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宇宙用太陽電池 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

宇宙用太陽電池
― 「効率30%」の読み方、放射線での劣化、展開式パネル、新しい材料の段階

人工衛星や宇宙ステーションの電気の多くは、太陽電池でまかなわれています。ただし宇宙の太陽電池は、地上のものとは光の条件も、傷み方も、求められる軽さも違います。 この記事は、宇宙の知識がなくても読めるように、①光の強さは距離と向きで決まる、②「効率」は条件つきの数字(AM0)、③三接合セルは光の色を3層で分担する、④放射線で結晶が乱れて出力が落ちる、⑤巻き取って運ぶ展開式パネル、⑥ペロブスカイトなど新材料はいまどの段階か、の順に、図と小さな計算で説明します。 「宇宙用なら地上用より高性能」とも「新材料が主力を置き換える」とも言わず、確認できたこと/計画/確認できなかったことを分けて書きます。

構成:NASA の技術資料、メーカー(Azur Space)のデータシート、JPL・NASA の発表、査読論文(Journal of Applied Physics、Advanced Materials、Joule など)、ECSS・AIAA・ISO の規格ページ、Ricoh の発表を使用/数値例は本稿で計算/確認日 2026年10月17日

太陽電池セルだけでなく、保護ガラス・接続・支持パネルまでを含めて宇宙用のアレイになります。画面や外観は性能測定結果ではありません。
図1 概念画像(ImageGen生成)。太陽電池セルだけでなく、保護ガラス・接続・支持パネルまでを含めて宇宙用のアレイになります。画面や外観は性能測定結果ではありません。実際の製品・施設・測定結果・設計寸法ではありません。実物と拡大模型を区別してください。線・矢印・色は説明用です。
この記事の構成
  1. 3行でわかる/読む前に知っておくこと/シリーズの中での位置
  2. 太陽電池が受け取る光は、距離と向きで決まる
  3. 「効率30%」の前に:AM0 という条件
  4. 三接合セル:光の色を3層で分担する
  5. 放射線で何が起きるか:変位損傷と劣化の曲線
  6. 熱と重さ:1 kW を作るのに、どれくらいの面積と質量か
  7. 展開式パネル:巻いて運び、宇宙で広げる
  8. シリコン・薄膜・ペロブスカイト・有機:研究の段階
  9. いまどこまで来たか(2026年10月17日確認)
  10. 評価・標準の読み方
  11. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出・整理した値
未確定/将来=計画・目標・実施中で結果が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。推測は太字で示します。たとえ話には、必ず「たとえの限界」を書きます。

この記事の数値の読み方

効率・出力・劣化の数値は、どの光(AM0 など)で、何℃で、どの放射線量で、セルかパネルかアレイかを添えたものだけを載せています。メーカーの値は「メーカー公称」と書き、第三者の検証がある値とは区別します。 条件の違う数字(宇宙用と地上用、セルとアレイ、別メーカー)を並べて優劣はつけません。ペロブスカイトなどの新材料は研究・実証の段階であり、効果や価値を断定しません。 この分野は変化が速いため、機体・ミッション・規格の状態には確認日(2026年10月17日)を付けています。

1. 3行でわかる/読む前に知っておくこと/シリーズの中での位置

  • 宇宙用の主力は、三接合などのIII-V族セル:NASA は、現在の宇宙用太陽電池の最先端をGaAs・InGaP・Ge などIII-V族の3〜5接合とし、効率は目安として30%前後、高いもので34%と整理しています事実[参考資料1]。
  • 「効率」は条件つきの数字:宇宙用はAM0(大気のない光)で測ります。同じセルが、分母に使う太陽光の強さの約束だけで29.2%にも29.5%にもなります事実[参考資料2]。地上用の記録とそのまま並べることはできません。
  • 劣化は「放射線」が主役:高エネルギーの粒子が結晶を乱し、出力が落ちます。あるメーカー公称のセルでは、1 MeV 電子のフルエンス1015個/cm²で効率が29.2%から26.0%へ、1016個/cm²で18.4%へ下がります事実[参考資料2]。新しい材料(ペロブスカイトなど)は、地上試験・短時間の飛行が中心で、主電源としての運用実績は、この記事の出典の範囲では確認できませんでした。
この記事を読む前に知っておくこと

前提知識はありません。「太陽電池は光を電気に変える部品」「宇宙には空気がない」程度で十分です。軌道や衛星の基本は、本シリーズの『宇宙産業概論』『宇宙環境と材料への影響』編にまとめています(この記事でも必要な点は短く説明します)。式は最小限にし、使うときは文章で意味を説明して数の例で確かめます。難しい話は「もっと詳しく」の折りたたみに入れています。

シリーズの中での位置

宇宙環境の「5つの敵」(①真空、②放射線、③大きな温度変化、④原子状酸素・紫外線、⑤微小重力・デブリ)のうち、太陽電池がおもに戦うのは②放射線と③温度変化、そして④の紫外線によるカバーガラスや接着剤の変色です。この記事のあとは、太陽電池と対になる『宇宙用電池』編(影の時間に使う電気をためる)、さらに『フレキシブル太陽電池』編(ペロブスカイトを曲がる基板に作る話。地上の研究が中心)を読むと、つながりが分かりやすくなります。月や深宇宙で使う原子力の電源は『原子力電源』編、放射線が電子部品に与える影響は『放射線と電子部品』編で扱います。

2. 太陽電池が受け取る光は、距離と向きで決まる

まず、身近な例から始めます。懐中電灯を壁に近づけると明るい円が小さくなり、遠ざけると円が大きく広がって暗くなります。光の量は同じでも、広い面積に広がるほど、1平方メートルあたりの光は弱くなります。太陽の光も同じです。

太陽からの距離が2倍になると、同じ光が4倍の広さに広がるので、1平方メートルあたりの強さは4分の1になります。これを「逆2乗則」と呼びます。NASA の資料も、太陽電池に当たる光の強さは太陽からの距離の2乗に反比例して変わる、と説明しています事実[参考資料1]。もう一つの要素は向きです。パネルを太陽に真正面に向けたときが最大で、傾けるほど、傾きの角度の cos(コサイン)に比例して減ります事実[参考資料1]。

太陽電池が受け取る光は、距離と向きで決まる 距離が2倍になると、同じ光が4倍の広さに広がる 太陽 距離 1 強さ 1 距離 2 強さ 1/4 距離 5 強さ 1/25 光の強さは 距離の2乗に反比例(逆2乗則) 木星は地球の約5倍の距離 光は約1/25(JPL) パネルの向きでも変わる 出力は cosθ に比例 真正面(θ=0°): 1 θ=60°: cos60°=0.5(本稿の計算)
図2 概念図(ベクター作図)。距離の目盛りは地球の距離を1とした相対値の例示で、実際の縮尺ではありません。木星で光が約1/25になること、地球付近で約14 kW 相当のアレイが木星で約500 Wしか出ないことは JPL の発表(2016年)に基づく事実。cosθ は NASA の解説に基づき、60°の値は本稿の計算本稿の計算です。

この「距離で光が弱まる」効果を実感できるのが、木星探査機 Juno です。JPL(NASA のジェット推進研究所)の発表(2016年1月13日)によると、Juno は長さ約9 m(30フィート)の太陽電池アレイ3枚に18,698個のセルを並べ、地球の距離では約14 kWを作れる設計ですが、木星は地球の約5倍遠く、光は25分の1に弱まるため、木星では約500 Wになる、とされています事実[参考資料5]。同じ発表は、Juno 以前に木星まで行った8機の探査機はすべて原子力の電源を使っていた、とも述べています事実[参考資料5]。遠くへ行くほど太陽電池は不利になり、原子力電源の出番が増える、という関係です(『原子力電源』編)。

つまずきやすいところ:「25分の1」と「500 W」の関係

14 kW を25で割ると約560 Wです。JPL の発表の「約500 W」とほぼ合いますが、実際の値は温度や劣化、観測機器の条件でも変わるため、きっちり一致はしません(本稿の計算14,000 ÷ 25 = 560 W)。たとえの限界:懐中電灯のたとえは「距離で広がる」ことを説明するものです。実際の太陽電池の出力は、温度や劣化にも左右されます。

3. 「効率30%」の前に:AM0 という条件

太陽電池の「効率」は、当たった光のエネルギーのうち、何%を電気にできたかです。ここで、「当たった光」とは何でしょうか。宇宙では大気がありませんが、地上では光が大気を通り抜けて弱まります。そこで、試験の条件を決めておく必要があります。

  • AM0(エー・エム・ゼロ):大気を通っていない太陽光。宇宙用のセルは、この条件で測ります。AM は air mass(光が通り抜ける空気の量)の略です。ISO 15387(単接合の宇宙用セルの測定と校正の規格。現在は取り下げ済み)の要旨も、本文の主題を AM0 の標準校正としています事実[参考資料20]。
  • AM1.5G:地上の標準試験で使う、大気を通った光(G は直射と散乱をあわせた全天の光)。強さは1000 W/m²、セルの温度は25℃と決められています(効率表 Version 64 の記載)事実[参考資料7]。

AM0 の光の強さにも「約束」があります。Azur Space(ドイツのセルメーカー)のデータシートは、AM0 WRC、1367 W/m²、28℃を条件にしています事実[参考資料2]。一方、衛星による実測では、2008年の太陽活動の極小期の太陽放射は1360.8 ± 0.5 W/m²で、1990年代に定められた値(1365.4 ± 1.3 W/m²)より低い、と Kopp と Lean が報告しています事実[参考資料6]。これは太陽が弱くなったのではなく、古い測定器の迷光が原因だった、と同論文は説明しています。

基準そのものも更新されます。欧州の宇宙標準 ECSS-E-ST-20-08C の2023年版(Rev.2)は、AM0 の基準分光放射照度として Gueymard(2018)の論文のスペクトルを指定し、その照度は1361.1 W/m²(太陽定数、AM0、垂直入射)と注記しています事実[参考資料23・24]。メーカーのデータシートの1367 W/m²や1353 W/m²とは数字が違うため、どの版の基準で測った効率かを確かめる必要があります。

宇宙と地上で、光の「条件」が違う セル AM0: 大気なし 宇宙用セルの試験 大気 セル AM1.5G: 大気を通った光 地上用セルの試験 AM = air mass(光が通る空気の量) 「分母」に使う光の強さ(W/m²) 宇宙用の試験で使う値(AM0 WRC) 1367 衛星で実測した太陽放射(2008年極小期) 1360.8 地上用の標準試験(AM1.5G) 1000 効率の%は、この「分母」に対する比 → 宇宙用と地上用の%は、そのまま並べられない 同じセル(メーカー公称のデータシート)でも、分母の約束で数字が変わる: 3G30C-Advanced 6x12、28℃、BOL ⇒ 29.2%(1367 W/m²基準) / 29.5%(1353 W/m²基準) 地上の三接合(別構造・AM1.5G)の37.9%とは、条件が違うので優劣は言えない
図3 概念図(ベクター作図)。1367 W/m²(AM0 WRC、28℃)と29.2%/29.5%(1353 W/m²基準)は Azur Space のデータシート(2026年3月24日版)事実。1360.8 W/m² は Kopp と Lean(2011)の衛星計測、1000 W/m²(AM1.5G、25℃)と地上の三接合37.9%(Sharp、AIST 確認、2013年)は Green らの効率表(Version 64)に基づきます事実。棒の長さは値に比例しています。
よくある誤解:「宇宙用のセルは30%、地上用は37.9%の記録がある。だから宇宙用は劣っている」

数字だけで比べてはいけません。上の図のとおり、宇宙用は AM0(1367 W/m²、28℃)、地上用の効率表は AM1.5G(1000 W/m²、25℃)で測り、分母にする光の強さも光の色の分布も違います。さらに、地上の37.9%は別の構造(InGaP/GaAs/InGaAs の三接合)の小面積セルの確認値、宇宙用は放射線に耐える設計・認定を経た量産品の代表値で、目的が違います。「光の条件」「セルの構造」「面積と量産」「放射線への強さ」の4つをそろえて初めて比較できます。

実際、メーカー公称の同じセル(3G30C-Advanced 6x12)が、データシートでは1367 W/m²基準で29.2%、1353 W/m²基準で29.5%と二通りに書かれています事実[参考資料2]。NASA の表も、同じ種類のセルを29.5%と載せています[参考資料1]。数字が違うのはセルが違うからではなく、分母の約束が違うからです。推測:条件をそろえて見られるようにするため、データシートは両方の値を載せていると考えられます。

4. 三接合セル:光の色を3層で分担する

太陽の光は、青から赤外まで、いろいろな色(波長)が混ざっています。1層だけのセルは、特定の色の付近が得意で、それより高エネルギーの光は余りが熱になり、低エネルギーの光は通り抜けてしまいます。そこで、得意な色の違う層を縦に重ねて、色ごとに受け持たせます。これが多接合セルです。Yamaguchi らの総説も、1層の太陽電池の効率が理論上の限界(32〜33%付近)に近づいたため、バンドギャップの違う材料を重ねて太陽光の色を分担させるのが効率向上の戦略だ、と述べています事実[参考資料8]。

異なる接合層が光の波長を分担する概念です。色と厚さは模式で、特定製品の積層・効率を再現していません。
図4 概念画像(ImageGen生成)。異なる接合層が光の波長を分担する概念です。色と厚さは模式で、特定製品の積層・効率を再現していません。実際の製品・施設・測定結果・設計寸法ではありません。実物と拡大模型を区別してください。線・矢印・色は説明用です。
元のSVG・数値・出典を確認する
三接合セル: 光の「色」を3層で分担 太陽光(いろいろな色が混ざる) InGaP 短い波長(青側)を吸収 GaAs 中間の波長を吸収 Ge(基板) 長い波長(赤外側)を吸収 3層が縦に直列で接続 電流は最も少ない層にそろう 上: 広いバンドギャップ 無駄が少ない 中: GaAs 下: 狭いバンドギャップ 通り抜けた光を拾う 1層だけだと、何がもったいないか 1層のセル 青い光 → 余りは熱 赤外 → 通り抜ける 層を重ねると それぞれの色を ちょうどよく受け持つ 現在の宇宙用の主流は3〜5接合のIII-V族(NASA) 目安の効率は30〜34%(宇宙用、AM0、NASA の整理) 1層の理論上限は32〜33%付近(Yamaguchi, 2021) → 層を重ねる目的は「色の分担」 層の名前は一例(Azur の三接合の構成) バンドギャップの数値は書かない(概念図)

元SVGの説明:概念図(ベクター作図)。層の厚みや並びは説明用に簡略化しており、実在のセルの断面ではありません。InGaP/GaAs/Ge の構成は Azur Space のデータシート、3〜5接合・30〜34%は NASA「State-of-the-Art of Small Spacecraft Technology」(2026年5月7日版)、32〜33%は Yamaguchi ら(2021)に基づきます事実。

3層は縦に直列でつながっているので、電流は最も電流の少ない層にそろいます(電流整合)。このため、層ごとの材料と厚みを、宇宙の光の色の分布(AM0)に合わせて設計します。たとえの限界:「色の分担」は、役割分担のたとえです。実際の層は、光の吸収と電気の取り出しを同じ結晶の中で同時に行い、層の間の接続(トンネル接合)や反射防止膜も性能を左右します。

素材技術者の視点①:宇宙用セルは「結晶の積み木」と「周辺の材料」でできている

Azur Space の3G30C-Advanced(6x12)のデータシートから、材料構成を読み取ると次のとおりです事実[参考資料2]。

  • ベース材料は「InGaP/GaAs/Ge on Ge」。Ge 基板の上にGaAs と InGaP の層を結晶成長させた構造です。セルの厚みは150 µm、面積は71.25 cm²(6 cm × 12 cm)、重さは86 mg/cm²以下(約6.1 g)と記されています。反射防止膜は TiO₂/Al₂O₃です。
  • セルに、熱膨張の小さい銀めっきの Kovar(コバール合金)の接続片を溶接し、厚さ100 µm の反射防止付きカバーガラスを接着剤で貼ったものが「アセンブリ(CIC)」です。厚み290 µm、重さ123 mg/cm²以下です。
  • 解説:層を重ねるには、隣り合う結晶の格子の大きさをそろえる必要があります(格子整合)。そろわないと欠陥が増えるためです。宇宙用では、結晶の完成度が、そのまま放射線に耐える設計と歩留まりに影響します。データシートも「放射線に強い設計」を特長に挙げていますが、設計の中身は数値では示されていません(確認できなかった)。

地上の最高記録(たとえば、米国の国立研究所 NREL などが報告した6接合・集光下で47.1%)は、集光(光を数十〜百倍に集める)などの地上の研究条件での値です事実[参考資料1・8・22]。宇宙用は、これらの研究成果の一部を取り入れながら、量産と放射線耐性の認定を経て使われます。

5. 放射線で何が起きるか:変位損傷と劣化の曲線

ではなぜ、宇宙で太陽電池は傷むのでしょうか。理由は、宇宙には高エネルギーの電子や陽子(放射線)が飛び交っているからです。これらは、太陽電池の結晶の中を高速で通り抜け、結晶の原子をはじき出します。

① 高エネルギーの粒子が来る ② 原子がはじき出される ③ 欠陥が電気の粒を捕まえる 電子・陽子 (宇宙放射線) 結晶の中を高速で通る 空いた穴(空孔)とずれた原子 = 変位損傷(結晶の乱れ) 電子 正孔 欠陥に捕まる → 電流にならない = 出力の低下 ポイント: 「穴が開く」のではなく、結晶の並びが少し乱れて、電気を運ぶ粒の寿命が縮むことが主因 (電離による影響や、材料ごとの違いは本文と参考資料を参照)
図5 概念図(ベクター作図)。原子の数や配置は説明用の模式図で、実際の結晶構造ではありません。変位損傷が出力低下の要因であること、損傷の大きさを NIEL(非イオン化エネルギー損失)で整理することは Summers ら(1993)、Messenger ら(2001)、Walters ら(2005)の要旨に基づきます事実。

原子が抜けた穴(空孔)やずれた原子は「欠陥」になり、太陽の光で生まれた電子と正孔(電気を運ぶ粒)を途中で捕まえてしまいます。捕まった粒は電流になれないので、出力が落ちます。これを変位損傷と呼びます。NRL(米国海軍研究所)の Summers らは、損傷の大きさを「非イオン化エネルギー損失(NIEL)」で整理できることを示し、Si・GaAs・InP の太陽電池で、電子・陽子・ガンマ線の損傷を対応づけました事実[参考資料9]。Walters らは、三接合のIII-V族セルで電子・陽子が作る欠陥がどう性能を下げるかを整理しています[参考資料11]。

(1) 劣化の「ものさし」:1 MeV 電子の量(フルエンス)

放射線の種類やエネルギーはさまざまなので、「この軌道で、この年数」の影響を、1 MeV の電子が何個/cm²当たったときと同じかに換算する方法があります。JPL の「等価フルエンス」法と、NRL の「変位損傷量(DDD)」法で、後者は必要な実験データが少なくて済むため、新しいセル技術に適用しやすい、と Messenger らは比較しています事実[参考資料10]。次の図は、メーカー公称の代表値です。

三接合セルの放射線劣化の一例(メーカー公称) 0 10 20 30 セル効率(%) 29.2 BOL 100% 28.1 5E13 96% 27.6 2.5E14 95% 27.1 5E14 93% 26.0 1E15 89% 18.4 1E16 63% 電子 BOL比 1 MeV 電子フルエンス(個/cm²)― 横軸は等間隔のカテゴリで、実際の比例目盛りではない
図6 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。Azur Space「3G30-Advanced (6x12)」データシート(2026年3月24日版)の「Typical Electrical Performance」のセル効率(AM0 WRC、1367 W/m²基準、28℃、1 MeV 電子のフルエンス)を作図しました事実。「BOL比」は各値÷29.2の本稿の計算です本稿の計算。メーカー公称の代表値であり、実際の軌道での劣化量そのものではありません(陽子の影響や遮蔽は含みません)。

この例では、1015 個/cm²で効率は約89%(26.0 ÷ 29.2)に、その10倍の1016 個/cm²では約63%(18.4 ÷ 29.2)に下がります本稿の計算。最初の数%は緩やかで、量が増えるほど大きく落ちる、という形です。どの軌道でどれくらいの量になるかは、軌道の高度・傾き・期間・遮蔽(カバーガラスの厚さなど)で大きく変わります。この図の値を、特定の衛星の寿命に当てはめることはできません。

つまずきやすいところ:「真空だから劣化しない」わけではない

宇宙は空気がなく、サビや湿気がありません。そのため「宇宙の方が材料は傷まない」と考えがちですが、放射線・温度の繰り返し・紫外線(カバーガラスや接着剤の変色)が、別の傷み方を起こします。NASA の資料も、太陽電池の劣化要因として、放射線への曝露、カバーガラスや接着剤の黒ずみ、表面の汚れ、機械的・電気的な故障を挙げています事実[参考資料1]。劣化の「速さ」が違うだけで、劣化は起きます。

もっと詳しく:材料によって放射線への強さが違うのはなぜか

Yamaguchi(1995)は、1 MeV の電子を照射した多くの太陽電池(InP、InGaP、InGaAsP、GaAs、AlGaAs、InGaAs、Si、Ge、CuInSe₂ など)の結果を、損傷定数(欠陥の作られやすさ)、バンドギャップ、光の吸収係数で整理しました。CuInSe₂ と InP 系が放射線に強いのは、CuInSe₂ では吸収係数が高いこと、InP 系では欠陥ができにくいことで説明される、と述べています事実[参考資料12]。吸収係数が高ければ、薄い層で光を吸収できるので、欠陥の影響を受けにくくなります。解説:材料の「薄さ」は、軽さと放射線耐性の両方に効く、という見方ができます。

6. 熱と重さ:1 kW を作るのに、どれくらいの面積と質量か

ここで、数字で実感してみましょう。Azur Space のデータシート(メーカー公称)を使い、セル単体で1 kW を作るのに要る面積と質量を概算します。

条件(メーカー公称値をもとに本稿が算出)出力密度(W/m²)1 kW に必要なセル面積カバーガラス付き(CIC)の質量
初期(BOL)、28℃約399約2.5 m²約3.1 kg
1 MeV 電子 1015個/cm²後(EOL の一例)、28℃約355約2.8 m²約3.5 kg
上と同じ劣化で、セルが78℃(28℃より50℃高い)約306約3.3 m²約4.0 kg

本稿の計算:セル単体(71.25 cm²)の最大電力点の電圧・電流(Vmp×Imp)をデータシートから取り、温度係数(ΔVmp/ΔT = −7.2 mV/℃、ΔImp/ΔT = +0.66 mA/℃)を直線で当てはめました。質量はカバーガラス付きの123 mg/cm²(1.23 kg/m²)を使い、基板・配線・構造・展開機構は含みません。78℃は例示で、実際の動作温度は軌道と姿勢で決まります。

ここから読み取れることが2つあります。第一に、太陽電池の面積は「光の強さ×効率」で決まるので、劣化と高温の両方が、必要な面積(つまり重さ)を増やします。劣化後の高温の条件では、初期の28℃より約3割多い面積が要ります(約3.3 ÷ 約2.5 ≒ 1.3倍、本稿の計算)。第二に、温度が上がるほど電圧が下がるので、熱をどう逃がすかが重要です。

素材技術者の視点②:「吸収した光の大部分は、熱になる」

データシートには、カバーガラス付きアセンブリの太陽光の吸収率が0.91以下と記されています事実[参考資料2]。この上限値を使って概算すると、1367 W/m²のうち約1244 W/m²を吸収し、アセンブリの効率28.8%(BOL、1367 W/m²基準)で電気にできる約394 W/m²を引いた最大で約850 W/m²が熱になります本稿の計算(0.91 × 1367 − 28.8% × 1367 ≒ 1244 − 394。上限値を使った見積りで、実際の値はこれ以下です)。宇宙には対流がなく、熱は放射でしか逃げません(『宇宙機の熱制御』『熱制御材料と放射冷却』編)。そのため、カバーガラスの表面の性質(吸収率・放射率)、接着剤の透明さ、紫外線による変色の少なさが、電気と熱の両方の性能につながります。NASA が劣化要因に「カバーガラスや接着剤の黒ずみ」を挙げているのは、この理由によります[参考資料1]。

7. 展開式パネル:巻いて運び、宇宙で広げる

ロケットの中は狭く、重さにも限りがあります。大きな太陽電池を運ぶには、畳んで(または巻いて)運び、宇宙で広げるのが基本です。これを「展開式」と呼びます。NASA の資料は、展開式アレイは衛星の中でもっとも大きな構造物になることが多く、小型衛星で電力を増やすために使われる一方、設計の複雑さ・信頼性・リスクが増す、としています事実[参考資料1]。

代表例が、国際宇宙ステーション(ISS)のiROSA(ISS Roll-Out Solar Array)です。NASA によると、ISS の太陽電池アレイは2000年12月に最初の1対が展開され、設計寿命は15年でした。いまは「想定どおりの劣化の兆候」があり、8つの電力系統のうち6つに新しいアレイを重ねて取り付けて電力を補います。元の8枚は最大約160 kW(軌道の昼間)で、新しい1枚は20 kW超、完成時は最大約215 kWを目指す計画です事実[参考資料3]未確定/将来。新アレイは、ROSA の技術を大型にしたもので、ROSA は2017年6月に ISS で展開の機械的な動作が実証されました[参考資料3]。

① 巻いて収納 ② 輸送 ③ ブームが伸びる ④ 展開完了 太陽電池の布(ブランケット)を ブームごと筒に巻く 貨物船の 非与圧トランク 巻いた状態なら小さく運べる (収納体積を節約) ブーム(細い梁)が伸びる力で ブランケットを引き出す 1枚で20 kW超(NASA) 約10分で展開した例 国際宇宙ステーション(ISS)の例(NASA、計画値を含む) ・元の8枚のアレイ: 最大で約160 kW(昼間)。2000年12月に最初の1対を展開、設計寿命15年 ・6つの電力系統に新アレイを重ねて取り付け、合計で最大約215 kWが目標(計画値) ・NASA は元のアレイに「想定どおりの劣化の兆候」があると記す ・小型衛星向けの展開式アレイの比出力(メーカー公称): ROSA 100 W/kg(NASA の表) ・実際の宇宙機の比出力は約30 W/kg付近に集まる(Peretz ら、2024、NASA 掲載)
図7 概念図(ベクター作図)。寸法・巻き方は説明用に簡略化した模式図で、実際の機体の構造ではありません。ISS の数値と「約10分」は NASA の発表(2021年)に基づく事実。最大約215 kWは完成時の計画値です未確定/将来(確認日 2026年10月17日)。ROSA の比出力はメーカー公称値です。

iROSA は、NASA の ISS 運用の主契約企業 Boeing、その子会社 Spectrolab、主要な供給企業の Deployable Space Systems が供給し、貨物船 Dragon の与圧されていないトランクで運ばれました[参考資料3]。取り付けは宇宙飛行士の船外活動で行い、2021年6月25日の例では、展開に約10分かかりました[参考資料4]。NASA のページには、3組(6枚)の打上げと取り付けの日付(2021年6月、2022年11〜12月、2023年6月)が掲載されています(確認日 2026年10月17日)[参考資料3]。

巻かれたブランケットが、ブームの展開によって広がる3段階です。折り畳み式の硬いパネルとは別の方式で、寸法や速度は模式的です。
図8 概念画像(ImageGen生成)。巻かれたブランケットが、ブームの展開によって広がる3段階です。折り畳み式の硬いパネルとは別の方式で、寸法や速度は模式的です。実際の製品・施設・測定結果・設計寸法ではありません。実物と拡大模型を区別してください。線・矢印・色は説明用です。

「効率」より「比出力」を見る理由

展開式パネルを比べるときは、効率(%)より比出力(W/kg、重さあたりの出力)が大切です。NASA の資料は、Peretz らの2024年の分析を引いて、実際に飛んだ太陽電池アレイの比出力は約30 W/kg付近に集まり、最大でも200 W/kgであること、三接合セルの効率が理論上の限界(約40%)に達しても、深宇宙の探査に必要な面積と質量は現実的でなく、アレイの質量を減らす必要がある、と整理しています事実[参考資料1]。また、NASA の製品表には、Redwire の ROSA(柔軟な太陽電池ブランケット)が100 W/kg、ピーク出力1000 W(BOL)と載っています。ただしこれはメーカー公称で、NASA が独立に検証した値ではない、と注記されています事実[参考資料1]。

つまずきやすいところ:「BOL」と「EOL」、「ピーク電力」

BOL(beginning of life)は運用開始時、EOL(end of life)は寿命の終わり頃です。宇宙のミッションでは、EOL の出力で設計します。NASA の資料も、太陽電池アレイは寿命を決める部品なので、動作温度でのEOL性能が重要な指標だと述べています[参考資料1]。製品表の「ピーク BOL 電力」は、多くの場合、約28℃の標準条件での初期のピーク出力で、ミッション(軌道・劣化・温度)には依存しない値です[参考資料1]。別の製品どうしを比べるときは、この定義がそろっているかを確認してください。

8. シリコン・薄膜・ペロブスカイト・有機:研究の段階

ここまでは、主力のIII-V族の話でした。次に、他の材料が宇宙でいまどの段階かを整理します。ここでは「段階」(地上研究→地上の宇宙環境試験→短時間の飛行→軌道上での暴露→主電源としての運用)で見ます。性能の優劣を論じるものではありません。

宇宙用太陽電池の材料別の段階(確認日 2026年10月17日) 地上の研究 地上の宇宙環境試験 短時間の飛行 軌道上で暴露 主電源として運用 III-V族 多接合 シリコン CIS/CIGS 薄膜 - - ペロブスカイト - 有機(OPV) - - この記事の出典で確認できた 計画・実施中の発表はあるが結果は確認できなかった 「-」は、この記事の出典の範囲では確認できなかった(実施されていない、という意味ではない) 「運用」は宇宙機の主電源に使われている、の意味。記号は「段階」であり、性能の優劣ではない
図9 概念図(ベクター作図)。段階の判定は、NASA「State-of-the-Art of Small Spacecraft Technology」(2026年5月7日版)、Tu ら(2021)、Reb ら(2020、ロケット実験)、Messenger ら(2001、CuInSe₂ の Equator-S 飛行データ)、Ricoh の発表(2025年10月27日)に基づく本稿の整理です本稿の計算。
材料確認できたこと課題として挙げられていること区分
III-V族 多接合NASA は、現在の宇宙用の最先端を3〜5接合のIII-V族とし、効率は目安30%・高いもので34%と整理[参考資料1]。メーカーは、軌道上実績(TRL-9 相当)と ECSS-E-ST-20-08C Rev.1 の認定を主張(メーカーの記載)[参考資料2]セルが宇宙機の質量・面積・費用に占める割合が大きい[参考資料1]。放射線による劣化[参考資料2・10]事実
シリコンNASA は、単接合(多くはシリコン)の効率を約20%とし、寿命が短いミッションや費用重視のミッションが主な用途と整理。NASA の表には Azur のシリコンセル(S 32)が初期効率16.8%で載る[参考資料1]効率が低い。放射線への強さはIII-V族と違い、損傷の出方も異なる[参考資料9・12]事実
CIS/CIGS 薄膜CuInSe₂ 系は、1 MeV 電子の照射で放射線に強いと整理され[参考資料12]、CuInSe₂ セルは Equator-S ミッションで飛行し、軌道上のデータが劣化予測と比べられた[参考資料10]。薄膜は <1〜数 µm の層で、軽く柔軟にできる[参考資料1]NASA は、製造の複雑さ、温度への敏感さ、耐久性と効率の低さを挙げる[参考資料1]。ECSS-E-ST-20-08C Rev.2 は、薄膜・多結晶セルを適用範囲に含まない[参考資料17]事実
ペロブスカイトTu らの総説(2021)は、高い効率、高い比出力、柔軟な基板との相性、放射線への強さが有望である一方、宇宙向けの研究はまだ初期(infancy)と述べる[参考資料13]。Lang ら(2016)は、陽子照射中のその場測定で、結晶シリコンの損傷しきい値を約3桁上回る陽子量に耐え、照射後に自己回復が始まると報告[参考資料14]。Reb ら(2020)は、準軌道ロケット(最高到達点239 km、約251秒)で、ペロブスカイトと有機の太陽電池が宇宙の光で動作することを確認[参考資料15]。NASA は、ペロブスカイトの薄膜(セルではなく膜)を ISS の船外に約10か月さらした(2020年3月打上げ、2021年1月回収)ところ、黒いまま残り、地上の対照試料より劣化が小さかったと報告[参考資料26]。Putz ら(Advanced Materials、2026)は、低軌道(約540 km)の衛星 SSPD-1 で、最良の剛性セルが初期効率の約80%を保ち(打上げから約100日のうち44日間の測定、約1,600回の日陰サイクル)、柔軟なセルは陽子の50年相当の照射後に効率の92%超を保ったと報告[参考資料27]NASA は、劣化、長期の安定性の不足、強い放射線に長くさらされたときの耐久性を主な限界とする[参考資料1]。軌道上のデータは数十日〜約10か月の範囲で、衛星の主電源に必要な数年〜十数年の長期の結果は確認できなかった事実
有機(OPV)NASA は、実験室で約20%の効率とし、陽子で側鎖が切れて電子を捕まえる欠陥ができるが、加熱(アニール)で回復する報告があるとする[参考資料1]。Reb ら(2020)のロケット実験にも含まれる[参考資料15]NASA は、有機系には標準化された安定性試験がまだないとする[参考資料1]事実

確認日は2026年10月17日。各材料の数値は報告ごとに条件(光源、セルの面積、温度)が異なります。表の整理は本稿の計算(整理)。

よくある誤解:「ペロブスカイトは放射線に強いから、すぐに衛星の主電源になる」

いまのところ、そうは言えません。陽子照射で強さが示された報告(Lang ら)、短時間のロケット実験(Reb ら)、ISS 船外で約10か月さらした薄膜の結果(NASA)[参考資料26]、衛星で数十日測ったセルの結果(Putz ら)[参考資料27]はありますが、衛星の主電源に必要な数年〜十数年の軌道上の耐久性は、真空・紫外線・温度の繰り返しも含めて、まだ確かめる段階にあります。2025年10月には Ricoh のペロブスカイト太陽電池が JAXA の HTV-X1 に載せられ、ISS 到着後に約2か月、宇宙に暴露して電流電圧特性を測る実証が始まる、と発表されました[参考資料16]。この実証の結果は、確認日までに見つけられませんでした。

素材技術者の視点③:新材料の「宇宙適用」は、材料そのものより「封止・界面・基板」の話になる

NASA の資料は、薄膜の太陽電池を宇宙で使うための限界として、製造の複雑さ・温度への敏感さ・耐久性を挙げています[参考資料1]。解説:ペロブスカイトや有機の材料は、地上でも「水分・酸素・熱・光」で劣化することが課題になっており、地上ではガラスや樹脂フィルムの封止で守ります。宇宙では、そこに真空(封止からの脱ガス)、原子状酸素と紫外線、放射線、昼夜の大きな温度の繰り返しが加わります。つまり、「材料が強い」だけでなく、「封止材・電極・界面・基板を含めた積層全体」が、これらに耐えるかが問われます。軽さ(比出力)を得るためにフィルム基板を使うと、今度は基板の耐熱性・耐紫外線性・耐原子状酸素性が問題になります(『宇宙用ポリイミド』編)。地上用の結果を、宇宙用の試験で確かめ直す必要があります。ペロブスカイトの一般的な課題は『フレキシブル太陽電池』編をご覧ください。

9. いまどこまで来たか(2026年10月17日確認)

この分野は変化が速いので、一次情報で確認できたことを、確認日つきで整理します。企業の主張は、その企業の主張として書きます。

項目確認できたこと区分
主力セルの水準NASA の整理(2026年5月7日版)では、現行の宇宙用の最先端は3〜5接合のIII-V族で、目安30%・高いもので34%。メーカー公称のセル(Azur Space 3G30C-Advanced)は、AM0・1367 W/m²・28℃で初期29.2%、1 MeV 電子1015個/cm²後に26.0%[参考資料1・2]事実
ISS の展開式アレイNASA のページに、iROSA 6枚(3組)の打上げ・取り付け日(2021年6月、2022年11〜12月、2023年6月)が掲載。新アレイ1枚は20 kW超。完成時に最大約215 kWという目標も同ページに記載[参考資料3]事実
ペロブスカイトの宇宙実証2020年にロケット実験(約251秒で最高到達点239 km)[参考資料15]。2020年3月〜2021年1月、ISS 船外に薄膜を約10か月暴露(NASA)[参考資料26]。衛星 SSPD-1 でセルを測定(Putz ら、2026)[参考資料27]。2025年10月、Ricoh が JAXA の HTV-X1 に搭載し、ISS 到着後に約2か月の暴露実証を行うと発表[参考資料16]。ほかに、中国の企業が軌道上試験の実施・開始を発表しているが(本シリーズのペロブスカイト太陽電池編の企業解説を参照)、結果は確認できなかった事実
ペロブスカイトの結果と主電源化HTV-X1 の実証結果は、確認日までに見つけられなかった。ペロブスカイトが宇宙機の主電源として運用された例は、この記事の出典の範囲では確認できなかった。NASA は、III-V族の上にペロブスカイトを重ねる試みも研究中としている[参考資料1]未確定/将来
薄膜・新材料の認定規格ECSS-E-ST-20-08C Rev.2(2023年4月20日)は、結晶シリコンと単接合・多接合GaAsセルが対象で、薄膜・多結晶は含まない[参考資料17]。ペロブスカイトを対象とする宇宙用の認定規格は確認できなかった事実

確認日は2026年10月17日。ロードマップや企業の目標は、達成済みの事実とは別です。

この記事のまとめ(現状)

宇宙用太陽電池の主力は、いまもIII-V族の多接合セルです。効率は「条件つきの数字」として読み、劣化は「放射線量」とセットで、パネルは「比出力(W/kg)」で見る、という3点が基本です。新しい材料(ペロブスカイト、有機、薄膜)は、軽さと放射線への強さで期待されていますが、数年〜十数年の軌道上の長期実績は、まだ確認できていません(数十日〜約10か月の軌道上データは出てきています)。段階を見ながら、地上用の話と混ぜずに読むことが大切です。

10. 評価・標準の読み方

宇宙用太陽電池の良し悪しは、1つの数字では測れません。「効率」は、光の条件(AM0)・温度・セルかアレイかで変わります。「劣化」は、放射線量(1 MeV 電子の等価フルエンスなど)とセットで見ます。「軽さ」は、比出力(W/kg)で見ます。そして「本当に宇宙で使えるか」は、規格に沿った認定(qualification)試験と、実際の飛行実績で判断します。これらの「ものさし」が何を測り、何を測っていないかを、確認できた範囲で表にします。

評価項目代表的な試験・評価手法(名称・出典)標準・指針(ECSS・AIAA・ISO など)読み方の注意
セル効率(初期)AM0 の光の下での電流電圧測定。メーカーは「AM0 WRC、1367 W/m²、28℃」と記載[参考資料2]事実ISO 15387:2005 "Space systems — Single-junction solar cells — Measurements and calibration procedures"(ISO/TC 20/SC 14、第1版、2005年6月。ISO のページでは取り下げ済み)。単接合セルのAM0校正が対象[参考資料20]事実。多接合セル用の対応規格は確認できなかった。ECSS-E-ST-20-08C Rev.2 は、AM0 の基準分光放射照度を Gueymard(2018)とし(1361.1 W/m²)、AM0 校正した基準セルで模擬太陽光の照度を決める、と規定[参考資料23・24]事実分母の光の強さ(1367か1353か、ECSS Rev.2 の1361.1 W/m²か)、温度、面積を確認する。地上用(AM1.5G、IEC 60904-3:2008)の%と並べない
放射線による劣化(EOL 予測)1 MeV 電子等価フルエンス法(JPL)と変位損傷量(DDD)法(NRL)[参考資料10]事実。ECSS-E-ST-20-08C Rev.2 は、セルに1 MeV と 3 MeV の電子、1 MeV と 3 MeV の陽子(または顧客と合意したエネルギー)を照射し、照射中は真空(10-3 Pa 未満)または乾燥した窒素・アルゴン中に置く、と規定[参考資料23]事実ISO 23038:2018 "Space systems — Space solar cells — Electron and proton irradiation test methods"(ISO/TC 20/SC 14、第2版、2018年2月、Published。電子・陽子の照射の試験方法のみで、データ解析の方法は対象外)[参考資料25]事実。AIAA S-111A-2014 "Qualification and Quality Requirements for Space Solar Cells"は、2014年の改訂で放射線の影響を変位損傷量の方法で定める選択肢が加わったと AIAA が告知[参考資料18・21]事実(本文は有料で未確認)代表値は「その放射線量での値」。自分の軌道の量に換算しないと使えない。陽子や遮蔽の扱いも確認する
セルの認定(環境試験)ECSS-E-ST-20-08C Rev.2 の試験項目(外観、寸法・質量、電気性能、温度係数、分光感度、光学特性、湿度と温度、コーティング付着、引張、電子・陽子照射、光照射と温度アニール、逆バイアス、熱サイクルなど)[参考資料23]事実。紫外線試験は、200〜400 nm の紫外線を、地球低軌道・静止軌道向けでは250太陽時間×4回、加速は最大5太陽分までで、温度は運用時より10 K 以上高くしない、と規定(確立した材料の組み合わせ向け)[参考資料23]事実ECSS-E-ST-20-08C Rev.2 "Photovoltaic assemblies and components"(2023年4月20日)。対象は結晶シリコンと単接合・多接合GaAsセル(厚さ50 µm超)。薄膜・多結晶は含まない[参考資料17]事実。AIAA S-111A-2014(上記)メーカーの「ECSS 認定」は、特定の版・特定の製品の認定。同規格自身が「特定のミッションの認定要求は対象としない」と述べる[参考資料23]
パネル上の電気部品の認定パネル上の電気部品と基板の、電気性能への影響の認定(題名・適用範囲のみ確認)AIAA S-112A-2013 "Qualification and Quality Requirements for Electrical Components on Space Solar Panels"。単結晶シリコンまたは多接合を含むGaAsセルを載せたパネルが対象[参考資料19]事実。ECSS-E-ST-20-08C は、アレイやパネルの認定を対象としない[参考資料17]セルの認定とパネルの認定は別。パネルの認定は受入試験を含まない(S-112A の記載)
アレイの重さあたりの出力比出力(W/kg)とピーク BOL 電力(約28℃の標準条件)[参考資料1]事実確認できなかった(NASA の表は、メーカーの公表値を載せたもの。NASA が独立に検証していない)メーカー公称。電力の定義(ペイロード向けか、ピークか)が会社ごとに違う[参考資料1]
軌道上の実績実際の飛行での出力の推移(例:運用開始から20年以上たった ISS の元アレイに、NASA は「想定どおりの劣化の兆候」があると記す[参考資料3])事実該当する標準は確認できなかった軌道・高度・期間・遮蔽が違えば劣化も違う。地上試験の値と区別する
新材料(ペロブスカイト・有機)の宇宙向け安定性陽子照射のその場測定(Lang ら)、ロケット実験(Reb ら)、ISS 船外の薄膜暴露(NASA、約10か月)、衛星での測定(Putz ら、約44日間)、軌道上暴露(Ricoh/JAXA、結果未確認)[参考資料14・15・16・26・27]標準化された試験は確認できなかった(NASA は、有機系の標準化された安定性試験がまだないとする[参考資料1])「放射線に強い」は陽子照射の結果であり、真空・紫外線・温度の繰り返しを含めた総合の耐久性ではない

表の整理は本稿の計算(整理)。規格の番号・題名・状態は ECSS・ISO の公式ページと ANSI Webstore の掲載ページで確認し、ECSS は公開されている本文も読みました(確認日 2026年10月17日)。ISO・AIAA の規格本文は有料で未確認のため、題名・適用範囲の記載にとどめています。ASTM International の規格・サイトは参照していません。

読み方の注意(素材技術者向け)

  • 地上試験と軌道上の実績は別です:電子・陽子の照射試験は、実際の宇宙の放射線(多様なエネルギーの粒子が全方向から来る)を単純化したものです。ペロブスカイトの陽子照射の結果が良くても、軌道上の長期の結果とは別に確かめる必要があります。
  • メーカー公称と第三者の検証は別です:データシートの代表値は「大きな製造集団の代表値」で、構成や発注量が変わると変わりうる、と同じデータシートが注記しています[参考資料2]。
  • 規格は「認定の手順」であって「性能の保証」ではありません:ECSS-E-ST-20-08C に基づく認定は、その製品の特定の構成についての確認です。同規格は、特定のミッション向けの認定要求や、アレイ・パネルの認定を対象としないと述べています[参考資料17・23]。
  • 計画と達成は別です:ISS の約215 kWは完成時の目標、HTV-X1 の実証は実施の発表で、結果は未確認です。

11. 用語集

AM0
Air Mass Zero。大気を通っていない太陽光。宇宙用の太陽電池の試験条件。
AM1.5G
地上の標準試験の光(大気を通った全天の光)。1000 W/m²、セル温度25℃。
BOL/EOL
BOL=運用開始時、EOL=寿命の終わり頃。宇宙では EOL の出力で設計する。
太陽放射照度
1平方メートルあたりに届く太陽光のエネルギー(W/m²)。地球の距離で約1361〜1367 W/m²。
多接合セル
バンドギャップの違う層を重ね、光の色ごとに分担して電気にするセル。
III-V族
周期表の13族と15族の元素の組み合わせ(GaAs、InGaP など)でできた半導体。
InGaP/GaAs/Ge
三接合セルの上・中・下の層の材料。Ge は基板も兼ねる。
バンドギャップ
半導体が吸収できる光の最小エネルギー。層ごとに違える。
電流整合
直列の層で、電流が最も少ない層に全体の電流がそろうこと。
変位損傷
高エネルギー粒子が結晶の原子をはじき出して作る欠陥。出力低下の主な原因。
NIEL
非イオン化エネルギー損失。粒子が原子をずらすのに使うエネルギー。損傷の大きさの整理に使う。
フルエンス
単位面積あたりに通過した粒子の総数(個/cm²)。
1 MeV 電子等価
いろいろな放射線の影響を、1 MeV の電子が何個当たった場合に相当するかで表す方法。
DDD
変位損傷量。損傷の大きさをエネルギーで表す指標。NRL の方法で使われる。
カバーガラス
セルの表に貼る薄いガラス。放射線や粒子からセルを守り、反射防止膜が付く。
CIC
Cell-Interconnect-Coverglass。セルに接続片とカバーガラスを付けた部品(アセンブリ)。
比出力
重さあたりの出力(W/kg)。宇宙では効率より重要になることがある。
展開式アレイ
畳んで(巻いて)運び、宇宙で広げる太陽電池アレイ。ROSA/iROSA はその例。
ペロブスカイト太陽電池
ペロブスカイト型結晶を光吸収層に使う太陽電池。軽く柔軟にできるが、宇宙では研究・実証の段階。
CIS/CIGS
銅・インジウム・(ガリウム・)セレンの薄膜太陽電池。
OPV
有機太陽電池。有機の分子や高分子で光を吸収する。
認定(qualification)
規格に沿った試験で、ある製品の設計が要求を満たすことを確かめること。受入試験とは別。

12. 参考資料(一次情報)

  1. NASA "State-of-the-Art of Small Spacecraft Technology, 3.0 Power"(2026年5月7日版。確認日 2026年10月17日) — nasa.gov/smallsat-institute/sst-soa/power-subsystems/
  2. AZUR SPACE Solar Power GmbH データシート "TJ 3G30-Advanced (6x12) 30% Triple-Junction Bare Solar Cells & Assemblies"(DB 00010893-02、発行日 2026年3月24日) — azurspace.com/media/uploads/file_links/file/bdb_00010893-02-00_3g30-advanced_6x12.pdf
  3. NASA "New Solar Arrays to Power NASA's International Space Station Research"(Mark A. Garcia、2021年1月11日。Mission Overview の日付を含む。確認日 2026年10月17日) — nasa.gov/missions/station/new-solar-arrays-to-power-nasas-international-space-station-research/
  4. NASA 宇宙ステーションブログ "Spacewalkers Complete Second Roll-Out Solar Array Installation"(2021年6月25日) — nasa.gov/blogs/spacestation/2021/06/25/spacewalkers-complete-second-roll-out-solar-array-installation
  5. NASA/JPL "NASA's Juno Spacecraft Breaks Solar Power Distance Record"(2016年1月13日) — jpl.nasa.gov/news/nasas-juno-spacecraft-breaks-solar-power-distance-record
  6. Kopp G., Lean J. L. "A new, lower value of total solar irradiance: Evidence and climate significance", Geophys. Res. Lett. 38, L01706 (2011), DOI 10.1029/2010GL045777 — doi.org/10.1029/2010GL045777
  7. Green M. A. ほか "Solar cell efficiency tables (Version 64)", Prog. Photovolt. Res. Appl. 32, 425–441 (2024), DOI 10.1002/pip.3831 — doi.org/10.1002/pip.3831
  8. Yamaguchi M. ほか "Multi-junction solar cells paving the way for super high-efficiency", J. Appl. Phys. 129, 240901 (2021), DOI 10.1063/5.0048653 — doi.org/10.1063/5.0048653
  9. Summers G. P. ほか "Damage correlations in semiconductors exposed to gamma, electron and proton radiations", IEEE Trans. Nucl. Sci. 40, 1372–1379 (1993), DOI 10.1109/23.273529 — doi.org/10.1109/23.273529
  10. Messenger S. R. ほか "Modeling solar cell degradation in space: A comparison of the NRL displacement damage dose and the JPL equivalent fluence approaches", Prog. Photovolt. Res. Appl. 9, 103–121 (2001), DOI 10.1002/pip.357 — doi.org/10.1002/pip.357
  11. Walters R. J. ほか "Radiation response mechanisms in multijunction III-V space solar cells", 31st IEEE Photovoltaic Specialists Conference, 542–547 (2005), DOI 10.1109/PVSC.2005.1488188 — doi.org/10.1109/PVSC.2005.1488188
  12. Yamaguchi M. "Radiation resistance of compound semiconductor solar cells", J. Appl. Phys. 78, 1476–1480 (1995), DOI 10.1063/1.360236 — doi.org/10.1063/1.360236
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  14. Lang F. ほか "Radiation Hardness and Self-Healing of Perovskite Solar Cells", Adv. Mater. 28, 8726–8731 (2016), DOI 10.1002/adma.201603326 — doi.org/10.1002/adma.201603326
  15. Reb L. K. ほか "Perovskite and Organic Solar Cells on a Rocket Flight", Joule 4, 1880–1892 (2020), DOI 10.1016/j.joule.2020.07.004 — doi.org/10.1016/j.joule.2020.07.004
  16. Ricoh "Ricoh perovskite solar cells installed on Japan Aerospace Exploration Agency cargo transfer spacecraft1 HTV-X1"(2025年10月27日) — ricoh.com/release/2025/1027_1
  17. NASA "10-Month Voyage Proves Solar Cell Material Survives, Thrives in Space"(2023年5月18日。ISS 船外に約10か月さらしたペロブスカイト薄膜。セルではなく膜) — nasa.gov/general/10-month-voyage-proves-solar-cell-material-survives-thrives-in-space
  18. Putz ら "Beyond Earth: Resilience of Quasi-2D Perovskite Solar Cells in Space"(Advanced Materials 38、e20433、2026年2月12日。衛星 SSPD-1 での軌道上測定。DOI は Crossref で確認) — doi.org/10.1002/adma.202520433
  19. ECSS "ECSS-E-ST-20-08C Rev.2 – Photovoltaic assemblies and components (20 April 2023)"(規格ページ。適用範囲を確認) — ecss.nl/standard/ecss-e-st-20-08c-rev-2-photovoltaic-assemblies-and-components-20-april-2023/
  20. AIAA "AIAA S-111A-2014 Qualification and Quality Requirements for Space Solar Cells"(ANSI Webstore の掲載ページで番号・題名・適用範囲を確認) — webstore.ansi.org/standards/aiaa/aiaa111a2014
  21. AIAA "AIAA S-112A-2013 Qualification and Quality Requirements for Electrical Components on Space Solar Panels"(ANSI Webstore の掲載ページで確認) — webstore.ansi.org/standards/aiaa/aiaa112a2013
  22. ISO "ISO 15387:2005 Space systems — Single-junction solar cells — Measurements and calibration procedures"(ISO のページ。状態は Withdrawn。確認日 2026年10月17日) — iso.org/standard/36464.html
  23. AIAA "New Standard Available for Public Review: Qualification and Quality Requirements for Space Solar Cells"(2014年3月17日の告知。S-111 の改訂内容) — aiaa.org/2014/03/17/new-standard-available-for-public-review-qualification-and-quality-requirements-for-space-solar-cells/
  24. Geisz J. F. ほか "Six-junction III–V solar cells with 47.1% conversion efficiency under 143 Suns concentration", Nat. Energy 5, 326–335 (2020), DOI 10.1038/s41560-020-0598-5 — doi.org/10.1038/s41560-020-0598-5
  25. ECSS ECSS-E-ST-20-08C Rev.2(2023年4月20日)規格本文(公開PDF。適用範囲、AM0 基準、試験項目を確認) — ecss.nl/wp-content/uploads/2023/08/ECSS-E-ST-20-08C_Rev.2(20April2023).pdf
  26. Gueymard C. A. "Revised composite extraterrestrial spectrum based on recent solar irradiance observations", Solar Energy 169, 434–440 (2018), DOI 10.1016/j.solener.2018.04.067 — doi.org/10.1016/j.solener.2018.04.067
  27. ISO "ISO 23038:2018 Space systems — Space solar cells — Electron and proton irradiation test methods"(ISO のページ。状態は Published。確認日 2026年10月17日) — iso.org/standard/69495.html

13. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
宇宙用セルの最先端が3〜5接合のIII-V族(GaAs・InGaP・Ge など)で、効率は目安30%・高いもので34%。単接合(多くはシリコン)は約20%。光の強さは距離の2乗に反比例し、向きの cos に比例。劣化要因(放射線、カバーガラス・接着剤の黒ずみ、汚れなど)。展開式アレイの位置づけ、比出力が約30 W/kg付近に集まること、ROSA の100 W/kg・ピーク1000 W(メーカー公称)、Azur シリコンセル S 32 が16.8%、ペロブスカイト・薄膜・有機に関する NASA の整理(限界、Ricoh/JAXA の搭載、標準化された試験がないこと)NASA「State-of-the-Art of Small Spacecraft Technology」電力の章(2026年5月7日版)
出典1 https://www.nasa.gov/smallsat-institute/sst-soa/power-subsystems/
事実
3G30C-Advanced(6x12)の構成(InGaP/GaAs/Ge on Ge、150 µm、71.25 cm²、86 mg/cm²以下、TiO₂/Al₂O₃反射防止膜)、アセンブリ(Ag めっき Kovar 接続片、100 µm カバーガラス、290 µm、123 mg/cm²以下、吸収率0.91以下)、AM0 WRC・1367 W/m²・28℃での効率(BOL 29.2%、1015個/cm²で26.0%、1016個/cm²で18.4%)、1353 W/m²基準で29.5%、温度係数、ECSS-E-ST-20-08C Rev.1 の認定と軌道上実績(メーカーの記載)メーカーのデータシート(2026年3月24日版)。メーカー公称
出典2 https://www.azurspace.com/media/uploads/file_links/file/bdb_00010893-02-00_3g30-advanced_6x12.pdf
事実
ISS のアレイの履歴(2000年12月に最初の1対、設計寿命15年、劣化の兆候)、元の8枚が最大約160 kW、新アレイ1枚20 kW超、完成時最大約215 kW(目標)、供給企業、Dragon のトランクでの輸送、iROSA 6枚の打上げ・取り付け日、ROSA の2017年の実証NASA の記事とミッション概要
出典3 https://www.nasa.gov/missions/station/new-solar-arrays-to-power-nasas-international-space-station-research/
事実
2021年6月25日の iROSA 取り付けで展開が約10分、新アレイ1枚が20 kW超NASA ISS ブログ
出典4 https://www.nasa.gov/blogs/spacestation/2021/06/25/spacewalkers-complete-second-roll-out-solar-array-installation
事実
Juno のアレイ(約9 m、3枚、18,698個、地球付近で約14 kW、木星で約500 W、光は1/25、先行8機は原子力電源)JPL の発表(2016年1月13日)
出典5 https://www.jpl.nasa.gov/news/nasas-juno-spacecraft-breaks-solar-power-distance-record
事実
太陽放射照度の実測値1360.8 ± 0.5 W/m²(2008年極小期)と、従来の1365.4 ± 1.3 W/m²との違い、その原因(迷光)Kopp と Lean(2011)の要旨
出典6 https://doi.org/10.1029/2010GL045777
事実
地上の標準試験条件(AM1.5G、1000 W/m²、25℃、IEC 60904-3:2008)、地上の三接合 InGaP/GaAs/InGaAs 37.9%(Sharp、AIST 確認、2013年)効率表 Version 64
出典7 https://doi.org/10.1002/pip.3831
事実
1層の効率の限界が32〜33%付近であること、バンドギャップの違う層を重ねて色を分担させる戦略、6接合で47.1%(集光下)Yamaguchi ら(2021)の要旨
出典8 https://doi.org/10.1063/5.0048653
出典22 https://doi.org/10.1038/s41560-020-0598-5
事実
損傷を NIEL で整理できること、電子・陽子・ガンマ線の損傷の対応づけSummers ら(1993)の要旨
出典9 https://doi.org/10.1109/23.273529
事実
NRL の変位損傷量法と JPL の等価フルエンス法の違い、DDD 法は必要な実験データが少ない、GaAs/Ge と CuInSe₂ セルの Equator-S の飛行データとの一致Messenger ら(2001)の要旨
出典10 https://doi.org/10.1002/pip.357
事実
三接合 III-V 族セルでの電子・陽子による欠陥と性能低下の機構Walters ら(2005)の要旨
出典11 https://doi.org/10.1109/PVSC.2005.1488188
事実
材料による放射線耐性の違いが、損傷定数・バンドギャップ・吸収係数で説明されること、CuInSe₂ と InP 系の優れた耐性の理由Yamaguchi(1995)の要旨
出典12 https://doi.org/10.1063/1.360236
事実
ペロブスカイトの宇宙向け研究が初期段階であること、高い比出力・放射線への強さの期待Tu ら(2021)の要旨
出典13 https://doi.org/10.1002/adma.202006545
事実
陽子照射のその場測定で、結晶シリコンの損傷しきい値を約3桁上回る陽子量に耐え、照射後に自己回復が始まることLang ら(2016)の要旨
出典14 https://doi.org/10.1002/adma.201603326
事実
準軌道ロケット実験(最高到達点239 km、251秒、再突入検出428秒)でペロブスカイトと有機の太陽電池が動作し、7〜14 mW/cm²を超える出力密度を示したことReb ら(2020)の要旨・本文
出典15 https://doi.org/10.1016/j.joule.2020.07.004
事実
ペロブスカイトの宇宙での測定:NASA が薄膜を ISS 船外に約10か月さらした(2020年3月〜2021年1月)/Putz らが衛星 SSPD-1 でセルを測定(44日間、最良の剛性セルが初期効率の約80%、柔軟セルは陽子50年相当の後に92%超)NASA の発表(2023年5月18日。膜であってセルではない)、Putz ら(2026)
出典26 https://www.nasa.gov/general/10-month-voyage-proves-solar-cell-material-survives-thrives-in-space/
出典27 https://doi.org/10.1002/adma.202520433
事実
Ricoh のペロブスカイトセルを HTV-X1(2025年10月26日打上げ)に搭載、ISS 到着後に約2か月暴露して電流電圧特性を測る計画Ricoh の発表(2025年10月27日)。会社の発表であり、結果の記載はない
出典16 https://www.ricoh.com/release/2025/1027_1
未確定/将来
ECSS-E-ST-20-08C Rev.2(2023年4月20日)の適用範囲(結晶シリコンと単接合・多接合GaAs、50 µm超、薄膜・多結晶を含まない、アレイ・パネルの認定は対象外)ECSS の規格ページ
出典17 https://ecss.nl/standard/ecss-e-st-20-08c-rev-2-photovoltaic-assemblies-and-components-20-april-2023/
事実
ECSS-E-ST-20-08C Rev.2 の試験項目、電子・陽子照射(1 MeV と 3 MeV、真空または乾燥窒素・アルゴン)、紫外線試験(200〜400 nm、250太陽時間×4回、最大5太陽分)、光照射と温度アニール、AM0 の基準(Gueymard 2018、1361.1 W/m²)、ミッション固有の認定を対象としないことECSS の規格本文(公開PDF)と Gueymard(2018)の書誌
出典23 https://ecss.nl/wp-content/uploads/2023/08/ECSS-E-ST-20-08C_Rev.2(20April2023).pdf
出典24 https://doi.org/10.1016/j.solener.2018.04.067
事実
ISO 23038:2018 の番号・題名・適用範囲(電子・陽子の照射の試験方法のみ)ISO の規格ページ(確認日 2026年10月17日)
出典25 https://www.iso.org/standard/69495.html
事実
AIAA S-111A-2014 の番号・題名・適用範囲、2014年の改訂で変位損傷量法の選択肢が加わったことANSI Webstore の掲載ページと AIAA の告知
出典18 https://webstore.ansi.org/standards/aiaa/aiaa111a2014
出典21 https://aiaa.org/2014/03/17/new-standard-available-for-public-review-qualification-and-quality-requirements-for-space-solar-cells/
事実
AIAA S-112A-2013 の番号・題名・適用範囲ANSI Webstore の掲載ページ
出典19 https://webstore.ansi.org/standards/aiaa/aiaa112a2013
事実
ISO 15387:2005 の題名・適用範囲(単接合の宇宙用セル、AM0 標準校正)と、状態が Withdrawn であることISO の規格ページ(確認日 2026年10月17日)
出典20 https://www.iso.org/standard/36464.html
事実
1 kW に必要なセル面積・質量の概算(約2.5/2.8/3.3 m²、約3.1/3.5/4.0 kg)、吸収した光のうち最大で約850 W/m²が熱になるという見積り、14 kW ÷ 25 = 560 W、cos60° = 0.5、BOL比の%(96/95/93/89/63)データシートの値からの計算。仮定は本文に明記
本稿の計算
本稿の計算
ペロブスカイトの宇宙主電源としての運用例、HTV-X1 の実証結果、ペロブスカイトを対象とする宇宙用の認定規格、AIAA 規格の本文、多接合セル用のAM0校正規格、軌道上の長期劣化データ、Azur の「放射線に強い設計」の中身本稿の調査範囲でアクセスできた一次資料では確認できなかったため、記載していません解説
「格子整合が結晶の完成度に効く」「封止・界面・基板を含む積層全体の耐久性が問われる」「熱の管理がセルの電圧に効く」という読み取り、懐中電灯・色の分担のたとえとその限界本稿による解説(出典の事実をもとにした読み取り)解説
図1〜図9が実データの観察ではなく、説明のための作図であること。図1と図8が AI 生成の概念画像の枠であること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月17日/出典は一次情報(NASA・JPL の資料、メーカーのデータシート、査読論文、ECSS・AIAA・ISO の規格ページ、企業の発表)に限定しています。メーカーの値は「メーカー公称」と明記し、独立に検証されたものとは区別しました。 計算例(面積・質量・熱・BOL比)は本稿が作った説明用の計算で、特定の衛星の設計値ではありません。ISS の約215 kWは完成時の目標で、確定した事実ではありません。 HTV-X1 の実証結果、ペロブスカイトの主電源としての運用例、規格の本文、多接合セル用のAM0校正規格、軌道上の長期劣化データについては、確認できなかったため記載していません。 図はすべて説明用の概念図または本稿の計算を含む作図で、図1と図8はAI生成画像の枠(画像は未設置)です。実際の施設・製品・寸法を示すものではありません。