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ケミカルリサイクル 技術解説 | Troy Technical

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TECHNOLOGY EXPLAINER

ケミカルリサイクル
― 分子に戻すのか、燃料にしないのか。技術と「帳簿」の両方を読む

溶かして固めるマテリアルリサイクルに対し、化学反応で分子の鎖を切って、原料に戻すのがケミカルリサイクルです。 ただし「戻す」といっても、モノマーまで戻す解重合、油にして石油化学へ戻す熱分解、合成ガスにするガス化では、 何が得られ、どこまでを「リサイクル」と数えるかがまったく違います。 この記事では、分子構造から見た向き不向き、マスバランス方式と認証、エネルギーとLCAの議論、各社の実プラントを、 会社が示した目標と確認できた実績を分けて整理します。

構成:プラスチック循環利用協会、EUの法令・実施決定、ISCC、査読論文(Vollmerほか、Jeswaniほか、Coates & Getzler)、各社の公式発表を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

清潔なパイロット施設で、砕いた廃プラスチックの小片、ステンレスの反応器と蒸留塔、得られた白いモノマーの結晶・淡い琥珀色の油・乳白色の再生ペレットが左から右へ並んでいる様子
イメージ図(AI生成)。「廃プラスチックが反応・蒸留を経て、モノマーや油になり、再び樹脂の粒になる」という流れを、パイロット規模の施設の場面として描いたものです。実在のプラント・熱分解油の外観・色を示すものではありません。
この記事の構成
  1. ケミカルリサイクルとは何か(3行でつかむ)
  2. 三つの経路 ― 解重合・熱分解・ガス化
  3. 日本の統計では、ケミカルリサイクルは何を指すのか
  4. 素材技術者の視点①:分子構造が「戻り方」を決める
  5. 解重合の実例 ― PET・ナイロン・ポリスチレン
  6. 熱分解と熱分解油 ― 混合プラの出口とその品質の壁
  7. ガス化 ― 20年以上動き続ける日本の例
  8. マスバランス方式と認証 ― ISCC PLUSとEUの算定規則
  9. 素材技術者の視点②:「帳簿上の再生」と物理的な中身
  10. エネルギー使用とLCAの議論
  11. 各社の実プラント ― 目標と、確認できた実績
  12. 課題と、本稿で確認できなかったこと
  13. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公的機関・法令・査読論文・企業自身の公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標・認証の取得予定であり、実績が確認できていない事項
このほか、化学の一般的な説明や整理は「解説」として区別しています。企業の能力値は公称の設備能力であり、稼働率や生産実績ではありません。調査会社の市場推計は使っていません。

1. ケミカルリサイクルとは何か(3行でつかむ)

3行でつかむ
  • ケミカルリサイクルは、プラスチックの高分子鎖を化学反応で切り、モノマー・油・ガスなどの化学原料に戻して再び材料にする方法の総称です。どこまで戻すかで三つに大別できます(第2章)。
  • メカニカル(マテリアル)リサイクルが分子鎖を保ったまま溶かし直すのに対し、ケミカルは鎖を切るため、添加剤や色を取り除けて、汚れた・混ざった廃プラにも届く可能性があります。代わりに反応のためのエネルギーと設備がかかります。
  • 熱分解油のように、化石原料と混ぜて処理されるものは、製品の中の「リサイクル由来分」を物理的に測れません。そこでマスバランス方式という帳簿の規則が必要になり、その決め方が制度の最大の争点になっています(第8章)。

メカニカルリサイクルの数字の読み方は、本シリーズ「プラスチックリサイクル」編で扱いました。 本稿はその続きとして、ケミカルリサイクルに特有の論点を扱います。 高分子の基礎は「ポリマーの基礎」編、PETは「ポリエステルとPET」編、ナイロンは「ポリアミド」編で扱います。

2. 三つの経路 ― 解重合・熱分解・ガス化

Vollmerらのレビューは、メカニカルリサイクルを超える方法として、 溶解・再沈殿、溶媒分解(ソルボリシス)、熱分解(パイロリシス)などを整理し、 現在利用できる各プロセスは特定の廃プラスチックの流れに適用できるものであり、課題に対応できるのは複数の技術の組み合わせだけだとまとめています事実(要旨の趣旨。原文は英語)。 ここでは日本の統計の区分(第3章)に合わせ、ガス化も含めて三つの経路を並べます。

ケミカルリサイクルの三つの経路

ImageGenによる説明用の概念画像(実写・実測像ではありません)。正確な数値・名称・構造は元の模式図をご確認ください。

元の模式図(正確な注記・数値)を表示
ケミカルリサイクルの三つの経路(概念図) 左から「経路」「向く原料」「得られるもの」「その先」。代表例のみで、すべてを網羅したものではありません 経路 向く原料 得られるもの その先 ① 解重合 加水分解・メタノール 分解・グリコール分解 PET、ポリアミド、PUなど エステル・アミド結合を 主鎖に持つ樹脂 モノマー(BHET、DMT、 TPA、カプロラクタム) やオリゴマー 精製して再重合 バージン同等品質も 可能とされる ② 熱分解 酸素のない状態で 加熱して分解 PE、PP、PS、混合プラ 炭素-炭素結合が主鎖の 樹脂が中心 熱分解油(原油の留分に 似た混合物)、ガス、 残渣 スチームクラッカーで エチレン・プロピレンへ 燃料にもなる ③ ガス化 高温でガス化し 分子レベルまで分解 家庭・企業から出る 混合廃プラ (レゾナックKPRの例) 水素と炭酸ガスを 含む合成ガス 水素からアンモニア、 その誘導品へ ※ ①②の記述はVollmerらのレビュー[参考資料2]、③はレゾナックの公表[参考資料10・11]に拠ります。分け方と配置は本記事の整理です。 ※ どの経路も、樹脂の種類・汚れ・添加剤によって適否が大きく変わります(第4章)。
図1 概念図(ベクター作図)。経路ごとの対象・生成物・用途は Vollmer ほか[参考資料2]とレゾナック[参考資料10・11]の記述にもとづく代表例です。三分類と配置は本記事による整理であり、各経路の優劣や実用度を示すものではありません。

3. 日本の統計では、ケミカルリサイクルは何を指すのか

日本のプラスチック循環利用協会は、廃プラスチックの処理を「マテリアル」「ケミカル」「サーマル」に分けます。 ケミカルは高炉・コークス炉原料、ガス化(化学原料利用)、油化で、ガス化は用途で分け、化学原料利用はケミカルに、燃料利用はサーマルに含めると注記されています事実。 2023年の実績は、ケミカルリサイクルが26万t(廃プラ総排出量769万tの3%)です事実。

区分(2023年)量備考
ケミカルリサイクル(全体)26万t(3%)高炉・コークス炉原料/ガス化(化学原料利用)/油化
うち 高炉・コークス炉原料(容器包装等のフロー)21万t「拡大容器・包材等」のマテリアルフロー図における内訳
うち ガス化(化学原料利用)(同上)4万tガス化のうち化学原料に使われる分
うち 油化(同上)0万t四捨五入により「0万t」と表示
参考:マテリアルリサイクル171万t(22%)ケミカルの約6.6倍(171÷26、本稿の計算)

すべて事実(プラスチック循環利用協会 マテリアルフロー図 2023年[参考資料1])。内訳の3区分は容器包装等のフロー図の値で、四捨五入のため合計が26万tと一致しません。

素材技術者の読みどころ:日本の「ケミカル」の大半は、高炉・コークス炉の還元剤や原料です

日本でケミカルリサイクルと数えられる26万tのうち、容器包装等のフロー図では高炉・コークス炉原料が21万t(約8割)を占め、 油化は四捨五入で0万tです事実。 世界の議論で「ケミカルリサイクル」というと熱分解や解重合の新設プラントが話題になりますが、 日本の統計上の主役は、鉄鋼やガス化といった既存の大型設備に廃プラを受け入れてもらう形です(本記事による読み取り)。 ENEOSと三菱ケミカルの油化設備(第11章)が稼働すれば、この内訳は変わる可能性があります。

EUでは「燃料になるもの」はリサイクルに数えません

EUの廃棄物枠組み指令は、リサイクルを「廃棄物を製品・物質に再処理する回収操作」とし、 「エネルギー回収、および燃料として使われる物質への再処理」は含まないと定めています事実。 熱分解油が燃料になる分は、EUの算定ではリサイクルに数えられません。第8章で見る「燃料用途を除く」(fuel-use excluded)方式は、この定義から導かれています事実。 日本の統計は、ガス化の「燃料利用」をサーマルへ振り分けていますが、どこまでを「リサイクル」と数えるかの規則はEUと同一ではありません。

4. 素材技術者の視点①:分子構造が「戻り方」を決める

熱分解で「どれだけモノマーに戻るか」は、樹脂によって桁違いに異なります。 Vollmerらは、単段の熱分解での最大のモノマー回収率の目安(5%刻みに丸めた値)を樹脂ごとに表にまとめています事実。

熱分解で、モノマーにどれだけ戻るか(樹脂ごとの目安) 単段熱分解での最大モノマー回収率(wt%、5%刻みに丸めた目安)。濃い部分と薄い部分は2つの報告値の幅PMMA95超PS70〜85HDPE40LDPE40PP30〜45PETほぼ0PVCほぼ0020406080100最大モノマー回収率(wt%) ※ 条件(反応器・温度・滞留時間)は文献ごとに異なり、厳密な比較ではありません。PE・PPの主生成物はモノマーではなく熱分解油です。
図2 概念図(ベクター作図)。数値は Vollmer ほか[参考資料2]の表2「単段熱分解のモノマー回収率の目安(5%刻みに丸めた値)」です。条件(反応器・温度・滞留時間)は文献ごとに異なり、数値どうしの厳密な比較はできません。PPは30と45の二つの値、PSは70と85の二つの値が示されています。PETとPVCは「ほぼ0」とされています。
樹脂最大モノマー回収率(目安)最も収率の大きい生成物
PMMA95 wt%超(450 ℃)メタクリル酸メチル
PS70〜85 wt%(500 ℃、短時間。85は真空)スチレン
HDPE40 wt%(780 ℃、1.3秒)熱分解油(原油様)
LDPE40 wt%(860 ℃、0.6秒)熱分解油(原油様)
PP30〜45 wt%(650 ℃)熱分解油(原油様)
PETほぼ0安息香酸、CO、CO2、固体有機物
PVCほぼ0塩化水素(HCl)、ベンゼン

すべて事実(Vollmer ほか 表2[参考資料2])。温度は括弧内の条件で、文献ごとに反応器・滞留時間が異なります。

素材技術者の読みどころ:同じ「炭素-炭素の主鎖」でも、モノマーに戻る樹脂と戻らない樹脂がある

この表は、分子構造から読み解ける数字の宝庫です(以下は高分子化学の一般的な説明を含む「解説」です)。

  • PMMA・PSが戻りやすい:主鎖の切断が末端から連鎖的に進み、モノマーを次々に放出する(解重合の連鎖)反応が起きやすい構造です。重合熱が小さい、つまりモノマーに戻ることの熱力学的な不利が小さいことも関わります。
  • PE・PPが戻りにくい:主鎖の切断が鎖のあちこちでランダムに起きるため、モノマー(エチレン・プロピレン)ではなく、炭素数の異なる炭化水素の混合物(油・ワックス)が主になります。表の収率が30〜45 wt%にとどまるのはこのためです。
  • PET・PVCが戻らない(熱分解では):PETは主鎖にエステル結合があり、熱分解では安息香酸やCO、CO2に分かれていきます事実。PVCは約270〜290 ℃で塩化水素を出し始め(T5% 270 ℃、TMAX 290 ℃)、主鎖の切断が起きる465 ℃付近よりずっと低い温度で塩素が外れます事実。この温度差を使って、先に塩素だけを除く前処理が可能だとレビューは述べています事実。

Coates と Getzler(2020年)は、ポリマーをモノマーに戻して精製し、再重合する化学リサイクルを「CRM(化学的モノマー回収)」と呼び、 この方法でリサイクルされた材料には「性能の低下がない」と述べています事実(要旨。原文は英語)。 同論文は、重合のエネルギー論(モノマーに戻りやすいかどうか)が実用的なCRMの鍵になることを論じ、 ポリオレフィンの熱分解とナイロン6の閉環解重合を、既存樹脂での試みとして挙げています事実。 Vollmerらも、「あらかじめ決めた条件でモノマー(またはオリゴマー)に分解するポリマーを設計できる能力は、プラスチックのリサイクルにおける重要な一歩」と述べています事実。 つまり、ケミカルリサイクルの向き不向きは、リサイクルの工程だけでなく、ポリマーの設計段階から決まるのです(本記事による解説)。

5. 解重合の実例 ― PET・ナイロン・ポリスチレン

エステル・アミドなどの結合は、水・アルコールなどの試薬で切ることができます。 Vollmerらはこの溶媒分解(ソルボリシス)について、 「加水分解、アルコール分解(グリコール分解、メタノール分解)などは、エーテル、エステル、酸アミドの結合を切るため、それらの結合を持つ樹脂に限られる」と述べ、 得られるモノマーを精製して添加剤や着色剤を除き、バージン品質に再重合できる利点を挙げています事実。

樹脂切る結合と経路(レビューの記述)得られるもの実例(レビュー2020年時点/各社公表)
PETエステル結合。加水分解、グリコール分解、メタノール分解TPA、BHET、DMT。BHETとDMTはPETの重合に直接使える。TPAはBHETへの変換が必要PETのメタノール分解とグリコール分解の商業プラントは「少数」(2020年のレビュー)。Eastmanは2024年3月にKingsportで初期生産を達成(第11章)
ナイロン6アミド結合。蒸気による加水分解カプロラクタム(蒸気凝縮で回収)Aquafilがスロベニアの工場で、カーペット由来のナイロン6を加水分解し、得たカプロラクタムをカーペットへ戻していると記載(2020年のレビュー)
PUウレタン結合。グリコール分解などモノマー・オリゴマー(経路ごとの生成物はレビューの図4に整理)PUは「メカニカルリサイクルできない」ため特に有望とレビューは述べる
PS(解重合ではなく)熱分解でスチレンへスチレン。回収率の目安は70〜85 wt%(表2)溶解・再沈殿で難燃剤(HBCD)を除く方式も記載(PolyStyreneLoop、2019年12月に建設開始と記載)

すべて事実(Vollmer ほか[参考資料2])。2020年の総説であり、現在の稼働状況は含みません。Eastman は同社の公表[参考資料5]によります。

PETの経路選択に見える、素材設計の視点

Vollmerらは、PETのグリコール分解で得られるBHETはPETを直接作れるほど純粋ではなく、オリゴマーも生じると書いています。 一方で、金属酢酸塩や炭酸ナトリウムを触媒にすれば高純度のBHETが得られ、炭酸ナトリウムでは1時間・196 ℃で約80%の収率(EG:PETモル比 7.6:1)と記されています事実。 また、加水分解よりもメタノール分解・グリコール分解の開発が進んだ理由は、加水分解に必要な高い運転温度に伴うエネルギー要求だとされています事実。 同じPETでも、「どの結合をどの試薬で切り、どの純度まで精製するか」が経路ごとの設計課題になることが分かります(本記事による解説)。

6. 熱分解と熱分解油 ― 混合プラの出口とその品質の壁

Vollmerらは、熱分解を「酸素のない状態での熱分解で、原油の分留で得られるもの(製油所ガス、ガソリン/ナフサ、軽油、残渣)に似た混合物になる」と説明しています事実。 製品は燃料としても、スチームクラッキングのような原油由来と同じ経路でモノマーにも使えますが、 同レビューは、Plastic Energy、Petronas、Fuenix Ecogy、Nexus Fuel の商業的な熱分解プラントは、当時(2020年)、モノマーではなく燃料の生産を目指していると記載しています事実。

熱分解油を樹脂に戻す流れと品質の関門

ImageGenによる説明用の概念画像(実写・実測像ではありません)。正確な数値・名称・構造は元の模式図をご確認ください。

元の模式図(正確な注記・数値)を表示
混合廃プラ選別・粉砕前処理塩素源(PVC)など熱分解酸素のない状態で加熱熱分解油+ガス・残渣スチームクラッカーエチレン・プロピレン関門① 塩素を先に除くPVCは270〜290 ℃でHClを出し、主鎖の分解(465 ℃)より低温関門② 油の品質燃料規格に届かない項目がある(HDPE袋400 ℃の例)関門③ 沸点範囲クラッカーの最大許容沸点以下の分だけがリサイクル由来分に数える熱分解油を樹脂に戻す流れと、三つの関門(概念図)上段が流れ、下段が品質・算定上の関門。関門は代表例で、すべてを網羅したものではありません※ 関門①はVollmerほかの表2、②は同レビューのHDPE袋の例、③はEU実施決定(EU)2026/1425第7条4項による整理です。※ 実際の設備の順序・構成は事業者ごとに異なります。流れと関門の対応づけは本記事の整理です。
図3 概念図(ベクター作図)。流れは本記事の整理です。PVCの温度はVollmerほか表2[参考資料2]、沸点範囲と試験法の記述はEU実施決定(EU)2026/1425第7条4項[参考資料14]、燃料規格に届かない項目の例はVollmerほか[参考資料2]によります。特定プラントの構成や条件を示すものではありません。
素材技術者の読みどころ:熱分解油の「品質」は、スチームクラッカーが決めます

熱分解油をスチームクラッカーに入れて、エチレン・プロピレンに戻す場合、油はクラッカーが受け入れられる範囲に入らなければなりません。 EUの実施決定(EU)2026/1425は、算定にあたって「クラッカーごとの最大許容沸点」という概念を使い、 投入する油のうちその沸点以下で蒸発する分の重量を、石油留分の沸点範囲分布をガスクロマトグラフィーで求める標準試験法(EN 15199-3:2021、EN 15199-4:2021 など)で求めるよう定めています事実。 つまり、高沸点の重質分は、クラッカーに入れてもリサイクル由来分として数えられないという規則です(本記事による読み取り)。

品質の壁はほかにもあります。 Vollmerらは、HDPEの袋を400 ℃で熱分解して軽油相当の留分が最大47 wt%得られた例を紹介しつつ、 酸化安定性と密度の2項目が、軽油規格(ASTM D975、EN 590)を満たさなかったと書いています事実。 熱分解油は「石油製品に似ているが同一ではない」ため、塩素・窒素・金属・不飽和成分などの管理が、下流の設備の選択を左右します(これらの一般的な説明は本記事による解説で、個別の数値は本稿の一次情報では確認していません)。

7. ガス化 ― 20年以上動き続ける日本の例

レゾナックは、川崎事業所(神奈川県川崎市)で2003年からプラスチックケミカルリサイクル(KPR)事業を行っています。 同社の公表によると、KPRは「家庭や企業からゴミとして排出される使用済みプラスチックを原料に、高温でガス化し分子レベルまで分解して水素とCO2を取り出す」設備で、 水素は主にアンモニアの原料に、CO2はドライアイスや炭酸飲料の原料に使われます事実。

項目公表内容出所
開始時期2003年から事業を推進。「長期にわたって商業的な安定運転を継続している世界で唯一のガス化ケミカルプラント」と同社は説明レゾナック 2025年10月6日[11]
処理量「1日約200トン、年間約6万トン」。2022年1月に累計100万トンを達成レゾナック 2022年12月20日[10]
水素の使い分け2022年時点で、使用済みプラ由来の水素50%、都市ガス由来の水素50%でアンモニアを製造。使用済みプラ由来のみとする計画(2025年10月発表)[10][11]
認証2023年に水素・アンモニア・アクリロニトリルの3製品でISCC PLUS認証を取得[11]
環境性能同社は、このアンモニアで「CO2排出量80強%削減」が確認されたと公表(算定条件は同社の資料による)[10]

すべて事実(企業自身の公表)。「80強%削減」の算定条件・比較対象・第三者による確認の範囲は、本稿では検証していません。

本稿の計算:累計100万トンと年間約6万トンは整合するか

本稿の計算2003年の開始から2022年1月の累計達成までの期間は、開始月が公表資料にないため、2003年末の開始なら約18年強、2003年初めの開始なら約19年と幅が出ます。100万t÷(約18年強〜19年)=約5.3〜5.5万t/年です。年間約6万tという公称の処理量は、この平均よりやや多めですが、おおむね整合します。

前提と限界:開始時の立ち上げ期間や、年ごとの処理量の変動は公表資料から読み取れません。「2003年の開始」を事業開始と置いた単純な平均であり、実績の年次推移ではありません。 また、この6万tは日本のケミカルリサイクル全体(第3章の26万t、2023年)と比べて桁を見る程度の参考にとどめるべきです(対象年・区分が異なります)。

素材技術者の読みどころ:ガス化は「分子を捨てて、元素に戻す」経路です

ガス化は、高分子の構造をすべて壊して水素と炭素酸化物の合成ガスに戻します。 ポリマー構造・添加剤・汚れにあまり左右されない一方、樹脂としての価値(分子構造)は戻りません。 レゾナックの場合、行き先は樹脂ではなくアンモニア(および誘導品のアクリロニトリルなど)で、プラスチックからプラスチックへの循環ではなく、化学原料としての循環です事実(アンモニアの誘導品にアクリロニトリルが含まれると同社が説明)。 日本の統計が「ガス化」を用途で化学原料利用/燃料利用に分けるのは、この違いを区別するためです(第3章。本記事による解説)。

8. マスバランス方式と認証 ― ISCC PLUSとEUの算定規則

熱分解油はスチームクラッカーに入り、化石由来のナフサと混ざって処理されます。 できたエチレンやプロピレンの中に、「プラスチック廃棄物由来の分子」がどれだけ含まれるかは、物理的には測れません。 そこで、入った量と出た量を帳簿で管理するのがマスバランス方式です。 EUの実施決定は、マスバランス方式が「投入された消費後廃棄物由来の材料の重量が、すべての出力と損失に割り当てられた重量に等しくなる」ことを保証するものだと説明しています事実(前文8の趣旨)。

民間の認証:ISCC PLUS

ISCC PLUSは、代替原料(バイオ由来、リサイクル由来)の持続可能性特性を検証する、任意の認証制度です。 トレーサビリティのために物理的分離、制御された混合(controlled blending)、マスバランスの三つのチェーン・オブ・カストディ(CoC)の選択肢があり、 サプライチェーンの各拠点がそれぞれ認証を持つ必要があります(拠点ごとに発行、有効期間12か月)事実。

ISCCは2026年4月の解説で、マスバランス(認証済み投入量を追跡する)と「アトリビューション(帰属)」(その特性をどの出力に割り当てるか)を区別しています。 アトリビューションの一方式である「自由帰属(free attribution)」では、認証済みの投入量の特性を、定められたガードレールの範囲内で、一つまたは複数の出力へ柔軟に割り当てることができます。 ISCCはスチームクラッカーを例に、次の設例を示しています事実。

認証済み原料(熱分解油)損失控除後 100 t化石原料(量は設例になし)スチームクラッカー混ぜて処理出力(設例)自由帰属の一例EU既定の比例配分燃料 100 t0 t0 t製品A 100 t100 t20 t製品B 100 t0 t20 t両用出力 200 t0 t20 t合計 認証される量100 t60 t同じ100 tの認証済み原料を、どの出力に割り当てるかISCCの設例(出力の内訳と100 t)に、EU実施決定の既定の手順を当てはめた本稿の計算※ 自由帰属の列はISCCの設例が示す一例(製品Aに全量)。他の出力に割り当てることもできる、と同解説は述べています。※ EU既定の列:比例配分で1 tあたり0.2 t、燃料と損失は係数0、両用出力は燃料にならない割合を50%と仮定(本稿の仮定)して20 t。※ EU実施決定は条件つきの再配分(第7条6項)も認めるため、この列は最終的な認証量を示すものではありません。※ 規則の適用範囲は使い捨てプラスチック飲料ボトルの再生含有率の算定です。
図4 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。出力の内訳(燃料100 t、製品A 100 t、製品B 100 t、両用出力200 t)と「認証済み100 t」はISCCの設例[参考資料13]です。「自由帰属」の列は設例が示す一つの割り当て方(製品Aに全量)です。「EU既定の比例配分」の列は、EU実施決定第7条5項[参考資料14]の既定の手順を設例に当てはめた本記事の計算で、両用出力の「燃料にならない割合50%」は本記事が置いた仮定であり、公表値ではありません。実施決定は、条件つきの再配分(第7条6項)も認めています。
本稿の計算:同じ100 tが、規則で20 tにも100 tにもなる

本稿の計算図4の設例で、EU実施決定第7条5項の既定の手順を適用します。

  • 手順(a):投入された認証済み(適格)材料100 tを、各出力の中の適格材料の割合が、投入の中の割合と等しくなるように配分する。損失を除く出力の合計は 100+100+100+200=500 t なので、1 tあたり 100÷500=0.2 t が割り当てられる。
  • 手順(c):各出力に「両用係数」を掛ける。非燃料=1、燃料と損失=0、両用出力(液体・気体)=燃料にならずリサイクルの経路に残る割合(固体なら0)。
  • 結果:製品A=100×0.2=20 t、製品B=20 t、燃料=100×0.2×0=0 t、両用出力=200×0.2×0.5=20 t(0.5は仮定)。合計は60 tで、残りの40 tは燃料側に行く分としてリサイクル含有量に数えられない。

前提と限界:実施決定は適用対象を使い捨てプラスチック飲料ボトルの再生材含有率の算定に限っており、すべての製品の規則ではありません。 上の計算は規則の既定の配分を単純な設例に当てはめたもので、第7条6項が認める再配分(実現可能な化学プロセスがあることの証明などの条件つき)や、第7条4項のクラッカーでの沸点範囲による調整は含みません。 ISCCの設例の「製品Aに100 t」とは、規則と方式が違えば数字が変わる、という一例であり、どちらが正しいかを示すものではありません。

EU:実施決定(EU)2026/1425(2026年6月30日付)

欧州委員会は2026年6月30日、使い捨てプラスチック指令の再生プラスチック含有率(飲料ボトル)を算定・検証・報告する規則として、実施決定(EU)2026/1425を採択しました(官報掲載は2026年7月3日、公布の20日後に発効)。 旧決定(EU)2023/2683を置き換え、初めて化学的リサイクルとマスバランス方式の規則を含みます事実。 主な内容は次のとおりです事実。

  • 「燃料用途を除く(fuel-use excluded)」方式:前文24は、各算定点で、燃料や損失に回った適格材料を再生含有量から差し引くとし、「廃棄物枠組み指令第3条17号に従うため」と説明しています。固体の両用出力(チャーなど)は算定から完全に除外されます。
  • 前文5:「化学的リサイクルは、メカニカルでは扱いにくい廃プラスチックを処理でき、より高品質・高性能の再生品を提供しうる。メカニカルリサイクルが十分な品質・性能を出せる場合は、環境面では一般にメカニカルが望ましく、化学的リサイクルはこれを補完すべきである」と述べています。
  • 帳簿の運用:算定期間は最長3か月、プラスの残高の繰り越しは可、マイナス残高は不可。算定は拠点ごとで、拠点間・会社間の移転はできません(第7条7・8項)。
  • 一度マスバランスを使うと、以降のすべての段階でも使う(前文10)。一方、投入も出力もポリマーの段階(再重合後)で割合が既知になれば、さらなる再配分は認めない(前文11)。
  • 第三国で再生された材料:2027年11月21日から、OECD決定が適用される国などで再生された分も条件つきで対象に含める(定義第1条1号)。
  • 見直し:欧州委員会は2030年1月1日までに決定を見直す(第10条)。

包装全般(PPWR)については、第7条8・9項が、2026年12月31日までに再生材含有率の算定・検証方法の実施法と、リサイクル技術の持続可能性基準の委任法を採択すると定めています事実。 その際、欧州委員会は「品質、廃棄物の入手可能性、必要なエネルギー、温室効果ガス排出などの環境性能」を含めて技術を評価するとしています事実。 PPWR向けの実施法・委任法は、本稿の調査時点では確認できていません未確定/将来。

9. 素材技術者の視点②:「帳簿上の再生」と物理的な中身

素材技術者の読みどころ:マスバランスの製品は、ふつうの製品と物性が同じです

BASFは、熱分解油をスチームクラッカーに入れた「ChemCycling」について、「マスバランス方式では、再生原料の割合を、最終的な認証製品に計算上割り当てることができる。顧客は割り当てられた再生材の割合を選べる」と説明しています事実。 同社は別のページで、マスバランス製品はドロップイン(従来品と同じように加工できる)だとしています事実。

材料の立場からは、ここに二つの意味があります(本記事による解説)。

  • メリット:分子としては化石由来と区別がつかず、グレード・物性・規格がそのまま維持されます。メカニカルリサイクルのような「ばらつき」を顧客が引き受ける必要がありません。食品包装のように、再生材に厳しい用途へも入りやすくなります。
  • 注意:製品を分析しても「リサイクル由来かどうか」は検証できません。主張の根拠は、分析ではなく帳簿と監査です。だから「どの出力に割り当てるか」「燃料に回った分をどう扱うか」という規則そのものが、主張の信頼性を決めます。

EUの実施決定が「燃料用途を除く」方式を採り、拠点ごと・3か月ごとの帳簿、マイナス残高の禁止を課しているのは、この測れない部分を規則で縛るためです(本記事による読み取り)。 材料技術者としては、認証の有無よりも「どの規則で算定された数字か」を確かめることが、調達や環境主張の第一歩になります。

10. エネルギー使用とLCAの議論

ケミカルリサイクルは鎖を切るため、反応のためのエネルギーが必要です。それが得られる材料の価値に見合うかは、ライフサイクルアセスメント(LCA)で評価されます。 ここでは、査読論文の結果を、前提と一緒に並べます。

020406080溶解・再沈殿65〜75ソルボリシス(汚れのないPETなど)同程度エネルギー回収(発電)30〜45熱分解生成物の燃料代替約30混合プラのメカニカル(添加剤入り)約25CO2排出の削減の目安と、熱分解のLCAの結論左:Vollmerほか(エネルギー回収なしの焼却を100とした比較の削減率、wt%) 右:Jeswaniほか(混合プラの熱分解)廃プラ処理方法別のCO2削減の目安焼却(エネルギー回収なし)に対する削減(wt%)エネルギー回収より気候変動影響・エネルギー使用が約50%低いメカニカルリサイクルと再生品の品質を考慮すると同程度気候変動影響 −0.45 vs 1.89t CO2 eq./t(熱分解 vs 化石由来の同等品)それ以外の環境影響は熱分解が有意に大きい※ 左右は別の研究で、評価の枠組み・基準・対象樹脂が異なります。ソルボリシスの棒は「溶解・再沈殿と同程度」とのレビューの記述に合わせた表示です。※ Jeswaniほかは、結果が地域・エネルギー構成・炭素転換効率・再生品の品質に敏感であると述べています。
図5 概念図(ベクター作図)。左はVollmerほか[参考資料2]が示した、廃プラスチックの処理方法別のCO2削減の目安(同レビューの図2、エネルギー回収なしの焼却を基準とした比較)、右はJeswaniほか[参考資料4]のLCAの結論です。両者は評価の枠組み・対象樹脂・基準が異なる別の研究であり、数値どうしを直接比べることはできません。棒の並べ方は本記事の整理です。
素材技術者の読みどころ:「分子をどこまで壊すか」が、環境性能を大きく左右します

Vollmerらは、LCAの比較から「ポリマーの構造・結合を壊す程度が少なく、再生品の質が高いほど、環境性能が良い」と述べています事実。 同レビューでは、CO2削減は溶解・再沈殿で65〜75 wt%と最大(結合を切らず、再形成も要らないため)で、 汚れていないPETなどのソルボリシスも同程度、 熱分解生成物が燃料油・天然ガスを置き換える場合は焼却時のCO2排出の約30 wt%、 添加剤入りの混合プラのメカニカルリサイクルは約25 wt%、エネルギー回収は30〜45 wt%とされています事実。 また、再生品は再製造と輸送が必要で、再利用(リユース)はすべての再生経路より有利だとも述べています事実。

Jeswaniら(2021年)は、混合プラスチック廃棄物の熱分解を、メカニカルリサイクル・エネルギー回収・バージン樹脂製造とLCAで比べ、次の結果を示しました事実。

  • 熱分解は、エネルギー回収より気候変動への影響とエネルギー使用が約50%低い。
  • 熱分解とメカニカルリサイクルは、再生品の品質を考慮すると、気候変動影響とエネルギー使用が同程度。
  • 熱分解で再生した混合プラの気候変動影響は−0.45 t CO2 eq./tで、化石由来の同等品(1.89 t CO2 eq./t)より有意に低い。
  • 一方で、それ以外の環境影響は、熱分解がメカニカルリサイクル、エネルギー回収、バージン樹脂製造より有意に大きい。
  • 結果は、地域とそのエネルギー構成、熱分解の炭素転換効率、再生品の品質などの仮定に敏感。

この結果は「ケミカルは良い/悪い」の一言では要約できません。 比較の相手(燃やす/メカニカル/バージン)、評価する影響の種類(気候変動か、それ以外か)、電力の脱炭素度で結論が変わります。 EUの実施決定の前文5が「メカニカルが十分な品質を出せるなら、環境面ではメカニカルが一般に望ましい」と書いているのも、この現状の反映と読めます(本記事による解説)。 LCAの考え方そのものは、本シリーズ「マイクロプラスチックとライフサイクルアセスメント」編で扱います。

この分野で「議論中」の点

確立している点:解重合(ソルボリシス)は、結合を持つ樹脂(PET、PAなど)で高純度のモノマーに戻せる。熱分解は、PE・PPではモノマーよりも混合炭化水素を主に与える。熱分解油が燃料になる分は、EUの定義ではリサイクルに数えない事実。
議論が続いている点:マスバランスの配分規則(自由帰属か燃料除外か)、熱分解油の品質規格、LCAの結論(比較の相手と前提に依存)、どこまでを「リサイクル」と数えるか。本稿は特定の立場を推奨せず、公的文書と査読論文の記述にとどめています。

11. 各社の実プラント ― 目標と、確認できた実績

ケミカルリサイクルの設備は、計画の発表から稼働までに時間がかかり、目標が後ろにずれる例が少なくありません。 ここでは、各社が自ら公表した資料だけで、公称の能力、発表した目標、確認できた状態を分けて並べます。 能力値は設備の公称値で、稼働率や実際の処理量ではありません。

公表した目標・計画と、確認できた状態(4社)各社自身の公表資料から要約。能力は公称値で、稼働率ではありません会社・設備公表した目標・計画確認できた状態EastmanKingsport(米)公称 11万t/年能力:年11万t(公称)(本稿で確認した範囲では具体的な目標年の記載なし)2024年3月に初期生産を達成「立ち上げを開始」と「規模で稼働」の両方の記載。稼働率は未確認ENEOS・三菱ケミカル茨城(神栖)公称 2万t/年2021年7月:2023年度に油化の開始を目指す2025年7月2日に竣工式ISCC PLUS認証は「取得予定」油化の稼働実績は未確認ExxonMobilBaytown(米)ほか公称 8,000万lb/年超2022年12月:2026年末までに世界で年10億ポンドの処理能力2024年11月:2027年までにBaytown:2022年稼働累計7,000万lb超(2024年10月)追加ユニットは2026年稼働予定レゾナック川崎(KPR)公称 約6万t/年2025年10月:使用済みプラ由来の水素のみでアンモニアを製造する計画2003年から稼働2022年1月に累計100万t2023年にISCC PLUS認証を取得※ lb=ポンド。規模の比較はせず、各社の表現を要約しました。「確認できた状態」は各社の公表日時点です。
図6 概念図(ベクター作図)。各社の公表内容[参考資料5〜11]を、本記事が「公表した目標・計画」と「確認できた状態」に分けて要約したものです。稼働率・採算・製品の品質を評価するものではなく、各社の取り組みの優劣を示すものでもありません。確認できた状態は、各社の公表日時点のものです。
会社・設備方式公称能力発表した目標・計画確認できた状態
Eastman
Kingsport(米テネシー州)
分子リサイクル(ポリエステルをモノマーへ戻す。メタノール分解の技術を2020年のレビューが記載)110,000 t/年(同社)—2024年3月に初期生産を達成。同社ページは「規模で稼働」と「規模での稼働に向けて立ち上げを開始」の両方を記載。稼働率は未確認
ENEOS・三菱ケミカル
茨城(神栖市)
超臨界水熱分解(英Mura Technology社の技術)で油化し、石油精製装置・ナフサクラッカーの原料に2万t/年(2021年公表)2021年7月:2023年度に油化の開始を目指す2025年7月2日に竣工式。ISCC PLUS認証は「取得を予定」。油化の稼働実績は、本稿では確認できず
ExxonMobil
Baytown(米テキサス州)
「アドバンスト・リサイクル」(Exxtend技術)2022年:8,000万ポンド/年超
2024年:追加後に合計5億ポンド/年(全体)
2022年12月:2026年末までに世界で年10億ポンド → 2024年11月:2027年までにBaytownは2022年に稼働、2024年10月時点で累計7,000万ポンド超を処理。追加ユニットは2026年稼働予定
レゾナック
川崎事業所(KPR)
ガス化(水素・アンモニアへ)約6万t/年(約200 t/日)使用済みプラ由来の水素のみでアンモニアを製造する計画(2025年10月)2003年から稼働、2022年1月に累計100万t。2023年にISCC PLUS認証を取得
Aquafil
スロベニア
ナイロン6の加水分解(カプロラクタムへ)未確認—2020年のレビューが「カーペット由来のナイロン6を処理」と記載。現在の稼働状況は未確認

すべて事実(各社の公表[参考資料5〜11]、Vollmerほか[2])。ExxonMobilの「追加後の合計」は、発表文の「350百万ポンドを追加し、合計5億ポンド」の記載で、追加前は差し引き1.5億ポンドになります(本稿の計算)。2026年稼働予定の追加分は未確定/将来です。

本稿の計算:ExxonMobil Baytown の処理実績を、公称能力と並べる

本稿の計算発表文の数値を換算します(1ポンド=0.4536 kg)。

  • 累計処理量 7,000万ポンド ≒ 約3.2万t(2022年12月〜2024年10月、約22か月)
  • 2022年の公称能力 8,000万ポンド/年 ≒ 約3.6万t/年。22か月分に直すと約1.47億ポンド
  • 累計処理量は、2022年の公称能力で22か月分に相当する量の約48%(7,000÷14,700)
  • 2024年11月の発表から逆算した追加前の能力 = 5億−3.5億=1.5億ポンド/年(約6.8万t/年)

前提と限界:Baytownは、2022年の稼働後にユニットが追加され(2022年の発表では公称8,000万ポンド超、2024年の発表からの逆算では1.5億ポンド)、能力が時期によって違います。立ち上げ期(ランプアップ)の稼働率が低いのは通常のことで、 上の48%は稼働率の評価ではなく、公表値の桁を見る参考値です。また、累計は「7,000万ポンド超」と下限しか示されていません。 能力の拡大計画の目標年が2026年末から2027年へ動いたことと併せて、「公称能力」と「実際に処理された量」は別の数字だと分かります。

素材技術者の読みどころ:設備能力の数字は、そのまま「リサイクルされた量」になりません

3つのズレを意識すると、各社の発表を冷静に読めます(本記事による解説)。

  • 能力と稼働のズレ:公称能力は設計値です。立ち上げ(ランプアップ)、原料の確保、定期修繕で、実際の処理量は変わります。
  • 処理量と製品のズレ:入れた廃プラの全量が樹脂原料になるわけではありません。熱分解では油・ガス・残渣(チャー)に分かれ、EUの規則では燃料や損失に回った分は再生含有量から差し引かれます(第8章)。
  • 目標と実績のズレ:ENEOS・三菱ケミカルは「2023年度の開始を目指す」と発表し、竣工式は2025年7月でした。ExxonMobilは10億ポンドの目標年を2026年末から2027年へ変えています。計画値は将来の見通しであり、実績ではありません。

12. 課題と、本稿で確認できなかったこと

清潔な前処理の作業場で、形や色の異なる洗浄済みの小片やフィルムの切れ端が混ざったトレイから、手袋の手が試料をすくってガラス瓶に入れ、卓上の分析装置で調べようとしている様子
図7 イメージ図(AI生成)。「汚れ・混合した廃プラスチック」という原料を、洗浄済みの小片が混ざったトレイとサンプルの採取・分析の場面として描いたものです。実際の廃棄物・組成・色を示すものではありません。

(1) 原料の確保と前処理

Vollmerらは、研究は「より現実的で、より汚れた混合の廃プラスチックの流れ」に焦点を当てるべきで、回収・選別のインフラは、より厳しい規制によって改善される必要があると述べています事実。 PVC由来の塩素などの除去(第6章)も含め、どこまで前処理に手をかけるかが採算と環境性能の両方を左右します。

(2) 規則の未確定部分

EUの実施決定(EU)2026/1425は飲料ボトルについて規則を定めましたが、包装全般(PPWR)の再生材含有率の算定方法とリサイクル技術の持続可能性基準は、2026年12月31日までの採択が予定された段階です未確定/将来。 日本の国内でのマスバランスの扱い(認証の位置づけ、統計上の扱い)については、本稿では一次情報を確認できていません。

(3) 本稿で確認できなかったこと

  • 各設備の稼働率と実際の年間処理量:Eastman Kingsport、ENEOS・三菱ケミカル、ExxonMobil の各設備について、公称能力と時点の記載はあっても、通年の稼働実績は確認できませんでした。
  • Eastmanのテキサス州の新設計画、Mura Technologyの英国プラントなどの現在の状況:本稿では公式資料で確認できなかったため記載していません。
  • 熱分解油の品質規格と実際の組成(塩素・窒素・金属の許容値など):数値は本稿の一次情報では確認していません。
  • 「CO2排出80強%削減」(レゾナック)の算定条件の検証:同社の公表の引用にとどめています。
  • 日本国内の規制・ガイドラインにおけるマスバランスの扱い:調査範囲外です。
この記事のまとめ
  • ケミカルリサイクルは「鎖を切る」方法の総称で、解重合(モノマー)、熱分解(油)、ガス化(合成ガス)では、得られるものも「リサイクル」と数える範囲もまったく違います。
  • モノマーに戻りやすさは分子構造で決まります。熱分解でのモノマー回収率の目安は、PMMA 95超、PS 70〜85、PE 40、PP 30〜45、PETとPVCはほぼ0(wt%)です事実。
  • 日本の統計のケミカルは26万t(3%)で、容器包装等のフローでは高炉・コークス炉原料が21万tを占め、油化は0万tと表示されます事実。
  • マスバランスは「測れない部分を規則で縛る」帳簿です。EUは燃料用途を除く方式を採り、同じ設例でも規則により認証量が変わります本稿の計算。
  • 環境性能はLCAの前提次第で、熱分解は気候変動影響でエネルギー回収より低いが、それ以外の影響は大きいと報告されています事実。
  • 各社の「能力」「目標」「実績」は別の数字です。ENEOS・三菱ケミカルは「2023年度に油化を開始」との目標に対し、竣工式は2025年7月でした。ExxonMobilは10億ポンドの目標年を1年後ろへ動かしました事実。

13. 用語集

ケミカルリサイクル
化学反応で高分子を切り、原料に戻して再び材料にする方法の総称。
解重合(ソルボリシス)
水・アルコールなどの試薬で結合を切り、モノマーへ戻す方法。
熱分解(パイロリシス)
酸素のない状態で加熱して分解し、油・ガス・残渣を得る方法。
ガス化
高温で分子レベルまで分解して合成ガス(水素・一酸化炭素など)にする方法。
熱分解油
廃プラスチックの熱分解で得られる、原油の留分に似た液状の混合物。
スチームクラッカー
ナフサなどを約850 ℃で分解し、エチレン・プロピレンを作る石油化学の設備。
モノマー回収率
廃樹脂の重量に対する、回収できたモノマーの重量割合(wt%)。
BHET/DMT/TPA
PETの原料になる化合物。ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸。
マスバランス
入った量と出た量を帳簿で管理し、リサイクル由来分を製品に割り当てる方式。
ISCC PLUS
バイオ由来・リサイクル由来の原料を認証する、任意の国際的な制度。
fuel-use excluded
燃料や損失に回った分をリサイクル含有量から差し引く算定方式(EUの実施決定が採用)。
両用出力
燃料にも燃料以外の製品にもなりうる出力。EU実施決定の用語。

14. 参考資料(一次情報)

  1. プラスチック循環利用協会「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況 マテリアルフロー図 2023年」2024年12月発行(PDF) — pwmi.or.jp
  2. Vollmer ほか “Beyond Mechanical Recycling: Giving New Life to Plastic Waste”, Angewandte Chemie International Edition 59, 15402–15423 (2020). DOI 10.1002/anie.201915651 — pmc.ncbi.nlm.nih.gov
  3. Coates, Getzler “Chemical recycling to monomer for an ideal, circular polymer economy”, Nature Reviews Materials 5, 501–516 (2020). DOI 10.1038/s41578-020-0190-4 — nature.com
  4. Jeswani ほか “Life cycle environmental impacts of chemical recycling via pyrolysis of mixed plastic waste in comparison with mechanical recycling and energy recovery”, Science of the Total Environment 769, 144483 (2021). DOI 10.1016/j.scitotenv.2020.144483 — doi.org
  5. Eastman「Tennessee site(Kingsport)」 — eastman.com
  6. ENEOS/三菱ケミカル「ENEOSと三菱ケミカル共同のプラスチック油化事業実施について」2021年7月20日(PDF) — eneos.co.jp
  7. ENEOS/三菱ケミカル「ENEOSと三菱ケミカル、プラスチック油化の開始に向けてケミカルリサイクル設備を竣工」2025年7月3日(PDF) — mcgc.com
  8. ExxonMobil「ExxonMobil starts operations at large-scale advanced recycling facility」2022年12月14日 — corporate.exxonmobil.com
  9. ExxonMobil「ExxonMobil to expand advanced recycling capacity」2024年11月21日 — corporate.exxonmobil.com
  10. レゾナック「CO2排出量80%強削減を確認、使用済みプラスチックから生まれた低炭素アンモニア」2022年12月20日 — resonac.com
  11. レゾナック「プラスチックのケミカルリサイクルによる低炭素アンモニア事業拡大を決定」2025年10月6日 — resonac.com
  12. ISCC「ISCC PLUS certification」 — iscc-system.org
  13. ISCC「Certified Free Attribution for Scaling-up the Circular Economy」2026年4月1日 — iscc-system.org
  14. 欧州委員会実施決定(EU)2026/1425「使い捨てプラスチック飲料ボトルの再生プラスチック含有率に関するデータの算定、検証及び報告」2026年6月30日 — eur-lex.europa.eu
  15. 欧州議会・理事会指令2008/98/EC「廃棄物枠組み指令」 — eur-lex.europa.eu
  16. 欧州議会・理事会規則(EU)2025/40「包装及び包装廃棄物に関する規則」 — eur-lex.europa.eu
  17. BASF「BASF for the first time makes products with chemically recycled plastics」2018年12月 — basf.com
  18. BASF「ChemCycling® as a feedstock for raw materials」 — myindustryworld.basf.com

15. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
日本の2023年のケミカルリサイクル26万t(3%)、廃プラ総排出量769万t、マテリアル171万t(22%)。区分が「高炉・コークス炉原料/ガス化(化学原料利用)/油化」で、ガス化は用途で化学原料利用をケミカルに、燃料利用をサーマルに分けること。容器包装等のフロー図での内訳(高炉・コークス炉原料21万t、ガス化(化学原料利用)4万t、油化0万t)。四捨五入の注記。2024年12月発行プラスチック循環利用協会 マテリアルフロー図 2023年[参考資料 1]https://www.pwmi.or.jp/flow_pdf/flow2023.pdf事実
レビューの要旨(各プロセスは特定の廃プラの流れに適用できる/複数技術の組み合わせ/より汚れた混合廃棄物に焦点を)。ソルボリシスがエステル・エーテル・酸アミド結合を切り、モノマーを精製して添加剤・着色剤を除き、バージン品質に再重合できること。PETの生成物(TPA・BHET・DMT)、BHETの純度とオリゴマー、炭酸ナトリウム触媒で1時間・196 ℃で約80%の収率(EG:PETモル比7.6:1)。加水分解よりメタノール分解・グリコール分解が進んだのは、加水分解の高い運転温度に伴うエネルギー要求。PETのメタノール分解とPET・PUのグリコール分解の商業プラントが少数あること。PUがメカニカルリサイクルできないこと。Aquafilのスロベニアでのナイロン6の蒸気加水分解(カプロラクタム)。熱分解の説明(原油の留分に似た混合物)、HDPE袋400 ℃・軽油最大47 wt%・酸化安定性と密度が軽油規格に届かないこと。商業的な熱分解プラントが燃料を目指していること。表2(PMMA >95、PS 70/85、HDPE 40、LDPE 40、PP 30/45、PET・PVC ほぼ0、PVCのT5% 270 ℃・TMAX 290 ℃・465 ℃、PETの生成物)。PVC前処理でHCl除去が可能であること。パイロットでエチレン36 wt%・プロピレン18 wt%。LCAの記述(溶解・再沈殿65〜75 wt%、ソルボリシスは同程度、熱分解生成物の燃料代替は約30 wt%、混合プラのメカニカルは約25 wt%、エネルギー回収30〜45 wt%、リユースの優位、「壊す程度が少ないほど環境性能が良い」)。「あらかじめ決めた条件で分解するポリマーを設計できる能力は重要な一歩」。PolyStyreneLoopの3,300 t/年の建設開始(2019年12月)Vollmer ほか(2020年)[参考資料 2]https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7497176/事実
モノマーに戻して精製し再重合する化学リサイクルを「CRM」と呼ぶこと。この方法でリサイクルした材料に性能の低下がないとする見解。重合のエネルギー論を検討し、ポリオレフィンの熱分解とナイロン6の閉環解重合を既存樹脂での試みとして挙げていることCoates, Getzler(2020年)要旨[参考資料 3]https://www.nature.com/articles/s41578-020-0190-4事実
熱分解のLCA:エネルギー回収より気候変動影響とエネルギー使用が約50%低い。メカニカルとは品質を考慮すると同程度。気候変動影響−0.45 vs 1.89 t CO2 eq./t。その他の影響は熱分解が有意に大きい。地域・エネルギー構成・炭素転換効率・再生品の品質に感度Jeswani ほか(2021年)要旨[参考資料 4]https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2020.144483事実
Eastman Kingsportの公称能力110,000 metric tons/年。2024年3月に初期生産を達成し、規模での稼働に向けて立ち上げを開始したという記載、および「operating at scale」の記載。ポリエステルをモノマーへ戻す技術Eastman 公式ページ[参考資料 5]https://www.eastman.com/en/sustainability/environmental/circularity/site-locations/tennessee-site事実
ENEOS・三菱ケミカルの茨城事業所に年2万tの処理能力のケミカルリサイクル設備を建設し、2023年度に油化の開始を目指すとした2021年7月20日の発表。Mura Technology社の超臨界水技術。生成油を石油精製装置とナフサクラッカーの原料にすることENEOS/三菱ケミカル 2021年7月20日[参考資料 6]https://www.ENEOS.co.jp/newsrelease/20210720_01_01_2006437.pdf事実
2025年7月2日に竣工式を開催したこと。ISCC PLUS認証を「取得を予定」としていること。リサイクル生成油を既存の石油精製装置とナフサクラッカーの原料に使うことENEOS/三菱ケミカル 2025年7月3日[参考資料 7]https://www.mcgc.com/news_release/pdf/02376/02642.pdf事実
ExxonMobil Baytownが2022年12月に稼働し、年8,000万ポンド超の処理能力、2026年末までに世界で年10億ポンドの計画。パイロット運転以降の処理量約1,500万ポンドExxonMobil 2022年12月14日[参考資料 8]https://corporate.exxonmobil.com/news/news-releases/2022/1214_exxonmobil-starts-operations-at-large-scale-advanced-recycling-facility事実
2億ドル超の投資で、BaytownとBeaumontに年3.5億ポンドを追加し合計5億ポンド/年、2026年稼働予定。2027年までに世界で年10億ポンドを目標。2024年10月時点でBaytownの累計処理量7,000万ポンド超ExxonMobil 2024年11月21日[参考資料 9]https://corporate.exxonmobil.com/news/news-releases/2024/1121_exxonmobil-invests-200m-to-expand-advanced-recycling-in-texas事実
レゾナックKPRの方式(高温でガス化し水素とCO2を取り出す)、水素のアンモニア原料への利用、処理量「1日約200トン、年間約6万トン」、2022年1月の累計100万トン、水素の50%が使用済みプラ由来、「CO2排出量80強%削減」の公表レゾナック 2022年12月20日[参考資料 10]https://www.resonac.com/jp/news/2022/12/20/2263.html事実
2003年からのKPR事業、2023年のISCC PLUS認証(水素・アンモニア・アクリロニトリル)、使用済みプラ由来の水素のみでアンモニアを製造する計画、アクリロニトリルがアンモニアの誘導品であること、2022年に累計100万トン超レゾナック 2025年10月6日[参考資料 11]https://www.resonac.com/jp/news/2025/10/06/3631.html事実
ISCC PLUSが代替原料の持続可能性特性を検証する任意の認証制度であること。CoCの三つの選択肢(物理的分離、制御された混合、マスバランス)。各拠点が認証を必要とし、拠点ごとに発行・有効期間12か月ISCC PLUS 認証制度の解説[参考資料 12]https://iscc-system.org/certification/certification-schemes/iscc-plus/事実
マスバランスとアトリビューション(帰属)の区別。自由帰属の説明。スチームクラッカーの設例(燃料100 t、製品A 100 t、製品B 100 t、両用出力200 t、認証済み100 tが損失控除後に残る)と、製品Aへの全量割り当てなどの例。投入と出力の収支が保たれること。2026年4月1日ISCC 解説記事[参考資料 13]https://iscc-system.org/certified-free-attribution-for-scaling-up-the-circular-economy/事実
実施決定(EU)2026/1425の日付(2026年6月30日付、官報2026年7月3日、公布の20日後に発効)、旧決定(EU)2023/2683の置き換え。前文3・5・8・10・11・24。第1条(定義:適格材料、出力カテゴリー、最大許容沸点、第三国は2027年11月21日から)、第5〜7条(質量収支、既定の比例配分と両用係数、スチームクラッカー段階の沸点範囲とEN 15199-3:2021・EN 15199-4:2021の例示、再配分の条件、期間3か月、マイナス残高不可、拠点ごと)、第10条(2030年1月1日までの見直し)委員会実施決定(EU)2026/1425[参考資料 14]https://eur-lex.europa.eu/eli/dec_impl/2026/1425/oj/eng事実
「リサイクル」の定義(エネルギー回収、および燃料として使われる物質への再処理を含まない)。第3条17号廃棄物枠組み指令 2008/98/EC[参考資料 15]https://eur-lex.europa.eu/eli/dir/2008/98/oj/eng事実
PPWR第7条8・9項(2026年12月31日までに算定・検証の実施法とリサイクル技術の持続可能性基準の委任法を採択、環境性能を含めて技術を評価)規則(EU)2025/40[参考資料 16]https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2025/40/oj/eng事実
BASFのChemCyclingで、熱分解油をスチームクラッカーに入れ、マスバランス方式で再生原料の割合を認証製品に計算上割り当て、顧客が割合を選べること。2018年12月BASF ニュースリリース[参考資料 17]https://www.basf.com/fi/en/media/news-releases/2018/12/p-18-385事実
BASFが、マスバランス製品を従来品と同じように加工できる「ドロップイン」としていることBASF ChemCyclingのページ[参考資料 18]https://myindustryworld.basf.com/emea/en/sustainable-solutions/chemcycling事実
ENEOS・三菱ケミカルの油化の稼働(目標は2023年度に開始)、ExxonMobilの10億ポンド目標(2026年末→2027年)、追加ユニットの2026年稼働、レゾナックの水素100%使用済みプラ由来化、ISCC PLUS認証の取得予定、PPWRの実施法・委任法(2026年12月31日までの採択予定)、実施決定(EU)2026/1425の第三国分の対象化(2027年11月21日)、同決定の2030年までの見直し各社・EUの計画・目標・予定であり、実績ではない[参考資料 7]https://www.mcgc.com/news_release/pdf/02376/02642.pdf未確定/将来
171÷26=約6.6倍。100万t÷約18年強〜19年=約5.3〜5.5万t/年。ExxonMobilの換算(7,000万ポンド≒約3.2万t、8,000万ポンド/年≒約3.6万t/年、22か月分で約1.47億ポンド、7,000÷14,700=約48%、5億−3.5億=1.5億ポンド/年≒約6.8万t/年)。図4の比例配分(0.2 t/t、A 20 t・B 20 t・燃料0 t・両用20 t、合計60 t)と、両用出力の割合50%の仮定本稿の計算。いずれも公表値を前提とした換算・単純計算で、1ポンド=0.4536 kg、2003年から2022年1月までを約18年強〜19年(開始月が不明のため幅を取る)、両用出力の割合を50%とする仮定は本稿が置いた。図4の「EU既定の比例配分」は規則の既定手順の単純な適用で、再配分(第7条6項)は含まない本稿の計算
PMMA・PSが連鎖的にモノマーを放出しやすく、PE・PPがランダム切断で混合炭化水素を与えること、重合のエネルギー論との関係。ガス化が「分子構造を壊して元素に戻す」経路で、樹脂としての価値が戻らないこと。熱分解油で管理すべき項目(塩素・窒素・金属・不飽和成分)。マスバランス製品が分析で検証できず、主張の根拠が帳簿と監査であること。認証より「どの規則か」を確かめるべきという提案。公称能力と実処理量・目標と実績の三つのズレ。日本の「ケミカル」の主役が高炉・コークス炉原料であるという読み取り高分子化学と工程に関する一般的な説明、および公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関・各社が表明した見解ではない解説
各設備の稼働率と年間処理量、Eastmanのテキサス州計画とMura Technologyの英国プラントの現状、熱分解油の品質規格と組成の許容値、レゾナックの「80強%削減」の算定条件の検証、日本国内のマスバランスの扱い、PPWR向けの実施法・委任法の採択状況本稿の調査範囲では公開された一次情報で確認できなかった、または調査範囲外のため記載していない解説
図1・図2・図3・図4・図5・図6が実際のプラントの設計図・測定データの原図ではなく説明のための作図であること。ヒーロー画像と図7がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月2日/出典は一次情報(公的機関・法令・実施決定、業界団体の統計、査読論文、各社自身の公表資料、認証団体の解説)に限定しています。調査会社の市場推計は使っていません。 各社の能力値は公称の設備能力であり、稼働率や実績ではありません。化学・工程に関する一般的な説明は「解説」として、出典付きの事実と区別しています。 各設備の稼働実績、Eastmanのテキサス州計画とMura Technologyの現状、熱分解油の品質規格の数値、レゾナックの削減率の算定条件の検証、PPWR向けの実施法・委任法の採択状況については、確認できなかったため記載していません。 図1〜図6はベクター作図、ヒーロー画像と図7はAI生成イメージであり、いずれも実際のプラント・製品・分析データを示すものではありません。