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電池規則とバッテリーパスポート 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

電池規則とバッテリーパスポート
― 「いつから何が求められるか」は、条文の日付だけでは決まらない

EU の電池規則(規則 (EU) 2023/1542)は、電池の設計、材料、製造、使用、回収までを一つの法令で扱い、「バッテリーパスポート」という電子記録を求めます。 ただし、適用日の多くは「委任法・実施法の発効から〇か月後のいずれか遅い方」と書かれており、後から改正・延期もされています。 この記事では、規則の構成、適用日を提案・採択・施行(適用開始)に分けて確認した結果、そして日本・米国・中国の関連制度を、公式資料で確認できた範囲で整理します。

構成:EUR-Lex の規則原文と改正規則、欧州委員会の公式ページ、経済産業省、IRS、中国の政府ページを使用/確認日 2026年10月10日

識別子から電池の情報を参照するバッテリーパスポートの例です
図1 概念画像(ImageGenで生成)。識別子から電池の情報を参照するバッテリーパスポートの例です。図中のコードは機能せず、法令適合を保証しません。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。
この記事の構成
  1. 電池規則とは何か(3行でつかむ)
  2. 規則の構成 ― 何が、だれに求められるか
  3. 適用日の整理 ― 原文の日付と、確認できた現状
  4. 延期・簡素化の動き ― 確認できた改正と、提案の段階のもの
  5. 炭素フットプリントと再生材料 ― 材料から見た意味
  6. 本稿の計算:寿命が変わると、炭素フットプリントの分母が変わる
  7. デューデリジェンス ― 材料の調達に求められること
  8. バッテリーパスポート ― 何が入り、だれが見られるか
  9. 日本・米国・中国の関連制度との比較
  10. 限界と、確認できなかったこと
  11. 評価・標準の読み方
  12. 用語集
  13. 参考資料(一次情報)
  14. 主張と出典の対応表(監査)
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=提案・予定・条件つきの日付など、効力や実施が確認できていない事項
このほか、材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。推測は太字で示します。法令は、提案(案)/採択(成立)/施行(適用開始)を区別して書きます。

この記事は法律相談ではありません

法令は改正され、解釈や実施のしかたは変わります。ここに書く内容は、2026年10月10日に確認できた公式資料の範囲の整理であり、特定の製品や企業が規則に適合するかどうかの判断や、法的助言ではありません。 実際の対応は、最新の法令の本文と、所管当局・専門家の確認によってください。

1. 電池規則とは何か(3行でつかむ)

  • 一つの法令で電池の一生を扱う:規則 (EU) 2023/1542 は、電池と廃電池に関する規則で、2023年7月12日に採択、2023年8月17日に発効し、2024年2月18日から適用されています(段階的な要件は2031年以降まで)事実[参考資料1・8]
  • EU 域内で売る電池が対象:市場に出す、または使用を始める電池が対象で、電池の種類(携帯用、SLI、産業用、電気自動車用、軽量輸送機器〔LMT〕用)ごとに要件が違います事実[参考資料1]
  • 日付は条件つき:炭素フットプリントやラベルなどの適用日は、委任法・実施法の発効から12〜24か月後との「いずれか遅い方」とされ、法令が整うまで始まりません。さらに、デューデリジェンスのように延期されたものもあります事実[参考資料1・2]
この記事でいちばん大事な一行

「条文に書かれた日付」と「実際に義務が始まる日」は別のことがあります。 原文の適用日に、委任法・実施法が採択されていることが条件になっている要件が多いためです。確認日(2026年10月10日)時点で、本稿が採択を確認できなかった法令は、第3章に分けて書きます。

2. 規則の構成 ― 何が、だれに求められるか

規則は14の章で構成されます(条文は第1条〜第96条)事実[参考資料1]。電池の素材・設計に関わる章を中心に整理します。

章・条内容(規則の記述)電池の素材・設計から見た意味
第II章 持続可能性・安全の要件
(第6〜12条)
第6条:物質の制限。第7条:炭素フットプリント。第8条:再生材料の割合。第9・10条:性能・耐久性(携帯用/産業用・LMT・EV用)。第11条:携帯用電池・LMT電池の取り外しと交換。第12条:定置用蓄電システムの安全材料の選択、設計、評価の方法に直結する
第III章 表示・情報
(第13・14条)
第13条:表示とマーキング(分別収集記号、容量、二次元コードなど)。第14条:健全度と期待寿命の情報(定置用、LMT、EV用の電池管理システムにデータを保持)電池管理システムが持つデータの仕様が決まる
第IV〜VI章
(第15〜46条)
適合性の推定、共通仕様、適合性評価、CEマーキング、通知機関、製造者・輸入者などの義務試験・認証の枠組み
第VII章 デューデリジェンス
(第47〜53条)
電池のデューデリジェンス方針、リスク管理、第三者検証、情報開示、スキームの承認コバルト・天然黒鉛・リチウム・ニッケルの調達に関わる[参考資料2]
第VIII章 廃電池の管理
(第54〜76条)
生産者責任、回収、処理、リサイクル効率と材料回収の目標本シリーズ「電池リサイクルと二次利用」編で扱う
第IX章 デジタル・バッテリーパスポート
(第77・78条)
LMT電池、容量2 kWh超の産業用電池、EV用電池に電子記録(バッテリーパスポート)を求める材料・性能・履歴が記録として残る(第8章)

すべて事実(規則 (EU) 2023/1542 の原文[参考資料1])。章の分け方と「素材から見た意味」は本記事の整理です。

要件が及ぶ電池の種類

要件の多くは、電気自動車用電池、容量2 kWh超の充電式産業用電池、LMT電池に及びます。たとえば炭素フットプリントの宣言と、バッテリーパスポートは、この3区分が対象です。再生材料の割合は、容量2 kWh超の産業用電池(外部蓄電のみのものを除く)、電気自動車用電池、SLI電池が対象です事実[参考資料1]。

3. 適用日の整理 ― 原文の日付と、確認できた現状

規則 (EU) 2023/1542 の主な日付(規則の原文と、確認できた改正) 白抜きの印と「〜」は「委任法・実施法の発効から○か月後のいずれか遅い方」など、条件つきの日付です。確認日 2026年10月10日。 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032 2033 2034 2035 2036 確認日 適用済み 全般 性能文書・BESS安全 分別記号・廃電池 延期 DD 原文 (2025-08) DD 改正後 (2027-08) 2027年 QR・パスポート・交換可能性 (2027-02) 再生材 文書 (2028-08) 最小割合 (2031-08) 第2段階 (2036-08) 炭素FP (EV) 宣言 (2025-02〜) 性能クラス (2026-08〜) 最大閾値 (2028-02〜) ※ 日付は規則原文[参考資料1]、デューデリジェンス(DD)の延期は規則 (EU) 2025/1561[参考資料2]によります。 ※ 委任法・実施法に依存する日付が実際にいつ始まるかは、各法令の採択状況で決まります(第3章)。
図2 概念図(ベクター作図)。日付は規則原文[参考資料1]とデューデリジェンスの延期[参考資料2]によります。白抜きの印は条件つきの日付で、実際の始まりは委任法・実施法の採択状況で決まります。日付の並べ方は本記事の整理です。
要件(条)規則原文の日付確認できた現状(確認日 2026年10月10日)
全般の適用(第96条)2024年2月18日適用中。欧州委員会のページは「2024年2月18日から適用、段階的な要件が2031年まで」とする[8](規則原文には2036年8月18日の要件もある)
性能・耐久性の文書(第10条1項)、定置用蓄電システムの安全(第12条2項)、健全度データ(第14条)2024年8月18日日付は到来済み。第10条の最小値を定める委任法(期限:産業用は2026年2月18日、LMTは2027年2月18日)は、本稿では採択を確認できなかった未確定/将来
経済運営者の義務(第VI章)、適合性評価(第17条)2024年8月18日日付は到来済み
分別収集記号(第13条4項)、廃電池の管理(第VIII章)2025年8月18日日付は到来済み
デューデリジェンス(第48条1項)2025年8月18日2027年8月18日に延期。規則 (EU) 2025/1561(2025年7月18日、官報掲載30.7.2025、翌日施行)が改正済み[2・3]
炭素フットプリントの宣言(第7条1項):EV用2025年2月18日、または委任法・実施法の発効の12か月後のいずれか遅い方EV用電池の方法を定める委任法の草案は2024年4月30日に意見募集されたが、採択は本稿では確認できなかった[9]未確定/将来
炭素フットプリントの性能クラス(同条2項):EV用2026年8月18日、または委任法・実施法の発効の18か月後のいずれか遅い方委任法の期限は2025年2月18日。採択は確認できなかった未確定/将来
炭素フットプリントの最大閾値(同条3項):EV用2028年2月18日、または委任法の発効の18か月後のいずれか遅い方委任法の期限は2026年8月18日。採択は確認できなかった未確定/将来
ラベル(第13条1〜3項)2026年8月18日、または実施法の発効の18か月後のいずれか遅い方実施法の期限は2025年8月18日。採択は確認できなかった未確定/将来
二次元コード(第13条6項)、バッテリーパスポート(第77条)2027年2月18日将来。登録簿の実施規則 (EU) 2026/1778 は2026年7月16日付、登録簿は2026年7月20日に稼働と欧州委員会が説明[4・5・6]。アクセス権を定める実施法は作成中[4]未確定/将来
携帯用電池の取り外しと交換(第11条)2027年2月18日将来。2026年7月14日に、免除製品を追加する委任法を欧州委員会が採択(欧州議会・理事会の審査へ、官報掲載の20日後に発効、異議がない場合)[7]未確定/将来
再生材料の割合:文書(第8条1項)2028年8月18日、または委任法の発効の24か月後のいずれか遅い方委任法の期限は2026年8月18日。採択は確認できなかった未確定/将来
再生材料の最小割合(第8条2・3項)2031年8月18日/2036年8月18日将来。第5章で値を示す

原文の日付は事実(規則原文[1])。「確認できなかった」は、本稿が参照した EUR-Lex の規則の頁(改正・補完した法令の一覧)と欧州委員会の公式ページに採択の記載を見つけられなかったという意味で、採択されていないと断定するものではありません。

素材技術者の視点①:日付が確定しなくても、データ整備は先に始まる

適用日が条件つきでも、規則の本文は何を測り、何を記録するかを、すでに決めています。たとえば性能・耐久性の文書には、定格容量、容量低下、出力、内部抵抗、往復効率、サイクルと年数での期待寿命を載せ、その測定の放電率・充電率・放電深度も説明することが求められます(附属書 IV)事実[参考資料1]。 材料メーカーにとっては、委任法の確定を待たずに、自社の材料が電池の評価値にどう効くかのデータを持つことが、顧客からの問い合わせへの備えになります(本記事による解説)。評価の測り方は、本シリーズ「電池の評価と劣化」編で扱っています。

4. 延期・簡素化の動き ― 確認できた改正と、提案の段階のもの

EUR-Lex の規則の頁は、規則 (EU) 2023/1542 を改正・補完した法令と、改正の提案を一覧にしています。確認日時点の整理です事実[参考資料3]。

法令・文書内容段階
規則 (EU) 2024/1781
(エコデザイン規則)
EUR-Lex の一覧では、第77条に10項を追加する改正(2024年7月18日付)として記載。追加された項の内容は本稿では確認していない施行済み
委任規則 (EU) 2025/606廃電池のリサイクル効率と材料回収率の算定・検証の方法。EUR-Lex の一覧では2025年7月24日付で規則を補完する法令として記載採択済み(EUR-Lex の一覧に記載)
規則 (EU) 2025/1561第48条を改正。デューデリジェンスの適用日を2025年8月18日から2027年8月18日へ、欧州委員会の指針の期限を2025年2月18日から2026年7月26日へ。理由として、通知機関の指定に時間がかかっていること、承認済みのデューデリジェンススキームが整っていないことを挙げる施行済み(2025年7月31日)
規則 (EU) 2026/1738
(車両の循環性要件と使用済み車両)
規則 (EU) 2023/1542 の附属書 I を置き換える。2026年8月13日施行済み
COM(2025) 501中小企業向けの緩和措置を小規模中堅企業へ広げる簡素化案。規則 (EU) 2023/1542 を含む複数の規則が対象提案(採択は確認できなかった)
COM(2025) 504デジタル化と共通仕様に関する改正案。規則 (EU) 2023/1542 の改正を含み、たとえば定置用蓄電システムの指示書・安全情報をバッテリーパスポートで提供し、希望者には紙でも出す、といった電子化を提案提案(採択は確認できなかった)
その他の提案拡大生産者責任の「授権代理人」規則の適用停止の提案、公共調達の規則案が、規則 (EU) 2023/1542 の改正に関係する、と EUR-Lex の頁に記載提案(採択は確認できなかった)

すべて事実(EUR-Lex の規則の頁[3]、各文書[2・10・11・17])。提案は、立法手続の途中経過によって内容が変わりえます。

「延期」と「簡素化」は、中身を変えたとは限らない

規則 (EU) 2025/1561 が変えたのは、第48条の日付だけです(1項の日付と5項の日付)。デューデリジェンスの義務の内容、対象の材料は変えていません。前文は、地政学的な状況の変化の中で電池メーカーが供給網の分析・調整に時間を要すること、通知機関の指定が遅れていることを理由に、2年の延期が適切だとしています事実[参考資料2]。

分解時に部品と記録を照合する工程です
図3 概念画像(ImageGenで生成)。分解時に部品と記録を照合する工程です。実際の分解方法・法令上の手順を指定する図ではありません。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。

5. 炭素フットプリントと再生材料 ― 材料から見た意味

炭素フットプリント(第7条)

EV 用電池、容量2 kWh超の充電式産業用電池、LMT 電池には、電池のモデルごと・製造工場ごとに炭素フットプリントの宣言が求められます。値は、期待される使用期間に電池が供給する全電力量1 kWh あたりの kgCO2eで表し、ライフサイクルの段階別にも示します(附属書 II が算定方法の本質的要素を定める)事実[参考資料1]。

  • 方法はまだ確定していない:欧州委員会のJRC(共同研究センター)のページは、EV 用電池の方法を定める委任法の附属書の草案が2024年4月30日に意見募集されたこと、産業用電池の方法を示す報告書が2025年4月に公表されたこと、LMT 電池の方法を検討中であることを示します。EV 用の委任法の採択は、本稿では確認できませんでした事実[参考資料9]
  • 性能クラスと最大閾値:宣言に続いて、ラベルに表示する性能クラス(第7条2項)と、最大閾値(同条3項)が段階的に導入される構成です。いずれも委任法が前提です事実[参考資料1]

再生材料の割合(第8条)

産業用電池(容量2 kWh超、外部蓄電のみのものを除く)、EV 用電池、SLI 電池が、活物質にコバルト、鉛、リチウム、ニッケルを含む場合、次の段階で製造廃棄物または使用済み製品から回収された材料の割合の文書と、最小割合が求められます事実[参考資料1]。

段階要件(規則原文)コバルト鉛リチウムニッケル
文書の添付2028年8月18日、または委任法の発効の24か月後のいずれか遅い方から、モデル・年・製造工場ごとの回収材の割合の文書割合を記載する文書(最小値は要求しない)
最小割合・第1段階2031年8月18日から、技術文書で示す16%85%6%6%
最小割合・第2段階2036年8月18日から、技術文書で示す26%85%12%15%

すべて事実(規則第8条[1])。欧州委員会は、2028年12月31日までに目標の見直しの要否を評価することになっています。

素材技術者の視点②:割合の「分母」と「分子」が、材料の言葉で決まる

再生材の割合は、活物質に含まれるコバルト、リチウム、ニッケルのうち、製造廃棄物または使用済み製品から回収されたものの割合で表されます(鉛は電池に含まれる量)[参考資料1]。 つまり、リサイクル由来の金属が、前駆体や正極活物質の製造に戻るところまで追跡できて初めて数えられます。分子は、工程端材(スクラップ)の回収も含みます。 電極の製造歩留まりが低い立ち上げ期には端材が多く出るため、どの工程の端材が「製造廃棄物」として数えられるかは、算定方法(委任法)で決まります(推測:この点は、採択を確認できていない委任法の中身に依存する)。

また、化学組成の分析だけでは、金属がリサイクル由来か鉱山由来かは区別できません。区別は、物の流れの記録(質量収支とトレーサビリティ)で行うことになり、これが次のバッテリーパスポートと結びつきます(本記事による解説)。

6. 本稿の計算:寿命が変わると、炭素フットプリントの分母が変わる

本稿の計算

規則の定義では、フットプリントは電池が使用期間に供給する全電力量で割ります。製造時の排出量を仮に 80 kgCO2e/kWh(電池容量あたり)とし、寿命の間の平均的な容量の残りを 0.9 と仮定して、寿命を変えて計算します本稿の計算。

  • 500サイクル:80 ÷ (500 × 0.9)= 約 0.178 kgCO2e/kWh
  • 1,000サイクル:80 ÷ (1,000 × 0.9)= 約 0.089
  • 2,000サイクル:80 ÷ (2,000 × 0.9)= 約 0.044
  • 3,000サイクル:80 ÷ (3,000 × 0.9)= 約 0.030
  • 5,000サイクル:80 ÷ (5,000 × 0.9)= 約 0.018

前提と限界:80 kgCO2e/kWh と 0.9 は、計算の形を見せるための仮の値で、実在の電池の値ではありません。1サイクルは容量1 kWh あたり1 kWh(放電深度100%)としており、使用段階以降の排出は含みません。実際の算定方法(委任法)は EV 用電池について採択を確認できず、使用期間の置き方もそこで決まります。 それでも、製造時の排出が同じでも、寿命が10倍なら1 kWh あたりの値は約10分の1になるという、分母の効き方は確かです。

分母は「寿命の間に出した電力量」(本稿の計算・例示値) 製造時の排出量を仮に 80 kgCO2e/kWh(容量あたり)とした例。実在の電池の値ではありません。 0.178 500 サイクル 0.089 1,000 サイクル 0.044 2,000 サイクル 0.030 3,000 サイクル 0.018 5,000 サイクル kgCO2e/kWh ※ 計算:80 ÷ (サイクル数 × 0.9)。0.9 は寿命の間の平均的な容量の残り(例示の仮定)。1サイクル=容量1 kWhあたり1 kWh(放電深度100%)。 ※ 規則第7条は、フットプリントを「期待される使用期間に電池が供給する全電力量1 kWhあたりのkgCO2e」で定義しています[参考資料1]。 ※ 実際の算定方法(委任法)はEV電池について採択を確認できず、使用寿命の置き方もそこで決まります。
図4 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。製造時の排出量80 kgCO2e/kWh と平均容量0.9は説明用の仮の値で、実在の電池の値ではありません。分母の効き方(寿命に反比例)を示す図です。
素材技術者の視点③:寿命の延びは、環境負荷の低減でもある

この計算は、寿命を延ばす材料技術(SEI の安定化、粒子割れの抑制、水分管理など)が、炭素フットプリントの値を下げる手段でもあることを示します。劣化の機構は本シリーズ「電池の評価と劣化」編で扱っています。 ただし、寿命を延ばすために活物質や添加剤を増やせば製造時の排出が増える場合もあり、どちらが優れるかは、算定方法(寿命の置き方、段階の範囲)に依存します(本記事による解説)。

7. デューデリジェンス ― 材料の調達に求められること

第VII章(第47〜53条)は、電池を市場に出す経済運営者に、電池のデューデリジェンス方針の策定と実施を求めます。対象は、電池の製造に使うコバルト、天然黒鉛、リチウム、ニッケルの調達、加工、取引です(規則 (EU) 2025/1561 の前文による整理)事実[参考資料2]。

  • 第三者検証:方針は、通知機関による検証と定期的な監査を受ける。関連書類は、最後の電池を市場に出してから10年間保存する(第48条2・3項)
  • 情報開示:方針の報告書を、毎年、電池が特定できる形で公表する(第52条3項)。報告書の情報は、バッテリーパスポートの「責任ある調達」の項目にもなる(附属書 XIII)
  • 適用日:原文は2025年8月18日でしたが、2027年8月18日へ延期されました(規則 (EU) 2025/1561)。欧州委員会の指針の期限は2026年7月26日に改められましたが、指針が公表されたかどうかは、本稿では確認できませんでした事実/未確定/将来[参考資料1・2]
  • 欧州委員会のFAQ:デューデリジェンスの報告書は2027年8月から必要とされる、と説明している[参考資料4]
素材技術者の視点④:黒鉛は「天然黒鉛」だけが対象

対象の材料に、天然黒鉛が入っている点は、材料の調達設計に効きます(規則 (EU) 2025/1561 の前文)[参考資料2]。推測:負極に人造黒鉛を使うか天然黒鉛を使うか、あるいは混ぜるかで、デューデリジェンスの対象の範囲が変わりうる。 資源の産地と調達の状況は、本シリーズ「電池材料の資源と調達」編で扱っています。なお、人造黒鉛が対象外かどうかを含む附属書 X の細部は、本稿では確認していません。

8. バッテリーパスポート ― 何が入り、だれが見られるか

第77条は、2027年2月18日から、市場に出す(または使用を始める)LMT 電池、容量2 kWh超の産業用電池、EV 用電池の個々の電池に、バッテリーパスポートと呼ぶ電子記録を持たせることを求めます。情報は、電池のモデルに関するものと、個々の電池に固有で使用から生じるものの両方です(附属書 XIII)事実[参考資料1]。

バッテリーパスポートの情報は、見る人によって分かれる 附属書 XIII の整理(要約)。個々の項目の全文は規則を参照してください。 だれでも見られる ・化学・材料の組成(有害物質、重要原材料 ) ・炭素フットプリント ・責任ある調達の報告 ・再生材の割合 ・定格容量・電圧・出力 ・期待寿命(サイクル)と試験法 ・内部抵抗・往復効率・C-rate 正当な利益を持つ者 ・詳細な組成(正極・負極・電解質の材料) ・交換部品の番号と入手先 ・分解の情報(手順、工具、警告) ・個々の電池のデータ:性能値、健全度 ・状態(原型・再利用・再製造など) ・使用履歴(サイクル、温度、事故) 当局のみ ・規則への適合を示す試験報告書 ・見られるのは、通知機関・市場監視当局・ 欧州委員会のみ ※ 附属書 XIII の点1(公開)、点2・点4(正当な利益)、点3(当局)の要約[参考資料1]。 ※ 正当な利益を持つ者の範囲と手続きを定める実施法は、欧州委員会のFAQによれば作成中です[参考資料4]。 ※ 電池のモデルに関する情報と、個々の電池の情報の両方が含まれます。
図5 概念図(ベクター作図)。附属書 XIII の整理(要約)[参考資料1]です。項目の全文や、実際のデータ形式を示すものではありません。

公開される項目には、評価値が並ぶ

附属書 XIII の点1(だれでも見られる情報)には、材料と性能の項目が並びます事実[参考資料1]。

  • 材料の組成(化学系、水銀・カドミウム・鉛以外の有害物質、重要原材料)
  • 炭素フットプリント、責任ある調達の報告、再生材料の割合、再生可能な材料の割合
  • 定格容量(Ah)、最小・公称・最大電圧(温度範囲つき)、初期の出力能力(W)
  • 期待される寿命(サイクル数)と、使った基準試験、容量の終止の閾値(EV 用電池のみ)
  • 初期の往復エネルギー効率と、サイクル寿命の50%時点の効率、セルとパックの内部抵抗、サイクル寿命の試験の C-rate

つまり、寿命の数字には、どの試験で測ったか、どの C-rate かを添えて公開するという形です。これは本シリーズ「電池の評価と劣化」編の「条件つきの数字」の考え方と同じです。容量低下や内部抵抗の定義も、附属書 IV に置かれています[参考資料1]。

登録簿と、アクセス権

パスポートの仕組みは、バッテリー専用ではなく、エコデザイン規則 (EU) 2024/1781 が定めるデジタル製品パスポートの共通の仕組みの上に作られます。欧州委員会の公式ページとFAQによれば、事実[参考資料4・5・6]:

  • パスポートは完成した電池に適用される。電池を市場に出す経済運営者が、デジタル製品パスポートの登録簿に登録する。登録簿には識別子とメタデータが記録され、詳細な電池の情報は経済運営者が管理する分散型の仕組み
  • 登録簿の実施規則は、欧州委員会実施規則 (EU) 2026/1778(2026年7月16日付)。この規則の「デジタル製品パスポート」には、規則 (EU) 2023/1542 第77条のバッテリーパスポートが含まれる。登録簿は2026年7月20日に稼働
  • 電池の情報は二次元コードでたどる(第13条6項、2027年2月18日から)
  • 「正当な利益を持つ者」(リサイクル業者、修理業者など)が見られる項目のアクセス権は、作成中の実施法に依存する。草案は2026年10〜11月に意見募集の見込みと FAQ は述べる未確定/将来
  • 2027年2月より前に市場に出た電池には直接触れていないが、その後に再製造される電池はパスポートが必要になる、と FAQ は説明する
素材技術者の視点⑤:「詳細な組成」を問われる側として

附属書 XIII の点2は、正極・負極・電解質に使う材料を含む詳細な組成を、正当な利益を持つ者だけが見られる項目として定めています[参考資料1]。公開される組成は概要(化学系、有害物質、重要原材料)にとどまり、配合の詳細は守られる設計です。 その一方で、電池メーカーは、この情報を出すために、材料メーカーに組成のデータを求めることになります。何を、どの粒度で、どの秘密保持の下で渡すかは、材料の供給契約の論点になります(本記事による解説)。

また、分解の情報(手順、工具、警告)や、交換部品の番号が項目に入っているため、接着剤や封止材の選び方が、リペアやリサイクルのしやすさとして問われます。接着・封止材の選択は、本シリーズ「車載用シリコーンと封止材」編などの関連編を参照してください。

電池の取り外しと交換(第11条)

第11条は、携帯用電池を使う製品に、利用者が市販の工具で取り外し・交換できる設計を、2027年2月18日から求めます(防水が必要な機器などの例外あり)。2026年7月14日に、欧州委員会は、免除製品を追加する委任法を採択しました(ウェアラブル機器、電動玩具、ATEX 指令の対象機器など6区分、とのこと)。欧州議会と理事会の審査を経て、官報掲載の20日後に発効します事実/未確定/将来[参考資料1・7]。これは、エネルギー貯蔵や EV 用ではなく、携帯用電池の要件です。

9. 日本・米国・中国の関連制度との比較

EU の電池規則のように、設計、材料、情報、回収を一つの法令でまとめて扱う制度は、本稿が公式資料で確認できた範囲では、日本・米国・中国にはありません。それぞれ、別の手段で似た目的に取り組んでいます。

地域確認できた制度・動き(公式資料)段階
EU規則 (EU) 2023/1542。炭素フットプリント、再生材料、デューデリジェンス、バッテリーパスポート、交換可能性、ラベルを法令で義務づけ(日付は条件つき・延期あり)[1・2・3]施行済み(要件は段階的)
日本経済産業省の「蓄電池産業戦略検討官民協議会」は、2022年8月31日に蓄電池産業戦略を公表した。検討事項に「サプライチェーンの管理強化等のルール整備」「リサイクル・リユース促進」を含む[12]。経済産業省の資料(2023年4月21日)は、約50社の参加で行ったカーボンフットプリントの試行事業(原料調達・製造、流通、使用の各段階。産総研の IDEA データベースを基本)と、車載用蓄電池のカーボンフットプリント算定方法(案)ver.1.0を示す[13]。一般社団法人自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター(ABtC)が、データ連携システムを運営し、2024年9月1日に「公益デジタルプラットフォーム運営事業者」として認定された(認定の期間は2026年8月31日まで)[14]戦略・算定方法(案)・民間のデータ連携基盤。EU のような義務づけは確認できず。ABtC の認定の更新状況は確認できなかった
米国連邦レベルのバッテリーパスポートや炭素フットプリントの表示義務は、本稿では確認できなかった。代わりに、税制の優遇を通じて供給網を方向づける。内国歳入法第45X条の先進製造業生産税額控除は、2025年7月4日成立の法律(P.L. 119-21)により、2025年7月4日より後に始まる課税年度から、「禁止された外国事業体」からの重要な支援(material assistance)を含む部品を対象外とする。歳入庁は通達 2026-15 で暫定の指針を示し、より包括的な提案規則を出す意向を述べている[15]成立済みの税制。詳細な規則は整備中(提案規則は未確認)
中国強制国家標準 GB 38031-2025(動力電池の安全要求、2026年7月1日施行)。さらに、「新能源汽车废旧动力电池回收和综合利用管理暂行办法」(工業・情報化部などの令第73号、2025年12月31日公布、2026年4月1日施行)は、動力電池企業に、GB/T 34014 に従った電池の編码(識別コード)とセル・モジュール・パックへの表示を求め、「数字身份证」(デジタルID)制度を国が設けるとし、具体的な方法は別に定めるとする(第9・12条)[16]施行済み。デジタルIDの具体的な方法は別途規定(未確認)

すべて事実(参考資料の番号は各行)。各国の制度は目的も手段も違うため、優劣や「どれが厳しいか」は比較していません。国ごとの対象(EV用か、全電池か、廃電池か)も異なります。

似ているところ、違うところ

EU と中国は、電池ごとの識別とデジタルの記録という点で似た方向にあります(EU:二次元コードとバッテリーパスポート、中国:編码と数字身份证)。ただし中国の数字身份证は、本稿が確認した条文では「具体的な方法は別に定める」とされ、記録される情報の範囲は確認できていません。 日本は、算定方法とデータ連携基盤を先に整え、義務づけは確認できていません。米国は、環境表示ではなく、調達元の制限を税制で行っています(本記事による整理)。

10. 限界と、確認できなかったこと

(1) 採択の確認

炭素フットプリントの委任法・実施法(EV用電池を含む)、ラベルの実施法、性能・耐久性の最小値の委任法、再生材料の算定の委任法、デューデリジェンスの指針は、本稿では採択・公表を確認できませんでした。確認の範囲は、EUR-Lex の規則の頁と、欧州委員会の公式ページです。採択されていないと断定するものではありません。

(2) 提案の行方

COM(2025) 501、COM(2025) 504 などの提案が採択されたか、どの内容で採択されたかは確認できていません。

(3) 各国の制度の範囲

日本の法令(資源の有効な利用の促進に関する法律など)、米国の州法(カリフォルニア州など)、中国の炭素フットプリントに関する標準は確認していません。米国の「禁止された外国事業体」の詳細な定義と閾値の割合は記載していません。

(4) 条文の解釈

適用範囲の細部(電池の定義、例外、移行措置)、ラベルの様式、バッテリーパスポートのデータの形式は、規則の本文と実施法で確認してください。

この記事のまとめ
  • EU 電池規則は2024年2月18日から適用され、要件は2031年以降まで段階的です事実
  • 多くの日付は「委任法・実施法の発効から〇か月後のいずれか遅い方」で、EV用電池の炭素フットプリントの委任法など、採択を確認できなかったものがあります事実/未確定/将来
  • デューデリジェンスは2027年8月18日へ延期されました(規則 (EU) 2025/1561)。内容ではなく日付を変える改正です事実
  • バッテリーパスポートは2027年2月18日から。登録簿は2026年7月20日に稼働し、正当な利益を持つ者のアクセス権の実施法は作成中です事実/未確定/将来
  • 寿命の数字は、試験条件を添えて公開される形になり、炭素フットプリントの分母は寿命で決まります事実/本稿の計算
  • 日本・米国・中国には、EU と同じ形の一括した法令は確認できず、算定方法と連携基盤(日本)、税制(米国)、編码とデジタルID(中国)という別の手段があります事実

11. 評価・標準の読み方

初めて読むときは、「どの数字が大きいか」より先に、次の順番で比較の条件を揃えてください。以下は本記事の編集上の確認手順で、規格が定める合格値や試験条件ではありません。

① 何を測ったか
対象製品、適用日、情報項目、算定境界。単位と、材料・部品・完成システムのどこを測った値かを確認します。
② どの条件か
法令の版、委任・実施法、対象市場、算定方法、移行期間。条件が異なる結果は、まず別の結果として読みます。
③ 比較で間違えやすい点
法令本文、成立前の提案、企業の対応予定を混ぜない
④ 規格の役割は何か
規格番号・名称・発行年・適用範囲を発行機関の資料で確認します。試験方法、安全性、相互接続、管理体制のどれを扱う規格かを分けて読みます。規格名の記載だけで、試験実施・適合・認証まで済んでいるとは判断しません。

比較を始めるためのメモ:対象/単位/測定条件/試料数とばらつき/比較対象/規格の版/確認できない点を、ひとまとまりで残しましょう。公開概要しか確認できない規格の数値条件や合格基準は、推測して補いません。

12. 用語集

バッテリーパスポート
電池に紐づく電子記録。組成、炭素フットプリント、性能、履歴などを含む。
LMT電池
軽量輸送機器(電動自転車、電動スクーターなど)用の電池。
SLI電池
始動・照明・点火用の電池(主に鉛蓄電池)。
委任法/実施法
基本法令を補う欧州委員会の法令。委任法は補足・修正、実施法は実施の統一的な条件。
通知機関
適合性評価などを担う第三者機関として、加盟国が欧州委員会に通知した機関。
デューデリジェンス
調達に伴う環境・人権のリスクを特定し、対処する仕組み。
炭素フットプリント
製品のライフサイクルにおける温室効果ガスの排出量をCO2換算で表した値。
再生材料の割合
活物質のコバルト・リチウム・ニッケルのうち、製造廃棄物や使用済み製品から回収された分の割合。
DPP登録簿
デジタル製品パスポートの識別子とメタデータを記録する、欧州委員会の登録簿。
PFE(禁止された外国事業体)
米国の税制で、懸念国に関係する事業体として定義される者。
編码/数字身份证
中国の動力電池の識別コード/電池の情報を関連づけるデジタルID。
ABtC
自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター。日本の自動車・蓄電池のデータ連携システムの運営者。

13. 参考資料(一次情報)

  1. 欧州議会・理事会 Regulation (EU) 2023/1542 of 12 July 2023 concerning batteries and waste batteries(官報 OJ L 191, 28.7.2023、原文) — eur-lex.europa.eu
  2. 欧州議会・理事会 Regulation (EU) 2025/1561 of 18 July 2025 amending Regulation (EU) 2023/1542 as regards obligations of economic operators concerning battery due diligence policies(OJ L, 30.7.2025) — eur-lex.europa.eu
  3. EUR-Lex 規則 (EU) 2023/1542 の頁(改正・補完した法令と、改正の提案の一覧) — eur-lex.europa.eu
  4. 欧州委員会 "EU Digital Product Passport FAQ for Batteries" — single-market-economy.ec.europa.eu
  5. 欧州委員会 "Batteries"(デジタル製品パスポートのバッテリーのページ。時期は目安と明記) — single-market-economy.ec.europa.eu
  6. 欧州委員会 Implementing Regulation (EU) 2026/1778 of 16 July 2026 laying down the implementation arrangements for the digital product passport registry — eur-lex.europa.eu
  7. 欧州委員会 環境総局 "Commission adds exemptions to portable battery removal rules", 14 July 2026 — environment.ec.europa.eu
  8. 欧州委員会 環境総局 "Batteries"(電池規則の概要ページ) — environment.ec.europa.eu
  9. 欧州委員会 JRC "Carbon footprint – Batteries"(Knowledge4Policy) — knowledge4policy.ec.europa.eu
  10. 欧州委員会 COM(2025) 504 final(デジタル化と共通仕様に関する規則案、規則 (EU) 2023/1542 の改正を含む) — eur-lex.europa.eu
  11. 欧州議会・理事会 Regulation (EU) 2026/1738 on circularity requirements for vehicle design and on management of end-of-life vehicles(規則 (EU) 2023/1542 の改正を含む) — eur-lex.europa.eu
  12. 経済産業省「蓄電池産業戦略検討官民協議会」(蓄電池産業戦略 2022年8月31日公表) — meti.go.jp
  13. 経済産業省「蓄電池のカーボンフットプリント」2023年4月21日(PDF) — meti.go.jp
  14. 経済産業省「一般社団法人自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センターを『公益デジタルプラットフォーム運営事業者』として初めて認定しました」2024年9月2日 — meti.go.jp
  15. 米国 内国歳入庁(IRS) Notice 2026-15(禁止された外国事業体からの material assistance に関する暫定の指針) — irs.gov
  16. 中国 工業・情報化部ほか(商务部の法規データベース掲載)「新能源汽车废旧动力电池回收和综合利用管理暂行办法」(令第73号、2025年12月31日公布、2026年4月1日施行、中国語) — policy.mofcom.gov.cn
  17. 欧州委員会 COM(2025) 501 final(中小企業向けの緩和措置の小規模中堅企業への拡大などの簡素化案、規則 (EU) 2023/1542 を含む) — eur-lex.europa.eu

14. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
規則 (EU) 2023/1542 の題名と構成(14章、第1〜96条)、2023年7月12日採択、2023年8月17日発効(EUR-Lex の日付)、2024年2月18日適用。第6〜14条の内容、第7条(炭素フットプリントの定義と日付)、第8条(再生材料の文書と最小割合:2031年16%/85%/6%/6%、2036年26%/85%/12%/15%)、第10条・附属書 IV(性能・耐久性)、第11条、第12条、第13条(表示、分別収集記号2025年8月18日、二次元コード2027年2月18日)、第14条、第48条(原文の日付)、第77条(2027年2月18日)、第96条、附属書 XIII(バッテリーパスポートの情報)規則 (EU) 2023/1542 原文
出典1 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32023R1542
事実
規則 (EU) 2025/1561:第48条1項の日付を2025年8月18日から2027年8月18日へ、5項の日付を2025年2月18日から2026年7月26日へ改めたこと。理由(通知機関の指定の遅れ、スキームの未整備、地政学的状況)。対象の材料がコバルト・天然黒鉛・リチウム・ニッケルであること。2025年7月18日付、翌日施行規則 (EU) 2025/1561
出典2 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=OJ:L_202501561
事実
規則 (EU) 2023/1542 を改正・補完した法令と提案の一覧(規則 (EU) 2024/1781、委任規則 (EU) 2025/606、規則 (EU) 2025/1561、規則 (EU) 2026/1738、COM(2025) 258・501・504・981・982、COM(2026) 590)EUR-Lex の規則の頁
出典3 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX:32023R1542
事実
バッテリーパスポートが完成した電池に適用されること、登録簿への登録、アクセス権の実施法が作成中で草案は2026年10〜11月の見込みであること、登録簿が2026年7月20日に稼働したこと、2027年2月以降の再製造電池はパスポートが必要であること、デューデリジェンスの報告書が2027年8月から必要とされること欧州委員会 FAQ・ページ
出典4 https://single-market-economy.ec.europa.eu/single-market/digital-product-passport/eu-digital-product-passport-faq-batteries_en
出典5 https://single-market-economy.ec.europa.eu/single-market/digital-product-passport/batteries_en
事実
デジタル製品パスポート登録簿の実施規則 (EU) 2026/1778(2026年7月16日付、バッテリーパスポートを含むと定義)欧州委員会実施規則 (EU) 2026/1778
出典6 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32026R1778
事実
2026年7月14日に、携帯用電池の取り外し・交換の免除製品を追加する委任法を採択したこと、6区分(うち3区分はウェアラブル機器、電動玩具、ATEX 指令の対象機器)、審査と発効の手続き欧州委員会 環境総局
出典7 https://environment.ec.europa.eu/news/commission-adds-exemptions-portable-battery-removal-rules-2026-07-14_en
事実
電池規則の発効(2023年8月17日)と、2024年2月18日適用(段階的な要件は2031年まで、との説明)欧州委員会 環境総局
出典8 https://environment.ec.europa.eu/topics/waste-and-recycling/batteries_en
事実
EV用電池の炭素フットプリント方法の委任法の附属書草案が2024年4月30日に意見募集されたこと、産業用電池の方法の報告書が2025年4月に公表されたこと、LMT電池の方法を検討中であること欧州委員会 JRC
出典9 https://knowledge4policy.ec.europa.eu/projects-activities/carbon-footprint-batteries_en
事実
COM(2025) 504 の内容(定置用蓄電システムの指示書・安全情報をバッテリーパスポートで提供する電子化など)、COM(2025) 501 の趣旨、規則 (EU) 2026/1738 が附属書 I を置き換えること各文書
出典10 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:52025PC0504
出典17 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:52025PC0501
出典11 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32026R1738
事実
経済産業省の蓄電池産業戦略(2022年8月31日公表)と検討事項。蓄電池のカーボンフットプリント試行事業(約50社、IDEA、4つの段階)と算定方法(案)ver.1.0(2023年4月21日)。ABtC の認定(2024年9月2日発表、期間は2024年9月1日〜2026年8月31日)経済産業省
出典12 https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/battery_strategy.html
出典13 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/chikudenchi_sustainability/pdf/004_03_00.pdf
出典14 https://www.meti.go.jp/press/2024/09/20240902002/20240902002.html
事実
米国:P.L. 119-21 による第45X条の禁止された外国事業体からの重要な支援の制限と、通達 2026-15 の暫定指針(提案規則を出す意向)IRS Notice 2026-15
出典15 https://www.irs.gov/pub/irs-drop/n-26-15.pdf
事実
中国:令第73号(2025年12月31日公布、2026年4月1日施行)、第9条(GB/T 34014 による編码と表示)、第12条(数字身份证制度、具体的な方法は別に定める)工業・情報化部ほかの暫行办法
出典16 https://policy.mofcom.gov.cn/claw/clawContent.shtml?id=105536
事実
原文の適用日が、委任法・実施法の発効から〇か月後との「いずれか遅い方」と規定されている要件の、採択の有無(炭素フットプリント、ラベル、性能・耐久性の最小値、再生材料の算定、デューデリジェンス指針)、バッテリーパスポートのアクセス権の実施法、COM(2025) 501・504 などの提案原文の条件つきの日付と、採択が確認できなかった事項。採択されていないと断定するものではない
出典1 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32023R1542
出典3 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX:32023R1542
未確定/将来
製造時の排出量80 kgCO2e/kWh(仮)、平均容量0.9(仮)、寿命500〜5,000サイクルでの値(約0.178、0.089、0.044、0.030、0.018)本稿の計算。80 ÷ (サイクル数 × 0.9)。仮の値で、使用段階以降の排出を含まず、規則の算定方法(委任法)ではない本稿の計算
日本・米国・中国に、EU と同じ形の一括した法令が確認できなかったこと、各国のデジタルID・データ連携の位置づけ、米国の連邦レベルの表示義務を確認できなかったこと、日本の ABtC の認定の更新状況本稿の調査範囲でアクセスできた公式資料では確認できなかったため記載していない解説
「日付が確定しなくてもデータ整備は先に始まる」「割合の分母と分子が材料の言葉で決まる」「寿命の延びは環境負荷の低減でもある」「詳細な組成を問われる側として」「黒鉛は天然黒鉛だけが対象」という読み取り。各国制度の似ている点・違う点の整理。再生材の算定への見立て(推測)公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない解説
図2・図4・図5が実際の制度の図・実データではなく説明のための作図であること。図1と図3がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月10日/出典は一次情報(EUR-Lex の法令、欧州委員会・経済産業省・米国歳入庁・中国政府機関の公式ページ)に限定しています。法令は改正されるため、確認日以降の変更は反映していません。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 委任法・実施法(EV用電池の炭素フットプリント、ラベル、性能・耐久性の最小値、再生材料の算定)の採択、デューデリジェンスの指針の公表、COM(2025) 501・504 などの提案の行方、日本・米国・中国の制度の詳細は、確認できなかったため記載していません。 本記事は法律相談ではなく、特定の製品・企業の規則適合を判断するものではありません。 図はすべて説明用の概念図です。図2・図4・図5はベクター作図、図1と図3はAI生成イメージであり、いずれも実際の制度の公式の図や、製品の実物を示すものではありません。