TECHNOLOGY EXPLAINER
CoPoSとは何か
― 円形ウェハから角形パネルへ。公式に言えること、まだ言えないこと
CoPoSは、TSMCが取り組みを認めている、パネル(角形の大型基板)を使う先端パッケージの構想です。 ただし、公式資料で確認できるのは「CoPoSに取り組んでいる」「パイロットラインを建設中」「量産は数年後」という範囲にとどまります。 この記事は、確認できたことと確認できなかったことを分けたうえで、円形から角形に変わると材料とプロセスのどこが難しくなるのかを、学会発表から読み解きます。
- CoPoSとは何か(3行でつかむ)
- 名前の読み方と、CoWoSとの関係
- なぜ円形から角形か ― 本稿の計算
- TSMCが語っていること、語っていないこと
- 素材技術者の視点①:パネル化で、材料のどこが変わるか
- パネルで増える課題 ― 露光・平坦化・反り
- 素材技術者の視点②:反りを「材料で」下げるという選択
- 課題 ― CoPoSを読むときの注意
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=TSMCなどの公表資料・学会発表に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・発言であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料面の読み取りは「解説」として区別しています。公式資料で確認できなかった点は、推測で埋めずに「確認できなかった」と書きます。
1. CoPoSとは何か(3行でつかむ)
名前から読めるのは、「パネル(Panel)の上でチップ(Chip)を扱い、基板(Substrate)に載せる」という並びです。 CoWoS(Chip on Wafer on Substrate)の「ウェハ」が「パネル」に替わった名前だと読めます(本記事による解説)。
- 公式に確認できること:TSMCのC.C. Wei会長兼CEOは、2026年4月16日の決算説明会で、CoPoSに取り組んでいること、パイロットライン(pilot line)を今まさに建設していること、量産は数年後を見込むこと、現時点の主力は大型のCoWoSであることを述べました事実
- 計画の扱い:量産時期は「数年後」と述べられただけで、年は示されていません未確定/将来
- 確認できなかったこと:名称の展開形、パネルの寸法、基板コアやインターポーザ層の材料、パイロットラインの場所と稼働日、顧客。これらはTSMCの公式資料では見つかりませんでした
| 項目 | 本稿の確認結果 | 根拠 |
|---|---|---|
| CoPoSに取り組んでいること | 確認できた | TSMC 2026年4月16日の決算説明会[参考資料1] |
| パイロットライン | 「建設している」という発言のみ。場所・稼働日は確認できなかった | 同上[参考資料1] |
| 量産時期 | 「数年後」という発言のみ。年は確認できなかった未確定/将来 | 同上[参考資料1] |
| CoWoSとの関係 | 両者を並べて語り、現時点の主力は大型CoWoSとしている。置き換えるのか補うのかは確認できなかった | 同上[参考資料1] |
| 名称の展開形 | TSMCの公式資料では確認できなかった。Chip-on-Panel-on-Substrateは名前の読み方として本稿が使う | 解説 |
| パネルの寸法 | 確認できなかった | ― |
| インターポーザ層・基板コアの材料 | 確認できなかった(ガラスか有機かも不明) | ― |
| 顧客 | 確認できなかった。本稿は報道だけで伝えられる顧客名を使わない | ― |
CoPoSについては、パネルの寸法、拠点、量産の年、顧客を具体的に伝える報道が多く出回っています。 しかし本稿が調べた範囲では、TSMC自身の公開資料(決算説明会の発言録、公式サイト、プレスリリース)にそれらの数字は見当たりませんでした。 この記事は、公式資料で裏が取れない数字を使いません。数字を見かけたら、まず出所が公式資料かを確認してください。
2. 名前の読み方と、CoWoSとの関係
「CoWoS」編で見たとおり、CoWoSはチップをウェハ(インターポーザ)の上に載せ、切り出して基板に載せる順序を名前にしたものです。 CoPoSは、この「ウェハ」を「パネル」に替えた並びです(本記事による解説)。 展開形の「Chip-on-Panel-on-Substrate」は、本稿が調べたTSMCの公式資料には記載が見つかりませんでした。広く使われている読み方として、名前の説明にだけ使います。
CoWoSの3方式から見える、パネルとの相性
TSMCの技術ページは、CoWoSの3方式を次のように説明しています事実。
- CoWoS-S:シリコンインターポーザ。最大3.3レチクル(約2,700 mm²)まで
- CoWoS-R:RDLインターポーザ。ポリマーと銅の配線で構成され、比較的柔軟でC4接合の健全性を高める。最小4 µmピッチ(L/S 2/2 µm)で、2023年から量産
- CoWoS-L:RDLベースのインターポーザに、局所シリコン相互接続(LSI)などを組み合わせる方式。モールドをベースにしたインターポーザと説明され、3.5レチクル級が2024年から量産
ここから読めること(本記事による解説)は次のとおりです。シリコンの板は円形ウェハの形でしか作れませんが、ポリマーと銅の配線層やモールド樹脂は、角形の面でも扱える材料系です。 CoWoS-RとCoWoS-Lで有機・樹脂系のインターポーザがすでに量産されていることは、パネルに移る際の材料面の前提になりえます。 ただし、CoPoSがどの方式を土台にするのかは、確認できませんでした。
CoWoSとの関係:TSMCは「並べて」語っている
2026年4月16日の決算説明会で、あるアナリストは、大型化の手段として「CoPoSなのか、CoWoS-L(2.5D)なのか、3Dなのか」と質問しました。 IR担当者はこれを「大きなレチクルサイズの話で、CoWoS-Lか、パネルレベルか」と言い換えて取り次ぎ、Wei会長は次の趣旨で答えました事実。
- 現時点で、非常に大きなレチクルサイズのCoWoSを供給している
- それに加えてCoPoSにも取り組んでいる。両方を合わせて、妥当なコストで十分な容量を顧客に提供したい
- そのためにパイロットラインを今建設しており、量産は数年後を見込む未確定/将来
- ただし、現時点の主力は大型のCoWoSである
CoPoSと「パネル」を結びつけているのは、決算説明会でIR担当者が使った言い換え(panel level)だけです。TSMCがCoPoSの構造や寸法を自分で説明した箇所は、確認できませんでした。
CoPoSがCoWoSを置き換えるのか、補うのかについて、TSMCは明言していません。 一方、同じ2026年4月のシンポジウム発表では、CoWoS自体も5.5レチクル級を生産中で、14レチクル級を2028年に予定すると公表されています事実(計画は未確定/将来)。 少なくとも現時点では、CoWoSの大型化とCoPoSの準備が並行して進んでいると読めます(本記事による解説)。
ウェハ型のCoWoSとパネル型のCoPoSのどちらが優れているか、本稿は断定しません。 違いは、土台の形(円か角か)、インターポーザ層の材料と作り方、露光や平坦化の方式、反りの出方といった構造・材料・プロセスの差として整理します。 CoPoSについては、そのうち公式に確認できる部分が少ないため、第3章以降は「パネルに移ると何が問われるか」を関連研究から読み解きます。
3. なぜ円形から角形か ― 本稿の計算
円形のウェハから四角い部品を切り出すと、外周に捨て地ができます。「PLP」編では、50 mm角のパッケージなら、510×515 mmのパネルはφ300 mmウェハの約4.8倍の個数が取れることを計算しました。 ここでは視点を変えて、CoWoSのインターポーザが大きくなる計画に沿って同じ計算をやり直します。TSMCは、CoWoSを5.5レチクル級(生産中)、9.5レチクル級(2025年4月の発表では2027年量産予定)、14レチクル級(2028年予定)へと大きくする計画を公表しています[参考資料4・11]事実(計画は未確定/将来)。
- 面積:1レチクル=約830 mm²、3.3レチクル=約2,700 mm²(TSMC公表)事実。ほかは830 mm²×レチクル数
- 形:インターポーザは同じ面積の正方形として扱う(実際は長方形のことが多い)
- ウェハ:φ300 mm。正方形を格子状に並べ、4隅すべてが円内に入る区画だけを数え、配置の原点を1 mm刻みで探して最大の個数を採用
- パネル:端から隙間なく詰めた個数。エッジ除外・切りしろ・部品間の隙間は考慮しない
- パネル寸法:320×320 mmと510×515 mm。いずれもECTC 2026で、パネル上の有機インターポーザの研究に使われた寸法です事実。CoPoSのパネル寸法ではありません
| CoWoSの世代(計画を含む) | 面積 | 正方形の一辺 | φ300 mmウェハ | 320×320 mm | 510×515 mm |
|---|---|---|---|---|---|
| 3.3レチクル | 約2,700 mm² | 約52 mm | 17個(65%) | 36個(95%) | 81個(83%) |
| 5.5レチクル | 約4,565 mm² | 約68 mm | 9個(58%) | 16個(71%) | 49個(85%) |
| 9.5レチクル | 約7,885 mm² | 約89 mm | 5個(56%) | 9個(69%) | 25個(75%) |
| 14レチクル | 約11,620 mm² | 約108 mm | 2個(33%) | 4個(45%) | 16個(71%) |
すべて本稿の計算。()内は土台の面積に対する、取れた部品の面積の合計の割合。3.3レチクルの面積はTSMC公表値[参考資料3]、14レチクルの計画は[参考資料4]。
表から読めるのは、ウェハは部品が大きくなるほど急に不利になることです。3.3レチクルで65%だった面積利用率が、14レチクルでは33%まで下がります(本稿の計算)。 取れる個数も17個から2個へ減り、14レチクルでは円の外周より内側に2個しか入りません。 これが、AI向けパッケージの大型化がパネルへの動機を強める理由です(本記事による解説)。
ただし、パネルなら常に有利というわけでもありません。320×320 mmのパネルは、3.3レチクル(約52 mm角)なら6×6の36個できれいに収まり95%に達しますが、14レチクル(約108 mm角)では2×2の4個で、残りは約104 mm幅の余白になります(45%)。 土台の寸法と製品の寸法の割り算の丸めで、利用率は大きく変わります。
この感覚は、材料や装置を供給する側にも直結します。パネルの寸法が定まらないと、装置も材料の供給形態も1つに絞れません。 実際、ECTC 2026でレゾナックは、パネル上の有機インターポーザの研究について「320×320 mmや510×515 mmのパネル」と2つの寸法を並べています[参考資料5]事実。 「PLP」編で扱ったSEMI 3D20がパネルの寸法・厚さ・反り・質量の規定を目指したのは、この事情によります[参考資料8]。 CoPoSが採るパネル寸法が確認できない以上、周辺産業が複数の寸法を並行して見ている状況は、そのまま不確実性の表れだと読めます(本記事による解説)。
なお、取り数が増えることは、1枚の失敗で失う個数が増えることでもあります。14レチクルを510×515 mmのパネルに16個載せる場合、パネル1枚の不良は16個分の損失です(本稿の計算)。 歩留まりの重みは、「PLP」編で扱ったとおりパネル化の共通の課題です。
4. TSMCが語っていること、語っていないこと
CoPoSについて、本稿が確認できたTSMC自身の一次情報は、決算説明会の発言録の一部です。 技術ページ(CoWoSのページ)、2025年4月と2026年4月のシンポジウム関連のプレスリリース[参考資料4・11]、2025年7月・10月と2026年1月・7月の決算説明会の発言録には、CoPoSという語を見つけられませんでした。
| 日付 | 場 | 内容(趣旨) | 区分 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月16日 | 決算説明会(第1四半期)[参考資料1] | 大型化の手段を問う質問に、Wei会長は「非常に大きなレチクルのCoWoSを供給している。CoPoSにも取り組んでいる。パイロットラインを今建設しており、量産は数年後」と回答。現時点の主力は大型CoWoS | 事実(発言) 未確定/将来(量産時期) |
| 2026年4月16日 | 同上[参考資料1] | SoICやパネルレベルで反りなどの課題を解けるかという質問に、Wei会長は、先端パッケージの課題は機械的ストレス(反り)や熱の制約であり、ダイサイズを大きくしながらそれらを解いてきた経験がある、と回答。パネルに個別の言及はない | 事実(発言) |
| 2026年4月 | シンポジウム関連のプレスリリース[参考資料4] | 5.5レチクル級のCoWoSを生産中、14レチクル級は2028年に生産予定。パネルやCoPoSへの言及はない | 事実 未確定/将来(2028年) |
| 2026年7月16日 | 決算説明会(第2四半期)[参考資料2] | ガラス基板・ガラスコアなどの進捗を問う質問に、Wei会長は「現状の大半はCoWoS。コストを下げる代替策を開発しており、基板メーカーとも協力している。以前発表したラインが成熟するまで約1年」と回答(発言録上の語はpipeline)。CoPoSという語は使われていない | 事実(発言) 未確定/将来(約1年) |
発言録はLSEGが編集したものをTSMCが公開しています。内容は趣旨の要約で、逐語の引用ではありません。
2026年7月の発言をどう読むか
第2四半期の質問は、ガラス基板・ガラスコア・ガラスキャリアの進捗についてで、CoPoSという語は質問にも回答にも出てきません。 回答の「代替策」「以前発表したライン」が、4月に述べたパイロットラインを指す可能性はありますが、発言録だけでは断定できません。 また、発言録の語は「pipeline」で、「pilot line」の聞き取りの違いかどうかも確認できませんでした。 本稿はこの発言を、「TSMCが基板まわりの代替策を開発中で、成熟まで約1年と述べた」という範囲でのみ扱い、CoPoSの時期とは結びつけません。
確認できなかったこと(まとめ)
- 名称の展開形(Chip-on-Panel-on-Substrateが公式の表記か)
- パネルの寸法、パネルの材料(ガラスか有機か)、インターポーザ層の構造と配線方式
- パイロットラインの場所と稼働日、量産の年、量産の工場
- 顧客
- CoWoSとの置き換え・併存の方針(「主力は当面CoWoS」という以上の説明)
- CoPoSに関するTSMC自身の学会発表(本稿が調べたECTC 2026の発表紹介資料の範囲では、TSMCのCoPoSの発表は見当たらず、TSMCの発表はCoWoSの信頼性に関するものでした)
業界メディアには、シンポジウム後の質疑でTSMC幹部が述べたとされる発言の報道もあります。 しかし、公式のスライドや発言録で確認できなかったため、本稿では採用しません。
5. 素材技術者の視点①:パネル化で、材料のどこが変わるか
CoPoSの材料構成は公表されていません。そこで、「チップ+パネル上のインターポーザ層+パッケージ基板」という一般的な構成にあてはめたとき、材料とプロセスの論点がどこに現れるかを、一次情報のある範囲で整理します。
| 部位 | ウェハ型(CoWoS)でTSMCが説明していること | パネルに移ると問われること(解説) | 一次情報での確認状況 |
|---|---|---|---|
| ① 封止材 | L:モールドをベースにしたインターポーザ[参考資料3]。TSMCの発表予定:CoWoSで封止材とシリコンの界面剥離(ダイ角部)が課題[参考資料5] | 樹脂の面積が増え、硬化収縮・CTE・弾性率が反りと位置ずれに直結する | FOPLP向け低反り封止材の発表[参考資料7]。CoPoSでの採用は確認できず |
| ② ③ インターポーザ層(配線) | S:シリコン。R:ポリマーと銅の配線、最小4 µmピッチ。L:RDLベース+LSI[参考資料3] | 配線層の露光・めっき・平坦化を、角形の大面積で均一に行う。シリコンの剛性に頼らず平坦性を保つ | パネル上の有機インターポーザの研究が、ECTC 2026で複数発表[参考資料5]。CoPoSでの方式は確認できず |
| 支持体(キャリア)・パネル自体 | ― | 製造中にパネルを保持する板の剛性・平坦性・重さ。大きいほど自重の影響が出る | ガラスキャリア(550×650 mm)での反り・ダイシフト解析[参考資料6]。CoPoSでは確認できず |
| ④ C4バンプとリフロー | RDLの柔軟さがC4接合の健全性を高める。RDL層とC4/アンダーフィルが、SoCと基板のCTE差の緩衝になる[参考資料3] | インターポーザ層が大面積になると、リフロー時の面内の膨張差の絶対量が増える(第6章の計算) | ウェハ型の説明のみ。パネル型は確認できず |
| ⑤ パッケージ基板(コア+ビルドアップ) | ―(TSMCは基板メーカーと協力と発言[参考資料2]) | 大型パッケージでは基板の反りも支配的。コア材が有機かガラスかで、剛性とCTEの設計が変わる(「パッケージ基板」「ガラス基板」編) | CoPoSの基板コアの材料は確認できなかった |
「ウェハ型」「一次情報」の列は事実(各資料の記載)。「パネルに移ると問われること」の列は本記事による解説です。
ウェハ型のCoWoS-Sでは、シリコンインターポーザそのものが硬く平坦で、配線の土台になります。 TSMCは、より大きなインターポーザには柔らかいRDLインターポーザ(CoWoS-R)を勧め、その柔軟さがC4接合の健全性を高めると説明しています事実。 つまり、大型化の過程で、TSMCはすでに「硬い土台で受け止める」から「柔らかい層で応力を逃がす」へという設計の移動を進めています(本記事による解説)。
パネルに移ると、平坦性と剛性を受け持つのは、シリコンではなくパネルそのもの(キャリアやコア)と、その上の樹脂層になります。 樹脂の面積が増えるので、材料の設計項目は、収縮率・CTE・ガラス転移温度・弾性率が反りに直接効く方向へ寄っていきます。 「ガラス基板」編で見たガラスコアや、セラミックを分散させたコアが話題になるのは、この文脈です。 ただし、CoPoSがガラスを使うのか有機を使うのかは、公式には確認できませんでした。
もう1つ、TSMCがECTC 2026で発表を予定しているCoWoSの信頼性研究に、封止材とシリコンの界面剥離(ダイ角部)と、インターポーザの剛性が緩和に効くという内容があります[参考資料5]事実。 インターポーザを柔らかくする方向と、剛性で緩和する方向は、設計上のトレードオフになりうる——これは論文の記述の裏返しとして本記事が読み取った論点で、論文自体の主張ではありません(本記事による解説)。
6. パネルで増える課題 ― 露光・平坦化・反り
ここからは、パネル上のインターポーザ層に関する学会発表を取り上げます。どれもCoPoSの発表ではなく、パネル上の有機インターポーザやFOPLP(ファンアウト型パネルレベルパッケージ)の研究です。 CoPoSの課題を直接示す資料ではなく、「パネルに移ると、どんな課題が現れるのか」を知るための参照として読んでください。なお、ECTC 2026の発表は、会期前(2026年5月20日付)のプログラム紹介資料の記述にもとづき、論文本文は参照していません。
(1) 露光:つなぐか、大きく一括で焼くか
ウェハ型のCoWoSでは、TSMCが独自のマスクスティッチング(露光領域のつなぎ合わせ)で、レチクルを超える面積のインターポーザを作ってきました(「CoWoS」編)。 パネルでも同じ問題があります。USHIO(ウシオ電機)は、ECTC 2026で、510×515 mmのガラス基板上で、18レチクル相当の領域を、つなぎ目なしで一括露光し、線幅/線間(L/S)1.5 µmのパターンを形成する手法を発表予定です事実。 同発表は、従来の基板用ステッパより4倍以上広い領域であり、有機基板やガラス基板の厚みの一般的なばらつきを許容できるプロセスマージン(22 µm)を確認したと説明しています[参考資料5]。
素材の側から見ると、ここで効いてくるのは基板の厚みのばらつきです。露光で焦点が合う範囲が限られる以上、パネルの平坦性と厚みの均一性は、材料メーカーが供給するパネル・フィルムの品質そのものになります(「PLP」編参照、本記事による解説)。
(2) 平坦化:銅・バリアメタル・ポリマーを一緒に平らにする
レゾナックは、ECTC 2026で、320×320 mmのガラスパネル上で、L/S 2/2 µmの有機ポリマー・ダマシン配線を、パネルレベルのCMP(化学機械研磨)で平坦化した結果を発表予定です事実。 発表の説明によると、背景は、インターポーザが9.5レチクル級に大型化するにつれ、円形300 mmウェハの有効面積が限界になること、そしてHBM4に必要な、より細い銅配線にはダマシン法が期待されることです。 銅のバルク除去とバリアメタルの研磨の2段階CMPで、銅・チタン・ポリマーの界面の共平坦性(co-planarity)を100 nm未満に収め、研磨後の段差は100 nm未満(L/S 2/2 µm)と報告されています[参考資料5]。
銅、バリアメタル、ポリマーは、硬さも研磨のされ方も大きく異なります。同じ面を平らにするとき、軟らかい材料が削られすぎる「ディッシング」や、密な配線領域が削られすぎる「エロージョン」が出ます。 発表は、研磨パッドの溝の設計とスラリーの流れの分布を最適化して、面内の配線の均一性を確保したと述べています[参考資料5]事実。 パネルでは、これを数百mmの面全体で揃える必要があります。研磨の消耗材(パッド・スラリー)と、研磨される側の樹脂・金属の材料設計が、一体で問われる領域です(本記事による解説)。
参考までに、TSMCはCoWoS-Rの最小ピッチを4 µm(L/S 2/2 µm)と説明しています[参考資料3]事実。レゾナックの2/2 µmと数値は同じですが、測定対象も目的も別の値であり、CoPoSの仕様ではありません。数字の一致から、CoPoSの配線密度を推し量ることはできません。
(3) 反り:CTE差・樹脂収縮・自重
パネルの反りは、1つの原因では説明できません。FOPLPの研究と本シリーズの整理から、ここでは次の3つを挙げます。
- 材料ごとの膨張差:CTEの異なる層が重なれば、温度が変わるたびに反ります(「熱膨張係数」編)
- 樹脂の硬化収縮:チップを埋める封止材が固まる際に縮み、パネルが反ります[参考資料7]
- 自重と支え方:シンガポールのA*STAR IMEは、550×650 mmのガラスキャリアを使うモールドファースト方式のFOPLPで、有限要素法とタグチ法により、工程ごとの反りの支配因子を調べています。パネルを台に置くと自重で反りは大きく減りますが、縁だけを支えると反りが増え、薄いパネルの取り扱いが課題になると報告しています[参考資料6]事実
3つ目は、「材料の問題」に見えない点が重要です。パネルが大きく薄くなるほど、どう持つか、どう置くかという搬送・保持の条件が、反りという品質に入り込みます。 素材メーカーにとっては、コア材やキャリアの厚み・剛性の選択が、装置側の搬送設計と一体で決まることを意味します(本記事による解説)。 FOPLPの総説(Lau, 2019)も、反りと、一時的キャリアの種類(ウェハかパネルか)を主要な論点として整理しています[参考資料10]。
膨張差による「ずれ」の絶対量は、距離に比例します。CTEの差が1 ppm/Kあるとき、温度が235 K変わった場合の、中心から端までの自由膨張の差を計算します本稿の計算。
| 中心から測る位置 | 距離 | CTE差 1 ppm/Kあたりのずれ |
|---|---|---|
| φ300 mmウェハの端 | 150 mm | 約35 µm |
| 320×320 mmパネルの辺の中央 | 160 mm | 約38 µm |
| 510×515 mmパネルの辺の中央 | 255 mm | 約60 µm |
| 510×515 mmパネルの角 | 約362 mm | 約85 µm |
前提と限界:温度変化235 Kは、リフローのピーク約260 ℃から常温25 ℃まで冷える場合(「熱膨張係数」編と同じ前提)。ずれ=距離×CTE差×温度変化で、完全に自由に伸び縮みすると仮定した上限的な値です。 実際には層どうしが拘束し合うので、ずれの多くは変位ではなく応力になります。また、配線層の形成温度や、層が固定される温度は工程ごとに異なり、この温度差がそのまま当てはまるわけではありません。 それでも、同じCTE差でも、パネルの角ではウェハの端の約2.4倍のずれを生もうとするという比例関係は変わりません(85 ÷ 35)。 配線のL/Sが数µm、バンプのピッチが数十µmの世界で、数十µmのずれは無視できない大きさです(本記事による解説)。
7. 素材技術者の視点②:反りを「材料で」下げるという選択
反りへの対策は、装置や搬送で解く方法と、材料で解く方法があります。後者の例として、リンテックがECTC 2018で報告した、FOPLP向けの封止材があります事実[参考資料7]。同発表は背景として、FOPLPがプリント基板(PCB)製造と同程度の大きさの基板パネルを使うため、PCBの製造ラインを部分的に再利用でき、パッケージ製造の初期投資を抑えられる可能性にも触れています。
| 項目 | 発表の記載 |
|---|---|
| 狙い | 封止層にシリカ粒子を高充填せずに、パネルの反りを大きく減らす |
| 材料の工夫 | 主成分のエポキシ樹脂の剛直な分子構造の一部を、より柔らかく柔軟な分子鎖に段階的に置き換えた |
| 効果 | ガラス転移温度付近で強い応力緩和が見られ、粘弾性のマスターカーブが示す特性により、パネルの反りを1/5に低減 |
| トレードオフの確認 | いずれもガラス転移温度は低いが、シリコン面へのダイシェア強度は250 ℃で50 N超(チップ5×5 mm²)、390 ℃での重量減は5%未満 |
| 信頼性試験 | MSLレベル2条件(85 ℃・60%RH・168時間)後のリフロー、JEDEC条件Bの温度サイクル(−55/+125 ℃・2,000サイクル)、ボードレベル試験を実施 |
すべて事実(Kikuchi, Nedzu, Sugino, ECTC 2018[参考資料7]。リンテック株式会社の研究者による発表)。FOPLP向けの材料であり、CoPoS向けではありません。
封止材の低反り化というと、シリカなどの無機フィラーを高充填してCTEを下げる方向が思い浮かびます。この発表が「高充填せずに」と書いているのは、別の道を示しているからです。 それは、樹脂の分子構造そのものに柔らかい鎖を入れ、ガラス転移温度付近で応力を緩和させる方向です(本記事による解説)。
この道には代償があります。発表は「低いガラス転移温度を持つ」と明記していて、そのうえで密着強度と耐熱性が保たれることを確認しています。 つまり、ガラス転移温度を下げることは、高温側での剛性や信頼性に影響しうる設計変更であり、それを実測で確認する必要がある、という構図です(本記事による解説)。 「PLP」編で見たimecの結果が、一時接着材の透明性や封止材の供給形態まで含めた「組み合わせ」の話だったのと同じく、パネルの材料開発は、単独の物性ではなく複数の物性のバランスで決まります。
なお、この結果は2018年のFOPLP向け材料のもので、現在のCoPoSや大型AIパッケージの要求に合うかどうかは、この資料からは分かりません。 CoPoSの封止材について、TSMCや材料メーカーが公表した情報は確認できませんでした。
8. 課題 ― CoPoSを読むときの注意
(1) 公式情報が少ない
本稿の調査時点(2026年10月)で、TSMCがCoPoSについて公に述べたことは、決算説明会での短い発言が中心です。 それ以外の寸法・時期・顧客・材料は、TSMCの公開資料では確認できません。CoPoSの記事や資料に数字が書かれていたら、出所がTSMCの公式資料か、それとも他社の発表や報道かを区別して読む必要があります。
(2) 大きさと細かさの両立
ASEは、パネルレベルのファンアウトで、300×300 mmのパネルを高密度向け(チップラスト)、600×600 mmのパネルを低密度向け(チップファースト)として使い分けています[参考資料9]事実。 「ファンアウト」編で見たとおり、大きなパネルほど反りと位置精度が難しくなり、細かい配線との両立が課題になります。 レゾナックの2/2 µm(320×320 mm)とUSHIOの1.5 µm(510×515 mm)は、研究・実証段階の値であり、量産ラインでの達成値でも、CoPoSの値でもありません。
(3) 歩留まりの重み
パネルに載る個数が増えるほど、1枚の不良が失う個数も増えます。14レチクルを510×515 mmのパネルに16個載せる場合、1枚の不良は16個分です(本稿の計算)。 載っているのは、すでに良品と確認されたチップです。大面積での歩留まりは、CoPoSでも最後まで残る課題だと読めます(本記事による解説)。
(4) 装置と規格
円形ウェハ用の装置は、そのままでは角形パネルに使えません。SEMI 3D20はパネルの寸法・厚さ・反り・質量を規定する規格で、複数のパネルサイズが検討されている状況を前提にしています[参考資料8]事実。 CoPoSの寸法が公表されていない間は、周辺の装置・材料メーカーは複数の寸法を並行して見る必要があります(本記事による解説)。
(5) 熱
Wei会長は、先端パッケージの課題として、機械的ストレス(反り)と並んで熱の制約を挙げています[参考資料1]事実。 パッケージが大きくなるほど、発熱をどう逃がすかが問われます。熱の話はパネル化に固有ではありませんが、材料の熱伝導とCTEのバランスは、どの土台でも設計の中心に残ります。
- 確認できた:TSMCはCoPoSに取り組み、パイロットラインを建設中で、量産は数年後を見込む。現時点の主力は大型CoWoS事実。量産時期は未確定/将来
- 確認できなかった:名称の展開形、パネル寸法、材料(ガラスか有機か)、拠点、量産の年、顧客
- 円形から角形へ:14レチクル級(約108 mm角)では、φ300 mmウェハは2個・面積利用率33%、510×515 mmのパネルは16個・71%本稿の計算。ただし320×320 mmでは4個・45%で、寸法の相性が効く
- 材料の論点:インターポーザ層の露光・平坦化、封止材の収縮と反り、基板コア、C4とリフロー。どれも関連研究はあるが、CoPoSでの採用は確認できない
- 反りは材料でも下げられる:封止材の分子構造に柔らかい鎖を入れる道がある(FOPLP向け、2018年)
- 数字は出所を確認:公式資料で裏が取れない寸法・時期・顧客は使わない
9. 用語集
- CoPoS
- TSMCが取り組みを認めている、パネルを使う先端パッケージ。名称の展開形は公式資料では未確認(Chip-on-Panel-on-Substrateと読まれる)。
- CoWoS
- Chip on Wafer on Substrate。TSMCの2.5D先端パッケージング技術。S/R/Lの3方式がある。
- パネル
- 円形ウェハの代わりに使う、角形の大型基板。ガラスや有機材料などがある。
- FOPLP
- Fan-Out Panel Level Packaging。ファンアウト型パッケージをパネル上で作る方式。
- パイロットライン
- 量産の前に、工程や装置を検証するための小規模な試作ライン。
- インターポーザ
- チップを載せて相互接続する中間の層。シリコン製とRDL製がある。
- RDL
- 再配線層。ポリマーと銅で作る、薄い配線層。
- LSI(局所シリコン相互接続)
- CoWoS-Lで必要な箇所にだけ埋め込む、シリコンの配線片。
- レチクル
- 露光装置が一度に転写できる領域。TSMCは1レチクル=約830 mm²としている。
- EMC
- エポキシ封止材。チップを埋めて保護し、構造体としても働く。
- CMP
- 化学機械研磨。薬液と研磨パッドで面を平らにする工程。
- ダマシン配線
- 絶縁層に溝を掘り、銅を埋めて余分を研磨で除く配線の作り方。
- ディッシングとエロージョン
- CMPで、軟らかい配線部が凹む現象と、配線が密な領域が削られすぎる現象。
- ダイシフト
- 樹脂の流動や収縮で、並べたチップの位置がずれる現象。
- CTE
- 熱膨張係数。材料間の差が反りと応力を生む。
- ガラス転移温度(Tg)
- 樹脂が硬い状態から柔らかい状態へ変わる温度。
- C4バンプ
- インターポーザとパッケージ基板をつなぐはんだバンプ。
- SEMI 3D20
- PLP用途のパネル外形寸法・厚さ・反り・質量を規定するSEMI規格。
10. 参考資料(一次情報)
- TSMC「2026年第1四半期 決算説明会 発言録」2026年4月16日(PDF) — investor.tsmc.com
- TSMC「2026年第2四半期 決算説明会 発言録」2026年7月16日(PDF) — investor.tsmc.com
- TSMC「CoWoS®」技術ページ — 3dfabric.tsmc.com
- TSMC「TSMC Debuts A13 Technology at 2026 North America Technology Symposium」2026年4月 — pr.tsmc.com
- IEEE ECTC「2026 ECTC Technical Tipsheet」2026年5月20日付(PDF。Resonac Paper 14.2、USHIO Paper 28.2、TSMC Paper 6.3 ほか) — ectc.net
- Che, Yamamoto, Rao(A*STAR IME)「Panel Warpage and Die Shift Simulation and Characterization of Fan-Out Panel-Level Packaging」2020 IEEE 70th ECTC(DOI 10.1109/ECTC32862.2020.00325) — ieeexplore.ieee.org
- Kikuchi, Nedzu, Sugino(リンテック)「Warpage Analysis with Newly Molding Material of Fan-Out Panel Level Packaging and the Board Level Reliability Test Results」2018 IEEE 68th ECTC(DOI 10.1109/ECTC.2018.00149) — ieeexplore.ieee.org
- SEMI「SEMI 3D20 — Specification for Panel Characteristics for Panel Level Packaging (PLP) Applications」 — store-us.semi.org
- ASE「Fan-Out Packaging」 — ase.aseglobal.com
- John H. Lau「Recent Advances and Trends in Fan-Out Wafer/Panel-Level Packaging」Journal of Electronic Packaging 141(4), 2019(DOI 10.1115/1.4043341) — doi.org
- TSMC「TSMC Unveils Next-Generation A14 Process at North America Technology Symposium」2025年4月23日 — pr.tsmc.com
11. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| 2026年4月16日の決算説明会で、アナリストの質問(CoPoSかCoWoS-Lか3Dか)をIR担当者が「CoWoS-Lか、パネルレベルか」と言い換え、Wei会長が「非常に大きなレチクルのCoWoSを供給している。CoPoSにも取り組んでいる。両方を合わせて妥当なコストで十分な容量を提供するため、パイロットラインを今建設しており、量産は数年後。現時点の主力は大型CoWoS」と回答したこと | TSMC 2026年第1四半期 決算説明会 発言録(2026/4/16)[参考資料 1]https://investor.tsmc.com/english/encrypt/files/encrypt_file/reports/2026-04/3cef85204275f94fd111485cfdf4adb3c0263c45/TSMC%201Q26%20Transcript.pdf | 事実 |
| 量産時期が「数年後(a couple of years later)」と述べられただけで、年は示されていないこと | TSMC 2026年第1四半期 決算説明会 発言録。発言は計画であり、実績ではない[参考資料 1]https://investor.tsmc.com/english/encrypt/files/encrypt_file/reports/2026-04/3cef85204275f94fd111485cfdf4adb3c0263c45/TSMC%201Q26%20Transcript.pdf | 未確定/将来 |
| SoICやパネルレベルで反りなどを解けるかという質問に、Wei会長が、機械的ストレス・反り・熱の制約が先端パッケージの課題であり、ダイサイズを大きくしながら取り組んできたと回答したこと。パネルへの個別の言及がないこと | TSMC 2026年第1四半期 決算説明会 発言録[参考資料 1]https://investor.tsmc.com/english/encrypt/files/encrypt_file/reports/2026-04/3cef85204275f94fd111485cfdf4adb3c0263c45/TSMC%201Q26%20Transcript.pdf | 事実 |
| 2026年7月16日の決算説明会で、ガラス基板・ガラスコアの進捗の質問に、Wei会長が「現状の大半はCoWoS。コストを下げる代替策を開発し、基板メーカーとも協力。以前発表したライン(発言録の語はpipeline)が成熟するまで約1年」と回答したこと。CoPoSという語が使われていないこと | TSMC 2026年第2四半期 決算説明会 発言録(2026/7/16)[参考資料 2]https://investor.tsmc.com/english/encrypt/files/encrypt_file/reports/2026-08/3e494f0c14dd0890f897aa044415e21d93486cc4/TSMC%202Q26%20Transcript.pdf | 事実 |
| 「約1年」という成熟の見通し | TSMC 2026年第2四半期 決算説明会 発言録。計画であり、実績ではない[参考資料 2]https://investor.tsmc.com/english/encrypt/files/encrypt_file/reports/2026-08/3e494f0c14dd0890f897aa044415e21d93486cc4/TSMC%202Q26%20Transcript.pdf | 未確定/将来 |
| CoWoS-Sは最大3.3レチクル(約2,700 mm²)。CoWoS-Rは、ポリマーと銅のRDLインターポーザで比較的柔軟、C4接合の健全性を高める。最小4 µmピッチ(L/S 2/2 µm)、2023年から量産。RDL層とC4/アンダーフィルがSoCと基板のCTE差の緩衝になる。CoWoS-Lは、RDLベースのインターポーザにLSIなどを組み合わせ、モールドベースのインターポーザを持つ。3.5レチクル級が2024年から量産。CoWoSは2012年から量産 | TSMC CoWoS技術ページ[参考資料 3]https://3dfabric.tsmc.com/english/dedicatedFoundry/technology/cowos.htm | 事実 |
| 1レチクル=約830 mm² | TSMC CoWoS技術ページ(本稿は他の世代の面積を830 mm²×レチクル数として算出)[参考資料 3]https://3dfabric.tsmc.com/english/dedicatedFoundry/technology/cowos.htm | 事実 |
| 2026年4月のシンポジウム関連発表で、5.5レチクル級CoWoSを生産中、14レチクル級(演算ダイ約10個とHBM20個)を2028年に予定。パネル・CoPoSへの言及がないこと | TSMC プレスリリース(2026年4月)[参考資料 4]https://pr.tsmc.com/english/news/3302 | 事実 |
| 14レチクル級の2028年生産予定 | TSMC プレスリリース。計画であり、実績ではない[参考資料 4]https://pr.tsmc.com/english/news/3302 | 未確定/将来 |
| 2025年4月の発表で9.5レチクル級CoWoSを2027年に量産予定とし、パネル・CoPoSへの言及がないこと | TSMC プレスリリース(2025/4/23)[参考資料 11]https://pr.tsmc.com/english/news/3228 | 事実 |
| 2025年7月・10月、2026年1月・7月の決算説明会発言録にCoPoSという語が見当たらないこと(2026年1月の発言録にはアナリストの「panel」への言及はある) | TSMC 決算説明会 発言録(本稿が全文を機械的に検索した結果)[参考資料 1]https://investor.tsmc.com/english/encrypt/files/encrypt_file/reports/2026-04/3cef85204275f94fd111485cfdf4adb3c0263c45/TSMC%201Q26%20Transcript.pdf[参考資料 2]https://investor.tsmc.com/english/encrypt/files/encrypt_file/reports/2026-08/3e494f0c14dd0890f897aa044415e21d93486cc4/TSMC%202Q26%20Transcript.pdf | 事実 |
| CoWoS-R/-Lの構成が、角形の面でも扱える材料系(ポリマーと銅の配線、モールド樹脂)であるという読み取り。CoPoSがどの方式を土台にするかは確認できなかった | 公表内容にもとづく本記事の整理。TSMCや他社が表明した見解ではない | 解説 |
| ECTC 2026でレゾナックが、パネル上の有機インターポーザの研究について「320×320 mmや510×515 mmのパネル」と2つの寸法を挙げていること。インターポーザが9.5レチクル級になると円形300 mmウェハの有効面積が限界になること。320×320 mmガラスパネル上でL/S 2/2 µmの有機ポリマー・ダマシン配線を2段階CMPで平坦化し、Cu/Ti/ポリマー界面の共平坦性100 nm未満、研磨後の段差100 nm未満、パッドの溝設計とスラリー流れの最適化を行ったこと(Paper 14.2) | ECTC 2026 技術プログラム紹介資料(2026/5/20付)[参考資料 5]https://ectc.net/wp-content/uploads/2023/03/2026-ECTC-REVISED-Technical-Tipsheet-with-images.pdf | 事実 |
| ECTC 2026でUSHIO(ウシオ電機)が、510×515 mmガラス基板上で18レチクル相当の領域をつなぎ目なしで一括露光し、L/S 1.5 µmを形成すること。従来の基板用ステッパより4倍以上広いこと。有機・ガラス基板の厚みのばらつきを許容できるプロセスマージン22 µm(Paper 28.2) | ECTC 2026 技術プログラム紹介資料[参考資料 5]https://ectc.net/wp-content/uploads/2023/03/2026-ECTC-REVISED-Technical-Tipsheet-with-images.pdf | 事実 |
| ECTC 2026でTSMCが、CoWoSの封止材(EMC)とシリコンダイ角部の界面剥離が主要な懸念で、インターポーザの剛性がCTE差の緩和に重要であると報告すること(Paper 6.3)。TSMCの発表紹介にCoPoSの発表が見当たらないこと | ECTC 2026 技術プログラム紹介資料。本稿が参照したのは発表の紹介文であり、論文本文ではない[参考資料 5]https://ectc.net/wp-content/uploads/2023/03/2026-ECTC-REVISED-Technical-Tipsheet-with-images.pdf | 事実 |
| A*STAR IMEの発表:モールドファースト方式のFOPLP(550×650 mmガラスキャリア)で、有限要素法とタグチ法により工程ごとの反りとダイシフトの支配因子を調べ、構造設計・工程最適化・材料選定による低減策を示した。自重の影響をモデル化すると、台に置いた場合は反りが大きく減るが、縁を支えると反りが増え、薄いパネルの取り扱いが課題になる | Che, Yamamoto, Rao, ECTC 2020(IEEE Xplore)[参考資料 6]https://ieeexplore.ieee.org/document/9159466 | 事実 |
| リンテックの発表:シリカを高充填せずにパネルの反りを大きく減らす封止材。エポキシ樹脂の剛直な構造の一部を柔軟な分子鎖に置換し、ガラス転移温度で強い応力緩和を示し、反りを1/5に低減。低いガラス転移温度を持つが、シリコン面へのダイシェア強度は250 ℃で50 N超(5×5 mm²)、390 ℃での重量減5%未満。MSLレベル2後のリフロー、JEDEC条件Bの温度サイクル(−55/+125 ℃・2,000サイクル)、ボードレベル試験を実施。FOPLPとPCB製造は同程度のサイズの基板パネルを使うためラインを部分的に再利用できる可能性があるとも述べている | Kikuchi, Nedzu, Sugino, ECTC 2018(IEEE Xplore)[参考資料 7]https://ieeexplore.ieee.org/document/8429662 | 事実 |
| SEMI 3D20がPLP用途のパネル外形寸法・厚さ・反り・質量を規定し、現行版が3D20-0921であること。多数のパネルサイズが検討されていること | SEMI 3D20 規格情報ページ[参考資料 8]https://store-us.semi.org/products/3d02000-semi-3d20-en-specification-for-panel-characteristics-for-panel-level-packaging-plp-applications | 事実 |
| ASEがパネルレベル・ファンアウトで、300×300 mmパネルを高密度(チップラスト)、600×600 mmパネルを低密度(チップファースト)向けとしていること | ASE Fan-Out Packaging[参考資料 9]https://ase.aseglobal.com/fan-out-packaging/ | 事実 |
| FOPLPの総説が、反りと、一時的キャリア(ウェハかパネルか)を主要な論点として整理していること | Lau, J. Electron. Packag. 141(4), 2019[参考資料 10]https://doi.org/10.1115/1.4043341 | 事実 |
| 取り数と面積利用率(17/36/81、9/16/49、5/9/25、2/4/16個など)。面積=830 mm²×レチクル数(3.3レチクルは2,700 mm²)、正方形換算、φ300 mmウェハは格子配置・4隅が円内・原点を1 mm刻みで探索、パネルは端から詰めた個数、エッジ除外・切りしろ・隙間は無視。パネル寸法320×320 mm・510×515 mmは研究例の寸法であり、CoPoSの寸法ではない | 1レチクル=830 mm²、3.3レチクル=2,700 mm²(TSMC公表)、φ300 mmウェハの半径150 mmから算出 | 本稿の計算 |
| 14レチクルを510×515 mmパネルに16個載せた場合、パネル1枚の不良は16個分の損失になる | 16個(上の取り数)にもとづく算出 | 本稿の計算 |
| CTE差1 ppm/K・温度変化235 Kあたりの自由膨張の差:150 mmで約35 µm、160 mmで約38 µm、255 mmで約60 µm、角の約362 mm(√(255²+257.5²))で約85 µm。角はウェハ端の約2.4倍 | ずれ=距離×CTE差×温度変化。温度変化235 Kはリフロー約260 ℃から25 ℃(「熱膨張係数」編と同じ前提)、完全に自由に伸び縮みする仮定。実際は拘束され、応力になる | 本稿の計算 |
| パネルの取り数はパネルと製品の寸法の割り算の丸めで決まり、パネルなら常に有利とは限らないこと。パネル寸法が定まらないと装置・材料の供給形態を絞れないという整理 | 上の計算結果と、公表内容にもとづく本記事の整理 | 解説 |
| 硬い土台から柔らかい層へ、という設計の移動。パネルでは平坦性と剛性を受け持つのがパネル自体とその上の樹脂層になるという整理。インターポーザを柔らかくする方向と剛性で緩和する方向がトレードオフになりうるという読み取り | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。論文や企業が述べた主張ではない | 解説 |
| 露光領域の問題、基板の厚みのばらつきと焦点の関係、銅・バリアメタル・ポリマーの研磨のされ方の違い、封止材の低反り化の2つの道(CTEを下げる/応力緩和)、搬送・保持の条件が反りに入り込むこと | 材料工学・プロセス上の一般的な関係にもとづく解説。特定製品の数値主張は行っていない | 解説 |
| 名称の展開形(Chip-on-Panel-on-Substrate) | TSMCの公式資料(発言録・技術ページ・プレスリリース)で確認できなかったため、公式の表記とは断定しない。本稿は名前の読み方の説明として使用 | 解説 |
| CoPoSのパネル寸法、パネルとインターポーザ層・基板コアの材料(ガラスか有機か)、パイロットラインの場所と稼働日、量産の年と工場、顧客、CoWoSとの置き換え・併存の方針、CoPoSに関するTSMC自身の学会発表 | TSMCの公開資料では確認できなかったため記載していない。報道で伝えられる数字・顧客名は、公式資料で裏が取れないため使用していない | 解説 |
| CoPoSのパイロットライン稼働や量産が始まったこと | 本稿の調査時点(2026年10月)で、実績を示すTSMCの一次情報は確認できなかった | 未確定/将来 |
| 図1・図3・図4・図5・図6が実際の構造図・設計図ではなく説明のための作図であること。ヒーロー画像と図2がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月3日/出典はTSMCの決算説明会発言録・公式サイト・プレスリリース、学会(IEEE ECTC)の発表、標準化団体・企業の公表資料に限定しています。 構造の整理や材料面の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 CoPoSの名称の展開形、パネル寸法、材料、パイロットラインの場所と稼働日、量産の年、顧客、CoWoSとの置き換え関係は、TSMCの公開資料で確認できなかったため記載していません。 学会発表は、プログラム紹介資料または抄録で確認した範囲で記述しており、論文本文は参照していません。第6章・第7章の研究は、CoPoSではなく、パネル上の有機インターポーザおよびFOPLPのものです。 図はすべて説明用の概念図です。図1・図3・図4・図5・図6はベクター作図、ヒーロー画像と図2はAI生成イメージであり、いずれも実際の構造・寸法比を正確に表すものではありません。