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シングルユースシステム|細胞培養技術 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

シングルユースシステム
― 培養槽の「壁」が、ステンレスから多層フィルムに変わった

培養バッグ・チューブ・コネクタ・フィルターを一度で使い捨てる製造方式です。 洗浄と洗浄バリデーションが要らなくなる代わりに、医薬品に触れる面が樹脂になりました。 その樹脂に入っている酸化防止剤の分解物が細胞の増殖を妨げることが、2013年に報告されています。 素材技術者にとって、細胞培養で最も接点の多いテーマです。

構成:フィルムメーカーの技術資料(自社製品の仕様)、査読論文、ICH・USP・米国連邦規則・BioPhorum の公表資料を一次情報として使用/最終更新 2026年9月

暗い面の上に置かれた、無地で半透明の樹脂フィルムのロールと、そこから少し引き出されたフィルムの概念イメージ
概念図(AI生成イメージ)。「医薬品の製造容器の壁になる樹脂フィルム」という主題を雰囲気として表現したものです。実在の製品・フィルムの色・層構成・厚みを示すものではありません。
この記事の構成
  1. シングルユースシステムとは何か(3行でつかむ)
  2. 培養バッグの多層フィルム ― 接液層・ガスバリア層・外層
  3. ガンマ線滅菌と酸化防止剤 ― 細胞の増殖を妨げた分解物
  4. 素材技術者の視点①:酸化防止剤は「必要だが、分解物が問題になる」
  5. 溶出物・抽出物(E&L)とその評価 ― ICH Q3E・USP〈665〉〈1665〉・BioPhorum
  6. 本稿の計算:小さな容器ほど「樹脂の面積が大きい」
  7. ステンレス設備との比較 ― 洗浄・バリデーション・廃棄物
  8. 容量の上限 ― 2,000 L と 5,000 L
  9. 素材技術者の視点②:供給者が「医薬品製造工程の一部」を持つ
  10. 確認できなかったこと・残る課題
  11. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公表資料・査読論文に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=草案・計画・見通しであり、確定していない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。 企業の技術資料は、その企業自身の製品についての事実に限って使っています。

1. シングルユースシステムとは何か(3行でつかむ)

シングルユースシステムとは、「培養槽や配管の接液部を、滅菌済みの樹脂製の部品にして、使うたびに交換する方式」です。 ステンレスの槽は洗って蒸気で滅菌して繰り返し使いますが、シングルユースでは袋(バッグ)ごと取り替えます。

  • 何がうれしいか:1999年の波動型バイオリアクターの論文は、「使い捨てなので洗浄や滅菌を必要としない」と書いています事実。装置メーカーの研究者は、利点として交差汚染のリスク低減とリードタイムの短縮を挙げています事実
  • どこまで大きいか:フィルムメーカーの資料では、同じフィルムで50 mLから2,000 Lまでのバッグをそろえています。別の装置メーカーは5,000 Lの使い捨てバイオリアクターを販売しています事実
  • 何が新しい問題か:医薬品に触れる面が樹脂になったため、樹脂から溶け出す化学種(溶出物)を評価しなければならなくなりました。Amgen の研究者は、ポリエチレンの酸化防止剤に由来する分解物が細胞の増殖を強く妨げることを2013年に報告しています事実
この記事でいちばん大事な一行

バッグのメーカー自身が、技術資料にこう書いています—— 「シングルユースシステムが従来のステンレス設備を置き換えるため、供給者は医薬品製造工程のより重要な部分を担うことになる」事実。 フィルムの樹脂と添加剤の選択が、そのまま医薬品の品質の一部になったということです(本記事による解説)。

2. 培養バッグの多層フィルム ― 接液層・ガスバリア層・外層

培養バッグの壁は、1枚の樹脂ではなく共押出の多層フィルムです。 メーカーが層構成を公表している2つのフィルムを並べます。

培養バッグ用フィルムの層構成(メーカー公表資料より作図) 上が外側、下が培養液に触れる面(接液面)です。 Aegis5-14(Thermo Fisher) S80(Sartorius) 外層:ポリエステル系エラストマー 0.8 接着層 0.9 ガスバリア層:EVOH 1.0 接着層 0.9 接液層:ポリエチレン 10.4 (厚みの約74%) 外層:LLDPE 中心層:EVOH 接液層:LLDPE ▲ 接液面(培養液側) ▲ 接液面(培養液側) ※ 左:層の順序と数値は Thermo Fisher の資料[参考資料1]の模式図の数値(合計14.0で、膜厚14 milと一致)。高さはその比に合わせました。 ※ 右:層の順序と総厚400 µm は Sartorius の資料[参考資料2]。各層の厚み比は記載がないため、等分で表示しています。
図1 概念図(ベクター作図)。層の名称・順序は各社の技術資料[参考資料1・2]によります。左の層の高さは資料中の模式図の数値(0.8/0.9/1.0/0.9/10.4、合計14.0)に比例させ、「約74%」は本記事の計算(10.4÷14.0)です。右の各層の厚み比は公表されていないため等分で描いており、実際の比率ではありません。
項目Aegis5-14(Thermo Fisher)S80(Sartorius)
構成5層・14 mil のキャストフィルム。外層ポリエステル系エラストマー/EVOH バリア層/低密度ポリエチレンの接液層を共押出PE|EVOH|PE の共押出構造。接液層 LLDPE、骨格(バックボーン)は LLDPE と EVOH
厚み0.356 mm(0.014 in.)400 µm
酸素透過度0.36 cc/m²/日(23℃、内側90%RH)「高いガス・水蒸気バリア性」(数値は本稿で参照した資料に記載なし)
水蒸気透過度0.35 g/m²/日(23℃)同上
使用温度範囲−80℃〜60℃本稿で参照した資料に記載なし
滅菌ガンマ線 25〜40 kGy で無菌性保証水準 10⁻⁶(ANSI/AAMI/ISO 11137:2006 に準拠と記載)。物性値は照射後に測定ISO 11137 による放射線滅菌、ガンマ線の線量分布測定(ドーズマッピング)を実施と記載
接液層に求める役割(メーカーの記載)接液材料:ポリエチレンフィルム強度と柔軟性、溶着強度、低い抽出物量、優れた生体適合性

すべて事実(Thermo Fisher Aegis5-14 資料[参考資料1]、Sartorius Flexsafe 資料[参考資料2])。各社の自社製品についての記載であり、他社品や業界全体の代表値ではありません。

本稿の計算:層の厚みと、バリア層が守っているもの
  • 層の厚み:1 mil = 25.4 µm として、Aegis5-14 の接液層は 10.4 × 25.4 ≒ 264 µm、EVOH 層は 1.0 × 25.4 ≒ 25 µm。全体 14 mil ≒ 356 µm で、資料の 0.356 mm と一致します本稿の計算
  • 酸素の透過量:0.36 cc/m²/日を標準状態の気体(22.4 L/mol)として換算すると、1 m² を1日に通る酸素は約 0.016 mmol
  • 比較:本シリーズ「バイオリアクター」編で計算したとおり、2,000万個/mL の CHO 細胞は培養液1 Lあたり毎時約 4.58 mmol の酸素を使います。0.016 ÷ 4.58 = 0.0035 h = 約13秒分

読み取り:フィルムを通る酸素は、培養中の細胞が使う量に比べて桁違いに小さい量です。 EVOH のガスバリア層が守っているのは培養中の酸素供給ではなく、培地やバッファー、原薬を長く保管する間の品質だと読めます。 Sartorius も S80 の高いガス・水蒸気バリア性を「培地・バッファー・原薬の長期保管に適する」と説明しています事実(本記事による解説)。 前提と限界:透過度は23℃の値で、37℃の培養温度では変わります。22.4 L/mol の換算も近似です。

3. ガンマ線滅菌と酸化防止剤 ― 細胞の増殖を妨げた分解物

シングルユースのバッグは、ガンマ線で滅菌された状態で届きます事実。 ここに、樹脂の添加剤の問題が絡みます。 2013年、Amgen の研究者(Hammond ら)が PDA Journal に報告した内容です事実。

  • 何が見つかったか:バッグの材料から低濃度で抽出される多数の化学種のうち、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート(bDtBPP)が細胞増殖に強く有害だった
  • どこから来たか:ポリエチレン(接液材料によく使われる樹脂)の多くの配合に入っている一般的な酸化防止剤、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(商品名 Irgafos 168)の分解物
  • どのくらいで効くか:複数の哺乳類細胞株で、ppm を大きく下回る濃度でも有害な影響が出た
  • 何が条件か:フィルムからの移行は時間と温度に依存。酸化された Irgafos 168 がガンマ線などの電離放射線を受けることが、多量の bDtBPP が生じる重要な条件と示唆された
酸化防止剤から、細胞に有害な分解物ができるまで(本記事による整理) Hammond ら(2013)の報告と、フィルムメーカーの資料をもとにした流れです。 酸化防止剤を配合 ホスファイト系 (Irgafos 168) ポリエチレンに一般的 押出・照射 ポリマーを酸化から守る (それが本来の役目) 分解物 bDtBPP 酸化した添加剤が 放射線を受けると 多く生じると示唆 培養液へ移行 時間と温度に依存 細胞増殖を阻害 ppmを大きく下回る 濃度でも有害 樹脂・フィルム側の対策(メーカーの記載) ホスファイト系酸化防止剤の量を絞る・接液層に入れない 樹脂の規格、押出条件、照射条件を管理する 評価側の対策(メーカーの記載) 水やエタノールで抽出して bDtBPP を測る 照射済みバッグで細胞増殖試験を行う ※ 上段は Hammond ら[参考資料5]、下段は Sartorius の資料[参考資料2・4]の記載によります。 ※ 5段に分けたのは本記事による整理です。反応の詳しい機構や、段ごとの量的な関係を示すものではありません。 ※ 下段は1社の自社製品についての記載で、業界共通の対策として示すものではありません。
図2 概念図(ベクター作図)。上段の各段は Hammond ら[参考資料5]の要旨、下段の対策は Sartorius の資料[参考資料2・4]によります。5段・2対策に整理したのは本記事によるもので、化学反応の機構や量的関係を示すものではありません。

4. 素材技術者の視点①:酸化防止剤は「必要だが、分解物が問題になる」

素材技術者の読みどころ:添加剤を「減らす」ことと「なくす」ことの間

Sartorius の2020年のホワイトペーパーは、Hammond らの報告を引いたうえで、こう書いています。

酸化防止剤はフィルムを安定に保つために必要であり、押出とガンマ線照射の間ポリマーを酸化から守っている。適切な細胞増殖を確保するには、これらの添加剤の濃度を最適化し、厳密に管理することが極めて重要である事実。

同社は、S80 フィルムではホスファイト系酸化防止剤の濃度を制限し、エチレン酢酸ビニル系の別フィルム(S71)では接液層にこの酸化防止剤を含めていないとしています事実。 また、添加剤の配合が管理されていないとバッグの経時(照射後の保管期間)が細胞増殖に影響しうることを図で示しています事実。

ここから読み取れるのは、ガンマ線滅菌は「使う前の工程」ではなく、材料の化学を変える工程だということです。

  • 酸化防止剤を減らしすぎれば、押出と照射でポリマー自体が劣化する
  • 入れすぎれば、照射で分解物が増え、細胞を傷める
  • しかも分解物の量は押出条件・照射条件・保管期間で変わる

同社は別の資料で「透明性は純度ではない」——フィルムの透明性とその溶出物・抽出物プロファイルには相関がない——とも書いています事実。 見た目がきれいなフィルムが、細胞にとってきれいとは限らないということです。 添加剤処方・押出・照射・保管を一つの系として管理できる供給者だけが、この市場の前提を満たせる——そう読めます(本記事による解説)。

5. 溶出物・抽出物(E&L)とその評価 ― ICH Q3E・USP〈665〉〈1665〉・BioPhorum

(1) 言葉の定義 ― ICH Q3E(草案)

ICH(医薬品規制調和国際会議)の溶出物・抽出物ガイドライン Q3E の草案は、2つの言葉を次のように定義しています事実。

  • 溶出物(leachables):製造部材・システム、包装、投与デバイスの部材から、定められた製造条件と表示された保管条件のもとで医薬品へ移行する化学種
  • 抽出物(extractables):同じ部材から、定められた実験室の試験条件で意図的に抽出した化学種。したがって溶出物の候補である
抽出物と溶出物、そしてリスク評価の3段階(ICH Q3E 草案より) 左=言葉の関係/右=草案が示すリスク評価の手順 抽出物(Extractables) 実験室の条件で意図的に引き出した化学種 溶媒・温度・時間を強くして「最悪」を見る = 溶出物の候補 溶出物(Leachables) 実際の製造・保管条件で 医薬品へ移行した化学種 患者の曝露につながるのはこちら 段階1 危険源の特定 接触面から移行しうる溶出物を、知見と試験で洗い出す 段階2 リスク分析 溶出物の出現を定量し、患者の曝露を評価する 段階3 統合的なリスク評価 品質・安全性・有効性への影響から、使えるか判断する 対策の例 部材・供給者の変更、事前洗浄、事前通液、精製工程の追加 ※ 定義・3段階・対策の例は ICH Q3E 草案(2025年8月1日に Step 2 として公開、意見募集)[参考資料8]によります。 ※ 左の入れ子の図は本記事による整理です。抽出物の一部が溶出物になる、という関係を示すもので、量の比ではありません。 ※ 草案は最終版ではありません。最終版(Step 4)は2027年6月が予定とされています[参考資料9]。
図3 概念図(ベクター作図)。定義・3段階・対策の例は ICH Q3E 草案[参考資料8]、最終化の予定時期は同ガイドラインの作業計画[参考資料9]によります。入れ子の円(四角)で表したのは本記事による整理で、抽出物と溶出物の量の比を示すものではありません。草案は変更される可能性があります。

(2) 製造部材についての ICH Q3E 草案の考え方

草案は、医薬品の製造に使う部材・システム(樹脂製の製造設備部材を含む)について、次のように書いています事実。

  • 適用範囲には細胞・遺伝子治療製品も含まれる
  • 製造部材の抽出試験は、製造条件の最悪ケース(例:最も小さいスケールで最も長い接触時間、最も高い温度と圧力)を表すように設計すべき
  • 製造部材からの溶出物のリスクは、包装より低いと認識されている。接触時間が比較的短く、表面積に対する液量が大きいため
  • 上流の工程で入った溶出物は、下流の工程で除去されうる
  • 同じまたは似た材料の部材を複数使うときは、溶出物のリスクを累積で評価すべき
  • 全ての抽出物のピークが分析評価しきい値(AET)以下で、クラス1の溶出物がなければ、リスクは最小で許容できると考えてよい

(3) USP〈665〉〈1665〉

米国薬局方(USP)には、医薬品の製造に使うプラスチック部材・システムを対象とした2つの章があります事実。

章題名(USP の公式ページによる)本稿で確認できた位置づけ
〈665〉Plastic Components and Systems Used to Manufacture Pharmaceutical Drug Products and Biopharmaceutical Drug Substances and ProductsUSP のページに「情報提供の章であり、規制当局や執行機関が指定しない限り、薬局方として適用されない」と明記
〈1665〉Characterization and Qualification of Plastic Components and Systems Used to Manufacture Pharmaceutical Drug Products and Biopharmaceutical Drug Substances and Productsプラスチック部材・システムの特性評価と適格性評価についての章(本文は購読者向け)

すべて事実(USP の各章の公式ページ[参考資料6・7])。各章の本文(試験法の詳細・溶媒・条件)は購読者向けで、本稿では確認していません。施行日についても、USP の告知ページにアクセスできず一次情報で確認できなかったため記載していません。

(4) BioPhorum の抽出物試験プロトコル

医薬品メーカーとシングルユース部材の供給者でつくる業界団体 BioPhorum(旧 BPOG)は、2020年4月22日に抽出物試験のプロトコルを更新しました。 同団体のページによると、2014年版からの主な変更は次のとおりです事実。

  • 抽出溶媒のうち 5 M 塩化ナトリウムと1% ポリソルベート80 を削除(固有の抽出能力が低かったため)
  • 時間ゼロの試料採取を廃止(そこで検出される化合物は、後の時点でより高い濃度で検出されたため)
  • 50% エタノール抽出液の元素分析を廃止
  • 全体の試験負荷を30〜50%減らし、サプライチェーンで抽出物データを共有する「抽出物エコシステム」の枠組みを導入

そして、これらの前提にあるのが米国連邦規則(21 CFR 211.65)の条文です。 「部材・工程中の材料・医薬品に触れる設備の表面は、医薬品の安全性・同一性・力価・品質・純度を、公定またはその他確立された要件を超えて変えるほど、反応性・添加性・吸着性であってはならない」事実。 ステンレスでも樹脂でも、この要件は同じです(本記事による解説)。

6. 本稿の計算:小さな容器ほど「樹脂の面積が大きい」

ICH Q3E 草案が「最も小さいスケール」を最悪ケースに挙げ、製造部材のリスクが低い理由に「表面積に対する液量が大きいこと」を挙げている事実のは、 容器が大きくなるほど、液1 mLあたりの樹脂の面積が小さくなるからです。立方体の容器で計算してみます。

本稿の計算:液1 mLあたりの接液面積
  • 前提:容器を満液の立方体とみなし、6面すべてが接液面とする(実際のバッグは立方体ではない)
  • 式:一辺 L cm の立方体で、面積 6L² cm²、容積 L³ mL。面積÷容積 = 6 ÷ L(cm²/mL)
  • 1 L(一辺10 cm):6 ÷ 10 = 0.60 cm²/mL
  • 100 L(一辺46.4 cm):6 ÷ 46.4 = 0.13 cm²/mL
  • 2,000 L(一辺126 cm):6 ÷ 126 = 0.048 cm²/mL

1 L の容器は、2,000 L の容器に比べて液1 mLあたり約12.6倍の樹脂に触れています本稿の計算。 容積が1,000倍になると、面積÷容積は10分の1(1,000の3乗根分の1)になります。 前提と限界:平らな袋(2D バッグ)は立方体より面積÷容積が大きくなります。チューブやコネクタ、フィルターの面積は含めていません。

容器の大きさと、液1 mLあたりの接液面積(本稿の計算) 満液の立方体と仮定。縦軸は cm²/mL です。 0 0.2 0.4 0.6 0.60 0.28 0.13 0.060 0.048 1 L 10 L 100 L 1,000 L 2,000 L ← 2,000 L の約12.6倍 ※ 値はすべて本記事が算出したもので、測定値ではありません。実際のバッグの形・チューブやフィルターの面積は含めていません。 ※ 「最も小さいスケールが最悪ケース」という考え方は ICH Q3E 草案[参考資料8]の記載によります。
図4 本稿の計算による作図(ベクター作図)。棒の値と「約12.6倍」は、満液の立方体という仮定のもとで本記事が算出したもので、公表値ではありません。「最も小さいスケールが最悪ケース」「表面積に対する液量が大きいと溶出物リスクが低い」という考え方は ICH Q3E 草案[参考資料8]によります。

7. ステンレス設備との比較 ― 洗浄・バリデーション・廃棄物

観点ステンレス(再使用)シングルユース(使い捨て)
洗浄・滅菌定置洗浄(CIP)と定置蒸気滅菌(SIP)が必要。米国連邦規則は、洗浄・保守の手順書(責任者、頻度、方法、前バッチ表示の除去など)を求める[参考資料12]「使い捨てなので洗浄や滅菌を必要としない」[参考資料17]。ガンマ線滅菌済みで供給[参考資料1]
水とエネルギー水の消費は主に CIP・SIP に関係し、大きな環境負荷。精製水・注射用水の製造、洗浄・滅菌はエネルギー多消費[参考資料13](CIP・SIP が不要になる分、水とエネルギーは減ると期待されている)[参考資料13]
導入の速さ固定設備は費用が高く、槽と付帯設備の設置・適格性確認に長いリードタイム[参考資料14]リードタイム短縮、交差汚染リスクの低減[参考資料15]。設計変更をより速く実施できる[参考資料14]
設計の蓄積形状がよく知られ、定義されているため「いまだゴールドスタンダード」とされる[参考資料15]形・撹拌原理・通気方式が製品ごとに異なり、工程の移管やスケールアップが課題になりうる[参考資料15]
材料由来の評価接液面は金属。21 CFR 211.65 の要件は同じ[参考資料11]樹脂からの抽出物・溶出物の評価が必要(第5章)
廃棄物設備は繰り返し使う使用済みのバッグ・チューブ・フィルターが固形廃棄物になる(本記事による解説)

出典のある項目は事実。ただし「水とエネルギーが減る」は、流加培養と灌流培養を比較した Bunnak ら(2016)が結論で述べた期待であり未確定/将来、同論文自体はステンレス設備を対象とし、消耗品の製造は評価範囲から除いています[参考資料13]。

Bunnak らのライフサイクル評価では、ある条件の灌流工程でCIP と SIP が総水消費量の85%超を占めていました事実。 Amgen の研究者も論文の一般向け要旨で、ステンレス槽から使い捨てバッグへの置き換えには「大きな環境面・コスト面の利点」があると書いています事実。 一方、使い捨て部材そのものの製造と廃棄を含めた比較は、本稿で参照した一次情報では確認できませんでした。

8. 容量の上限 ― 2,000 L と 5,000 L

公表されている容量の範囲(対数目盛) 1目盛で10倍。上3本は各社が自社製品について公表した範囲です。 フィルム1種でそろえるバッグ 50 mL〜2,000 L(Aegis5-14) 使い捨て撹拌槽のファミリー 50〜2,000 L(Dreher ら) 使い捨てバイオリアクター 5〜5,000 L(DynaDrive) ステンレス槽による大規模製造 1,000〜25,000 L超(Li ら) 10 mL 100 mL 1 L 10 L 100 L 1,000 L 1万 L 10万 L ※ 出典:Aegis5-14[参考資料1]、Dreher ら[参考資料15]、DynaDrive[参考資料16]、ステンレス槽[参考資料14]。 ※ 上3本は製品の品ぞろえの範囲で、使い捨て全体の上限を示すものではありません。25,000 L 超の上端は「超」のため棒を切っています。 ※ 並べ方は本記事による整理です。
図5 概念図(ベクター作図)。各範囲は参考資料1・14・15・16の記載によります。上3本は特定企業の製品の品ぞろえの範囲であり、シングルユース技術全体の上限や市場の実態を示すものではありません。棒の位置は対数目盛で本記事が作図しました。

Thermo Fisher は自社の使い捨てバイオリアクターについて「5 L から 5,000 L まで」「市場で最初の 5,000 L の使い捨てバイオリアクター」と説明し、そのバッグに Aegis5-14 フィルムを使えるとしています事実。 一方、ステンレス槽は1,000〜25,000 L 超の大規模製造を占めてきました事実。

上限を決めるものは何でしょうか。一次情報に出てくる手がかりは2つです。

  • 液の重さ:Sartorius は、大規模混合や撹拌槽に使うバッグは2,000〜3,000 L の液量が生む大きな静水圧に耐えなければならないとしています事実
  • 撹拌の強さ:大型の使い捨て槽では、物理的な制約から最大の P/V が20〜30 W/m³ 程度とされています事実
本稿の計算:2,000 L のバッグの底にかかる圧力

前提:円筒形で高さ÷直径=2(Dreher らの撹拌槽の比)、液の密度 1,000 kg/m³ とする。
容積 V = (π/4)D² × 2D = (π/2)D³ = 2 m³ より、D ≒ 1.08 m、液深 H ≒ 2.17 m。
底の静水圧 = 1,000 × 9.81 × 2.17 ≒ 21 kPa(約0.21気圧)本稿の計算。

圧力の値そのものは大きくありませんが、厚さ 0.36〜0.4 mm のフィルムが、2トンの液を外側の硬い容器に押し付けながら支えていることになります。 Sartorius の資料が、大型の 3D バッグについて「適切な容器に設置した後」に使用現場で大きな漏れ(100〜200 µm)を検出する試験を挙げている事実のは、この状態で初めて確かめられることがあるからだと読めます(本記事による解説)。 前提と限界:実際の槽の形・液深は製品ごとに異なり、フィルムにかかる応力は外側容器との接し方で決まります。

9. 素材技術者の視点②:供給者が「医薬品製造工程の一部」を持つ

暗い面の上で、色味のわずかに異なる半透明の薄いシートが数枚、少しずつずらして重ねられている概念イメージ
図6 概念図(AI生成イメージ)。「役割の違う樹脂の層を重ねて1枚のフィルムにする」という考え方を雰囲気として表現したものです。実際の層の数・厚み・色、共押出の構造を示すものではありません。
素材技術者の読みどころ:評価の「言語」を持つことが参入条件になる

ステンレス設備なら、医薬品メーカーは材料(鋼種や表面仕上げ)を指定し、洗浄をバリデートすれば済みました。 シングルユースでは、樹脂・添加剤・押出・溶着・照射・保管のすべてが供給者の工程の中にあります。 Sartorius の資料は、自社のバッグの設計・製造・品質管理・滅菌を「医薬品製造を反映した条件」で行い、cGMP に近い要件を満たすとしています事実。

そのうえで、評価の「言語」が決まってきています。

  • ICH Q3E 草案:抽出物・溶出物の定義、最悪ケースの考え方、累積リスクの評価事実
  • USP〈665〉〈1665〉:製造に使うプラスチック部材の章(〈665〉は情報提供の章と明記)事実
  • BioPhorum 2020 年版:溶媒と時点を絞った標準的な抽出試験と、データを共有する枠組み事実

材料メーカーにとっての含意は2つあります(本記事による解説)。

  • 樹脂グレードの「添加剤の開示と管理」が価値になる。酸化防止剤の種類と量、その分解物の挙動(とくにガンマ線照射後)を説明できる樹脂は、フィルムメーカーが評価データを積み上げやすい
  • 標準化されたデータが、そのまま次の顧客に使える。BioPhorum が「抽出物エコシステム」として供給網でのデータ共有を掲げているとおり事実、一度プロトコルに沿って取ったデータは再利用される。逆に言えば、樹脂や添加剤を変えると、その積み上げをやり直すことになる

本シリーズ「アルジロダイト型固体電解質」編で触れた「開発標準材料」と同じ構図です。 一度評価データの前提になった材料は、性能が同等の競合品が出ても簡単には置き換わりません(本記事による解説)。

素材技術者の読みどころ:ピンホールの大きさで語られる品質

Sartorius は、2D バッグと 500 L までの 3D バッグについて、出荷前の完全性試験で2 µm を超える欠陥がないことを保証するとし、使用現場での試験の検出限界を 2D バッグで 10 µm、据え付け後の大型 3D バッグの大きな漏れで 100〜200 µm としています事実。

容量が大きくなるほど、現場で検出できる欠陥の大きさが粗くなる——これは、フィルム・溶着部の欠陥をいかに「作らないか」が、検査より先に効いてくることを意味します(本記事による解説)。 厚み0.4 mm前後の多層フィルムで、2トンの液を無菌のまま支える。材料の均一性と溶着の工程能力が、そのまま製品の無菌性保証になります。

10. 確認できなかったこと・残る課題

(1) USP〈665〉〈1665〉の本文と施行日

章の本文は購読者向けで、試験溶媒・条件などの詳細は本稿では確認していません。 施行日についても、USP の告知ページにアクセスできず一次情報で確認できなかったため記載していません。

(2) ICH Q3E は草案の段階

2025年8月1日に Step 2 として公開された草案で、作業計画では最終版(Step 4)を2027年6月と見込んでいます未確定/将来。 内容は最終化までに変わる可能性があります。

(3) 他社フィルムの層構成

本稿では、層構成と厚みをメーカーが公表資料で示している2製品だけを取り上げました。 他社品の樹脂名・層構成は、一次情報で確認できたもの以外は記載していません。

(4) 環境負荷の総合比較

使い捨て部材の製造・廃棄まで含めて、シングルユースとステンレスを比較した一次情報は、本稿の調査範囲では確認できませんでした。

この記事のまとめ
  • 培養バッグの壁は多層フィルムです。公表例では接液層がポリエチレン、中心に EVOH のガスバリア層があります事実
  • ガスバリア層が守っているのは、保管中の品質です。フィルムを通る酸素は、細胞が使う量の桁違いに小さい量でした本稿の計算
  • ポリエチレンの酸化防止剤の分解物(bDtBPP)が細胞増殖を妨げることが2013年に報告され、ガンマ線照射が重要な条件と示唆されました事実
  • 評価の枠組みは ICH Q3E 草案・USP〈665〉〈1665〉・BioPhorum プロトコルで整いつつあります。Q3E は草案の段階です未確定/将来
  • 小さな容器ほど液1 mLあたりの樹脂の面積が大きく、1 L は 2,000 L の約12.6倍です本稿の計算
  • 使い捨ての製品は 2,000 L、最大で 5,000 Lまで公表されており、ステンレスは 25,000 L 超まであります事実

11. 用語集

シングルユースシステム
接液部を滅菌済みの樹脂部品にして、使うたびに交換する製造方式。
共押出フィルム
複数の樹脂を同時に押し出して、1枚の多層フィルムにしたもの。
接液層
フィルムのうち、培養液や医薬品に直接触れる層。公表例ではポリエチレン。
EVOH
エチレン・ビニルアルコール共重合体。酸素を通しにくいガスバリア層に使われる。
LLDPE
直鎖状低密度ポリエチレン。柔軟で、溶着しやすい。
ガンマ線滅菌
放射線で微生物を殺す滅菌法。ISO 11137 が基準。樹脂や添加剤の化学も変えうる。
無菌性保証水準(SAL)
滅菌後に1個の微生物が生き残る確率。10⁻⁶ は100万分の1。
抽出物(Extractables)
実験室の条件で部材から意図的に抽出した化学種。溶出物の候補。
溶出物(Leachables)
実際の製造・保管条件で医薬品に移行した化学種。
bDtBPP
酸化防止剤 Irgafos 168 の分解物。細胞増殖を妨げることが報告された。
AET
分析評価しきい値。これ以上の抽出物は同定・評価の対象とする目安。
CIP/SIP
定置洗浄/定置蒸気滅菌。ステンレス設備を分解せずに洗浄・滅菌すること。
BioPhorum(旧 BPOG)
医薬品メーカーと供給者の業界団体。抽出物試験の標準プロトコルを公表。
完全性試験
バッグに漏れ(ピンホールなど)がないことを確かめる試験。

12. 参考資料(一次情報)

  1. Thermo Fisher Scientific「Thermo Scientific Aegis5-14 film ― Five-layer, 14 mil cast film」製品資料(COL01764、2019年) — documents.thermofisher.com
  2. Sartorius「Flexsafe 2D & 3D Pre-Designed Solutions for Storage and Shipping」製品資料 — sartorius.com
  3. Sartorius「Flexsafe New PE Film. New Benchmark.」製品資料(SPT1503) — api.sartorius.com
  4. Sartorius(Lugari A, Schenk T)「Cell Growth Performance in Single-use Bags」ホワイトペーパー(2020年4月15日) — sartorius.com
  5. Hammond M ほか(Amgen)「Identification of a leachable compound detrimental to cell growth in single-use bioprocess containers」PDA J Pharm Sci Technol 67(2):123–134(2013)(PubMed 要旨) — pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  6. 米国薬局方(USP)「〈665〉 Plastic Components and Systems Used to Manufacture Pharmaceutical Drug Products and Biopharmaceutical Drug Substances and Products」公式ページ — doi.usp.org
  7. 米国薬局方(USP)「〈1665〉 Characterization and Qualification of Plastic Components and Systems Used to Manufacture Pharmaceutical Drug Products and Biopharmaceutical Drug Substances and Products」公式ページ — doi.usp.org
  8. ICH「Guideline for Extractables and Leachables Q3E」草案(Step 2、2025年8月1日) — database.ich.org
  9. ICH「ICH Q3E EWG Work Plan」(2025年2月8日) — database.ich.org
  10. BioPhorum「Disposables: Extractables testing of polymeric single-use components used in biopharmaceutical manufacturing」(2020年4月22日) — biophorum.com
  11. 米国連邦規則「21 CFR 211.65 Equipment construction」 — ecfr.gov
  12. 米国連邦規則「21 CFR 211.67 Equipment cleaning and maintenance」 — ecfr.gov
  13. Bunnak P ほか(University College London ほか)「Life-cycle and cost of goods assessment of fed-batch and perfusion-based manufacturing processes for mAbs」Biotechnology Progress 32(5):1324–1335(2016) — pmc.ncbi.nlm.nih.gov
  14. Li F ほか(Genentech)「Cell culture processes for monoclonal antibody production」mAbs 2(5):466–479(2010) — pmc.ncbi.nlm.nih.gov
  15. Dreher T ほか(Sartorius Stedim Biotech)「Design space definition for a stirred single-use bioreactor family from 50 to 2000 L scale」BMC Proceedings 7(Suppl 6):P55(2013) — pmc.ncbi.nlm.nih.gov
  16. Thermo Fisher Scientific「DynaDrive Single-Use Bioreactor」製品ページ — thermofisher.com
  17. Singh V「Disposable bioreactor for cell culture using wave-induced agitation」Cytotechnology 30:149–158(1999) — pmc.ncbi.nlm.nih.gov
  18. Lemire L ほか「Scale-up of a monoclonal antibody CHO fed-batch production in stirred tank bioreactors: Effect of hydrodynamic conditions and feeding regimen」Biotechnology Progress(2026年1-2月号、doi:10.1002/btpr.70073) — pmc.ncbi.nlm.nih.gov

13. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
Aegis5-14 が5層・14 mil のキャストフィルムで、外層ポリエステル系エラストマー・EVOH バリア層・低密度ポリエチレン接液層の共押出であること。模式図の層の順序(ポリエステル/接着層/EVOH/接着層/ポリエチレン)と数値(0.8/0.9/1.0/0.9/10.4)。膜厚0.356 mm、酸素透過度0.36 cc/m²/日、CO2透過度1.35 cc/m²/日、水蒸気透過度0.35 g/m²/日、−80℃〜60℃、ガンマ線25〜40 kGy で SAL 10⁻⁶(ANSI/AAMI/ISO 11137:2006)、接液材料がポリエチレンであること、BPC が50 mL〜2,000 L、ガンマ線照射済みで供給されることThermo Fisher Aegis5-14 資料 出典1 https://documents.thermofisher.com/TFS-Assets/BPD/Datasheets/aegis5-14-film-fact-sheet.pdf事実
S80 が PE|EVOH|PE の共押出構造(接液層 LLDPE、骨格 LLDPE と EVOH)で400 µm であること。接液層の役割(強度・柔軟性・溶着強度・低い抽出物量・生体適合性)。高いガス・水蒸気バリア性が培地・バッファー・原薬の長期保管に適すること。ISO 11137・ドーズマッピング。酸化防止剤の最小化。自社のバッグを医薬品製造を反映した条件で製造するとし、「供給者は医薬品製造工程のより重要な部分を担う」と記載していること。出荷前完全性試験で2 µm超の欠陥なし(2D および500 Lまでの3D)、使用現場の検出限界10 µm(2D)、据え付け後の大型3Dで100〜200 µmSartorius Flexsafe 2D & 3D 資料 出典2 https://www.sartorius.com/download/340044/broch-flexsafe-2d-3d-bags-sp-1518-e-data.pdf事実
「透明性は純度ではない」(フィルムの透明性と溶出物・抽出物プロファイルに相関がない)。大規模混合や撹拌槽用バッグが2,000〜3,000 Lの液量が生む静水圧に耐える必要があることSartorius Flexsafe New PE Film 資料 出典3 https://api.sartorius.com/document-hub/dam/download/5807/Flexsafe-New-PE-Film-Benchmark-Brochure-en-B-SPT1503-Sartorius.pdf事実
酸化防止剤はフィルムを安定に保つために必要で、押出とガンマ線照射の間ポリマーを守ること。濃度の最適化と厳密な管理が重要であること。S80でホスファイト系酸化防止剤の濃度を制限、S71(EVA系)では接液層に含めないこと。添加剤が管理されていないとバッグの経時が細胞増殖に影響しうること。水・エタノールでの抽出と照射済みバッグでの細胞増殖試験Sartorius ホワイトペーパー(2020年) 出典4 https://www.sartorius.com/download/13284/white-paper-cellgrowth-flexsafe-flexboy-spt1103-e-data.pdf事実
bDtBPP が細胞増殖に強く有害であること。Irgafos 168(トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)の分解物で、ポリエチレンの多くの配合に含まれること。ppm を大きく下回る濃度でも有害であること。移行が時間・温度依存であること。酸化した Irgafos 168 が電離放射線を受けることが重要な条件と示唆されたこと。ステンレス槽から使い捨てバッグへの置き換えに大きな環境面・コスト面の利点があるとの記述Hammond ら 2013(PubMed 要旨) 出典5 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23569073/事実
USP〈665〉の題名と、「情報提供の章であり、規制当局や執行機関が指定しない限り薬局方として適用されない」との記載USP〈665〉公式ページ 出典6 https://doi.usp.org/USPNF/USPNF_M11135_02_01.html事実
USP〈1665〉の題名(プラスチック部材・システムの特性評価と適格性評価)USP〈1665〉公式ページ 出典7 https://doi.usp.org/USPNF/USPNF_M11136_02_01.html事実
溶出物・抽出物の定義。適用範囲に細胞・遺伝子治療製品を含むこと。リスク評価の3段階と対策の例。製造部材の抽出試験を最悪ケース(最小スケール・最長接触・最高温度と圧力)で設計すべきこと。製造部材のリスクが包装より低く、その理由が短い接触時間と表面積に対する大きな液量であること。上流の溶出物が下流で除去されうること。累積リスクの評価。AET 以下かつクラス1なしなら許容できること。2025年8月1日に Step 2 として公開されたことICH Q3E 草案 出典8 https://database.ich.org/sites/default/files/ICH_Q3E_EWG_Step2_DraftGuideline_2025_0704.pdf事実
Q3E の最終版(Step 4)が2027年6月に予定されていることICH Q3E 作業計画に記載された予定であり、確定した事実ではない 出典9 https://database.ich.org/sites/default/files/ICH_Q3E_EWG_WorkPlan_2024_0214.pdf未確定/将来
BioPhorum が2020年4月22日にプロトコルを更新し、5 M 塩化ナトリウムと1% ポリソルベート80 の削除、時間ゼロの廃止、50% エタノール抽出液の元素分析の廃止、試験負荷30〜50%削減、抽出物エコシステムの導入を示したことBioPhorum 公表ページ 出典10 https://www.biophorum.com/download/extractables-testing-of-polymeric-single-use-components-used-in-biopharmaceutical-manufacturing/事実
接触面が反応性・添加性・吸着性であってはならないという設備構造の要件21 CFR 211.65(a) 出典11 https://www.ecfr.gov/current/title-21/chapter-I/subchapter-C/part-211/subpart-D/section-211.65事実
設備の洗浄・保守と、その手順書(責任者、頻度、方法、前バッチ表示の除去など)の要件21 CFR 211.67 出典12 https://www.ecfr.gov/current/title-21/chapter-I/subchapter-C/part-211/subpart-D/section-211.67事実
水の消費が主に CIP・SIP に関係し大きな環境負荷であること。精製水・注射用水の製造、洗浄・滅菌がエネルギー多消費であること。ある灌流工程で CIP・SIP が総水消費の85%超を占めたこと。同論文がステンレス設備を対象とし、消耗品の製造を評価範囲から除いたことBunnak ら 2016 出典13 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5082523/事実
使い捨て装置への移行で環境影響が減ると期待されることBunnak ら 2016 が結論で述べた期待であり、同論文で評価された結果ではない 出典13 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5082523/未確定/将来
ステンレス槽が大規模製造(1,000〜25,000 L超)を占めてきたこと。固定設備は費用が高く設置・適格性確認に長いリードタイムがかかること。使い捨ては設計変更を速く実施できることLi ら 2010 総説 出典14 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2958569/事実
使い捨て槽の利点として交差汚染リスク低減とリードタイム短縮。再使用槽が形状の知見からゴールドスタンダードとされること。使い捨て槽が形・撹拌原理・通気方式で異なり移管やスケールアップが課題になりうること。50〜2,000 L のファミリー、H/D 2:1Dreher ら 2013 出典15 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3980816/事実
DynaDrive が5 Lから5,000 Lまであり「市場で最初の5,000 L の使い捨てバイオリアクター」とされ、バッグに Aegis5-14 フィルムを使えることThermo Fisher 製品ページ(自社製品についての記載) 出典16 https://www.thermofisher.com/us/en/home/bioprocessing/products/bioreactors/single-use-dynadrive.html事実
波動型バイオリアクターが使い捨てで洗浄・滅菌を必要としないことSingh 1999(要旨) 出典17 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3449934/事実
大型の使い捨て槽では物理的な制約から最大 P/V が20〜30 W/m³ 程度であることLemire ら 2026 出典18 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12908111/事実
層の厚み(接液層約264 µm、EVOH 約25 µm、接液層が約74%)。1 m² を1日に通る酸素約0.016 mmol が、2,000万個/mL の培養液1 Lの約13秒分であること。液1 mLあたりの接液面積(1 L で0.60、2,000 L で0.048 cm²/mL、約12.6倍)。2,000 L のバッグの底の静水圧約21 kPa本稿の計算。1 mil=25.4 µm、22.4 L/mol、酸素消費5.5 pmol/細胞/日、満液の立方体、H/D=2 の円筒、密度1,000 kg/m³ は本稿が置いた前提本稿の計算
USP〈665〉〈1665〉の本文・試験条件・施行日。他社フィルムの層構成。使い捨て部材の製造・廃棄を含む環境負荷の総合比較本文が購読者向けで確認していない、または本稿の調査範囲の一次情報では確認できなかったため記載していない(解説)解説
ガスバリア層が守るのは保管中の品質だという読み取り。ガンマ線滅菌が材料の化学を変える工程だという整理。供給者の工程管理が参入条件になるという整理。標準化データの再利用が置き換えを難しくするという読み取り。検出できる欠陥が容量とともに粗くなるので欠陥を作らない工程能力が効くという読み取り。21 CFR 211.65 の要件がステンレスでも樹脂でも同じだという整理。使用済み部材が固形廃棄物になること。比較表の整理公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない解説
図1〜図5が実際の製品断面・測定結果ではなく説明のための作図であること。図1右の層の厚み比が等分の模式であること。ヒーロー画像と図6がAI生成イメージであること本記事による注記(解説)解説

最終更新:2026年9月23日/出典は一次情報(フィルム・装置メーカーの自社製品資料、査読論文、ICH・USP・米国連邦規則・BioPhorum の公表資料)に限定しています。 メーカー資料は、その企業自身の製品についての記載としてのみ扱っています。 USP〈665〉〈1665〉の本文と施行日、他社フィルムの層構成、使い捨て部材の製造・廃棄を含む環境負荷の総合比較は、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。 ICH Q3E は草案(Step 2)の段階です。 図はすべて説明用の概念図です。図1〜図5はベクター作図、ヒーロー画像と図6はAI生成イメージであり、いずれも実際の製品断面・製品の実物を示すものではありません。