COMPANY PROFILE / 次世代蓄電
テスラ(エネルギー貯蔵事業)
― Megapack・Powerwallで2025年に46.7GWhの蓄電を導入。セルは外部調達が中心で、自社のセル・材料を立ち上げている
次世代蓄電の話題でTeslaの名前が出るのは、自動車メーカーでありながら、事業者向けの大型蓄電システム「Megapack」と家庭用の「Powerwall」で、大きな導入量を持つからです。Teslaが米国SECに提出した2025年12月期のForm 10-Kによると、2025年の蓄電導入量は46.7GWh(2024年は31.4GWh)、エネルギー事業の売上は127.71億ドル、売上総利益率は29.8%でした。ただし2026年4〜6月期は、売上総利益率が20.4%に下がりました。セルはPanasonicとCATLなどからの調達に頼り、自社のLFPセル・正極材・リチウム精製は立ち上げの段階です。本稿は、自動車事業を扱わず、エネルギー貯蔵事業に絞って、10-K・10-Q・8-Kの記載のとおりに整理します。会社の財務状況を評価するものではありません。
- 30秒でわかるTeslaと、次世代蓄電での立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 次世代蓄電の世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模
- 次世代蓄電にかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は次世代蓄電で何を目指しているか
- 次世代蓄電分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるテスラと、次世代蓄電での立ち位置
オースティン蓄電の製造拠点は米国・中国に複数
(カリフォルニア40、上海20)会社の四半期資料。テキサス州の工場は立ち上げ中
Teslaは自動車メーカーが蓄電システムの大手事業者にもなった会社で、本稿はエネルギー貯蔵事業だけを扱います。 10-Kは、事業を「自動車」と「エネルギー生成・貯蔵」の2つのセグメントに分け、2025年のエネルギー事業の売上は127.71億ドル(2024年は100.86億ドル)、売上総利益は38.02億ドルと報告しています 事実。 ただし、このセグメントには太陽光発電(ソーラールーフなど)も含まれ、蓄電だけの売上は開示されていません。 2026年4〜6月期は、エネルギー事業の売上が31.39億ドル(前年同期比13%増)に増えた一方、売上総利益率は30.3%から20.4%に下がりました(会社は、売上と原価の変動、販売の構成、保証の不利な調整を挙げています) 事実。 セルはPanasonicとCATLからの調達に頼っていると10-Kは明記しており、自社のLFPセルの設備は2026年7月時点で立ち上げの段階です。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は Tesla, Inc.で、ロゴは「TESLA」の文字(ワードマーク)です。蓄電の製品名は、事業者向けの Megapack(2025年に次世代のMegapack 3と、複数台を一体化したMegablockを発表)と、家庭向けの Powerwall(2023年からPowerwall 3)です。制御ソフトは、Megapack向けがAutobidder、家庭などの分散型エネルギー資源向けがPowerhubです。 ロゴ画像は、同社の公式サイト(tesla.com)のヘッダーで使われているロゴ(SVG)です。
公式サイト:https://www.tesla.com/megapack3. 次世代蓄電の世界で、この会社はどこにいるか
図1のとおり、Teslaは「電池を組んで電力網へ」届ける類型に位置します。Megapackは事業者・電力会社向けの大型システム、Powerwallは家庭・小規模施設向けの蓄電池で、 10-Kはどちらも「リチウムイオン電池の蓄電製品」と書いています 事実。 Teslaの特徴は、システムの設計・製造に加えて、電力電子(インバーター)と、遠隔制御・売買の最適化ソフトを自社で持つ点です。 一方でセルは、Panasonic・CATLなどから調達し、自社でも電池セルと材料(LFPセル、正極材、リチウム精製)の設備を立ち上げています。 本シリーズの技術解説「系統用蓄電システム」「仮想発電所と分散型エネルギー資源」「蓄電の経済性」もあわせて参照してください。
4. 会社の規模
Teslaは自動車事業が大きい会社です。会社全体の規模は簡潔に示し、エネルギー貯蔵に関わる数字を中心にします。いずれも10-K・10-Qなどの法定開示の数字です 事実。
| 会社全体(2025年12月期) | 数値 |
|---|---|
| 売上高 | 948.3億ドル(前年から28.6億ドル減) |
| 従業員数(2025年12月31日) | 134,785人(世界。エネルギー部門だけの人数は非公表) |
| 現金・投資 | 440.6億ドル(2025年12月末) |
| エネルギー生成・貯蔵セグメント | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 2026年4〜6月(前年同期) | 2026年1〜6月(前年同期) |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上(百万ドル) | 6,035 | 10,086 | 12,771 | 3,139(2,789) | 5,547(5,519) |
| 売上総利益(百万ドル) | 1,141 | 2,640 | 3,802 | 640(846) | 1,592(1,631) |
| 売上総利益率 | 18.9% | 26.2% | 29.8% | 20.4%(30.3%) | 28.7%(29.6%) |
| 原価に含まれる減価償却(百万ドル) | 343 | 377 | 355 | 97(87) | 192(170) |
| 蓄電の導入量(会社の開示) | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 2024年 | 31.4GWh | 出典2 |
| 2025年 | 46.7GWh(前年比 約49%増 本稿の計算:46.7÷31.4−1) | 出典1 |
| 2026年1〜6月 | 22.3GWh | 出典3 |
| 2026年7〜9月 | 13.7GWh(1〜9月の合計は約36.0GWh 本稿の計算:22.3+13.7。四半期ごとの公表値の合算) | 出典5 |
上のセグメントの数字は、太陽光発電(ソーラールーフ、太陽光パネル)を含みます。蓄電(MegapackとPowerwall)だけの売上・利益は、10-Kに記載がありません 未確定/将来。導入量(GWh)は蓄電製品だけの数字です。また、会社全体の研究開発費(2025年は64.1億ドル)や設備投資(2026年は200億ドル超の見込み)は、主にAIへの投資が中心と10-Kが書いており、蓄電向けの金額は非公表です。
5. 次世代蓄電にかけているリソース
会社全体の数字が大きいため、蓄電向けと分けて確認できた範囲だけを示します。4点それぞれについて、確認できたか、できなかったかを表にします。
| リソースの種類 | 一次情報で確認できた内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | 会社全体で134,785人(2025年12月31日)。エネルギー部門や蓄電の研究開発の人員は非公表。10-Kは、蓄電製品の電池セル・パック・システムの試験・研究開発の能力を持つと記載 | 事実/蓄電分は非公表 |
| 金 | エネルギー事業の原価に含まれる減価償却は2025年に3.55億ドル。エネルギー事業の在庫は27.14億ドル(2025年末。2024年末は20.29億ドル)。会社全体の研究開発費は64.11億ドル(2025年)、設備投資は2026年に200億ドル超の見込み(AI関連が主)。蓄電向けの研究開発費・設備投資額は非公表 | 事実/一部非公表 |
| 外部への出資・買収・合弁・事業売却 | 蓄電に関する出資・買収・合弁は、10-Kに記載なし。関連当事者として、Redwood Materials(電池リサイクル会社。同社の経営者と取締役の関係先)との取引があるが、2025年と2026年上半期は軽微と記載 | 確認できず/関連当事者は軽微 |
| 提携・調達 | セルはPanasonicとCATLなどから調達(10-K)。「資格を認めた供給元は限られ、変更の自由度が小さい」と10-Kが明記。蓄電の大口顧客として、関連当事者のxAI(2025年に4.30億ドル)とSpaceX(2026年4〜6月に3.18億ドル、1〜6月に4.05億ドル)がある | 事実 |
| 大学・研究機関・公的資金 | 大学との共同研究、DOEの助成・融資は、確認した10-K・10-Qに記載なし。制度面では、米国の税額控除(IRC第48・48E・25D条)で、蓄電システムは適格支出の6〜50%の控除の対象(IRAとOBBBAによる改正後。会社の説明)。顧客が請求するか、Teslaが所有する場合はTeslaが請求。住宅向けの控除は2025年12月31日に失効、事業用は2034年以降に段階的に縮小の予定。カリフォルニア州のSGIPなどの州の制度も、会社の説明で言及 | 事実(会社の説明)/一部確認できず |
次に、蓄電に関わる主要な製品・設備の状況です。段階と数字は会社の四半期資料(2026年7月)の表現のままです。
| 製品・設備 | 場所 | 規模 | 段階 | 日付 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| Megapack(Megafactory Lathrop) | 米国カリフォルニア州ラスロップ | 年40GWh | 生産 | 2026年7月22日 | 出典4 |
| Megapack(Megafactory Shanghai) | 中国・上海 | 年20GWh | 生産 | 2026年7月22日 | 出典4 |
| Megapack(新しいMegafactory) | 米国テキサス州ヒューストン近郊 | 非公表 | 10-Kは建設中、2026年7月の資料は「立ち上げ(commissioning)」 | 2026年1月・7月 | 出典1・4 |
| Powerwall(Gigafactory Nevada) | 米国ネバダ州 | 年6GWh超 | 生産 | 2026年7月22日 | 出典4 |
| LFPセルの製造 | 米国ネバダ州 | 年7GWh | 立ち上げ初期(資料の用語は「Early Ramp」)。蓄電・車載のどちらに使うかは記載なし | 2026年7月22日 | 出典4 |
| 正極材の製造/リチウム精製 | ―(場所の記載なし) | 年10GWh分/年30GWh分 | 立ち上げ初期 | 2026年7月22日 | 出典4 |
| Megapack 3、Megablock | ― | ― | 2025年に発表。Megapack 3の量産は「2026年開始の予定どおり」(会社の見通し) | 2026年1月・7月 | 出典1・4 |
なお、同社の公式サイトのMegapackのページは、「LathropとShanghaiのMegafactoryは合計で年80GWh(2万ユニット)の製造能力」と書いています。一方、2026年7月の四半期資料の表では、合計は60GWh(40+20)です。 差の理由は公式資料で確認できませんでした。本稿は四半期資料の値を主に使い、サイトの値は会社の主張として併記します 未確定/将来。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2015年5月 | 最初のPowerwallを設置(会社のサイト) | 家庭用蓄電の開始 |
| 2017年 | Gigafactory NevadaでPowerwallの量産を開始。Tesla設計のDC-ACインバーターを搭載(会社のサイト) | 電力電子を自社で持つ |
| 2023年9月 | Powerwall 3を発表(太陽光インバーターを内蔵) | 家庭用の次世代品 |
| 2024年 | 蓄電の導入量31.4GWh。エネルギー事業の売上100.86億ドル、売上総利益率26.2% | 2023年(売上60.35億ドル、利益率18.9%)から大きく伸びた |
| 2025年 | 導入量46.7GWh。Megapack 3とMegablockを発表。Megafactory Shanghaiが立ち上がり、ラスロップとあわせて増産。ヒューストン近郊で新Megafactoryを建設。Powerwallの設置が累計100万台に | 売上127.71億ドル、利益率29.8%(会社の開示)。原価低下の理由に、原材料費の低下とShanghaiの立ち上げ、関税の負担増を挙げる |
| 2025年の関連当事者取引 | xAIに4.30億ドルのMegapackを販売(10-K) | 会社の経営者の関係先との取引 |
| 2026年4〜6月 | エネルギー事業の売上31.39億ドル(13%増)、売上総利益率20.4%(前年同期30.3%)。SpaceXに3.18億ドルのMegapackを販売 | 会社は、Megapackの導入増に対し、販売単価の低下と、販売の構成・保証の不利な調整を挙げる |
| 2026年7月22日 | 四半期資料で製造能力と、自社の電池セル・材料の設備の状況を公表 | LFPセル7GWh、正極材10GWh、リチウム精製30GWhは立ち上げ初期 |
| 2026年10月2日 | 2026年7〜9月期の蓄電導入量13.7GWhを公表 | 四半期ごとに、導入量は大きく変動しうる(会社の説明) |
7. 今後の計画
正極材10GWh
リチウム精製30GWh立ち上げ初期(2026年7月)。会社は「垂直統合を進める」と記載
200億ドル超会社全体の見込み(AI関連が主)。蓄電向けの内訳は非公表
上の数字は会社の目標・見通しであり、実績ではありません 未確定/将来。会社は、導入量は需要、サプライチェーンの準備、顧客への販売と自社所有の設備への使用の配分によって左右される、と書いています(2026年7月の四半期資料)。
蓄電だけの売上・利益/ヒューストン近郊の工場の生産能力と稼働時期/Megapackの製品ごとの仕様(出力・容量・化学)と価格/自社LFPセルの蓄電への使用量/導入量の顧客別・国別の内訳(関連当事者を除く)/ 公式サイトの「80GWh」と四半期資料の「60GWh」の差の理由。いずれも、確認した10-K・10-Q・8-Kに記載がありません。
8. この会社は次世代蓄電で何を目指しているか
会社が直接書いている部分と、本稿が読み取った部分を分けます。推測は、一次情報から本稿が読み取った解釈です。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 蓄電をAIインフラの電力需要に応える事業として位置づけている | 10-Kが「AIインフラが急速な負荷増を招くなか、Megapackは既存の発電・送電容量の利用率を高める」と記載。公式サイトもデータセンター向けを用途に挙げる | 事実(会社の説明) |
| ハードウェアだけでなく、ソフトで稼ぐ方向 | 10-Kが、Autobidder(Megapack向け)・Powerhub(Powerwall向け)による遠隔制御・運用最適化と、仮想発電所(VPP)に言及 | 事実(会社の説明)/推測 |
| セルと材料の内製を進める(外部調達への依存を減らす) | 10-Kが「長期的には自社製セルで補う」と記載。LFPセル・正極材・リチウム精製の設備を2026年に立ち上げ中 | 事実(会社の説明) |
| 当面は需要の変動と関税・税制の影響を受けやすいと認識している | 10-Kが「現在の関税の体制は、自動車より蓄電事業への影響が相対的に大きい」と記載 | 事実(会社の説明) |
| 蓄電が会社全体の中で利益の柱の1つになっている | 2025年のエネルギー事業の売上総利益は38.02億ドルで、売上は会社全体の約13%(127.71÷948.3)だが、売上総利益では約22%(38.02÷(132.92+38.02)) | 本稿の計算/推測 |
上の最後の行は、10-Kのセグメント別の売上総利益から本稿が計算した割合です。2025年は、自動車セグメントの売上総利益が132.92億ドル、エネルギーが38.02億ドルで、 合計170.94億ドルのうちエネルギーは約22%でした 本稿の計算。売上の約13%に対して利益の約22%を占めることから、エネルギー事業は売上に比べて、会社の利益に占める比重が大きいと読めます。 ただし、売上総利益率は2026年4〜6月期に20.4%へ下がっており、この比重が続くとは限りません。また、10-Kはセグメント別の営業利益を開示していません 未確定/将来。
9. 次世代蓄電分野の提携マッピング
Teslaの法定開示で蓄電に関して名前が出るのは、セルの供給元(PanasonicとCATL)と、関連当事者の購入者(xAI、SpaceX)です 事実。 Teslaは蓄電の顧客を、自社のウェブサイト・店舗、販売パートナー、一部の事業用顧客にはPPA(電力購入契約)で販売していると記載していますが、 大口の外部顧客(電力会社や発電事業者)の名前は、確認した10-K・10-Qにありません。関連当事者向けの売上は、2025年のエネルギー事業の売上の約3.4%(4.30÷127.71)、 2026年4〜6月期は約10.1%(3.18÷31.39)にあたります 本稿の計算(xAIとSpaceXの関係は本稿では未確認のため、それぞれ別の値として計算)。
10. 提供している技術・製品・サービス
製品の数値は、同社の公式サイトと10-Kの記載に基づくメーカー公称です。多くはセルかシステムか、試験条件が記載されていません。 本稿は他社製品との比較や優劣づけをせず、条件の異なる数値を並べません。
| 項目 | 公式資料の記載(メーカー公称) | 確認できなかったこと |
|---|---|---|
| Megapack | 事業者・電力会社向けの蓄電システム。バッテリーモジュール、インバーター、熱システムを一体化して出荷(公式サイト)。複数台でGWh級の設置が可能(10-K) | セル化学、出力・容量、システムの効率の仕様 |
| Megapack 3/Megablock | 2025年に発表した次世代の産業用蓄電製品(10-K)。Megapack 3の量産は2026年開始の予定(2026年7月の四半期資料) | 仕様・価格・出荷開始の時期 |
| 稼働実績・稼働率(会社の主張) | 稼働累計は77GWh超、65か国以上。稼働率は99.3%(過去12か月の平均。「可用性保証」を契約し、運転開始から30日超の案件のGWh加重平均)。20年の保証と性能保証 | 稼働率の算定対象外の案件の実績、劣化の実測値 |
| 安全性(会社の主張) | ハードウェアと制御を一体に設計して火災リスクを減らし、40以上の国際的な安全要件を満たす(公式サイト) | 要件の一覧、認証書・試験報告書(規格名・版) |
| Powerwall 3 | 家庭用蓄電池。エネルギー容量13.5kWh(公式サイトの仕様欄)。太陽光インバーターを内蔵。累計設置は100万台超(2025年) | 出力など仕様欄の他の項目(本稿の取得範囲では全文を確認できず) |
| 制御ソフト | Autobidder(Megapackの運用・売買の最適化)、Powerhub(Powerwallなど分散型エネルギー資源、仮想発電所)。ファームウェア更新で機能を拡張(10-K) | ソフトの収益の内訳 |
Teslaの蓄電は、モジュール・インバーター・熱システム・制御を一体にしたシステム設計に強みを置き、セルそのものは外部から買ってきた、という構成です 事実。 10-Kは蓄電製品を「リチウムイオン電池」とだけ書き、セルの化学を明記していません。一方で2026年7月の資料は、LFPセルの設備(ネバダ州、年7GWh)、正極材の設備(年10GWh分)、リチウム精製(年30GWh分)を立ち上げ初期として挙げています 事実。 素材の側から見ると、蓄電用のセルではコストと寿命、熱暴走のしにくさが重視され、リン酸鉄リチウム(LFP)はニッケルやコバルトを使わない点で、その要求に合う化学として知られています 未確定/将来(一般的な説明で、Megapackのセル化学についての記述ではありません)。 正極材とリチウム精製を内製に近づける狙いは、原料から電池セルまでのコストと供給の自由度を高めることにあると考えられます 推測。 ただし、立ち上げ初期の設備は、純度・歩留まり・安定した量産が課題になりやすく、蓄電の導入量(年46.7GWh)に対して、7GWhのセル設備は一部にとどまります(容量の単位は異なるため、直接の比較はできません)。 本シリーズの技術解説「正極材料」「電池材料の資源と調達」「熱暴走と電池の安全」「電池管理システム」を参照してください。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| セルの調達への依存 | PanasonicとCATLなどに頼り、資格を認めた供給元は限られ、変更の自由度が小さい。供給が途切れると、車と蓄電の生産を絞る必要が出るとTeslaは10-Kに記載。自社セルは「計画どおりにできるとは限らない」と明記 | 事実 |
| 関税の影響 | 10-Kは「現在の関税の体制は、自動車より蓄電事業への影響が相対的に大きい」「輸入関税とOBBBAの規定が電池セルの費用を大きく増やしうる」と記載。2025年の原価にも関税の増加が含まれる | 事実 |
| 税額控除と原産地の証明 | OBBBAへの対応で重要鉱物の原産地の追跡が必要。供給元が書類を示せないと、製品が税額控除の対象から外れ、顧客の実質価格が上がる可能性(10-K)。住宅向けの控除は2025年末に失効 | 事実(会社の説明。法令の原文は本稿では未確認) |
| 利益率の変動 | 売上総利益率は2025年に29.8%、2026年4〜6月期に20.4%。会社は、販売の構成と保証の不利な調整を挙げる。販売単価(Megapack)も下がっている | 事実 |
| 導入量の四半期ごとの変動 | 案件のマイルストーンと物流の時期で、四半期ごとに大きく変わる(10-K)。2026年4〜6月期の導入量と、7〜9月期の13.7GWhを比べるときは、この点に注意 | 事実 |
| 関連当事者への販売 | 2025年はxAI向け4.30億ドル、2026年4〜6月はSpaceX向け3.18億ドル(エネルギー事業の売上の約10%)。会社は通常の取引として関連当事者取引の方針に従うと記載 | 事実/本稿の計算 |
| 蓄電だけの採算が見えない | セグメントに太陽光を含み、蓄電だけの売上・利益・人員・投資が開示されていない | 未確定/将来 |
| 事故・安全 | 10-Kは、電池セルの取り扱いの不備による安全上の問題や火災が、施設の運営を妨げ、ブランドと事業を傷つけうると一般的なリスクとして記載。本稿は個別の事故の原因を論じません(公式の調査報告の範囲外) | 事実(一般的なリスク) |
| 競争 | 他の製造者・開発者・設置事業者・大手電力会社との競争。電力の小売・卸売価格の低下が製品の魅力を下げる可能性(10-K) | 事実 |
本稿は企業の概要を整理したもので、電池の安全性や設置についての助言ではありません。蓄電システムの設置・運用は、各国・各地域の法令・規格・当局の基準と、製品メーカーの指示に従います。
12. 用語集
- Megapack/Megablock
- Teslaの事業者向け蓄電システム/その複数台を一体にした次世代の産業用製品(2025年に発表)。
- Powerwall
- Teslaの家庭・小規模施設向けの蓄電池。
- Autobidder/Powerhub
- Megapackの運用・電力売買を最適化するソフト/Powerwallなど分散型エネルギー資源を束ねて制御するソフト。
- Megafactory
- Teslaの蓄電システム(Megapack)の工場の呼称。
- GWh
- ギガワット時。エネルギー量の単位(1GWh=1,000MWh)。
- LFP
- リン酸鉄リチウム。ニッケル・コバルトを使わない正極材。
- セグメント
- 会社が事業を区分して開示する単位。Teslaは「自動車」と「エネルギー生成・貯蔵」の2つ。
- 関連当事者
- 会社の経営者・取締役と関係のある取引先。取引は法定開示で特別に記載される。
- OBBBA/IRA
- 米国の2025年の税制・歳出法/2022年のインフレ抑制法。いずれも蓄電の税額控除に関わる(10-Kの記載)。
- 10-K/10-Q/8-K
- 米国上場企業がSECに提出する年次報告書/四半期報告書/臨時報告書。

13. 出典
- Tesla, Inc. Form 10-K for the fiscal year ended December 31, 2025(米国SEC提出、2026年1月29日)。セグメント(自動車/エネルギー生成・貯蔵)、エネルギー貯蔵の製品、2025年の蓄電導入量、セグメントの売上・売上総利益、セル調達の依存先、関税・税額控除、従業員数、関連当事者取引。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026003952/tsla-20251231.htm
- Tesla, Inc. Form 10-K for the fiscal year ended December 31, 2024(2025年1月30日提出)。2024年の蓄電導入量31.4GWh。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828025003063/tsla-20241231.htm
- Tesla, Inc. Form 10-Q for the quarterly period ended June 30, 2026(2026年7月23日提出)。2026年上半期のエネルギー貯蔵の導入量・売上・売上総利益、関連当事者(SpaceX)へのMegapack販売。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026049270/tsla-20260630.htm
- Tesla, Inc. Form 8-K(2026年7月22日)添付資料99.1「Second Quarter 2026 Update」。エネルギー貯蔵の製造能力(Megapack・Powerwall)、電池セルの製造・材料の設備、Megapack 3の見通し。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026049213/exhibit991.htm
- Tesla, Inc. Form 8-K(2026年10月2日)添付資料99.1「Third Quarter 2026 Production, Deliveries & Deployments」。2026年7〜9月の蓄電導入量13.7GWh。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026064366/exhibit991111111.htm
- Tesla, Inc. 公式サイト「Megapack」ページ。稼働累計、稼働率、20年保証、製造能力(Megafactory)に関する会社の主張。 https://www.tesla.com/megapack
- Tesla, Inc. 公式サイト「Powerwall」ページ。設置累計、沿革(2015年の初設置から2025年の100万台)、仕様欄。 https://www.tesla.com/powerwall
14. 主張と出典の対応表
| 本文の主張 | 区分 | 出典 |
|---|---|---|
| 正式名称、本社(テキサス州オースティン)、上場(ナスダック:TSLA)、従業員134,785人、会社全体の売上高 | 事実 | 出典 1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026003952/tsla-20251231.htm |
| 2つのセグメント、エネルギー生成・貯蔵セグメントの売上・売上総利益・利益率(2023〜2025年)、減価償却、エネルギー在庫 | 事実 | 出典 1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026003952/tsla-20251231.htm |
| 2025年の蓄電導入量46.7GWh、2024年の31.4GWh | 事実 | 出典 1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026003952/tsla-20251231.htm 出典 2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828025003063/tsla-20241231.htm |
| 2026年1〜6月のエネルギー事業の売上・売上総利益・利益率と導入量22.3GWh、関連当事者(SpaceX)へのMegapack販売 | 事実 | 出典 3 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026049270/tsla-20260630.htm |
| 2026年7〜9月の蓄電導入量13.7GWh | 事実 | 出典 5 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026064366/exhibit991111111.htm |
| Megapack・Powerwallの製造能力(Lathrop 40GWh、Shanghai 20GWh、Nevada Powerwall 6GWh超、テキサスは立ち上げ中)、LFPセル7GWh・正極材10GWh・リチウム精製30GWh、Megapack 3の見通し | 事実 | 出典 4 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026049213/exhibit991.htm (会社の資料。能力は設置能力であり、実際の生産量ではない) |
| 新Megafactory(ヒューストン近郊)の建設、Megapack 3とMegablockの2025年の発表、セルの調達先(PanasonicとCATL)、関税・税額控除・原産地の追跡に関する記載 | 事実 | 出典 1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026003952/tsla-20251231.htm |
| Megapackの稼働実績(77GWh超、65か国以上、稼働率99.3%、20年保証)、80GWh(2万ユニット)の製造能力(サイト)、安全性の主張 | 事実 | 出典 6 https://www.tesla.com/megapack (会社の主張) |
| Powerwallの沿革(2015年初設置、2017年量産、Powerwall 3、100万台)、13.5kWh | 事実 | 出典 7 https://www.tesla.com/powerwall (メーカー公称) |
| 関連当事者(xAI 4.30億ドル、Redwood Materials軽微) | 事実 | 出典 1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026003952/tsla-20251231.htm |
| 蓄電の導入量の前年比(約49%増)、2026年1〜9月の合計(約36.0GWh) | 本稿の計算 | 本稿の計算:46.7÷31.4−1、22.3+13.7 |
| エネルギー事業の売上・売上総利益の会社全体に占める割合(約13%、約22%)、関連当事者向けの売上の割合(約3.4%、約10.1%) | 本稿の計算 | 本稿の計算(10-K・10-Qの数値から)。xAIとSpaceXの関係は未確認のため別々に計算 |
| 蓄電だけの売上・利益・人員・研究開発費・設備投資、Megapackのセル化学・仕様・価格、ヒューストン近郊の工場の能力・時期 | 未確定/将来 | 確認した10-K・10-Q・8-Kに記載なし。本稿では推計もしない(確認できなかった項目) |
| 蓄電に関する出資・買収・合弁・大学との共同研究・DOEの助成・融資 | 未確定/将来 | 確認した開示資料に記載なし。存在しないとも断定しない(本稿の確認範囲) |
| 公式サイトの80GWhと四半期資料の60GWhの差の理由 | 未確定/将来 | 公式資料で確認できず。理由を推測しない(見通し) |
| Megapack 3の2026年の量産開始、導入量の見通し、設備投資200億ドル超 | 未確定/将来 | 出典 4 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026049213/exhibit991.htm 出典 1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026003952/tsla-20251231.htm 会社の見通しであり、実績ではない |
| 蓄電を、AIインフラ向け・ソフト収益・セル材料の内製の3つの方向で位置づけているという読み | 推測 | 出典 1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1318605/000162828026003952/tsla-20251231.htm 10-Kの記載からの本稿の解釈 |
| 正極材・リチウム精製の内製化の狙いがコストと供給の自由度にあるという読み、LFPが蓄電に合う化学という一般的な説明 | 未確定/将来 | 解説(一般的な説明で、Megapackのセル化学の記述ではない) |
最終更新:2026年10月10日/Troy Technical
本稿の数値は、Tesla, Inc.が米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類(Form 10-K・10-Q・8-K)と、同社の公式サイトの記載に基づきます。調査会社の推計値・報道だけの数値は使用していません。会社の財務状況を評価するものではありません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。