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エッジAIとオンデバイスAI 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

エッジAIとオンデバイスAI
― 「何TOPSか」より先に、「メモリは何GB、帯域は何GB/sか」を見る

スマートフォンやAI PC、組み込み機器の中でAIを動かすエッジAI(オンデバイスAI)は、クラウドに送らず端末で処理することで、遅延、通信、プライバシーの面で別の選択肢になります。一方で、NPUの「TOPS」は大きく書かれていても、小さな言語モデルの文章生成の速さを決めているのは、多くの場合メモリの容量と帯域です。この記事では、NPU・小型モデル・量子化・メモリ・電力・プライバシーを、Microsoft・Qualcomm・Apple・Arm・NVIDIA・Hailo などの公式資料の範囲で整理し、本稿の計算で数字の感覚をつかみます。製品や企業の優劣は論じません。

構成:Microsoft の Windows 11 仕様ページ、Qualcomm・Arm・NVIDIA・Hailo の製品ページ、Apple の基盤モデルの技術報告とブログ、Phi-3・Gemma 3・MobileLLM の論文、MLCommons の MLPerf のページ、ISO の規格一覧、JEDEC の発表を使用/確認日 2026年10月15日

カメラの入力を手元の機器で処理する例です。拡大部はSoCとメモリを示し、端末内でも容量・帯域・電力・熱の制約があることを表します。
図1 概念画像(ImageGenで生成)。カメラの入力を手元の機器で処理する例です。拡大部はSoCとメモリを示し、端末内でも容量・帯域・電力・熱の制約があることを表します。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。
この記事の構成
  1. エッジAI・オンデバイスAIとは(3行でつかむ)
  2. どこで動かすか ― 端末の種類と、公称値の見取り図
  3. NPUとTOPS ― 何を数えた数字か
  4. メモリが決める ― 容量と帯域
  5. 小型モデルと「小さくする」工夫 ― 量子化、KVキャッシュ、フラッシュ
  6. 電力と熱 ― 端末では「ワット」が最初の制約
  7. プライバシーとデータ ― 「端末内」の意味と限界
  8. 素材技術者の視点:工場・研究所のエッジAI ― 小さな機器で、現場のデータを現場で処理する
  9. 限界と、確認できなかったこと
  10. 評価・標準の読み方
  11. 用語集
  12. 参考資料(一次情報)
  13. 主張と出典の対応表(監査)
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・予定・提案であり、実績や確定が確認できていない事項
このほか、読み取りや整理は「解説」として区別しています。推測は太字で示します。

この記事の数値の読み方

TOPS、メモリ帯域、消費電力は、メーカーの公称値です。TOPS は「1秒あたり何兆回の演算」のピーク値で、どの数値精度(INT8 など)で、疎性(sparsity)を使った値かが製品ごとに違い、実際の速さを示しません。モデルの速さ・サイズは、各社・各論文が自社の条件で報告した値です。製品や企業の優劣は論じません。将来の製品・機能は「未確定/将来」として扱います。本稿の計算は、単純な上限の見積もりで、実機の性能の予測ではありません。

1. エッジAI・オンデバイスAIとは(3行でつかむ)

  • 端末の中でAIを動かすこと:クラウドのサーバーではなく、スマートフォン、PC、組み込み機器、工場の機器の内部(エッジ)で推論します。Apple は、約30億パラメータのオンデバイスのモデルと、Private Cloud Compute 上のサーバーモデルを組み合わせる設計を公開しています事実[参考資料4][参考資料5]
  • TOPS は入口の数字:Microsoft は Copilot+ PC の条件として「40+ TOPS の NPU、16 GB のメモリ、256 GB のストレージ」を挙げています事実[参考資料1]。しかし、小型モデルの文章生成は、重みを毎トークン読み出すため、メモリの帯域で上限が決まります(第4章の本稿の計算)本稿の計算
  • 小さくする工夫が中心:小型モデル、量子化(Apple は2ビット)、KVキャッシュの削減、重みをフラッシュに置いて必要なぶんだけメモリに読み込む設計、などが公式資料で報告されています事実[参考資料3][参考資料5][参考資料6]
この記事でいちばん大事な一行

端末のAIは、「NPUが速いか」より先に、「モデルが何GBで、メモリが何GB/sで読み出せるか」で速さの上限が決まります。同じ45 TOPSの NPU でも、メモリ帯域が違えば、文章を作る速さの上限は変わります(第4章)。TOPS はピーク値で、精度・疎性・測り方が製品ごとに異なります。

2. どこで動かすか ― 端末の種類と、公称値の見取り図

エッジAIの機器は、電力もメモリも桁違いに幅があります。Arm の Ethos-U85 は、Cortex-M(マイコン)や Cortex-A の機器向けの NPU の設計(IP)で、128〜2,048個の積和演算器(MAC)の構成で、1 GHz のとき最大4 TOPS、トランスフォーマーネットワークの直接の対応をうたっています事実[参考資料12]。Hailo-8 は M.2 や PCIe のモジュールで、最大26 TOPS、標準的な消費電力2.5 W としています事実[参考資料14]。NVIDIA の Jetson AGX Orin は最大275 TOPS(疎なINT8)、15〜60 W、メモリ帯域204.8 GB/s です事実[参考資料13]。PC では、Qualcomm の Snapdragon X が最大45 TOPS、LPDDR5x で最大135 GB/s、Snapdragon X2 Elite が80〜85 TOPS、最大152〜228 GB/s とされています事実[参考資料2]。

各社が公称するピークTOPSとメモリ帯域(対数目盛り・条件はそろっていない)順位表ではありません。精度(INT8 など)・疎性・測り方・想定する用途が異なります。ピーク TOPS(公称)メモリ帯域 GB/s(公称)1101001,000101001,000Arm Ethos-U854記載なし(IPまたはモジュール)Hailo-826記載なし(IPまたはモジュール)Snapdragon X45135Snapdragon X2 Elite85228Jetson AGX Orin275204.8※ Ethos-U85 は最大構成・1 GHz。AGX Orin は疎なINT8。X2 Elite は上限側を表示。※ Hailo-8 の標準消費電力は2.5 W、AGX Orin は15〜60 W。Snapdragon の TOPS の注記は取得できなかった。
図2 概念図(ベクター作図)。各値は[参考資料2・12・13・14]の公称値です。精度・疎性・測り方が揃っておらず、順位の比較ではありません。
機器の例公称値(出典の記載)読むときの注意
マイコン向け NPU(Arm Ethos-U85)128〜2,048 MAC、1 GHz で最大4 TOPS、トランスフォーマーに対応、前世代より約20%省エネ(Arm の記載)[12]IP(設計)で、実際の性能はメモリや組込み先の構成で決まる。ページには注記がない
組み込みアクセラレータ(Hailo-8)最大26 TOPS、標準的な消費電力2.5 W、M.2・PCIe(Hailo の記載)[14]ピークのTOPSと標準消費電力を割った値は、同じ条件の測定ではない
組み込みモジュール(Jetson AGX Orin)最大275 TOPS(疎なINT8)、15〜60 W、64 GB・256ビット LPDDR5、204.8 GB/s(NVIDIA の記載)[13]疎性ありの値。密な値は、ページでは一部の行にしか記載がない
PC(Snapdragon X/X2 Elite)X:最大45 TOPS・LPDDR5x 最大135 GB/s。X2 Elite:80〜85 TOPS・152〜228 GB/s(Qualcomm の記載)[2]同じシリーズでも型番でTOPSとメモリ帯域が異なる。NPU がその帯域をすべて使えるとは限らない

すべて事実(各社の公式ページの記載・メーカー公称値。確認日 2026年10月15日)。

3. NPUとTOPS ― 何を数えた数字か

NPU(neural processing unit)は、ニューラルネットワークの行列演算を、CPUやGPUより少ない電力で行うために作られた演算器です。TOPS(tera operations per second)は、「1秒あたり何兆回の演算ができるか」のピーク値で、どの数値精度で数えたか(INT8、INT4、FP16 など)と、疎性(すべての数のうち一部が0であることを使った高速化)を使った値かで、同じNPUでも数字が変わります。NVIDIA の Jetson のページは、全体のAI性能を「疎なINT8」のTOPSで表し、密な値は一部の行にだけ併記しています事実[参考資料13]。Hailo は、TOPS の条件の注記をページに載せていません事実[参考資料14]。

TOPS は、PCの条件づけにも使われます。Microsoft は、Copilot+ PC の最小条件として、40+ TOPS の NPU、16 GB の DDR5/LPDDR5 メモリ、256 GB の SSD/UFS を挙げ、現在これに当てはまるのは AMD Ryzen AI 300・400 シリーズ、Intel Core Ultra 200V・300V シリーズ、Snapdragon X シリーズだとしています。ページは「これらの条件は時間とともに変わりうる」と断っています事実[参考資料1]。この「40+ TOPS」は Microsoft の製品の条件で、国際規格ではありません。

ISO/IEC は、機械学習の演算装置の全体像を整理した技術報告 ISO/IEC TR 17903:2024「Overview of machine learning computing devices」を発行しています(ISO の規格一覧で確認、確認日 2026年10月15日)事実[参考資料20]。本文は未確認で、題名を確認したにとどまります。

4. メモリが決める ― 容量と帯域

小さな言語モデルの文章生成(デコード)は、1トークンごとに重みをメモリから全部読み出します(本シリーズ「推論の最適化とサービング」編の整理)。だから速さの上限は、帯域 ÷ 読み出すバイト数で決まり、モデルを小さくする(量子化)ことは、そのまま速さの上限を上げることです。Microsoft の Phi-3 の報告は、3.8Bパラメータの phi-3-mini を4ビットに量子化すると約1.8 GBのメモリに収まり、iPhone 14(A16 Bionic)で端末内で完全にオフラインで動かして、毎秒12トークン超を得たと述べています(同社の報告)事実[参考資料6]。

モデル(パラメータ数)16ビット8ビット4ビット
1B2.0 GB1.0 GB0.5 GB
3B6.0 GB3.0 GB1.5 GB
8B16.0 GB8.0 GB4.0 GB

すべて本稿の計算(重みだけ。パラメータ数×ビット数÷8、1 GB=10^9バイト)。埋め込み表のビット数の違い、量子化の追加データ(スケールなど)、KVキャッシュ、アプリの領域は含みません。

本稿の計算①:メモリ帯域から見た、文章生成の速さの上限

本稿の計算 モデル:8Bのモデルを4ビットにすると重みは 4.0 GB。KVキャッシュは、Llama 3 8B の構成(32層、Key/Value ヘッド8、ヘッド次元128)事実[参考資料22]で、8ビットのKVとすると1トークン 2×32×8×128×1 = 65,536バイト、8,192トークンで約0.54 GB。合計 約4.54 GB を1トークンごとに読む、と置きます。

上限:帯域 ÷ 約4.54 GB。Snapdragon X(最大135 GB/s)事実[参考資料2]では約30トークン/秒、Snapdragon X2 Elite の最大構成(最大228 GB/s)では約50トークン/秒。3Bの4ビット(1.5 GB)なら、135 GB/s で約90、228 GB/s で約152トークン/秒です。

演算の側の上限:8Bは1トークンあたり約 2×8×10^9 = 160億回の演算。45 TOPS のピークなら約2,812 トークン/秒で、メモリ側の上限(約30)の約95倍です。つまり、この条件では演算ではなくメモリが律速です。

前提と限界:NPU がSoCのメモリ帯域をすべて使えること、重みがすべてメモリ上にあること、帯域をピークで使い切ることを仮定した上限の見積もりです。実際はCPU・GPUとの帯域の分け合い、キャッシュ、スケジューリングで、これより遅くなります。TOPS の精度・疎性の条件が不明なため、演算側は目安にとどまります。また、Phi-3 の報告値(4ビット約1.8 GB、毎秒12トークン超)から逆算すると、重みの読み出しだけで最低約22 GB/s が実際に使われた計算になります(1.8 GB × 12/秒)。

重みの大きさ(本稿の計算)と、16 GB のメモリCopilot+ PC の最小メモリ16 GB[参考資料1]を基準線に、重みだけの大きさを比較。16 GB048121B・16ビット2.0 GB3B・4ビット1.5 GB3B・16ビット6.0 GB8B・4ビット4.0 GB8B・8ビット8.0 GB8B・16ビット16.0 GB※ 重みだけ(パラメータ数×ビット数÷8)。OS、アプリ、KVキャッシュ、他のモデルの分は含まず、16 GBがすべて使えるわけではない。※ 色:4ビット(緑)、8ビット(茶)、16ビット(赤)。単なる大きさの比較で、品質の比較ではない。
図3 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。本稿の計算です。重みだけの大きさで、実際に使えるメモリや品質を示すものではありません。量子化で品質が保たれるかは、モデルとタスクごとに確認が必要です。
メモリ帯域から見たトークン/秒の上限(本稿の計算)帯域÷毎トークンに読む量。3Bの4ビット(1.5 GB)と、8Bの4ビット+8ビットKV(8,192トークン)の2本。050100150341151682210290301351013415213745204.815250228メモリ帯域 GB/s(公称)3B・4ビット8B・4ビット+KV※ 帯域の例:Jetson Orin Nano 4GB=51、8GB=102、Snapdragon X=135、X2=152、Jetson AGX Orin=204.8、X2 Elite 最大=228(公称)。※ 上限の見積もりで、実機の速さではない。NPU が帯域のすべてを使えること、重みがメモリ上にあることを仮定。※ 帯域は各社の公称。プロセッサとモデルの組み合わせの優劣ではない。
図4 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。本稿の計算です(帯域は[参考資料2・13]の公称値)。理想化した上限で、実機の速さの予測ではありません。

5. 小型モデルと「小さくする」工夫 ― 量子化、KVキャッシュ、フラッシュ

小型モデル。Microsoft の phi-3-mini は3.8Bパラメータで、報告では3.3兆トークンで学習しており、「スマートフォンに載せられる大きさ」と述べています事実[参考資料6]。Meta は MobileLLM で、10億未満のパラメータでも、深く細い構造、埋め込みの共有、グループ化クエリ注意などの設計が精度に効くと報告しています事実[参考資料8]。Google の Gemma 3 は1〜27Bパラメータで、長文でKVキャッシュのメモリが爆発的に増える問題に対し、局所注意の層と全体注意の層の比率を変えてKVキャッシュを減らす設計に変えたと述べています事実[参考資料7]。

量子化。重みを少ないビットで表す方法です。GPTQ は生成型の事前学習済みTransformer向けの事後量子化(再学習なし)の手法事実[参考資料9]、AWQ は、重みの一部がより重要だという観察にもとづき、活性化を見て重みを量子化する手法です事実[参考資料10]。数値形式については、AMD・Arm・Intel・Meta・Microsoft・NVIDIA・Qualcomm が共同で、OCP Microscaling Formats(MX)仕様 第1版(2023年9月)を公開し、FP8・FP6・FP4・INT8 の要素形式と、ブロックごとの共有スケールを定めました事実[参考資料11]。量子化の詳細は本シリーズ「モデルの効率化」編で扱います。

Apple の例(企業の公開資料)。Apple の2025年の技術報告は、約30億パラメータのオンデバイスモデルについて、(1) モデルを2つのブロックに分け、後ろの37.5%の層でKey/Valueの投影を持たず前のブロックのKVキャッシュを共有することで、KVキャッシュのメモリを37.5%減らし、最初のトークンまでの時間も約37.5%短縮、(2) 量子化を考慮した学習(QAT)で重みを2ビットに圧縮、(3) 埋め込み表を4ビット、KVキャッシュを8ビットに、(4) 失われた品質を回復する低ランクアダプタ、を述べています事実[参考資料5]。2026年6月8日の Apple のページは、第3世代の基盤モデルを発表し、オンデバイスモデルは AFM 3 Core(30億パラメータの密なモデルの次世代)と AFM 3 Core Advanced(200億パラメータのスパースなモデルで、1回に10〜40億パラメータを使う)で、モデル全体をフラッシュメモリ(NAND)に置き、必要な専門家だけをDRAMに読み込む設計だと述べています(同社の記載・設計)事実[参考資料3]。技術報告は「今夏後半に公開する」とされ、2026年10月15日時点では確認できませんでした。

フラッシュは保存、DRAMは実行時の大きなデータ、チップ内の小さなメモリは計算に近い場所を担う例です。配置と大きさは縮尺ではありません。
図5 概念画像(ImageGenで生成)。フラッシュは保存、DRAMは実行時の大きなデータ、チップ内の小さなメモリは計算に近い場所を担う例です。配置と大きさは縮尺ではありません。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。 [参考資料3]
元のSVG模式図・数値・出典注記を見る
端末のメモリ階層と、モデルの置き場所(概念図)フラッシュ(NAND)容量が大きい・遅いモデル全体の保管Apple は AFM 3 Core Advanced でここに全体を置くと述べるDRAM(LPDDR)数GB〜十数GB・帯域が決め手使う分の重みとKVキャッシュ例:16 GB(Copilot+ PC の最小)NPU・GPU・CPU演算(TOPS)オンチップのSRAM小さい・速い必要分毎トークンデコードの速さの上限 ≒ DRAMの帯域 ÷ 毎トークンに読むバイト数(量子化・KV共有・スパースな専門家で減らす)※ 概念図。実際の端末では、メモリの種類・容量・帯域・フラッシュの速度は機種で異なります。※ 「フラッシュに全体、必要な専門家だけDRAM」は Apple のページの記載(企業の主張・設計)[参考資料3]。
図5 概念図(ベクター作図)。端末のメモリ階層の概念図です。Apple の設計の記述は[参考資料3]、メモリ帯域が律速になる整理は本稿の計算(第4章)によります。
本稿の計算②:全体をDRAMに置くと何GBか(Apple の200億パラメータの例を、仮のビット数で)

本稿の計算 AFM 3 Core Advanced は、200億パラメータで、1回に10〜40億パラメータを使うと Apple は記しています事実[参考資料3]。Apple はビット数を公表していません。仮に4ビットなら 200億×4÷8 = 10 GB、仮に2ビットなら 5 GB です。16 GB のメモリの機器で全体を載せるのが難しい大きさで、Apple が全体をフラッシュに置き、必要な専門家だけを読み込む設計にした理由と整合します(これは本稿の解説で、Apple が理由を述べたものではありません)。

素材技術者の視点①:端末のAIは、メモリとストレージの「材料・実装」の問題でもある

端末の速さの上限を決めるのは、DRAMの帯域と、フラッシュ(NAND)から読み込む速さです(第4・5章)。帯域は、メモリチップとプロセッサのあいだの配線とパッケージで決まります。LPDDR は、スマートフォンやPCのために消費電力を抑えたDRAMの規格群で、JEDEC は2025年7月9日に LPDDR6(JESD209-6)を公開し、2つのサブチャネル構成や低電圧の電源、低帯域用の効率モードなどを挙げ、対象にモバイルとAI、エッジAIを含めています事実[参考資料21]。

素材技術者にとっての含意は、モデルを小さくする(量子化)ことが、メモリチップの数・積層・実装面積・消費電力を減らす方向に効く一方、端末の薄さ・放熱・コストの制約の中でメモリを増やすのは、材料とパッケージの課題だという点です。AIの機能が増えるほど、メモリの容量が機種の価格帯を分ける要因になりうる、という見方もありますが、それは本記事の推測です(出典なし)。本シリーズ「HBM」編が扱うデータセンターのメモリとは構造が違いますが、帯域と容量が性能の天井を決める点は共通です。

6. 電力と熱 ― 端末では「ワット」が最初の制約

端末は、バッテリーと放熱の制約から、データセンターのような電力を使えません。公称値を見ると、Hailo-8 の標準消費電力は2.5 W事実[参考資料14]、Jetson AGX Orin は15〜60 W事実[参考資料13]と、機器ごとに大きな差があります。Arm は Ethos-U85 を、前世代の Ethos-U55・U65 より約20%省エネだと述べています(Arm の記載)事実[参考資料12]。これらの消費電力は機器全体か、アクセラレータだけか、どの負荷かが条件で、横並びの比較には使えません。

本稿の計算③:1トークンあたりのエネルギーの考え方(仮定の例)

1トークンあたりのエネルギー[J] = 電力[W] ÷ 速さ[トークン/秒]。本稿の計算 仮に、AI処理に8 W、毎秒25トークンなら 0.32 J/トークン、1 Wh(=3,600 J)で約11,250 トークンです。

前提と限界:8 Wと25トークン/秒は完全に仮定の値で、特定の製品の性能ではありません。画面、通信、他のアプリの電力は含みません。目的は、「速さを上げても電力が同じなら1トークンのエネルギーは下がるが、電力も上がれば下がらない」という見方を示すことです。

持続的な性能(熱で速度が落ちずに長く続けられるか)や、実機の電力あたりの速さは、公式資料の範囲では確認できませんでした。この点は、第9章の評価(MLPerf Mobile・Client の電力・持続性)で見るのが筋です。

7. プライバシーとデータ ― 「端末内」の意味と限界

オンデバイスAIの利点としてよく挙げられるのは、データを端末の外に送らずに済む場合があることです。Apple は、基盤モデルの学習に利用者の私的な個人データや操作を使わない、サーバー側の処理は Private Cloud Compute で行い、利用者のデータは保存も共有もされない、と述べています(同社の方針・保証の記載)事実[参考資料3]。同じページは、端末内のモデルと Private Cloud Compute 上のモデルを使い分ける構成です。

処理する場所データの動き(一般論)評価で確認すること
端末内のみ入力と結果が端末の外に出ない設計にできる実際にネットワーク通信が発生しないか、ログや診断データの送信、端末を失ったときの保護
端末+専用のクラウド(例:Private Cloud Compute)難しい処理だけを外に出す。どの処理がどちらで動くかは設計と設定によるどの条件で外に出るか、利用者への表示、保存の有無(企業の説明を確認)
クラウドのみ入力が事業者のサーバーに送られる契約・規約、保存期間、学習への利用の有無

第2列の整理は本稿の解説(一般論)で、特定の製品の保証ではありません。Apple の記載は同社の方針・保証として引用しました。

「端末内で処理する」ことは、個人情報保護や各国のAI規制の義務を自動的に不要にするものではありません。個別の法令の適用は、本稿の対象外(本シリーズ「EU AI法」「米国・中国・日本のAI政策」編を参照)で、本稿は法的助言をしません。

8. 素材技術者の視点:工場・研究所のエッジAI ― 小さな機器で、現場のデータを現場で処理する

製造や分析の現場では、カメラの画像、振動や電流のセンサー、顕微鏡や分光計のデータなど、現場で毎秒大量に出るデータがあります。これを全部クラウドに送らず、現場の小さな機器で処理するのが、組み込み・産業用のエッジAIです。Arm の Ethos-U85 は、公式ページで、モーターやロボットの高速コントローラーなどの産業用IoTを用途に挙げています事実[参考資料12]。Hailo-8 は M.2・PCIe のモジュールで、既存の機器に追加できる形です事実[参考資料14]。

素材技術者の視点②:現場で使うときの3つの注意

評価は実機で:量子化や小型化で、モデルの精度が変わることがあります。MLPerf Mobile は、画像分類や物体検出などで「FP32の参照の約93〜98%」のように精度の目標を決めています事実[参考資料15]。自社の画像・信号で、実際に載せる機器とビット数で評価し直すのが筋です(本記事による解説)。

安全に関わる使い方:人や設備の安全に関わる機能にAIを使う場合の機能安全は、ISO/IEC TR 5469:2024「Artificial intelligence — Functional safety and AI systems」が扱っています(ISO の規格一覧で題名を確認。本文は未確認)事実[参考資料20]。AIを安全機能の主役にする設計は、本稿の範囲を超えるため、規格と専門家の確認が必要です。

データの質と再現性:現場のデータは、照明、汚れ、装置の個体差、材料のロット差で分布が変わります。ISO/IEC 5259 シリーズ(AI・機械学習のためのデータ品質)が、データ品質の測定・管理・ガバナンスの規格群として発行されています(題名を確認)事実[参考資料20]。AIを入れる前に、データの測り方と保存を整えることが、小さな機器でも大きな機器でも同じく効きます(本記事による解説)。

AIを材料開発・自律実験室に使う話は、本シリーズ「マテリアルインフォマティクス」編で、ロボットの機構やドローンは「ドローン・ロボティクス」編で扱います。

カメラ、照明、現場の計算機をラインの近くに置く構成です。画像の取得条件や見逃し率の検証は、端末で処理する場合も必要です。
図6 概念画像(ImageGenで生成)。カメラ、照明、現場の計算機をラインの近くに置く構成です。画像の取得条件や見逃し率の検証は、端末で処理する場合も必要です。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。

9. 限界と、確認できなかったこと

  • 実機の性能:文章生成の速さ、電力、持続性能の実測は載せていません。本稿の計算は、メモリ帯域を使った上限の見積もりです。MLPerf の個別の提出結果や、各社の端末の比較は、設定が揃わないため載せていません
  • TOPS の条件:Qualcomm の Snapdragon X2 Elite のページで、TOPS の測定条件の注記(脚注)は、取得できたテキストに記載がありませんでした。Arm と Hailo のページにも注記がありません。精度・疎性は不明です
  • Apple の第3世代モデル:2026年6月8日のページの記載(同社の主張・設計)を引用しましたが、技術報告は確認できず、モデルのビット数や文脈長は不明です
  • 規格の本文:ISO/IEC TR 17903:2024、TR 5469:2024、ISO/IEC 25059:2023、TS 4213:2022 などは題名のみを確認し、本文は未確認です。JEDEC LPDDR5X の速度の規格値は、本文を確認できなかったため記載していません
  • 扱っていない領域:スマートフォンの熱設計、電池、センサーの材料、自動運転の車載コンピューター(本シリーズ「自動運転とAI」編)、ウェアラブル、ロボットの機構などは詳しく扱っていません
この記事のまとめ
  • 端末のAIの速さの上限は、多くの場合メモリ帯域が決めます。8Bの4ビットモデルでは、本稿の計算で、45 TOPS の演算上限はメモリ側の上限の約95倍でした本稿の計算
  • TOPS は条件つきのピーク値で、Microsoft の Copilot+ PC の「40+ TOPS」は製品の条件、国際規格ではありません事実
  • 小さくする工夫が中心です。Apple は2ビットのQAT、KVキャッシュ共有(37.5%減)、第3世代ではフラッシュからの専門家の読み込みを述べています(企業の公開資料)事実
  • 電力は機器ごとに桁違い(Hailo-8は標準2.5 W、Jetson AGX Orinは15〜60 W)で、公称値は条件が違います事実
  • 評価は MLPerf Mobile・Client・Tiny が中心で、機能安全やデータ品質は ISO/IEC の技術報告・規格が別にあります事実

10. 評価・標準の読み方

エッジAIの性能は、(1) 遅延・スループット(最初のトークンまでの時間、トークン/秒、画像の処理時間)、(2) 精度(参照モデルに対する割合)、(3) 電力・エネルギー、(4) メモリ・ストレージ、で評価します。公開の枠組みとして、MLCommons が、端末向けの MLPerf Mobile、PC 向けの MLPerf Client、マイコン級の MLPerf Tiny を運営し、データセンター向けの MLPerf Inference にもエッジのテストがあります。

評価項目代表的なベンチマーク・評価手法(名称・版・出典)標準・指針読み方の注意
スマートフォン・端末のAI(遅延・精度)MLPerf Mobile(MLCommons):ページの表示で多くのタスクが v6.0。LLM(Llama 3.1 8B Instruct、Llama 3.2 3B Instruct、TinyMMLU・IFEval-33)、Stable Diffusion 1.5、物体検出、セグメンテーションなど。単一ストリームが基本、精度の目標つき(例:Llama 3.2 3B は TinyMMLU で FP16 の約59%水準)[15]事実。設計は Reddi ら(arXiv 2012.02328)[18]ISO/IEC TR 17903:2024(機械学習の演算装置の概観)、ISO/IEC TS 42119-2:2025(AIのテストの概観)、ISO/IEC TR 42106:2026(AIシステムの品質特性の差別化されたベンチマークの概観)。いずれも題名のみ確認[20]事実提出の条件(端末・OS・ソフト)と版で数字が変わる。「精度の目標」は、そのタスクの指標での話
PCのAI(TTFT・トークン/秒)MLPerf Client v2.0(MLCommons):LLM(Llama 3.1 8B Instruct、Phi 4 Mini Instruct、Phi 4 Reasoning 14B、Qwen 3 8B〔実験的〕)、画像生成、エージェント処理。指標は TTFT と TPS。Windows 11(x86-64・Arm)、macOS、iPadOS[16]事実Microsoft の Copilot+ PC の条件(40+ TOPS、16 GB、256 GB)は製品の条件で、国際規格ではない[1]事実比較対象は同じ版・同じモデル・同じ精度に。実行基盤(NPU・GPU・CPU)の選択が結果を変える
マイコン級(遅延・エネルギー)MLPerf Tiny(MLCommons):ページは v1.4 を最新の回、表は v1.3 と表示(ページ内で不一致)。画像分類(CIFAR-10・ResNet)、人物検出、キーワード検出、異常検知、ストリーミングのウェイクワード。遅延と、任意でエネルギー[17]事実。設計は Banbury ら(arXiv 2106.07597)[19]確認できなかった(マイコン級のAIの性能を定める国際規格)エネルギーは任意の提出項目。測定範囲(チップだけか、ボードか)を確認する
エッジのエージェント処理MLPerf Inference v6.1(2026年9月16日)で、複数ターンのエージェント処理(コーディングなど)を端末で測るエッジのテストが追加[23]事実確認できなかったデータセンター向けの枠組みの中のエッジ部門。端末向けの MLPerf Mobile・Client とは別体系
信頼性・安全・データ品質確認できなかった(個別の機器の適合結果)ISO/IEC TR 5469:2024(機能安全とAI)、ISO/IEC TR 24029-1:2021・24029-2:2023(ニューラルネットワークの頑健性の評価)、ISO/IEC 5259 シリーズ(データ品質)、ISO/IEC 25059:2023(AIシステムの品質モデル)、ISO/IEC 22989:2022(用語)。題名と版を確認[20]事実技術報告(TR)は参考情報で、要求事項ではない。本文は未確認で、要求事項を推測しない
数値形式・メモリ確認できなかった(端末のAIの精度を標準化した評価手法)OCP Microscaling Formats (MX) Specification 第1版(2023年9月)[11]、JEDEC LPDDR6(JESD209-6、2025年7月9日)[21]事実。LPDDR5/5X は JESD209-5C(JEDEC のページで改訂を確認)MX は仕様(業界の取り決め)で法的な拘束力はなく、採用の有無は製品ごと。JEDEC は部品の規格で、端末のAI性能の規格ではない
将来の製品・機能Apple の第3世代モデルの技術報告「今夏後半に公開」[3]未確定/将来確認できなかった企業の予告で、公開の有無と内容は未確認

区分タグは各セルに付けています。MLPerf の版・ベンチマークの構成は、MLCommons の各ページ(2026年10月15日確認)の表示です。ISO/IEC の題名・版は ISO の規格一覧(SC 42)で確認しました。表の整理は本稿によるものです。

読み方の注意は3つです。

  • TOPS は入口の数字:精度、疎性、測り方が不明なピーク値は、メモリ帯域・モデルの大きさ・電力とあわせて読みます。TOPS だけで端末の速さは決まりません(第4章)
  • ベンチマークは版・モデル・実行基盤で変わる:MLPerf Mobile・Client はモデルとタスクが版ごとに入れ替わり、実行基盤(NPU・GPU・CPU)の選択も結果に影響します。古い版や異なる設定の数字を並べて優劣をつけません
  • 標準は「用語・概観・安全・データ品質」が中心:端末のAI性能そのものを要求事項として定める国際規格は、本稿の調査では確認できませんでした。ISO/IEC の技術報告は参考情報で、法的な拘束力はありません。製品の条件(Copilot+ PC など)は企業の取り決めです

11. 用語集

エッジAI/オンデバイスAI
クラウドではなく、端末や現場の機器の内部でAIの推論を行うこと。
NPU
Neural processing unit。ニューラルネットワークの演算に特化した演算器。
TOPS
Tera operations per second。1秒あたり何兆回の演算かのピーク値。
疎性
一部の値が0であることを使った高速化。TOPS の値が倍になることがある。
量子化
重みなどを少ないビットで表す方法。
QAT
Quantization-aware training。量子化の影響を学習中に取り込む方法。
KVキャッシュ
過去のトークンのKeyとValueの保存。
LPDDR
モバイル・PC向けの低消費電力DRAMの規格群。
NAND(フラッシュ)
大容量で遅い不揮発メモリ。端末のストレージ。
TTFT/TPS
最初のトークンまでの時間/トークン/秒。
MX(Microscaling)
ブロックごとの共有スケールと低ビット要素の数値形式の仕様(OCP)。
機能安全
機器の故障や誤動作が安全に与える影響を管理する考え方。

12. 参考資料(一次情報)

  1. Microsoft "Windows 11 Specs and System Requirements"(Copilot+ PC の最小条件:40+ TOPS の NPU、16 GB の DDR5/LPDDR5、256 GB の SSD/UFS、対象プロセッサ。条件は変わりうるとの注記/確認日 2026年10月15日) — microsoft.com/windows/windows-11-specifications
  2. Qualcomm "Snapdragon X2 Elite" 製品ページ(Snapdragon X/X Plus/X Elite/X2 の各型番のNPUのTOPSとLPDDR5xのメモリ帯域の表/確認日 2026年10月15日) — qualcomm.com/laptops/products/snapdragon-x2-elite
  3. Apple Machine Learning Research "Introducing the Third Generation of Apple's Foundation Models"(2026年6月8日、2026年9月9日更新。AFM 3 Core・Core Advanced、フラッシュ(NAND)から専門家をDRAMへ、Private Cloud Compute、技術報告の予告) — machinelearning.apple.com/research/introducing-third-gene...
  4. Apple Machine Learning Research "Updates to Apple's On-Device and Server Foundation Language Models"(2025年6月9日、7月17日更新。約30億パラメータ、2ビットQAT、プライバシーの方針) — machinelearning.apple.com/research/apple-foundation-model...
  5. Li E. ほか(Apple) "Apple Intelligence Foundation Language Models: Tech Report 2025", arXiv 2507.13575(KVキャッシュ共有で37.5%減、2ビットQAT、埋め込み4ビット、KV 8ビット、低ランクアダプタ) — arxiv.org/abs/2507.13575
  6. Abdin M. ほか(Microsoft) "Phi-3 Technical Report: A Highly Capable Language Model Locally on Your Phone", arXiv 2404.14219(phi-3-mini 3.8B、4ビットで約1.8 GB、iPhone 14 で毎秒12トークン超) — arxiv.org/abs/2404.14219
  7. Gemma Team(Google) "Gemma 3 Technical Report", arXiv 2503.19786(1〜27B、局所注意と全体注意の比率でKVキャッシュを削減) — arxiv.org/abs/2503.19786
  8. Liu Z. ほか(Meta) "MobileLLM: Optimizing Sub-billion Parameter Language Models for On-Device Use Cases", arXiv 2402.14905 — arxiv.org/abs/2402.14905
  9. Frantar E. ほか "GPTQ: Accurate Post-Training Quantization for Generative Pre-trained Transformers", arXiv 2210.17323 — arxiv.org/abs/2210.17323
  10. Lin J. ほか "AWQ: Activation-aware Weight Quantization for LLM Compression and Acceleration", arXiv 2306.00978 — arxiv.org/abs/2306.00978
  11. Open Compute Project "OCP Microscaling Formats (MX) Specification", Version 1.0 (2023年9月)(AMD・Arm・Intel・Meta・Microsoft・NVIDIA・Qualcomm の共同。FP8・FP6・FP4・INT8) — opencompute.org/documents/ocp-microscaling-formats-mx-v1-...
  12. Arm "Arm Ethos-U85" 製品ページ(128〜2,048 MAC、1 GHz で最大4 TOPS、トランスフォーマー対応、前世代より約20%省エネ、産業用IoT/確認日 2026年10月15日) — arm.com/products/silicon-ip-cpu/ethos/ethos-u85
  13. NVIDIA "Jetson Orin" ページ(AGX Orin:275 TOPS〔疎なINT8〕、15〜60 W、204.8 GB/s、Orin Nano のメモリ帯域51・102 GB/s/確認日 2026年10月15日) — nvidia.com/en-us/autonomous-machines/embedded-systems/jet...
  14. Hailo "Hailo-8 AI Accelerator" 製品ページ(最大26 TOPS、標準的な消費電力2.5 W、M.2・PCIe/確認日 2026年10月15日) — hailo.ai/products/ai-accelerators/hailo-8-ai-accelerator/
  15. MLCommons "MLPerf Mobile"(Inference: Mobile)ベンチマークのページ(多くのタスクが v6.0、LLM・画像・検出、精度の目標、単一ストリーム/確認日 2026年10月15日) — mlcommons.org/benchmarks/inference-mobile/
  16. MLCommons "MLPerf Client" ベンチマークのページ(v2.0、LLM・画像生成・エージェント、TTFT・TPS、対応OS/確認日 2026年10月15日) — mlcommons.org/benchmarks/client/
  17. MLCommons "MLPerf Tiny" ベンチマークのページ(v1.3/v1.4、5タスク、遅延と任意のエネルギー/確認日 2026年10月15日) — mlcommons.org/benchmarks/inference-tiny/
  18. Reddi V. J. ほか "MLPerf Mobile Inference Benchmark", arXiv 2012.02328 (2020) — arxiv.org/abs/2012.02328
  19. Banbury C. ほか "MLPerf Tiny Benchmark", arXiv 2106.07597 (2021) — arxiv.org/abs/2106.07597
  20. ISO/IEC JTC 1/SC 42 SC 42「Artificial intelligence」の規格一覧(ISO/IEC TR 17903:2024、TR 5469:2024、TS 4213:2022、5259シリーズ、24029、25059:2023、TS 42119-2:2025、TR 42106:2026、22989:2022 ほか/確認日 2026年10月15日) — iso.org/committee/6794475/x/catalogue/p/1/u/0/w/0/d/0
  21. JEDEC "JEDEC Releases New LPDDR6 Standard to Enhance Mobile and AI Memory Performance"(JESD209-6、2025年7月9日) — jedec.org/news/pressreleases/jedec-releases-new-lpddr6-st...
  22. Grattafiori A. ほか(Meta) "The Llama 3 Herd of Models", arXiv 2407.21783(表3:8B は32層、Key/Value ヘッド8、ヘッド32、モデル次元4,096) — arxiv.org/abs/2407.21783
  23. MLCommons "MLCommons Sets Participation Record with New MLPerf Inference v6.1 Benchmark Results"(2026年9月16日の発表。エッジのエージェント処理のテストの追加。GlobeNewswire 配信の転載ページ) — financialcontent.com/article/gnwcq-2026-9-16-mlcommons-se...

13. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
Copilot+ PC の最小条件(40+ TOPS の NPU、16 GB の DDR5/LPDDR5、256 GB の SSD/UFS)、対象プロセッサの系列、条件は変わりうるという注記出典1 https://www.microsoft.com/windows/windows-11-specifications事実
Snapdragon X(最大45 TOPS・最大135 GB/s)、X2 Plus、X2 Elite(80〜85 TOPS、最大152〜228 GB/s)の型番別の値。TOPS の注記が取得テキストに無いこと出典2 https://www.qualcomm.com/laptops/products/snapdragon-x2-elite事実
Apple の第3世代モデル(AFM 3 Core・Core Advanced:30億の密、200億のスパース〔1〜4Bを使用〕)、フラッシュに全体を置き必要な専門家をDRAMへ、プライバシーの方針と Private Cloud Compute、技術報告の予告(2026年6月8日)技術報告は予告(未確定/将来)
出典3 https://machinelearning.apple.com/research/introducing-third-generation-of-apple-foundation-models
未確定/将来
Apple の2025年のオンデバイスモデル(約30億パラメータ、2ビットQAT)とプライバシーの記載出典4 https://machinelearning.apple.com/research/apple-foundation-models-2025-updates事実
KVキャッシュ共有(後ろの37.5%の層)でKVのメモリ37.5%減・TTFT約37.5%減、2ビットQAT、埋め込み4ビット、KV 8ビット、低ランクアダプタ出典5 https://arxiv.org/abs/2507.13575事実
phi-3-mini:3.8B、3.3兆トークン、4ビットで約1.8 GB、iPhone 14(A16)で毎秒12トークン超出典6 https://arxiv.org/abs/2404.14219事実
Gemma 3:1〜27B、局所注意と全体注意の比率の変更でKVキャッシュを削減出典7 https://arxiv.org/abs/2503.19786事実
MobileLLM:10億未満のパラメータで深く細い構造・埋め込み共有・グループ化クエリ注意が効くこと出典8 https://arxiv.org/abs/2402.14905事実
GPTQ(事後量子化)、AWQ(活性化を見る重み量子化)出典9 https://arxiv.org/abs/2210.17323
出典10 https://arxiv.org/abs/2306.00978
事実
OCP MX 仕様 第1版(2023年9月)、共同の7社、FP8・FP6・FP4・INT8出典11 https://www.opencompute.org/documents/ocp-microscaling-formats-mx-v1-0-spec-final-pdf事実
Arm Ethos-U85:128〜2,048 MAC、1 GHz で最大4 TOPS、トランスフォーマー対応、前世代より約20%省エネ、産業用IoT出典12 https://www.arm.com/products/silicon-ip-cpu/ethos/ethos-u85事実
Jetson AGX Orin:最大275 TOPS(疎なINT8)、15〜60 W、64 GB・256ビット LPDDR5、204.8 GB/s、Orin Nano のメモリ帯域出典13 https://www.nvidia.com/en-us/autonomous-machines/embedded-systems/jetson-orin/事実
Hailo-8:最大26 TOPS、標準的な消費電力2.5 W、M.2・PCIe、TOPS の注記なし出典14 https://hailo.ai/products/ai-accelerators/hailo-8-ai-accelerator/事実
MLPerf Mobile:多くのタスクが v6.0、LLM(Llama 3.1 8B・Llama 3.2 3B)・画像・検出、精度の目標、単一ストリーム出典15 https://mlcommons.org/benchmarks/inference-mobile/事実
MLPerf Client v2.0:モデル(Llama 3.1 8B など)、TTFT・TPS、対応OS出典16 https://mlcommons.org/benchmarks/client/事実
MLPerf Tiny:v1.3/v1.4(ページ内で不一致)、5タスク、遅延と任意のエネルギー出典17 https://mlcommons.org/benchmarks/inference-tiny/事実
MLPerf Mobile・Tiny の設計の論文出典18 https://arxiv.org/abs/2012.02328
出典19 https://arxiv.org/abs/2106.07597
事実
ISO/IEC TR 17903:2024、TR 5469:2024、TS 4213:2022、5259シリーズ、24029、25059:2023、TS 42119-2:2025、TR 42106:2026、22989:2022 の題名・版・状態(SC 42 の規格一覧)出典20 https://www.iso.org/committee/6794475/x/catalogue/p/1/u/0/w/0/d/0事実
JEDEC LPDDR6(JESD209-6、2025年7月9日)の構成と対象用途出典21 https://www.jedec.org/news/pressreleases/jedec-releases-new-lpddr6-standard-enhance-mobile-and-ai-memory-performance事実
Llama 3 8B の構成(32層、Key/Value ヘッド8、ヘッド次元128)出典22 https://arxiv.org/abs/2407.21783事実
MLPerf Inference v6.1 でエッジのエージェント処理のテストが追加されたこと出典23 https://www.financialcontent.com/article/gnwcq-2026-9-16-mlcommons-sets-participation-record-with-new-mlperf-inference-v61-benchmark-results事実
重みの大きさの表(パラメータ数×ビット数÷8)、メモリ帯域から見たトークン/秒の上限(8B・4ビット+8ビットKV 8,192トークン=約4.54 GB、135 GB/s で約30、228 GB/s で約50)、演算側の上限との比(約95倍)、Phi-3 の報告値からの逆算(約22 GB/s)、Apple の200億パラメータの仮のビット数での大きさ(10 GB・5 GB)、1トークンあたりのエネルギー(8 W・25トークン/秒の仮定)本稿の計算。メモリ帯域・重みの大きさに基づく上限の見積もりで、仮定(予約なし、帯域を使い切る、ビット数、8 W・25トークン/秒)を明記。実機の予測ではない本稿の計算
「TOPS は入口の数字」「端末のAIはメモリ・ストレージの材料と実装の問題」「現場で使うときの3つの注意」「端末内処理の意味と限界」の読み取り。メモリ需要が価格帯を分けうるという見方(推測)公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社が表明した見解ではない解説
実機の速さ・電力、TOPS の測定条件(注記)、Apple 第3世代モデルの技術報告、規格の本文、LPDDR5X の速度規格値本稿の調査範囲では確認できなかったため記載していない。解説解説

最終更新:2026年10月15日/出典は一次情報(Microsoft・Qualcomm・Arm・NVIDIA・Hailo・Apple の公式ページ、Phi-3・Gemma 3・MobileLLM などの論文、OCP の仕様、MLCommons のページ、ISO の規格一覧、JEDEC の発表)に限定しています。実機の速さ・電力、TOPS の測定条件、Apple 第3世代モデルの技術報告、規格の本文については、確認できなかったため記載していません。将来の製品・機能は「未確定/将来」です。図2・5はベクター作図、図3・4は本稿の計算を含む作図、図1と図6はAI生成イメージ(枠のみ)です。