COMPANY PROFILE / 細胞培養技術
Lonza
― 抗体の大型培養と細胞治療の受託を両輪にする「受託専業」のCDMO
Lonzaは、製薬会社やバイオ企業から薬の開発・製造を受託するCDMO(受託開発製造)です。 細胞培養との関わりは2つあります。1つは抗体などのバイオ医薬品を動物細胞で大量に培養する受託製造、 もう1つは細胞そのものが薬になる細胞・遺伝子治療の受託製造です。 2024年にはRocheから米国Vacavilleの大型工場(バイオリアクター容量 約33万L)を買い取り、 2026年3月にはカプセル・健康素材の事業(CHI)の売却に合意して「受託専業(pure-play CDMO)」になったと自ら説明しています。 本稿では会社全体の規模は簡潔にとどめ、細胞培養に何を投じ、誰と組み、何を目指しているかを、 Lonzaが公表した年次報告書・半期報告書・プレスリリースだけを使って整理します。
- 30秒でわかるLonzaと、細胞培養技術での立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 細胞培養技術の世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(細胞培養に関わる事業を中心に)
- 細胞培養にかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は細胞培養技術で何を目指しているか
- 細胞培養分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるLonzaと、細胞培養技術での立ち位置
LONNシンガポール取引所にも二次上場(O6Z)
培地・試薬(従)細胞治療の開発企業ではない
約330,000L2024年10月にRocheから取得
6品目に2026年上期に6品目目が承認されたと公表
細胞培養に関わる企業は、大きく受託開発製造(CDMO)・装置や消耗品や培地のサプライヤー・細胞治療や再生医療の開発企業の3種類に分かれます。 LonzaはCDMOが主で、培地・初代細胞・遺伝子導入装置などを売るBioscience事業を従として持っています 事実。 さらに「細胞培養」の2つの意味――①抗体などを作るための動物細胞培養、②細胞そのものが製品になる細胞治療――の両方を受託しているのが特徴です。 ただし売上の大部分は①の抗体側(Integrated Biologics)で、②を含むSpecialized Modalitiesは継続事業の売上の約16%です 本稿の計算。「細胞治療の会社」と思って読むと規模感を誤ります。
2. ロゴと社名の表記について
Lonzaのロゴは同社の商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、
公式サイトのページに組み込まれているロゴ画像(SVG)を img/lonza_logo.svg として設置しています。
表記の注意:上場している持株会社は Lonza Group Ltd です。 日本語では「ロンザ」と読まれますが、本稿では英字表記に統一します。 2026年3月に売却で合意したCapsules & Health Ingredients(CHI)事業は、決算上「非継続事業」として切り分けられており、 本稿の売上・利益の数字は、断りのない限りCHIを除く継続事業(CDMO事業)のものです。
公式サイト:https://www.lonza.com/3. 細胞培養技術の世界で、この会社はどこにいるか
Lonzaの継続事業は、2025年4月から次の3つの事業プラットフォームに再編されています 事実。 細胞培養に直接関わるのは、抗体の動物細胞培養を担うIntegrated Biologicsと、細胞・遺伝子治療とBioscienceを含むSpecialized Modalitiesの2つです。 Advanced Synthesisは低分子と抗体薬物複合体(ADC)の化学合成側の事業で、細胞培養とは直接の関係は薄い事業です。
| 事業プラットフォーム | 中身(年次報告書の記載) | 細胞培養との関係 |
|---|---|---|
| Integrated Biologics | Mammalian(動物細胞による原薬製造)とDrug Product(製剤・充填) | ①抗体などの動物細胞培養の受託。売上の中心 |
| Specialized Modalities | Cell & Gene、Microbial(微生物)、mRNA、Bioscience | ②細胞・遺伝子治療の受託と、培地・初代細胞・遺伝子導入装置の販売 |
| Advanced Synthesis | Small Molecules(低分子)とBioconjugates(ADCなど) | 化学合成が中心。細胞培養とは直接関係しない |
4. 会社の規模(細胞培養に関わる事業を中心に)
会社全体の規模は簡潔に示します。金額はすべてスイスフラン(CHF)で、CHI事業を除く継続事業の数字です 事実。
| 指標(百万CHF) | 2024年12月期 | 2025年12月期 | 2026年上期 |
|---|---|---|---|
| 売上 | 5,480 | 6,531 | 3,374 |
| CORE EBITDA | 1,653 | 2,064 | 1,175 |
| CORE EBITDAマージン | 30.2% | 31.6% | 34.8% |
| 従業員(フルタイム換算) | 15,734(平均) | 16,866(平均) | 20,141(6月末・CHI含む) |
2024年の数字はCHIを非継続事業に組み替えた修正再表示後の値。CORE EBITDAはLonza独自の調整後指標です。
細胞培養に関わる2つの事業プラットフォームの規模は次のとおりです 事実。
| 2025年12月期(百万CHF) | Integrated Biologics | Specialized Modalities | (参考)Advanced Synthesis |
|---|---|---|---|
| 外部売上 | 3,649 | 1,034 | 1,611 |
| 為替一定ベースの売上成長率 | +32.2% | −3.0% | ― |
| CORE EBITDA(マージン) | 1,287(35.3%) | 176(17.0%) | 674(41.8%) |
| 有形固定資産の増加額 | 451 | 358 | 305 |
| 研究開発費(CORE EBITDAに含まれる額) | 111 | 41 | 13 |
| 2026年上期(百万CHF) | Integrated Biologics | Specialized Modalities |
|---|---|---|
| 売上 | 1,870 | 553 |
| 為替一定ベースの売上成長率 | +10.0% | +22.6% |
| CORE EBITDAマージン | 36.0% | 28.0% |
| 設備投資(CapEx) | 231 | 94 |
細胞・遺伝子治療(Cell & Gene)単独の売上は開示されていません 未確定/将来。 Specialized Modalitiesには微生物・mRNA・Bioscienceも含まれるため、1,034百万CHFをそのまま「細胞治療の売上」と読むことはできません。 同様に、Integrated Biologicsの3,649百万CHFにも製剤・充填(Drug Product)が含まれ、動物細胞培養だけの売上は非公表です。本稿では推計しません。
また、年次報告書には市場の成長率予測(Evaluate Pharma、Frost & Sullivan、Citelineなどの調査会社が出所)が載っていますが、 出所が調査会社の推計であるため本稿では採用しません。
5. 細胞培養にかけているリソース
手順どおり「人・金・外部への出資や買収・大学や研究機関との連携」の4点について、一次情報で確認できたかどうかを示します。
| リソースの種類 | 確認できた内容 | 確認状況 |
|---|---|---|
| 人(拠点) | 細胞・遺伝子治療の製造拠点:Portsmouth(米)、Houston(米)、Geleen(蘭)、Tuas(シンガポール)。東京にはNikon Cell innovation Co. Ltd.が所有・運営する施設(ニコンとLonzaの提携)。動物細胞の原薬製造:Visp(瑞)、Vacaville・Portsmouth(米)、Slough(英)、Tuas、Porriño(西)。培地はVerviers(ベルギー)、初代細胞はDurham(米) | 確認できた |
| 人(人数) | 会社全体は20,141人(2026年6月末、CHI含む、フルタイム換算)。Vacaville取得時に750人超が移籍。細胞培養関連の事業別人員は | 非公表 |
| 金(設備投資) | 2025年のCapExは会社全体でCHF 13億(売上の18%)。有形固定資産の増加額はIntegrated Biologics 451百万、Specialized Modalities 358百万CHF。Vacavilleには約CHF 5億の追加投資を計画 | 確認できた |
| 金(研究開発費) | 全社CHF 169百万(2024年:218百万)。うちSpecialized Modalities 41百万(2024年:82百万)、Integrated Biologics 111百万(2024年:99百万)。細胞治療だけの額は | 非公表 |
| 外部への出資・買収 | RocheからVacaville工場を取得(2024年10月、対価の現金部分US$12億6,900万)。Redberry(微生物の迅速試験)を2025年に買収。逆に、細胞治療の自動製造装置Cocoonを含むPersonalized Medicines事業はOctane Medical Groupへの売却で合意(2026年3月公表) | 確認できた |
| スタートアップへの出資 | 細胞培養分野のスタートアップへの出資は、年次報告書・半期報告書に記載なし | 確認できず |
| 大学・研究機関との連携 | 細胞培養分野の大学・研究機関との共同研究は、参照した一次情報に記載なし(研究センターCMACへの参加は記載があるが、低分子・製剤の分野) | 確認できず |
売上CHF 65億に対して研究開発費169百万CHFは約2.6%で 本稿の計算、 製薬会社の感覚からすると非常に小さく見えます。 これはCDMOという業態の性格そのもので、薬そのものの研究開発は顧客が負担し、Lonzaは工程と設備に投資する構造だからです。 実際、同じ年の設備投資はCHF 13億で研究開発費の約7.7倍です 本稿の計算。 なお年次報告書の注記は、研究開発費の一部は研究開発サービスの売上原価に含まれており損益計算書の表示額(112百万CHF)より実態は大きい、と説明しています 事実。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2013年 | Genetix Biotherapeuticsとの協業が始まる(2026年3月のリリースが「2013年に確立した協業」と記載)。その後2022年にZYNTEGLOが商用承認 | 細胞・遺伝子治療の商用製造の実績づくり |
| 2024年3月 | RocheからVacaville(米国)の大型バイオ医薬品工場を取得することで合意(US$12億) | 米国西海岸に約330,000Lの動物細胞培養能力を確保 |
| 2024年10月 | Vacavilleの取得を完了。750人超の従業員が移籍 | Rocheの既存品を受託しつつ、他社向けへ移行する計画 |
| 2024年12月 | 新戦略「One Lonza」を公表 | CDMOへの集中を宣言 |
| 2025年4月 | 3つの事業プラットフォーム体制に移行 | 抗体・化学合成・新規モダリティの3本立て |
| 2025年 | Mesoblastとの契約を改定し、間葉系間質細胞(MSC)治療薬Ryoncilの商用製造の規模拡大を支援。細胞・遺伝子治療で新規顧客9社、商用製造プログラム2件を追加 | 全Cell & Gene拠点が承認済み商用品の製造契約を持つ状態に |
| 2025年 | Visp(スイス)の20,000Lタンクが初回GMP製造を実施。Portsmouthの2,000Lタンクが工程性能適格性確認(PPQ)ロットを製造 | 大型の動物細胞培養能力の拡張 |
| 2025年7月 | 大量のT細胞に遺伝子を導入する電気穿孔装置「4D-Nucleofector LV Unit PRO」を発売 | CAR-Tなど細胞治療向けの道具(Bioscience) |
| 2025年10月 | 細胞・遺伝子治療向けのGMP対応サイトカイン「TheraPEAK AmpliCell Cytokines」とAAV生産用培地「TheraPEAK 293-GT Medium」を発売。Redberryの買収で合意 | 培地・品質試験の品ぞろえ拡充 |
| 2026年3月 | CHI事業をLone Star Fundsへ売却で合意(企業価値CHF 23億)。Cocoonを含むPersonalized Medicines事業をOctane Medical Groupへ、MODAソフトウェアも売却で合意 | 「受託専業」への転換を完了と説明。細胞治療の分散製造装置からは撤退 |
| 2026年3月 | Genetixとの商用製造契約を延長し、Houston拠点でZYNTEGLOの製造能力を拡大 | 遺伝子改変細胞治療の商用製造を継続 |
| 2026年上期 | Vispの大型動物細胞培養設備が商用稼働を開始。Cell & Geneで6品目目の商用治療薬が承認 | 2026年半期報告書で公表 |
| 2026年7月 | 米国の大手バイオ医薬品会社(社名非公表)との戦略的提携を拡大。米国の全商用規模バイオ医薬品拠点で製造 | 抗体の大型受託の積み増し |
7. 今後の計画
+11〜12%2026年7月に据え置き
半ば〜後半中期の「CDMO Organic Growth Model」
細胞培養に関わる具体的な計画としては、次が公表されています 事実。
- Vacaville:第1段階の設備投資を2025年に開始し、今後2〜3年で自動化システムと多品目対応の能力を強化する。複数顧客の製品を作る受託工場への移行を進め、2026年も新規契約の獲得を見込む。
- Portsmouth:2,000Lタンク2基と精製エリアを追加する拡張を2025年初めに開始。
- 成長プロジェクト:2026年半期報告書は、Mammalian(Vacavilleの受託化準備を含む)、Drug Product、Bioconjugates、Cell & Geneで成長プロジェクトが進んでいると記載。
- Capital Markets Day:2026年10月13〜14日にVacavilleで開催予定。
次はいずれも参照した一次情報に記載がありません 未確定/将来。
細胞・遺伝子治療だけの売上目標/細胞治療向けの設備投資額/Vacavilleの新規顧客の社名/ 2026年7月に提携を拡大した米国大手バイオ医薬品会社の社名/Cocoon事業の売却金額。 報道で語られる社名や金額は本稿では採用しません。
8. この会社は細胞培養技術で何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 細胞培養事業の軸足は抗体の大型動物細胞培養にあり、細胞治療は成長の選択肢という位置づけ | 2025年の外部売上はIntegrated Biologics 3,649百万CHFに対しSpecialized Modalities 1,034百万CHF。Vacaville取得・Visp 20,000L・Portsmouth拡張と、大型投資が抗体側に集中 | 推測 |
| 細胞治療では「装置を売る」より「受託で作る」に絞った | 自動製造装置Cocoon(150台超を設置)を含む事業を売却する一方、Cell & GeneのCDMOは顧客・商用品目を増やしている | 推測 |
| 培地・試薬は受託製造と相乗効果のある範囲で残している | CHIやMODAは売却したが、Bioscience(培地・初代細胞・Nucleofector)はSpecialized Modalities内に残り、2025年も新製品を投入 | 推測 |
| Vacavilleは単一顧客の工場から多品目の受託工場へ転換中 | Rocheへの供給量は中期的に減っていき、他の顧客向けへ移行すると取得時に説明。2026年のVacaville売上は前年並みの見込み | 事実 |
| 細胞治療の同種(他家)細胞やエクソソームにも手を広げている | 年次報告書がiPS細胞・MSC・NK細胞・エクソソームを対応範囲に挙げ、MesoblastのMSC治療薬やExogenus・RIONのエクソソームを受託 | 推測 |
Cocoonは、患者自身の細胞から作る自家細胞治療を病院の近くで分散製造するための閉鎖系の自動培養装置で、 年次報告書は「30社超と協業し、150台超を設置した」と書いています 事実。 つまり実績のある製品でしたが、Lonzaはこれを含む事業をOctane Medical Groupに売却することで合意しました。 同じ時期に、HoustonでのZYNTEGLO製造の拡大(Genetix)や、MesoblastのRyoncilの商用製造拡大など、 自社工場で集中製造する受託は積み増しています。 ここから本稿は、Lonzaが細胞治療を「分散製造の装置メーカー」としてではなく、「集中製造の受託工場」として取りに行くことを選んだと読みます 未確定/将来。会社自身は売却理由を「受託専業への転換」とだけ説明しており、Cocoon単体についての説明はありません。
9. 細胞培養分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
| 区分 | 内容(年次報告書の記載) | 細胞培養の種類 |
|---|---|---|
| 動物細胞による原薬製造 | 抗体・二重特異性抗体・融合タンパク質などを、1,000L・2,000L・12,000L・20,000L・25,000L規模のバイオリアクターで受託製造 | ①バイオ医薬品 |
| GS発現系のライセンス | 自社の「GS®」動物細胞遺伝子発現系を他社にライセンス。400超のライセンス先、100超の承認薬に同社のライセンス技術が含まれる | ①バイオ医薬品 |
| 細胞・遺伝子治療の受託 | 自家CAR-T、TIL、造血幹細胞、TCR、制御性T細胞の遺伝子治療、iPS細胞・MSC・NK細胞などの他家細胞、エクソソーム、AAV・レンチウイルスベクター | ②細胞治療 |
| 培地・試薬(Bioscience) | 細胞培養用培地(ベルギーVerviers)、ヒト・動物の初代細胞(米Durham)、TheraPEAKシリーズの培地・サイトカイン | ①②の両方 |
| 遺伝子導入装置(Bioscience) | 電気穿孔装置Nucleofector。2025年発売のLV Unit PROは1回で最大10億個の細胞に導入できるカートリッジを採用 | ②細胞治療 |
| 品質試験(Bioscience) | エンドトキシン試験、微生物の迅速試験(Redberryの技術で無菌・バイオバーデン試験を14日から4日に短縮) | ①②の両方 |
CAR-Tなどの遺伝子改変細胞治療では、ウイルスベクターを使わずに電気パルスで細胞膜に一時的な穴を開け、 遺伝子やゲノム編集の材料を入れる方法(電気穿孔)があります。 研究室の装置は数百万個単位の細胞を扱うのが普通で、臨床用の量を処理するには何回にも分ける必要がありました。 Lonzaが2025年に発売したカートリッジは1回で最大10億個を処理できると説明されています 事実。 材料側から見ると、ここで効いてくるのは電極とカートリッジの樹脂部品の均一性です。 処理量を増やすほど電場のむらが細胞の生存率のばらつきに直結するため、 カートリッジの寸法精度と電極表面の状態が性能を左右する部品になります 未確定/将来 (この部分は一般論で、Lonzaがカートリッジの材料や構造を開示しているわけではありません)。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 顧客の集中 | 2025年は最大顧客が売上の11.7%、2位が10.8%、3〜5位が7.6%・5.3%・4.9%。上位5社で約40.3% | 本稿の計算 |
| 細胞・遺伝子治療の不振 | 2025年のSpecialized Modalitiesは為替一定で売上−3.0%。会社はCell & Geneの業績が軟調だったと説明。2026年上期は回復 | 事実 |
| Vacavilleの稼働の埋め方 | Rocheへの供給量は中期的に減っていく契約。他社の品目で埋められるかが収益を左右する。2026年のVacavilleの売上は前年並みの見込み | 事実 |
| 売却の完了条件 | CHIの売却は規制当局の承認とCHIの法的分離が完了の条件。完了は2026年末までの見込み | 事実 |
| 為替 | 2026年は売上に−2〜−3%程度の為替の逆風を見込む(主に米ドル安) | 事実 |
| 関税・地政学 | 年次報告書は関税を含む貿易条件の変化を経営上の検討事項として挙げている(2025年決算への重大な影響はなかったと記載) | 事実 |
| 細胞治療の製造方式の変化 | 年次報告書自身が、体内でCAR-T細胞を作るin vivo CAR-Tへの投資が増えていると書いている。広がれば、体外で細胞を培養する受託の需要構造が変わりうる | 推測 |
12. 用語集
- CDMO
- Contract Development and Manufacturing Organization。医薬品の開発と製造を受託する会社。本シリーズの技術解説「CDMO」で詳しく説明しています。
- 動物細胞培養(Mammalian)
- 哺乳類の細胞をタンクで増やし、細胞が分泌する抗体などのタンパク質を回収する製造方法。
- バイオリアクター
- 細胞を培養するタンク。温度・pH・酸素を制御する。本シリーズの技術解説「バイオリアクター」を参照。
- GS発現系
- グルタミン合成酵素(GS)を目印に、目的のタンパク質を多く作る細胞を選び出す遺伝子発現の仕組み。Lonzaが他社にライセンスしている。
- CAR-T細胞
- 患者のT細胞にがんを認識する受容体の遺伝子を入れて戻す細胞治療。本シリーズの技術解説「CAR-T細胞」を参照。
- MSC
- 間葉系間質細胞。骨髄などから採れ、免疫を調整する作用を持つ細胞。他人の細胞を使う他家治療に使われる。
- エクソソーム
- 細胞が放出する小さな膜の粒子。中にタンパク質や核酸を含み、治療薬としての開発が進む。
- 電気穿孔(エレクトロポレーション)
- 電気パルスで細胞膜に一時的な穴を開け、遺伝子などを細胞に入れる方法。
- PPQ
- 工程性能適格性確認。定めた製造工程が品質基準を満たす製品を安定して作れることを、実製造で示す手続き。
- CORE EBITDA
- Lonza独自の調整後利益指標。リストラ費用や買収関連費用などを除いたEBITDA。

13. 出典
- Lonza Group Ltd Annual Report 2025(2026年4月1日公表)。事業プラットフォームの構成、拠点図、Vacaville・Visp・Portsmouthの設備、Cell & Geneの対応範囲と2025年の実績、Cocoon、Bioscienceの新製品、Redberry、事業別の売上・CORE EBITDA・研究開発費・有形固定資産の増加額、研究開発費の注記、平均従業員数、主要顧客の売上比率、Vacaville取得の会計処理、上場情報。 https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf
- Lonza Group Ltd Half-Year Report 2026(2026年7月22日公表、未監査)。2026年上期の売上・CORE EBITDA・設備投資・事業別数値・従業員数、Cell & Geneで6品目目の商用治療薬承認、Cocoon等の売却完了、本社所在地。 https://www.lonza.com/-/media/39523D97F3B24D6C9664FB75A9555D00
- Lonza Group Ltd プレスリリース「Half-Year 2026 results」(2026年7月22日)。2026年見通しの上方修正、CHI売却完了の見込みと自社株買い、成長プロジェクト、Vispの商用稼働、為替見通し。 https://www.lonza.com/news/2026-07-22-06-30
- Lonza Group Ltd プレスリリース「Lonza Completes its Transformation to a Pure-Play CDMO with Agreement to Divest Capsules & Health Ingredients」(2026年3月6日)。CHIの売却条件、Cocoonを含むPersonalized Medicines事業のOctane Medical Groupへの売却、MODAの売却、CDMO Organic Growth Model。 https://www.lonza.com/news/2026-03-06-18-05
- Lonza Group Ltd プレスリリース「Lonza Signs Agreement to Acquire Large-Scale Biologics Site in Vacaville (US) from Roche」(2024年3月20日)。取得額US$12億、約330,000L、約CHF 5億の追加投資計画、Rocheへの供給。 https://www.lonza.com/news/2024-03-20-07-00
- Lonza Group Ltd プレスリリース「Lonza Completes Acquisition of Large-Scale Biologics Site in Vacaville (US) from Roche」(2024年10月1日)。取得完了、750人超の移籍。 https://www.lonza.com/news/2024-10-01-16-45
- Lonza Group Ltd プレスリリース「Lonza and Genetix Biotherapeutics Extend Commercial Manufacturing Agreement」(2026年3月9日)。ZYNTEGLOのHoustonでの商用製造、2013年からの協業。 https://www.lonza.com/news/2026-03-09-14-00
- Lonza Group Ltd プレスリリース「Lonza Expands Strategic Collaboration with Leading US Biopharmaceutical Company」(2026年7月1日)。社名非公表の米国大手との提携拡大。 https://www.lonza.com/news/2026-07-01-07-00
- Lonza Group Ltd 公式サイト(ロゴ画像の取得元)。 https://www.lonza.com/
14. 主張と出典の対応表
| 本文の主張 | 区分 | 出典 |
|---|---|---|
| 正式名称、SIX上場(LONN)とSGX二次上場(O6Z) | 事実 | 出典1 https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf |
| 本社所在地(バーゼル、Muenchensteinerstrasse 38) | 事実 | 出典2 https://www.lonza.com/-/media/39523D97F3B24D6C9664FB75A9555D00 |
| 2024・2025年の売上、CORE EBITDA、マージン、平均従業員数 | 事実 | 出典1 https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf |
| 2026年上期の売上・CORE EBITDA・事業別数値・設備投資・従業員20,141人 | 事実 | 出典2 https://www.lonza.com/-/media/39523D97F3B24D6C9664FB75A9555D00 |
| 2025年の事業別の売上・CORE EBITDA・有形固定資産の増加額・研究開発費 | 事実 | 出典1 https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf |
| 研究開発費169百万CHFの一部が売上原価に含まれるという注記 | 事実 | 出典1 https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf |
| Specialized Modalitiesが継続事業の売上の約16%(1,034÷6,531) | 本稿の計算 | 出典1の数値から本稿が算出 |
| 研究開発費が売上の約2.6%、設備投資が研究開発費の約7.7倍 | 本稿の計算 | 出典1の数値(169百万、6,531百万、13億CHF)から本稿が算出 |
| 3つの事業プラットフォームの構成と2025年4月の移行 | 事実 | 出典1 https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf |
| 細胞・遺伝子治療と動物細胞培養の拠点一覧、東京の施設がNikon Cell innovationの所有・運営であること | 事実 | 出典1 https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf |
| Vacaville取得(US$12億、約330,000L、約CHF 5億の追加投資計画、Rocheへの供給が中期的に減る) | 事実 | 出典5 https://www.lonza.com/news/2024-03-20-07-00 |
| Vacaville取得の完了(2024年10月1日)と750人超の移籍 | 事実 | 出典6 https://www.lonza.com/news/2024-10-01-16-45 |
| Vacaville取得の対価(現金部分US$12億6,900万) | 事実 | 出典1 https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf |
| Mesoblast(Ryoncil)との契約改定、新規顧客9社、商用プログラム2件の追加 | 事実 | 出典1 https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf |
| Exogenus・RIONとのエクソソームに関する協業 | 事実 | 出典1 https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf |
| Nucleofector LV Unit PRO(最大10億個)、TheraPEAK新製品、Redberry買収 | 事実 | 出典1 https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf |
| Cocoonの概要(30社超と協業、150台超を設置) | 事実 | 出典1 https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf |
| CHIのLone Star Fundsへの売却、CocoonのOctane Medical Groupへの売却、MODAの売却 | 事実 | 出典4 https://www.lonza.com/news/2026-03-06-18-05 |
| GenetixとのZYNTEGLO製造契約の延長(Houston) | 事実 | 出典7 https://www.lonza.com/news/2026-03-09-14-00 |
| 米国大手バイオ医薬品会社(社名非公表)との提携拡大 | 事実 | 出典8 https://www.lonza.com/news/2026-07-01-07-00 |
| 2026年見通し(売上+11〜12%、マージン33〜34%)、CHI売却の年内完了見込み、CHF 5億の自社株買い、為替の逆風 | 未確定/将来 | 出典3。会社の見通しであり実績ではない https://www.lonza.com/news/2026-07-22-06-30 |
| Vacavilleの今後2〜3年の追加投資、Portsmouthの拡張、Capital Markets Day(2026年10月) | 未確定/将来 | 出典1・2。会社の計画 https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf |
| 主要顧客の売上比率と、上位5社で約40.3% | 本稿の計算 | 出典1の各比率を本稿が合計 https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf |
| Cell & Gene単独の売上、細胞治療向け設備投資額、細胞培養関連の人員数、Cocoonの売却金額 | 未確定/将来 | いずれも非公表。本稿では推計もしない |
| 市場成長率の予測(調査会社が出所) | 未確定/将来 | 出典1に記載があるが、出所が調査会社の推計のため本稿では採用しない |
| 細胞培養分野のスタートアップ出資・大学との共同研究 | 未確定/将来 | 出典1・2に記載なし。本稿では存在しないとも断定しない https://www.lonza.com/annualreport/2025/documents/LONZA_AR_2025_SCREEN_FULL.pdf |
| 3類型の区分(CDMO/装置・消耗品・培地/細胞治療・再生医療) | 本稿の計算 | 本稿による整理。企業名は本シリーズの20社から例示 |
| 軸足は抗体の大型培養で、細胞治療は成長の選択肢という読み | 推測 | 事業別の売上と設備投資の配分からの本稿の解釈 |
| 細胞治療では装置販売より受託製造に絞ったという読み | 推測 | Cocoon売却とCell & Gene受託の拡大からの本稿の解釈 |
| 培地・試薬は相乗効果のある範囲で残しているという読み | 推測 | CHI・MODAの売却とBioscienceの存続からの本稿の解釈 |
| 他家細胞やエクソソームにも手を広げているという読み | 推測 | 出典1の対応範囲と協業先からの本稿の解釈 |
| in vivo CAR-Tの広がりが受託需要の構造を変えうるというリスク | 推測 | 出典1の市場動向の記述からの本稿の解釈 |
| 電気穿孔カートリッジの部材精度が性能を左右するという見方 | 未確定/将来 | 本稿による一般論の解説。Lonzaの開示に基づくものではない |
最終更新:2026年9月24日/Troy Technical
本稿の数値はすべてLonza Group Ltdが公表した年次報告書・半期報告書・プレスリリースに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。