TECHNOLOGY EXPLAINER
高エントロピー合金
― 「エントロピーで安定化」はどこまで言えるか。組成・加工・試験温度つきの値で読む
高エントロピー合金(HEA)は、5種類以上の元素を、それぞれ5〜35 at.% の範囲で混ぜた合金として定義されてきました。「混ぜた元素の数が多いほど配置エントロピーが大きく、単純な固溶体が安定する」という説明は広く知られていますが、後の総説は、この「効果」は現在のデータでは支持されない、と評価しています。 それでも、Cr-Mn-Fe-Co-Ni や Cr-Co-Ni の合金が、液体窒素の温度(77 K)で、強度・延性・破壊靱性がそろって上がる、という結果は、組成を変えた実験で確かめられています。 この記事では、定義と配置エントロピー、「コア効果」への評価、固溶体と金属間化合物の分かれ目、極低温・高温・軽量・積層造形・耐食・水素・放射線の例を、組成(at.%)、加工状態、試験温度つきの一次情報の範囲で整理します。

- 3行でつかむ
- 定義と配置エントロピー(本稿の計算:ΔSconf と、エントロピー項の大きさ)
- 「4つのコア効果」と、評価の現状
- 固溶体か金属間化合物か(本稿の計算:VEC と混合則の密度)
- 極低温で強くなる合金 ― CrMnFeCoNi と CrCoNi
- 高温・軽量・高強度と延性の両立 ― 耐火 HEA、軽量 HEA、TRIP 型
- 積層造形(レーザ粉末床溶融)
- 耐食・水素・放射線
- 限界と、確認できなかったこと
- 評価規格の読み方
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・予定であり、実績が確認できていない事項
このほか、材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。推測は太字で示します。組成は原子分率(at.%)で書き、等原子の合金は「各20 at.%」のように示します。
HEA の数値は、組成、製法(溶解・メカニカルアロイング・積層造形)、熱処理、結晶粒径、試験の温度とひずみ速度、試験片の形で決まる研究室の結果です。ある合金の値を、「HEA」という分類全体の性質として読まないでください。 「優れた」「万能」という言葉は、条件と比べる相手(同じ試験の別の合金)がそろって初めて意味を持ちます。本稿は特定の合金・製品・企業の優劣を論じず、医療・安全・投資に関する助言もしません。 確認日は 2026年10月10日です。
1. 3行でつかむ
- HEA は、「5元素以上、各5〜35 at.%」と定義され、等原子なら配置エントロピーが R ln N になります。N=5 で 1.61R、N=13 で 2.57R です。従来の合金は、低合金鋼の約 0.22R から、ステンレス鋼の約 1.15R、超合金の最大約 1.37R の範囲とされます事実[参考資料4]
- 「エントロピーが固溶体を安定化する」という説明は、現在のデータでは「効果」として支持されない、と総説は評価しています。20元素の等原子合金は、脆い多相組織でした事実[参考資料3・6]。同じ5元素でも、元素を一つ替えるだけで金属間化合物ができる例が報告されています[参考資料4]
- それでも、CrMnFeCoNi や CrCoNi は、室温から 77 K で、強度も延性も破壊靱性も上がりました(CrMnFeCoNi の引張強さ 763→1,280 MPa、CrCoNi の KJIc は室温で 200 MPa√m 超、77 K で 275 MPa√m)事実[参考資料5・6]。ただし、試料の加工状態と粒径がそろった比較ではありません。値は合金の分類ではなく、その組成・状態の結果として読みます
「高エントロピーだから優れている」ではなく、「組成空間が広がり、いくつかの組成で、極低温や高温の特定の条件の値が良かった」と読みます。 合金の値は、組成(at.%)、製法、熱処理、粒径、試験温度がそろって初めて意味を持ちます。「HEA」という言葉は、そのどれも保証しません(本記事による解説)。
2. 定義と配置エントロピー
Miracle らの論文(Entropy, 2014)は、構造用途の HEA を設計・評価する戦略を示す中で、HEA の標準的な定義を「5元素以上を含み、各元素が 5〜35 at.%」とし、等原子の合金の配置エントロピーを ΔSconf=R ln N(R は気体定数、N は元素の数)と書いています事実[参考資料4]。同じ論文によると、N=5 で 1.61R、N=13 で 2.57R で、従来の合金の値は、低合金鋼で約 0.22R、ステンレス鋼で約 1.15R、超合金で最大約 1.37R です。論文は、ΔSconf が 1.5R 以上という実用的な目安も記しています[参考資料4]。
Yeh らの論文(2004)は、「高エントロピー合金」という名前で、多主元素の合金を、既存の加工法で作り、単純な結晶構造・ナノ構造・有望な力学特性が得られた、という予備的な結果を示しました[参考資料1]。同じ年に Cantor らは、等原子の多元素合金の組織形成を報告し、20元素を等原子で混ぜた合金は、非常に脆い多相組織になったことが、後年の Gludovatz らの論文に引用されています[参考資料2・6]。
等原子の N 元素の合金では、ΔSconf=R ln N で、R=8.314 J/(mol·K) です本稿の計算。
- ΔSconf/R:N=2 で 0.69、3 で 1.10、4 で 1.39、5 で 1.61、6 で 1.79、8 で 2.08、10 で 2.30、13 で 2.57、20 で 3.00
- 等原子でない例:Al20Li20Mg10Sc20Ti30(at.%)では、ΔSconf/R=−Σ x ln x = 約 1.56(等原子の5元素の 1.61 より小さいが、1.5 以上)
- エントロピー項 −TΔSconf(kJ/mol):1,000 K で、N=2 が 5.76、N=5 が 13.38、N=13 が 21.32。1,500 K で、N=2 が 8.64、N=5 が 20.07、N=13 が 31.99。300 K では、N=5 でも 4.01
- 比べる相手:Miracle らは、1,000 種類を超える二元化合物の生成の自由エネルギー ΔG の平均を約 −41 kJ/mol(中央値 −36 kJ/mol)としています[参考資料4]。N=5 の等原子合金のエントロピー項は、1,000 K で約 13 kJ/mol で、この平均の約 1/3 です
前提と限界:この計算は、配置エントロピーだけを、理想的に混ざった場合の上限として求めたものです。混合エンタルピー、原子サイズの違いによるひずみのエネルギー、温度による相の変化は含みません。エントロピー項が大きいことは、固溶体が安定になることを意味しません(第3章・第4章)。
配置エントロピーの項は、温度に比例して大きくなり(図3)、高温で固溶体に有利に働きます。一方、金属間化合物の生成には、エンタルピーの得があり、Miracle らは二元化合物の ΔG の平均を約 −41 kJ/mol と見積もっています[参考資料4]。 同じ論文は、温度が上がるほど、安定性が失われる二元の金属間化合物の割合が増えること(300 K で約10〜15%、600 K で約20〜32%、1,500 K で約40〜60%)、単相になる HEA の割合は、600 K で約 1/3、1,500 K で約 2/3 であることを示しています[参考資料4](解析の母集団と手法は、本稿では詳細を確認していません)。
素材から見ると、これは「温度が上がれば固溶体になりやすいが、1,500 K でも約 1/3 は単相にならない」という読み方になります。製品の使用温度で単相かどうかは、鋳造・熱処理の温度と、冷却の速さにも依存します(本記事による解説)。
3. 「4つのコア効果」と、評価の現状
HEA の入門では、特徴をまとめて「高エントロピー効果」「格子ひずみ効果」「遅い拡散」「カクテル効果」の4つの考え方で説明することがよくあります(本記事による整理。この「4つ」という呼び方の出典は、本稿では確認していません)。 一次情報で確認できた範囲の評価は、次のとおりです。
- 高エントロピー効果(配置エントロピーが固溶体を安定化する):Gludovatz らは、2014年の論文の冒頭で、「5元素以上の合金では、配置エントロピーの寄与が固溶体を、多相組織に比べて安定にしうる」という説明を根拠として紹介しています[参考資料5]。一方、Miracle と Senkov の総説(Acta Materialia, 2017)は、要旨で、エントロピー効果はデータでは支持されず、遅い拡散もデータでは支持されない、と述べています事実[参考資料3]。 Gludovatz らの2016年の論文も、20元素の合金が脆い多相組織であったことから、「高い配置エントロピーだけでは、構成元素からなる金属間化合物の生成を抑えられない」と述べています[参考資料6]
- 遅い拡散:Tsai らは、Co-Cr-Fe-Mn-Ni 合金の拡散を調べた論文を発表しています(題名のみ確認し、本文は確認していません)[参考資料7]。総説は、「遅い拡散」も、データでは支持されない、としています[参考資料3]
- 格子ひずみ効果、カクテル効果:本稿が確認できた一次情報の本文には、これらを検証した記述が見つかりませんでした。確認できなかったため、評価を書きません。なお Couzinié らの耐火 HEA のデータ集では、合金の密度とヤング率は、混合則で計算されています[参考資料10](混合則が他の性質にも成り立つかは、本稿では確認していません)
Miracle と Senkov の総説(2017)は、408合金の実験データと、CALPHAD 法による計算のデータ集2つを使って、組織を評価した、と要旨に記しています。その結論として、古典的な熱力学の考え方は変わらないが、多主元素合金の傾向は単純な合金と違うことがあること、3d 遷移金属の合金に強く偏っていた研究が、いまは7つの異なる複雑濃厚合金(CCA)の系統に広がっていること、特定の目的に合わせて元素を選んで合金の系統を設計する流れが出てきたことを挙げています事実[参考資料3]。 オーステナイト系ステンレス鋼やニッケル合金も、3つ以上の主要元素をもつ「多主元素合金(MPEA)」に含まれる、とも述べています[参考資料3](本稿は、これらの要旨の範囲で引用しています)。
4. 固溶体か金属間化合物か ― 混合エンタルピーと価電子濃度
何が単相の固溶体を決めるのかについて、Guo らは、合金成分の物理化学的・熱力学的な性質と相の安定性の関係を調べ、混合エンタルピーが、固溶体になるか化合物になるかを決める主な要因であること、fcc と bcc の固溶体の安定性は、価電子濃度(VEC)でよく分けられることを報告しています事実[参考資料8](境界の数値は、本稿では本文を確認していません)。 Miracle らは、CoCrFeMnNi は単相の固溶体になるのに対して、同じ5元素でも Co を Ti に替えた TiCrFeMnNi は金属間化合物ができる例を示しています[参考資料4]。
VECは、各元素の価電子数(Co 9、Cr 6、Fe 8、Mn 7、Ni 10、Nb 5、Mo 6、Ta 5、W 6、V 5、Al 3、Li 1、Mg 2、Sc 3、Ti 4)を、原子分率で重みづけして平均した値です本稿の計算。 混合則(ROM)の密度は、ρ=Σ(xiMi) ÷ Σ(xiMi/ρi)(x:原子分率、M:原子量、ρi:単体の密度)で求めました。単体の密度は、Co 8.90、Cr 7.19、Fe 7.87、Mn 7.43、Ni 8.91、Nb 8.57、Mo 10.28、Ta 16.65、W 19.25、V 6.11、Al 2.70、Li 0.534、Mg 1.74、Sc 2.99、Ti 4.51 g/cm³(本稿が用いた標準的な値)です。
| 合金(at.%) | VEC(本稿の計算) | 混合則の密度(g/cm³、本稿の計算) | 報告された構造・製法 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| CoCrFeMnNi(各20) | 8.0 | 約 8.0 | 単相の fcc 固溶体。鋳造・均質化後、再結晶後も単相[6] | [5・6] |
| NbMoTaW(各25) | 5.5 | 約 13.6 | 耐火 HEA。機械特性の報告あり(構造の記載は本稿で確認できなかった) | [9・10] |
| VNbMoTaW(各20) | 5.4 | 約 12.4 | 耐火 HEA。機械特性の報告あり(構造の記載は本稿で確認できなかった) | [9・10] |
| Al20Li20Mg10Sc20Ti30 | 2.8 | 約 2.67 | メカニカルアロイングで作製。ボールミル中に単相の fcc、焼なましで単相の hcp に変態 | [11] |
VEC と密度の列は本稿の計算、構造・製法の列は事実(Gludovatz ら[6]、Youssef ら[11])。混合則の密度は、実測の密度ではありません。VEC は fcc/bcc の安定性の目安として[8]が報告したもので、他の構造(hcp)や金属間化合物の予測に使えるかは、本稿では確認していません。
CoCrFeMnNi が単相であることは、Gludovatz らが、鋳造・均質化後の X 線回折・後方散乱電子像、再結晶後の透過電子顕微鏡、さらに三次元アトムプローブ(鋳造・均質化の状態と、巨大ひずみ加工後)で確認した研究を引用して述べています[参考資料6]。 素材から見ると、「単相」と書いてある値を受け取るときは、(a)組成の分析方法と実測値(at.%)、(b)鋳造後か、均質化後か、加工・再結晶後か、(c)相の同定の方法(X 線回折、電子線後方散乱回折、透過電子顕微鏡)、(d)結晶粒径を確認します(本記事による解説)。 同じ組成でも、粒径がそろっていない試料の比較は、直接の比較になりません(第5章の CrCoNi の例)。
5. 極低温で強くなる合金 ― CrMnFeCoNi と CrCoNi
HEA で最も詳しく調べられた例は、CrMnFeCoNi(各20 at.%、しばしば「Cantor 合金」と呼ばれる)と、そこから Mn と Fe を除いたCrCoNi(各33.3 at.%の3元素)です。 Gludovatz らの2014年の論文(Science)は、CrMnFeCoNi が単相の fcc 固溶体で、引張強さが 1 GPa 以上、破壊靱性が 200 MPa√m を超え、極低温で特性がむしろ向上すること、その理由を、室温での平面すべりの転位から、温度が下がると変形双晶(機械的なナノ双晶)での変形に移るため、継続的な加工硬化が生じることだと説明しています事実[参考資料5]。
2016年の Gludovatz らの論文(Nature Communications)は、3元素の CrCoNiが、単相の fcc 固溶体で、室温(293 K)で引張強さ約 1 GPa、破断ひずみ約70%、KJIc が 200 MPa√m 超、77 K で 1.3 GPa 超、最大90%、KJIc が 275 MPa√m になったと報告しています[参考資料6]。論文の本文では、KJIc は 293 K で 208 MPa√m(JIc=212 kJ/m²)、77 K で 273 MPa√m(JIc=363 kJ/m²)です事実[参考資料6]。同じ論文は、CrMnFeCoNi が室温から 77 K で、引張強さが 763 から 1,280 MPa に、延性が 0.5 から 0.7 に増え(単位は文中に記載なし)、KJIc は 200 MPa√m を大きく超えたままだった、とも述べています[参考資料6]。2014年の要旨の「引張強さ 1 GPa 以上」と、室温の 763 MPa の関係(温度などの条件の違いか)は、本稿では本文で確認していません。
| 条件([6]の CrCoNi) | 報告された内容 |
|---|---|
| 組成 | 等原子の CrCoNi(Cr・Co・Ni 各 1/3) |
| 製法・加工 | アーク溶解、1,200 ℃で24時間の均質化、約60%の圧下、800 ℃で1時間の焼なまし |
| 結晶粒径 | 5〜50 μm の不均一な粒径。77 K の降伏強さが CrMnFeCoNi より少し低いのは、この不均一な粒径によると、著者は考えている |
| 試験温度 | 293 K(室温)、198 K(ドライアイスとエタノール)、77 K(液体窒素) |
| 試験片・規格への言及 | 放電加工で切り出した引張試験片と C(T) 試験片。C(T) は疲労予き裂と側溝を入れ、「ASTM E1820 に概ね従い」試験(本稿は ASTM のサイトを参照せず、論文の記述として引用) |
| 破壊靱性の評価 | J 積分を、293・198・77 K で、き裂の進展の関数として測定(変位制御、2 mm/min)。き裂の発生時の KJIc は、ASTM E1820 の有効条件を満たしたと記載 |
すべて事実(Gludovatz ら[参考資料6]の本文の記載。ASTM の規格そのものは確認していません)。
報告された値の比を計算します本稿の計算。
- CrMnFeCoNi の引張強さ:1,280 ÷ 763 = 約 1.68(約68%増)
- CrCoNi の KJIc(本文の値):273 ÷ 208 = 約 1.31(約31%増)
- CrCoNi の破断ひずみ:約70%から最大90%で、20ポイント増(比で約 1.29)。引張強さは、約 1 GPa から 1.3 GPa 超で、3割以上の増加
前提と限界:異なる論文・異なる試料(粒径・加工が違う)の値を並べた比で、1 つの試験の中の比ではありません。77 K の KJIc は 273 と 275 の2つの表記があり、ここでは本文の 273 を使いました。

両論文は、極低温での強度と靱性の向上を、転位の運動と、変形で生じるナノ双晶による継続的な加工硬化で説明しています[参考資料5・6]。つまり、効いているのは「5元素」という数ではなく、低い積層欠陥エネルギーに由来すると思われる変形機構です(後者は本記事による解説で、論文の記述を超える推測です)。 Miracle らの総説は、オーステナイト系ステンレス鋼やニッケル合金も、主要元素が3つ以上の「多主元素合金」に含まれると述べています[参考資料3]。したがって、素材として HEA を検討するときは、同じ温度・同じ試験規格・同じ粒径での、オーステナイト系ステンレス鋼など既存材との比較が必要です。本稿は、比較対象の値を引用していません(確認できなかった項目)。 また、極低温の引張・破壊靱性は、試験片の寸法、予き裂のつけ方、側溝、ひずみ速度、冷媒(液体窒素、ドライアイス+エタノール)の条件で値が動くため、ISO 6892-1・ISO 12135、JIS Z 2284(液体ヘリウム中の弾塑性破壊じん性の規格)などの規格の範囲と、試験報告の記載を照合します(第10章)。
6. 高温・軽量・高強度と延性の両立 ― 耐火 HEA、軽量 HEA、TRIP 型
耐火 HEA(NbMoTaW、VNbMoTaW など)
Couzinié らのデータ論文(Data in Brief, 2018)は、2010年から2018年1月までに報告された122の耐火 HEA(RHEA)と耐火複雑濃厚合金(RCCA)の機械特性を、組成、組織の種類、金属学的な状態、計算した密度、荷重の種類、試験温度ごとの降伏応力などで整理しています。RHEA を、5元素以上で各5〜35 at.%、RCCA を、3元素以上の主要元素で、濃度を35%を超えて広げたもの、と区別しています事実[参考資料10]。密度とヤング率は混合則で計算したものです[参考資料10]。 Senkov らは、Nb25Mo25Ta25W25 と V20Nb20Mo20Ta20W20 の機械特性を報告しています(題名のみ確認し、値は本稿では確認していません)[参考資料9]。 Miracle と Senkov の総説は、要旨で、耐火元素を主とする一部の合金は、ニッケル超合金の使える範囲を広げうるとしています[参考資料3](どの性質・温度かは本稿で確認していません)。
混合則で見積もった密度は、NbMoTaW で約 13.6 g/cm³、VNbMoTaW で約 12.4 g/cm³ で(第4章の表)、比較のために Ni は 8.91、Ti は 4.51 g/cm³ です本稿の計算。軽さが求められる用途では、密度が大きいことが、耐火元素を使う合金の制約になりえます(本記事による解説)。
軽量 HEA(Al-Li-Mg-Sc-Ti)
Youssef らは、Al20Li20Mg10Sc20Ti30(at.%)の、低密度でナノ結晶の合金を、メカニカルアロイングで作りました。この合金は、ボールミル中に単相の fcc になり、焼なましで単相の hcp に変態し、強度と重さの比(推定値)は他のナノ結晶合金より著しく高く、セラミックスに匹敵し、焼なまし後も高い硬さが保たれる、と報告されています事実[参考資料11]。 混合則で見積もった密度は、約 2.67 g/cm³ です本稿の計算。ただし、メカニカルアロイングで作ったナノ結晶の合金で、強度は「推定」です。バルクの構造材料としての破壊靱性や延性は、本稿では確認していません。
TRIP 型デュアルフェーズ HEA
Li らの論文(Nature, 2016)は、「安定な単相」とは逆に、あえて相の安定性を下げる設計を示しました。fcc 相の一部が、塑性変形で hcp 相のマルテンサイトに変態する準安定な HEA(TRIP-DP-HEA)で、二相の界面と変態による硬化で強度が上がり、加工硬化の能力が増えて延性も上がり、強度と延性の「トレードオフ」を克服した、としています。論文は、HEA は本来、エントロピーの最大化による相の安定化を期待して提案されたが、組成の制約が緩んできた近年の研究を受けて、この考えを覆した、と述べています事実[参考資料12]。組成と強度・延性の数値は、本稿では確認していません。
Youssef らの合金は等原子ではなく(20・20・10・20・30 at.%)、Li らの合金は、あえて準安定にしています[参考資料11・12]。Miracle と Senkov も、「特定の目的のために元素を選んで合金の系統を設計する流れが出てきた」と述べています[参考資料3]。 素材から見ると、実用の設計は、「5元素以上を等原子で混ぜる」という定義よりも、目的の性質(軽さ、高温強度、極低温の靱性)から元素を選ぶ方向に動いています(本記事による解説)。HEA の値を読むときは、定義に当てはまるかではなく、目的の性質で、既存材と同じ条件で比べた値かを確認します。
7. 積層造形(レーザ粉末床溶融)
Atabay らの総説(High Entropy Alloys & Materials, 2024)は、CoCrFeMnNi のレーザ粉末床溶融(LPBF)を、加工条件、組織、機械特性の面でまとめています。報告として、体積エネルギー密度(VED)104 J/mm³ で気孔率 0.01%未満、造形したままの状態で、造形方向による異方性、熱間等方圧加圧(HIP)処理後に伸びが約50%高くなったことが挙げられています事実[参考資料13](これらは総説がまとめた個々の研究の値で、比較の基準は本稿で詳細を確認していません)。 Piglione らは、CoCrFeMnNi の LPBF での造形性と組織の論文を発表しています(題名のみ確認)[参考資料14]。
積層造形の用語は、ISO/ASTM 52900:2021(積層造形の一般原則・基礎と用語)が定めています[参考資料26]。個々の用語の定義は、本稿では確認していません。
積層造形の値は、粉末の組成と粒度、装置、造形条件(出力・速度・走査間隔・層厚=VED)、造形方向、造形後の熱処理や HIP の有無で決まります。「CoCrFeMnNi は LPBF で造れる」という記述は、造形品の気孔・割れ・組織の均一性が、鋳造品と同じという意味ではありません。 引張・靱性の値は、試験片を造形した方向(造形方向と荷重の方向)とともに読みます(本記事による解説)。
8. 耐食・水素・放射線
耐食:Shi らの総説(Metals, 2017)は、HEA の耐食性を、さまざまな水環境、HEA のコーティング、環境・合金元素・加工方法の影響にわたって整理し、HEA は局所的に乱れた化学環境をもつため、独特な耐食性が期待される、と述べています事実[参考資料15](「期待される」という表現のとおり、一般的な優位を示すものではありません)。 Atabay らの総説には、LPBF の CoCrFeMnNi が、3.5 wt% NaCl では 316L より良く、1 N H2SO4 では 316L に及ばない、という報告がまとめられています[参考資料13]。耐食性は、環境(溶液)によって、順位が変わります。
水素:Feng らは、CoCrFeMnNi と、304 ステンレス鋼、IN718 を、水素チャージ下で比べ、水素脆化への耐性は、HEA が最も高く、304、IN718 の順であった、と報告しています(チャージ時間を 24 時間から 48 時間にしたときの結果の違いも示されていますが、本稿は詳細を確認していません)事実[参考資料17]。 Zhao らは、CoCrFeMnNi のガス水素脆化への耐性の論文を発表しています(題名のみ確認)[参考資料18]。Atabay らの総説は、LPBF の CoCrFeMnNi で、水素の透過が約5倍小さいという報告を載せています(比較対象は本稿で確認していません)[参考資料13]。
放射線:Granberg らは、実験とモデル計算で、単相の NiFe と NiCoCr が、元素の Ni に比べて、長時間の照射での損傷の蓄積が大きく減ることを示し、その理由を、転位の移動度の低下で、大きな転位構造の成長が遅くなるためと説明しています。相分離・規則化・非晶質化は見られなかった、とも報告しています事実[参考資料16](照射の種類・線量は、本稿では確認していません)。
耐食性の比較は、電解液の組成と濃度、温度、試験片の表面仕上げ、分極の掃引速度、保持時間で値が動きます。ISO 17475:2005 は、定電位・定電流の分極測定を行うための指針です[参考資料25]。水素脆化は、チャージの方法と時間、試験速度で結果が変わります(Feng らが、24時間と48時間で結果の違いを示した、という記載のとおり[参考資料17])。 放射線の損傷は、照射の種類・温度・線量が決まって初めて意味を持ちます。素材から見ると、「HEA は耐食・耐水素・耐放射線に優れる」と一般化せず、特定の環境・特定の既存材との比較として読みます(本記事による解説)。
9. 限界と、確認できなかったこと
- 一次情報の確認の深さ:本稿は、多くの論文を要旨の範囲で確認しており、Cantor ら(2004)、Tsai ら(2013)、Senkov ら(2011)、Li ら(2016)の個別の数値、Piglione ら(2018)、Zhao ら(2017)は、本文を確認していません。Gludovatz ら(2016)の本文、Miracle ら(2014)の本文は確認しました
- 格子ひずみ効果とカクテル効果:これらを検証した一次情報の記述は、本稿では確認できなかったため、評価を書いていません
- VEC の境界値:Guo らが示した fcc/bcc の境界の数値は、本文を確認できなかったため、書いていません
- 耐火 HEA の高温強度・耐酸化:温度ごとの強度の数値、酸化の挙動は、本稿では確認していません
- 他の合金系:耐火 HEA 以外の高エントロピー系(共晶 HEA、金属間化合物を含む複雑濃厚合金)、析出強化 HEA、HEA コーティングは、本稿の範囲外です
- 実用品・市場:実用化された合金、価格、供給、資源・リサイクル、加工性は、一次情報で確認できていません。市場調査の推計は使いません
- HEA 専用の規格:HEA を対象にした ISO・IEC・IEEE・JIS の規格は、確認できませんでした(第10章)
- この記事は、安全性・規制・医療に関する助言ではありません。合金の使用は、使用者が、仕様と適用される法令を確認してください
10. 評価規格の読み方
HEA の評価では、引張(室温・高温・極低温)、シャルピー衝撃、破壊靱性(J 積分・KJIc)、硬さ、クリープ、結晶粒径、分極測定(耐食)の試験の値を使います。 規格が定めているのは、各試験の方法で、「HEA」の定義や、合金の性能の合否基準ではありません。HEA を対象にした ISO・IEC・IEEE・JIS の規格は、本稿では確認できませんでした。
| 評価項目 | ISO | IEC・IEEE | JIS | ASTM | 測定条件で値が変わる点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 引張(室温)事実 | ISO 6892-1:2019(金属材料の引張試験、室温の方法) | 確認できなかった | JIS Z 2241(金属材料引張試験方法) | E8(論文に、引張試験として記載。E8/E8M の試験片の記載もあり。題名の全文は未確認) | 試験片の形と寸法、ひずみ速度、粒径、加工状態[6] |
| 引張(高温)事実 | ISO 6892-2:2026(高温の方法、第3版、2026-08) | 確認できなかった | 確認できなかった | E21(論文に、高温の引張として記載。題名は未確認) | 保持温度と時間、ひずみ速度、雰囲気(耐火 HEA は酸化に注意) |
| クリープ事実 | ISO 204:2023(一軸の引張クリープ試験。連続・中断、応力破断、所定時間の確認の方法) | 確認できなかった | JIS Z 2271(金属材料のクリープ及びクリープ破断試験方法) | 確認できなかった | 応力、温度、時間、雰囲気 |
| シャルピー衝撃事実 | ISO 148-1:2016(V ノッチ・U ノッチ。附属書 B・C は ASTM E23 を基にする。改訂の作業中) | 確認できなかった | JIS Z 2242(金属材料のシャルピー衝撃試験方法) | E23(論文に、シャルピー V ノッチ衝撃試験として記載。題名の全文は未確認) | ノッチの形、試験温度、試験片の寸法[22] |
| 破壊靱性(K、δ、J、R 曲線)事実 | ISO 12135:2021(準静的な破壊靱性 K・δ・J・R 曲線の統一的な方法) | 確認できなかった | JIS Z 2284(液体ヘリウム中の弾塑性破壊じん性 JIC。極低温の範囲の規格) | E1820(J 積分・CTOD の抵抗曲線の試験として論文に記載。Gludovatz らが「概ね従い」試験[6]) | 試験片(C(T))、予き裂、側溝、温度、有効条件、き裂の進展量[6] |
| 硬さ(ビッカース)事実 | ISO 6507-1:2023(ビッカース硬さ試験。圧痕の対角線 0.020〜1.400 mm の範囲。コーティングを含む) | 確認できなかった | JIS Z 2244-1(ビッカース硬さ試験-第1部:試験方法) | E384(微小硬さ試験として論文に記載。題名は未確認) | 試験力、保持時間、圧痕の大きさ、試料の表面の状態 |
| 結晶粒径事実 | 確認できなかった | 確認できなかった | 確認できなかった | E112(線分法による粒径測定として論文に記載。題名は未確認) | 方法(線分法か面積法か)、双晶境界を粒界に数えるか(解説)、測定した視野の数 |
| 分極測定(耐食)事実 | ISO 17475:2005(定電位・定電流の分極測定の指針) | 確認できなかった | 確認できなかった | 確認できなかった | 電解液、温度、掃引速度、表面仕上げ(解説) |
| 積層造形の用語事実 | ISO/ASTM 52900:2021(積層造形の用語。ISO/TC 261) | 確認できなかった | 確認できなかった | 共同規格(番号に ASTM を含む。ASTM のサイトは参照せず) | 用語の規格のため、測定条件はない |
| HEA の定義・組成の表記事実 | 確認できなかった | 確認できなかった | 確認できなかった | 確認できなかった | 「5元素以上、各5〜35 at.%」は論文での定義[4]。規格の定義ではない |
規格の番号と題名は、ISO は ISO の公式ページ、JIS は日本産業標準調査会(JISC)のJIS検索で確認しました。ASTM規格は、ASTMのサイトを開かず、それ以外の公開資料(査読論文の本文)での番号と、記載された用途を確認した範囲です。ASTMの欄は、試験の内容・条件・合否基準を書いていません。表の整理は本稿の計算です。
規格の位置づけ ― 国際規格、国内規格、業界規格
- ISO は国際規格、JIS は国内規格、ASTM は米国の標準化団体が発行する業界規格です。ISO 6892-1 と JIS Z 2241 と ASTM E8 は、同じ「引張試験」の規格ですが、互いの一致の程度(同一・修正など)は、規格の本文を確認していないため、確認できていません
- ISO 6892-2 は2026年版(第3版、2026年8月)が現行で、2018年版は廃止されています。ISO 6892-1 は2019年版(第3版)で、2025年までに確認されています。ISO 148-1 は2016年版が現行で、改訂の作業中です。同じ番号でも、版が違えば手順が違う場合があります
- JIS Z 2284 は、液体ヘリウム(約 4 K)中の弾塑性破壊じん性の規格で、本稿の Gludovatz らの論文(77 K、液体窒素)が使った規格ではありません。極低温の規格が JIS にある、という紹介にとどめます
読むときの注意
- 規格は「試験方法」であり、合金の性能を保証しません。「ISO 6892-1 に従った引張試験」は、その試験方法での値で、組成・加工・粒径が違えば別の値になります
- 論文の「規格に従う」は、概ね従う場合があります。Gludovatz らは「ASTM E1820 に概ね従い」と書いています[参考資料6]。規格の有効条件を満たしたかは、論文の本文の記載で確認します
- 極低温の試験は、温度・冷媒・試験片の寸法を併記して読みます。293 K、198 K、77 K で、強度・延性・靱性が変わることを、同じ論文が示しています[参考資料6]
- 耐食・水素・放射線は、規格の値ではなく、条件の記述が中心です。HEA に特化した試験規格は確認できませんでした
11. 用語集
- 高エントロピー合金(HEA)
- 5元素以上、各5〜35 at.% の合金という論文上の定義[4]。実際の用法は広く、3元素以上の多主元素合金(MPEA)、複雑濃厚合金(CCA)と区別される。
- 配置エントロピー
- 原子の配置の乱れから生じるエントロピー。等原子の N 元素で R ln N。
- 等原子
- すべての元素が同じ原子分率の組成。
- at.%
- 原子分率(%)。質量分率(wt%)とは別。
- 固溶体
- 複数の元素が、一つの結晶格子の中に混ざった状態。
- 金属間化合物
- 元素が決まった比率で並ぶ規則的な相。脆いことが多い。
- fcc/bcc/hcp
- 面心立方・体心立方・六方最密の結晶構造。
- VEC(価電子濃度)
- 原子あたりの価電子数の平均。fcc/bcc の安定性の目安[8]。
- 混合則(ROM)
- 合金の性質を、成分の性質の加重平均で見積もる方法。
- 耐火 HEA(RHEA)
- Nb・Mo・Ta・W などの耐火元素を主とする HEA[10]。
- KJIc
- J 積分から換算した、き裂の発生時の破壊靱性(MPa√m)。
- 変形双晶(ナノ双晶)
- 変形で生じる双晶。加工硬化の継続に関わる[5・6]。
- TRIP
- 変態誘起塑性。変形で相が変態して延性が増す現象[12]。
- LPBF
- レーザ粉末床溶融。粉末を敷いてレーザで溶かす積層造形。
- HIP
- 熱間等方圧加圧。高温・高圧で内部の気孔を減らす処理。
12. 参考資料(一次情報)
- Yeh J.-W., Chen S.-K., Lin S.-J., Gan J.-Y. ほか “Nanostructured High-Entropy Alloys with Multiple Principal Elements: Novel Alloy Design Concepts and Outcomes”, Adv. Eng. Mater. 6, 299–303 (2004), DOI 10.1002/adem.200300567 — doi.org/10.1002/adem.200300567
- Cantor B., Chang I. T. H., Knight P., Vincent A. J. B. “Microstructural development in equiatomic multicomponent alloys”, Mater. Sci. Eng. A 375–377, 213–218 (2004), DOI 10.1016/j.msea.2003.10.257(本稿は題名と、Gludovatz らの引用での記述のみ確認) — doi.org/10.1016/j.msea.2003.10.257
- Miracle D. B., Senkov O. N. “A critical review of high entropy alloys and related concepts”, Acta Mater. 122, 448–511 (2017), DOI 10.1016/j.actamat.2016.08.081(要旨を確認) — doi.org/10.1016/j.actamat.2016.08.081
- Miracle D. B., Miller J. D., Senkov O. N., Woodward C. ほか “Exploration and Development of High Entropy Alloys for Structural Applications”, Entropy 16, 494–525 (2014), DOI 10.3390/e16010494(オープンアクセス) — doi.org/10.3390/e16010494
- Gludovatz B., Hohenwarter A., Catoor D., Chang E. H. ほか “A fracture-resistant high-entropy alloy for cryogenic applications”, Science 345, 1153–1158 (2014), DOI 10.1126/science.1254581(要旨を確認) — doi.org/10.1126/science.1254581
- Gludovatz B., Hohenwarter A., Thurston K. V. S., Bei H. ほか “Exceptional damage-tolerance of a medium-entropy alloy CrCoNi at cryogenic temperatures”, Nat. Commun. 7, 10602 (2016), DOI 10.1038/ncomms10602(オープンアクセス) — doi.org/10.1038/ncomms10602
- Tsai K.-Y., Tsai M.-H., Yeh J.-W. “Sluggish diffusion in Co–Cr–Fe–Mn–Ni high-entropy alloys”, Acta Mater. 61, 4887–4897 (2013), DOI 10.1016/j.actamat.2013.04.058(題名のみ確認) — doi.org/10.1016/j.actamat.2013.04.058
- Guo S., Ng C., Lu J., Liu C. T. “Effect of valence electron concentration on stability of fcc or bcc phase in high entropy alloys”, J. Appl. Phys. 109, 103505 (2011), DOI 10.1063/1.3587228(要旨を確認) — doi.org/10.1063/1.3587228
- Senkov O. N., Wilks G. B., Scott J. M., Miracle D. B. “Mechanical properties of Nb25Mo25Ta25W25 and V20Nb20Mo20Ta20W20 refractory high entropy alloys”, Intermetallics 19, 698–706 (2011), DOI 10.1016/j.intermet.2011.01.004(題名のみ確認) — doi.org/10.1016/j.intermet.2011.01.004
- Couzinié J.-P., Senkov O. N., Miracle D. B., Dirras G. “Comprehensive data compilation on the mechanical properties of refractory high-entropy alloys”, Data in Brief 21, 1622–1641 (2018), DOI 10.1016/j.dib.2018.10.071(オープンアクセス) — doi.org/10.1016/j.dib.2018.10.071
- Youssef K. M., Zaddach A. J., Niu C., Irving D. L. ほか “A Novel Low-Density, High-Hardness, High-entropy Alloy with Close-packed Single-phase Nanocrystalline Structures”, Mater. Res. Lett. 3, 95–99(2014年にオンライン公開), DOI 10.1080/21663831.2014.985855(要旨を確認) — doi.org/10.1080/21663831.2014.985855
- Li Z., Pradeep K. G., Deng Y., Raabe D. ほか “Metastable high-entropy dual-phase alloys overcome the strength–ductility trade-off”, Nature 534, 227–230 (2016), DOI 10.1038/nature17981(本文冒頭部を確認) — doi.org/10.1038/nature17981
- Atabay S. E., Sarafan S., Islam A., Bernier F. ほか “Laser Powder Bed Fusion Printing of CoCrFeMnNi High Entropy Alloy: Processing, Microstructure, and Mechanical Properties”, High Entropy Alloys & Materials 2, 129–173 (2024), DOI 10.1007/s44210-024-00035-1 — doi.org/10.1007/s44210-024-00035-1
- Piglione A., Dovgyy B., Liu C., Gourlay C. M. ほか “Printability and microstructure of the CoCrFeMnNi high-entropy alloy fabricated by laser powder bed fusion”, Mater. Lett. 224, 22–25 (2018), DOI 10.1016/j.matlet.2018.04.052(題名のみ確認) — doi.org/10.1016/j.matlet.2018.04.052
- Shi Y., Yang B., Liaw P. K. “Corrosion-Resistant High-Entropy Alloys: A Review”, Metals 7, 43 (2017), DOI 10.3390/met7020043(オープンアクセス、要旨を確認) — doi.org/10.3390/met7020043
- Granberg F., Nordlund K., Ullah M. W., Jin K. ほか “Mechanism of Radiation Damage Reduction in Equiatomic Multicomponent Single Phase Alloys”, Phys. Rev. Lett. 116, 135504 (2016), DOI 10.1103/PhysRevLett.116.135504(要旨を確認) — doi.org/10.1103/physrevlett.116.135504
- Feng Z., Li X., Song X., Gu T. ほか “Hydrogen Embrittlement of CoCrFeMnNi High-Entropy Alloy Compared with 304 and IN718 Alloys”, Metals 12, 998 (2022), DOI 10.3390/met12060998(オープンアクセス) — doi.org/10.3390/met12060998
- Zhao Y., Lee D.-H., Seok M.-Y., Lee J.-A. ほか “Resistance of CoCrFeMnNi high-entropy alloy to gaseous hydrogen embrittlement”, Scr. Mater. 135, 54–58 (2017), DOI 10.1016/j.scriptamat.2017.03.029(題名のみ確認) — doi.org/10.1016/j.scriptamat.2017.03.029
- 国際標準化機構(ISO) ISO 6892-1:2019 “Metallic materials — Tensile testing — Part 1: Method of test at room temperature”(第3版、2019-11、2025年までに確認) — iso.org/standard/78322
- 国際標準化機構(ISO) ISO 6892-2:2026 “Metallic materials — Tensile testing — Part 2: Method of test at elevated temperature”(第3版、2026-08発行、前版 ISO 6892-2:2018 は廃止) — iso.org/standard/87885
- 国際標準化機構(ISO) ISO 204:2023 “Metallic materials — Uniaxial creep testing in tension — Method of test” — iso.org/standard/82162
- 国際標準化機構(ISO) ISO 148-1:2016 “Metallic materials — Charpy pendulum impact test — Part 1: Test method”(附属書 B・C は ASTM E23 を基にし、ASTM の許可を得て使用と記載。改訂の作業中) — iso.org/standard/63802
- 国際標準化機構(ISO) ISO 12135:2021 “Metallic materials — Unified method of test for the determination of quasistatic fracture toughness” — iso.org/standard/78208
- 国際標準化機構(ISO) ISO 6507-1:2023 “Metallic materials — Vickers hardness test — Part 1: Test method”(第5版、2023-10) — iso.org/standard/83898
- 国際標準化機構(ISO) ISO 17475:2005 “Corrosion of metals and alloys — Electrochemical test methods — Guidelines for conducting potentiostatic and potentiodynamic polarization measurements”(2005-10、確認済み) — iso.org/standard/31392
- 国際標準化機構(ISO) ISO/ASTM 52900:2021 “Additive manufacturing — General principles — Fundamentals and vocabulary”(第2版、2021-11、2025年に確認。ISO/TC 261) — iso.org/standard/74514
- 日本産業標準調査会(JISC) JIS検索「JIS Z 2241 金属材料引張試験方法」 — jisc.go.jp(Z2241)
- 日本産業標準調査会(JISC) JIS検索「JIS Z 2242 金属材料のシャルピー衝撃試験方法」 — jisc.go.jp(Z2242)
- 日本産業標準調査会(JISC) JIS検索「JIS Z 2244-1 ビッカース硬さ試験-第1部:試験方法」 — jisc.go.jp(Z2244-1)
- 日本産業標準調査会(JISC) JIS検索「JIS Z 2271 金属材料のクリープ及びクリープ破断試験方法」 — jisc.go.jp(Z2271)
- 日本産業標準調査会(JISC) JIS検索「JIS Z 2284 金属材料の液体ヘリウム中弾塑性破壊じん(靱)性JIC試験方法」 — jisc.go.jp(Z2284)
- ASTM規格の番号・内容の確認に使った公開資料(ASTMのサイトは参照していない): E8 は Materials 18, 1288 (2025), DOI 10.3390/ma18061288(室温の引張を ASTM E8、760 ℃の引張を ASTM E21 で実施と記載)/E23 は Nanomaterials 16, 66 (2026), DOI 10.3390/nano16010066(シャルピーV ノッチ衝撃試験を ASTM E23-18 に従い実施と記載)/E1820 は Materials 18, 1051 (2025), DOI 10.3390/ma18051051(E1820 は、平面ひずみの発生靱性または J 積分・CTOD の抵抗曲線を試験する規格として開発された、と記載)/E112 は PLOS One 21, e0354359 (2026), DOI 10.1371/journal.pone.0354359(結晶粒径を ASTM E112 の線分法で測定と記載)/E384 は iScience 29, 116678 (2026), DOI 10.1016/j.isci.2026.116678(微小硬さ試験を ASTM E384-17 に従い実施と記載) — doi.org/10.3390/ma18061288(ほか)
13. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| HEA の標準的な定義(5元素以上、各5〜35 at.%)、ΔSconf=R ln N、N=5 で 1.61R、N=13 で 2.57R、従来の合金の値(低合金鋼 約0.22R、ステンレス鋼 約1.15R、超合金 最大約1.37R)、1.5R 以上という目安 | Miracle ら(2014)の本文(ブラウザで確認) 出典4 https://doi.org/10.3390/e16010494 | 事実 |
| 二元化合物の ΔG の平均 約 −41 kJ/mol(中央値 −36)、安定性を失う二元金属間化合物の割合(300 K で約10〜15%、600 K で約20〜32%、1,500 K で約40〜60%)、単相の HEA の割合(600 K で約1/3、1,500 K で約2/3)、CoCrFeMnNi は単相・TiCrFeMnNi は金属間化合物 | Miracle ら(2014)の本文(ブラウザで確認) 出典4 https://doi.org/10.3390/e16010494 | 事実 |
| 「高エントロピー効果」「遅い拡散」はデータでは支持されない。408合金の実験データと CALPHAD の2つのデータ集による組織の評価。CCA の系統が7つ。オーステナイト系ステンレス鋼・ニッケル合金も MPEA に含まれる。耐火元素を主とする一部の合金がニッケル超合金の使える範囲を広げうる | Miracle・Senkov(2017)の要旨 出典3 https://doi.org/10.1016/j.actamat.2016.08.081 | 事実 |
| 「高エントロピー合金」という名称での多主元素合金の提案、単純な結晶構造・ナノ構造・有望な力学特性という予備的な結果 | Yeh ら(2004)の要旨 出典1 https://doi.org/10.1002/adem.200300567 | 事実 |
| Cantor ら(2004)の題名。20元素の等原子合金が脆い多相組織になったこと、CrMnFeCoNi が2004年に導入されたこと(Gludovatz らの引用による記述) | Cantor ら(2004)の題名。記述は出典6の本文による 出典2 https://doi.org/10.1016/j.msea.2003.10.257 | 事実 |
| CrMnFeCoNi が単相の fcc 固溶体で、引張強さ 1 GPa 以上・破壊靱性 200 MPa√m 超、極低温で特性が向上、平面すべりからナノ双晶への移行、連続的な加工硬化 | Gludovatz ら(2014)の要旨 出典5 https://doi.org/10.1126/science.1254581 | 事実 |
| CrCoNi(293 K で約 1 GPa・約70%・KJIc 200 超、77 K で 1.3 GPa 超・最大90%・275)、本文の KJIc(208、273 MPa√m)、アーク溶解・1,200 ℃ 24 時間・約60%の圧下・800 ℃ 1 時間・粒径 5〜50 μm、293・198・77 K、C(T) 試験片・ASTM E1820 に概ね従う、CrMnFeCoNi の 763→1,280 MPa・0.5→0.7・KJIc 200 超 | Gludovatz ら(2016)の本文(Europe PMC のオープンアクセス全文で確認) 出典6 https://doi.org/10.1038/ncomms10602 | 事実 |
| Co-Cr-Fe-Mn-Ni の遅い拡散に関する論文の題名 | Tsai ら(2013)の題名のみ確認 出典7 https://doi.org/10.1016/j.actamat.2013.04.058 | 事実 |
| 混合エンタルピーが固溶体か化合物かを決める主な要因、fcc/bcc の安定性が VEC でよく分けられること | Guo ら(2011)の要旨 出典8 https://doi.org/10.1063/1.3587228 | 事実 |
| Nb25Mo25Ta25W25 と V20Nb20Mo20Ta20W20 の機械特性の論文の題名 | Senkov ら(2011)の題名のみ確認 出典9 https://doi.org/10.1016/j.intermet.2011.01.004 | 事実 |
| 122の RHEA・RCCA(2010〜2018年1月)のデータ集、RHEA/RCCA の定義、密度とヤング率が混合則で計算されていること | Couzinié ら(2018)の本文(Europe PMC のオープンアクセス全文) 出典10 https://doi.org/10.1016/j.dib.2018.10.071 | 事実 |
| Al20Li20Mg10Sc20Ti30 のメカニカルアロイング、fcc から hcp への変態、強度と重さの比(推定値)、焼なまし後の硬さ | Youssef ら(2014)の要旨 出典11 https://doi.org/10.1080/21663831.2014.985855 | 事実 |
| 準安定な TRIP 型デュアルフェーズ HEA、fcc から hcp へのマルテンサイト変態、強度と延性の同時の向上、「エントロピーの最大化による安定化」から設計の考えを転換したこと | Li ら(2016)の本文の冒頭部 出典12 https://doi.org/10.1038/nature17981 | 事実 |
| CoCrFeMnNi の LPBF(VED 104 J/mm³、気孔率 0.01%未満、造形方向による異方性、HIP 後に伸びが約50%高い)、316L との耐食の比較(3.5 wt% NaCl・1 N H2SO4)、水素透過が約5倍小さい報告 | Atabay ら(2024)の総説(比較の基準の詳細は未確認) 出典13 https://doi.org/10.1007/s44210-024-00035-1 | 事実 |
| CoCrFeMnNi の LPBF での造形性と組織の論文の題名 | Piglione ら(2018)の題名のみ確認 出典14 https://doi.org/10.1016/j.matlet.2018.04.052 | 事実 |
| HEA の耐食性の総説(水環境、コーティング、局所的に乱れた化学環境による独特な耐食性が期待されること) | Shi ら(2017)の要旨 出典15 https://doi.org/10.3390/met7020043 | 事実 |
| NiFe と NiCoCr の単相合金で、Ni に比べ照射損傷の蓄積が減ること、転位の移動度の低下、相分離・規則化・非晶質化が見られないこと | Granberg ら(2016)の要旨 出典16 https://doi.org/10.1103/physrevlett.116.135504 | 事実 |
| CoCrFeMnNi の水素脆化への耐性が、304 や IN718 より高いこと、水素チャージの時間による結果の違い | Feng ら(2022)(詳細は未確認) 出典17 https://doi.org/10.3390/met12060998 | 事実 |
| CoCrFeMnNi のガス水素脆化への耐性の論文の題名 | Zhao ら(2017)の題名のみ確認 出典18 https://doi.org/10.1016/j.scriptamat.2017.03.029 | 事実 |
| ISO 6892-1:2019 の番号・題名・適用範囲 | ISO の公式ページ 出典19 https://www.iso.org/standard/78322.html | 事実 |
| ISO 6892-2:2026 の番号・題名・版(第3版、2026-08) | ISO の公式ページ 出典20 https://www.iso.org/standard/87885.html | 事実 |
| ISO 204:2023 の番号・題名・適用範囲 | ISO の公式ページ 出典21 https://www.iso.org/standard/82162.html | 事実 |
| ISO 148-1:2016 の番号・題名・適用範囲(附属書 B・C は ASTM E23 を基にする) | ISO の公式ページ 出典22 https://www.iso.org/standard/63802.html | 事実 |
| ISO 12135:2021 の番号・題名・適用範囲 | ISO の公式ページ 出典23 https://www.iso.org/standard/78208.html | 事実 |
| ISO 6507-1:2023 の番号・題名・適用範囲(圧痕の対角線の範囲) | ISO の公式ページ 出典24 https://www.iso.org/standard/83898.html | 事実 |
| ISO 17475:2005 の番号・題名・適用範囲 | ISO の公式ページ 出典25 https://www.iso.org/standard/31392.html | 事実 |
| ISO/ASTM 52900:2021 の番号・題名・状態(2025年に確認) | ISO の公式ページ 出典26 https://www.iso.org/standard/74514.html | 事実 |
| JIS Z 2241 金属材料引張試験方法の番号と名称 | JISC の JIS検索 出典27 https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=Z2241 | 事実 |
| JIS Z 2242 金属材料のシャルピー衝撃試験方法の番号と名称 | JISC の JIS検索 出典28 https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=Z2242 | 事実 |
| JIS Z 2244-1 ビッカース硬さ試験-第1部:試験方法の番号と名称 | JISC の JIS検索 出典29 https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=Z2244-1 | 事実 |
| JIS Z 2271 金属材料のクリープ及びクリープ破断試験方法の番号と名称 | JISC の JIS検索 出典30 https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=Z2271 | 事実 |
| JIS Z 2284 金属材料の液体ヘリウム中弾塑性破壊じん(靱)性JIC試験方法の番号と名称 | JISC の JIS検索 出典31 https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=Z2284 | 事実 |
| ASTM E8、E21、E23、E1820、E112、E384 の番号と、論文に記載された用途(ASTMのサイトは参照せず、査読論文の本文の記載で確認。E21・E384・E8 の題名の全文は確認できなかった) | 査読論文(オープンアクセス)の記載 出典32 https://doi.org/10.3390/ma18061288(ほか、参考資料の末尾に列挙) | 事実 |
| ΔSconf/R の値(N=2〜13、20、非等原子の Al20Li20Mg10Sc20Ti30 で約1.56)、エントロピー項 −TΔSconf(300・600・1,000・1,500 K、N=2・5・13)と平均の ΔG との比(約1/3) | 本稿の計算。R=8.314 J/(mol·K) を用いた理想的な配置エントロピーのみで、混合エンタルピー・ひずみエネルギーを含まない | 本稿の計算 |
| VEC(CoCrFeMnNi 8.0、NbMoTaW 5.5、VNbMoTaW 5.4、Al20Li20Mg10Sc20Ti30 2.8)と、混合則の密度(約 8.0、13.6、12.4、2.67 g/cm³) | 本稿の計算。価電子数・標準原子量・単体の密度は本稿が用いた標準的な値。実測の密度ではない | 本稿の計算 |
| 293 K から 77 K への変化率(CrMnFeCoNi の引張強さ 約1.68倍、CrCoNi の KJIc 約1.31倍、破断ひずみ 20ポイント増) | 本稿の計算。異なる論文・試料の値の比で、1つの試験の中の比ではない | 本稿の計算 |
| 「4つのコア効果」という整理、各考えへの評価の並べ方、「単相は状態の確認が要る」「極低温の値は変形機構・粒径・試験条件で読む」「高エントロピーを外した設計が実用の入口」「耐食・水素・放射線は同じ条件の既存材と比べる」という読み取り、図4の整理 | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各論文の著者が表明した見解ではない(「低い積層欠陥エネルギーに由来すると思われる」は、論文の記述を超える推測) | 解説 |
| 格子ひずみ効果・カクテル効果の評価、VEC の境界値、耐火 HEA の高温強度・耐酸化の数値、HEA 専用の ISO・IEC・IEEE・JIS 規格、IEC・IEEE の該当規格、実用品・価格・市場、比較対象(既存材)の値、ASTM E21・E384・E8 の題名の全文 | 本稿の調査範囲でアクセスできた一次情報では確認できなかったため記載していない | 解説 |
| 図2・図3・図4・図6が実際の観察像・実データではなく説明のための作図であること。図1と図5がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月10日/出典は一次情報(査読論文、規格団体のページ)に限定しています。多くの論文は要旨の範囲で確認しており、Gludovatz ら(2016)、Miracle ら(2014)、Couzinié ら(2018)は本文を確認しました。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 格子ひずみ効果・カクテル効果の評価、VEC の境界値、耐火 HEA の高温強度・耐酸化の数値、HEA 専用の規格、実用品・価格・市場については、確認できなかったため記載していません。 HEA の数値は、組成・加工・粒径・試験温度を決めた研究室の結果であり、他の合金や実際の使用環境に一般化できません。 図はすべて説明用の概念図・作図です。図2・図3・図4・図6はベクター作図、図1と図5はAI生成イメージであり、いずれも実際の顕微鏡像・実験データ・製品の実物を示すものではありません。