主要成果
金ナノ粒子バイオセンサーを搭載した軽量ドローンを用いて、ヒト血清中のデングウイルス抗原を5秒以内に可視化し、検出することに成功した。報告された検出限界は0.91μg/mLである。このシステムは、ラテラルフローアッセイ(側方流動免疫測定法)、小型無人航空機(UAV)、YOLOv5に基づく画像解析、およびQRコード連携の報告システムを組み合わせたプロトタイプである。
技術・詳細
ハードウェアには、重量249g未満、サイズ251×362×70mmのDJI Mini 3 Proが採用された。バッテリー容量は2,453mAhで、海面下・無風状態のSモードにおける最高速度は16m/sである。ラテラルフローストリップは両面テープでドローンに固定され、飛行中の保護のため半透明のプレキシガラスで封入されている。機体に配置されたQRコードから報告用ウェブページを開き、検査結果をラボ職員に送信できる仕組みとなっている。
生化学的なコアには、多価デング抗原を認識する34塩基のDNAアプタマーが使用されている。金ナノ粒子は塩化金酸をクエン酸三ナトリウムで還元して合成され、pH 9.2〜9.6でアプタマーと混合された。ゼータ電位分析では平均表面電荷マイナス37.56mV、動的光散乱法(DLS)では平均流体力学的直径11.59nm、透過型電子顕微鏡(TEM)では粒子径12.43±0.20nmと測定され、粒子は球状で良好に分散していた。
アプタマーの結合後、表面プラズモン共鳴バンドは521nmから526nmへシフトし、流体力学的直径は17.11nmに増加した。分子ドッキングによる予測結合親和性のスコアはマイナス326.89であった。また、電気泳動移動度シフトアッセイにより、意図した分子複合体の形成が確認されている。
センサーの動作原理は、デング抗原が存在するとアプタマーが抗原に結合し、金ナノ粒子が複合体から放出される仕組みである。放出された粒子がテストラインに固定されたリゾチームに結合することで、肉眼で確認可能な赤色のバンドが形成される。抗原がない場合は複合体が維持されるため、バンドは現れない。70μLのサンプルを適用し、室温で30秒間の検証を行った結果、金・アプタマー・デング抗原の3成分が揃った段階でのみ信号が生成された。
背景・業界の文脈
本研究は、分散型のデング熱スクリーニングを実現するための概念実証(Proof-of-Concept)として設計された。従来の集中型検査ではなく、ドローンを用いて診断ストリップを採取地点の至近まで運び、その場で検査を実施してデジタル的に結果を伝送するというワークフローを提案している。
今後の展望
研究チームはpHとアプタマー負荷量の最適化を行い、1〜100μg/mLの濃度範囲でテストを実施した。ImageJを用いた密度分析では決定係数0.994を記録し、半定量的な抗原測定に適していることが示された。今回の実証は研究室および限定的なフィールド条件下で行われたものであり、実際のデング熱流行時における自律的な監視体制の構築に向けた基礎技術となる。
元記事: https://bioengineer.org/drone-integrated-biosensor-detects-dengue-antigen-in-five-seconds/
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