2014 Safety of laser products - Part 1: Equipment classification and requirements」Edition 3.0 https://webstore.iec.ch/en/publication/3587
- ソニーセミコンダクタソリューションズ「業界初 車載LiDAR向け積層型SPAD距離センサーを商品化」2021年9月6日 https://www.sony-semicon.com/ja/news/2021/2021090601.html
- Y. Li, J. Ibanez-Guzman(出典1のarXiv版)「Lidar for Autonomous Driving: The principles, challenges, and trends for automotive lidar and perception systems」 https://arxiv.org/abs/2004.08467
13. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| LiDARが安全性と正確な推定のためカメラ・レーダーを補うものとして導入されたこと。ToFの距離式、ToFが車載市場で主流、送信パワー制限と太陽光・他LiDARの干渉。FMCWの原理(三角波・のこぎり波、局部発振光、中間周波数 f_if=4rB/(cT)、v=f_dλ/2)、距離と速度の同時測定、干渉の低減、長いコヒーレンス長のレーザーが必要。受光パワーの式と距離の2乗への反比例、IEC 60825による制限、霧・雨などによる散乱・吸収。波長選択の観点、1550 nmの許容パワーが高いこと、InGaAsが高価で効率が低いこと、水の吸収が強いこと、近赤外が依然主流。受光器の選択が波長と結びつくこと、Si系APDが約1000 nmまで、InGaAs系APDが1700 nmまで。光源(EEL、VCSEL、ハイブリッドのパルスLD、フラッシュ用スタックの放熱、ファイバーレーザー)。検出器(PIN、APDの約100倍、SPADの10⁶、SiPM)。走査方式(機械式、MEMSの1軸・2軸と準固体、フラッシュの100 m未満、OPAの真の固体) | 出典1 https://doi.org/10.1109/MSP.2020.2973615 | 事実 |
| 出典1の本文(arXiv版)で上記の記述を確認したこと | 出典7 https://arxiv.org/abs/2004.08467 | 事実 |
| 64×64(4,096個)の光ナノアンテナを576 µm×576 µmに集積し、強度と位相をそろえたこと。8×8での動的ビーム走査。短い光の波長が製造に厳しい要求を課し、それまでの実証が1次元か小規模2次元に限られていたこと | 出典2 https://doi.org/10.1038/nature11727 | 事実 |
| シリコンフォトニクス上のOPAによるコヒーレント固体LiDARの初実証との報告、三角波変調による距離・速度の同時測定、多群のカスケード型位相シフタで制御を単純化、300 mmウェハのCMOS互換プラットフォームで作製 | 出典3 https://doi.org/10.1364/OL.42.004091 | 事実 |
| 512画素のコヒーレント検出器アレイ、モノリシック集積、4 mWで75 m先を3.1 mm精度、従来は20画素未満 | 出典4 https://doi.org/10.1038/s41586-021-03259-y | 事実 |
| IEC 60825-1:2014(第3版)の題名、180 nm〜1 mmへの適用、クラス分けと安全情報の提供 | 出典5 https://webstore.iec.ch/en/publication/3587 | 事実 |
| IMX459の商品化発表(2021年9月6日、「業界初」は同社の主張)、裏面照射型SPAD画素とロジックチップのCu-Cu積層、10 µm角・有効約10万画素・1/2.9型、入射面の凹凸で回折させ905 nmで光子検出効率24%、約6 nsの応答、15 cm間隔の測距 | 出典6 https://www.sony-semicon.com/ja/news/2021/2021090601.html | 事実 |
| 1 ns=約15 cm、200 mで往復約1.33 µs、1 cmに約67 ps。FMCWの中間周波数約133 MHz、ドップラー約38.7 MHz。距離による相対値(100・16・4・1)。光子エネルギー(約1.37 eV・約0.80 eV)、Siの吸収端約1107 nm | 本稿の計算。空気の屈折率1、B=1 GHz・T=10 µs・r=100 m・v=30 m/s、Siのバンドギャップ1.12 eVは本稿の仮定。大気・反射率の違いは含まない | 本稿の計算 |
| FMCW・OPAの車載での普及、主流となる方式・波長 | 本稿の調査時点で確定した一次情報を確認できなかった。見通しとして記載 | 未確定/将来 |
| 受光器の材料とコストが波長を決めているという読み取り。バンドギャップ近くでSiの吸収が弱いという一般的説明。表面の凹凸が材料の吸収の弱さを補うという読み取り。OPAの位相誤差と製造均一性・温度安定性の関係、熱光学効果がビーム走査の手段であり誤差要因でもあるという整理。15 cm間隔が1 nsに相当するという対応づけ。走査方式の4分類 | 公表内容と一般的な物理にもとづく本記事の解説。各社・各著者が表明した見解ではない | 解説 |
| 波長ごとの具体的な許容パワー、窓材・カバー材の特性、車載条件での論文成果の再現性 | 規格本文が有料であること、本稿の調査範囲で一次情報を確認できなかったことから記載していない | 解説 |
| 図1・図5が説明のための作図、図2・図3が本稿の計算を含む作図であること。ヒーロー画像と図4がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年9月26日/出典は一次情報(査読論文、国際規格の公式ページ、企業の公式ニュースリリース)に限定し、調査会社の市場推計は使用していません。 論文の実験値と企業の製品仕様は区別して記載し、「業界初」などは企業の主張として扱っています。 波長ごとの許容パワーの具体値、FMCW・OPAの車載での普及状況は、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。 図はすべて説明用です。図1・図5はベクター作図、図2・図3は本稿の計算を含むベクター作図、ヒーロー画像と図4はAI生成イメージであり、いずれも実際の測定データ・装置・製品を示すものではありません。