COMPANY PROFILE / 宇宙産業
BAEシステムズ
― 英国の防衛大手のうち、宇宙の「耐放射線の電子部品」と「宇宙機」を持つ部門。宇宙の売上は非公表
BAE Systemsは英国の大きな防衛・航空宇宙企業で、会社全体の事業は本稿の対象ではありません。 本稿が扱うのは、この会社の中で宇宙に関わる2つの部分だけです。 1つは、人工衛星や探査機の中で使う耐放射線の電子部品(コンピュータ、メモリ、専用チップ。米国バージニア州マナサスの拠点)。 もう1つは、2024年に買収したBall Aerospace(現 Space & Mission Systems)が担う宇宙機・望遠鏡・地上システムです。 宇宙事業の売上は、電子システム部門の一部として扱われ、単独では開示されていません。 防衛全般は書かず、公表資料で確認できた宇宙の事実を整理します。
- 30秒でわかるBAE Systemsと、宇宙産業での立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 宇宙産業の世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(全社は簡潔に、宇宙は非公表)
- 宇宙産業にかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は宇宙産業で何を目指しているか
- 宇宙産業分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるBAEシステムズと、宇宙産業での立ち位置
衛星・製造(従)耐放射線の電子部品と、宇宙機の両方を持つ
BAE Systemsは、艦船・航空機・陸上車両・サイバーなど幅広い防衛事業を持つ大企業で、宇宙はその一部です。会社は宇宙に関わる事業を、Electronic Systems(電子システム)部門の中に置いています 事実。この部門は、米英の電子システム事業と、米国のSpace & Mission Systems事業から成ると年次報告書にあります。
宇宙では、(1) 耐放射線の電子部品(RAD750などのコンピュータ。Apollo 11の時代から続く、と会社は説明)と、(2) 宇宙機・望遠鏡の本体(旧Ball Aerospace。2024年に約55億米ドルで買収)の2つが柱です。宇宙事業単独の売上・人員は非公表のため、規模は推計しません 未確定/将来。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は BAE Systems plc(英国の公開会社)。米国の子会社は BAE Systems, Inc.(Electronic Systems〔Inc.〕などの表記が公式サイトにある)です。 宇宙機・望遠鏡の事業の旧名は Ball Aerospace(Ball Corporationの子会社)で、2024年にBAE Systems, Inc.が買収し、Space & Mission Systemsという新しい事業部門になりました(公式サイトの沿革)。 社名の「BAE」は、旧来の企業名の略称ですが、本稿では会社の公式資料にある表記だけを使います。
公式サイト:https://www.baesystems.com/enロゴは公式サイトのヘッダーで使われている画像。取得日 2026年10月17日。
3. 宇宙産業の世界で、この会社はどこにいるか
宇宙の放射線は、電子部品の材料を少しずつ傷め、性能を落とし、ときには壊します。公式サイトは、宇宙の電子部品が−55〜125℃の温度の中で、15年を超えるミッションの間動き続ける必要があると説明しています 事実。そのため、チップの作り方(材料・設計・パッケージ)から、放射線に強くなるよう工夫した部品を「耐放射線(rad-hard)」と呼びます。
詳しくは、本シリーズの技術解説「放射線と電子部品」「宇宙用半導体とCOTS」「軌道上コンピューティング」にあります。
4. 会社の規模(全社は簡潔に、宇宙は非公表)
全社と、宇宙が含まれる部門(Electronic Systems)の規模を示します。宇宙事業単独の売上・人員は開示されていません 事実。「sales」は、会社が使う指標(持分法適用会社の売上の持分を含む)で、IFRSの収益とは異なります。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 全社の売上(sales。£百万) | 28,335 | 30,662 |
| Electronic Systems部門の売上(£百万) | 7,189 | 7,528 |
| 同部門の受注額(£十億) | 7.3 | 8.7 |
| 同部門の受注残(£十億) | 12.7 | 13.6 |
| その他の補足 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 全社の従業員 | 111,400名(2025年12月31日、持分法適用会社の分を含む) | 事実 |
| Electronic Systems部門の従業員 | 22,400名(2025年12月31日)。2026年6月30日は23,300名 | 事実 |
| 2026年上期(1〜6月)のElectronic Systems部門 | 売上£3,866百万(前年同期£3,599百万、恒常為替で11%増)。受注額£4.8十億、受注残£14.4十億(2026年6月末) | 事実 |
| Electronic Systems部門に含まれる事業 | 電子戦、航法、電気光学センサー、商用・軍用のアビオニクス、通信などに加え、宇宙エレクトロニクス、宇宙機、地上・戦術システム | 事実 |
| 宇宙事業単独の売上・人員・研究開発費 | 非公表 | 非公表 |
上の数字は会社全体と、宇宙以外も含む部門のものです。宇宙事業の規模を示す数字ではありません。決算発表は「宇宙」の項目を設けず、宇宙関連の事柄を部門の文章の中で述べるだけです 未確定/将来。
2026年上期の半期報告書は、Electronic Systems部門のなかの一部の事業が前年同期比29%(恒常為替)成長し、「軍事・国家の宇宙プログラムでの活動の増加」が背景と書いています。この事業名にあたる語は、取得できた文書のテキストでは確認できませんでしたが、年次報告書の分類から Space & Mission Systems を指すとみられます 未確定/将来(推測)。
5. 宇宙産業にかけているリソース
4点(人・金・外部への出資や買収・公的機関との契約)と、主要な製品・ミッションの状況を、一次情報で確認できた範囲で示します。「記載なし」も成果として書きます。
| リソースの種類 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | 宇宙事業単独の人員は非公表。Electronic Systems部門は22,400名(2025年末)から23,300名(2026年6月末)。耐放射線の電子部品は、米国バージニア州マナサスの拠点(Space Systems)が担当 | 非公表/事実 |
| 金 | 宇宙単独の研究開発費・設備投資は非公表。全社の設備投資は£957百万(2025年)。2026年9月に、RH45技術の認定のため米政府から$16百万の資金(Defense Production Act Title III) | 非公表/事実 |
| 外部への出資・買収・合弁・事業売却 | Ball Aerospaceを2024年に買収($5.5十億=£4.4十億。取得した純資産は£2,845百万、のれん£1,507百万)。2025年は重要な買収なし。2026年上期の費用に、買収後の統合費用の記載 | 事実 |
| 公的機関との契約・連携 | 米宇宙軍、NASA、NOAA、米国防総省の資金。金額の種類は下表で区別 | 事実 |
| 民間企業との連携 | GlobalFoundries(RH45・Endura向けの45nm SOIの製造)、Northrop Grumman(OPIR向けの搭載機器2つを共同開発と公式サイトにある)、Vantor(撮像衛星の製造契約に署名、2026年上期) | 事実 |
公的資金・契約の区別(契約額の種類を分けて読む)
| 案件 | 金額 | 金額の種類 | 状態 |
|---|---|---|---|
| 米宇宙軍 Resilient Missile Warning & Tracking(RMWT)MEO Epoch 2(衛星の星座と地上システム) | $1.2十億(£0.9十億) | 元請契約の契約額(2025年5月) | 2026年上期に$373百万(£277百万)の追加の資金付与。契約から9か月未満で予備設計審査を完了 |
| 米海洋大気庁(NOAA)Space Weather Next L1 Series の宇宙機バス | $230百万(£171〜174百万) | 契約額 | 開発中。「upcoming mission」と記載 |
| 米宇宙軍 FORGE C2(ミサイル警戒衛星の地上システム) | $151百万(£114百万) | 契約額 | 地上システムの開発 |
| RH45技術の実証・認定(国防生産法 Title III の資金) | $16百万 | 資金の付与(2026年9月16日の発表) | 実証と認定はこれから |
| 米宇宙軍 宇宙システム軍団(SSC)の超小型RF端末 | 金額の記載なし | 契約(2026年10月15日の発表) | 設計と実証。金額は確認できず |
主要な製品・ミッションの状況(会社公称。確認日 2026年10月17日)
| 製品・ミッション | 種別 | 主要な諸元(会社公称) | 実績・状況 | 段階/日付 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| RAD750 単板コンピュータ | 耐放射線コンピュータ | 100を超える衛星に搭載と会社が説明。GPS IIIの航法ペイロード、NASAの火星探査機の世代にも関与と説明 | NASAのSPHEREx(2025年3月11日打上げ)にも搭載と決算発表が記載 | 運用中 | 出典1・6・11 |
| RAD5545 SpaceVPX 多コアSBC | 耐放射線コンピュータ | 複数の旧世代カードを1枚で置き換えられると会社が説明 | 諸元の数値は確認できなかった | 製品 | 出典6 |
| Endura SoC(RAD510ベース)とSBC | 耐放射線プロセッサ | RH45(45nm)技術。商用のGlobalFoundriesのSOI基板で製造。高信頼のClass Aと、保証の軽いClass C/Dの両方に対応と説明 | 2026年6月25日に、自然と戦略的な放射線環境での動作を実証したと発表。ソフトウェア開発用ユニットの受注を開始 | 試験・実証段階 | 出典6・8 |
| RH45 ASIC Storefront | 耐放射線のカスタムチップの基盤 | 顧客が部品ライブラリを使って自社のICを設計。GlobalFoundriesのニューヨーク州マルタの工場で製造 | $16百万の資金で実証・認定(2026年9月16日) | 認定はこれから | 出典7 |
| 耐放射線の標準部品 | メモリ・FPGAなど | SRAM、カルコゲナイド系の不揮発メモリC-RAM(QML認定)、アンチヒューズ型PROM、FPGA | マナサスの拠点がQML Class V・Qの認定。国防総省の信頼できる供給元(Category 1A) | 供給中 | 出典6 |
| 宇宙機(Elevation/Ascent) | 宇宙機の製品群 | Elevationは共通の部品と定義された構成。Trek版のバスをEpoch 2に採用。Ascentが2026年上期にElevationを補強 | Epoch 2は予備設計審査を完了。NOAAのバス、NASAのSPHEREx(宇宙機バス・望遠鏡) | 開発・運用 | 出典1・2・3・11 |
| NASAの宇宙望遠鏡 | 科学衛星 | JWSTの光学技術と軽量の鏡システム(2021年)は旧Ball Aerospaceが製作と沿革に記載。Roman宇宙望遠鏡は2026年8月30日の打上げ日をNASAが表示 | Romanは試運転の案内あり。BAE側の役割の詳細は、取得できた文書で確認できなかった | 運用/試運転 | 出典5・12 |
公式サイトは、宇宙の放射線で電子部品と材料の経年劣化が早まると説明し、そのうえで、カルコゲナイド系の不揮発メモリ(C-RAM)や、酸化膜・窒化膜・酸化膜の積層を使ったアンチヒューズ型PROM、耐放射線のSRAMなどを標準部品として挙げています 事実(会社の説明)。材料の組み合わせそのものが、放射線への強さを決める道具になっています。
一方、新しい世代の耐放射線チップ(RH45・Endura)は、商用の45nmのSOI(シリコン・オン・インシュレータ)基板を米国のGlobalFoundriesの工場で作る方式です。なぜSOIが放射線に有利かは会社の発表に説明がないため、本稿は書きません。「商用の基板で作ることで、小さく、低消費電力で、費用を抑えた部品にできる」と会社は説明しています(会社の主張)。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 1956年〜2021年 | 旧Ball Aerospace(1956年設立)が、NASAの最初の宇宙機OSO-1(1962年)、ボイジャー1号のカメラ(1977年)、ディープ・インパクト(2005年)、ケプラー(2009年)、ニュー・ホライズンズのカメラ(2015年)、NOAA-20(2017年)、JWSTの光学技術と軽量の鏡(2021年)などを製作(会社の沿革) | 現在のSpace & Mission Systemsの歴史 |
| Apollo 11の時代から | 耐放射線の電子部品を、Apollo 11から火星探査機の4世代(InSight、Perseveranceを含む)まで供給と会社が説明 | 電子部品側の歴史(会社の説明) |
| 2024年 | Ball Aerospaceを買収($5.5十億=£4.4十億)し、Space & Mission Systemsを新しい事業部門にした | 宇宙機・センサーを自社に取り込んだ |
| 2025年3月11日 | NASAのSPHEREx打上げ。BAE製の宇宙機バス、望遠鏡、RAD750を搭載と決算発表が記載。最初の画像(first light)も公表 | 科学衛星への納入の例 |
| 2025年5月 | 米宇宙軍のRMWT MEO Epoch 2の元請契約を獲得($1.2十億)。Elevationの新製品のTrek版バスを採用 | 政府の宇宙調達の大型契約 |
| 2026年6月25日 | Endura SoCが、自然と戦略的な放射線環境で動作することを実証したと発表 | 耐放射線プロセッサの新世代 |
| 2026年7月30日 | 半期報告書。Epoch 2の予備設計審査を契約から9か月未満で完了、Vantorの撮像衛星を製造する契約に署名 | 宇宙機の事業の進捗 |
| 2026年8月30日 | NASAのRoman宇宙望遠鏡の打上げ日(NASAの表示)。半期報告書は、この打上げを支援する準備と記載 | 打上げ後は試運転の段階 |
| 2026年9月16日 | RH45技術の実証・認定に$16百万の米政府資金 | 国内の半導体の供給網を強調 |
| 2026年10月15日 | 米宇宙軍SSCから、宇宙のデータ層向け超小型RF端末の設計・実証の契約 | 最新の契約 |
7. 今後の計画
上の4項目はいずれも会社の計画・開発中の事項で、達成された事実ではありません 未確定/将来。会社は決算発表で、将来の事項が実際と異なる可能性があると注意しています。
次は、本稿が確認した範囲の一次資料に記載がありません 未確定/将来。
宇宙事業単独の売上・人員・研究開発費/Epoch 2の衛星の打上げ時期と支払済み額/RH45・Enduraの認定の完了時期/RAD5545の諸元/Roman宇宙望遠鏡でのBAE側の役割/Vantorとの契約の金額。軍事利用の技術の詳細は本稿の対象外です。
8. この会社は宇宙産業で何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 宇宙を成長分野と位置づけ、「軍事の宇宙事業」の需要が急速に伸びていると見ている | 半期報告書:「宇宙能力への需要は急速に増え、我々はこの分野のリーダーの1社」「軍事の宇宙事業で勢いを増している」 | 事実(会社の説明) |
| 宇宙の成長の中心は、米国政府の調達 | Epoch 2($1.2十億)、FORGE C2($151百万)、SSCの端末、NOAA($230百万)、RH45の$16百万はいずれも米国政府の発注・資金 | 推測 |
| 耐放射線チップを国内(米国)で作れることを売りにしている | RH45の発表(国内の供給網の強化、GlobalFoundriesの米国工場)、マナサスの拠点の「信頼できる供給元」の認定 | 事実(会社の説明) |
| 安価な商用の半導体基板で、高信頼品から低保証の用途まで価格帯を広げる | Enduraは、商用の45nm SOIを使い、Class A(高信頼)とClass C/D(保証が軽い)の両方に価格を分けて提供すると説明 | 推測 |
| 宇宙事業の規模は、今後も外から確かめにくい | 宇宙は電子システム部門の一部で、単独の売上・人員の開示がない | 推測 |
2026年6月のEnduraの発表は、Endura SoCが商用ファウンドリの技術(GlobalFoundriesの45nm SOI)で作られ、「より小さく、低消費電力で、費用対効果の高い」解決策になると述べています 事実。さらに、会社はClass A(高信頼)のミッション向けの製品を引き続き提供しつつ、Class C/D(保証水準が低い)のミッション向けに、それに見合う価格の製品も提供すると書いています。
同じ半導体技術から、保証の高いものと軽いものを作り分けて、低軌道の大量生産の衛星など費用に敏感な顧客にも対応しようとしている、と読むのが自然だと本稿は考えます 未確定/将来。具体的な価格や、ニュースペースの顧客名は書かれていません。
9. 宇宙産業分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
宇宙向けの製品は、電子部品(Space Systems)と宇宙機・センサー・地上システム(Space & Mission Systems)の2つに分けると分かりやすくなります(公式サイトの整理)。
| 分類 | 製品・サービスの例 | 会社の説明 | 区分 |
|---|---|---|---|
| 電子部品:コンピュータ | RAD750、RAD5545、Endura(RAD510 SoC) | 単板コンピュータ(SBC)。RAD750は100を超える衛星に搭載と説明 | 事実 |
| 電子部品:専用チップ | RH45・RH12のASIC Storefront | 耐放射線のカスタムICを、部品ライブラリを使って設計できる基盤 | 事実 |
| 電子部品:標準部品 | SRAM、C-RAM、PROM、FPGA、ASSP | 宇宙とミサイル防衛向けの高信頼部品。QML認定 | 事実 |
| 宇宙機 | Elevation、Ascent、旧Ball製の科学衛星・気象衛星 | 共通部品の宇宙機。NASA・NOAA・宇宙軍向け | 事実 |
| センサー・光学 | 望遠鏡、赤外線・ハイパースペクトルの搭載機器 | JWSTの光学技術と軽量の鏡、SPHERExの望遠鏡 | 事実 |
| 地上システム | FORGE C2、Resilient Ground Systems | ミッションの運用と管理のためのソフトウェアと地上設備 | 事実 |
宇宙機は、打ち上げ費用を下げるために軽く、一方で宇宙の温度差と放射線に耐える必要があります。公式サイトは、BAE Systemsの電子部品が−55〜125℃・15年を超えるミッションを想定していると説明しています 事実。JWSTの軽量の鏡システムは旧Ball Aerospaceが作ったと沿革にあります(鏡の素材そのものは、取得できた資料に記載がありません)。
宇宙機の材料や構造の基礎は、本シリーズの技術解説「軽量構造材料」「宇宙機の熱制御」「放射線と電子部品」にあります。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 宇宙事業の規模が外から見えない | 宇宙単独の売上・人員・研究開発費は開示されておらず、収益性を外部から確かめる手段がない | 事実 |
| 米国政府への依存 | 宇宙の主要な契約・資金は米国政府の発注。契約額と、実際に資金が付く額(追加の資金付与)は別で、Epoch 2では2026年上期に$373百万が付与された | 事実 |
| 認定・実証の完了待ち | EnduraとRH45は実証・認定の途上で、$16百万の資金は実証と認定のためのもの。完了時期は未発表 | 事実 |
| 半導体の製造を外部に頼る | RH45・Enduraは、GlobalFoundriesのニューヨーク州の工場で製造 | 事実 |
| 買収の統合 | Ball Aerospaceの買収後の統合費用が、2025年上期の費用に含まれていた | 事実 |
| 打上げ・顧客日程への依存 | Romanのような科学衛星の打上げ日は顧客(NASA)が決め、変更がありうる | 事実 |
| 費用の増大・納期 | 高信頼品は認定に時間がかかる。廉価帯への展開で、品質の線引きを利用者が理解する必要がある | 推測 |
12. 用語集
- 耐放射線(rad-hard)
- 宇宙の放射線で誤作動や劣化を起こしにくいように、材料・設計・製造を工夫した電子部品。
- RAD750
- BAE Systemsの耐放射線コンピュータ。会社は100を超える衛星に搭載と説明。
- SBC(単板コンピュータ)
- 1枚の基板にコンピュータの機能をまとめたもの。
- SoC/ASIC
- SoCは1つのチップに多くの機能を入れたもの。ASICは特定の用途のために設計した専用チップ。
- QML Class V・Q
- 米国防兵站局(DLA)が管理する、高信頼な部品の認定制度。Vが最高水準。
- Category 1A Trusted Source
- 米国防総省が認める「信頼できる半導体の供給元」の区分。設計・組立・試験などを対象にする。
- SOI
- シリコン・オン・インシュレータ。絶縁層の上にシリコンを載せた基板。
- Epoch 2
- 米宇宙軍の衛星計画の「第2期」。詳細は防衛の分野のため、本稿では契約額と進捗のみ扱う。
- Defense Production Act Title III
- 米国の法律にもとづき、重要な技術・産業基盤を強めるために政府が資金を出す枠組み。
- sales(会社の指標)
- 持分法適用会社の売上の持分を含む、会社の売上の指標。IFRSの収益とは異なる。
13. 出典
- BAE Systems FY2025 Preliminary Results Announcement(2026年2月公表、PDF)。全社と各セクターの売上・受注、Electronic Systemsの記載、Ball Aerospace買収。 https://investors.baesystems.com/dam/jcr:430d3195-c990-4bd5-ac85-ec5588380dbf/FY-2025-Preliminary-Results-Announcements-FINAL.2026-02-18-09-10-25.pdf
- BAE Systems Half-yearly Report 2026(2026年7月30日公表、PDF)。2026年上期の業績、宇宙関連のできごと。 https://investors.baesystems.com/dam/jcr:f84dc82f-4530-419c-b993-74ebb562bf97/HY-2026-Half-Yearly-Report-Final.pdf
- BAE Systems Annual Report 2025(概要ページ)。事業の概要、セクター別の売上・従業員、2025年5月の宇宙軍との1.2bn米ドルの契約。 https://annualreport.baesystems.com/2025
- BAE Systems 公式サイト「Space & Mission Systems」(米国)。宇宙事業の領域と製品の分類。確認日 2026年10月17日。 https://www.baesystems.com/en-us/who-we-are/space-and-mission-systems
- BAE Systems 公式サイト「History of Space & Mission Systems」。Ball Aerospaceの歴史と2024年の買収、過去のミッション。 https://www.baesystems.com/en-us/who-we-are/space-and-mission-systems/history-of-space-and-mission-systems
- BAE Systems 公式サイト「Radiation-hardened electronics」。耐放射線電子部品(RAD750、RAD5545、Endura、ASIC、メモリ)、QML認定、マナサスの拠点。 https://www.baesystems.com/en-us/product/radiation-hardened-electronics
- BAE Systems ニュースリリース「BAE Systems receives $16 million to qualify RH45 technology for radiation-hardened space missions」(2026年9月16日)。 https://www.baesystems.com/en-us/article/bae-systems-receives-16-million-to-qualify-rh45-technology-for-radiation-hardened-space-missions
- BAE Systems ニュースリリース「BAE Systems' Endura processor demonstrates strategic radiation-hardened capability for space missions」(2026年6月25日)。 https://www.baesystems.com/en-us/article/bae-systems-endura-processor-demonstrates-strategic-radiation-hardened-capability-for-space-missions
- BAE Systems ニュースリリース「BAE Systems awarded U.S. Space Force contract for space resilient satellite communications terminals」(2026年10月15日)。 https://www.baesystems.com/en-us/article/bae-systems-awarded-u-s-space-force-contract-for-space-resilient-satellite-communications-terminals
- BAE Systems 製品ページ「Missile Warning & Missile Tracking」。RMWT MEO Epoch 2、FORGE C2、OPIR関連の記載。 https://www.baesystems.com/en-us/product/missile-warning-and-missile-track
- NASA(JPL) ミッションページ「SPHEREx」。2025年3月11日の打上げ、宇宙機を供給した企業。 https://www.jpl.nasa.gov/missions/spherex/
- NASA ミッションページ「Nancy Grace Roman Space Telescope」。打上げ日の表示と試運転の案内。確認日 2026年10月17日。 https://science.nasa.gov/mission/roman-space-telescope/
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年10月17日/Troy Technical
本稿の数値は、BAE Systemsの決算発表・年次報告書、公式サイトとニュースリリース、NASAの公表に基づきます。調査会社の市場推計、報道ベースの数値、株価・企業評価額は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。防衛全般と軍事利用の技術の詳細は扱っていません。計画・日程は変わることがあります。
