TECHNOLOGY EXPLAINER
レドックスフロー電池
― 出力と容量を「別々に」決められる電池の、液と膜の勘所
レドックスフロー電池は、活物質を溶かした液を外のタンクに貯め、ポンプでセルスタックへ送って充放電する電池です。出力はスタック、容量は液量で決まるので、2つを独立に設計できます。主流はバナジウム系で、住友電気工業は北海道で15 MW×4時間(60 MWh)の設備を運転しています。 一方、米国のPNNLの推計では、系統に出す往復効率は約65%(リチウムイオンのLFPは約83%)で、100 MW・10時間の設置費もLFPを下回りません。この記事では、素材技術者の目で、液・膜・電極の何が難しいかを整理します。
- レドックスフロー電池とは(3行でつかむ)
- 仕組み ― タンクとスタックの分離
- 本稿の計算:出力を固定して時間を延ばすと、何が増えるか
- 素材技術者の視点①:電解液は「劣化しない」のか
- 素材技術者の視点②:イオン交換膜のトレードオフ
- 電極・双極板・スタックの設計
- バナジウム以外の系 ― 鉄クロム・亜鉛臭素・鉄・有機
- 効率とコスト構造
- 実績 ― 公式資料で確認できる範囲
- 限界と、確認できなかったこと
- 評価・標準の読み方
- 用語集
- 参考資料(一次情報)
- 主張と出典の対応表(監査)
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標・見通しで、実績が確認できていない事項
このほか、材料や構造の読み取りは「解説」として区別しています。推測は一次資料で確認していない読み取りです。
メーカーの値は「メーカー公称」と書き、対象(モジュール・セル・システム)と条件を添えます。PNNLの値は、開発者調査にもとづく推計で、市場の実勢価格ではありません。
本記事は技術解説であり、設備の運転・安全、投資・調達の判断の助言ではありません。
1. レドックスフロー電池とは(3行でつかむ)
- 仕組み:住友電気工業は、活物質を含む水溶液中のイオンの酸化還元反応で充放電する蓄電池と説明しています。電解液は正負の外部タンクに貯め、ポンプでセルへ循環します。電池容量(kWh)はタンク内のバナジウム量、出力(kW)はセルの大きさ(面積×セル数)で決まり、出力と容量を独立に設計できるとされています事実[参考資料3]。
- 位置づけ:現在、世界的に主流なのはバナジウム/バナジウム(V/V)系です事実[参考資料3]。系統に接続された大型の運転例として、北海道電力の15 MW/60 MWh(2015年12月稼働)[参考資料2]、中国・大連の100 MW/400 MWh(中国科学院の記事が2022年に系統接続を伝えた)[参考資料11]があります。
- 弱点:水溶液の溶解度の制約で、エネルギー密度は他の電池より小さい(住友電工の技術論文)事実。PNNLの推計では、系統に出す往復効率はLFPより低く、バナジウムの価格・純度とイオン交換膜(フッ素系のNafionなど)が費用と性能を左右します[参考資料4・15]。

2. 仕組み ― タンクとスタックの分離
バナジウム系では、負極と正極の両方でバナジウムの価数が変わるだけです。住友電工の技術論文は、反応を次のように示しています事実(充電が右向き)[参考資料3]。
- 正極:VO²⁺ + H₂O ⇄ VO₂⁺ + 2H⁺ + e⁻
- 負極:V³⁺ + e⁻ ⇄ V²⁺
測定される起電力は約1.4 Vとされています事実。電池反応が「イオンの価数の変化だけ」なので、電極の溶解や析出がなく、原理的に充放電サイクル数の制限がない、と住友電工は説明しています事実。さらに、1つのタンクから各スタックに液を送るため、スタックごとの充電状態がそろい、充電状態は液の電位から正確に分かる、とも書かれています(住友電工の製品ページと技術論文)[参考資料1・3]。

元のSVG模式図と正確な説明を見る
スタックの中身は、平板状の電極、隔膜(イオン交換膜)、双極板を積み重ねた構造です。電極には炭素材料を使い、液の反応性に応じて形や表面処理を選びます。隔膜は、電荷を運ぶイオンを通しつつ、正負の活物質を隔てる役目をもちます[参考資料3]。

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3. 本稿の計算:出力を固定して時間を延ばすと、何が増えるか
出力10 MWのまま、蓄電時間を延ばしたときの電解液の量を概算します本稿の計算。
- 前提:バナジウム濃度 1.6 mol/L(正負とも)、起電力 1.4 V、電子1個あたり1個のバナジウム、正負のタンクを同じ容量、使える充電状態(SOC)の窓は80%(10〜90%)。濃度1.6 mol/L は本稿の仮定で、実機の公式値は確認できませんでした。
- 計算:1 L の液がもつ電気量は 1.6 × 96,485 C = 154,376 C。×1.4 V = 216,126 J = 60.0 Wh(片側の液1 L あたり)。正負のタンクの合計では 30.0 Wh/L。窓80%で 約24.0 Wh/L(=24.0 kWh/m³)。
- 結果:10 MW×2時間(20 MWh)=約833 m³、4時間(40 MWh)=約1,666 m³、6時間(60 MWh)=約2,499 m³、10時間(100 MWh)=約4,164 m³。出力(スタック)は同じで、液量だけが時間に比例して増えます。
- 照合:住友電工の技術論文は、Ti/Mn系の小型セルで「V/V系同等」のエネルギー密度として 23.5 kWh/m³ を示しています(電極面積9 cm²のラボ試験)事実。この値を使うと、10 MW×4時間は約1,702 m³で、上の計算と約2%の差で合います。
前提と限界:この計算は、液の理論的な電気量にSOCの窓だけをかけた上限に近い値で、電圧の低下・補機・タンクの余裕は含みません。PNNLは、定格出力を全SOC範囲で保つため、実際の液は定格エネルギーより多いエネルギーを持たせる設計があるとし、混酸系で25%、硫酸系で82%増しと書いています事実[参考資料4]。上の80%窓は混酸系の前提(1/0.8=1.25)と同じで、硫酸系(SOC窓が20〜75%)なら液量は約1.5倍(1.82÷1.25=1.46)になります本稿の計算。
Invinityのデータシート(VS3-022、2023年1月版)は、1モジュール(6,058×2,438×2,591 mmのコンテナ)で定格230 kWh、満液時の質量24,600 kgとしています(メーカー公称)事実。ここから、約9.3 Wh/kg、外形で約6.0 kWh/m³と計算できます本稿の計算(230,000 Wh÷24,600 kg、外形体積38.3 m³)。これは電解液ではなくコンテナ全体の値で、電池パックの値とは対象が違うため、他の電池との単純な比較には使えません。同じ資料は、1モジュールの連続放電を「8時間で29 kW、4時間で52 kW、2.25時間で75 kW」と示しています事実。かけ算すると、取り出せるエネルギーは232 kWh、208 kWh、169 kWhで、出力を上げるほど取り出せる量が減ることが分かります本稿の計算(8h×29 kW=232、4h×52=208、2.25h×75=169。定格230 kWhとの関係は資料に記載がなく、確認できませんでした)[参考資料9]。
4. 素材技術者の視点①:電解液は「劣化しない」のか
住友電工は「電解液自体の劣化もありません」と説明しています(同社の製品ページ。同社の設計寿命は20年)事実[参考資料1]。Invinityのデータシートも「劣化しない水溶液」としながら、仕様欄では年間の容量低下 0.5%未満、サイクル寿命 20,000回超と書いています(メーカー公称)事実[参考資料9]。「劣化しない」と「容量が少しずつ下がる」は、別のことを指しています。
PNNLは、開発者の報告として、電解液の劣化は「平均で7,000サイクル後に1%」「25年で1%」「10万サイクル超でも最小限」という値を紹介しています(いずれも開発者の申告)事実[参考資料4]。一方、査読された総説(Xu Lin ら、2026年)は、容量低下の原因として、① 膜を横切る移動の偏りによる、正負の液量のずれ、② 活物質の失活・分解、③ 電極の劣化(水素・酸素の発生を含む)、④ 副反応による価数のずれ、を挙げ、液量のずれは混ぜ直しで、価数のずれは化学還元や電解で戻せる、と整理しています事実[参考資料7]。
実験の例もあります。Wang ら(2026年)は、バナジウム系の小型セル(Nafion 212、正負とも1.70 M、200 mA/cm²、28±3 ℃)で、400サイクル後に容量が67.9%低下したものの、電解液を入れ替えると容量と電圧効率が完全に回復した、と報告しています事実[参考資料6]。つまり、この実験での容量低下は、バナジウムが壊れたためではなく、正負のバランスが崩れたためでした。
素材の側から見ると、「液は半永久」という言い方は、活物質のバナジウムイオンが化学的に分解しにくいことを指し、運転し続けるための管理(バランス調整)が要らないという意味ではない、と読めます(本記事による解説)。
電解液の組成と、使える窓
- 混酸と硫酸:PNNLは、混酸系の電解液は、従来の硫酸系より充電状態の窓が広く(10〜90%、硫酸系は10〜80%または20〜75%)、濃度も高く、エネルギー密度が約2倍になると記しています事実。低い充電状態では放電の性能が落ち、高い充電状態では双極板の腐食とガスの発生がスタックと電解液の寿命を縮める、という記述もあります[参考資料4]。
- 析出:極端なSOCや温度では、正負の両方の液で活物質が析出し、混酸系で緩和できる、とPNNLは述べています事実。Invinityのデータシートの周囲温度範囲は−5〜45 ℃(メーカー公称)です[参考資料4・9]。
- 電解液のコスト:PNNLの2021年の推計では、エネルギー側の電解液費は、冶金グレードの低い(低純度の)五酸化バナジウムと10〜90%のSOC窓を使うと、混酸系で180 US$/kWhから105 US$/kWhに下がり、硫酸系(20〜75%窓)では150 US$/kWhです事実。石炭灰からバナジウムを回収する前提の低位ケースは50 US$/kWhです(PNNLの仮定)[参考資料4]。
- 原料の供給:USGSによると、2025年の世界のバナジウム鉱山生産量は約11万トン(推計)で、中国が約8.2万トンです。米国のバナジウム消費の90%超は鉄鋼の合金用で、2025年の中国の五酸化バナジウム平均価格は5.02 US$/ポンド(2024年は5.44)でした。USGSは、VRFBは高い設備費と、高純度バナジウム原料の限られた供給が課題だと書いています事実[参考資料15]。PNNLは、電解液をリースして費用を運用費に回す事業モデルや、バナジウムの調達から電解液の製造・スタックまでを一社で担う垂直統合も紹介しています[参考資料4]。
5. 素材技術者の視点②:イオン交換膜のトレードオフ

Chemoursは、イオン交換膜(IXM)を、正負の電解液の混合を防ぎながら、反応に関与しないイオンを通す、フロー電池の重要な要素と説明しています。同社は、イオン伝導度が最も大切で、あわせて長い寿命と化学的・物理的な強さが期待される、としています事実。Nafionは、テトラフルオロエチレン(TFE)と、スルホン酸基をもつ過フッ素化モノマーの共重合体で、厚さは25〜210 µm、PTFEで補強した膜もあります(Chemoursの製品概要)[参考資料5]。
図の4点(NR211、NR212、N115、N117)では、厚いほど面積抵抗が大きく(45→220 mΩ·cm²)、VO²⁺の透過は小さく(6.3→0.8 ×10⁻⁴ cm/分)なります(Chemoursの公称値)事実。抵抗が大きいほど、同じ電流を流すときの電圧損失が大きくなり、電圧効率が下がります。一方、透過が大きいほど、バナジウムが膜を横切って自己放電や液量のずれを起こします。膜の選択は、この2つの兼ね合いです(本記事による解説)。
- どの膜が使われているか:Wang らは、酸性の水系フロー電池に使われる市販の膜は「ほとんどがNafion系」で、水のチャネルが大きく、イオン選択性が低いことが課題だと述べています(著者の記述)事実[参考資料6]。住友電工の公開資料では、実機の膜の材質は確認できませんでした。
- フッ素系を使わない方向:PNNLは、コスト低減の要因として、フッ素系の膜に代えて微多孔質の隔膜を使うことを挙げています(開発者の情報)事実。ESS Techの鉄フロー電池も、多孔質の隔膜を使うと書いています[参考資料4・12]。
- 電解液で膜の限界を回避する試み:Wang らは、正負で液の濃度と価数を非対称にした「バランス状態の電解液」で、15 µmの補強膜(NC700)の容量低下を、183 µmのNafion 117と通常の電解液の組み合わせの0.061%/サイクルから0.015%/サイクル(1,000サイクル)に下げたと報告しています。同じ試験で、51 µmのNafion 212では、バランス状態の電解液を使うと、クーロン効率が97.79%(50 mA/cm²)で、Nafion 117と通常の電解液の95.90%を上回りました。いずれも小型セルの実験で、著者は、1 MW/4 MWhの設置費を41.7%以上下げられる可能性があると見積っています(著者の試算)事実[参考資料6]。
Nafionは、炭素—フッ素結合を主鎖と側鎖にもつパーフルオロスルホン酸(PFSA)のポリマーです。–CF₂– を含むため、本シリーズ『フッ素樹脂とPFAS』編が引くOECDの定義(完全にフッ素化されたメチレン基をもつ)に当てはまると読めます(本記事の読み取り)。同編は、EUのPFAS制限案について、2026年10月時点で「提案を欧州化学機関(ECHA)の委員会が評価している段階で、採択も施行もされていない」と整理しています。本稿は、フロー電池向けの膜がこの提案のなかでどう扱われるか(適用除外の要否)は、公式資料で確認できませんでした。
素材の側から見ると、論点は2つに分かれます。(1) 代替膜の性能:炭化水素系や微多孔質の膜が、数千〜数万サイクルの酸性・酸化性の液に耐えるか。(2) 使用後の扱い:膜は電解液と別に回収でき、スタックから分離しやすいか(PNNLは、寿命後に電解液とスタックを別々に取り出せると書いています[参考資料4])。
6. 電極・双極板・スタックの設計
- 電極:炭素材料が一般的で、レドックス系に応じて形・構造を選び、反応性を高める表面修飾を行います(住友電工の技術論文)事実。
- 流路:反応性の低い系(Fe/Cr系など)では電極の内部へ強制的に送液するフロースルー方式が有効で、反応性が高い系では拡散を利用して低い圧力損失で送液するフローバイ方式も使われます。燃料電池にならって、双極板に流路を設ける構造も提案されています事実。高出力化には、内部抵抗を小さくし、送液の圧力損失を小さくすることが望ましい、とされています[参考資料3]。
- スタックの電圧とシャント電流:PNNLは、直列につないだスタックの間で液が電流の通り道(シャント電流)になるため、直列のブロックごとに別のタンクを持たせ、各スタックを約50 V(直流)に抑える設計を紹介しています(開発者の情報)事実。公称の直流電圧は、ある開発者で1,000 V、1,500 Vへの移行を計画しています[参考資料4]。
- 寿命と交換:PNNLは、スタックの暦上の寿命を10〜20年(多くの推計は中間)とし、評価では12年を使っています。ポンプの平均故障間隔は12〜13年ですが、10年ごとの計画整備で交換するのが一般的です。ある開発者は、10年後にスタックの20%を交換して合意した性能を保ち、別の開発者は全部を交換すると報告しています(開発者の申告)事実[参考資料4]。住友電工は、北海道の15 MW×4時間の設備を3年の実証後も運転し、放電容量とシステム効率に顕著な変化は見られず、設計寿命20年の耐久性が検証されつつあると考えられる、と書いています(2019年時点)。同じ設備は、定格15 MWに対し、短周期の変動には定格の2倍の30 MWで運用できる、とも書かれています事実[参考資料3]。
7. バナジウム以外の系 ― 鉄クロム・亜鉛臭素・鉄・有機
バナジウム以外にも、多くの系が研究され、一部は実機が作られました。下の表は、確認できた範囲の記述と、現在の位置づけです。方式の優劣を示す表ではありません。
| 系 | 活物質 | 確認できた記述 | 確認範囲での現状 |
|---|---|---|---|
| バナジウム/バナジウム | V²⁺/V³⁺ と V⁴⁺/V⁵⁺ | 正負の活物質が同じ元素なので、隔膜を通じた混合による「電池容量の低下」が生じず、副反応も少ない(住友電工)[参考資料3] | 世界の主流。ただし、液量・価数のずれは研究報告がある(第4章) |
| 鉄/クロム | Fe²⁺/Fe³⁺ と Cr²⁺/Cr³⁺ | NASAが1970年代に原理を提案、日本でも1980年代に開発。住友電工は関西電力と60 kW×8時間(1989年)を作った[参考資料3]。EnerVaultは、2014年に米国カリフォルニア州で250 kW/1 MWhの現地試験を始めた。副反応を10倍以上減らし、液の状態を運転中に調整する「動的リバランス」を採用(同社の発表)[参考資料13] | EnerVaultのその後の事業状況は、本稿の調査範囲では確認できなかった |
| 亜鉛/臭素 | Zn と Br₂/Br⁻ | 日本では1980年代の国家プロジェクトで、Fe/Cr・Zn/Cl・NaSとともに開発された[参考資料3] | 豪州のRedflow Limitedは2024年8月23日に自主管理手続き(voluntary administration)に入った(ASX開示)。理由は本稿では確認していない[参考資料14] |
| 鉄(全鉄) | Fe²⁺/Fe³⁺ と Fe/Fe²⁺(鉄の析出) | ESS Techは、正極でFe²⁺→Fe³⁺、負極でFe²⁺→鉄金属とし、多孔質の隔膜で正負の混合を抑える、と説明。pHの変化に対する独自の「Proton Pump」を採用し、20,000サイクル設計で容量低下がないとするが、その根拠はラボ規模の結果と書いている[参考資料12] | 2025年12月期の売上は1.6百万US$(前年6.3百万)、純損失63.4百万US$。継続企業の前提に重要な疑義があると同社が開示。Energy Warehouse・Energy Centerは現在販売しておらず、Energy Baseに集中[参考資料12] |
| 有機(キノン系など) | アントラキノン類+ハロゲンなど | Huskinsonら(2014年)は、金属を使わない有機・無機の水系フロー電池を報告。住友電工は、キノン類は植物由来の安全な系として将来の低コスト化が期待されると紹介[参考資料8・3] | 実用化の状況は、本稿の調査範囲では確認できなかった |
| チタン/マンガン | TiO²⁺/Ti³⁺ と Mn²⁺/Mn³⁺ | 住友電工が開発中(2019年)。起電力はV系同等の約1.4 V。課題は、Mn³⁺が固体のMnO₂に不均化して凝集すること。Tiを混ぜると抑えられ、10 kW級スタックで140サイクル超が安定[参考資料3] | 研究開発段階の報告(2019年時点)。その後は確認できなかった |
表1 バナジウム以外の主なフロー電池の系(事実、出典は各セルに記載)。企業の記述は企業の主張で、第三者が検証した値ではありません。
8. 効率とコスト構造
| 項目 | バナジウムRFB | LFP(リチウムイオン) |
|---|---|---|
| 往復効率(DC-DC、補機・DC-DC変換を含む) | 71% | 89.55% |
| 往復効率(AC-AC、インバータ・変圧器を含む) | 65% | 82.59% |
| 設置費の総額(100 MW・10時間、2021年) | 385 US$/kWh | 356 US$/kWh |
| 暦上の寿命の仮定 | スタック12年(電解液は事実上無制限) | 10〜15年程度(電池システムの一般的な範囲) |
表2 PNNLの2022年報告書(2021年値の推計)[参考資料4]。事実。開発者調査にもとづく「導出した点推計」で、実勢価格・入札額ではありません。往復効率の変圧器レベルは、インバータ・変圧器を各0.98の往復で見込んだ値。
PNNLの報告書は、出力(kW)側の費用(DC-DC変換器 60、PCS 73、EMS 7.8、系統連系 25 US$/kW)と容量(kWh)側の費用(ストレージブロック、周辺設備、システム統合、EPC、事業開発)を分けて示しています。図6の左の棒は、10 MWの項目別推計を、本稿が時間に応じて足し合わせた値です(出力側の合計165.8 US$/kWを時間で割って加算)本稿の計算。時間が長いほど、出力側の費用が薄まり、容量側の単価も下がるので、2時間の762 US$/kWhが、10時間では408、100時間では329 US$/kWhになります。ただし、同じPNNLの推計で、100 MW・10時間の総額はLFPが356、バナジウムRFBが385 US$/kWhで、RFBが安くなる推計ではありません事実(規模が10 MWと100 MWで違うため、左の408と右の385は同じ条件の値ではありません)。RFBが有利になるのは、さらに長い時間か、電解液のコストが大きく下がった場合、と読めます(本記事による解説)。
1 MWh を系統へ出すために要る充電量は、往復効率65%なら 1÷0.65=1.538 MWh、82.59%なら 1÷0.8259=1.211 MWh で、差は0.328 MWhです本稿の計算。充電電力が 20 US$/MWh なら 約6.6 US$/MWh、50 US$/MWh なら 約16.4 US$/MWh の差になります。
前提と限界:効率の値はPNNLの2021年の推計(AC-AC、変圧器レベル)で、実機の運転条件(出力、温度、SOC)で変わります。充電電力の価格は本稿の仮定です。均等化発電原価(LCOS)や投資の判断は、本シリーズ『蓄電の経済性』編が扱います。
9. 実績 ― 公式資料で確認できる範囲
| 主体 | 案件・内容 | 確認できた記述 |
|---|---|---|
| 住友電気工業 | 北海道電力 南早来変電所:15 MW/60 MWh | 経済産業省の大型蓄電システム緊急実証事業。2015年12月稼働、実証期間は2013〜2018年度で、終了後も稼働継続。短周期・長周期変動の抑制、下げ代不足対策に使用[参考資料2] |
| 住友電気工業 | 北海道電力ネットワーク:17 MW/51 MWh | 2022年4月稼働。短周期変動抑制制御、下げ代不足対策運転[参考資料2] |
| 住友電気工業 | 米国 SDG&E(サンディエゴ):2 MW/8 MWh | NEDO事業。2017年3月稼働。充放電部(セルスタック)で初のUL安全認証、2018年12月に米国の卸電力市場(CAISO)に初参入。ほかに2024年9月に500 kW/4 MWh[参考資料2] |
| Invinity Energy Systems | 製品:VS3(2023年版データシート) | 1モジュール定格230 kWh、最大直流出力78 kW、サイクル寿命20,000回超、年間の容量低下0.5%未満、最大直流往復効率75%、UL 1973・UL 9540A試験など(メーカー公称)[参考資料9] |
| Invinity Energy Systems | 2025年報 | 2,000台超の電池を納入、累計9 GWh超を放電(会社の記述)。英国のCopwood(20.7 MWh)は2026年後半の系統接続を予定未確定/将来。スイスの最大1.5 GWh案件に選定されたと会社が記載未確定/将来[参考資料10] |
| 中国・大連 | 大連液流電池エネルギー貯蔵調峰発電所:100 MW/400 MWh | 中国科学院の特集記事(2022年の項に掲載)が、9月29日の系統接続と、10月中旬の運転開始予定を伝えた。2016年4月に国家能源局が承認、最終的に200 MW/800 MWhの計画。システムはRongke Powerが構築[参考資料11] |
| 中国・新疆(報道) | 200 MW/1,000 MWh | 稼働が報じられている(2026年1月、6月)。事業者名は報道間で異なり、本稿は公式資料で確認できなかった[参考資料16・17] |
表3 運転・納入の実績と計画。各行の記述は出典のとおり。住友電工の導入事例ページにある、南九州市の「250 kW・1,125 MWh」は、数値の組み合わせが不自然なため、本稿は使っていません。
10. 限界と、確認できなかったこと
(1) 実機の膜と液の仕様
住友電工やInvinityの実機で、どの膜(材質・厚さ)、どの電解液の組成(バナジウム濃度、酸の種類)が使われているかは、公開資料で確認できませんでした。第3章の濃度は本稿の仮定です。
(2) 実機の往復効率
Invinityのデータシートの「最大直流往復効率75%」は、直流側の最大値で、系統側(交流)の効率ではありません。PNNLの65%(AC-AC)は推計です。同一条件で比べた公式の実測値は確認できませんでした。
(3) 中国の大型案件
大連(2022年)は中国科学院の記事で確認できましたが、新疆の200 MW/1 GWhは報道のみで、運転開始の時期や事業者名に差があります。公式資料が確認できるまで、実績としては扱いません。
(4) 規制と代替材料
PFASに関するEUの制限案は、フロー電池向けの膜の扱いを本稿では確認していません。代替膜の長期の実績も、本稿では確認できませんでした。
(5) 他の編との役割分担
電池の化学と方式の比較は『次世代電池の化学と比較』編、経済性は『蓄電の経済性』編、系統用の運用と安全は『系統用蓄電システム』編、鉄空気・亜鉛系は『長時間蓄電』編、PFASは『フッ素樹脂とPFAS』編で扱います。
- 出力はスタック、容量は液量で決まり、独立に設計できます。10 MWのまま4時間から10時間にすると、液量は約2.5倍(約1,666→4,164 m³)になります本稿の計算
- 「液は劣化しない」は、活物質が壊れにくいという意味で、液量・価数のバランスは崩れます。実験では、液を入れ替えると容量が回復しました事実
- 膜は厚さのトレードオフです(45→220 mΩ·cm²に対し、VO²⁺の透過は6.3→0.8)。標準はフッ素系のNafionで、PFASの議論と地続きです事実
- PNNLの推計では、往復効率は約65%(LFPは約83%)、100 MW・10時間の設置費もLFPを下回りません。長い時間と液のコストが鍵です事実
- 実績は住友電工、Invinity、大連が確認できる一方、鉄フローや亜鉛臭素の企業には経営上の困難があります。方式の優劣ではなく、事業の難しさの記録です事実
11. 評価・標準の読み方
初めて読むときは、「どの数字が大きいか」より先に、次の順番で比較の条件を揃えてください。以下は本記事の編集上の確認手順で、規格が定める合格値や試験条件ではありません。
- ① 何を測ったか
- 充放電効率、出力密度、容量、運用コスト。単位と、材料・部品・完成システムのどこを測った値かを確認します。
- ② どの条件か
- セル・スタック・システムの範囲、ポンプ電力、温度、電解液濃度。条件が異なる結果は、まず別の結果として読みます。
- ③ 比較で間違えやすい点
- スタック効率を、ポンプや補機を含む設備全体の効率と混ぜない
- ④ 規格の役割は何か
- 規格番号・名称・発行年・適用範囲を発行機関の資料で確認します。試験方法、安全性、相互接続、管理体制のどれを扱う規格かを分けて読みます。規格名の記載だけで、試験実施・適合・認証まで済んでいるとは判断しません。
比較を始めるためのメモ:対象/単位/測定条件/試料数とばらつき/比較対象/規格の版/確認できない点を、ひとまとまりで残しましょう。公開概要しか確認できない規格の数値条件や合格基準は、推測して補いません。
12. 用語集
- レドックスフロー電池(RFB)
- 活物質を溶かした液を外部のタンクに貯め、ポンプでセルスタックへ送って充放電する電池。
- VRFB
- バナジウムレドックスフロー電池。正負ともバナジウムの価数変化を使う。
- セルスタック
- 電極・イオン交換膜・双極板を積層した、反応を起こす部分。出力(kW)を決める。
- 電解液
- 活物質(バナジウムイオン)を酸の水溶液に溶かした液。容量(kWh)は液の量で決まる。
- SOC(充電状態)
- 電池に蓄えられた電気の割合。液の電位から読み取れる。
- クロスオーバー
- 膜を通ってはいけないイオン(バナジウムなど)が正負の間を移動すること。
- Nafion
- Chemoursのパーフルオロスルホン酸(PFSA)膜・樹脂の商品名。
- PFSA
- パーフルオロスルホン酸。炭素—フッ素結合の主鎖に、スルホン酸基をもつ側鎖を持つ高分子。
- 双極板
- 隣り合うセルをつなぎ、電流を通し、液を隔てる板。高いSOCで腐食しやすい。
- フロースルー/フローバイ
- 電極の内部へ液を通す方式/電極の表面に沿って液を流す方式。
- シャント電流
- 直列につないだスタックの間で、液が電流の通り道になって流れる漏れ電流。
- 往復効率(RTE)
- 充電に使った電力量に対する、放電で取り出せる電力量の割合。DC-DCとAC-ACで値が違う。
- ストレージブロック(SB)
- PNNLの区分で、電池本体(RFBではスタック・電解液・タンク)にあたる費用の項目。
- PCS
- 電池の直流と系統の交流を変換する装置。
13. 参考資料(一次情報)
- 住友電気工業「レドックスフロー電池の特長」 — sumitomoelectric.com
- 住友電気工業「レドックスフロー電池 導入事例」 — sumitomoelectric.com
- 重松敏夫(住友電気工業)「レドックスフロー電池 最近の開発動向」SEIテクニカルレビュー 第195号、2019年7月(PDF) — sei.co.jp
- 米国PNNL(太平洋岸北西部国立研究所)"2022 Grid Energy Storage Technology Cost and Performance Assessment"(PNNL-33283、2022年8月) — pnnl.gov
- Chemours"Nafion Ion Exchange Materials: Nafion Membranes — The Right Choice for Your Flow Battery Technology"(製品概要、© 2024、PDF) — chemours.com
- Wang ら"Balanced-state electrolytes overcome crossover in vanadium redox flow batteries" Nature Communications 17, 4470(2026)、DOI 10.1038/s41467-026-70872-8 — doi.org
- Xu Lin ら"Capacity Degradation Mechanisms, Recovery Strategies, and Challenges of Flow Batteries" Nano-Micro Letters 19, 44(2026)、DOI 10.1007/s40820-026-02345-y — doi.org
- Huskinson ら"A metal-free organic–inorganic aqueous flow battery" Nature 505, 195–198(2014)、DOI 10.1038/nature12909 — doi.org
- Invinity Energy Systems"Invinity VS3-022 Six Pack Vanadium Flow Battery Data Sheet"(MAR00016、2023年1月版、PDF) — invinity.com
- Invinity Energy Systems plc"2025 Annual Report & Financial Statements"(2025年12月期、PDF) — invinity.com
- 中国科学院(CAS)"World's Largest Flow Battery Energy Storage Station Connected to Grid" — english.cas.cn
- ESS Tech, Inc.(米国SEC提出書類)Form 10-K 2025年12月期(2026年提出) — sec.gov
- 米国エネルギー省(DOE)/EnerVault"Long-Duration, Grid-Scale Iron-Chromium Redox Flow Battery Systems"(2014 DOE Energy Storage Peer Review、PDF) — energy.gov
- ASX(豪州証券取引所)掲載の開示Redflow Limited "Redflow enters Voluntary Administration"(2024年8月23日) — marketindex.com.au
- 米国地質調査所(USGS)"Mineral Commodity Summaries 2026: Vanadium"(2026年2月、PDF) — pubs.usgs.gov
- 報道(pv magazine、一次情報への案内として)"China connects world's largest vanadium flow battery project"(2026年1月7日) — pv-magazine.com
- 報道(新京報、一次情報への案内として)「我国規模最大全钒液流電池儲能電站転入商業運行」(中国語、2026年6月25日) — bjnews.com.cn
14. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| 原理:電池容量はタンク内のバナジウム量、出力はセルの大きさ(面積×セル数)で決まり独立に設計できること。反応式(正極 VO²⁺→VO₂⁺、負極 V³⁺→V²⁺)、起電力約1.4 V、現在の主流はV/V系であること。V/V系は正負の活物質が同じ元素で、隔膜を通じた混合による容量低下が生じないこと。電池反応がイオン価数の変化のみで、原理的にサイクル数の制限がないこと。設備の例:15 MW×4時間の大型の運転、定格の2倍(30 MW)での短時間運用。Ti/Mn系の開発(不均化、10 kW級スタック、23.5 kWh/m³)。電極材料・流路方式・隔膜の記述。2019年時点の運転結果(3年の実証後も顕著な変化なし) | 重松敏夫(住友電気工業) 出典3 https://sei.co.jp/technology/tr/bn195/pdf/195-01.pdf | 事実 |
| 電解液は不燃性で、正負の液が混合しても発火しない、電極の溶解・析出がなく電極・電解液の劣化がない、設計寿命20年、出力はセルスタックの台数、時間は液量で独立に設計でき、1つのタンクから各スタックに送るため充電状態がそろうこと(いずれも会社の記述)。UL 1973認証の取得 | 住友電気工業 出典1 https://sumitomoelectric.com/jp/products/redox/features | 事実 |
| 導入事例:北海道電力 南早来変電所 15 MW/60 MWh(2015年12月稼働、実証2013〜2018年度、終了後も稼働継続)、北海道電力ネットワーク 17 MW/51 MWh(2022年4月)、SDG&E 2 MW/8 MWh(2017年3月、充放電部で初のUL安全認証、2018年12月にCAISO市場に初参入)、500 kW/4 MWh(2024年9月) | 住友電気工業 出典2 https://sumitomoelectric.com/jp/products/redox/cases | 事実 |
| PNNLの記述:RFBの定義、出力と容量の独立、混酸系・硫酸系のSOC窓(10〜90%、10〜80%、20〜75%)と、定格より25%・82%多い液のエネルギー、析出と混酸、高SOCでの双極板腐食とガス、直列ブロックごとのタンクと約50 V、1,000 V→1,500 V、電解液費(180→105 US$/kWh、硫酸系150、石炭灰ケース50)、リース・垂直統合、微多孔質隔膜、スタック寿命10〜20年(評価は12年)、ポンプ、電解液の劣化の開発者申告(7,000サイクルで1%、25年で1%、10万サイクル超)、RTE(DC-DC 71%、AC-AC 65%)、LFPのRTE(89.55%、82.59%)、100 MW・10時間の設置費(RFB 385、LFP 356、NMC 405、鉛 409)、10 MWの項目別費用(表4.7)、出力側の費用(60、73、7.8、25 US$/kW)、寿命後の電解液とスタックの取り外し | 米国PNNL(太平洋岸北西部国立研究所) 出典4 https://www.pnnl.gov/sites/default/files/media/file/ESGC%20Cost%20Performance%20Report%202022%20PNNL-33283.pdf | 事実 |
| Chemoursの記述:IXMが重要な要素でイオン伝導度が最も大切、Nafionの構成(TFEとスルホン酸基をもつ過フッ素化モノマーの共重合体)、厚さ25〜210 µm、PTFE補強、表1(NR211・NR212・N115・N117の厚さ、面積抵抗、VO²⁺の流束定数) | Chemours 出典5 https://www.chemours.com/en/-/media/files/nafion/nafion-flow-battery-brochure.pdf | 事実 |
| Wang らの記述:Nafion系の膜が市販の主流であること、イオン選択性の課題、小型セルでの容量低下(400サイクルで67.9%)と電解液入れ替えでの回復、バランス状態の電解液による容量低下の抑制(0.061→0.015%/サイクル、1,000サイクル)、Nafion 212のクーロン効率97.79%と、Nafion 117の95.90%、設置費41.7%以上の低減の試算(著者)、拡散のしやすさの順 | Wang ら 出典6 https://doi.org/10.1038/s41467-026-70872-8 | 事実 |
| Xu Lin らの総説:容量低下の原因(液量のずれ、活物質の失活・分解、電極の劣化、副反応による価数のずれ)と回復策(混ぜ直し、化学還元・電解) | Xu Lin ら 出典7 https://doi.org/10.1007/s40820-026-02345-y | 事実 |
| Huskinsonらの論文の存在と題名(金属を使わない有機・無機の水系フロー電池) | Huskinson ら 出典8 https://doi.org/10.1038/nature12909 | 事実 |
| Invinity VS3-022のデータシート:寸法、満液質量24,600 kg、定格230 kWh、最大直流出力78 kW、連続放電(8時間29 kW、4時間52 kW、2.25時間75 kW)、サイクル寿命20,000回超、年間容量低下0.5%未満、最大直流往復効率75%、温度範囲−5〜45 ℃、認証・試験(メーカー公称) | Invinity Energy Systems 出典9 https://invinity.com/wp-content/uploads/2023/03/Invinity-VS3-022-Vanadium-Flow-Battery-Data-Sheet-MAR00016-2023-01.pdf | 事実 |
| Invinityの2025年報:2,000台超の電池を納入、累計9 GWh超を放電、Copwood(20.7 MWh)の2026年後半の系統接続予定、スイスの最大1.5 GWh案件への選定(会社の記述・計画) | Invinity Energy Systems plc 出典10 https://invinity.com/wp-content/uploads/2026/06/Invinity-Energy-Systems-plc-2025-Annual-Report.pdf | 事実 未確定/将来 |
| 中国・大連の100 MW/400 MWhの系統接続(9月29日)、2016年4月の国家能源局の承認、最終200 MW/800 MWhの計画、Rongke Powerの構築 | 中国科学院(CAS) 出典11 https://english.cas.cn/Special_Reports/rd/2022/202410/t20241031_693355.shtml | 事実 |
| ESS Techの記述:鉄フロー電池の反応と多孔質隔膜、Proton Pump、20,000サイクル設計(ラボ規模の結果にもとづく)、2025年12月期の売上1.6百万US$(前年6.3百万)・純損失63.4百万US$、継続企業の前提に重要な疑義、Energy Warehouse・Energy Centerの販売停止とEnergy Baseへの集中 | ESS Tech, Inc.(米国SEC提出書類) 出典12 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819438/000181943826000012/ghw-20251231.htm | 事実 |
| EnerVaultの鉄クロム:250 kW/1 MWhの現地試験(2014年6月開始)、副反応10倍以上の低減、動的リバランス、NASAが1970〜80年代に検討 | 米国エネルギー省(DOE)/EnerVault 出典13 https://www.energy.gov/sites/default/files/2015/01/f19/01_2014Storage_PeerRev_Nevins_Sheri_IRON-CHROMIUM_REDOX.pdf | 事実 |
| Redflow Limitedが2024年8月23日に自主管理手続きに入ったこと(ASX開示) | ASX(豪州証券取引所)掲載の開示 出典14 https://www.marketindex.com.au/asx/rfx/announcements/redflow-enters-voluntary-administration-2A1542820 | 事実 |
| USGS:2025年の世界のバナジウム鉱山生産(約11万トン、中国約8.2万トン)、米国の消費の90%超が冶金用、中国の五酸化バナジウム平均価格(2025年5.02 US$/ポンド、2024年5.44)、VRFBの課題(高い設備費、高純度原料の限られた供給) | 米国地質調査所(USGS) 出典15 https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2026/mcs2026-vanadium.pdf | 事実 |
| 新疆の200 MW/1,000 MWhの稼働の報道(事業者名が報道間で異なる) | 報道(pv magazine、一次情報への案内として) 出典16 https://www.pv-magazine.com/2026/01/07/china-connects-worlds-largest-vanadium-flow-battery-project/ 報道(新京報、一次情報への案内として) 出典17 https://www.bjnews.com.cn/detail/1782338347189266.html | 解説 |
| 第3章の計算(液量:1.6 mol/L、1.4 V、SOC窓80%、約24.0 Wh/L、833/1,666/2,499/4,164 m³)、23.5 kWh/m³での照合、硫酸系で約1.46倍、VS3の約9.3 Wh/kg・約6.0 kWh/m³、連続放電のエネルギー(232・208・169 kWh)、10 MWの項目別費用の足し合わせ(762・542・467・430・408・356・329 US$/kWh)、往復効率の差(0.328 MWh、約6.6・16.4 US$/MWh) | 本稿の計算。バナジウム濃度1.6 mol/L、SOC窓80%、タンクの正負同容量、充電電力 20・50 US$/MWh は本稿が置いた仮定。10 MWの合計は、PNNL表4.7の各項目(SB、BOS、システム統合、EPC、事業開発の各 US$/kWh)に、出力側の165.8 US$/kWを時間で割って加えたもので、PNNLの公表する総額とは一致しない可能性がある | 本稿の計算 |
| 「活物質は壊れにくいが液のバランスは崩れる」という整理。膜の厚さのトレードオフの読み取り。Nafionが–CF₂–を含みPFASの定義に当てはまると読めること。RFBが有利になる条件の読み取り。電極・流路・スタックの設計の整理。表1・表3の整理の仕方 | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関・企業が表明した見解ではない | 解説 |
| 実機の膜と電解液の仕様、同一条件の往復効率の実測値、新疆の大型案件の公式情報、EUのPFAS制限案でのフロー電池膜の扱い、EnerVaultのその後、有機系・Ti/Mn系の実用化の状況 | 本稿の調査範囲では公開された一次情報で確認できなかったため記載していない | 解説 |
| 図1〜図3・図5・図6が説明用の作図(図3・図6は本稿の計算を含む)であること、ヒーロー画像と図4がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月/出典は一次情報(企業の公式資料・技術論文・SEC提出書類、米国の国立研究所とUSGSの報告、中国科学院の記事、査読論文)に限定しています。報道は一次情報への案内としてのみ参照しました。市場調査会社の推計は使っていません。 材料や構造の読み取りは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 実機の膜と電解液の仕様、同一条件の往復効率の実測値、新疆の大型案件の公式情報、EUのPFAS制限案でのフロー電池膜の扱いは、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。 本記事の計算は式と明示した仮定から算出したもので、特定の事業や設備の予測ではありません。 図1・図2・図3・図5・図6は説明用のベクター作図(図3・図6は本稿の計算を含む)、ヒーロー画像と図4はAI生成イメージであり、実際の設備・部品・製品を示すものではありません。