主要成果
東レは、独自の耐熱フィルムを誘電体に採用したプロトタイプフィルムコンデンサを使用し、150°Cという高温環境下でインバータを安定して動作させることに成功しました。また、熱シミュレーションを通じて、この高耐熱コンデンサを電力制御ユニットに導入することで、放熱構造のサイズを従来比で半分に削減できる可能性を明らかにしています。
技術・詳細
今回の成果は、名古屋大学の山本正義教授(物質・システム持続可能性研究センター)との共同研究によるものです。インバータ(直流を交流に変換し、モーターなどの機器を制御する装置)内で電力を安定させる役割を持つフィルムコンデンサに、東レ独自の耐熱フィルムを適用しました。フィルムコンデンサはプラスチックフィルムを誘電体として使用する部品であり、優れた耐久性と信頼性を備えているため、インバータなどの電力変換装置に広く利用されています。
検証では、150°Cの耐熱フィルムを用いたコンデンサが、高温条件下においてもプロトタイプインバータ内で安定して動作することが実証されました。この耐熱性の向上により、これまでコンデンサの耐熱限界が制約となっていたシステム設計の自由度が向上し、結果として冷却系の小型化が可能になります。
背景・業界の文脈
自動車や航空機、空飛ぶクルマといった次世代モビリティの電動化に伴い、ドライブシステムの高出力化が進んでいます。しかし、高出力化は発熱量の増加を招き、インバータ内のフィルムコンデンサが耐えうる温度制限がシステム全体の設計上のボトルネックとなっていました。特に空飛ぶクルマのような機体では、飛行航続距離を延ばすために、放熱構造の小型・軽量化が極めて重要な課題となっています。
本開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「次世代モビリティ用フィルムコンデンサ向け高耐熱フィルム開発」プロジェクトの支援を受けて実施されました。このプロジェクトは、空飛ぶクルマや電気自動車(EV)向けに、空冷式の電力制御ユニットを実現する150°C対応の誘電体フィルムの開発を目的としています。空冷ユニットの小型・軽量化および効率化が実現すれば、エネルギー消費の削減と省エネに寄与します。
今後の展望
東レと名古屋大学は、今後、150°C対応コンデンサの商用化に向けて、フィルムの開発および評価を継続して行う計画です。また、同社は2026年10月13日から16日まで幕張メッセで開催されるデジタルイノベーション展「CEATEC 2026」のNEDOブースにて、本技術を展示する予定です。
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