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ポリオレフィン 技術解説 | Troy Technical

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TECHNOLOGY EXPLAINER

ポリオレフィン
― 炭素と水素だけでできた鎖が、世界のプラスチックの45%を占める

ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)をあわせたポリオレフィンは、世界のプラスチック生産のおよそ45%、日本でも同じくおよそ45%を占めます。 構成元素は炭素と水素だけ。それでも、分岐の仕方、触媒、結晶のでき方が違うだけで、ラップフィルムにも、パイプにも、医療用容器にもなります。 この記事では、HDPE・LDPE・LLDPE・PPの構造の違い、チーグラー・ナッタ触媒とメタロセン触媒、用途、リサイクルの現状を、素材技術者の目線で整理します。

構成:Plastics Europe、プラスチック循環利用協会、Eurostat、EU規則(EUR-Lex)、メーカーの技術データシート、査読論文(Ziegler、Natta、Sinn・Kaminsky、Brintzinger、Schyns・Shaver、Patelら)を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

プラスチック加工工場で、手前に半透明の乳白色のペレットの山、中央奥に透明なフィルムの筒がふくらむ成形塔、右にボトルキャップ・保存容器・パイプ・フィルムのロールが並ぶ概念イメージ
概念図(AI生成イメージ)。樹脂が粒状のペレットとして届き、フィルムの成形を経て、キャップ・容器・パイプ・フィルムなどの製品になるまでの流れを、加工工場の場面として表現したものです。実際の製品・包装・設備・粒の形や色を示すものではありません。
この記事の構成
  1. ポリオレフィンとは何か(3行でつかむ)
  2. どれくらい作られているか ― 世界と日本
  3. 4つの顔 ― HDPE・LDPE・LLDPE・PP
  4. 本稿の計算:密度から結晶化度を見積もる
  5. 素材技術者の視点①:結晶の「量」と「厚さ」は別の量
  6. 触媒 ― チーグラー・ナッタからメタロセンへ
  7. 素材技術者の視点②:融点と、荷重下の耐熱温度は別もの
  8. 用途 ― メーカーが挙げる使われ方
  9. リサイクルの現状
  10. 素材技術者の視点③:ポリオレフィンのリサイクルが抱える3つの課題
  11. 課題と、本稿で確認できなかったこと
  12. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公表資料・査読論文・規格・法令に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標・見通しであり、実績が確認できていない事項
このほか、高分子科学の教科書的な整理や、材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。物性値は、試験法・条件・出所とあわせて記載します。メーカーの値は「メーカー公称(代表値)」で、特定グレードの値を他のグレードと比べて優劣をつけることはしません。

1. ポリオレフィンとは何か(3行でつかむ)

  • 何でできているか:オレフィン(炭素の二重結合を持つ炭化水素)、つまりエチレンとプロピレンを重合した高分子です。主鎖は炭素どうしの単結合だけで、官能基を持ちません(解説)
  • なぜ多様なのか:鎖の分岐、メチル基の並び方(立体規則性)、分子量と分布、共重合するコモノマーの量を変えると、密度・結晶化度・融点・透明性・靱性が大きく動きます。その調整は主に触媒が担います(第6章)(解説)
  • 何が難しいか:化学的に安定で、性質の近い材料が大量に作られているため、使用後の分別と再生が課題になります。主鎖が切れにくいことは、耐久性にとっては長所ですが、化学分解には不利になります(解説)
この記事でいちばん大事な一行

PEやPPは「一つの材料」ではなく、鎖の設計図の違う材料群です。 同じエチレンから作られても、LDPE(密度0.923 g/cm³)とHDPE(0.965 g/cm³)では、結晶になっている割合がおよそ半分と、およそ8割と大きく違います(第4章の本稿の計算本稿の計算)。 カタログの「PE」の一語は、材料を指定したことになりません。密度、メルトフローレート、触媒の型、コモノマーの4点で、初めて材料が決まります。

2. どれくらい作られているか ― 世界と日本

Plastics Europe の「Plastics the Fast Facts 2025」は、2024年の世界のプラスチック生産量を430.9 Mtと示しています。種類別の割合は、ポリプロピレン19.0%、PE-LD・LLD13.9%、PE-HD・MD12.1%などです事実。 PEとPPの3項目を足すと45.0%、430.9 Mt を掛けると約193.9 Mtです本稿の計算。 ここでいう範囲は、接着剤・塗料・一部の繊維(PA・PET・PBT繊維など)を除いた、プラスチック製品の原料です事実。

日本では、プラスチック循環利用協会が2024年の樹脂生産量853万tのうち、ポリエチレン194万t(22.7%)、ポリプロピレン193万t(22.7%)を公表しています事実。 合計は387万tで、853万tの約45.4%です本稿の計算。日本と世界で、ほぼ同じ割合です。ただし集計の範囲(合成ゴム・合成繊維・液状樹脂の扱いなど)が異なるため、割合を厳密に比べることはできません。

世界のプラスチック生産 430.9 Mt の内訳(2024年) 出所:Plastics Europe「Plastics the Fast Facts 2025」(2024年の暫定値)。接着剤・塗料・一部の繊維などを除く ポリプロピレン(PP) 19.0% PE-LD・LLD 13.9% PVC 12.8% PE-HD・MD 12.1% 再生(使用済み・機械的) 9.5% その他の熱硬化性 8.3% その他の熱可塑性 7.1% PET 6.2% PUR 5.3% PS・PS-E 5.1% PP・PE-LD/LLD・PE-HD/MD の合計 = 45.0%(約193.9 Mt、本稿の計算) 日本(2024年)はPE 22.7%+PP 22.7%=45.4%(協会の公表値の和) ※ 割合は Plastics Europe の公表値(1つの円グラフの各項目)。再生は使用済み品の機械的リサイクル分で、この円グラフでは別項目です。 ※ 日本の範囲は合成ゴム・合成繊維・液状樹脂を除き、世界の範囲と異なるため、割合は直接比べられません。
図1 データ図(ベクター作図)。世界の割合は Plastics Europe[参考資料1]、日本の数値はプラスチック循環利用協会[参考資料2]の公表値です。濃い青がポリオレフィン。合計の45.0%・約193.9 Mt は公表された3項目の割合を足し、430.9 Mt を掛けた本稿の計算です。集計の範囲が日本と世界で異なります。
素材技術者の読みどころ:「汎用」は「簡単」という意味ではない

ポリオレフィンはしばしば「汎用樹脂」と呼ばれ、技術的に成熟した、簡単な材料のように扱われます。しかし量が多いことは、わずかな性能の差が大きな経済価値になることも意味します。 世界のPE・PPの生産量は約193.9 Mtですから、使用量が1%減るだけで約1.9 Mtに相当します本稿の計算。 この分野で触媒、共重合、分子量分布の制御に長い研究が続いてきたのは、このためです。

3. 4つの顔 ― HDPE・LDPE・LLDPE・PP

ポリオレフィンは、鎖の形によって大きく4つに分けて考えると整理できます(解説)。

ポリオレフィンの鎖の構造

ImageGenによる説明用の概念画像(実写・実測像ではありません)。正確な数値・名称・構造は元の模式図をご確認ください。

元の模式図(正確な注記・数値)を表示
鎖の形が違えば、別の材料になる(模式図) 線=炭素の主鎖、枝=分岐、丸=メチル基。原子の数・角度は模式で、実際の分子構造ではありません 高密度ポリエチレン (HDPE) 低密度ポリエチレン (LDPE) 直鎖状低密度PE (LLDPE) ポリプロピレン (PP) 分岐がほとんどない直鎖 長い枝が枝分かれする 短い枝が点在する メチル基が一方の側に揃う 同じ「ポリエチレン」でも、分岐の長さと数で、結晶になりやすさ(密度)が決まる ※ 分岐の種類と物性の対応は高分子化学の一般的な整理(解説)で、特定の製品の構造を示すものではありません。
図2 概念図(ベクター作図)。PE の主な分岐の型と、PP の立体配置を並べた模式図です。メチル基が一方の側に揃うアイソタクチックなPPが結晶性になることは Natta らの報告[参考資料7]によります。枝の数・長さ・角度は模式的なもので、実際の分子構造ではありません。
種類鎖の形できやすい結晶と性格主な製法(解説)
HDPE(高密度ポリエチレン)ほぼ直鎖結晶になりやすく高密度。剛性・耐薬品性が高い配位重合(チーグラー・ナッタ、フィリップス系の酸化クロム触媒、メタロセン)
LDPE(低密度ポリエチレン)長鎖分岐+短鎖分岐結晶化しにくく、透明性・柔軟性がある。溶融張力が大きい高圧・ラジカル重合
LLDPE(直鎖状低密度PE)直鎖に短い枝(コモノマー由来)枝の量で密度を設計できる。突刺し強度・靱性が高い配位重合(エチレンとα-オレフィンの共重合)
PP(ポリプロピレン)メチル基が揃った直鎖アイソタクチックなPPは結晶性で、PEより融点が高い配位重合(チーグラー・ナッタ、メタロセン)

高分子化学の一般的な整理(解説)です。アイソタクチックなポリプロピレンが結晶性になることはNattaらが1955年のJ. Am. Chem. Soc.で報告しました事実[参考資料7]。

実在グレードの値を見る(メーカー公称・代表値)

ExxonMobil が公表する技術データシートから、4つの型に対応するグレードの代表値を並べます。これは用途の異なるグレードを並べたもので、優劣を示すものではありません。試験法はグレードごとに異なり、データシートには「代表値であり、規格値と解釈してはならない(not to be construed as specifications)」と書かれています事実。

グレード(型)密度MFR/MI融解温度データシート日付
HD 6582 Series(HDPEホモポリマー)0.965 g/cm³(ASTM D1505)MI 8.2 g/10 min(190 ℃/2.16 kg、ASTM D1238)ピーク 135 ℃(ExxonMobil Method)2015年3月13日
LD 2023 Series(LDPE)0.923 g/cm³(ASTM D1505)MI 2.0 g/10 min(190 ℃/2.16 kg、ASTM D1238)ピーク 110 ℃(ExxonMobil Method)2022年8月18日
Exceed m 1018.RJ(メタロセンLLDPE、エチレン/1-ヘキセン共重合体)0.918 g/cm³(ASTM D792)MI 1.0 g/10 min(190 ℃/2.16 kg、ASTM D1238)ピーク 118 ℃(ExxonMobil Method)2024年4月19日
PP1013H1(PPホモポリマー)0.900 g/cm³(ExxonMobil Method)MFR 7.5 g/10 min(230 ℃/2.16 kg、ISO 1133)164 ℃(ISO 11357-3)2026年6月11日

すべて事実(ExxonMobil 技術データシート[参考資料10〜13]のメーカー公称の代表値)。PEは190 ℃、PPは230 ℃でMFRを測るのが通例ですが、温度・荷重が違う数値は比べられません。融解温度はPEが独自法、PPがISO 11357-3で、方法が異なります。

材料を指定する側の言葉として、規格には呼称体系があります。ISO 17855-1:2014 は、エチレンのホモポリマーと、他の1-オレフィンが50質量%未満のエチレン共重合体(非オレフィン系の官能基を持つモノマーは3質量%まで)に適用されるPEの呼称体系を定めています事実。 ISO 19069-1:2015 は、PPについて、引張弾性率、衝撃強さ、メルトマスフローレート(MFR)を指定の指標とする分類体系を定めています事実。 MFRの測り方は ISO 1133-1:2022 が規定します事実。いずれも、材料を数字で指定するための枠組みで、第1章の「4点セット」の考え方と同じです。

4. 本稿の計算:密度から結晶化度を見積もる

半結晶ポリマーの密度は、結晶部と非晶部の密度の中間になります。そこで、結晶部と非晶部がそれぞれ決まった密度をもつと仮定すると(二相モデル)、全体の密度から結晶化度(質量分率)を見積もれます。ISO 1183-1:2025 は、非多孔質プラスチックの密度を、液浸法・ピクノメータ法・滴定法で測る方法を規定しています事実。

本稿の計算

密度から結晶化度を見積もります本稿の計算。

  • 式:結晶化度 = (1/ρa − 1/ρ) / (1/ρa − 1/ρc) (ρ:試料の密度、ρa:非晶部の密度、ρc:結晶部の密度)
  • 仮定:ρc = 1.00 g/cm³、ρa = 0.855 g/cm³。ρc は、ポリエチレンの結晶学的な密度が1.00 g/cm³ に近いと記したNBS(現NIST)の報告[参考資料14]に言及があります事実。ρa は本稿が置いた仮定で、文献により0.85〜0.86 g/cm³ 程度と幅があります
  • HD 6582(ρ=0.965)→ 約79%(78.6%)
  • LD 2023(ρ=0.923)→ 約51%(50.8%)
  • Exceed m 1018.RJ(ρ=0.918)→ 約47%(47.3%)

前提と限界:実際には結晶と非晶の中間の界面相があり、二相モデルは近似です。NBSの報告は、溶液から育てたポリエチレン結晶の測定値が1.00 g/cm³ より低い0.98 g/cm³ 付近だったことも示しており、ρc の取り方でも結果は動きます。 DSCやX線で求めた結晶化度とは一致しません。傾向をつかむための計算です。

密度から見積もる結晶化度と、融解ピーク温度(本稿の計算) 二相モデル:結晶化度 = (1/ρa − 1/ρ) / (1/ρa − 1/ρc)。仮定:ρc=1.00、ρa=0.855(g/cm³) 0 25 50 75 100 質量分率の結晶化度(%、本稿の計算) HD 6582(HDPE) 約79% (ρ=0.965) Tm 135 ℃ LD 2023(LDPE) 約51% (ρ=0.923) Tm 110 ℃ Exceed m 1018.RJ(メタロセンLLDPE) 約47% (ρ=0.918) Tm 118 ℃ 融解ピーク温度 LDPE は密度が高いのに融解ピークが低く、メタロセンLLDPEは密度が低いのに高い 結晶化度(量)と融点(結晶の厚さ・完全さ)は、別々の量であることを示す(解説) ※ 密度・融解ピークは ExxonMobil 各グレードの代表値(メーカー公称)。融解ピークの試験法は ExxonMobil 独自法で、規格の方法ではありません。 ※ ρa は本稿の仮定です。実際の結晶化度はDSCなど別の方法の結果と一致するとは限りません。グレード間の優劣を示す図ではありません。
図3 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。密度は ExxonMobil の各グレードの代表値[参考資料10〜12]、結晶の密度1.00 g/cm³ は結晶学的な値としてNBS(現NIST)の報告[参考資料14]に言及があります。結晶化度は本稿が二相モデルと仮定(ρa=0.855)で算出した値で、公表値ではありません。異なる用途のグレードを並べたもので、優劣を示すものではありません。

5. 素材技術者の視点①:結晶の「量」と「厚さ」は別の量

素材技術者の読みどころ:密度が低いのに融点が高い材料がある

図3を見ると、一つの疑問が出ます。LDPE(密度0.923)は、メタロセンLLDPE(密度0.918)より密度が高く、結晶の量も多いはずです。それなのに、メーカー公称の融解ピークはLDPEが110 ℃、メタロセンLLDPEが118 ℃と、逆転しています事実(ExxonMobil Method。グレードにより条件が異なるため参考値)。

これは、結晶の量(密度で見る)と、結晶の厚さ・完全さ(融点で見る)が別の量だからです(本記事による解説)。

  • 結晶化度(密度)は、結晶になっている鎖の割合。分岐やコモノマーが多いと、結晶になれない鎖が増えて下がる
  • 融点は、結晶ラメラの厚さに強く依存する。ラメラが厚く完全であるほど、高い温度まで残る
  • LDPEは長鎖分岐が結晶化の邪魔になり、ラメラが薄くなりやすい。メタロセンLLDPEは短い枝が鎖に均一に入るため、結晶化しやすい直鎖部が比較的揃う、という理屈が考えられる(解説。個々のグレードの構造は未確認)

金属の組織で言えば、「析出物の体積分率」と「粒界の安定性」を別々に見ることに近いです。 仕様書の密度だけで融点を、融点だけで密度を決めつけないことが、PE材料を比べるときの基本です。

6. 触媒 ― チーグラー・ナッタからメタロセンへ

ポリオレフィンの設計は、触媒の歴史でもあります。

  • 1950年代:チーグラー・ナッタ触媒。Zieglerらが1955年にAngewandte Chemieでエチレンなどのオレフィンの重合を報告し事実、Nattaらが同年のJ. Am. Chem. Soc.で結晶性のα-オレフィンの高分子を報告しました事実。1963年のノーベル化学賞は、ZieglerとNattaに高分子の化学と技術の分野での発見に対して授与されています事実
  • 1980年:均一系触媒の高活性化。SinnとKaminskyらは、Cp₂ZrMe₂とアルミノキサン([Al(Me)O]n)からなるチーグラー型触媒で、ジルコニウム1原子あたり少なくとも10,000本のポリエチレン分子が得られ、分子量は条件により10万〜20万の範囲になると報告しました事実
  • 1995年:総説。Brintzingerらは、不均一系のチーグラー・ナッタ触媒と異なり、メタロセン系の均一触媒では重合が主に1種類の金属中心で起こるため、触媒の構造と、分子量・立体化学・結晶化挙動・力学特性などの物性を対応づけられると整理しています。さらに、位置選択性・立体規則性・分子量・分子量分布・コモノマー導入を効率よく制御できること、環状オレフィンの共重合や機能性ポリオレフィンへの道も開くことを述べています事実
触媒の違いと分子量分布

ImageGenによる説明用の概念画像(実写・実測像ではありません)。正確な数値・名称・構造は元の模式図をご確認ください。

元の模式図(正確な注記・数値)を表示
触媒の違い ― 活性点が1種類か、複数種類か(概念図) チーグラー・ナッタ触媒は固体表面に性質の違う活性点が混在し、メタロセン触媒は活性点がほぼ1種類。分布の曲線は模式です チーグラー・ナッタ触媒(不均一) メタロセン触媒(均一・単一活性点) 固体の担体の上に、性質の違う活性点が混在 どの分子も同じ構造の活性点(Zr などの金属中心) 分子量分布:広い 分子量分布:狭い(に近づく) Brintzinger らは、メタロセンでは活性点が1種類のため、構造と物性(分子量・立体規則性・結晶化)を対応づけやすく、 分子量分布やコモノマー導入も制御しやすいと整理しています ※ 横軸は分子量(対数)。曲線は模式で、実際の触媒・樹脂の分布ではありません。 ※ 活性点の図は模式で、実際の触媒の構造ではありません。
図4 概念図(ベクター作図)。メタロセン触媒が「主として1種類の金属中心」で重合が進み、構造と物性を対応づけられること、分子量・分子量分布・コモノマー導入を制御できることは Brintzinger らの総説[参考資料9]の要旨によります。分布の曲線と活性点の絵は模式で、実際の触媒や樹脂の測定結果ではありません。
触媒の型活性点得られる分子量分布・コモノマー分布(解説)設計の自由度
チーグラー・ナッタ(不均一)固体表面に性質の違う活性点が混在分子量分布が広い。コモノマーは分子量や鎖によって入り方が偏りやすいプロセスと触媒の改良で多くを調整。大量生産の主力
メタロセン(均一・単一活性点)ほぼ1種類の金属中心分子量分布が狭く、コモノマーが鎖に均一に入りやすい配位子の構造で、立体規則性・分子量・コモノマー導入を設計[参考資料9]
高圧・ラジカル(LDPE)活性点という概念はなく、フリーラジカル長鎖分岐が多数でき、分布が広い温度・圧力・開始剤で調整

触媒の型の整理は教科書的な内容(解説)です。Brintzinger らの総説[参考資料9]が裏づけるのはメタロセンの単一活性点と制御性で、他の型の性質は一般的な整理です。

素材技術者の読みどころ:触媒は「材料の設計図を書く道具」

メタロセンの要点は、活性点が1種類なので、触媒の分子構造の設計が、そのままポリマー構造の設計になることです。 電池材料でいえば、結晶構造と粒径を一つずつ制御できるようになった、という変化に近いものです(本記事による解説)。

  • PE:コモノマー(ヘキセンなど)を鎖の中に均一に入れられれば、同じ密度でも結晶の厚さ・靱性の分布が変わる。図3のExceedがLDPEより高い融解ピークを示すのは、その現れと考えられる(解説)
  • PP:配位子の構造で立体規則性を制御できる(Brintzingerらの要旨にある立体規則性の制御)。立体規則性は結晶性を決める(第3章)
  • 代償:分子量分布が狭すぎると溶融粘度の高せん断域での低下が小さく、加工しにくい場合がある。そのため、分布を意図的に広げる設計(二峰性など)も使われる(解説)

7. 素材技術者の視点②:融点と、荷重下の耐熱温度は別もの

素材技術者の読みどころ:PPの融点は164 ℃でも、荷重をかけると80 ℃前後

PP1013H1のデータシート(メーカー公称)は、融解温度を164 ℃(ISO 11357-3)としています。ところが同じシートの荷重たわみ温度は、 0.45 MPaで80.5 ℃(ISO 75-2/B)、1.80 MPaで53.6 ℃(ISO 75-2/A)です。ビカット軟化温度は154 ℃(ISO 306/A50)です事実。

HDPE(HD 6582)も同様で、融解ピーク135 ℃に対し、荷重たわみ温度は66 psi(約0.455 MPa)で87 ℃、264 psi(約1.82 MPa)で49 ℃です(ASTM D648)事実。試験規格が異なるため、PPとの数値の比較はしません。

理由は、第3〜5章で見た、結晶と非晶が混在する半結晶の構造にあります(本記事による解説)。結晶は融点まで残りますが、結晶のあいだの非晶部は、ガラス転移点を超えると柔らかくなります。荷重がかかると、非晶部が先に変形します。 カタログの融点から「その温度まで使える」と読むと設計を誤ります。この見方は、本シリーズ「熱可塑性と熱硬化性」編の荷重たわみ温度の議論と同じです。

対策として、ガラス繊維などで補強する、造核して結晶を増やす、PPなら融点の高いグレードを選ぶ、といった設計が使われます(解説)。

8. 用途 ― メーカーが挙げる使われ方

ExxonMobil のデータシートが、各グレードの用途として挙げているものは次のとおりです。型ごとの使われ方の違いがよく分かります事実。

グレード(型)データシートに挙げられた用途データシートの説明(要約)
LD 2023 Series(LDPE)共押出フィルム、ラミネート用フィルム、食品包装、ディスプレイ包装、製袋充填良好な光学特性とシール性。ラミネートフィルムの高い一貫性に適した狭い規格で製造
Exceed m 1018.RJ(メタロセンLLDPE)ブローフィルム、ストレッチフィルム、重袋、ごみ袋、冷凍用フィルム、スタンドアップパウチなど引張・衝撃・突刺し性能に優れ、ダウンゲージ(薄肉化)を支える。フッ素ポリマーおよびTNPPは意図的に添加していない
HD 6582 Series(HDPE)ケース、クレート、ホットフィル用パレット、物流用品、トートボックス、構造発泡品非常に高い剛性。加工性と低温衝撃性のバランスが良い
PP1013H1(PPホモポリマー)ラボ用品、医療用包装、医療・ヘルスケア。射出成形医療・製薬用途の認証要件に適合。低溶出、オートクレーブ・EOG・蒸気滅菌が可能

すべて事実(ExxonMobil データシートの記載を要約。出典は参考資料10〜13)。グレード名はメーカーの商標です。

素材技術者の読みどころ:用途は「求める物性の組み合わせ」の写像

4つの型の用途を物性から読み直すと、次のようになります(本記事による解説)。

  • フィルムはPEの世界:柔軟性、突刺し強度、シール性、光学特性が重なる。LDPEの溶融張力と、LLDPEの靱性を組み合わせることが多い
  • 硬い成形品はHDPE・PP:剛性、耐薬品性、耐熱のバランス。滅菌が必要な医療用では、PPの耐熱が効く
  • 「安全性」の言葉づかい:データシートは「低溶出」「滅菌可能」などと書くが、これは製品の個別評価であり、ポリオレフィン全般の安全性の保証ではない。食品接触・医療用は、法規と個別の適合確認によって決まる

9. リサイクルの現状

ポリオレフィンのリサイクルの数字は、統計ごとに「何を数えているか」が異なります。まず定義つきで並べます。

出所数字定義・対象
プラスチック循環利用協会(日本、2024年)廃プラスチック総排出量911万tのうち、ポリエチレン277万t(30.4%)、ポリプロピレン204万t(22.4%)。合計481万t(約52.8%)廃プラの樹脂別の内訳。5区分(PE、PP、PVC、ポリスチレン類、その他)。合計は本稿の足し算
同上廃プラ全体で、マテリアルリサイクル20%、ケミカルリサイクル3%、サーマルリサイクル67%、有効利用率89%樹脂別ではなく全体の数字。サーマルリサイクルに発電焼却・固形燃料/セメント原燃料化などを含む。有効利用率=有効利用量/廃プラ総排出量
Eurostat(EU、2023年)プラスチック包装廃棄物の42.1%がリサイクル。1人あたり発生35.3 kg、リサイクル14.8 kg包装指令第6条1項(g)に従う算出。家庭・事業・行政を含む経済全体で発生した包装廃棄物が対象。樹脂別の値ではない
Plastics Europe(世界、2024年)世界の生産430.9 Mtの9.5%が機械的リサイクル由来(使用済み)、0.1%が化学的リサイクル由来生産量に占める再生品の割合。機械的・化学的は個別に示せないとの注記あり

すべて事実(プラスチック循環利用協会[参考資料2]、Eurostat[参考資料3]、Plastics Europe[参考資料1])。統計の定義が異なるため、数字どうしを直接比べたり、一つの「リサイクル率」にまとめたりすることはできません。

EUでは、包装・包装廃棄物規則(Regulation (EU) 2025/40、PPWR)が、2026年8月12日から適用されます事実。 第7条は、プラスチック包装のプラスチック部分が含むべき使用済みプラスチック由来の再生材の最低割合を、製造工場ごと・年ごとの平均で定めています。 2030年1月1日(または実施法の発効から3年後のいずれか遅い日)以降は、PET製の接触敏感包装30%、PET以外の接触敏感包装10%、使い捨てプラスチック飲料ボトル30%、それ以外のプラスチック包装35%です。 2040年1月1日までに、それぞれ50%、25%、65%、65%に上がります事実。

EUの包装規則:プラスチック包装の再生材の最低含有率 Regulation (EU) 2025/40 第7条。使用済みプラスチックから回収した再生材の割合(製造工場ごと・年ごとの平均) 0 20 40 60 80 最低再生材含有率(%) PET製の接触敏感包装 (使い捨て飲料ボトルを除く) 2030年 30% 2040年 50% PET以外の接触敏感包装 (同上) 2030年 10% 2040年 25% 使い捨てプラスチック 飲料ボトル 2030年 30% 2040年 65% 上記以外のプラスチック包装 2030年 35% 2040年 65% ポリオレフィン包装の多くは「上記以外」に入り、2030年に35%、2040年に65%が求められる ※ 適用開始は2026年8月12日。2030年値は「2030年1月1日、または実施法の発効から3年後のいずれか遅い日」から。例外(医薬品の直接包装など)あり。 ※ どの樹脂の包装がどの区分に入るかは、同規則の定義と附属書によります(本図は区分のみ)。
図5 データ図(ベクター作図)。数値は Regulation (EU) 2025/40 第7条第1項・第2項の条文[参考資料4]からの転記です。「ポリオレフィン包装の多くが『上記以外』に入る」は本稿の解説で、規則が樹脂別に定めた値ではありません。

再生材の品質をめぐる技術的な論点は、次のとおりです。

  • SchynsとShaverは、PET・ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・塩化ビニル樹脂という5つの主要な包装用プラスチックの機械的リサイクルを整理し、コスト、力学特性の劣化、品質の不均一が現在の制約だと述べています。混合された廃棄物のポリマーブレンドを改善する手法と、低品質の再生材の用途にも触れています事実
  • Patelらは、高密度ポリエチレンの再処理で、初期には主鎖の切断が支配的で、酸素への暴露が増えると長鎖分岐が支配的になることを示し、レオロジーの模擬実験により、使用済み再生材の品質を評価する方法の可能性を示しました事実
  • ISO 18263-1:2015 は、軟質・硬質の消費者向け包装に用いるPPとPEの再生材の混合物の呼称体系と仕様の基礎を定めています事実。PEとPPが混ざった状態の再生材が実際に流通することを前提にした規格です(解説)

10. 素材技術者の視点③:ポリオレフィンのリサイクルが抱える3つの課題

素材技術者の読みどころ:ポリオレフィンの難しさは「材料が悪い」のではなく「似すぎている」こと

PETのように明確な再生の道(ボトルtoボトルなど)がある樹脂と比べて、ポリオレフィンの課題は性格が異なります(本記事による解説)。

  • ① 似たものが混ざる:PEとPPは見た目や比重が近く、選別機でも分けにくい。しかも両者は互いに混ざりにくく、混ざった再生材は力学特性が落ちやすい。ISO 18263-1 が混合物の規格を用意しているのは、混合が現実だからである
  • ② 劣化の向きが一定でない:Patelらの結果は、同じHDPEでも、初期の切断(分子量が下がる)と、酸素存在下の長鎖分岐(粘度や弾性が上がる)が競合することを示す。再生材の品質は、「分子量が下がった」だけでは説明できない。MFR(1点の流れやすさ)だけで品質を判断すると、切断と分岐の差を見逃す(本シリーズ「ポリマーの基礎」編の「MFRは分布の形を表さない」と同じ構図)
  • ③ 接触敏感用途の壁:PPWRが、接触敏感のPET以外の包装に求める再生材の割合を、2030年に10%とし、それ以外の包装の35%より低く置いていることは、食品接触などで再生ポリオレフィンを使うことの難しさを反映していると読める(解説。規則は理由を条文の数値自体では示していない)

化学的な再生(熱分解などで原料に戻す方法)は、主鎖が炭素どうしの単結合だけでできているため、PETの解重合のように穏やかな条件では進みません。この点は、本シリーズ「ケミカルリサイクル」編で詳しく扱います。

11. 課題と、本稿で確認できなかったこと

(1) 日本のPEの種類別生産量

HDPE・LDPE・LLDPEの日本国内での種類別の生産量は、本稿の調査範囲では公的統計で確認できませんでした。プラスチック循環利用協会は、ポリエチレンを一つの区分として示しています。

(2) 樹脂別のリサイクル率

日本の統計は、廃プラの樹脂別内訳は示しますが、ポリエチレン・ポリプロピレン別のリサイクル率は示していません。EUの統計も、包装全体の率で樹脂別ではありません。本稿は「ポリオレフィンのリサイクル率は○%」という数字を作っていません。

(3) グレード値の比較

第3章の表は、異なる試験法・異なる用途のグレードの代表値で、型どうしの性能比較はできません。融解ピークの試験法(ExxonMobil独自法)も規格の方法ではありません。

(4) 触媒の原論文の本文

Ziegler(1955年)、Natta(1955年)、Sinn・Kaminsky(1980年)、Brintzinger(1995年)は、書誌情報と要旨(利用できたもの)を確認しました。原論文の本文は読めていません。特に、Zieglerらの論文は要旨が確認できず、題名と発表の事実にとどめています。

(5) PPWRの区分への当てはめ

どの包装が「接触敏感」に当たるかなどの定義は、規則の本文と附属書、実施法で決まります。本稿は条文の数値の転記にとどめ、個別の製品への当てはめは行っていません。

この記事のまとめ
  • PEとPPは、世界のプラスチック生産の45.0%(約193.9 Mt)を占めます。日本でも約45.4%です事実本稿の計算
  • 「PE」の一語は材料を決めません。密度、MFR、触媒の型、コモノマーで決まります。密度から見積もった結晶化度は、HDPEで約79%、LDPEで約51%でした本稿の計算
  • 結晶の量(密度)と厚さ(融点)は別の量です。LDPEは密度が高いのに融解ピークが低いグレードがあります事実
  • メタロセンの要点は、活性点が1種類であること。触媒の設計がポリマー構造の設計になります事実
  • 融点は荷重下の耐熱温度ではありません。PP1013H1は融解164 ℃に対し、荷重たわみ温度は80.5 ℃(0.45 MPa)です事実
  • リサイクルの数字は定義で読む。EUのプラスチック包装は42.1%(2023年)、日本の有効利用率89%の大半は熱回収です事実。PPWRは2030年にその他の包装へ35%の再生材を求めます事実

12. 用語集

オレフィン
炭素の二重結合を持つ炭化水素。エチレン、プロピレンなど。
HDPE/LDPE/LLDPE
高密度/低密度/直鎖状低密度ポリエチレン。分岐の型で分ける。
長鎖分岐/短鎖分岐
主鎖に付いた長い枝/短い枝(コモノマー由来など)。
コモノマー
主モノマーと一緒に重合させる別のモノマー。LLDPEのヘキセンなど。
立体規則性(タクチシティ)
側鎖の並びの規則性。アイソタクチックは同じ側に揃う。
チーグラー・ナッタ触媒
遷移金属化合物と有機アルミニウムからなる配位重合触媒。1950年代に発見。
メタロセン触媒
シクロペンタジエニル系配位子をもつ金属錯体。単一活性点で、構造を設計しやすい。
MAO(メチルアルミノキサン)
メタロセンを活性化する助触媒。Cp₂ZrMe₂との組み合わせで高活性を示した。
MI/MFR
メルトインデックス/メルトマスフローレート。決めた温度と荷重での流れやすさ。
二相モデル
結晶部と非晶部がそれぞれ決まった密度を持つとみなして、全体の結晶化度を見積もる近似。
荷重たわみ温度(HDT/DTUL)
一定荷重・一定昇温で決めた量たわむ温度。最高使用温度ではない。
PPWR
EUの包装・包装廃棄物規則(Regulation (EU) 2025/40)。
接触敏感包装
PPWRの用語。食品などと接触する包装のうち、再生材の含有に制約があるもの(定義は規則本文による)。
機械的リサイクル
粉砕・洗浄・再溶融で再び樹脂にする再生。

13. 参考資料(一次情報)

  1. Plastics Europe「Plastics the Fast Facts 2025」2025年10月(2024年の暫定値、PDF) — https://plasticseurope.org/wp-content/uploads/2025/09/PE_TheFacts_25_digital-1pager-scrollable.pdf
  2. プラスチック循環利用協会「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況 マテリアルフロー図 2024年」2025年12月発行(PDF) — https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf2.pdf
  3. Eurostat「Plastic packaging waste in the EU: 35.3 kg per person」2025年10月22日 — https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-eurostat-news/w/ddn-20251022-1
  4. 欧州連合 Regulation (EU) 2025/40 on packaging and packaging waste(2024年12月19日、官報2025年1月22日) — https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=OJ:L_202500040
  5. Nobel Prize「The Nobel Prize in Chemistry 1963」 — https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/1963/summary/
  6. Ziegler ら「Polymerisation von Äthylen und anderen Olefinen」Angew. Chem. 67, 426(1955年) — https://doi.org/10.1002/ange.19550671610
  7. Natta ら「Crystalline high polymers of α-olefins」J. Am. Chem. Soc. 77, 1708–1710(1955年) — https://doi.org/10.1021/ja01611a109
  8. Sinn, Kaminsky, Vollmer「“Living polymers” on polymerization with extremely productive Ziegler catalysts」Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 19, 390–392(1980年) — https://doi.org/10.1002/anie.198003901
  9. Brintzinger, Fischer, Mülhaupt, Rieger, Waymouth「Stereospecific olefin polymerization with chiral metallocene catalysts」Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 34, 1143–1170(1995年) — https://doi.org/10.1002/anie.199511431
  10. ExxonMobil Chemical Product Datasheet「ExxonMobil™ LD 2023 Series」(改訂日 2022年8月18日、メーカー公称の代表値) — https://www.exxonmobilchemical.com/en/chemicals/webapi/dps/v1/datasheets/150000000512/0/en
  11. ExxonMobil Chemical Product Datasheet「Exceed™ m 1018.RJ」(改訂日 2024年4月19日、メーカー公称の代表値) — https://www.exxonmobilchemical.com/en/chemicals/webapi/dps/v1/datasheets/150000104563/0/en
  12. ExxonMobil Chemical Product Datasheet「ExxonMobil™ HD 6582 Series」(改訂日 2015年3月13日、メーカー公称の代表値) — https://www.exxonmobilchemical.com/en/chemicals/webapi/dps/v1/datasheets/150000000413/0/en
  13. ExxonMobil Chemical Product Datasheet「ExxonMobil™ PP1013H1」(改訂日 2026年6月11日、メーカー公称の代表値) — https://www.exxonmobilchemical.com/en/chemicals/webapi/dps/v1/datasheets/150000000280/0/en
  14. NBS(現NIST) Martin, Passaglia「Density of polyethylene crystals grown from solution」J. Res. Natl. Bur. Stand. 70A, 3(1966年) — https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/jres/070/3/V70.N03.A02.pdf
  15. ISO ISO 1183-1:2025「Plastics — Methods for determining the density of non-cellular plastics — Part 1」 — https://www.iso.org/standard/85977.html
  16. ISO ISO 17855-1:2014「Plastics — Polyethylene (PE) moulding and extrusion materials — Part 1」 — https://www.iso.org/standard/60831.html
  17. ISO ISO 19069-1:2015「Plastics — Polypropylene (PP) moulding and extrusion materials — Part 1」 — https://www.iso.org/standard/63872.html
  18. ISO ISO 11357-3:2025「Plastics — Differential scanning calorimetry (DSC) — Part 3」 — https://www.iso.org/standard/11357-3
  19. ISO ISO 18263-1:2015「Plastics — Mixtures of polypropylene (PP) and polyethylene (PE) recyclate derived from PP and PE used for flexible and rigid consumer packaging — Part 1」 — https://www.iso.org/standard/61908.html
  20. Schyns, Shaver「Mechanical recycling of packaging plastics: a review」Macromol. Rapid Commun. 42(3), 2000415(2020年にオンライン公開) — https://doi.org/10.1002/marc.202000415
  21. Patel ら「Defining quality by quantifying degradation in the mechanical recycling of polyethylene」Nat. Commun. 15, 8733(2024年) — https://doi.org/10.1038/s41467-024-52856-8
  22. ISO ISO 1133-1:2022「Plastics — Determination of the melt mass-flow rate (MFR) and melt volume-flow rate (MVR) of thermoplastics — Part 1」 — https://www.iso.org/standard/83905.html

14. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
世界のプラスチック生産430.9 Mt(2024年)。PP 19.0%、PE-LD・LLD 13.9%、PE-HD・MD 12.1%、PVC 12.8%、再生(使用済み・機械的)9.5%、その他の熱硬化性8.3%、その他の熱可塑性7.1%、PET 6.2%、PUR 5.3%、PS 5.1%。化学的リサイクル由来0.1%。対象範囲から接着剤・塗料・一部の繊維が除かれることPlastics Europe「Plastics the Fast Facts 2025」出典1 https://plasticseurope.org/wp-content/uploads/2025/09/PE_TheFacts_25_digital-1pager-scrollable.pdf事実
日本の2024年の樹脂生産量853万tのうちポリエチレン194万t(22.7%)、ポリプロピレン193万t(22.7%)。廃プラ総排出量911万tのうちポリエチレン277万t(30.4%)、ポリプロピレン204万t(22.4%)。マテリアル20%・ケミカル3%・サーマル67%・有効利用率89%プラスチック循環利用協会 マテリアルフロー図 2024年出典2 https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf2.pdf事実
EUで2023年にプラスチック包装廃棄物の42.1%がリサイクル。1人あたり発生35.3 kg、リサイクル14.8 kg。包装指令第6条1項(g)に従う算出で、経済全体の包装廃棄物が対象Eurostat ニュース記事出典3 https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-eurostat-news/w/ddn-20251022-1事実
Regulation (EU) 2025/40 第7条:2030年(2030年1月1日または実施法の発効から3年後のいずれか遅い日)にPET接触敏感30%、PET以外の接触敏感10%、使い捨て飲料ボトル30%、その他35%。2040年に50%・25%・65%・65%。製造工場ごと・年ごとの平均。2026年8月12日から適用EUR-Lex の規則本文(第7条第1項・第2項、第71条)をブラウザで開いて確認出典4 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=OJ:L_202500040事実
1963年のノーベル化学賞がZieglerとNattaに、高分子の化学と技術の分野での発見に対して授与されたことNobel Prize 公式ページ出典5 https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/1963/summary/事実
Zieglerらが1955年にAngewandte Chemieで「Polymerisation von Äthylen und anderen Olefinen」を発表したこと(要旨は未確認)書誌情報(Crossref・出版社ページ)出典6 https://doi.org/10.1002/ange.19550671610事実
Nattaらが1955年のJ. Am. Chem. Soc.で結晶性のα-オレフィンの高分子を報告したこと。アイソタクチックPPが結晶性になること題名・書誌情報(Crossref)。本文は未確認出典7 https://doi.org/10.1021/ja01611a109事実
Cp₂ZrMe₂とアルミノキサンの触媒でZr 1原子あたり少なくとも10,000本のPE分子が得られ、分子量は10万〜20万Sinn らの論文の要旨出典8 https://doi.org/10.1002/anie.198003901事実
メタロセン系均一触媒では主に1種類の金属中心で重合が起こること。触媒構造と分子量・立体化学・結晶化挙動・力学特性を対応づけられること。位置選択性・立体規則性・分子量・分子量分布・コモノマー導入を制御できることBrintzinger らの総説の要旨出典9 https://doi.org/10.1002/anie.199511431事実
LD 2023 Series:密度0.923 g/cm³(ASTM D1505)、MI 2.0 g/10 min(190 ℃/2.16 kg、ASTM D1238)、ピーク融解温度110 ℃(ExxonMobil Method)。用途・説明。データシートの「代表値であり規格値ではない」旨ExxonMobil データシート(2022年8月18日)出典10 https://www.exxonmobilchemical.com/en/chemicals/webapi/dps/v1/datasheets/150000000512/0/en事実
Exceed m 1018.RJ:エチレン/1-ヘキセン共重合体、密度0.918 g/cm³(ASTM D792)、MI 1.0 g/10 min、ピーク融解温度118 ℃(ExxonMobil Method)。用途・フッ素ポリマーとTNPPを意図的に添加していないことExxonMobil データシート(2024年4月19日)出典11 https://www.exxonmobilchemical.com/en/chemicals/webapi/dps/v1/datasheets/150000104563/0/en事実
HD 6582 Series:密度0.965 g/cm³(ASTM D1505)、MI 8.2 g/10 min、ピーク融解温度135 ℃(ExxonMobil Method)、DTUL 66 psiで87 ℃・264 psiで49 ℃(ASTM D648)。用途ExxonMobil データシート(2015年3月13日)出典12 https://www.exxonmobilchemical.com/en/chemicals/webapi/dps/v1/datasheets/150000000413/0/en事実
PP1013H1:MFR 7.5 g/10 min(230 ℃/2.16 kg、ISO 1133)、密度0.900 g/cm³、融解温度164 ℃(ISO 11357-3)、荷重たわみ温度80.5 ℃(0.45 MPa、ISO 75-2/B)・53.6 ℃(1.80 MPa、ISO 75-2/A)、ビカット154 ℃(ISO 306/A50)。用途ExxonMobil データシート(2026年6月11日)出典13 https://www.exxonmobilchemical.com/en/chemicals/webapi/dps/v1/datasheets/150000000280/0/en事実
ポリエチレンの結晶学的な密度が1.00 g/cm³ に近いこと。溶液から育てた結晶の実測は0.98 g/cm³ 付近だったことNBS(現NIST)Martin, Passaglia の報告出典14 https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/jres/070/3/V70.N03.A02.pdf事実
ISO 1183-1:2025 が液浸法・ピクノメータ法・滴定法で密度を測る方法を定めること題名・適用範囲出典15 https://www.iso.org/standard/85977.html事実
ISO 17855-1:2014 のPEの呼称体系の適用範囲(ホモポリマーと他の1-オレフィン50質量%未満の共重合体、非オレフィン系官能基モノマー3質量%まで)題名・適用範囲出典16 https://www.iso.org/standard/60831.html事実
ISO 19069-1:2015 がPPの分類を引張弾性率・衝撃強さ・MFRで行うこと題名・適用範囲出典17 https://www.iso.org/standard/63872.html事実
ISO 11357-3:2025 が融解・結晶化の温度とエンタルピーのDSC測定法を定めること題名・適用範囲出典18 https://www.iso.org/standard/11357-3事実
ISO 18263-1:2015 がPPとPEの再生材の混合物の呼称体系・仕様の基礎を定めること題名出典19 https://www.iso.org/standard/61908.html事実
主要5種の包装用プラスチックの機械的リサイクルの制約(コスト、力学特性の劣化、品質の不均一)。混合廃棄物のブレンド改善、低品質再生材の用途にも触れていることSchyns, Shaver のレビューの要旨出典20 https://doi.org/10.1002/marc.202000415事実
HDPEの再処理で初期は主鎖切断が支配的、酸素が増えると長鎖分岐が支配的。レオロジー模擬で再生材品質の評価の可能性Patel らの要旨出典21 https://doi.org/10.1038/s41467-024-52856-8事実
ISO 1133-1:2022 がMFR・MVRの測定法を温度と荷重を決めて定めること題名・適用範囲出典22 https://www.iso.org/standard/83905.html事実
PE・PPの合計45.0%・約193.9 Mt、日本の387万t・約45.4%、廃プラのPE+PP合計481万t・約52.8%、1%減=約1.9 Mt、密度からの結晶化度(約79%・51%・47%)本稿の計算。前提:公表された割合・量の足し算と掛け算、二相モデルの式、ρc=1.00・ρa=0.855 g/cm³(ρaは本稿の仮定)本稿の計算
4つの型の分岐構造の整理、触媒の型ごとの分子量分布・コモノマー分布の性質、結晶の量と厚さが別の量であること、LDPE・メタロセンLLDPEの融点の逆転の理由の推定、PPとPEの用途と物性の対応、リサイクルの3つの課題の整理、PPWRの数値の読み取り高分子科学の一般的な整理と公表値にもとづく本記事の解説。各機関が表明した見解ではない解説
日本のHDPE・LDPE・LLDPE別生産量、PE・PP別のリサイクル率、Ziegler・Natta・Sinn・Brintzingerの原論文の本文本稿の調査範囲では確認できなかった未確定/将来
図1〜図5が説明用の作図、データ図、または本稿の計算であること。ヒーロー画像がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月2日/出典は一次情報(Plastics Europe・プラスチック循環利用協会・Eurostat の統計、EU規則の条文、メーカーの技術データシート、規格の題名と適用範囲、査読論文の書誌と要旨)に限定しています。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 日本のPE種類別生産量、PE・PP別のリサイクル率、触媒の原論文の本文は、確認できなかったため記載していません。 図3の結晶化度は、ρa=0.855 g/cm³ という仮定にもとづく計算です。メーカーの値は、用途の異なるグレードの代表値で、優劣を示すものではありません。図はすべて説明用の概念図、データ図、または本稿の計算です。図1〜図5はベクター作図、ヒーロー画像はAI生成イメージであり、いずれも実際の分子構造・測定データ・製品の実物を示すものではありません。