🌐 This site is also available in English Visit English Site →
🌐 English

塗布製膜|ペロブスカイト太陽電池 技術解説

技術・機関・企業解説の一覧へ戻る

TECHNOLOGY EXPLAINER

塗布製膜
― ペロブスカイトは「乾かし方」で決まる

ペロブスカイト太陽電池の発電層は、溶液を塗って乾かすだけでつくれます。 ただし、実験室で高効率を出してきたスピンコートはインクの9割以上を捨てる方法で、 そのままでは大面積に持っていけません。塗り方を変えると、結晶のでき方まで変わります。 この記事では、塗工法・インク・溶媒・結晶化制御を、素材技術者の目線で整理します。

構成:NREL(米国立再生可能エネルギー研究所)のレビュー論文2本と、塗布製膜の転機になった査読論文、EUの化学物質規則を一次情報として使用/最終更新 2026年9月

暗い背景の中、平らな透明板の上に、つやのある薄い液膜が均一に広がっている概念イメージ
概念図(AI生成イメージ)。「溶液を薄く広げて乾かす」という塗布製膜の状況を雰囲気として表現したものです。実際の装置・インク・膜厚・色を示すものではありません。
この記事の構成
  1. 塗布製膜とは何か(3行でつかむ)
  2. 4つの塗り方 ― スピン、ブレード、スロットダイ、インクジェット
  3. 結晶化の制御 ― 過飽和をいつ、どこで起こすか
  4. 素材技術者の視点①:インクは「溶液」ではなく配位化学の設計物
  5. 溶媒の選び方 ― 配位する溶媒と、すぐ飛ぶ溶媒
  6. 大面積に持っていく ― 貧溶媒は浴に、乾燥は気流と真空に
  7. 素材技術者の視点②:数十ppmの界面活性剤が塗工を変える
  8. 本稿の計算:塗工速度と生産量、蒸発させる溶媒の量
  9. 素材技術者の視点③:溶媒は規制の対象でもある
  10. 課題と、本稿で確認できなかったこと
  11. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公表資料・査読論文に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標・見通しであり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料・プロセス上の読み取りは「解説」として区別しています。

1. 塗布製膜とは何か(3行でつかむ)

塗布製膜とは、ペロブスカイトの原料を溶かした液(前駆体インク)を基板に塗り、溶媒を飛ばして結晶の膜にする方法です。 シリコン太陽電池のように高温の結晶成長や高真空の装置を使わずに発電層をつくれることが、この材料が注目された理由のひとつです。

  • 何が起きているか:溶媒が抜けて溶質が過飽和になり、核ができ、結晶が育つ——この順番を膜の全面で揃えることが目標です。NRELのレビューは、制御しない乾燥では結晶が偏って育ち、樹枝状(デンドライト)の組織になって基板を覆いきれず、太陽電池の短絡経路になると説明しています事実
  • 実験室の標準:スピンコートが最も一般的な製膜法ですが、おおむね4インチ未満の基板に限られ、前駆体インクの大部分(90%超)が無駄になるとされています事実
  • 量産で使う塗り方:ブレード、スロットダイ、スプレー、インクジェット、スクリーン印刷などが検討され、ロールツーロール(R2R)への展開も視野に入っています事実
この記事でいちばん大事な一行

ペロブスカイト膜の品質を決めているのは、塗る道具よりも「溶媒をどう抜くか」です。 NRELのレビューは、スピンコートで液膜を薄く平らにしているのは回転の遠心力であり、 その条件は他の塗布法では再現しにくく、スピンコートの条件をそのまま大面積の塗り方に移す簡単な道はないとしています事実。 塗り方を変えるたびに、乾かし方と結晶化の設計をやり直す必要がある、ということです(本記事による解説)。

2. 4つの塗り方 ― スピン、ブレード、スロットダイ、インクジェット

4つの塗り方(模式図) 灰色=基板/青=前駆体インクの液膜/矢印=基板または塗工ヘッドの動き スピンコート ブレード塗工 スロットダイ塗工 インクジェット 回転の遠心力で液を薄く延ばす インクの90%超が飛散 4インチ未満が目安 刃と基板のすき間で 液を掻き延ばす 濃度・すき間・速度で膜厚 ポンプで送った量だけ スリットから吐出する 前計量式でR2R向き 液滴を必要な場所だけ 打ち込む(パターン可) 大面積は時間がかかる ※ 各方式の特徴は NREL のレビュー[参考資料1・2]の記述によります。 ※ 装置の形・寸法・液膜の厚さはすべて模式で、実在の装置を示すものではありません。
図1 概念図(ベクター作図)。各方式の説明はNRELのレビュー論文[参考資料1・2]によります。装置の形状・寸法・液膜の厚さは模式的なもので、特定の装置や実際の膜厚を示すものではありません。
方式しくみレビューが挙げる長所・短所
スピンコート基板を回し、遠心力で液を薄く延ばす最も一般的。ただしおおむね4インチ未満に限られ、インクの90%超が無駄になる。10×10 cm²程度までならミニモジュールもつくれるが、効率は小面積品よりかなり低い
ブレード塗工刃で液を掻き延ばす膜厚はインク濃度・刃と基板のすき間・刃の移動速度で決まる。刃を固定して基材を動かせばR2Rにできる。インクの無駄はスピンコートより大幅に少ない
スロットダイ塗工ヘッドの細いスリットから一定量を吐出する液の流れを制御しやすいが、タンクや配管を満たすのに多めのインクが要るため配合開発には向かない。インクが固まれば、歩留まりと再現性はブレードより良い
インクジェットノズルから液滴を打ち出す液滴の大きさと位置を細かく制御でき、パターン形成が得意。ただし大面積を塗るには非常に時間がかかる

すべて事実(NREL Li ほか 2018[参考資料1])。ブレードとスロットダイは、どちらも動くメニスカス(液の縁)で液膜を広げる方式だと同レビューは指摘しています。

スロットダイの膜厚は「送った量」で決まる

スロットダイは前計量式(ポンプで送った液がすべて膜になる方式)です。 NRELのParkとZhuのレビューは、最終的な膜厚は流量と固形分濃度に比例し、基材(ウェブ)の速度・塗工幅・乾燥膜の密度に反比例すると整理しています事実。 同レビューは、スロットダイ塗工が1951年にEastman KodakのBeguinによって発明されたこと、ペロブスカイトへの最初の適用は2015年であることにも触れています事実。

2015年の報告(Hwangら)は、電極以外の全層をスロットダイで印刷したセルで最大11.96%の変換効率を示し、この工程がR2R生産に使えることも示しています事実。

ブレードの膜厚は、速度で「逆向き」に変わる

ブレード塗工には、ParkとZhuのレビューが指摘する独特の挙動があります。 低速では、メニスカスで溶媒が蒸発して固形分が接触線付近に集まるため、速くするほど膜が薄くなる(蒸発領域)。 高速では、粘性で液膜が引き出されてから乾くため、速くするほど膜が厚くなる(Landau–Levich領域)事実。 同じ装置でも、速度帯によって膜厚の制御則が入れ替わるということです。

インクジェットは「厚さを打点間隔で決める」

KITのMathiesらは2018年、Csを10%含む三元カチオン系ペロブスカイトをインクジェットで印刷し、 打点間隔(drop spacing)を変えるだけで膜厚を175〜780 nmの範囲で制御できたと報告しました。 一定電圧での連続出力で12.9%の変換効率を示しています事実。 デジタルに塗り分けられるので、形状が自由な製品や意匠性のある用途に向く方式です(本記事による解説)。

3. 結晶化の制御 ― 過飽和をいつ、どこで起こすか

NRELのレビューは、大面積化で問題になる樹枝状の組織を避けるための手段を、 物理的に過飽和を促す方法と化学的な添加物で結晶成長を抑える方法の2つに分けています事実。 考え方はこうです。溶媒を急いで抜く → 過飽和が一気に高まる → 核がたくさんでき、ひとつの核が大きく伸びる時間がなくなる → 平らで緻密な膜になる事実。

溶媒を「ゆっくり」抜くか「一気に」抜くか(概念図) 縦軸=液膜中の溶質濃度(模式)/横軸=時間。点線を超えると核ができ始める 核ができ始める濃度 飽和濃度 一気に抜く 自然に乾かす 時間 → 一気に抜く 過飽和が急に高まり核が多数できる ひとつの核が伸びる時間が短い → 平らで緻密な膜 自然に乾かす 少数の核がゆっくり大きく育つ 結晶が偏って伸び、隙間が残る → 樹枝状・ピンホール・短絡 ※ 考え方は NREL のレビュー[参考資料1]によります。曲線の形・高さ・時間は模式で、実測値ではありません。 ※ 溶媒を抜く手段として、同レビューは貧溶媒・加熱・気流・減圧とその組み合わせを挙げています。
図2 概念図(ベクター作図)。過飽和・核生成・樹枝状組織の関係はNRELのレビュー[参考資料1]の説明によります。曲線の形・濃度・時間はすべて模式的なもので、実測データではありません。

(1) 貧溶媒(アンチソルベント)滴下 ― 2014年の転機

スピンコートの途中で、ペロブスカイトを溶かさない溶媒(貧溶媒)を垂らして、一気に析出させる方法です。 2014年に2つのグループがほぼ同時に報告しました。

  • Jeonら(Nature Materials):γ-ブチロラクトン(GBL)とジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶媒で塗り、トルエンを滴下。CH3NH3I–PbI2–DMSOの中間相を経由して、非常に均一で緻密な膜ができ、認証された変換効率16.2%、ヒステリシスなしを報告しています事実
  • Xiaoら(Angewandte Chemie):CH3NH3PbI3のDMF溶液をスピンコートした直後にクロロベンゼンにさらして結晶化させる方法。ミクロン級の大きな結晶粒からなる平らな膜で、平均13.9±0.7%、定常効率13%を報告しています事実

NRELのレビューは、貧溶媒の条件として「前駆体の溶媒(DMF・DMSO・GBLなど)とは混ざるが、ペロブスカイト自体はほとんど溶かさないこと」を挙げ、 例としてトルエン、クロロベンゼン、エチルエーテル、酢酸エチル、ヘキサン、アニソールを示しています事実。

(2) ガスクエンチ ― 乾いた気体を吹き付ける

貧溶媒の代わりに、窒素などの気流で溶媒を一気に飛ばす方法です。 NRELのレビューは、スピンコート中に気流で結晶化を速めた報告があり、それをスロットダイに移してエアブレードで乾燥を助けた例があると整理しています事実。

KITのGeistertらは2023年、スロットダイ塗工した液膜に窒素を流す斜めのスリットノズルを当て、乾燥の進み方をカメラでその場観察しながら条件を詰めました。 ガスの逆流を防ぐノズルの調整を示し、セルで最大18.6%、50×50 mm²のミニモジュールで17.2%、しかも面積を広げたときの損失はごくわずかだったと報告しています事実。 ガスクエンチは、気流の強さ・乾燥速度・結晶化が始まる位置が膜の組織を決める工程だということです。

(3) 真空フラッシュ ― 一気に減圧する

EPFLのLiらは2016年(Science)、塗った直後の基板を急に減圧して溶媒を抜く「真空フラッシュ」を報告しました。 開口面積1 cm²超のセルで最高20.5%、認証値19.6%を示し、同程度の面積での従来の認証最高は15.6%だったとしています事実。

(4) 二段階法 ― 先にPbI2、後から有機塩

2013年のBurschkaら(Nature)は、まずPbI2をナノ多孔質TiO2の中に入れ、次にCH3NH3Iの溶液にさらして変換する逐次析出法で、 形態の制御性と再現性を高め、約15%の効率を示しました事実。 NRELのレビューは、二段階法の利点として大面積で均一なPbI2膜は比較的つくりやすく、ペロブスカイトへの変換時の体積膨張がピンホールを埋めることを挙げ、 スロットダイ・電析・スプレーでも広く使われているとしています事実。

4. 素材技術者の視点①:インクは「溶液」ではなく配位化学の設計物

素材技術者の読みどころ:DMSOは「溶媒」ではなく「溶質」として入っている

2015年のAhnら(JACS)の処方は、この分野の考え方を象徴しています。 PbI2・CH3NH3I・DMSOを1:1:1のモル比でDMFに溶かす——DMSOは溶媒ではなく、PbI2に配位させる成分として当量で入れているのです事実。

  • 赤外スペクトルでS=O伸縮振動が1045 cm⁻¹(DMSO単体)から、PbI2と反応させると1020 cm⁻¹、PbI2+CH3NH3Iと反応させると1015 cm⁻¹へ移動し、ルイス塩基(DMSO)とルイス酸(PbI2)の付加体ができたことを示しています事実
  • スピンコートでできるのは透明な付加体の膜で、65℃・1分の加熱で揮発性のDMSOが抜け、暗褐色のペロブスカイトに変わります事実
  • 41セルの平均18.3%、最高19.7%という再現性の高さが報告されています事実

ParkとZhuのレビューは、DMSOのほかにチオ尿素、ピリジン、NMPも、硫黄・窒素・酸素の孤立電子対によって付加体をつくるルイス塩基として使えるとしています事実。 NRELのLiらのレビューも、ルイス酸塩基対の形成は鉛ハロゲン化物の溶解度を上げ、核生成と結晶成長を遅らせると説明しています事実。

つまり、このインクは「溶けている液」ではなく、「いったん中間体の固体になってから、配位子を抜いて目的の結晶に変わる」ように設計された前駆体です。 配位力の強さ、揮発のしやすさ、抜けるときの体積変化——どれも配位化学と熱分析で詰めていく話で、錯体や金属塩の前駆体を扱ってきた技術者の知見がそのまま効く領域です(本記事による解説)。

5. 溶媒の選び方 ― 配位する溶媒と、すぐ飛ぶ溶媒

大面積で速く塗ろうとすると、溶媒選びがそのまま塗工速度の上限を決めます。 ノースカロライナ大学のDengらが2019年(Science Advances)に示した整理が分かりやすいので、紹介します。

  • DMSO・DMFはPb²⁺に強く配位するのでPbI2を溶かせるが、室温では乾きにくい。高速でブレード塗工しても液膜は濡れたまま残り、乾いて結晶化するまで数分から数十分かかる事実
  • 2-メトキシエタノール(2-ME)やアセトニトリル(ACN)は揮発しやすく、Pb²⁺にほとんど配位しない。ただし、これだけでは結晶性が低く、基板との密着が悪い膜になる事実
  • そこで「揮発しやすく配位しない溶媒」を主溶媒にし、「揮発しにくく配位する溶媒」(DMSO)を少量加える。速く乾くことと、大きな結晶粒になることを室温で両立させた事実
主溶媒を替えると、良い膜が得られる塗工速度の上限が変わる 窒素ナイフ併用のブレード塗工、室温。Deng ら 2019[参考資料9]の記載値 DMSO(単独) 2-ME(主溶媒) ACN:2-ME=3:2 2 mm/s 未満 40 mm/s 99 mm/s(塗工機の上限) 0 50 100 mm/s 配位する溶媒(DMSO・DMF)は乾きにくく、揮発しやすい溶媒(2-ME・ACN)は乾きやすい ※ 数値は論文の記載によります。99 mm/s は「塗工機の上限速度」とされ、溶媒の限界ではありません。 ※ 実際のインクには DMSO などの配位溶媒が少量加えられています。棒の長さは速度に比例させた作図です。 ※ 窒素ナイフの圧力は 20 psi 未満と記載されています。
図3 概念図(ベクター作図)。速度の値はDengら2019[参考資料9]の記載によります。99 mm/sは塗工機の上限であり、溶媒系の限界値ではありません。棒グラフとして整理したのは本記事によるものです。

この処方で、Dengらは99 mm/sという速度で大気中・室温のブレード塗工を行い、 開口面積63.7 cm²のモジュールで認証効率16.4%を得ています事実。 塗った直後に窒素ナイフ(刃の後ろに一定距離で窒素流を当てる機構)で乾燥を速めていること、 10 mm/sを超える高速塗工では厚さ数µmの液膜が残ることも記されています事実。

6. 大面積に持っていく ― 貧溶媒は浴に、乾燥は気流と真空に

スピンコートで育った技術を大面積に移すとき、何が壁になるのか。NRELのレビューから要点を抜き出します事実。

課題レビューの記述大面積での対処
貧溶媒の滴下滴下や噴霧はスピンコートでしか使われておらず、基板全面で複雑な挙動を生む液膜ごと貧溶媒に短時間浸す「貧溶媒浴」は基板の大きさに制限がなく、R2Rにも組み込める
処理の時間窓大面積では貧溶媒をかける前に溶媒が乾いてしまい、時間窓を逃しやすいDMSOを含む混合溶媒で乾燥を遅らせる。NMPとDMFの混合では乾燥時間が最長約8分に延び、ブレード塗工後の貧溶媒浴(最大20 cm²)が可能になった
アニール時間通常5〜120分かかり、長いとR2Rラインが非現実的な長さになる前駆体の化学を調整して10分超から1分未満に短縮した例。近赤外やフラッシュ光による加熱も検討されている
基板の加熱加熱で溶媒の蒸発を速められる大面積でも基板加熱は比較的容易で、ブレード・スプレー・ディップ塗工などで使われている

すべて事実(NREL Li ほか 2018[参考資料1])。スロットダイでは、約65℃に予熱した基板に一段で塗り、冷風を当てる条件が他の条件より良かったという報告も、ParkとZhuのレビュー[参考資料2]に紹介されています。

暗い背景の中、無地の金属の塗工ヘッドの細いすき間から、つやのある液膜が平らな板の上に均一に送り出されている概念イメージ
図4 概念図(AI生成イメージ)。スロットダイ塗工の「一定量を途切れなく送り出す」様子を雰囲気として表現したものです。実在の装置・製品・膜厚・インクの色を示すものではありません。

7. 素材技術者の視点②:数十ppmの界面活性剤が塗工を変える

素材技術者の読みどころ:塗工の世界の常識が、そのまま効いた例

2018年、Dengら(Nature Energy)は、ペロブスカイトのインクにごく少量(数十ppm)の界面活性剤(例:L-α-ホスファチジルコリン)を加えると、 乾燥時の流体の挙動が劇的に変わり、濡れにくい電荷輸送層へのインクの密着が高まることを報告しました事実。

  • 180 m/hの速度でブレード塗工し、1 cmの範囲での二乗平均粗さ14.5 nmの平滑な膜を得た事実
  • 界面活性剤は電荷のトラップも不活性化し、小面積セルで20%超事実
  • 大気中の高速塗工で、開口面積33.0 cm²で15.3%、57.2 cm²で14.6%の安定化モジュール効率事実

ParkとZhuのレビューは、ブレード塗工ではメニスカスでの蒸発と対流、マランゴニ効果が膜厚を左右すると整理しています事実。

塗料・接着剤・フィルムコーティングの技術者にとって、「微量の界面活性剤でレベリングとハジキが変わる」のは見慣れた現象です。 ペロブスカイトでは、それが膜の平滑さだけでなく、欠陥の不活性化(=電気特性)にも同時に効いた点が新しいところです。 逆に言えば、添加剤を1つ変えると、塗工性と発電性能の両方が同時に動く。 塗工条件の最適化と材料設計を別々の部署で進めにくい材料だということです(本記事による解説)。

8. 本稿の計算:塗工速度と生産量、蒸発させる溶媒の量

ParkとZhuのレビューは、Dengら2018を引いて「180 m/hの塗工速度なら、幅1 mのラインで年間236 MWの生産能力になる」と紹介しています事実。 この数字がどういう前提で出てくるのか、確かめてみます。

本稿の計算①:塗工速度から年間の生産量へ

前提(すべて本稿が置いた仮定)本稿の計算

  • 塗工幅1 m、1年8,760時間すべて稼働(停止・段取り替え・不良はゼロ)
  • モジュール変換効率15%、標準試験条件の日射1,000 W/m²

計算

  • 180 m/h × 1 m × 8,760 h = 1,576,800 m²/年
  • 1,576,800 m² × 1,000 W/m² × 0.15 = 236,520,000 W ≒ 約237 MW/年

レビューの236 MWは、ほぼこの前提(効率15%・連続稼働)で再現できます。

同じ前提で、Dengら2019の99 mm/sを当てはめると:99 mm/s = 356.4 m/h → 356.4 × 8,760 = 3,122,064 m² → 効率15%で約468 MW/年本稿の計算。

前提と限界:実際の工場は連続稼働せず、面積の一部はスクライブ線や端部の非発電部になり、歩留まりもあります。 また、ここで扱ったのはペロブスカイト層1層の塗工速度だけです。電荷輸送層・電極・スクライブ・封止など他の工程が律速になれば、ライン全体の能力はもっと小さくなります。 この計算は「塗工速度がどの桁の生産量に対応するか」を見るためのもので、特定の工場の能力を示すものではありません。

本稿の計算②:1 m²あたり、どれだけの溶媒を飛ばすのか

前提(本稿が置いた仮定)本稿の計算

  • Dengら2019が「数µm」とする塗工直後の液膜の厚さを、5 µmと置く
  • 液膜の体積のほとんどが溶媒で、乾燥時にすべて蒸発するとみなす(固形分の体積は無視)

計算

  • 5 µm × 1 m² = 5×10⁻⁶ m³ = 約5 mL/m²
  • 幅1 m・99 mm/s(356.4 m²/h)で塗り続けると、5 mL × 356.4 = 約1.8 L/hの溶媒を乾燥ゾーンで蒸発させることになる

前提と限界:液膜の厚さは塗工速度・インク濃度・すき間で変わり、5 µmは「数µm」を1点に置いた仮定です。 この計算は、塗工機のすぐ後ろに「毎時リットル単位の溶媒を回収・排気する設備」が必要になることを、桁で示すためのものです。

塗工速度は、どの桁の生産量と溶媒量に対応するか(本稿の計算) 塗工幅1 m、年8,760時間の連続稼働、モジュール効率15%と仮定 180 m/h のとき 約237 MW /年(連続稼働の上限) レビューの236 MWとほぼ一致 99 mm/s のとき 約468 MW /年(連続稼働の上限) 356.4 m²/h として換算 液膜 5 µm と仮定 約1.8 L/h 蒸発させる溶媒(99 mm/s) 1 m²あたり約5 mL 塗工ヘッドは1台でも数百MW級。律速は乾燥・他の層・歩留まりに移る 本記事による読み取りです ※ 180 m/h は Deng ら 2018[参考資料8]、99 mm/s と液膜「数µm」は Deng ら 2019[参考資料9]の記載値です。 ※ 約237 MW・約468 MW・約1.8 L/h は本記事が算出した値で、公表値ではありません。 ※ 稼働率・歩留まり・非発電部・他工程の律速を考えていない上限の値です。
図5 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。塗工速度と液膜の厚さの記載はDengら2018[参考資料8]・2019[参考資料9]、236 MWという換算はParkとZhuのレビュー[参考資料2]によります。約237 MW・約468 MW・約1.8 L/hは本記事が仮定を置いて算出した値で、公表値ではありません。

9. 素材技術者の視点③:溶媒は規制の対象でもある

素材技術者の読みどころ:よく溶ける溶媒には、規制の対象になっているものがある

ペロブスカイトのインクで長く使われてきたN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)は、 EUで生殖毒性区分1Bなどに分類されている溶媒です。 2021年のEU規則(REACH附属書XVIIの改正)は、2023年12月12日以降、濃度0.3%以上でDMFを製造・使用する場合、 労働者のばく露を吸入6 mg/m³、経皮1.1 mg/kg/日の推定無影響レベル(DNEL)未満に抑える措置を求めています事実。

同規則は、ポリウレタンのコーティングや膜、合成繊維の製造ではDNELの順守により長い期間が必要になるとして、適用を繊維・紙のポリウレタンコーティングと膜の製造は2024年12月12日、合成繊維の紡糸は2025年12月12日からに遅らせています事実。 つまりDMFは、塗工・膜・繊維の業界がすでに「使い方を管理する」段階に入っている溶媒です。

第5章で見たとおり、塗工を速くするための溶媒設計では、DMF・DMSOの代わりに2-MEやACNを主溶媒にする方向があります事実。 ただし、溶媒を替えれば規制・排気・回収の条件も替わります。 第8章の計算のように、1ラインで毎時リットル単位の溶媒を蒸発させるなら、 溶媒の選定は「膜質」「塗工速度」「作業環境」「回収設備」の4つを同時に満たす設計問題になります(本記事による解説)。 本稿では、代替溶媒それぞれの規制上の位置づけまでは調査していません。

10. 課題と、本稿で確認できなかったこと

(1) 最高効率はまだスピンコートの小面積セルで出ている

NRELのレビュー(2018年)は、小面積セルの効率向上に比べて、ミニモジュールの効率は明らかに遅れていると指摘しています事実。 ParkとZhuのレビュー(2020年)も、小さい基板(通常2.5×2.5 cm)で使われるスピンコートは商用化にそのまま使えず、 大面積向けの材料と方法を新たに開発する必要があるとしています事実。 面積と効率の関係は、本シリーズ「ロールツーロールと大面積化」編で詳しく扱います。

(2) 全層を塗布でつくる例はまだ少ない

NRELのレビューは、多くの研究は発電層か1〜2層だけを大面積向けの方法で成膜しており、全層を印刷でつくった報告は少ないとしています。 背面電極は主に真空蒸着でつくられているとも記しています事実。 電荷輸送層の材料と成膜は、本シリーズ「電荷輸送層とセル構造」編・「自己組織化単分子膜」編で扱います。

(3) 量産ラインの具体的な塗工条件

実際の量産・パイロットラインで、どの塗工法・溶媒・乾燥方式が使われているかは、本稿の調査範囲では企業の一次情報で確認できなかったため記載していません。 企業ごとの動向は、本シリーズの企業解説で扱います未確定/将来。

(4) 論文の効率は条件がそろっていない

本記事で紹介した効率は、セル/モジュール、面積、認証の有無、定常出力か走査かが論文ごとに異なります。 たとえば16.2%(Jeonら)と19.6%(Liら)とモジュール16.4%(Dengら2019)は認証値、18.3%・19.7%(Ahnら)や15.3%(Dengら2018)は論文内の測定値です事実。 数字を並べて方式の優劣を論じることはできません。評価条件の違いは、本シリーズ「変換効率と評価指標」編で扱います。

報告方式面積・区分効率認証
Jeonら 2014スピン+トルエン滴下小面積セル16.2%認証値
Xiaoら 2014スピン+クロロベンゼン小面積セル平均13.9%論文内の測定
Ahnら 2015ルイス塩基付加体小面積セル(41個)平均18.3%・最高19.7%論文内の測定
Liら 2016真空フラッシュ開口1 cm²超のセル最高20.5%・19.6%19.6%が認証値
Dengら 2018ブレード+界面活性剤モジュール 33.0 cm²15.3%(安定化)論文内の測定
Dengら 2019ブレード+溶媒設計モジュール 63.7 cm²16.4%認証値
Geistertら 2023スロットダイ+ガスクエンチミニモジュール 50×50 mm²17.2%要旨に記載なし

すべて事実(各論文の要旨[参考資料3・4・5・7・8・9・11])。表に並べたのは本記事による整理で、同じ条件での比較ではありません。

この記事のまとめ
  • スピンコートはおおむね4インチ未満で、インクの90%超を捨てる方法です事実
  • 膜の品質は「溶媒をどう抜くか」で決まります。貧溶媒・気流・減圧・加熱で過飽和を一気に高め、核を多数つくるのが基本です事実
  • インクは配位化学の設計物です。DMSOをPbI2に当量で配位させ、中間体を経て結晶化させます事実
  • 溶媒の揮発性と配位力の組み合わせで、ブレード塗工は99 mm/sまで速くなりました事実
  • 数十ppmの界面活性剤が、塗工性と欠陥の不活性化の両方に効きます事実
  • 幅1 mで180 m/hなら、連続稼働の上限で年約237 MW。溶媒は毎時リットル単位で飛ばすことになります本稿の計算

11. 用語集

前駆体インク
ペロブスカイトの原料(鉛ハロゲン化物と有機・無機の陽イオン塩など)を溶媒に溶かした液。
過飽和
溶ける量を超えて溶質が液に含まれている状態。高いほど核ができやすい。
核生成
液の中で結晶の最初の小さな芽ができること。
貧溶媒(アンチソルベント)
目的の物質をほとんど溶かさない溶媒。液膜に加えて一気に析出させる。
ガスクエンチ
液膜に乾いた気体を吹き付けて溶媒を急速に飛ばし、結晶化させる方法。
ルイス塩基付加体
電子対を与える分子(DMSOなど)が鉛ハロゲン化物に配位してできる中間体。
スロットダイ塗工
ポンプで送った液を細いスリットから吐出して塗る前計量式の方法。
ブレード塗工
刃で液を掻き延ばして塗る方法。刃と基板のすき間と速度で膜厚が変わる。
メニスカス
塗工ヘッドと基板のあいだにできる液の縁。ここでの流れと蒸発が膜を決める。
マランゴニ効果
表面張力の差によって液が流れる現象。乾燥中の膜厚ムラの原因になる。
R2R(ロールツーロール)
巻いた基材を送り出しながら連続で塗工し、巻き取る生産方式。
DNEL
推定無影響レベル。EUのREACHで、ばく露をこれ以下に抑えるべきとされる値。

12. 参考資料(一次情報)

  1. Li Z, Klein TR, Kim DH, Yang M, Berry JJ, van Hest MFAM, Zhu K(NREL)「Scalable fabrication of perovskite solar cells」Nature Reviews Materials 3, 18017 (2018)(DOE Public Access の著者最終稿) https://www.osti.gov/servlets/purl/1430821
  2. Park NG, Zhu K「Scalable fabrication and coating methods for perovskite solar cells and solar modules」Nature Reviews Materials 5, 333–350 (2020)(DOE Public Access の著者最終稿) https://www.osti.gov/servlets/purl/1605079
  3. Jeon NJ ほか「Solvent engineering for high-performance inorganic–organic hybrid perovskite solar cells」Nature Materials 13, 897–903 (2014) https://doi.org/10.1038/nmat4014
  4. Xiao M ほか「A Fast Deposition-Crystallization Procedure for Highly Efficient Lead Iodide Perovskite Thin-Film Solar Cells」Angewandte Chemie International Edition 53, 9898–9903 (2014) https://doi.org/10.1002/anie.201405334
  5. Ahn N ほか「Highly Reproducible Perovskite Solar Cells with Average Efficiency of 18.3% and Best Efficiency of 19.7% Fabricated via Lewis Base Adduct of Lead(II) Iodide」Journal of the American Chemical Society 137, 8696–8699 (2015) https://doi.org/10.1021/jacs.5b04930
  6. Burschka J ほか「Sequential deposition as a route to high-performance perovskite-sensitized solar cells」Nature 499, 316–319 (2013) https://doi.org/10.1038/nature12340
  7. Li X ほか「A vacuum flash–assisted solution process for high-efficiency large-area perovskite solar cells」Science 353, 58–62 (2016) https://doi.org/10.1126/science.aaf8060
  8. Deng Y ほか「Surfactant-controlled ink drying enables high-speed deposition of perovskite films for efficient photovoltaic modules」Nature Energy 3, 560–566 (2018) https://doi.org/10.1038/s41560-018-0153-9
  9. Deng Y ほか「Tailoring solvent coordination for high-speed, room-temperature blading of perovskite photovoltaic films」Science Advances 5, eaax7537 (2019)(PMC全文) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6897546/
  10. Hwang K ほか「Toward Large Scale Roll-to-Roll Production of Fully Printed Perovskite Solar Cells」Advanced Materials 27, 1241–1247 (2015) https://doi.org/10.1002/adma.201404598
  11. Geistert K ほか(KIT)「Controlling Thin Film Morphology Formation during Gas Quenching of Slot-Die Coated Perovskite Solar Modules」ACS Applied Materials & Interfaces (2023) https://doi.org/10.1021/acsami.3c11923
  12. Mathies F ほか(KIT)「Inkjet-Printed Triple Cation Perovskite Solar Cells」ACS Applied Energy Materials 1, 1834–1839 (2018) https://doi.org/10.1021/acsaem.8b00222
  13. 欧州委員会「Commission Regulation (EU) 2021/2030(REACH附属書XVIIのN,N-ジメチルホルムアミドに関する改正)」EUR-Lex https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32021R2030

13. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
制御しない乾燥では結晶が偏って育ち樹枝状組織になり、被覆不良が短絡経路になること。スピンコートがおおむね4インチ未満に限られ、インクの90%超が無駄になること。10×10 cm²程度までのミニモジュールは効率がかなり低いこと。遠心力による薄膜化は他の方法で再現しにくいこと。ブレード・スロットダイ・スプレー・インクジェット・スクリーン印刷などの特徴(膜厚を決める因子、スロットダイは多めのインクが要るが歩留まりと再現性が良いこと、インクジェットは大面積に時間がかかること、両者がメニスカスで広げること)。物理的手段と化学的添加物の2分類、溶媒を急速に抜くと核が増え樹枝状組織が抑えられること、貧溶媒の条件と例、滴下・噴霧はスピンコートに限られ貧溶媒浴は基板サイズに制限がないこと、気流・エアブレード・真空の例、二段階法の利点、NMP/DMFで乾燥時間約8分・最大20 cm²、アニール5〜120分と1分未満への短縮、基板加熱の利用、ルイス酸塩基対が溶解度を上げ核生成・成長を遅らせること、小面積に比べミニモジュールの効率が遅れていること、全層印刷の報告が少なく背面電極は主に蒸着であること出典1 https://www.osti.gov/servlets/purl/1430821事実
スロットダイの膜厚が流量と固形分に比例し、速度・幅・密度に反比例すること。1951年にEastman KodakのBeguinが発明し、ペロブスカイトへの適用は2015年が最初であること。約65℃予熱基板と冷風の条件が良かったこと。ブレード塗工の蒸発領域とLandau–Levich領域、マランゴニ効果。180 m/hで幅1 mのラインなら年236 MWとする紹介。DMSO以外にチオ尿素・ピリジン・NMPがルイス塩基として使えること。小さい基板(通常2.5×2.5 cm)のスピンコートは商用化にそのまま使えないこと出典2 https://www.osti.gov/servlets/purl/1605079事実
GBLとDMSOの混合溶媒で塗りトルエンを滴下、CH3NH3I–PbI2–DMSO中間相を経て均一緻密な膜となり、認証効率16.2%、ヒステリシスなしであること出典3 https://doi.org/10.1038/nmat4014事実
DMF溶液をスピンコート直後にクロロベンゼンにさらして結晶化、ミクロン級の結晶粒、平均13.9±0.7%、定常効率13%であること出典4 https://doi.org/10.1002/anie.201405334事実
PbI2・CH3NH3I・DMSOを1:1:1でDMFに溶かすこと。S=O伸縮が1045から1020・1015 cm⁻¹へ移動し付加体を示すこと。透明な付加体膜が65℃・1分で暗褐色に変わること。41セル平均18.3%、最高19.7%出典5 https://doi.org/10.1021/jacs.5b04930事実
PbI2をナノ多孔質TiO2に入れてからCH3NH3I溶液で変換する逐次析出法で、形態制御と再現性が高まり約15%を得たこと出典6 https://doi.org/10.1038/nature12340事実
真空フラッシュ法で開口面積1 cm²超のセルが最高20.5%、認証19.6%であり、同程度の面積の従来の認証最高が15.6%であったこと。著者の所属がEPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)であること出典7 https://doi.org/10.1126/science.aaf8060事実
数十ppmの界面活性剤(L-α-ホスファチジルコリンなど)が乾燥挙動を変え、濡れにくい電荷輸送層への密着を高めること。180 m/hでのブレード塗工、1 cmでの二乗平均粗さ14.5 nm、トラップの不活性化、小面積セル20%超、33.0 cm²で15.3%・57.2 cm²で14.6%の安定化モジュール効率出典8 https://doi.org/10.1038/s41560-018-0153-9事実
DMSO・DMFはPb²⁺に強く配位しPbI2を溶かすが室温で乾きにくく、数分〜数十分濡れたまま残ること。2-ME・ACNは揮発しやすく配位が弱いが単独では結晶性・密着が悪いこと。両者の組み合わせ。99 mm/sでの大気中・室温塗工、開口63.7 cm²で認証16.4%。窒素ナイフ(20 psi未満)。10 mm/s超で数µmの液膜。DMSO単独2 mm/s未満、2-ME 40 mm/s、ACN:2-ME(3:2)で99 mm/s(塗工機の上限)。筆頭所属がノースカロライナ大学チャペルヒル校であること出典9 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6897546/事実
電極以外の全層をスロットダイで印刷し最大11.96%、R2R生産に使えることを示したこと出典10 https://doi.org/10.1002/adma.201404598事実
スロットダイ液膜に窒素を流す斜めスリットノズルを当て、その場観察で条件を詰めたこと。ガス逆流を防ぐ調整、セル最大18.6%、50×50 mm²ミニモジュール17.2%、面積拡大時の損失がごくわずかであること。気流・乾燥速度・結晶化位置が組織を決めること。著者の所属がKIT(カールスルーエ工科大学)であること出典11 https://doi.org/10.1021/acsami.3c11923事実
Csを10%含む三元カチオン系をインクジェットで印刷し、打点間隔で膜厚を175〜780 nmに制御、一定電圧での連続出力で12.9%。筆頭著者の所属がKITであること出典12 https://doi.org/10.1021/acsaem.8b00222事実
DMFが生殖毒性1Bなどに分類されること。2023年12月12日以降、0.3%以上での製造・使用に吸入6 mg/m³・経皮1.1 mg/kg/日のDNEL未満とする措置を求めること。ポリウレタンのコーティング・膜、合成繊維の業界に長い期間を認め、それぞれ2024年12月12日・2025年12月12日から適用するとしたこと出典13 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32021R2030事実
180 m/h・幅1 m・年8,760時間・効率15%で約237 MW/年、99 mm/s(356.4 m/h)で約468 MW/年としたこと。液膜5 µmで約5 mL/m²、99 mm/sで約1.8 L/hの溶媒を蒸発させるとしたこと本稿の計算。連続稼働・効率15%・日射1,000 W/m²・液膜5 µm・固形分体積を無視することは、いずれも本稿が置いた前提である。稼働率・歩留まり・非発電部・他工程の律速は考慮していない本稿の計算
量産・パイロットラインで実際に使われている塗工法・溶媒・乾燥方式本稿の調査範囲では企業の一次情報で確認できなかったため記載していない未確定/将来
代替溶媒(2-ME・ACNなど)の規制上の位置づけ本稿では調査していないため記載していない(解説)解説
膜品質は溶媒の抜き方で決まるという整理。インクを配位化学の設計物とする読み取り。界面活性剤が塗工性と電気特性に同時に効くことの含意。塗工ヘッド1台で数百MW級となり律速が他へ移るという読み取り。溶媒選定を4条件の設計問題とする整理。効率一覧表の作成公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関・著者が表明した見解ではない解説
図1・図2・図3・図5が実際の装置・測定データではなく説明のための作図であること。ヒーロー画像と図4がAI生成イメージであること本記事による注記(解説)解説

最終更新:2026年9月25日/出典は一次情報(査読論文、NRELのDOE Public Access著者最終稿、EUの規則)に限定しています。 構造の整理や材料・プロセス上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 量産ラインで実際に使われている塗工条件、代替溶媒の規制上の位置づけは、本稿では確認・調査していないため記載していません。 本記事で紹介した効率は、面積・認証の有無・測定方法が論文ごとに異なり、互いに直接比較できるものではありません。 図はすべて説明用の概念図です。図1・図2・図3・図5はベクター作図、ヒーロー画像と図4はAI生成イメージであり、いずれも実際の装置・顕微鏡像・製品の実物を示すものではありません。