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ポリエステルとPET 技術解説 | Troy Technical

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TECHNOLOGY EXPLAINER

ポリエステルとPET
― 最後の1%の反応と、固相重合という工程が、ボトルtoボトルまでつながっている

PET(ポリエチレンテレフタレート)は、飲料ボトル、繊維、フィルムとして最も身近なポリエステルです。 ところが、PETを「ボトルにできる分子量」まで育てるには、反応が99.5%を超える領域で低分子を取り除き続けなければならず、そのために固相重合という工程が使われます。 この工程は、使用済みボトルを食品用に戻すボトルtoボトルでも、除染と分子量回復の鍵になります。 この記事では、PET・PBT・PEN、重合と固相重合、機械的リサイクルと解重合の関係を、素材技術者の目線で整理します。

構成:EU規則(EUR-Lex)、EFSAの科学的意見、査読論文(Duh)、Plastics Europe、日本化学繊維協会の統計、ISO・ASTM規格を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

成形工場の作業台に、左から透明なPETチップの山、試験管のような形のプリフォーム、無地の透明なボトルが並び、奥に白い糸の糸巻きと透明フィルムのロールが見える概念イメージ
概念図(AI生成イメージ)。透明なPETチップが、プリフォームを経てボトルになる流れと、奥に繊維(糸巻き)とフィルム(ロール)という、ポリエステルの主な使われ方を成形工場の場面として表現したものです。実際の製品・設備・形状・材料を示すものではありません。
この記事の構成
  1. ポリエステルとPETとは何か(3行でつかむ)
  2. PET・PBT・PEN ― 構成の違いと、粘度の読み方
  3. PETができるまで ― 3段階の重合
  4. 本稿の計算:PET 1 kgを作るときの物質収支
  5. 素材技術者の視点①:溶融状態では、最後まで伸ばしきれない
  6. 固相重合 ― 融点より低い温度で、チップのまま伸ばす
  7. 素材技術者の視点②:固相重合は「分子量を上げる」と「汚れを抜く」を同時に担う
  8. ボトルtoボトル ― 食品に戻すための条件
  9. 本稿の計算:食品接触の許容濃度はどのくらい小さいか
  10. 素材技術者の視点③:機械的リサイクルと解重合は、戻る場所が違う
  11. 繊維・フィルム・ボトル ― 用途と構造のつながり
  12. 課題と、本稿で確認できなかったこと
  13. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公表資料・査読論文・規格・法令・行政機関の評価に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標・見通しであり、実績が確認できていない事項
このほか、高分子科学の教科書的な整理や、材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。

1. ポリエステルとPETとは何か(3行でつかむ)

  • 何か:ポリエステルは、主鎖にエステル結合を持つ高分子の総称です。PETはその代表で、EUの再生プラスチック規則(2022/1616)の付属書は、PETを、エチレングリコールと、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルの重縮合で作られ、主鎖に最大10 w/w%の他のコモノマー(イソフタル酸、ジエチレングリコールなど)を含みうるポリマーと定義しています事実
  • どれくらいか:Plastics Europe の2024年の世界のプラスチック生産430.9 Mtのうち、PETは6.2%です事実。ただしこの統計は、PET繊維・PBT繊維・PA繊維を対象に含めていません事実。繊維を含めたPETの総量は、6.2%という割合より大きいはずです(解説)
  • 何が難しいか:重縮合は低分子を取り除きながら進める平衡反応です。ボトルに必要な分子量までは、溶融状態だけでは伸ばしきれません。そのため固相重合が使われ、この工程がリサイクルの除染にも使われます(第6〜8章)(解説)
この記事でいちばん大事な一行

PETのリサイクルは、「分子量をどう回復するか」と「汚染物質をどう抜くか」を同時に解く問題です。 EU規則の付属書は、機械的リサイクルを、選別・粉砕・洗浄などのあとに、プラスチックを熱と、真空または気流のもとに最小時間以上置いて、偶発的な汚染を健康上の懸念がない水準まで除く「除染」が決定的な段階である技術と記しています。 この技術はポリマーの鎖を保ち、分子量を上げることもあるとされ、分子量のわずかな低下が意図せず起こることもあるとも書かれています事実。 PETを高分子量にする固相重合と、PETを食品用に戻す除染が、同じ装置・同じ操作条件(温度・減圧・時間)で結ばれていることが、この分野のいちばんの面白さです(本記事による解説)。

2. PET・PBT・PEN ― 構成の違いと、粘度の読み方

ポリエステルは、酸の部分とジオールの部分をエステル結合でつないだものです。何を組み合わせるかで、結晶化の速さ、耐熱、バリア性が変わります(解説)。

3つのポリエステル ― 酸の部分とジオールの部分の組み合わせ(概念図) 四角=繰り返し単位を作るブロック。環の絵は描かず、成分の違いだけをブロックで示します(分子構造図ではありません) PET ポリエチレンテレフタレート テレフタル酸 ベンゼン環1つ ジオール 炭素2つ 酸:テレフタル酸 ジオール:エチレングリコール (つなぎ目はエステル結合) PBT ポリブチレンテレフタレート テレフタル酸 ベンゼン環1つ ジオール 炭素4つ 酸:テレフタル酸 ジオール:1,4-ブタンジオール (つなぎ目はエステル結合) PEN ポリエチレンナフタレート ナフタレン ベンゼン環2つ分 ジオール 炭素2つ 酸:ナフタレンジカルボン酸 ジオール:エチレングリコール (つなぎ目はエステル結合) 酸もジオールも短く剛直。 結晶化は比較的ゆっくりで、 急冷すれば非晶のまま固められる ジオールが長く柔軟。 結晶化が速く、 射出成形品向きの傾向 環が大きく鎖が動きにくい。 耐熱・バリア性が高い方向 の傾向 組み合わせを変えると、結晶化の速さ・耐熱・バリア性が変わる。構成が材料の性格を決める ※ 性格の記述は高分子化学の一般的な傾向の整理(解説)で、数値を伴う比較ではありません。 ※ 具体的な Tg・融点などは、グレードごとのデータシートで試験法とともに確認してください。
図1 概念図(ベクター作図)。3つのポリエステルの構成成分をブロックで示した模式図です。PETが「エチレングリコールとテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルの重縮合で作られる」ことは EU 規則 2022/1616 の付属書[参考資料3]の定義によります。PBT・PENの記述と性格の傾向は本記事の解説で、特定のグレードの物性値ではありません。
ポリマー構成主な用途の傾向(解説)
PETテレフタル酸(またはDMT)+エチレングリコール飲料ボトル、繊維、フィルム、シート
PBTテレフタル酸(またはDMT)+1,4-ブタンジオール電気・電子部品や自動車部品など、射出成形の機能部品(本シリーズ「ポリカーボネートとABS樹脂」「PEEKとスーパーエンプラ」編と対比して読めます)
PENナフタレンジカルボン酸+エチレングリコール耐熱性やバリア性が求められるフィルムなど

用途の整理は一般的な傾向(解説)です。本稿は、PET・PBT・PENの Tg・融点などの数値を、試験法とあわせて確認できた資料がなかったため、示していません(第12章)。

分子量の指標としての「固有粘度(IV)」

PETの分子量は、実務では分子量そのものではなく、希薄溶液の粘度から求める固有粘度(IV)や粘度数で表されます。

  • ASTM D4603-18:PETのインヘレント粘度を、60/40のフェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン溶液、濃度0.50%で、ガラス毛細管粘度計を使って求める方法を規定しています。高結晶性のPETは、別の手順が必要で対象外です事実
  • ISO 1628-5:熱可塑性ポリエステルの単独重合体・共重合体について、毛細管粘度計による希薄溶液粘度の測定法を規定しています事実
  • ISO 20028-1:2019:熱可塑性ポリエステル(PET、PBT、PCT、PEN、PBNなどのホモポリマーと共重合体)の成形・押出材料の呼称体系で、粘度数と引張弾性率が指定の指標です。同じ呼称の材料が必ずしも同じ性能を示すことを意味しない、と断っています事実

IVは、溶媒・温度・濃度を決めた相対的な指標です(本シリーズ「ポリマーの基礎」編の第4章)。数値は測定法とセットで読みます。たとえば、IVの値だけを比べるとき、溶媒が異なれば値は変わります(解説)。

3. PETができるまで ― 3段階の重合

PETの重合は、大きく3段階に分けて理解できます(図2)。内容は高分子化学の標準的な整理です[参考資料2](解説)。

PETの製造工程と副生成物

ImageGenによる説明用の概念画像(実写・実測像ではありません)。正確な数値・名称・構造は元の模式図をご確認ください。

元の模式図(正確な注記・数値)を表示
PETができるまで ― 3段階で分子量を上げる(概念図) 各段階で出る低分子(水・メタノール・エチレングリコール)を取り除くことが、分子量を上げる鍵です 原料 テレフタル酸(TPA) またはテレフタル酸ジメチル (DMT)+エチレングリコール ①エステル化/ エステル交換 TPAなら水、DMTなら メタノールを除く ②溶融重縮合 高温・高真空 エチレングリコールを 除いて鎖を伸ばす ③固相重合 チップのまま 融点より低い温度で さらに鎖を伸ばす 分子量の目安(定性的) オリゴマー(低分子量) プレポリマー ボトルでは不足なことがある ボトル用に必要な高分子量 出ていく低分子 水(TPA)/メタノール(DMT) エチレングリコール エチレングリコール(微量) 重縮合は平衡反応。出ていく低分子を取り除き続けないと、鎖は伸びない ※ 工程の整理は教科書的な内容(解説)。使い分けの詳細は工場・グレードによって異なります。分子量の棒は定性的な模式で、数値ではありません。 ※ PETの原料がTPAまたはDMTとエチレングリコールであることは EU 規則 2022/1616 付属書の定義[参考資料3]によります。
図2 概念図(ベクター作図)。PETの製造工程を3段階(エステル化/エステル交換、溶融重縮合、固相重合)に整理した模式図です。固相重合のモデル化は Duh の論文[参考資料6]、PETの重縮合が可逆的である点(低分子の除去が必要)は高分子化学の教科書的な整理[参考資料2]によります。温度・時間・分子量の数値は示しておらず、工場やグレードで異なります。
段階起きること取り除くものこの段階で止めると
① エステル化/エステル交換テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)、またはテレフタル酸ジメチル(DMT)とEGが反応し、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)や低分子量のオリゴマーになるTPAの場合は水、DMTの場合はメタノール低分子量のオリゴマー。繊維にもボトルにもならない
② 溶融重縮合オリゴマー末端どうしが反応して鎖が伸びる。EGが副生するエチレングリコール(高温・高真空で気化させる)プレポリマー。用途によってはここで終わる(例:繊維)
③ 固相重合プレポリマーを結晶化させたチップのまま、融点より低い温度・真空または不活性ガス気流の下で、さらに鎖を伸ばすエチレングリコール、水などボトル用に必要な高分子量のチップ

教科書的な整理(解説。Scheirs と Long『Modern Polyesters』[参考資料2]の主題)です。「用途によっては②で終わる」「③がボトル用」という対応は一般的な説明で、すべての工場に当てはまるわけではありません。EUの規則は、原料としてTPAまたはDMTとEGを挙げています事実[参考資料3]。

4. 本稿の計算:PET 1 kgを作るときの物質収支

重縮合では、原料の一部が低分子として出ていきます。出ていく量がどれくらいかを、原子量から計算します(図3)。

本稿の計算

PETの繰り返し単位あたりの物質収支を計算します本稿の計算。

  • 式量:PETの繰り返し単位 C₁₀H₈O₄ = 192.17、TPA(C₈H₆O₄)= 166.13、EG(C₂H₆O₂)= 62.07、DMT(C₁₀H₁₀O₄)= 194.19、水 = 18.02、メタノール = 32.04(原子量 C 12.011、H 1.008、O 15.999)
  • 直接エステル化法:TPA + EG → 繰り返し単位 + 2H₂O。PET 1 kgあたり、TPA 約0.86 kg、EG 約0.32 kg(正味)を使い、水 約0.19 kg が出る
  • エステル交換法:DMT + 2EG → BHET + 2CH₃OH、BHET → 繰り返し単位 + EG。正味では DMT + EG → 繰り返し単位 + 2CH₃OH。PET 1 kgあたり、DMT 約1.01 kg、EG 約0.32 kg(正味)を使い、メタノール 約0.33 kg が出る
  • 転化率との関係:本シリーズ「ポリマーの基礎」編の第3章の計算では、Mn = 2万を仮に目標とすると、必要な転化率は約99.5%。取り除く低分子は、最後の0.5%の反応のあいだも出続ける

前提と限界:完全反応・収率100%の理論値です。実際の工場ではEGを過剰に仕込んで回収・再利用し、副反応でジエチレングリコールなどもできます。数値は工場の実績ではありません。

PET 1 kgを作るときの物質収支(本稿の計算) 繰り返し単位 C₁₀H₈O₄(192.17 g/mol)あたり、原料1対1の完全反応を仮定した理論値 直接エステル化法(テレフタル酸+エチレングリコール) TPA 0.86 EG 0.32 PET 1.00 水 0.19 エステル交換法(テレフタル酸ジメチル+エチレングリコール) DMT 1.01 EG 0.32 PET 1.00 MeOH 0.33 単位:kg(PET 1 kgあたり)。EG=エチレングリコール(正味の消費量)。両法とも、投入量の合計=生成量の合計 1 kgのPETを作るたびに、水約0.19 kg、またはメタノール約0.33 kgを取り除く必要がある ※ 重縮合で外に出るEGも、正味では1繰り返し単位あたり1分子分が系に残らないため、上の「EG 0.32」は正味の消費量です。 ※ 実際の工場ではEGを過剰に仕込んで回収し、収率も100%ではありません。理論値は原子量(C 12.011、H 1.008、O 15.999)から本稿が算出しました。
図3 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。PETの繰り返し単位の式量と原料の分子量から、PET 1 kgあたりの理論的な物質収支を計算した結果です。原料がTPAまたはDMTとEGであることは EU 規則 2022/1616[参考資料3]の定義によります。数値はすべて本稿が算出した理論値で、工場の実績値ではありません。
素材技術者の読みどころ:「副生成物の量」は、プロセス設計の最初の数字

1 kgのPETのたびに、約0.19 kgの水(またはメタノール約0.33 kg)を取り除き、さらに重縮合ではEGが約0.32 kg分、反応の進行とともに系の外へ出ます(本記事による解説)。

  • 反応器の構造:高粘度の融体から低分子を効率よく出すには、融体を薄く広げて表面積を稼ぐ装置(薄膜型・ディスク型の反応器など)が使われる
  • 減圧の程度:EGの分圧を下げるほど平衡が進む。真空度は分子量の上限を直接決める
  • 品質:高温で長く滞留すると、副反応で末端基が変わったり着色したりする。ここで、溶融状態だけで進めることの限界が出てくる(第5章)

5. 素材技術者の視点①:溶融状態では、最後まで伸ばしきれない

素材技術者の読みどころ:高分子量化は「平衡」と「粘度」と「熱劣化」の三つ巴

本シリーズ「ポリマーの基礎」編の図2で、逐次重合は転化率99%でも重合度が100にしかならないことを計算しました。PETのボトル用に必要な分子量では、転化率は99.5%を超える領域です。ここで三つの制約が同時に効きます(本記事による解説)。

  • 平衡の制約:残るEGが多いと、逆反応(鎖の切断)が進む。分子量を上げるには、EGを徹底的に除く必要がある
  • 粘度の制約:鎖が伸びるほど融体の粘度が急に上がる(ポリマーの基礎編の図4:分子量の約3.4乗)。粘度が高いと、融体の内部からEGが拡散して出ていけない
  • 熱劣化の制約:温度を上げて粘度を下げようとすると、熱分解や着色などの副反応が増える

3つの制約が重なると、溶融状態だけで高分子量化を進めるのは難しくなります。 そこで、融点より低い温度で、固体のチップのまま、表面積を稼ぎながらEGを拡散させて出すという別の道が使われます。これが固相重合です。 金属の拡散熱処理で、液相ではなく固相で組成を均す操作に似た発想です。

6. 固相重合 ― 融点より低い温度で、チップのまま伸ばす

Duhは、Journal of Applied Polymer Science(2001年)で、PETの固相重合(SSP)の速度論モデルを報告しました。要点は次のとおりです事実。

  • 末端基には反応できる末端基と反応できない末端基の2種類があり、固相重縮合反応は、反応できる末端基の濃度について二次反応である
  • 反応できない末端基には、化学的に失活した末端基に加え、結晶構造に固定されて動けない末端基が含まれる。反応できない末端基の濃度が、固相重合で到達できる極限の固有粘度(分子量)を決める
  • 検証には、IV 0.20〜0.35 dL/g の粉砕したPETプレポリマーを、流動層反応器で200〜230 ℃に置いて得たデータを使った
  • この条件で、活性化エネルギーは約23.6 kcal/mol、平均の固相重合速度は10 ℃上げるごとに約2倍になる
本稿の計算

活性化エネルギーから、温度による速度の変化を計算します本稿の計算。

  • 換算:23.6 kcal/mol = 23.6 × 4.184 = 98.7 kJ/mol。Ea/R = 98,742 ÷ 8.314 = 約11,900 K
  • 速度定数の比(アレニウス):k(T) / k(200 ℃) = exp[(Ea/R)(1/473.15 − 1/T)]。210 ℃で約1.7倍、220 ℃で約2.8倍、230 ℃で約4.5倍
  • 報告された平均速度の関係:10 ℃ごとに2倍なら、230 ℃では 2³ = 8倍

解釈:Eaだけから計算した速度定数の比(約4.5倍)より、報告された平均速度の比(約8倍)のほうが大きいのは、論文が述べるように、温度が高いほど、動けない末端基の濃度が下がり、速度定数と極限IVが上がるため、と読めます事実(論文の記述)。 前提と限界:この計算は論文の記述の単純化で、実験の曲線そのものではありません。実験は粉砕したプレポリマーによる小規模なもので、工業用のチップでは粒径の影響(拡散)が加わります。

固相重合:温度を上げると、速度はどれだけ上がるか(本稿の計算) 200 ℃を1としたときの相対速度。青=活性化エネルギー23.6 kcal/mol のみ(アレニウス)、赤=報告された平均速度(10 ℃ごとに約2倍) 1 2 4 8 200 210 220 230 固相重合の温度(℃) 相対 速度 約4.5倍 8倍 赤:報告された平均速度の関係 青:Eaだけから計算 報告の平均速度は10 ℃で約2倍。Eaだけなら10 ℃で約1.6〜1.7倍にとどまる 差は、温度が高いほど「動けない末端基」が減るためと論文は説明している ※ Duh(2001年)の流動層での実験(200〜230 ℃、粉砕プレポリマーIV 0.20〜0.35 dL/g)と23.6 kcal/mol(98.7 kJ/mol)にもとづく。 ※ 青は exp[(Ea/R)(1/473.15 − 1/T)] を本稿が計算した値。赤は報告の「約2倍」を単純に2の冪にした値で、実測の曲線ではありません。
図4 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。固相重合の速度の温度依存を、Duhの論文[参考資料6]が報告した活性化エネルギーと「10 ℃上げると平均速度が約2倍」という記述から作図しました。青は本稿の計算、赤は報告の記述を単純化したもので、実際の装置の速度ではありません。実験は粉砕したプレポリマーを用いた小規模なものです。

Duhは2006年の論文で、長く信じられていた「結晶化度が上がると固相重合が遅くなる」という仮定を、正しい実験条件で検証し直しました。 その結果、パウダーやペレットでは結晶化度が上がるほど固相重合の速度は上がることを示しました。反応は非晶相で起こり、結晶化度が上がると非晶相の末端基濃度が高まり、結晶内に閉じ込められた反応できない末端基が減るためです。 粒径が約7 mmを超えると、副生成物の拡散抵抗が効いて逆転しますが、この粒径は商業用の樹脂のペレットより大きいとされています事実。

Wadekarらの章「Recent Developments in Solid State Polymerization of Poly(ethylene terephthalate)」(2009年)は、従来の固相重合プロセス、新しい固相重合プロセス、固相重合を使ったPETフレークのリサイクル、粒子形成技術、固相重合の代替法、液体包装用のPETなどを節として扱っています事実(章の節構成。本文は未確認)。固相重合とリサイクルが、工学の側でも早くから結びつけて論じられてきたことが分かります。

7. 素材技術者の視点②:固相重合は「分子量を上げる」と「汚れを抜く」を同時に担う

素材技術者の読みどころ:同じ装置が、2つの別の問題を解いている

固相重合は、もともとは新品のPETを高分子量にするための工程でした。ところがEFSA(欧州食品安全機関)は、PET再生プロセス「PETUK SSP」の評価意見で、次の仕組みを評価しています事実。

  • 洗浄・乾燥したPETフレークを乾燥し、押出してペレットにし、固相重合反応器に入れて、高温・長い滞留時間・真空を与える
  • EFSAの委員会は、challenge test(既知の汚染物質を人為的に添加した試験)の結果から、固相重合が除染効率を決める重要な(critical)工程と結論した
  • 工程の性能を管理する運転パラメータは、温度・圧力・滞留時間である
  • この条件で運転されれば、予見できる偶発的な汚染を、食品への移行が保守的なモデルで0.1 μg/kg 食品を下回る水準にまで下げられる、と評価した(ただし、運転条件がchallenge testと同等以上に厳しく、入力が食品接触材料の法令に適合して作られた物の洗浄・乾燥フレークであることが条件)

つまり、固相重合は「分子量を回復する」装置であると同時に、低分子の汚染物質を固体から追い出す除染装置にもなります(本記事による解説)。 どちらも、固体の中を低分子が拡散して出ていく現象だからです。EGが出ていく速度と、汚染物質が出ていく速度は、同じ「温度・減圧・時間」で支配されます。

この性質は、素材技術者にとって次の示唆を持ちます。

  • 運転条件が「品質保証」になる:温度・圧力・滞留時間が、EFSAの評価では承認の条件そのもの。条件を緩めることは、分子量の問題にとどまらず、食品安全上の逸脱にもなる
  • チップの形と大きさが効く:低分子の出口は表面。粒径が大きくなるほど拡散距離が長くなる(Duhの論文でも粒径の影響が議論されている)
  • 入力の履歴が前提になる:EFSAの評価は、入力が「食品接触の法令に適合して作られた材料由来」であることを条件にしている。除染は万能の浄化ではない

8. ボトルtoボトル ― 食品に戻すための条件

EUでは、再生プラスチックの食品接触利用は、規則(EU)2022/1616(2022年9月15日、2008年の旧規則を廃止)が規定しています。 同規則は、再生プラスチック材料・製品の上市、再生技術・プロセス・施設の開発と運転、食品接触での利用を規定する、としています事実。

  • 使える再生技術は、規則の付属書Iに列挙された「適した再生技術」か、第IV章に従って開発された「新規技術」のいずれかです。適した再生技術を使う場合は、必要に応じて再生プロセスの認可を受け、第6〜8条の一般要件、付属書Iの技術ごとの要件を満たすことが求められます事実
  • 規則の前文は、EFSAが、使用済みPETに含まれる汚染物質は、入力に何が混ざるかを予測できず、遺伝毒性がないことも確認できないと判断したことを記し、この考え方は他のプラスチック廃棄物にも拡張できるとしています事実

EFSAは、2011年の科学的意見で、PETの機械的リサイクル工程の安全性評価の基準を示しました。要点は次のとおりです事実。

  • 原則は、チャレンジテスト(代理汚染物質を使った試験)で得た洗浄効率を、使用済みPETの基準汚染レベル 3 mg/kg PET(誤用で混入しうる汚染物質を保守的に仮定した値)に当てはめて、再生PETに残る濃度(Cres)を求める
  • Cresを、一般的に認められた保守的な移行モデルで計算した濃度(Cmod)と比べる。Cmodは、遺伝毒性の懸念を引き起こす構造警告を持つ化学物質の曝露閾値 0.0025 μg/kg体重/日を超えない移行量に対応する
  • 既定のシナリオは、体重5 kgの乳児が、再生PET 100%で作ったボトルの水を毎日0.75 L飲む場合で、これから導かれる食品中の許容濃度は0.017 μg/kg 食品

9. 本稿の計算:食品接触の許容濃度はどのくらい小さいか

本稿の計算

EFSAの意見に示された数値を、算術で確かめます本稿の計算。

  • 許容濃度の再現:0.0025 μg/kg体重/日 × 5 kg = 0.0125 μg/日。これを0.75 Lの水(約0.75 kgとみなす)で割ると、0.0125 ÷ 0.75 = 約0.0167 μg/kg 食品。意見の記載値(0.017 μg/kg 食品)と一致する
  • 桁の感覚:基準汚染レベル 3 mg/kg PET = 3,000 μg/kg PET。許容濃度 0.017 μg/kg 食品との比は 3,000 ÷ 0.017 = 約1.8×10⁵

前提と限界:この比は「必要な洗浄効率」ではありません。必要な洗浄効率は、物質ごとの拡散・移行モデル(Cmod)で決まります。ここでは、汚染物質の濃度(mg/kgの桁)と許容される移行量(μg/kgの10分の1以下の桁)のあいだに、5桁以上の開きがあることを確認するだけの計算です。

包装規則(EU)2025/40(PPWR)は、再生材の最低含有率を、PET製の接触敏感包装では2030年に30%、2040年に50%、使い捨てプラスチック飲料ボトルでは2030年に30%、2040年に65%と定めています(2026年8月12日から適用)事実。 このため、使用済みPETを食品用に戻す工程(除染を含む)の技術が、規制対応の中心に置かれます(解説)。 PETボトルの回収率とリサイクル率は本シリーズ「プラスチックリサイクル」編で扱います。

10. 素材技術者の視点③:機械的リサイクルと解重合は、戻る場所が違う

PETボトルの2つの再生経路

ImageGenによる説明用の概念画像(実写・実測像ではありません)。正確な数値・名称・構造は元の模式図をご確認ください。

元の模式図(正確な注記・数値)を表示
2つの再生経路 ― 鎖を残すか、鎖を切るか(概念図) 機械的リサイクルは製造工程の最後の段階に、解重合は最初の段階に戻る。経路の詳細は別編で扱います 製造工程(図2) 原料 TPA/DMT+EG エステル化 エステル交換 溶融重縮合 プレポリマー 固相重合 高分子量チップ ボトル 成形 機械的リサイクル(鎖を残す) 回収ボトル 選別 粉砕・洗浄 フレーク 押出 ペレット化 除染+固相重合 熱・減圧/気流 ボトルの原料へ(最後の段階) 解重合(鎖を切る) フレーク 洗浄後 解重合 グリコール分解など 精製 BHET/DMTなど 重合の最初へ (エステル化の段階) ※ 解重合の経路と実例は本シリーズ「ケミカルリサイクル」編、PETボトルの回収率は「プラスチックリサイクル」編で扱います。
図5 概念図(ベクター作図)。機械的リサイクルが「ポリマーの鎖を保つ」技術であり、除染の工程を含むことは EU 規則 2022/1616 付属書の記述[参考資料3]、固相重合が除染の決定的な工程になりうることは EFSA の評価意見[参考資料5]によります。解重合の工程は一般的な整理(解説)です。実在の工場の構成を示すものではありません。
素材技術者の読みどころ:「どこに戻るか」で、必要な品質管理が変わる
  • 機械的リサイクル(ボトルtoボトルの主流):鎖を保ったまま、製造工程の最後(固相重合)に戻る。EU規則は、この技術がポリマーの鎖を保ち、分子量を上げることもあると記す事実。長所は、重合を最初からやり直さないぶん、エネルギーと工程が少ないこと。弱点は、入力に含まれる色素や異物、混ざったポリマー、劣化の履歴が、そのまま引き継がれうること(解説)
  • 解重合(グリコール分解、メタノール分解など):エステル結合を切ってBHETやDMTなどに戻し、製造工程の最初(エステル化)に戻す。精製でき、バージン品質に再重合できる。弱点は、工程が増え、エネルギーと設備が要ること(解説。経路・実例・規模は本シリーズ「ケミカルリサイクル」編)
  • 使い分け:分子量が保たれた洗浄済みフレークは機械的に、色や汚れが強い、または繊維など形態が違う使用済みは解重合に、という分担になる傾向がある(解説)

エステル結合は、水やアルコールで切れます。この性質は、重縮合では「逆反応が起こるので低分子を除く必要がある」という制約でした。解重合では、同じ性質が「切って戻せる」という利点になります。 同じ化学結合の性質が、製造では制約に、リサイクルでは利点になる——ポリエステルの面白さです(本記事による解説)。

また、ISO 12418-1:2012 は、使用済みPETボトル由来の再生材(ボトルフレーク等)の呼称体系と仕様の基礎を定めています事実。再生材の品質を、数字で指定するための枠組みです。

11. 繊維・フィルム・ボトル ― 用途と構造のつながり

PETは同じ化学式のまま、用途によって鎖の配向と結晶のでき方を作り分けます(解説)。

用途構造の作り方(解説)制御するもの
繊維溶融した樹脂を細孔から押し出して紡糸し、延伸して鎖を軸方向に配向させ、熱処理で結晶を整える配向度、結晶化度
フィルムシートを縦横に延伸(二軸延伸)して配向させ、熱固定する二軸配向、結晶化度、熱収縮
ボトル射出成形した予備成形品(プリフォーム)を加熱して、ブロー成形で二軸に延伸する(射出延伸ブロー成形)。延伸中に結晶ができる(ひずみ誘起結晶化)延伸比、ひずみ誘起結晶化、IV
エンジニアリング樹脂(PBT)結晶化の速いPBTを、射出成形で金型内で結晶化させる結晶化速度、強化材

加工法の整理は一般的な内容(解説)です。ひずみ誘起結晶化については、Billonが「Polymer」誌(2023年)で、二軸条件のPETのひずみ誘起結晶化を、実験室の試験から射出延伸ブロー成形まで扱った論文を発表しています(題名のみ確認、本文は未確認)。

日本の繊維の側の統計を見ると、変化の大きさがわかります。日本化学繊維協会が公表する、経済産業省の統計にもとづく国内の化学繊維の生産量では、 ポリエステルの長繊維と短繊維の合計は、2010年に約34.7万t(188,451 t+158,351 t)、2024年に約13.7万t(79,827 t+56,873 t)でした事実。 減少は約61%です本稿の計算(136,700 ÷ 346,802 = 0.394)。国内の生産の話であり、世界の需要や、輸入品を含む国内消費ではありません。

素材技術者の読みどころ:同じIVでも、繊維とボトルでは求める性能が違う

PETは、用途ごとに必要な分子量と構造が違います(本記事による解説)。

  • 繊維:細く均一に紡糸するための流動性と、延伸での強度の両方が必要。配向の揃いが物性を決める
  • ボトル:落下や内圧に耐える靱性、ガス(炭酸)の保持、透明性が必要。ここで高い分子量が効く。延伸で作る配向と結晶が、バリア性と強度を高める
  • リサイクル材の用途分岐:ボトルの再生材がボトルに戻るか、繊維やシートにカスケードするかは、IV(分子量)の回復度と、色・清浄度で決まる

バリア性に関わる酸素・水蒸気の透過の測り方は、本シリーズ「バリア性とコーティング」編で扱います。

12. 課題と、本稿で確認できなかったこと

(1) PET・PBT・PENの物性値

PET・PBT・PENのガラス転移点や融点、バリア性などの数値は、本稿の調査範囲で、試験法・条件・グレードとセットで確認できた公表資料がなかったため、記載していません。物性値は、各社のデータシートで、試験法(ISOやASTM)とともに確認してください。

(2) 重合プロセスの詳細

第3章の3段階の整理は教科書的な内容で、Scheirs と Long の書籍[参考資料2]の該当ページは直接確認していません。触媒(アンチモン系など)、温度・真空度などのプロセス条件は、本稿では示していません。

(3) 固相重合の工業条件

Duhの実験は200〜230 ℃、流動層、粉砕したプレポリマーでの小規模なものです。工業用のチップの固相重合条件(温度・時間・粒径)と、図4の速度の関係は、本稿では確認していません。EFSAの評価意見も、個別プロセスの運転条件の数値までは、本稿では引用していません。

(4) 日本のPETボトルの数字

日本のPETボトルの回収率・リサイクル率は、本シリーズ「プラスチックリサイクル」編に任せ、本稿では数字を再掲していません。ケミカルリサイクルの実プラントの稼働状況も、「ケミカルリサイクル」編に任せています。

(5) 繊維の統計の範囲

第11章の数字は、日本国内の化学繊維の生産量(経済産業省の統計、日本化学繊維協会の集計表)で、世界の需要、輸入品を含む国内消費、繊維の用途別の内訳ではありません。世界のPETの繊維用途の量は、本稿では確認していません。

この記事のまとめ
  • PETは世界のプラスチック生産の6.2%(2024年)。ただしこの統計は繊維を含みません事実
  • 1 kgのPETを作るたびに、水約0.19 kg(またはメタノール約0.33 kg)を取り除きます。溶融状態だけでは、最後の1%の反応を進めきれません本稿の計算
  • 固相重合は、融点より低い温度で、チップのままEGを抜いて鎖を伸ばします。Duhの実験では、活性化エネルギーは約23.6 kcal/mol、平均速度は10 ℃ごとに約2倍でした事実
  • 固相重合は、除染の決定的な工程にもなりえます。EFSAは、PETUK SSPの評価で、温度・圧力・滞留時間を管理すべきパラメータとしています事実
  • 食品接触の許容濃度は極めて小さい。EFSAの乳児シナリオから、0.017 μg/kg 食品が導かれます事実。算術で再現できます本稿の計算
  • 機械的リサイクルは鎖を保って製造工程の最後へ、解重合は鎖を切って最初へ戻ります。エステル結合の性質が、製造では制約、リサイクルでは利点になります(解説)

13. 用語集

ポリエステル
主鎖にエステル結合を持つ高分子。PET、PBT、PENなど。
テレフタル酸(TPA)/テレフタル酸ジメチル(DMT)
PETの酸成分の原料。
エチレングリコール(EG)
PETのジオール成分の原料。重縮合では副生して除去される。
BHET
ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート。PETの前駆体の低分子量体。
エステル化/エステル交換
TPAとEGの反応(水が出る)/DMTとEGの反応(メタノールが出る)。
溶融重縮合
溶融状態で低分子を除きながら鎖を伸ばす重合。
固相重合(SSP)
融点より低い温度で、固体のチップのまま鎖を伸ばす重合。
固有粘度(IV)
希薄溶液の粘度から求める分子量の指標。溶媒・温度で値が変わる。
PBT
ポリブチレンテレフタレート。結晶化が速く、射出成形向き。
PEN
ポリエチレンナフタレート。ナフタレン環を持ち、耐熱・バリア性が高い方向。
プリフォーム
ボトルのブロー成形前に射出成形で作る試験管状の予備成形品。
ひずみ誘起結晶化
延伸によって鎖が配向し、結晶ができる現象。
チャレンジテスト
代理汚染物質を人為的に添加して、再生プロセスの除染効率を測る試験。
機械的リサイクル/解重合
鎖を保って再生する方法/鎖を切って原料(モノマー、オリゴマー)に戻す方法。
EFSA
欧州食品安全機関。食品接触材料の安全性を科学的に評価する。

14. 参考資料(一次情報)

  1. Plastics Europe「Plastics the Fast Facts 2025」2025年10月(2024年の暫定値、PDF) — https://plasticseurope.org/wp-content/uploads/2025/09/PE_TheFacts_25_digital-1pager-scrollable.pdf
  2. 書籍 J. Scheirs, T. E. Long 編『Modern Polyesters: Chemistry and Technology of Polyesters and Copolyesters』Wiley、2003年 — https://doi.org/10.1002/0470090685
  3. 欧州委員会 Commission Regulation (EU) 2022/1616 on recycled plastic materials and articles intended to come into contact with foods(2022年9月15日) — https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32022R1616
  4. EFSA「Scientific Opinion on the criteria to be used for safety evaluation of a mechanical recycling process to produce recycled PET intended to be used for manufacture of materials and articles in contact with food」EFSA Journal 2011;9(7):2184 — https://doi.org/10.2903/j.efsa.2011.2184
  5. EFSA「Scientific Opinion on the safety evaluation of the process “PETUK SSP” for production of recycled post-consumer PET for use in food contact materials」EFSA Journal 2012;10(8):2826 — https://doi.org/10.2903/j.efsa.2012.2826
  6. B. Duh「Reaction kinetics for solid-state polymerization of poly(ethylene terephthalate)」J. Appl. Polym. Sci. 81, 1748–1761(2001年) — https://doi.org/10.1002/app.1607
  7. B. Duh「Effects of crystallinity on solid-state polymerization of poly(ethylene terephthalate)」J. Appl. Polym. Sci. 102, 623–632(2006年) — https://doi.org/10.1002/app.24406
  8. Wadekar, Agarwal, Boon「Recent developments in solid state polymerization of poly(ethylene terephthalate)」『Solid State Polymerization』Wiley、2009年、第8章 — https://doi.org/10.1002/9780470451830.ch8
  9. 欧州連合 Regulation (EU) 2025/40 on packaging and packaging waste(2024年12月19日) — https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=OJ:L_202500040
  10. 日本化学繊維協会「化学繊維の生産・在庫月別データ」(出所:経済産業省)(XLS) — https://www.jcfa.gr.jp/home/wp-content/uploads/2026/09/%E7%94%9F%E7%94%A3%E3%83%BB%E5%9C%A8%E5%BA%AB%EF%BC%88%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%EF%BC%89.xls
  11. ISO ISO 20028-1:2019「Plastics — Thermoplastic polyester (TP) moulding and extrusion materials — Part 1: Designation system and basis for specification」 — https://www.iso.org/standard/76396.html
  12. ISO ISO 1628-5:1998「Plastics — Determination of the viscosity of polymers in dilute solution using capillary viscometers — Part 5: Thermoplastic polyester (TP) homopolymers and copolymers」 — https://www.iso.org/standard/25183.html
  13. ASTM International ASTM D4603-18「Standard Test Method for Determining Inherent Viscosity of Poly(Ethylene Terephthalate) (PET) by Glass Capillary Viscometer」 — https://store.astm.org/d4603-18.html
  14. ISO ISO 12418-1:2012「Plastics — Post-consumer poly(ethylene terephthalate) (PET) bottle recyclates — Part 1: Designation system and basis for specifications」 — https://www.iso.org/standard/51421.html
  15. J.-M. Billon「Strain induced crystallization of PET under biaxial conditions. From laboratory tests to injection stretch-blow molding」Polymer(2023年) — https://doi.org/10.1016/j.polymer.2023.125953

15. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
世界のプラスチック生産430.9 Mt(2024年)に占めるPETの割合6.2%。統計の対象にPET・PBT・PA繊維が含まれないことPlastics Europe「Plastics the Fast Facts 2025」出典1 https://plasticseurope.org/wp-content/uploads/2025/09/PE_TheFacts_25_digital-1pager-scrollable.pdf事実
PETの重合が、エチレングリコールとTPAまたはDMTの重縮合であること。主鎖に最大10 w/w%の他のコモノマー(イソフタル酸、ジエチレングリコール等)を含みうるというPETの定義。機械的リサイクルの定義(除染が決定的な段階、熱と真空または気流、鎖を保ち分子量を上げることもある、小さな意図しない低下もありうる)。使用済みPETの汚染物質の予測不能性に関するEFSAの判断。再生技術は付属書Iの適した技術か新規技術、認可、第6〜8条。規則の題名・日付・旧規則の廃止Commission Regulation (EU) 2022/1616 の本文(前文、第1・2・4条、付属書Iの表)をブラウザで開いて確認出典3 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32022R1616事実
EFSAのPET機械的リサイクル安全性評価基準:チャレンジテスト、基準汚染レベル3 mg/kg PET、Cres対Cmod、曝露閾値0.0025 μg/kg体重/日、体重5 kgの乳児が0.75 Lの水を毎日、許容濃度0.017 μg/kg 食品EFSA の科学的意見の要旨出典4 https://doi.org/10.2903/j.efsa.2011.2184事実
PETUK SSPの工程(洗浄・乾燥フレーク→押出ペレット→固相重合反応器、高温・長い滞留時間・真空)。固相重合が除染効率を決める重要な工程であること。管理パラメータが温度・圧力・滞留時間であること。移行が保守的モデルで0.1 μg/kg 食品を下回ること(条件つき)EFSA の科学的意見の要旨出典5 https://doi.org/10.2903/j.efsa.2012.2826事実
PET固相重合の速度論モデル(反応できる末端基について二次反応、反応できない末端基が極限IVを決める)。IV 0.20〜0.35 dL/gの粉砕プレポリマー、流動層、200〜230 ℃。活性化エネルギー約23.6 kcal/mol、平均速度は10 ℃ごとに約2倍。温度が高いほど速度定数が上がり反応できない末端基が減ることDuh(2001年)の要旨出典6 https://doi.org/10.1002/app.1607事実
結晶化度が上がると、粉体やペレットでは固相重合速度が上がること。反応は非晶相で起こること。粒径が約7 mmを超えると逆転するが、商業用ペレットより大きいことDuh(2006年)の要旨出典7 https://doi.org/10.1002/app.24406事実
Wadekarらの章の節構成(従来の固相重合、新しい固相重合、固相重合を使ったPETフレークのリサイクル、粒子形成技術、固相重合の代替法、液体包装用のPETなど)章の目次(本文は未確認)出典8 https://doi.org/10.1002/9780470451830.ch8事実
PPWR第7条:PET製の接触敏感包装は2030年30%・2040年50%、使い捨てプラスチック飲料ボトルは2030年30%・2040年65%。2026年8月12日から適用EUR-Lex の規則本文(第7条、第71条)をブラウザで開いて確認出典9 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=OJ:L_202500040事実
日本国内のポリエステル長繊維・短繊維の生産量:2010年 188,451 t+158,351 t、2024年 79,827 t+56,873 t(経済産業省の統計、日本化学繊維協会の集計表)日本化学繊維協会「化学繊維の生産・在庫月別データ」の年計出典10 https://www.jcfa.gr.jp/home/wp-content/uploads/2026/09/%E7%94%9F%E7%94%A3%E3%83%BB%E5%9C%A8%E5%BA%AB%EF%BC%88%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%EF%BC%89.xls事実
ISO 20028-1:2019 が、PET・PBT・PCT・PEN・PBNなどの熱可塑性ポリエステルの呼称体系で、粘度数と引張弾性率を指標とすること。同じ呼称が必ずしも同じ性能を意味しないこと題名・適用範囲出典11 https://www.iso.org/standard/76396.html事実
ISO 1628-5 が熱可塑性ポリエステルの希薄溶液粘度の測定法を定めること題名出典12 https://www.iso.org/standard/25183.html事実
ASTM D4603-18がPETのインヘレント粘度を、60/40フェノール/テトラクロロエタン、0.50%、ガラス毛細管粘度計で求めること。高結晶性PETは対象外題名・適用範囲出典13 https://store.astm.org/d4603-18.html事実
ISO 12418-1:2012 が使用済みPETボトル再生材の呼称体系を定めること題名出典14 https://www.iso.org/standard/51421.html事実
Billonの論文が、PETの二軸条件のひずみ誘起結晶化を、実験室の試験から射出延伸ブロー成形まで扱っていること論文の題名(要旨・本文は未確認)出典15 https://doi.org/10.1016/j.polymer.2023.125953事実
PETの重合を3段階(エステル化/エステル交換、溶融重縮合、固相重合)に分ける整理高分子化学の教科書的な整理。Scheirs と Long の書籍の主題。該当ページは直接確認していない出典2 https://doi.org/10.1002/0470090685事実
PET 1 kgあたりの物質収支(TPA約0.86 kg、DMT約1.01 kg、EG約0.32 kg、水約0.19 kg、メタノール約0.33 kg)。固相重合の相対速度(210 ℃で約1.7倍、220 ℃で約2.8倍、230 ℃で約4.5倍。報告の平均速度の関係では230 ℃で8倍)。許容濃度の再現(約0.0167 μg/kg 食品)と、3,000 μg/kg PETとの比(約1.8×10⁵)。国内ポリエステル繊維の減少約61%本稿の計算。前提:完全反応・収率100%(物質収支)、Eaのみを使うアレニウス(速度)、水0.75 L=約0.75 kg(許容濃度)。原子量 C 12.011、H 1.008、O 15.999本稿の計算
PET・PBT・PENの構成の違いと結晶化・耐熱・バリア性の傾向、エステル結合の性質が製造では制約・リサイクルでは利点になるという整理、固相重合が分子量回復と除染の両方を担うという読み取り、機械的リサイクルと解重合の戻る場所の違い、繊維・フィルム・ボトルの構造の作り方、リサイクル材の用途分岐高分子科学の一般的な整理と公表値にもとづく本記事の解説。各機関が表明した見解ではない解説
PET・PBT・PENのTg・融点などの数値。工業用チップの固相重合条件。世界のPETの繊維用途の量本稿の調査範囲では、試験法・条件つきの公表資料を確認できなかった未確定/将来
図1〜図5が説明用の作図、または本稿の計算であること。ヒーロー画像がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月2日/出典は一次情報(EU規則の条文、EFSAの科学的意見の要旨、査読論文の書誌と要旨、Plastics Europe・日本化学繊維協会の統計、ISO・ASTM規格の題名と適用範囲)に限定しています。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 PET・PBT・PENの物性値、工業用の固相重合条件、世界の繊維用途の量は、確認できなかったため記載していません。 図の物質収支と速度は、仮定にもとづく理論値・計算値です。図はすべて説明用の概念図または本稿の計算です。図1〜図5はベクター作図、ヒーロー画像はAI生成イメージであり、いずれも実際の工場・測定データ・製品の実物を示すものではありません。