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三菱重工業 企業解説

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COMPANY PROFILE / 宇宙産業

三菱重工業(宇宙事業)
― 日本の基幹ロケット「H3」をまとめる主契約企業。2回の失敗を公式報告書で振り返りながら、飛行を続けている

三菱重工業は、日本の主力ロケットH3の機体開発をまとめる主契約企業(プライムコントラクタ)で、 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と組んで開発・打上げを担っています。 H3はこれまでに9回打ち上げられ、7回成功、2回失敗しています (2026年10月17日時点。JAXAの公表から本稿が集計)。 失敗した2回(2023年3月の試験機1号機、2025年12月の8号機)は、いずれもJAXAが原因究明の報告書を公開しており、 8号機は衛星を載せる部品の接着工程で生じた内部の剥がれが直接原因とされました。 本稿は、三菱重工業全体ではなく宇宙事業に絞り、「何を担い、どこまで確認でき、何が未確定か」を一次情報だけで書きます。

構成:三菱重工業の2025年度有価証券報告書(2026年6月24日提出)、JAXAの発表と原因究明報告書、三菱重工業のプレスリリースを一次情報として使用/確認日 2026年10月17日/最終更新 2026年10月17日

この記事でわかること
  1. 30秒でわかる三菱重工業と、宇宙産業での立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. 宇宙産業の世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模(宇宙事業に絞って簡潔に)
  5. 宇宙産業にかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社は宇宙産業で何を目指しているか
  9. 宇宙産業分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかる三菱重工業と、宇宙産業での立ち位置

正式名称三菱重工業株式会社英文名 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.(MHI)
本社東京都千代田区丸の内三丁目2番3号
上場東証プライム
証券コード 7011
有価証券報告書の提出会社
この分野での区分打ち上げ(主)
探査・有人(従)
H3を担う。ISS補給機HTV-Xなども開発
主な機体H3ロケットJAXAと開発。MHIは機体開発をまとめる主契約企業
H3の打上げ実績9回(成功7、失敗2)2026年10月17日時点。本稿がJAXAの発表から集計
次の打上げ10号機(MMX)
2026年10月20日予定
JAXAが2026年8月20日に発表。予定であり未実施
宇宙事業の財務単独では非公表「航空・防衛・宇宙」セグメントに合算
まず押さえるべき1点

日本のロケット開発は「JAXAが設計を主導し、メーカーが作る」と思われがちですが、H3では三菱重工業が主契約企業として機体開発をまとめ、JAXAが全体システムの開発・重要技術の開発・地上設備を担当する分担です 事実 (JAXAの原因究明報告書による。2014年に開発を開始)。 つまり、H3の成否は国の事業であると同時に、三菱重工業の宇宙事業そのものでもあります。 H3はすでに実用衛星を打ち上げる段階にありますが、試験機1号機(2023年)と8号機(2025年)で失敗し、 どちらもJAXAが原因と再発防止策を報告書にまとめています。 本稿は、その失敗を会社や個人の責任として論じることはせず、公式報告書に書かれた範囲で事実だけを示します。

2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は「三菱重工業株式会社」、英文では Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.(略称MHI)です。 宇宙事業は社内では「防衛・宇宙セグメント」の「宇宙事業部」が担当しますが、決算で公表される報告セグメントの名前は「航空・防衛・宇宙」で、 宇宙だけの数字は分かれていません。 また、H3ロケットはJAXAと三菱重工業の共同開発で、JAXAは別の組織(国立研究開発法人)です。本稿ではこの2者を区別して書きます。

公式サイト:https://www.mhi.com/jp/(ロゴは公式サイトのヘッダーに掲載された日本語版ロゴを使用)

3. 宇宙産業の世界で、この会社はどこにいるか

宇宙産業の会社は、宇宙で何を担うかで4つに分けると整理しやすくなります。 三菱重工業は、ロケットで運ぶ「打ち上げ」が主で、 国際宇宙ステーション(ISS)へ荷物を運ぶ補給機の開発などの「探査・有人・月面」が従です。 衛星や探査機を自社ブランドの商品として販売する会社ではありません。

宇宙産業に関わる企業の4つの類型 同じ「宇宙の会社」でも、宇宙で担う役割で、強みと課題が違う 打ち上げ 探査・有人・月面 衛星・軌道上サービス 部品・システム ロケットで宇宙へ運ぶ 月や宇宙ステーションへ 軌道で働く・作る 宇宙機を支える SpaceX/Blue Origin Rocket Lab/Firefly Axiom Space/Intuitive Machines ispace/Astrobotic Astroscale/Varda Synspective/Starcloud Northrop Grumman/BAE Systems Microchip/Redwire 打ち上げ能力と再使用 月・ISSへの到達力 新しい用途と市場 実績と信頼性 失敗と日程の遅れ 資金と日程の不確実 実証が途上・収益化 認定と納期に時間 三菱重工業は左の「打ち上げ」が主。ISS補給機などの「探査・有人」も手がける H3の機体開発をまとめる主契約企業。H3は9回打ち上げ、7回成功、2回失敗(2026年10月17日時点)
図1 宇宙産業に関わる企業の4類型と、三菱重工業の位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。三菱重工業がH3の機体開発をまとめる主契約企業であることは、JAXAの原因究明報告書の記載に基づきます。
専門用語をやさしく:主契約企業と「形態」

主契約企業(プライムコントラクタ)は、多数の部品会社の仕事をまとめて、全体として機体を完成させる会社のことです。 H3では三菱重工業が機体全体の開発をまとめ、エンジンの一部や構造部品などの個別の担当は別の会社や機関も担います。 また、H3は積む荷物に合わせて組み合わせ(形態)を変えます。 たとえば22形態は1段目のエンジン(LE-9)2基と固体ロケットブースター(SRB-3)2本、 24形態はエンジン2基とブースター4本、 30形態はブースターなしでエンジン3基だけで離陸する組み合わせです(JAXAの報告書による)。 ロケットの基礎は、本シリーズの技術解説『ロケットの基礎』『ロケットエンジンと推進剤』も参考にしてください。

4. 会社の規模(宇宙事業に絞って簡潔に)

三菱重工業は宇宙以外にも多くの事業を持つ大企業です。 会社全体は次の表だけにとどめ、宇宙に関わる部分は次の章で扱います 事実。

指標(連結)2023年度(2024年3月期)2024年度(2025年3月期)2025年度(2026年3月期)
売上収益(百万円)4,657,1474,361,1274,974,168
事業利益(百万円)282,541354,965432,218
従業員数(人)77,69777,27478,793

2024年度の金額は、2025年度に非継続事業(物流機器子会社の事業)に分類した部分を除いて、同社が表示し直した値です。 会社全体の事業は本稿の主題ではないので、これ以上は書きません。

宇宙に近い開示(2025年度)数字注意
宇宙事業の売上・利益非公表「航空・防衛・宇宙」セグメントに合算されて開示される
「航空・防衛・宇宙」セグメントの販売実績1,393,858百万円民間航空機・防衛・宇宙機器の合計。宇宙の割合は不明(セグメント間取引を含む)
同セグメントの従業員(2026年3月31日)12,048人臨時従業員1,243人を除く。宇宙だけの人数は非公表
同セグメントの研究開発費185,418百万円主な研究開発の1つに「H3ロケット」。宇宙だけの金額は非公表
ここで注意

上の数字は会社全体、または宇宙以外を含むセグメントの数字です。 H3や宇宙事業だけの売上・利益・投資額は、有価証券報告書に記載がありません 未確定/将来。 本稿は推計もしません。報道などで見かける「H3の事業規模」の数字は、一次情報で確認できないため採用しません。

5. 宇宙産業にかけているリソース

4つの観点(人・金・外部への出資や買収・公的機関との契約)で、確認できたか/できなかったかを示します。 「記載なし」と確認できた点も、重要な事実として表に残します。

観点確認できた内容区分
人宇宙を含む「航空・防衛・宇宙」セグメントの従業員は12,048人(連結、2026年3月31日)。宇宙事業部の人数は非公表。H3の打上げは種子島宇宙センターで行われ、MHIは打上げ輸送サービスの提供者として発表している事実(宇宙だけの人数は確認できず)
金セグメントの研究開発費は185,418百万円で、H3の開発が主な項目に挙がる。H3の開発費・設備投資の金額は非公表。JAXAの宇宙戦略基金(第1期)の採択あり(金額は確認できなかった)事実(金額は確認できず)
外部への出資・買収・合弁・売却2026年1月、三井物産が設立した宇宙ベンチャー「日本低軌道社中」に、三菱電機とともに出資(出資額は発表文に記載なし)。宇宙事業に関する買収・売却は確認できなかった事実(金額・他の案件は確認できず)
公的機関との契約・連携H3の開発(主契約企業としてJAXAと分担)。宇宙戦略基金(2025年1月30日に採択通知、大型極低温推進薬タンクの製造技術)。H3の打上げ(JAXAの発表)。契約額は確認できなかった事実(契約額は確認できず)

主要な機体・製品の状況(2026年10月17日確認)

機体・製品種別主要な諸元(公称・条件つき)実績段階
H3ロケット2段式の基幹ロケット(打上げ)直径5.2m。全長は57m(ショートフェアリング)/63m(ロングフェアリング)。打上げ能力は、太陽同期軌道(高度500km)へ4t以上、静止トランスファー軌道へ6.5t以上(ΔV=1,500m/s)(JAXAの諸元)9回(成功7、失敗2)運用中。8号機失敗の対策中(出典15・16)
LE-9(1段目エンジン)液体水素・液体酸素のエンジン真空中推力1,471kN/基、比推力422秒(JAXAの諸元)。1段目に2基または3基H3の飛行で使用運用中
LE-5B-3(2段目エンジン)液体水素・液体酸素のエンジン真空中推力137kN、比推力448秒(JAXAの諸元)H3の飛行で使用運用中
SRB-3(固体ロケットブースター)固体燃料の補助ロケット真空中推力2,300kN/本、比推力283.6秒。装着本数は0・2・4本(JAXAの諸元)H3の飛行で使用(30形態は不使用)運用中
衛星搭載アダプタ(PSS)衛星と2段目をつなぐ構造部品炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の表皮とアルミのハニカム芯のサンドイッチ構造。H3用は新規開発8号機の失敗の直接原因となった部品(JAXA報告書)対策方式で運用再開(6号機で補修方式を使用)
新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)ISSへの補給機MHIは全体システムや与圧モジュールなどを開発してきたと説明(2026年1月の発表)。諸元は本稿では扱わない1号機を2025年10月26日にH3 7号機で打上げ、軌道へ投入(JAXA発表)運用中
H-IIAロケット前世代の基幹ロケットH3が後継50号機を2025年6月29日に打上げ(MHI発表)。現在の運用状況は確認できなかった確認できず
素材技術者の視点:大型ロケットで「金属を3Dで積む」意味

三菱重工業は、JAXAの宇宙戦略基金(第1期)に「WAAMを用いた軽量かつ低コストな大型極低温推進薬タンクの製造技術研究」で採択されています 事実。 WAAM(ワイヤ・アーク積層造形)は、金属のワイヤを電気アークで溶かしながら一層ずつ積み上げる3Dプリント技術です。 公式の概要は、積層の速度が速い一方で、粉末を使う方式より技術の成熟度が低いため、 (1) 造形品質の安定化、(2) 高強度化、(3) 品質保証、(4) 大型部品の造形が課題だと述べています。 直径1〜2mのドームの試作でサイズによる課題を洗い出す計画です。 ここから読み取れるのは、推進剤タンク(液体水素のように極低温の液体を入れる容器)の製造を、時間と費用の面で減らしたいという狙いです。 なお、これは研究の採択段階の記載で、H3の量産機に使うことを示すものではありません 未確定/将来。

6. これまでの取り組み

H3ロケットの打上げ実績(JAXAの発表による)

H3ロケットの打上げを時系列で並べると(2026年10月17日時点) 号機の番号と打上げ順は一致しない(6号機は、7号機・8号機のあとに打ち上げられた) 試験機1号機 試験機2号機 3号機 4号機 5号機 7号機 8号機 6号機 9号機 10号機 2023-03-07 2024-02-17 2024-07-01 2024-11-04 2025-02-02 2025-10-26 2025-12-22 2026-06-12 2026-08-11 2026-10-20 だいち3号 試験用衛星 だいち4号 きらめき3号 みちびき6号 HTV-X1 みちびき5号 試験用衛星 みちびき7号 MMX 失敗 成功 成功 成功 成功 成功 失敗 成功 成功 予定 9回の打上げのうち、成功7回、失敗2回。10号機は予定で、結果は未確定 試験機1号機は2段目エンジンが着火せず、8号機は2段目エンジンの2回目の燃焼が立ち上がらなかった(JAXA発表) 「試験用衛星」は、ロケットの性能確認用の荷物や小型の副衛星を指す。10号機は2026年8月20日の発表による予定
図解 H3ロケットの打上げを打上げ順に並べた図。日付と結果はJAXAのプレスリリースによります。成功・失敗の集計と並べ方は本稿によるものです 本稿の計算。10号機は予定で、結果ではありません。
日付できごと意味
2014年H3の開発を開始。三菱重工業が主契約企業として機体開発をまとめ、JAXAが全体システム・重要技術・地上設備を担当H-IIAの後継として開発(JAXAの報告書)
2018年12月6日英国のインマルサット社とMHIが、H3での打上げについて、民間企業として初の合意を発表。打上げは2022年以降の予定とされた当時の発表。現在の状況は確認できなかった
2023年3月7日H3試験機1号機の打上げに失敗。2段目エンジンが着火せず、指令破壊信号を送出(JAXA発表)初号機の失敗。2023年10月26日に原因究明報告書
2024年2月17日試験機2号機で初めて打上げに成功H3の最初の成功
2024年7月1日〜2025年2月2日3号機(だいち4号)、4号機(きらめき3号)、5号機(みちびき6号)が連続で成功実用衛星の打上げ段階へ
2025年1月30日JAXAの宇宙戦略基金(第1期)に採択(WAAMによる大型極低温推進薬タンクの製造技術)製造技術の研究(量産への採用を示すものではない)
2025年6月29日H-IIAロケット50号機で「いぶきGW」を打上げ(MHI発表)H-IIAは50回の打上げ記録
2025年10月26日7号機で新型宇宙ステーション補給機1号機(HTV-X1)を打上げ、軌道へ投入ISS補給の新型機
2025年12月22日8号機の打上げに失敗。2段目エンジンの2回目の燃焼が立ち上がらず、準天頂衛星「みちびき5号機」を投入できなかった(JAXA発表)2回目の失敗。2026年7月23日に原因究明報告書
2026年1月26日三菱電機とともに、日本低軌道社中へ出資ポストISSに向けた体制づくり
2026年4月28日獺祭との「獺祭MOONプロジェクト」第一弾ミッション完了(ISSで清酒の発酵試験)。醸造装置はH3 7号機とHTV-X1で打上げH3とHTV-Xの民間利用の例
2026年5月11日衛星搭載AI物体検知機「AIRIS」が軌道上で船舶の検知に成功宇宙用の部品・システムの実証
2026年6月12日6号機(30形態の試験機)の打上げに成功。補修方式の部品を搭載8号機失敗後の最初の飛行
2026年7月29日ispaceと、新ランダー「ULTRA」の打上げ輸送サービス契約を締結(2028年の月面着陸ミッション)民間の月面ミッションの打上げを受注
2026年8月11日9号機で準天頂衛星「みちびき7号機」を打上げ、所定の軌道へ投入8号機失敗後の実用衛星の初打上げ

2回の失敗:公式報告書が述べる原因(要旨)

失敗JAXA報告書の説明(要旨)対策(報告書)
試験機1号機
2023年3月7日
1段目の燃焼と1段・2段の分離までは計画どおり。2段目エンジンが着火せず。報告書は、原因の候補を3つのシナリオ(点火器の内部の短絡、点火器への通電で生じる過電流、電気系の機器(PSC2)の内部で生じた過電流が二重化されたもう一方の系へ伝わること)に絞り、いずれかが原因になったと評価している(単一の原因には絞り込めていない)点火器の絶縁強化・検査強化・部品選別、電気系の保護用の部品(定電圧ダイオード)の除去など
8号機
2025年12月22日
衛星搭載アダプタ(PSS)の内部に、製造工程で生じた剥離があった。その剥離が、フェアリング(荷物を覆うカバー)の分離時の衝撃で広がり、PSS全体の破壊に至ったことが直接原因と特定された。剥離の主因は、接着工程で一部の温度が想定より高くなり、その部分の接着強度が下がったこと製造済みの部品の剥離を補修する「補修方式」と、接着をやめてボルト等で結合する「ファスナ結合方式」。今後は後者を基本とする

8号機の報告書は、背後要因として、H3の開発で難度の高い新しい技術(後述)を採用した際に、 局所的な高温化の危険を見つけられなかったことや、試験のあとの内部検査を行わなかったことを挙げています。 一方で、プロジェクトの管理規定や人材育成の制度そのものに不備は認められなかったとも書いています。 本稿は、これをJAXAによる評価として紹介するにとどめ、特定の組織や個人の責任を論じません。

7. 今後の計画

以下はいずれも計画・予定で、達成された事実ではありません 未確定/将来。

H3 10号機(MMX)2026年10月20日
予定
JAXA発表(2026年8月20日)。予備期間は11月7日まで
ispaceの月面着陸(ULTRA)2028年に予定H3で打上げる契約を2026年7月29日に締結
PSSの結合方式ファスナ結合を基本にJAXAの報告書。実機への反映計画は報告書による
ポストISS民間主導の
宇宙ステーション
ISSの退役は2030年に予定(日本低軌道社中の発表文)
確認できなかったこと

次はいずれも一次資料に記載がありません 未確定/将来。

H3の年間の打上げ回数の計画/H3の価格(打上げ料金)/H3の宇宙事業の売上・利益の見通し/インマルサットとの2018年の合意の現在の状況/H-IIAの今後の運用/ispaceとの契約金額。 「年○機」「1機○億円」といった数字は報道ベースのものが多く、本稿では採用しません。

8. この会社は宇宙産業で何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
H3を国の打上げ手段から民間の商業打上げサービスへ広げようとしているispaceとの契約で「国内外の多様な宇宙ミッションを支える」と述べ、JAXAの報告書は「早期に民間主体の打上げ体制に移行する」体制と記している推測
月面輸送の国産の組み合わせ(国産ランダー×国産ロケット)を重視しているispaceとの発表文で「国産ランダー×国産ロケット」「月面インフラ構築や関連技術領域での協力強化を検討」と述べている推測
ISS後の低軌道での事業に参加する準備をしている日本低軌道社中への出資と、HTV-Xや「きぼう」で培った技術の活用に言及推測
打上げ以外の宇宙機器・部品(AIや半導体)にも広げているAIRISと次世代宇宙用MPU(SOISOC4)の軌道上実証事実(広げる意図は推測)
H3の信頼の回復が当面の最優先課題2回の失敗後、JAXAと対策の検証を続け、原因究明報告書に再発防止策を記している推測
推測の根拠を1つだけ詳しく

8号機の失敗に関する報告書は、H3のコスト競争力を確保するために、新しい接着方式(オートクレーブを使わないスプライス接着)を採用したと書いています 事実。 従来のH-IIA用の部品はボルト等で結合していましたが、H3では接着に変えています。 そして対策では、実績のあるボルト等による結合方式へ戻すことを基本としました。 ここから本稿は、低価格を目指して新しい製造方式を取り入れたことと、品質の安定のために実績ある方式へ戻したことの間の、バランスを取ることが、 今後のH3の課題だと読みます。 ただし、これは報告書の記述からの解釈で、会社の戦略に関する説明ではありません 未確定/将来。

9. 宇宙産業分野の提携マッピング

三菱重工業を中心とした提携関係 三菱重工業・JAXAの公式資料に記載のある関係のみ。報道ベースの関係は含まない 三菱重工業 宇宙事業 JAXA H3の共同開発・打上げ ispace ULTRAの打上げ契約(2026年) 獺祭 ISSでの醸造試験を共同実施 Inmarsat(英国) H3の打上げ合意(2018年) 日本低軌道社中(三菱電機・三井物産と) 共同開発・共同実施 打上げサービスの顧客 出資
図2 三菱重工業を中心とした宇宙産業の提携関係。出典:三菱重工業・JAXAの公式資料。図に含めたのは公式資料に記載がある関係だけです。インマルサットとの2018年の合意は当時の発表で、現在の状況は確認できませんでした。契約額は公表されていないため、線の太さに意味はありません。

10. 提供している技術・製品・サービス

三菱重工業の宇宙事業の中心はH3による打上げ輸送サービスです。 H3の特徴として、JAXAは「柔軟性」「高信頼性」「低価格」の3つの要素をあげています 事実。

技術・サービス公式資料の説明やさしく言うと
H3による打上げ輸送サービス荷物に合わせて、1段目のエンジン数(2基または3基)、ブースターの本数(0・2・4本)、フェアリング(ショート/ロング)を組み合わせる荷物の重さや大きさに合わせて、ロケットの構成を変えられる
LE-9エンジン(1段目)日本独自のエキスパンダー・ブリード・サイクルを採用し、3D造形などの新技術も導入して、高信頼性と低コストの両立を目指す(JAXA)液体水素を燃焼室の壁で温めてガスにし、その膨張でターボポンプを回す方式の一種
新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)MHIがHTV-Xの全体システムや与圧モジュールなどを開発(2026年1月の発表)ISSに荷物を運ぶ補給船。空気のある「与圧」区画を持つ
次世代宇宙用MPU「SOISOC4」とAI物体検知機「AIRIS」JAXAとMHIが開発した宇宙用MPUで衛星上でAIを動かし、画像から船舶を検知。2025年12月14日に打上げた衛星で実証し、2026年5月に成功を発表宇宙の放射線に耐える半導体で、衛星の中でAIを動かす
宇宙用の醸造装置獺祭と共同開発した清酒醸造装置。ISSの日本実験棟で月面重力を模擬した環境で作動宇宙で発酵を進めるための専用の装置
WAAMによるタンク製造の研究JAXA宇宙戦略基金で採択(第1期)金属の3Dプリントで、大型の燃料タンクを作る技術の研究
素材技術者の視点:8号機で問われた「CFRPの接着」

8号機の失敗で焦点になった部品は、衛星搭載アダプタ(PSS)です。 JAXAの報告書によれば、PSSはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の薄い表皮とアルミのハニカム芯を貼り合わせたサンドイッチ構造で、 H-IIA用と同じ構造ですが、H3用はCFRP材料が違い、パネルのつなぎ目(スプライス)がボルト結合から接着結合に変わりました 事実。

報告書は、競争力の確保のため、オートクレーブ(大きな加圧釜)を使わない方式(OoA)のスプライス接着を採用したと述べています。 製造設備の制約で、積層と接着の工程を別の工場で行う必要があり、スプライスを2分割にしました。 その結果、2つのヒーターに挟まれた部分が局所的に想定より高温になり、接着強度が下がって、内部に剥離が生じたと説明しています。 剥離は、真空中でフェアリング分離の衝撃を受けると広がり、破壊に至り得る、という検証結果も示されています。

素材・製造の面から言えることは、「熱の入り方(温度分布)」が接着の品質を左右するということと、 内部の剥離は外観や強度試験だけでは見つけにくいということです。 報告書も、試験後の非破壊検査や、破壊試験による余裕の確認を確実に実施することを再発防止策に含めています 事実。 複合材の基礎は、本シリーズの技術解説『宇宙用CFRPと複合材料』『軽量構造材料』も参考にしてください。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
打上げの失敗H3は9回のうち2回失敗している。公式報告書で原因と対策が示されたが、今後の飛行で対策の効果が確認される段階事実
対策の確認補修方式のPSSを使った6号機と、その後の9号機はともに成功した。ただし9号機のPSSの方式や、ファスナ結合方式への切り替えの時期と範囲は、本稿の一次資料では確認できなかった未確定/将来
日程の遅れ9号機は2026年2月1日の予定から延期され、実際の打上げは2026年8月11日になった(MHIとJAXAの発表)事実
宇宙事業の採算が外部から見えない売上・利益・投資額は他の事業と合算で開示され、宇宙事業単独の採算は確認できない事実
民間顧客の獲得ispaceの契約は確認できたが、その他の民間契約(2018年のインマルサットとの合意を含む)の現状は確認できなかった確認できず
新しい製造方式の導入リスク報告書が示すように、新しい製造方式(OoA接着)を採用した部品で、局所的な高温化の危険を事前に見つけられなかった事実
月面・宇宙ステーション関連計画の依存ispaceの月面着陸は2028年の計画、ポストISSは民間主導で計画段階。相手の計画の進み方に左右される推測

12. 用語集

H3ロケット
JAXAと三菱重工業が開発した日本の基幹ロケット。H-IIAの後継。
主契約企業(プライムコントラクタ)
多数の会社の仕事をまとめて、全体を完成させる会社。
低軌道(LEO)
地上から数百キロメートル上空の軌道。ISSなどが飛ぶ。
太陽同期軌道(SSO)
地球を南北に回り、同じ地方時に同じ場所の上空を通る軌道。地球観測衛星でよく使う。
静止トランスファー軌道(GTO)
静止軌道へ向かう途中の細長い軌道。
フェアリング
ロケット先端で荷物を覆うカバー。大気を抜けたあとに分離する。
衛星搭載アダプタ(PSS)
衛星と2段目ロケットをつなぐ構造部品。
CFRP
炭素繊維で強化したプラスチック。軽くて強い。
ハニカム
蜂の巣状の芯材。薄い板ではさむと軽くて曲がりにくい板になる。
OoA(Out-of-Autoclave)
大きな加圧釜(オートクレーブ)を使わずに、複合材を硬化・接着する方式。
WAAM
Wire Arc Additive Manufacturing。金属のワイヤをアークで溶かして積み上げる3Dプリント。
比推力(Isp)
推進剤の使い方の効率を表す値(秒)。エンジンの燃費にあたり、大きいほど少ない推進剤で進める。
ISS/HTV-X
国際宇宙ステーション/日本の新型の補給機。
有価証券報告書
上場会社が国に提出する年次報告書。監査済みで法的責任を伴う。
段・エンジン・フェアリングを統合する仕事の概念です。実際のH3の外観や特定の打上げ結果を写したものではありません。
図3 概念画像(ImageGen生成)。段・エンジン・フェアリングを統合する仕事の概念です。実際のH3の外観や特定の打上げ結果を写したものではありません。実際の製品・施設・測定結果・設計寸法ではありません。実物と拡大模型を区別してください。線・矢印・色は説明用です。

13. 出典

  1. 三菱重工業 有価証券報告書 2025年度(自2025年4月1日 至2026年3月31日。2026年6月24日提出)。売上収益・事業利益・従業員数・セグメント別の従業員数・販売実績・研究開発費。 https://www.mhi.com/jp/finance/library/financial/pdf/2025/2025_04_all.pdf
  2. JAXA H3ロケット8号機 打上げ失敗の原因究明に係る報告書(2026年7月23日)。H3の開発体制、PSSの構造、直接原因、是正対策、背後要因。 https://www.jaxa.jp/hq-disclosure/h3f8/files/H3-f8_report_01.pdf
  3. JAXA H3ロケット8号機の打上げ失敗に関する対応状況について(2026年7月30日掲載)。 https://www.jaxa.jp/hq-disclosure/h3f8/index_j.html
  4. JAXA H3ロケット試験機1号機 打上げ失敗の原因究明に係る報告書(2023年10月26日)。 https://www.jaxa.jp/hq-disclosure/h3-tf1/files/H3-tf1_report_01.pdf
  5. JAXA H3ロケット試験機1号機の打上げ失敗及び対策本部の設置について(2023年3月7日)。 https://www.jaxa.jp/press/2023/03/20230307-2_j.html
  6. JAXA H3ロケット試験機2号機の打上げ結果について(2024年2月17日)。 https://www.jaxa.jp/press/2024/02/20240217-1_j.html
  7. JAXA H3ロケット3号機による先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)の打上げ結果(2024年7月1日)。 https://www.jaxa.jp/press/2024/07/20240701-1_j.html
  8. JAXA H3ロケット4号機によるXバンド防衛通信衛星「きらめき3号」の打上げ結果(2024年11月4日)。 https://www.jaxa.jp/press/2024/11/20241104-1_j.html
  9. JAXA H3ロケット5号機による「みちびき6号機」の打上げ結果(2025年2月2日)。 https://www.jaxa.jp/press/2025/02/20250202-1_j.html
  10. JAXA H3ロケット7号機による新型宇宙ステーション補給機1号機(HTV-X1)の打上げ結果(2025年10月26日)。 https://www.jaxa.jp/press/2025/10/20251026-1_j.html
  11. JAXA H3ロケット8号機の打上げ失敗及び対策本部の設置(2025年12月22日)。 https://www.jaxa.jp/press/2025/12/20251222-2_j.html
  12. JAXA H3ロケット6号機(30形態試験機)の打上げ結果(2026年6月12日)。 https://www.jaxa.jp/press/2026/06/20260612-1_j.html
  13. JAXA H3ロケット9号機による「みちびき7号機」の打上げ結果(2026年8月11日)。 https://www.jaxa.jp/press/2026/08/20260811-1_j.html
  14. JAXA H3ロケット10号機による火星衛星探査機(MMX)の打上げ(2026年8月20日。打上げ予定日2026年10月20日)。 https://www.jaxa.jp/press/2026/08/20260820-1_j.html
  15. JAXA 宇宙輸送技術部門 H3ロケット 諸元(全長・推力・比推力・打上げ能力)。確認日 2026年10月17日。 https://www.rocket.jaxa.jp/rocket/h3/system.html
  16. JAXA H3ロケット(プロジェクトページ。H3の3つの要素、プレスリリース一覧)。確認日 2026年10月17日。 https://www.jaxa.jp/projects/rockets/h3/index_j.html
  17. JAXA 宇宙輸送技術部門 H3ロケット(LE-9の説明)。確認日 2026年10月17日。 https://www.rocket.jaxa.jp/rocket/h3/
  18. 三菱重工業・ispace ispaceと三菱重工、H3ロケットによる新ランダー「ULTRA」の打上げ輸送サービス契約を締結(2026年7月29日)。 https://www.mhi.com/jp/news/260729.html
  19. 三菱重工業ほか 三井物産が設立した宇宙ベンチャー「日本低軌道社中」に対し三菱重工、三菱電機が出資(2026年1月26日)。 https://www.mhi.com/jp/news/26012601.html
  20. 三菱重工業・獺祭 獺祭と三菱重工、人類初・宇宙空間での清酒醸造試験に成功(2026年4月28日)。 https://www.mhi.com/jp/news/260428.html
  21. 三菱重工業 次世代宇宙用MPUを活用したオンボードAI物体検知機「AIRIS」が軌道上で船舶検知に成功(2026年5月11日)。 https://www.mhi.com/jp/news/260511.html
  22. 三菱重工業 H-IIAロケット50号機による「いぶきGW」の打上げ結果について(2025年6月29日)。 https://www.mhi.com/jp/news/250629.html
  23. 三菱重工業 英インマルサット社と三菱重工、新型基幹ロケットH3での打上げで民間企業と初の合意(2018年12月6日)。 https://www.mhi.com/jp/news/181206.html
  24. JAXA・三菱重工業 H3ロケット9号機による「みちびき7号機」の打上げ延期(その2)(2026年2月3日)。 https://www.mhi.com/jp/news/260203.html
  25. JAXA 宇宙戦略基金 採択結果「WAAMを用いた軽量かつ低コストな大型極低温推進薬タンクの製造技術研究」(採択通知・公表日 2025年1月30日)。 https://fund.jaxa.jp/selectedcompany/theme44/
  26. 三菱重工業 公式サイト(会社概要・ロゴの確認用)。 https://www.mhi.com/jp/

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
正式名称、本社所在地、売上収益・事業利益・従業員数(会社全体)事実出典1 https://www.mhi.com/jp/finance/library/financial/pdf/2025/2025_04_all.pdf
「航空・防衛・宇宙」セグメントの従業員12,048人、販売実績1,393,858百万円、研究開発費185,418百万円。宇宙単独の数字は記載なし事実出典1 https://www.mhi.com/jp/finance/library/financial/pdf/2025/2025_04_all.pdf
H3の開発体制(2014年開始、MHIが主契約企業、JAXAが全体システム・重要技術・地上設備)、22形態・24形態・30形態の構成、PSSの構造、直接原因、是正対策、背後要因事実出典2 https://www.jaxa.jp/hq-disclosure/h3f8/files/H3-f8_report_01.pdf
8号機の失敗に関する対応状況(報告書の決定と文部科学省の了承)事実出典3 https://www.jaxa.jp/hq-disclosure/h3f8/index_j.html
試験機1号機の失敗の原因究明(残った3つのシナリオ、対策)事実出典4 https://www.jaxa.jp/hq-disclosure/h3-tf1/files/H3-tf1_report_01.pdf
試験機1号機の失敗(2023年3月7日、2段目が着火せず)事実出典5 https://www.jaxa.jp/press/2023/03/20230307-2_j.html
試験機2号機の成功(2024年2月17日)事実出典6 https://www.jaxa.jp/press/2024/02/20240217-1_j.html
3号機の成功(2024年7月1日、だいち4号)事実出典7 https://www.jaxa.jp/press/2024/07/20240701-1_j.html
4号機の成功(2024年11月4日、きらめき3号)事実出典8 https://www.jaxa.jp/press/2024/11/20241104-1_j.html
5号機の成功(2025年2月2日、みちびき6号機)事実出典9 https://www.jaxa.jp/press/2025/02/20250202-1_j.html
7号機の成功(2025年10月26日、HTV-X1)事実出典10 https://www.jaxa.jp/press/2025/10/20251026-1_j.html
8号機の失敗(2025年12月22日、2段目の2回目の燃焼が立ち上がらず)事実出典11 https://www.jaxa.jp/press/2025/12/20251222-2_j.html
6号機(30形態試験機)の成功(2026年6月12日)事実出典12 https://www.jaxa.jp/press/2026/06/20260612-1_j.html
9号機の成功(2026年8月11日、みちびき7号機)事実出典13 https://www.jaxa.jp/press/2026/08/20260811-1_j.html
10号機(MMX)の打上げ予定日(2026年10月20日、予備期間11月7日まで)未確定/将来会社の計画であり達成の事実ではない。出典14 https://www.jaxa.jp/press/2026/08/20260820-1_j.html
H3の諸元(全長、推力、比推力、打上げ能力)事実出典15 https://www.rocket.jaxa.jp/rocket/h3/system.html
H3の3つの要素(柔軟性・高信頼性・低価格)事実出典16 https://www.jaxa.jp/projects/rockets/h3/index_j.html
LE-9の説明(エキスパンダー・ブリード・サイクル、3D造形)事実出典17 https://www.rocket.jaxa.jp/rocket/h3/
ispaceとのULTRAの打上げ輸送サービス契約(2026年7月29日)、2028年のミッション事実出典18 https://www.mhi.com/jp/news/260729.html
日本低軌道社中への出資、HTV-Xなどの開発の説明、ISS退役の予定事実出典19 https://www.mhi.com/jp/news/26012601.html
獺祭MOONプロジェクト第一弾の完了、H3 7号機・HTV-X1での輸送事実出典20 https://www.mhi.com/jp/news/260428.html
AIRISの軌道上での船舶検知、SOISOC4事実出典21 https://www.mhi.com/jp/news/260511.html
H-IIA 50号機の打上げ(2025年6月29日)事実出典22 https://www.mhi.com/jp/news/250629.html
インマルサットとの2018年の合意(打上げは2022年以降の予定とされた)事実出典23 https://www.mhi.com/jp/news/181206.html
9号機の延期(2026年2月1日の予定から、予備期間内の打上げを見送り)事実出典24 https://www.mhi.com/jp/news/260203.html
宇宙戦略基金(第1期)への採択(WAAMによる大型極低温推進薬タンク、2025年1月30日)事実出典25 https://fund.jaxa.jp/selectedcompany/theme44/
4類型の区分と図1の位置づけ、H3打上げの成功・失敗の集計と図解の並べ方本稿の計算本稿による整理。企業名は本シリーズの企業から例示
宇宙事業単独の売上・利益・従業員数・H3の開発費と設備投資未確定/将来有価証券報告書に記載なし。本稿では推計しない(本稿)
H3の価格、年間の打上げ計画、契約金額、インマルサット合意の現状、H-IIAの今後の運用未確定/将来一次資料で確認できなかった。報道ベースの数値は採用しない(本稿)
H3を民間の商業打上げサービスへ広げようとしているという読み推測ispaceとの発表文とJAXA報告書の記述からの本稿の解釈(本稿)
月面輸送の国産の組み合わせを重視しているという読み推測ispaceとの発表文からの本稿の解釈(本稿)
ISS後の低軌道事業への参加を準備しているという読み推測日本低軌道社中への出資からの本稿の解釈(本稿)
H3の信頼の回復が当面の最優先課題という読み推測失敗と報告書の内容からの本稿の解釈(本稿)
低価格のための新方式と、実績ある方式へ戻すことの間のバランスが課題という読み推測8号機の報告書の記述からの本稿の解釈(本稿)
相手の計画の進み方に左右されるというリスク推測ispaceの2028年計画とポストISSの計画段階からの本稿の解釈(本稿)

最終更新:2026年10月17日/Troy Technical
本稿の数値は、三菱重工業の有価証券報告書、JAXAの発表と原因究明報告書、三菱重工業のプレスリリースに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。H3の打上げの成功・失敗はJAXAの発表の日付と結果によります。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。本稿は防衛事業を含む三菱重工業全体を扱わず、宇宙事業に絞っています。