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ガラス転移点とクリープ 技術解説 | Troy Technical

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TECHNOLOGY EXPLAINER

ガラス転移点とクリープ
― Tg は「測り方つきの値」、クリープは「時間つきの物性」

ISO 6721-11 は、ガラス転移温度を「硬くて比較的もろいガラス状態から、ゴム状または粘性液体の状態への転移の指標」と説明しています。 同じ規格が、測定値は材料の性質と試験の装置構成で変わりうるとも書いています。 ある銅張積層板の Tg は、TMA 法で 260〜290 ℃、DMA 法で 315〜345 ℃と公表されています。 Tg の数字は、測り方とセットで読むものです。

構成:ISO・ASTM の規格情報、査読論文、メーカーの技術資料を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

試験室で、同じ透明な樹脂の棒と同じおもりを並べ、左の常温側ではほぼまっすぐ、右の恒温槽の中ではなめらかに大きくたわんでいる対比の概念イメージ
概念図(AI生成イメージ)。「同じ樹脂の棒が、低い温度では硬く形を保ち、高い温度では同じ荷重でたわむ」様子を、左右の対比で表現したものです。実際の試験装置・材料・温度・変形量を示すものではありません。
この記事の構成
  1. ガラス転移点とクリープとは何か(3行でつかむ)
  2. ガラス転移と、融点・結晶化はどう違うか
  3. 素材技術者の視点①:Tg は「測り方つきの値」
  4. 本稿の計算:測り方・周波数・水分で Tg はどれだけ動くか
  5. 粘弾性 ― 弾性と粘性が同居する
  6. クリープと応力緩和 ― 時間がかかわる2つの現象
  7. 素材技術者の視点②:時間‐温度換算 ― 温度で時間を買う
  8. 本稿の計算:WLF 式で「Tg+20 K の1時間」は何年分か
  9. 素材技術者の視点③:設計でどう使うか
  10. 課題・限界/用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・見通しであり、実績が確認できていない事項
このほか、整理や設計上の読み取りは「解説」として区別しています。
物性値は試験法・条件・出所とセットで書き、メーカー公称値と論文値を区別しています。

1. ガラス転移点とクリープとは何か(3行でつかむ)

  • ガラス転移点(Tg):ISO 6721-11 は、非晶性の高分子、または部分結晶性高分子の非晶部分が、硬くて比較的もろいガラス状態から、ゴム状または粘性液体へ変わる転移の指標としています事実[参考資料 1]。
  • 点ではなく幅:ASTM E1640 は、ガラス転移が温度範囲をもって起こり、規格はその範囲を代表する1つの温度(Tg)を割り当てる方法であり、Tg は技術によって異なりうると述べています事実[参考資料 10]。
  • クリープと応力緩和:ASTM D2990 は、クリープ試験のデータが「長期荷重下でのクリープ弾性率と強度、および生じる寸法変化を予測するために必要」だと述べています事実[参考資料 12]。ASTM E328 は、応力緩和データがボルト締結や、ガスケットの締め付けの低下の設計に必要だと述べています[参考資料 13]。
この記事でいちばん大事な一行

Tg は材料の定数ではなく、「どう測ったか」が付いた値です。クリープは、荷重・温度・時間の3つが付いた物性です。 カタログの Tg と、設計に使う温度・時間の条件を、別々に読んではいけません(本記事による整理)。

2. ガラス転移と、融点・結晶化はどう違うか

「ガラス転移点」は点ではなく、温度の幅をもつ変化 温度を上げたときの弾性率の変化(概念図)― 同じ曲線から、測り方ごとに別の「Tg」が読める 温度 弾性率 (対数) ガラス転移域 ガラス状(硬い) ゴム状(やわらかい) 結晶部が保つ(半結晶性) 融点 ① E′ の立ち下がり開始(DMA) ② 比熱の段差(DSC)/寸法変化の傾きの変化(TMA) ③ tan δ のピーク(DMA) ※ 曲線は説明のための模式図で、特定の材料の実測ではありません。ガラス転移が温度範囲で起き、DSC では比熱の段差、DMA では貯蔵弾性率の低下とし  て現れることは ASTM E1356・E1640 の記述にもとづきます。 ※ ①〜③の並び方は一般的な傾向を示すための配置で、実際の温度差は材料と条件で変わります。
図1 概念図(ベクター作図)。弾性率の温度変化の模式図です。ガラス転移が温度範囲で起き、DSC では比熱の段差、DMA では貯蔵弾性率の低下として現れることは ASTM E1356・E1640[参考資料 8・10]の記載によります。曲線は説明用で実測ではなく、①〜③の位置は一般的な傾向を示す配置です。

高分子の温度変化には、性格の違う2つの転移があります。

転移起きること測定での現れ方関連する規格
ガラス転移非晶部分が、ガラス状(硬い)からゴム状(やわらかい)へ変わる。温度の幅をもつDSC:比熱の段差。DMA:貯蔵弾性率の低下。TMA:寸法変化の傾きの変化ISO 11357-2、ASTM E1356(DSC)/ISO 6721-11、ASTM E1640(DMA)/ISO 11359-2、ASTM E1545(TMA)
融解・結晶化結晶部分が溶ける(融解)/冷えて結晶になる(結晶化)DSC:吸熱ピーク(融解)・発熱ピーク(結晶化)、エンタルピーISO 11357-3、ASTM D3418

すべて事実(各規格の適用範囲の記載にもとづく整理[参考資料 1〜3・7〜11])。ISO 11357-3 は、結晶性または部分結晶性のプラスチックの融解・結晶化の温度とエンタルピーを求める方法です。

ISO 11357-2 と ASTM E1356 は、ガラス転移が非晶性材料、および非晶領域をもつ部分結晶性材料に適用できると書いています事実[参考資料 2・8]。 つまり、完全に結晶の材料にはガラス転移がなく、部分結晶性材料では「結晶が保つ部分」と「非晶が動く部分」が同居します(本記事による解説)。

素材技術者の読みどころ:Tg が室温より低くても、形を保てる材料がある

Arkema の PVDF(Kynar 740)の技術データシートには、ガラス転移温度 −40 ℃(ISO 11357-1/-2)、融点 168 ℃(ISO 11357-1/-3、10 ℃/分)、荷重たわみ温度 105 ℃(1.8 MPa、ISO 75-1/-2)が載っています事実[参考資料 19]。 Tg は室温よりずっと低いのに、荷重をかけても 105 ℃まで形を保てるのは、結晶部分が骨格として保つからです(本記事による解説)。 ここで、荷重たわみ温度は3点曲げの荷重をかけたときの「たわみの温度」を求める試験で(ISO 75-1)[参考資料 6]、Tg そのものではありません。

一方で、融点の手前でも剛性は大きく下がります。Chemours の PFA 340 の資料では、融点 305 ℃に対し、250 ℃での曲げ弾性率は 55 MPa、23 ℃の 590 MPa の約9.3 %です(ISO 178/ASTM D790)事実[参考資料 20]。 同じ資料は、連続使用温度を「20,000時間の熱老化後に引張強さと破断伸びが元の50 %を保つ温度」と定義しています。 Tg、融点、荷重たわみ温度、連続使用温度は、4つの別の物差しです(本記事による解説)。 材料ごとの具体例は、本シリーズ「フッ素樹脂とPFAS」編と「ポリイミド」編で扱っています。

3. 素材技術者の視点①:Tg は「測り方つきの値」

Tg は材料の定数ではなく、「測り方つきの値」 公表されている Tg の例 ― 同じ材料でも、測り方・条件で値が動く(メーカー公称・論文の値) 0 100 200 300 400 ガラス転移温度(℃) 銅張積層板 MCL-E-795G(TMA法) 260〜290 同上(DMA法) 315〜345 Kapton HN(技術により異なる) 360〜410 アミン硬化エポキシ・乾燥(DMTA) 82〜84(0.1〜10 Hz) 同上・水で飽和(DMTA) 57〜62(0.1〜10 Hz) 分解性エポキシ(DSC、1回目→2回目) 69.7 → 76.6 TMA DMA DSC 測定法の記載は「技術により異なる」のみ ※ MCL-E-795G はレゾナックの製品ページ(昇温速度 10 ℃/分、実測値で保証値ではない)。Kapton HN は DuPont のデータシート。エポキシは  Polymers 2019(Hexion RIMR135/RIMH137、ISO 6721 の接線法、3つの周波数)、分解性エポキシは Polymers 2025(20 ℃/分、第一・第二昇温)  。 ※ 材料も配合も別の例を並べているので、方法ごとの差を比べる図ではなく、「値には測り方が付く」ことを示す図です。
図2 概念図(ベクター作図)。公表されている Tg の例を、測定法の色分けで並べた図です。MCL-E-795G[参考資料 17]、Kapton HN[参考資料 18]、アミン硬化エポキシ[参考資料 14]、分解性エポキシ[参考資料 21]の値によります。材料も配合も別の例を並べており、測定法ごとの差の一般化を示す図ではありません。

Tg を測る標準は、DSC・TMA・DMA の3系統があります。それぞれ「何を見ているか」が違います。

方法規格規格の記載(要点)
DSC(示差走査熱量測定)ISO 11357-2:2020、ASTM E1356-25ガラス転移は比熱の段差として現れる。非晶性材料、または非晶領域をもつ部分結晶性材料に適用。通常の使用温度範囲は−120〜500 ℃(ASTM E1356)
TMA(熱機械分析)ISO 11359-2:2021、ASTM E1545-22ISO 11359-2 は線膨張係数とガラス転移温度の両方を TMA で求める方法。ASTM E1545 は圧縮の条件で、ガラス転移は材料の熱履歴に依存すると述べ、プローブの貫入を抑えられる程度に剛い材料に適用
DMA(動的粘弾性測定)ISO 6721-11:2019、ASTM E1640-23理想的な場合、貯蔵弾性率の低下の始まりがガラス転移を示す(ASTM E1640)。ISO 6721-11 は、温度センサーが試料に接触しておらず周囲の温度を測るため、昇温速度でデータが変わるとし、熱遅れを考慮する手順を含む

すべて事実(各規格の公式ページの記載[参考資料 1〜3・8〜10])。

図2は、公表されている Tg の例です。 同じ製品でも、測り方で数十 K の差があります。

  • 銅張積層板(レゾナック MCL-E-795G):Tg はTMA 法で 260〜290 ℃、DMA 法で 315〜345 ℃。昇温速度 10 ℃/分、「上記値は実測値であり、保証値ではありません」と注記されています事実[参考資料 17]。
  • Kapton HN:DuPont のデータシートは、360〜410 ℃の間で二次転移が起き、これを Tg と仮定している、測定技術によってこの範囲内で結果が異なると記載しています(本稿訳)事実[参考資料 18]。
  • メーカーの表に測定法が書かれていない例:同じレゾナックの有機基板用エポキシ封止材 CEL-9700 HF10 は、表に Tg 125 ℃、α1 6 ppm/℃、α2 27 ppm/℃と載っていますが、測定法・条件の記載は見当たりません事実[参考資料 23]。
素材技術者の読みどころ:Tg を比べる前に確認する5項目

異なる資料の Tg を並べる前に、次の5つを確認します(本記事による整理。各項目の根拠を右に示します)。

確認項目根拠となる記述
① 測定法(DSC・TMA・DMA)MCL-E-795G は TMA と DMA で 55 K 程度離れる[参考資料 17]
② 昇温速度ISO 6721-11:DMA のデータは昇温速度で変わる。熱遅れを考慮する手順がある[参考資料 1]
③ 周波数と、何回目の昇温かPolymers 2019:Tg は周波数が高いほど上がる(乾燥 82→84 ℃)[参考資料 14]。Polymers 2025:1回目 69.7 ℃、2回目 76.6 ℃[参考資料 21]
④ Tg の読み取り方(始まり/中点/ピーク)ASTM E1640:Tg は範囲を代表する1つの値で、技術によって異なる[参考資料 10]。Polymers 2019 は、storage modulus の下側の変曲点の接線の交点を採用[参考資料 14]
⑤ 試料の状態(硬化度・水分・熱履歴)ASTM E1545:ガラス転移は熱履歴に依存[参考資料 9]。Polymers 2019:水で飽和すると 82→57 ℃(0.1 Hz)[参考資料 14]

Hasegawa らは、耐熱プラスチック基板の目標を「Tg 350 ℃超、望ましくは400 ℃超、あるいは DMA で明確な Tg が検出されないこと」と書いています事実[参考資料 22]。 つまり、「Tg がない」ことが、目標の書き方になる材料もあります(本シリーズ「ポリイミド」編で詳しく扱います)。

4. 本稿の計算:測り方・周波数・水分で Tg はどれだけ動くか

本稿の計算:公表値の差を求める

図2に載せた公表値から、差を計算します本稿の計算。

  • TMA と DMA の差(MCL-E-795G):範囲の中点で、TMA = (260+290)÷2 = 275 ℃、DMA = (315+345)÷2 = 330 ℃。差は 55 K(範囲の端どうしでは最小 25 K〜最大 85 K)
  • 周波数の効果(アミン硬化エポキシ、DMTA):0.1 Hz から 10 Hz へ周波数が2桁上がると、乾燥試料の Tg は 82→84 ℃(+2 K)、水で飽和した試料は 57→62 ℃(+5 K)
  • 水分の効果(同じエポキシ、0.1 Hz):82 ℃→57 ℃で −25 K(水を 3.44 wt%吸わせた場合)
  • 1回目と2回目の昇温(分解性エポキシ、DSC 20 ℃/分):69.7→76.6 ℃で +6.9 K

前提と限界:いずれも、それぞれ別の材料・別の方法の公表値で、「一般の差」ではありません。 Polymers 2019 の乾燥・湿潤の試料は同一ロットの比較ですが、周波数の影響は 0.1〜10 Hz の3点のみです。 誤差は著者の記載で ±2 ℃です。

5. 粘弾性 ― 弾性と粘性が同居する

高分子は、バネのように弾性的に戻る性質と、液体のように粘性的に流れる性質を、どちらも持っています。 これが粘弾性です。DMA は、この性質を温度と周波数の関数として測る方法で、ASTM E1640 は、DMA が「粘弾性特性の温度・周波数による変化を監視し、定量化する手段」だと説明しています事実[参考資料 10]。

  • 貯蔵弾性率(E′):弾性成分。「どれだけ硬いか」。Tg を超えると大きく下がる。
  • 損失弾性率(E″):粘性成分。エネルギーが熱として失われる量。
  • 損失正接(tan δ):E″ ÷ E′。振動のエネルギーがどれだけ失われやすいかの比。

これらの用語の定義は、DMA の一般的な定義による本記事の整理です。測定は周波数と温度のどちらも変えられるので、「周波数を下げることと、温度を上げることは似た効果をもつ」——これが後述の時間‐温度換算の出発点です(本記事による解説)。

6. クリープと応力緩和 ― 時間がかかわる2つの現象

現象何が一定で、何が変わるか設計で効く場面規格
クリープ荷重(応力)が一定で、ひずみ(変形)が時間とともに増える長期荷重での寸法変化、破断(クリープ破断)ISO 899-1(引張)、ISO 899-2(3点曲げ)、ASTM D2990
応力緩和ひずみが一定で、応力が時間とともに下がるボルト・リベットの締結、圧入、ガスケットの締め付けASTM E328

すべて事実(各規格の記載の整理[参考資料 4・5・12・13])。

ISO 899-1 は、引張クリープの試験が設計用データには伸び計が必要で、試験片の作製、寸法、環境、さらに熱履歴がクリープ挙動に大きく影響すると書いています事実[参考資料 4]。 ISO 899-2 は、3点曲げのクリープを同様に設計・品質管理・研究開発のためのデータを得る方法としています[参考資料 5]。

素材技術者の読みどころ:「Tg より低ければ安心」ではない

Polymers 2019 の論文は、熱硬化性樹脂は Tg より低い温度でも熱力学的な平衡になく、平衡へ向かって徐々に動く(物理エージング)と述べ、 「Tg 未満は熱硬化性の繊維強化プラスチックの通常の使用温度範囲」であり、そこでもクリープを考える必要があるとしています事実[参考資料 14]。 同論文のアミン硬化エポキシ(Hexion の Epikote RIMR135/Epikure RIMH137、100:30、室温24時間+80 ℃・16時間で硬化)は、 10 MPa の一定応力、各温度3時間のクリープ試験で調べられ、水で飽和した試料(3.44 wt%)は60 ℃で試験中に破断しましたが、乾燥した試料は同じ温度・応力で破断しませんでした事実。 引張強さも、乾燥で 60.5 ± 2.7 MPa、湿潤で 48.5 ± 3.3 MPa です。 Tg の差(82 ℃対 57 ℃、0.1 Hz)が、同じ応力でも、使えるか使えないかの境界を動かしたことになります(本記事による解説)。

7. 素材技術者の視点②:時間‐温度換算 ― 温度で時間を買う

温度が34 K 上がると、クリープの時間軸は約6.6万分の1に縮む アミン硬化エポキシのクリープ・コンプライアンスの温度シフト係数(Polymers 2019、基準温度 25〜26 ℃) 3 0 -3 -6 -7 10 20 30 40 50 60 65 温度(℃) log aT 乾燥 −4.82 湿潤 −5.72 乾燥 +1.98 乾燥(Tg 82 ℃) 水で飽和・3.44 wt%(Tg 57 ℃) ※ 値は Polymers 2019, 11, 1848 の Table 1(Hexion の Epikote RIMR135/Epikure RIMH137、100:30、室温24時間+80 ℃・16時間、10 MPa  、各温度3時間のクリープ試験)。 ※ log aT が負で大きいほど、同じ変形に達するまでの時間が短いことを表します。Tg(0.1 Hz の DMTA)は乾燥 82 ℃、湿潤 57 ℃。折れ線は点を結  んだ作図です。
図3 作図(ベクター作図)。アミン硬化エポキシのクリープ・コンプライアンスの温度シフト係数です。値は Polymers 2019[参考資料 14]の Table 1 によります。折れ線は点を結んだ作図で、同じエポキシの乾燥・湿潤2条件の比較です。

クリープを何年も測り続けることはできません。そこで使われるのが時間‐温度換算(TTS)です。 Heliyon 2023 の論文は、TTS を「ある基準温度に対して、他の温度で得たデータ曲線をずらすことで、実験した時間・周波数の範囲を超えた力学特性を推定する」物理原理と説明しています事実[参考資料 15]。 図3は、その実例です。

  • アミン硬化エポキシ(Polymers 2019)のクリープ曲線を、基準温度 26 ℃(乾燥)へずらしたシフト係数 log aT は、15 ℃で+1.98、40 ℃で−2.09、60 ℃で−4.82です。湿潤試料(基準 25〜26 ℃)では、+1.51、−2.47、−5.72です事実[参考資料 14]。
  • 著者は、シフト係数が 1/T に対してほぼ直線になることから、Tg より低い領域ではアレニウス型が成り立つとし、活性化エネルギーは乾燥 277 kJ/mol、湿潤 297 kJ/mol(ばらつき範囲内で同じ)と報告しています事実。
  • マスターカーブは、このエポキシではTg 未満でのみ有効で、湿潤試料が Tg 付近で破断したことから、非線形の効果が重要になる領域では方法が当てはまらないと述べています事実。
本稿の計算:アレニウスの式で、論文のシフト係数を再現できるか

乾燥エポキシの活性化エネルギー 277 kJ/mol を使い、基準温度 26 ℃(299.15 K)からのシフト係数を計算します本稿の計算。式は log aT = (Ea ÷ 2.303R)×(1/T − 1/Tref)、R = 8.314 J/(mol・K) です[参考資料 15]。

  • 15 ℃:計算 +1.85(論文の値 +1.98)
  • 40 ℃:計算 −2.16(論文の値 −2.09)
  • 60 ℃:計算 −4.94(論文の値 −4.82)

前提と限界:活性化エネルギーは3温度の平均で、温度ごとの値は 268〜297 kJ/mol とばらつきます(論文の Table 1)。 計算は論文の値と0.07〜0.13のずれで一致しますが、これはTg より十分低い乾燥エポキシの話で、他の材料の外挿には使えません。 60 ℃で log aT = −4.82 は、基準温度より34 K 高いだけで、クリープの時間軸が 10⁻⁴·⁸² ≒ 1/66,000 に縮むことを意味します。

8. 本稿の計算:WLF 式で「Tg+20 K の1時間」は何年分か

Tg より20 K 高いと、時間軸は約7万分の1に縮む WLF 式(C1 = 17.44、C2 = 51.6)による log aT ― Tg を基準温度とした場合の本稿の計算 0 -2 -4 -6 -8 -10 -12 0 20 40 60 80 100 Tg からの温度差 T − Tg(K) log aT +10 K:−2.83 +20 K:−4.87 +50 K:−8.58 ※ WLF 式 log10 aT = −C1 (T − Tg) / (C2 + (T − Tg))。C1 = 17.44、C2 = 51.6 は「多くの非晶性高分子で Tg〜Tg+100 K の範囲に使える定数  」とされますが、調整可能な値として扱うべきとされています(Heliyon 2023)。 ※ 計算値であり、実在の材料の測定ではありません。結晶性高分子・熱硬化性樹脂・充填材入り材料では当てはまらない場合があります。
図4 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。WLF 式(C1 = 17.44、C2 = 51.6)による log aT の曲線です[参考資料 15]。計算値であり、実在の材料の測定ではありません。

Tg 付近とそれ以上では、Arrhenius 式の代わりに WLF 式が使われます。 Heliyon 2023 の論文によると、WLF 式は log10 aT = −C1 (T − Tg) ÷ (C2 + (T − Tg)) で、 C1 = 17.44、C2 = 51.6 は多くの非晶性高分子で Tg から Tg+100 K の範囲に使えるが、調整可能なパラメータとして扱うべきとされています事実[参考資料 15]。 原典は Williams、Landel、Ferry による 1955 年の論文です(J. Am. Chem. Soc. 77, 3701;Crossref で書誌を確認)[参考資料 16]。

本稿の計算:Tg+10 K、+20 K、+50 K の換算係数

上記の定数を使って計算します本稿の計算。

T − Tglog10 aTaT1時間(その温度)が、Tg での何時間に相当するか
+10 K−2.831.48×10⁻³約678時間(約28日)
+20 K−4.871.34×10⁻⁵約7.4万時間(約8.5年)
+50 K−8.582.61×10⁻⁹約3.8億時間(約4.4万年)

前提と限界:基準温度を Tg とした普遍定数での値で、実在の材料の予測ではありません。 結晶性高分子、高度に架橋した熱硬化性樹脂、フィラーや繊維を含む材料では、定数が変わるか、適用できないことがあります。 式は Tg+100 K までの範囲に限られます。

素材技術者の読みどころ:Tg の近くでは、温度が数 K 違うだけで「時間」が桁で変わる

Tg+20 K の1時間が、Tg では約8.5年に相当する——この計算は、Tg の近くで使う材料では、温度の管理が時間の管理そのものであることを示します。 逆に、Tg より十分低い温度(アレニウス型の領域)でも、図3のとおり34 K で約10⁴·⁸倍の変化があります。 使用温度が Tg の何 K 下かを意識せずに「Tg 〇〇 ℃だから大丈夫」と判断すると、長期のクリープやはんだリフロー(260 ℃)のような短時間の高温を、同じ尺度で扱えなくなります(本記事による解説)。 熱膨張係数が Tg で変わる点(α1/α2)は、本シリーズ「熱膨張係数」編・「アンダーフィル」編で、メーカーの公表値とともに扱っています。

9. 素材技術者の視点③:設計でどう使うか

Tg とクリープは「測り方」「条件」「外挿」の3点で読む 設計で Tg とクリープを使うときの3ステップ(概念図) ① Tg を「測り方つき」で読む DSC/TMA/DMA のどれか 昇温速度・周波数・何回目の昇温か 水分・硬化度の状態を確認 ② 使う温度で弾性率とクリープを見る Tg の手前でも弾性率は下がる ISO 899・ASTM D2990 の条件 応力・時間・温度・湿度をそろえる ③ 長期は換算して外挿する Tg 以下:アレニウス型 Tg 付近以上:WLF 型 外挿の限界(非線形・破断)を確認 ※ 本記事による整理です。②の標準は ISO 899-1(引張クリープ)・ISO 899-2(曲げクリープ)・ASTM D2990(クリープとクリープ破断)、③の換算  式は Polymers 2019 と Heliyon 2023 の記述にもとづきます。
図5 概念図(ベクター作図)。設計で Tg とクリープを使うときの3ステップを、規格[参考資料 4・5・12]と論文[参考資料 14・15]の記述にもとづいて整理したものです。手順の分け方は本記事の整理です。
素材技術者の読みどころ:材料ごとに「Tg の物語」は違う

本シリーズの他編で扱った材料を、Tg とクリープの観点で並べ直します(各編の出典の事実にもとづく本記事の整理)。

材料Tg の見え方設計上の注意
ポリイミド(Kapton HN)360〜410 ℃の間の二次転移を Tg と仮定。測定技術で変わる。融点なし(DuPont)[参考資料 18]「Tg が高い」ことと「長期に使える」ことは別(UL の RTI、熱寿命など)。初回加熱の収縮もある
フッ素樹脂(PFA 340、PVDF Kynar 740)PVDF は Tg −40 ℃だが融点 168 ℃、荷重たわみ温度 105 ℃[参考資料 19]。PFA は融点 305 ℃で、250 ℃の曲げ弾性率は 23 ℃の約9.3 %[参考資料 20]半結晶性材料は、Tg だけでなく使用温度での弾性率と連続使用温度の定義を読む
エポキシ(分解性配合ほか)DSC の1回目と2回目で 69.7→76.6 ℃。140 ℃の後硬化で約25 K 低下[参考資料 21]。水を吸うと 82→57 ℃[参考資料 14]硬化度・水分・熱履歴で Tg が動く。使用環境の湿度まで含めて評価する
銅張積層板(MCL-E-795G)TMA 法 260〜290 ℃、DMA 法 315〜345 ℃[参考資料 17]どちらの測定法の値かを揃えて比べる。Z 方向 CTE が Tg 前後で大きく変わること(10〜15 → 70〜100 ppm/℃)は、本シリーズ「熱膨張係数」編で紹介したレゾナックの公表値

設計に使うときのチェックリスト

  1. Tg を「測り方つき」で記録する:規格番号(DSC/TMA/DMA)、昇温速度、周波数、何回目の昇温か、Tg の取り方(始まり・中点・ピーク)。
  2. 使用条件の Tg を確認する:硬化度、吸湿状態、熱履歴を使用状態に合わせた試料で測る(水分で Tg が 25 K 動いた例)。
  3. 使う温度での弾性率とクリープを測る:ISO 899-1/899-2、ASTM D2990。設計用データには伸び計を使う。
  4. 応力緩和も別に考える:ボルト・ガスケット・圧入には、クリープと別に ASTM E328 の考え方が必要。
  5. 外挿するときは範囲を書く:Tg 以下はアレニウス型、Tg 付近以上は WLF 型。非線形・破断が出る条件では外挿しない。
  6. 荷重たわみ温度や連続使用温度を Tg の代わりにしない:それぞれ別の物差し(第2章)。

10. 課題・限界

  • JIS の対応規格:日本産業規格にも Tg やクリープの試験方法の規格がありますが、本稿では番号と内容を公式ページで確認できていないため、ISO と ASTM のみを挙げています。
  • TTS の適用範囲:換算が成り立つのは、単一の転移をもつ非晶性材料など限られた条件です。結晶性高分子・架橋の強い熱硬化性樹脂・複合材では、適用の可否の検証が必要です。
  • 定数の一般化の限界:WLF の C1・C2 の普遍値は目安で、材料ごとに調整が必要です。本稿の計算は説明用です。
  • 公表値の比較:図2・第9章の表は別々の材料の例で、測定法ごとの差を一般化するものではありません。
  • 本稿で扱っていない点:物理エージングの定量、ガラス転移の理論(自由体積、協同運動)、動的ガラス転移と静的ガラス転移の違い、繊維強化複合材のクリープ設計。

11. 用語集

ガラス転移温度(Tg)
非晶部分が硬いガラス状態からゴム状に移る温度域を代表する値。測り方で変わる。
DSC
示差走査熱量測定。ガラス転移は比熱の段差、融解は吸熱ピークとして現れる。
TMA
熱機械分析。温度を上げながら寸法変化を測り、線膨張係数と Tg を求める。
DMA
動的粘弾性測定。温度と周波数の関数として弾性率などを測る。
貯蔵弾性率(E′)
粘弾性の弾性成分。Tg を超えると大きく下がる。
tan δ
損失弾性率と貯蔵弾性率の比。ピークを Tg とすることがある。
クリープ
一定の荷重のもとで、変形が時間とともに増える現象。
応力緩和
一定のひずみのもとで、応力が時間とともに下がる現象。
時間‐温度換算(TTS)
異なる温度のデータを水平にずらして、長時間の挙動を推定する方法。
WLF 式
Tg 付近からその上の領域でシフト係数を表す式。C1 と C2 を使う。
アレニウス型
活性化エネルギーで温度依存を表す式。Tg より低い領域で使われる。
荷重たわみ温度
荷重をかけたときのたわみの温度(ISO 75)。Tg とは別の指標。

12. 参考資料(一次情報)

  1. ISO「ISO 6721-11:2019 Plastics — Determination of dynamic mechanical properties — Part 11: Glass transition temperature」 — https://www.iso.org/standard/74988.html
  2. ISO「ISO 11357-2:2020 Plastics — Differential scanning calorimetry (DSC) — Part 2: Determination of glass transition temperature and step height」 — https://www.iso.org/standard/77310.html
  3. ISO「ISO 11359-2:2021 Plastics — Thermomechanical analysis (TMA) — Part 2: Determination of coefficient of linear thermal expansion and glass transition temperature」 — https://www.iso.org/standard/81835.html
  4. ISO「ISO 899-1:2017 Plastics — Determination of creep behaviour — Part 1: Tensile creep」 — https://www.iso.org/standard/72819.html
  5. ISO「ISO 899-2:2024 Plastics — Determination of creep behaviour — Part 2: Flexural creep by three-point loading」 — https://www.iso.org/standard/84391.html
  6. ISO「ISO 75-1:2020 Plastics — Determination of temperature of deflection under load — Part 1: General test method」 — https://www.iso.org/standard/77576.html
  7. ISO「ISO 11357-3:2025 Plastics — Differential scanning calorimetry (DSC) — Part 3: Determination of temperature and enthalpy of melting and crystallization」 — https://www.iso.org/standard/11357-3
  8. ASTM International「ASTM E1356-25 Standard Test Method for Assignment of the Glass Transition Temperatures by Differential Scanning Calorimetry」 — https://store.astm.org/e1356-25.html
  9. ASTM International「ASTM E1545-22 Standard Test Method for Assignment of the Glass Transition Temperature by Thermomechanical Analysis」 — https://store.astm.org/e1545-22.html
  10. ASTM International「ASTM E1640-23 Standard Test Method for Assignment of the Glass Transition Temperature By Dynamic Mechanical Analysis」 — https://store.astm.org/e1640-23.html
  11. ASTM International「ASTM D3418-21 Standard Test Method for Transition Temperatures and Enthalpies of Fusion and Crystallization of Polymers by Differential Scanning Calorimetry」 — https://store.astm.org/d3418-21.html
  12. ASTM International「ASTM D2990 Standard Test Methods for Tensile, Compressive, and Flexural Creep and Creep-Rupture of Plastics」 — https://store.astm.org/d2990-17r25.html
  13. ASTM International「ASTM E328 Standard Test Methods for Stress Relaxation for Materials and Structures」 — https://store.astm.org/e0328-26.html
  14. Polymers 2019, 11(11), 1848「Time–Temperature–Plasticization Superposition Principle: Predicting Creep of a Plasticized Epoxy」(DOI: 10.3390/polym11111848、オープンアクセス) — https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6918382/
  15. Heliyon 2023, 9, e15816「TTS package: Computational tools for the application of the Time Temperature Superposition principle」(DOI: 10.1016/j.heliyon.2023.e15816、オープンアクセス) — https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10192834/
  16. M. L. Williams, R. F. Landel, J. D. Ferry「The Temperature Dependence of Relaxation Mechanisms in Amorphous Polymers and Other Glass-forming Liquids」J. Am. Chem. Soc. 1955;77:3701-3707(DOI: 10.1021/ja01619a008、Crossref で書誌を確認) — https://doi.org/10.1021/ja01619a008
  17. レゾナック「MCL-E-795G」製品ページ — https://www.resonac.com/jp/products/pwb-materials/base/005.html
  18. DuPont「DuPont™ Kapton® HN Polyimide Film」データシート K-15345-2(2016年12月版)。販売店サイトに置かれたコピー — https://www.epectec.com/downloads/DuPont-Kapton-HN-Polyimide-Film.pdf
  19. Arkema「KYNAR® 740」技術データシート(PDF) — https://hpp.arkema.com/assets/arkema/TDS_KYNAR%C2%AE%20740_en_WW.pdf
  20. Chemours「Teflon™ PFA 340」製品情報(PDF) — https://www.teflon.com/en/-/media/files/teflon/teflon-pfa-340-product-info.pdf?rev=82238a0cd6af4b1dbd58e991fd8cc86d&hash=0055785638604E72525F1DB841F28F11
  21. Polymers 2025, 17(1), 88「Cleavable Bio-Based Epoxy Matrix for More Eco-Sustainable Thermoset Composite Components」(DOI: 10.3390/polym17010088、オープンアクセス) — https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11723220/
  22. M. Hasegawa「Development of Solution-Processable, Optically Transparent Polyimides with Ultra-Low Linear Coefficients of Thermal Expansion」Polymers 2017, 9(10), 520(DOI: 10.3390/polym9100520、オープンアクセス) — https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6418549/
  23. レゾナック「エポキシ樹脂封止材 有機基板用」製品ページ — https://www.resonac.com/jp/products/semi-backend-process/76/012.html

13. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
ISO 6721-11:2019:DMA による Tg の求め方。Tg は非晶性高分子または部分結晶性高分子の非晶部分における、ガラス状態からゴム状・粘性液体への転移の指標。測定値は材料の特性と試験の構成で変わりうる。DMA の温度センサーは試料に接触せず周囲の温度を測るため、データは昇温速度で変わる。熱遅れを考慮する手順を含むISO 6721-11[参考資料 1]https://www.iso.org/standard/74988.html事実
ISO 11357-2:2020:DSC による Tg とステップ高さの求め方。非晶性・部分結晶性プラスチックに適用ISO 11357-2[参考資料 2]https://www.iso.org/standard/77310.html事実
ISO 11359-2:2021:TMA による線膨張係数と Tg の求め方ISO 11359-2[参考資料 3]https://www.iso.org/standard/81835.html事実
ISO 899-1:2017:引張クリープ。設計用データには伸び計が必要。試験片の作製・寸法・環境・熱履歴がクリープ挙動に影響するISO 899-1[参考資料 4]https://www.iso.org/standard/72819.html事実
ISO 899-2:2024:3点曲げの曲げクリープ。設計・品質管理・研究開発のためのデータを得る方法ISO 899-2[参考資料 5]https://www.iso.org/standard/84391.html事実
ISO 75-1:2020:荷重たわみ温度(3点曲げ荷重)の一般的な試験方法ISO 75-1[参考資料 6]https://www.iso.org/standard/77576.html事実
ISO 11357-3:2025:結晶性・部分結晶性プラスチックの融解・結晶化の温度とエンタルピーの求め方(2018年版は改訂により廃止)ISO 11357-3[参考資料 7]https://www.iso.org/standard/11357-3事実
ASTM E1356-25:DSC による Tg の割り当て。ガラス転移は比熱の段差として現れる。非晶性材料、または非晶領域をもつ部分結晶性材料に適用。使用温度範囲 −120〜500 ℃ASTM E1356[参考資料 8]https://store.astm.org/e1356-25.html事実
ASTM E1545-22:TMA(圧縮)による Tg の割り当て。ガラス転移が材料の熱履歴に依存すること。プローブの貫入を抑えられる程度に剛い材料に適用。使用温度範囲 −100〜600 ℃ASTM E1545[参考資料 9]https://store.astm.org/e1545-22.html事実
ASTM E1640-23:DMA による Tg の割り当て。理想的には貯蔵弾性率の低下の始まりがガラス転移を示すこと。ガラス転移が温度範囲で起き、規格は代表する1つの温度を割り当てること、Tg が技術によって異なりうること。DMA が粘弾性特性の温度・周波数による変化を監視・定量化する手段であること。弾性率 0.5 MPa〜100 GPa の材料が対象ASTM E1640[参考資料 10]https://store.astm.org/e1640-23.html事実
ASTM D3418-21:ポリマーの転移温度と融解・結晶化のエンタルピーの DSC 試験方法ASTM D3418[参考資料 11]https://store.astm.org/d3418-21.html事実
ASTM D2990:クリープ・クリープ破断のデータが、長期荷重下のクリープ弾性率・強度・寸法変化の予測に必要であることASTM D2990[参考資料 12]https://store.astm.org/d2990-17r25.html事実
ASTM E328:応力緩和データが、ボルト・リベットの締結、圧入、ガスケットの締め付けなどの設計に必要であることASTM E328[参考資料 13]https://store.astm.org/e0328-26.html事実
アミン硬化エポキシ(Hexion Epikote RIMR135/Epikure RIMH137、100:30)の Tg(DMTA、ISO 6721、乾燥 82/83/84 ℃、湿潤 57/60/62 ℃、0.1/1/10 Hz、±2 ℃)、水の飽和量 3.44 wt%(60 ℃・2か月)、10 MPa・各温度3時間のクリープ試験、シフト係数 log aT(乾燥:15 ℃ +1.98、40 ℃ −2.09、60 ℃ −4.82、湿潤:+1.51、−2.47、−5.72)、活性化エネルギー(乾燥 277 kJ/mol、湿潤 297 kJ/mol)、引張強さ(乾燥 60.5 MPa、湿潤 48.5 MPa)、湿潤試料が60 ℃で破断したこと、物理エージング、マスターカーブが Tg 未満でのみ有効であることPolymers 2019, 11, 1848[参考資料 14]https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6918382/事実
TTS の説明、WLF 式 log10 aT = −C1(T − Tg)/(C2 + (T − Tg))、C1 = 17.44・C2 = 51.6 が多くの非晶性高分子で Tg〜Tg+100 K に使える定数であり調整可能なパラメータとして扱うべきこと、Arrhenius 式Heliyon 2023[参考資料 15]https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10192834/事実
WLF 式の原典(Williams、Landel、Ferry、J. Am. Chem. Soc. 1955, 77, 3701-3707)が存在すること(Crossref で書誌を確認。本文は未参照で、定数の値は Heliyon 2023 の記述による)Williams ら(1955年)[参考資料 16]https://doi.org/10.1021/ja01619a008事実
レゾナック MCL-E-795G:Tg が TMA 法 260〜290 ℃、DMA 法 315〜345 ℃、昇温速度 10 ℃/分、「上記値は実測値であり、保証値ではありません」レゾナック 製品ページ[参考資料 17]https://www.resonac.com/jp/products/pwb-materials/base/005.html事実
Kapton HN:360〜410 ℃の間で二次転移が起き、これを Tg と仮定、測定技術で結果が異なること。融点なしDuPont データシート[参考資料 18]https://www.epectec.com/downloads/DuPont-Kapton-HN-Polyimide-Film.pdf事実
Kynar 740:Tg −40 ℃(ISO 11357-1/-2)、融点 168 ℃(ISO 11357-1/-3、10 ℃/分)、荷重たわみ温度 105 ℃(1.8 MPa、ISO 75-1/-2)Arkema Kynar 740[参考資料 19]https://hpp.arkema.com/assets/arkema/TDS_KYNAR%C2%AE%20740_en_WW.pdf事実
PFA 340:融点 305 ℃、曲げ弾性率 590 MPa(23 ℃)・55 MPa(250 ℃)、連続使用温度の定義Chemours PFA 340[参考資料 20]https://www.teflon.com/en/-/media/files/teflon/teflon-pfa-340-product-info.pdf?rev=82238a0cd6af4b1dbd58e991fd8cc86d&hash=0055785638604E72525F1DB841F28F11事実
分解性バイオ系エポキシの Tg(DSC、20 ℃/分、1回目 69.7/68.0/51.7 ℃、2回目 76.6/72.7/50.9 ℃)、140 ℃の後硬化で約25 K 低下Polymers 2025, 17, 88[参考資料 21]https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11723220/事実
耐熱プラスチック基板の目標(Tg 350 ℃超、望ましくは400 ℃超または DMA で明確な Tg が検出されない)Hasegawa(2017年)[参考資料 22]https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6418549/事実
有機基板用封止材 CEL-9700 HF10 の Tg 125 ℃、α1 6、α2 27 ppm/℃が載る表に、測定法・条件の記載が見当たらないことレゾナック 封止材ページ[参考資料 23]https://www.resonac.com/jp/products/semi-backend-process/76/012.html事実
MCL-E-795G の TMA/DMA の中点の差 55 K(最小25 K〜最大85 K)、周波数 0.1→10 Hz での Tg 変化(+2 K、+5 K)、水分による変化(−25 K)、DSC 1回目→2回目(+6.9 K)。アレニウス式による log aT の再現(+1.85、−2.16、−4.94)。WLF 式による換算係数(Tg+10 K:−2.83、Tg+20 K:−4.87、Tg+50 K:−8.58)と、1時間が Tg での何時間に相当するか(約678時間、約7.4万時間=約8.5年、約3.8億時間)本稿の計算。公表値の差と、Arrhenius 式(Ea = 277 kJ/mol、R = 8.314)、WLF 式(C1 = 17.44、C2 = 51.6)による計算で、前提はそれぞれの章に記載。実在の材料の予測ではない本稿の計算
E′・E″・tan δ の説明、「Tg が点ではなく幅をもつ変化」「融点と Tg の違い」の整理、図1の曲線の形、チェックリスト、材料ごとの「Tg の物語」の整理、荷重たわみ温度・連続使用温度などを別の物差しとして区別する整理公表内容にもとづく本記事の整理・解説。図1は模式図で実測ではない。E′・E″・tan δ の定義は DMA の一般的な定義による解説
JIS の Tg・クリープの試験方法の規格番号と内容、物理エージングの定量、結晶性高分子・複合材での TTS の適用可否本稿の調査範囲では公式ページで確認できなかった、または扱っていないため記載していない未確定/将来
図1・図2・図3・図4・図5が説明のための作図であること。ヒーロー画像がAI生成イメージであること。図2・図3は公表値を本記事が作図したもの本記事による注記解説

最終更新:2026年10月2日/出典は一次情報(規格団体の公式ページ、メーカーの製品ページ・データシート、査読論文)に限定しています。 Tg・クリープ・換算係数の値は、特定の材料・試験条件の公表値、または説明用の計算で、他の材料に一般化していません。 JIS の対応規格、物理エージングの定量、結晶性高分子や複合材での時間‐温度換算の適用可否については、本稿の調査範囲では確認できなかったため記載していません。 図1・図2・図3・図4・図5はベクター作図、ヒーロー画像はAI生成イメージであり、いずれも実際の測定曲線・試験装置を示すものではありません。