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ロケットラボ 企業解説

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COMPANY PROFILE / 宇宙産業

ロケットラボ
― 小型ロケットElectronと衛星部品で伸び、次の中型ロケットNeutronは初飛行が2027年へずれた

Rocket Labは、小型の人工衛星を宇宙へ運ぶロケットElectronと、人工衛星そのものや太陽電池・姿勢制御装置などの衛星部品を作る、米国の上場企業です。 米SECに提出した書類によれば、Electronは2026年6月30日までに87回の打ち上げ成功を重ね、2025年に21回、2026年上期だけで12回を打ち上げました。 いま売上の大半は打ち上げよりも衛星の製造と部品から来ており、2026年上期は売上の約75%を占めます。 一方、次の主力となる中型の再使用ロケットNeutronは、2026年1月の試験での不具合などで遅れ、2026年10月14日に初飛行が2027年へずれると発表されました。 さらに2026年6月には、衛星通信会社Iridium Communicationsの買収に合意しました(まだ完了していません)。 本稿は、何を作り、どこに投資し、誰と組み、何が未確定かを、会社の提出書類の範囲で整理します。 この分野は変化が速いので、機体やミッションの状況には確認日(2026年10月17日)を付けています。

構成:Rocket Labが米SECに提出したForm 10-K(2025年12月期)・Form 10-Q(2026年6月期)・Form 8-Kと、会社の公式ページを一次情報として使用/最終更新 2026年10月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるRocket Labと、宇宙産業での立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. 宇宙産業の世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模
  5. 宇宙産業にかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社は宇宙産業で何を目指しているか
  9. 宇宙産業分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるロケットラボと、宇宙産業での立ち位置

正式名称Rocket Lab Corporation米国デラウェア州法人。EDGARの登録名は Rocket Lab Corp
本社米国・カリフォルニア州 Long Beach3881 McGowen Street(10-K記載)。ニュージーランドにも大きな拠点
上場Nasdaq:RKLB米SECに提出書類あり。10-K・10-Qで財務を開示
宇宙での区分打ち上げ(主)
部品・システム(主)
衛星製造は「衛星・軌道上サービス・製造」にも関わる。区分は本稿による
Electronの実績87回の成功2026年6月30日まで(弾道飛行を含む)。2026年上期に12回
2025年の売上6億180万US$前年は4億3,621万US$。宇宙システムが約67%(本稿の計算)
Neutronの初飛行2027年に見込み2026年10月14日に会社が発表。当初の目標より遅れた
従業員2,600人超2025年12月31日時点(フルタイム)
まず押さえるべき1点

Rocket Labは「ロケット会社」として知られますが、売上の中心はすでに衛星と部品です。10-Qによれば、2026年1〜6月の売上4億3,441万US$のうち、宇宙システム(衛星・部品など)が3億2,620万US$、打ち上げが1億820万US$でした 事実。宇宙システムの割合は約75%にあたります 本稿の計算。会社は、ロケット、衛星、部品、運用を「一貫して」提供する会社を目指していると説明しています。一方で打ち上げ事業は、Electronという1機種に頼っており、次の機体Neutronの遅れが事業の見通しに直結します。宇宙産業の他の打ち上げ会社と比べるときは、打ち上げ事業と、衛星・部品事業を分けて読むと読み違えません。

2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名はRocket Lab Corporation(米SECの登録名は Rocket Lab Corp)で、通称がRocket Labです。 買収などで取引の当事者になる主な子会社は Rocket Lab USA, Inc. です。 ロケットの名前(Electron、Neutron)、エンジンの名前(Rutherford、Archimedes)、宇宙の部門名(Launch Services、Space Systems)と混同しないよう、本稿では会社名と機体名を分けて書きます。

公式サイト:https://rocketlabcorp.com/

3. 宇宙産業の世界で、この会社はどこにいるか

宇宙産業に関わる企業の4つの類型 同じ「宇宙の会社」でも、宇宙で担う役割で、強みと課題が違う 打ち上げ 探査・有人・月面 衛星・軌道上サービス 部品・システム ロケットで宇宙へ運ぶ 月や宇宙ステーションへ 軌道で働く・作る 宇宙機を支える SpaceX/Blue Origin Rocket Lab/Firefly Axiom Space/Intuitive Machines ispace/Astrobotic Astroscale/Varda Synspective/Starcloud Northrop Grumman/BAE Systems Microchip/Redwire 打ち上げ能力と再使用 月・ISSへの到達力 新しい用途と市場 実績と信頼性 失敗と日程の遅れ 資金と日程の不確実 実証が途上・収益化 認定と納期に時間 Rocket Labは「打ち上げ」と「部品・システム」の2類型にまたがる 衛星の製造も手がけ、「衛星・軌道上サービス・製造」にも関わる。売上は衛星・部品が大きい
図1 宇宙産業に関わる企業の4類型と、Rocket Labの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。Rocket Labの類型は、10-Kと10-Qの事業区分(Launch Services・Space Systems)に基づく本稿の整理です。衛星の製造は「衛星・軌道上サービス・製造」の類型にも関わります。

4. 会社の規模

金額は米ドルで、2025年は10-K、2026年は10-Qの記載です 事実。会社は2つの事業(Launch Services:打ち上げ、Space Systems:衛星・部品・光通信・ロボットなど)に分けて開示しています。

指標(百万US$)2024年2025年2026年1〜6月
売上(合計)436.2601.8434.4
 うち宇宙システム310.9402.8326.2
 うち打ち上げ125.3199.0108.2
営業損益―△228.8△113.5
純損益△190.2△198.2△94.3
研究開発費(純額)174.4270.7162.9
設備投資―156.353.1

2024年の宇宙システムと打ち上げの売上は、2025年の増加額(91.9と73.7)から本稿が逆算した値です 本稿の計算。営業損益の2025年は、売上から費用を引いた本稿の計算です。「―」は、確認した資料で値を見つけられなかった項目です。

主な運用指標は次のとおりです。「受注残高」は、契約済みで未履行の売上(顧客が行使していない選択権は除く)です 事実。

指標内容日付
Electronの打ち上げ2024年に16回、2025年に21回、2026年上期に12回。製造は2025年に約24機、2026年上期に約11機2026年6月30日
1回あたりの打ち上げ2026年上期の売上は1回あたり920万US$、費用は490万US$(会社の指標。顧客や軌道で大きく変わる)2026年6月30日
受注残高23億5,590万US$(宇宙システム 14億1,580万、打ち上げ 9億4,020万)。2025年末は18億4,730万US$2026年6月30日
手元資金現金・預金 約21億US$と、有価証券 2億5,810万US$2026年6月30日
従業員2,600人超(フルタイム)2025年12月31日

宇宙システムの割合は、2025年の売上で約67%、2026年上期で約75%です 本稿の計算。

5. 宇宙産業にかけているリソース

4点(人・金・外部への出資や買収・公的機関との契約)について、提出書類で確認できたかを表にします。

リソースの種類内容区分
人2025年12月31日時点でフルタイム従業員2,600人超。米国・ニュージーランド・カナダに製造・設計の拠点事実
金:研究開発費2025年は2億7,072万US$(前年比55%増)、2026年上期は1億6,294万US$。主にNeutronの開発と衛星・部品の拡充事実
金:設備投資2025年に1億5,630万US$、2026年上期に5,310万US$事実
金:資金調達株式の随時売出し(ATM)で、2026年第1四半期に約4.4億US$、第2四半期に約10.7億US$(発行費用を引いた手取り)。2026年5月に上限30億US$、8月に上限約19.4億US$の新しい売出し契約を結んだ。Iridium買収のため、2つの銀行が36億US$のつなぎ融資を引き受ける意向を示した(コミットメントレター)事実
外部への出資・買収買収済み:Sinclair(2020年4月)、Advanced Solutions(2021年10月)、Planetary Systems(2021年11月)、SolAero(2022年1月)、GEOST(2025年8月)、Mynaric(2026年4月・取得対価の価値1億5,530万US$)、Motiv(2026年5月・現金4,000万US$と最大2,000万US$の追加払い)。Iridium Communicationsは2026年6月に買収で合意(完了前)事実
公的機関との契約:米宇宙開発庁(SDA)2025年12月、衛星18機の設計・製造・運用の契約(上限8億1,600万US$、基本8億600万US$と選択権1,000万US$)。衛星の引き渡しは2029年の見込み事実
公的機関との契約:米宇宙軍2026年7月21日に準軌道(弾道)の打ち上げ12回(追加の選択権最大6回、上限2億6,600万US$)、7月30日に衛星の設計・製造・打ち上げ・運用の契約(上限3億9,700万US$、選択権を含む)。事実
公的機関との契約:NASAなどNASAのWallops飛行施設に専用の発射台(LC-2)を持ち、NASAのカテゴリー1認証を受けた。顧客に国防総省、NASA、DARPA、国家偵察局(NRO)が挙がる。個別のNASA契約の金額は確認できなかった事実
大学・研究機関との連携宇宙事業に関する大学との共同研究は、確認した書類に記載なし確認できなかった

主要な機体・製品の状況を、会社の提出書類で確認できた範囲で整理します(確認日 2026年10月17日)。性能値は会社の公称で、条件が違う機体どうしの優劣は比べません。

機体・製品種別と主な諸元(会社の公称)実績・段階日付出典
Electron2段式の小型ロケット。低軌道へ300kg(661ポンド)。炭素繊維複合材の構造。第1段はRutherfordエンジン9基(LOX・ケロシン)2017年から運用。87回の成功、250機超の衛星を軌道へ(2026年6月30日)。運用中2026年6月30日出典2・8 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000062/rklb-20260630.htm https://rocketlabcorp.com/launch/electron/
HASTEElectronから派生した準軌道(弾道)の試験機2026年4〜6月に2回実施。運用中2026年6月30日出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000013/rklb-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000062/rklb-20260630.htm
Neutron2段式の再使用型の中型ロケット。全高43m、直径7m。低軌道へ13,000kg。LOX・メタン。Archimedesエンジン9基開発中。2026年1月に第1段タンクの試験で不具合。初飛行は2027年に見込み(2026年10月14日)2026年10月14日出典3・9 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000067/rklb-10142026ex991.htm https://rocketlabcorp.com/launch/neutron/
衛星・宇宙機低軌道・中軌道・静止軌道・惑星探査に対応する宇宙機のシリーズ1,800を超えるミッションに飛行ハードウェア(2025年12月31日)2025年12月31日出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000013/rklb-20251231.htm
衛星部品姿勢制御装置、太陽電池、無線機、分離装置、光通信、電源など運用中。買収により拡大2026年6月30日出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000013/rklb-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000062/rklb-20260630.htm

「開発中」は、実用が確定したことを意味しません。機体の性能値はいずれも会社の公称で、実測や第三者の認証値とは限りません。

素材技術者の視点:炭素繊維の大きなタンクは難しい

Rocket Labのロケットは、炭素繊維複合材の構造が特徴です。Electronはタンクを含め全体が炭素繊維複合材で、会社はNeutronでも第1段・第2段のタンクに炭素繊維複合材を使うと説明しています 事実。炭素繊維複合材は軽くて強い反面、極低温の液体(液体酸素やメタン)を入れる大きなタンクとして繰り返し使うには、材料の割れや漏れを抑える設計と検査が難しい材料です 未確定/将来(本稿の解説)。

実際に、10-Kは2026年1月にNeutronの第1段タンクが認定試験中に「予想外の不具合」を起こし、初飛行の時期に影響したと記載しています 事実。原因の詳細は、確認した資料に書かれていません。本稿では推測しません。新しいタンクの製造と試験に必要な時間を見直した結果、初飛行の目標が段階的に遅れたと会社は説明しています。

エンジンでも、Rutherford(Electron用)は主要部品のすべてを金属の3D積層造形で作った酸素・炭化水素のエンジンだと会社が書き、2025年末までに800基超のエンジンを宇宙へ送ったと記載しています。Neutron用のArchimedesエンジンも3D積層造形で、酸素過剰の段燃焼サイクルです。さらにSolAeroの買収で、宇宙用の太陽電池と太陽電池パネルを自社で作れるようになりました。宇宙用太陽電池や複合材料の考え方は、本シリーズの技術解説「宇宙用太陽電池」「宇宙用CFRPと複合材料」「積層造形の宇宙利用」で扱っています。

6. これまでの取り組み

打ち上げの実績と買収を、提出書類の記載の範囲で並べます。失敗は会社の説明にとどめ、原因は推測しません。

時期できごと意味
2017年Electronの初の打ち上げ(会社の記載)小型ロケットの運用開始
2020年4月〜2022年1月Sinclair、Advanced Solutions、Planetary Systems、SolAeroを買収衛星部品・太陽電池を自社で持つ
2021年3月再使用型の中型ロケットNeutronの開発を発表打ち上げ能力を大きくする
2023年9月Electronの打ち上げ失敗があったと10-Kが記載(原因・調査の詳細は記載なし)。10-Kは、失敗後に政府の許可が得られない場合は打ち上げを続けられなくなるリスクの例として挙げている打ち上げ失敗の影響
2025年8月GEOSTを買収部品の拡充
2025年12月17日米宇宙開発庁(SDA)と衛星18機の契約(上限8.16億US$)衛星製造の大型契約
2026年1月Neutronの第1段タンクが認定試験中に不具合(会社の記載)初飛行の遅れの一因
2026年4月14日Mynaric(ドイツの光通信の会社)の買収を完了光通信(レーザー通信)の取り込み
2026年5月26日Motiv(宇宙用の精密機構・ロボット)を買収部品・ロボットの拡充
2026年6月28日Iridium Communicationsの買収で合意(完了前)通信網の運営会社を取り込む計画
2026年6月30日Electronは累計87回の成功(弾道飛行を含む)運用の実績
2026年7月21日・30日米宇宙軍と、準軌道の打ち上げ12回と、衛星の契約政府の契約
2026年10月14日Neutronの初飛行が2027年にずれると発表新型機の遅れ

7. 今後の計画

Neutronの初飛行2027年に見込み2026年10月14日の会社の発表。具体的な日は未発表
Iridiumの買収2027年の完了を見込む株主の承認と規制当局の承認が条件(10-Q)
SDAの衛星18機2029年に引き渡し見込み契約の記載。上限8.16億US$
Neutron用の発射台LC-32026年に運用開始の見込み10-K(2026年2月)の記載。その後の状況は確認できなかった

以下は計画・目標であり、達成された事実ではありません 未確定/将来。

項目内容(会社の記載)区分
Neutronの初飛行2026年10月14日に会社が、初飛行が2027年になると発表。2026年8月の10-Qは「年内の初飛行の窓は狭まっている」と書いていた。初飛行の具体的な日は確認できなかった未確定/将来
Neutronの量産と運用会社は、初飛行を急ぐよりも、量産と高い頻度の打ち上げに耐える機体として運用を始めることを重視すると説明。第1段の認定試験とArchimedesエンジンの試験の結果に左右される未確定/将来
Iridiumの買収買収の対価は現金と株式の組み合わせ。会社の説明では、企業価値は約80億US$、現金は30億US$超を要し、既存の借入の返済・借り換えにさらに約18億US$を要する場合がある。完了は2027年の見込みで、Iridiumの株主の承認、米国の独占禁止法の待機期間、米連邦通信委員会(FCC)と各国の承認が条件未確定/将来
発射台LC-3Neutronを受け入れる発射台。2026年2月の10-Kは2026年中の運用開始を見込んでいた。現在の状況は確認できなかった未確定/将来
衛星の引き渡しSDAの衛星18機は2029年が引き渡しの見込み(会社)。宇宙軍の衛星の契約の引き渡し時期は確認できなかった未確定/将来
確認できなかったこと

次は確認した資料に記載がありませんでした 未確定/将来。

Neutron第1段タンクの不具合の詳しい原因/Neutronの初飛行の具体的な日と、打ち上げ頻度の目標/NASAとの個別の契約金額/LC-3の運用開始の確定日/Iridium買収の最終的な承認の時期。「○年に○機打ち上げる」といった報道ベースの数字は本稿では採用しません。

8. この会社は宇宙産業で何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
打ち上げ、衛星、部品、運用を自社で揃える方向会社は「end-to-end(一貫した)宇宙の会社」と説明。Motivの買収は「垂直統合の隙間を埋める」と記載事実
成長の中心は衛星・部品2026年上期の売上の約75%が宇宙システム。受注残高も宇宙システムが約60%推測
Iridiumの買収は、衛星を作る会社から、通信網を運営する会社へ広がる動き会社は、打ち上げと衛星製造にIridiumの世界的な通信網・周波数を組み合わせると説明(10-Q)推測
Neutronは大型の衛星網の打ち上げを狙う会社は、Neutronを大規模な衛星網の展開に向けた機体と説明。低軌道へ13,000kg事実
政府の契約が衛星・打ち上げの大きな柱になりつつある2025年12月と2026年7月の3件の契約(上限の合計は約14.8億US$=8.16億+2.66億+3.97億。選択権を含む)推測
推測の根拠を1つだけ詳しく

2026年のRocket Labは、Neutronの開発が遅れる一方で、部品・衛星・通信の会社を次々に買収しています 事実。Mynaric(4月)、Motiv(5月)、Iridium(6月に合意)という流れは、打ち上げ以外の事業で売上を伸ばし、Electron単独に頼る構造から離れる動きと読めます。10-Qの資金の説明でも、Iridium買収に30億US$超の現金が要る見込みで、つなぎ融資を用意しています。ただし、これは会社の資金の使い方と買収の時期から本稿が読んだ解釈であり、会社がそう述べたわけではありません 未確定/将来。

9. 宇宙産業分野の提携マッピング

Rocket Labを中心とした宇宙産業の関係 提出書類・公式資料に記載のある関係のみ(2026年10月17日時点)。報道だけの関係は含まない Rocket Lab 打ち上げ・衛星部品 米宇宙開発庁(SDA) 衛星18機の契約(2025年12月) 米宇宙軍 準軌道の打ち上げ・衛星の契約 NASA Wallops施設・カテゴリー1認証 商業の顧客 Synspective、Kinéis、Planetなど Iridium Communications 2026年6月に買収で合意(完了前) Mynaric/Motiv/GEOST 買収済み(2025年8月〜2026年5月) FAA(米連邦航空局) Wallopsの発射の許可(規制) 米国・ニュージーランド政府 LC-1に関する二国間の協定 契約・顧客 買収・合意・規制
図2 出典:Form 10-K、Form 10-Q、Form 8-K。図に含めたのは記載のある関係だけで、報道で語られる関係は含めていません。Iridiumの買収は合意の段階で、完了していません 未確定/将来。

10. 提供している技術・製品・サービス

区分主な製品会社の資料の記載
打ち上げ(小型)Electron、HASTEElectron:低軌道へ300kg、炭素繊維複合材、Rutherfordエンジン(3D積層造形・電動ポンプ)。第1段のリフトオフ推力190kN、第1段比推力311秒(会社の公称)。発射場はニュージーランドのLC-1(年最大120回の能力)と米国のLC-2
打ち上げ(中型)Neutron全高43m、低軌道へ13,000kg、LOX・メタン、Archimedesエンジン9基(1基あたり733kN)。第1段は海上の着陸台「Return On Investment」に降りる再使用。フェアリングは第1段に付いたまま開閉する「Hungry Hippo」方式(会社の公称)
衛星・宇宙機宇宙機のシリーズ低軌道から惑星探査まで。運用・地上局も含めて提供
衛星部品姿勢制御装置、スタートラッカー、無線機、分離装置、太陽電池・パネル、複合材構造、推進、光通信、ロボット飛行ハードウェアが1,800超のミッションに(2025年12月31日)。部品はほかの衛星メーカーにも販売
拠点Long Beach、Auckland、Wallops、Middle River、Stennis などLong Beach:本社・エンジンの生産。Auckland:ロケットの製造。Middle River(メリーランド):複合材製品。Stennis(ミシシッピ):Archimedesエンジンの試験場
素材技術者の視点:自社で「部品」を持つことの強み

Rocket Labは、衛星の部品(太陽電池、姿勢制御、分離装置、光通信など)を自社で作り、他社にも売っています 事実。会社は、Motivの買収について、供給が足りず高価な部品(太陽電池パネルの回転機構など)を自社で持つためと説明しています。宇宙用の部品は、放射線・真空・温度変化に耐える認定が必要で、供給元が少ないほど納期や価格の影響を受けやすい、というのが材料・部品の世界の一般的な事情です 未確定/将来(本稿の解説)。

ロケットでも、Electronのエンジン(Rutherford)の主要部品はすべて金属の3D積層造形で作られ、タンクは炭素繊維複合材です。会社は、3D積層造形を使うことで、新しい部品の設計と試験を短い期間で回せると説明しています。一方で、第1段タンクの不具合のような出来事は、新しい材料と大きな構造の組み合わせの難しさも示しています。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
Neutronの遅れ2026年1月の第1段タンクの不具合に続き、初飛行が2027年にずれると会社が発表。10-Qは、新型ロケットの開発には「複雑な開発期間のリスクが残る」と記載事実
Electronへの依存打ち上げ事業は現在Electronに依存すると10-Kが記載。2023年9月の打ち上げ失敗を例に、失敗後に政府の許可が得られない場合は打ち上げ頻度が落ちるリスクを挙げている事実
Iridium買収の実行完了には株主・規制当局の承認が必要で、現金30億US$超とつなぎ融資が前提。完了時期は2027年の見込みで、不確実事実
損失が続く純損失は2025年に1億9,821万US$、2026年上期に9,428万US$。研究開発費が大きい事実
政府の契約への依存米政府の契約が増えているが、契約には政府が終了・変更できる条件が付く。契約の個別の金額・条件は一部確認できなかった推測
買収の統合複数の買収の統合に経営資源が割かれると10-Qが記載事実
許可と環境打ち上げは発射場ごとの許可(FAAなど)が必要。LC-2は年8回の許可(10-K)事実

12. 用語集

Electron
Rocket Labの小型ロケット。炭素繊維複合材の機体。
Neutron
Rocket Labが開発中の中型の再使用ロケット。
HASTE
Electronから派生した、準軌道(弾道)の試験機。
小型ロケット
数百kg程度の衛星を低軌道へ運ぶロケット。
Rutherford/Archimedes
Electron用・Neutron用のエンジンの名前。どちらも3D積層造形を使う。
3D積層造形
金属などの粉を層にして固め、複雑な形の部品を作る方法。
受注残高
契約済みで、まだ売上にしていない金額。
ATM(随時売出し)
会社が証券会社を通じて、市場で株式を少しずつ売って資金を集める方法。
SDA
米宇宙開発庁。衛星網の調達を担う米政府の組織。
Iridium
世界的な衛星通信網を運営する米国の会社。Rocket Labが買収で合意。
打上げサービスと衛星部品の供給を分けています。開発中の新型ロケットは、現在の売上・運用実績と区別して読みます。
図3 概念画像(ImageGen生成)。打上げサービスと衛星部品の供給を分けています。開発中の新型ロケットは、現在の売上・運用実績と区別して読みます。実際の製品・施設・測定結果・設計寸法ではありません。実物と拡大模型を区別してください。線・矢印・色は説明用です。

13. 出典

  1. Rocket Lab Form 10-K(2025年12月期、米SEC提出 2026年2月26日)。事業・機体・拠点・従業員数・主な顧客・2025年の売上と損益・リスク要因。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000013/rklb-20251231.htm
  2. Rocket Lab Form 10-Q(2026年6月30日終了四半期、米SEC提出 2026年8月10日)。売上・損益・受注残高・資金・設備投資・買収・Iridium買収の合意・Neutronの状況。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000062/rklb-20260630.htm
  3. Rocket Lab Media Release「Rocket Lab Provides Update on Neutron Development and Adjusts Target Launch Timing」(Form 8-Kの添付資料 Exhibit 99.1、2026年10月14日)。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000067/rklb-10142026ex991.htm
  4. Rocket Lab Form 8-K(2026年6月29日提出)。Iridium Communications Inc.の買収に関する合併契約(2026年6月28日)。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000175392626001085/g085783_8k.htm
  5. Rocket Lab Form 8-K(2026年4月14日提出)。Mynaric AGの買収の完了。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000175392626000654/g085683_8k.htm
  6. Rocket Lab Form 8-K(2026年5月20日提出)。株式の随時売出し契約(上限30億US$)。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000045/rklb-20260520.htm
  7. Rocket Lab Form 8-K(2026年8月13日提出)。株式の随時売出し契約(上限約19.4億US$)とIridium買収の進捗。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000175392626001463/g085846_8k.htm
  8. Rocket Lab Electron(機体の公称諸元。確認日 2026年10月17日)。 https://rocketlabcorp.com/launch/electron/
  9. Rocket Lab Neutron(機体の公称諸元と開発の経過。確認日 2026年10月17日)。 https://rocketlabcorp.com/launch/neutron/
  10. Rocket Lab 公式サイト(ロゴの取得元。確認日 2026年10月17日)。 https://rocketlabcorp.com/
  11. 米SEC EDGAR 提出書類の索引(Rocket Lab Corp、CIK 0001819994。Nasdaq上場と提出日の確認)。 https://data.sec.gov/submissions/CIK0001819994.json

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
正式名称、Nasdaq上場、提出書類の存在事実出典1・11 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000013/rklb-20251231.htm https://data.sec.gov/submissions/CIK0001819994.json
2024〜2025年の売上・損益・研究開発費・設備投資、従業員2,600人超、拠点事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000013/rklb-20251231.htm
2026年1〜6月の売上・損益・研究開発費・設備投資、受注残高、現金・有価証券、Electronの打ち上げ回数、HASTE事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000062/rklb-20260630.htm
Electronの公称諸元事実出典8 https://rocketlabcorp.com/launch/electron/
Neutronの公称諸元と開発の経過事実出典9 https://rocketlabcorp.com/launch/neutron/
Neutronの初飛行が2027年にずれること(2026年10月14日)事実出典3 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000067/rklb-10142026ex991.htm
2026年1月の第1段タンクの不具合と初飛行への影響事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000013/rklb-20251231.htm
Iridium買収の合意(2026年6月28日)、条件、完了見込み事実出典2・4 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000062/rklb-20260630.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000175392626001085/g085783_8k.htm
Mynaricの買収の完了(2026年4月14日)、取得対価の価値事実出典5 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000175392626000654/g085683_8k.htm
Motivの買収(2026年5月26日)と対価事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000062/rklb-20260630.htm
株式の随時売出し契約(2026年5月20日、8月13日)事実出典6・7 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000045/rklb-20260520.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000175392626001463/g085846_8k.htm
SDAの契約(8.16億US$)、宇宙軍の契約(2.66億US$、3.97億US$)事実出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000013/rklb-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000062/rklb-20260630.htm
NASAのWallops発射台、カテゴリー1認証、主な顧客事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000013/rklb-20251231.htm
2023年9月のElectronの打ち上げ失敗への会社の言及事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000013/rklb-20251231.htm
宇宙システムの割合(67%、75%)と2024年の事業別売上の逆算本稿の計算本稿による計算。元の数値は出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000013/rklb-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000062/rklb-20260630.htm
Neutron第1段タンクの不具合の原因、NASAとの個別契約の金額、LC-3の運用開始の確定未確定/将来確認した資料に記載なし。本稿では推測しない
Neutronの初飛行、Iridium買収の完了、SDA衛星の引き渡し、LC-3の運用開始未確定/将来会社の目標であり、見通しの段階。達成の事実ではない https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000062/rklb-20260630.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000067/rklb-10142026ex991.htm
成長の中心は衛星・部品という読み推測宇宙システムの売上割合と受注残高の内訳からの本稿の解釈
Iridiumの買収は通信網の運営会社へ広がる動きという読み推測10-Qの買収の説明からの本稿の解釈
政府の契約が柱になりつつあるという読み推測2025年12月と2026年7月の契約の記載からの本稿の解釈
3件の政府契約の上限の合計(約14.8億US$)本稿の計算本稿による合計。元の数値は出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000013/rklb-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819994/000181999426000062/rklb-20260630.htm
Electron単独に頼る構造から離れようとしているという読み推測2026年の買収の時期と資金の説明からの本稿の解釈

最終更新:2026年10月17日/Troy Technical
本稿の数値は、Rocket Labが米証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類(Form 10-K、Form 10-Q、Form 8-K)と、同社の公式ページに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。機体の性能値は会社の公称であり、条件の異なる機体との優劣は示していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。株価・評価額・投資判断には触れていません。