🌐 This site is also available in English Visit English Site →
🌐 English

レジストとフォトマスク 技術解説

← ナノテクノロジーの解説一覧へ戻る

TECHNOLOGY EXPLAINER

レジストとフォトマスク
― 光を受ける膜と原版が、EUVの限界を決める

リソグラフィの光は、ウエハ上のレジストに当たって初めてパターンになります。レジストは光で性質が変わる膜、フォトマスクはパターンを持つ原版です。EUVでは光子が少なく、レジストが吸収できる光子はさらに一部。そのため感度・解像度・ラインエッジラフネス(LER)の綱引きと、光子の数のゆらぎによる確率的欠陥が前面に出てきます。この記事は、化学増幅レジストと金属酸化物レジスト、反射型マスクとペリクルの材料を、数字の出所を分けて整理します。

構成:査読論文(Hasanら、Fallicaら、Kozawaら、De Bisschop、Liら)、Lam Research・三井化学の公表資料、ASML製品ページを一次情報として使用/最終更新 2026年10月

レジストとフォトマスクの構造・工程を示す解説画像
図1 概念図(AI生成イメージ)。ウエハにレジストを塗る作業を想像で描いたものです。実際の装置・薬液・工場の外観や寸法を示すものではありません。
この記事の構成
  1. レジストとフォトマスクとは何か(3行でつかむ)
  2. レジストの仕事 ― パターンを写し、次の工程の型になる
  3. 化学増幅レジスト(CAR)― 1個の酸が多数の反応を起こす
  4. EUVで何が変わるか ― 光は原子に吸収される
  5. 金属酸化物レジストと乾式レジスト
  6. 感度・解像度・ラインエッジラフネスの綱引き
  7. 確率的欠陥(ストキャスティクス)
  8. フォトマスク ― 反射膜と吸収体
  9. ペリクルの材料
  10. 数字の読み方
  11. 課題・限界/用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。推測は一次情報で確認できなかった本記事の見立てです。
性能値は、何を測った値か(測定法・試料)とどの水準か(シミュレーション/実験室/量産)とセットで書きます。

この記事の位置づけ

半導体の製造材料の原理と評価の解説です。特定の企業・製品・材料の優劣を述べるものではありません。企業の公表値は各社の公称であり、実際の工場の歩留まりとは別です。

1. レジストとフォトマスクとは何か(3行でつかむ)

レジストは光で溶けやすさが変わる膜、フォトマスク(レチクル)は光を通す・遮る・反射するパターンを持つ原版です。『リソグラフィとEUV』編で見たとおり、EUVは波長13.5 nmで光が少ないため、この2つの材料が装置の性能を大きく左右します。

  • 化学増幅という発明:Ito(2000年)は、化学増幅の概念がIBM研究所で発明され、同社のDRAM製造にすぐ導入されたこと、そして波長300 nm未満の短波長リソグラフィの先端レジスト設計の重要な土台であり続けていることを述べています事実
  • EUVではレジストの働き方が変わる:DUVでは酸発生剤(PAG)が光を直接吸収するのに対し、EUVでは光子のエネルギーが92 eVと大きく、原子の電子が励起されて光電子・二次電子が連鎖し、それが反応を起こします(Hasanら、2024年の総説)事実
  • 反射型マスク:EUVのマスクはMo/Si多層膜の反射板の上に、光を吸収するパターン(吸収体)を置いた構造です。0.33 NAの装置では、吸収体としてTaBNが使われ、厚さは典型的に60〜70 nmとされています(Liら、2026年)事実
この記事でいちばん大事な一行

EUVの光子は少なく、有機系のレジストが吸収するのはその一部にすぎません。 総説は、約35 nmの有機系レジストは入射光の約15%しか利用しないと述べています事実。 吸収される光子が少ないほど、光子数のゆらぎ(ショットノイズ)が結果に出やすくなります。 レジストを「もっと光を吸う材料」にするか、「もっと少ない光子で反応する材料」にするかが、材料開発の中心です(本記事の解説)。

前編『リソグラフィとEUV』で光源・ミラー・光子数を、次編『原子層堆積』『エッチング』で膜を積む・削る工程を扱います。レジストはその間にあって、「光で描いたものを、エッチングが使える形に変える」役割です。

2. レジストの仕事 ― パターンを写し、次の工程の型になる

レジストの流れは、塗布してベーク(焼き固め)→ 露光 → 現像です。現像後に残った膜が、エッチングのマスク(型)になります。露光で溶けやすくなるのがポジ型、溶けにくくなる(残る)のがネガ型です。

レジストとフォトマスクの構造・工程を示す解説画像
図2 概念画像(ImageGenで生成)。塗布した膜、選択的な露光、現像後の開口を順に示します。残ったレジストが次の加工の型になります。線幅や膜厚は模式的です。 [参考資料 1]
形状・色・寸法は説明用です。数値・原文の対応は下の元図で確認できます。
元のSVG模式図と正確な説明を見る

図の読み方・元図の説明:レジストの仕事:パターンを写し、次の工程の型になる(概念図) / 断面の模式図。ポジ型を例にしています。層の厚さは模式的です。 / ① 塗布・ベーク / 下層膜の上にレジストを / 回転塗布して焼く / / ② 露光 / パターンの光が当たる / 部分の性質が変わる / 光 / ③ 現像 / 露光部が現像液に溶け / 凹凸のパターンができる / ④ エッチング / レジストをマスクに / 下の膜と基板を削る / レジスト / 下層膜 / 基板 / 露光された部分 / ※ ポジ型は露光部が現像液に溶け、ネガ型は露光部が残ります。金属酸化物レジストは露光で架橋して溶けにくくなると報告されています[参考資料 1]。 / ※ 下層膜は反射防止やエッチング耐性などを担う層で、実際の層構成は工程ごとに異なります(本記事の解説)。

レジストの仕事:パターンを写し、次の工程の型になる(概念図) 断面の模式図。ポジ型を例にしています。層の厚さは模式的です。 ① 塗布・ベーク 下層膜の上にレジストを 回転塗布して焼く ② 露光 パターンの光が当たる 部分の性質が変わる 光 ③ 現像 露光部が現像液に溶け 凹凸のパターンができる ④ エッチング レジストをマスクに 下の膜と基板を削る レジスト 下層膜 基板 露光された部分 ※ ポジ型は露光部が現像液に溶け、ネガ型は露光部が残ります。金属酸化物レジストは露光で架橋して溶けにくくなると報告されています[参考資料 1]。 ※ 下層膜は反射防止やエッチング耐性などを担う層で、実際の層構成は工程ごとに異なります(本記事の解説)。
図2 概念図(ベクター作図)。レジストが「光のパターン」を「膜の凹凸」に変え、エッチングの型になる流れです[参考資料 1]。層の厚さ・層構成は模式的で、実際の工程を示すものではありません。

EUVでは、レジストは薄く塗るのが特徴です。Hasanらの総説は、より高い解像度のためにEUVのレジストはDUVより薄い約35 nmの膜にして、パターンの倒れを防ぐと述べています事実。薄くすれば光の吸収が減り、エッチングで削られる余裕も減ります。これが、本記事の後半を貫く課題です。

3. 化学増幅レジスト(CAR)― 1個の酸が多数の反応を起こす

化学増幅レジストは、ポリマー(保護基がついていて溶けにくい)と、光で酸を出す酸発生剤(PAG)を主成分とする膜です。露光で酸ができ、その後のベーク(露光後ベーク、PEB)で酸が動いて保護基を次々に外し、現像液に溶けるようになります。1個の酸が何度も働くので「増幅」と呼ばれます。Hasanらは、DUVの場合はPAGが光子を吸収して励起され、そこから起きる化学反応がポリマーの脱保護を起こして溶解性を変える、と説明しています事実。

化学増幅レジスト(CAR)のしくみ(概念図) EUVでは光子がまず原子に吸収され、生じた電子が酸を作ります。 ① 光子(EUV 92 eV) レジスト中の原子に吸収され 光電子・二次電子を出す ② 酸発生剤が分解 電子が酸発生剤(PAG)を 分解して酸(H+)ができる ③ 酸が広がる 露光後ベークの間に酸が動き 周囲の保護基に作用する 解説:トレードオフの根っこ 酸が遠くまで動くと 感度は上がるが ぼけとラフネスが増える ④ 化学増幅 酸は消費されずに 保護基を次々に外す (1個の酸で多数の反応) ⑤ 現像 外れた部分と外れない 部分で溶解性が違う → パターンになる ※ 要点は総説[参考資料 1]、化学増幅の概念はIto[参考資料 7]、有効反応半径はKozawa[参考資料 3]によります。 ※ 保護基・酸発生剤・クエンチャーの具体的な材料は多種あり、この図は概念図です。
図3 概念図(ベクター作図)。EUVでの化学増幅レジストの流れです[参考資料 1・3・7]。具体的な材料・濃度・時間は示しておらず、個々のレジストの設計を表すものではありません。
素材技術者の読みどころ①:酸が動く距離は、感度の味方でもあり、ぼけの原因でもある

酸が遠くまで動くほど、1個の酸が外す保護基の数が増え、感度は上がります。一方で、酸が動いた分だけ、露光した場所と反応した場所がずれ、輪郭がぼけます(本記事の解説)。 Kozawa(2019年)は、化学増幅EUVレジストの反応機構にもとづくシミュレーションで、解像度・ラインエッジラフネス・感度の関係を定式化し、半ピッチ10 nm未満では熱化した電子の影響が顕在化し、その抑制には増感剤濃度または有効反応半径を増やす必要があると述べています事実(シミュレーションにもとづく理論研究)。 つまり、微細化するほど「ぼけを減らす」方向と「感度を保つ」方向の要求が衝突するのが、化学増幅の本質的な難しさです(解説)。 実際のレジストは、酸の拡散を抑える添加剤(クエンチャー)などを加えて調整しますが、その具体的な配合は本稿の調査範囲では確認していません。

4. EUVで何が変わるか ― 光は原子に吸収される

Hasanらは、EUVの光は物質中の原子の電子と強く相互作用するため、DUVが分子に作用するのとは違うと述べています事実。EUVの吸収は、レジストを構成する元素の種類と密度でほぼ決まります。炭素・水素・酸素が主体の有機系レジストは、EUVを透過しやすく、薄い膜では入射光の一部しか使えません。

本稿の計算

吸収率 = 1 − exp(−α × 膜厚)(α はEUVでの吸収係数)として、膜厚35 nmの吸収率を見ます本稿の計算。

  • 有機系(α = 4.8 /µm と仮定):35 nmで 1 − exp(−4.8×0.035) = 約15.5%。総説の「入射光の約15%」と一致します
  • 吸収係数が3倍(α = 14.4 /µm):同じ35 nmで 約39.6%

前提と限界:総説の本文では、吸収の値の単位が表示から欠けていました。本記事は、膜厚35 nm・約15%と整合する µm⁻¹ と解釈して α = 4.8 /µm を置いています(推測を含む仮定)。「3倍」は、次章のFallicaらの「スズ系は有機系の最大3倍」から取った上限の目安で、特定のレジストの値ではありません。

吸収される光の割合と膜厚(本稿の計算) 吸収率 = 1 − exp(−α × 膜厚)。α はEUVでの吸収係数。 0% 20% 40% 60% 0 10 20 30 40 50 60 レジストの膜厚(nm) 15% 40% α = 4.8 /µm(有機系レジストの例) α = 14.4 /µm(その3倍:スズ系の上限の目安) ※ α = 4.8 /µm は、総説[参考資料 1]の「35 nmで入射光の約15%」と合う値として本記事が置いた仮定(単位は推定)。 ※ 14.4 は4.8の3倍で、Fallicaら[参考資料 2]の「スズ系は有機系の最大3倍」から。実測値ではありません。
図4 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。吸収係数を2通りに置いたときの、膜厚と吸収率の関係です[参考資料 1・2]。α の値は本記事の仮定で、実測値でも特定のレジストの値でもありません。

『リソグラフィとEUV』編で見たとおり、露光量30 mJ/cm²(NXE:3800Eの処理能力の条件の値)では、10 nm × 10 nm の領域に入射する光子は約2,000個です。そのうち吸収される数と、光子数のゆらぎ(ショットノイズ)を、膜厚と吸収係数を変えて見ます。

吸収される光子の数とショットノイズ(本稿の計算) 10 nm × 10 nm の領域・露光量30 mJ/cm²(仮定)。入射は約2,000個。棒は吸収される光子数(括弧内はばらつき)。 有機系(α 4.8)20 nm 187 (約7.3%) 有機系(α 4.8)35 nm 315 (約5.6%) 有機系(α 4.8)50 nm 435 (約4.8%) 吸収3倍(α 14.4)35 nm 807 (約3.5%) ※ 吸収光子数 = 入射光子数(約2,039個)× 吸収率。ばらつき = 1 ÷ √(吸収光子数)で、光子数のゆらぎだけを見た目安。 ※ 露光量30 mJ/cm² はASMLのNXE:3800Eの処理能力の条件[参考資料 13]で、実際のレジストの露光量ではありません。 ※ 膜厚・吸収係数は例。二次電子の広がりや酸の拡散などの化学的なぼけは含みません。
図5 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。吸収される光子数と、光子数のゆらぎだけから見たばらつきの目安です[参考資料 1・2・13]。露光量・吸収係数・膜厚は仮定で、実際の線量・ばらつきを示すものではありません。
本稿の計算

入射光子数 約2,039個(30 mJ/cm²・10 nm × 10 nm)に吸収率を掛け、ばらつき = 1 ÷ √(吸収光子数)を求めます本稿の計算。

  • 有機系35 nm:吸収光子 約315個 → ばらつき 約5.6%
  • 吸収係数が3倍・35 nm:約807個 → 約3.5%。有機系の膜を50 nmに厚くしても約435個(約4.8%)にしかなりません

前提と限界:光子数のゆらぎだけを見た目安です。実際のばらつきは、光電子・二次電子の広がり、酸の拡散、現像の溶解の非線形性などの化学的なぼけと重なって決まり、ここでは扱っていません。10 nm × 10 nm という領域の大きさも、本記事が選んだ例です。

5. 金属酸化物レジストと乾式レジスト

吸収を増やす直接的な方法は、EUVをよく吸収する金属を入れることです。Hasanらの総説は、遷移金属や原子番号の大きい金属・半金属が、EUV光子と大きな相互作用断面積を持つため、光の吸収を高める候補になると述べています事実。

Fallicaら(2018年、査読論文)は、シンクロトロン光を使った方法で、スズのかご状分子、ジルコニウム・ハフニウムのオキソクラスターの薄膜の吸収を測りました事実。結果は、スズ系が従来の有機系レジストの最大3倍、ハフニウム系が約2倍、ジルコニウム系は有機系ポリマーと同程度でした。測った試料は市販のレジストではなく、研究用の化合物で、実測値と元素組成から計算した値は「おおむね一致」したものの、膜密度や膜厚のむらによる大きな食い違いもあったと述べています事実。

系統しくみの要点公表されている特長(出所の区分)課題・確認できなかったこと
化学増幅レジスト(CAR)ポリマーの保護基を、酸が触媒的に外す。PAG・クエンチャーなどを含むIBMで発明、DRAM製造に導入、先端レジスト設計の土台(Ito)EUVでは高い露光量が必要になりやすく、処理能力に響くと総説は指摘事実。酸の拡散がぼけを生む(解説)
金属酸化物レジスト(スズ系など)金属を含む分子・クラスターが露光で変化し、架橋した無機のネットワークを作る(総説)吸収が有機系の最大3倍(Fallicaら、研究用化合物)。エッチング耐性が高く、感度が高い傾向(総説)量産での採用状況・性能は本稿で確認できなかった。金属を含む材料の取扱い・管理は推測(下記)
乾式レジスト(Lam Researchの方式)膜を乾式(気相)で堆積し、現像も乾式で行う(同社の発表)同社は、低線量・高解像度、原料使用量が5〜10分の1と説明(2020年、企業の公称)発表は開発中の段階。顧客での採用状況・実績は確認できなかった未確定/将来

出所:Hasanら[参考資料 1]、Fallicaら[参考資料 2]、Ito[参考資料 7]、Lam Research発表(2020年2月26日)[参考資料 8]。区分は列内に記載。

Lam Researchは2020年2月26日の発表で、ASMLとimecとの連携で乾式レジストを開発していると述べ、同社の堆積とエッチングの技術を、感光性の材料へ広げるものと位置づけています。低い線量と高い解像度を可能にし、原料の使用量が5〜10分の1になると説明しています(同社の発表。2020年時点の開発段階での主張)事実。レジストが、塗る材料から堆積する材料になれば、次編の『原子層堆積』『エッチング』と同じ装置の世界に入る、という点が、このシリーズの視点では興味深いところです(解説)。

スズ系の研究成果としては、Inpriaの研究者らによる、スズ・オキソクラスターのEUVでの光リソグラフィ特性の報告があります(Cardineauら、2014年、査読論文)事実。本稿ではこの論文の個別の数値は確認していません。

素材技術者の読みどころ②:「吸収」「薄さ」「エッチング耐性」が三つ巴

レジストの設計は、同時に満たす条件が多いのが特徴です。① EUVをよく吸収する(金属を入れる)、② 薄く塗ってもパターンが倒れない、③ 薄くてもエッチングに耐える(高い架橋・無機成分)。 金属酸化物レジストは、①と③に有利な方向(吸収が高く、エッチング耐性が高い)である、と総説は整理しています事実。薄くても下層をエッチングできるので、前述の「薄膜ほど吸収が減る」問題も和らぎます(解説)。 一方で、推測ですが、金属を含む膜は、塗布・現像・端部の洗浄・廃液・装置内の金属汚染の管理が、有機系より厳しくなると考えられます。この点の一次情報は、本稿の調査範囲では確認できませんでした。

6. 感度・解像度・ラインエッジラフネスの綱引き

レジストの性能は、解像度(Resolution)、ラインエッジラフネス(LER:線の縁のでこぼこ)、感度(Sensitivity)の3つで語られ、頭文字からRLSトレードオフと呼ばれます。Kozawaら(2019年)は、この3つの関係がEUVリソグラフィの拡張性にとって重要な懸念であると述べ、化学増幅レジストのシミュレーションで関係を定式化しました。LERの指標には「化学勾配」を使い、半ピッチ・増感剤濃度・脱保護の有効反応半径への依存性を調べています事実(シミュレーション)。Azumagawaら(2020年)は、半ピッチ5〜16 nmの範囲について、解像度・化学勾配・感度・増感剤の総濃度・有効反応半径の関係を回帰分析で予測できたと報告しています事実(解析)。

感度・解像度・ラフネスのトレードオフ(概念図) 三つを同時に良くするのは難しい、という関係の整理です。 解像度(細かい線) ラフネス(LER)が小さい 感度が高い(低線量) 酸が遠くまで動くと 感度↑・解像度↓ 線量を減らすと光子が減り ラフネスが増えやすい ※ 3項目の関係は、化学増幅レジストのシミュレーションで定式化した研究[参考資料 3・4]にもとづく整理です。 ※ 図中の説明は本記事の解説で、個々のレジストの性能を示すものではありません。
図6 概念図(ベクター作図)。三つを同時に良くするのは難しいという関係の整理です[参考資料 3・4]。図中の矢印や文言は本記事の解説で、特定のレジストの性能を示すものではありません。
本稿の計算

ラフネスは、線幅のばらつきLWR(3σ)で測られることが多い量です。線幅CDに対するLWRの比を、例として計算します本稿の計算。

  • LWR 1.5 nm(3σ)の場合:CD 16 nm で 約9.4%、12 nm で 約12.5%、8 nm で 約18.8%
  • LWR 1.0 nm の場合:CD 16 nm で約6.3%、12 nm で約8.3%、8 nm で約12.5%

前提と限界:LWRの値(1.0 nm、1.5 nm)は、計算のために本記事が置いた例で、実際のレジストの測定値ではありません。同じラフネスでも、線が細くなるほど線幅に対する割合は増える、という関係を示すものです。

レジストとフォトマスクの構造・工程を示す解説画像
図7 概念図(AI生成イメージ)。レジストパターンの縁のでこぼこを、電子顕微鏡で確認する場面を想像で描いたものです。実際の装置・画面・パターンの形状を示すものではありません。

7. 確率的欠陥(ストキャスティクス)

光子や分子の数が少ないと、同じ設計・同じ条件でも、場所ごとに結果が少しずつ違います。De Bisschop(2017年、査読論文)は、この確率的な効果が、局所的な寸法のばらつき(線幅ラフネスや局所CD均一性〔LCDU〕)として測られるほか、欠落したコンタクトや、スペースの中の微小な橋(マイクロブリッジ)のような局所的でランダムな印刷失敗としても現れると述べています事実。失敗が起きた場所には信頼できるCDがないため、通常のCD測定では評価できません。同論文は、SEM画像から失敗を検出して数える指標「NOK(not OK)」を提案し、CD、ピッチ、レジスト、露光量などへの依存性を実験で調べられるとしています事実。また、マスクのOPC検証の段階で、どの構造が確率的な効果に敏感かを前もって予測する簡易な予測器の可能性も検討しています事実。

確率的な欠陥の例(概念図) 同じ設計でも、光子や分子の数のゆらぎで、形が毎回少しずつ違います。 理想の線 線幅のゆらぎ(LWR) 橋と断線 欠けたコンタクト 設計どおり 縁がギザギザ 局所寸法がばらつく 線がつながる/切れる (寸法では測れない) 穴が開かない (点線の位置) ※ 局所寸法のばらつき(LWR、LCDU)と、ランダムに起きる印刷失敗(欠落コンタクト、橋)の区別は De Bisschop[参考資料 5]によります。 ※ 形は説明のための作図で、実際のSEM像や欠陥率を示すものではありません。
図8 概念図(ベクター作図)。確率的な効果の現れ方の分類です[参考資料 5]。形状は説明用の作図で、実際のSEM像・欠陥の大きさ・発生率を示すものではありません。
素材技術者の読みどころ③:「平均」は良くても「ばらつきの裾」で歩留まりが決まる

チップには、数十億の線や穴があります。ほとんどの場所が設計どおりでも、まれにしか起きない失敗が1つあれば、そのチップは動かないことがあります(本記事の解説)。したがって、レジストの評価では、平均の寸法やラフネスだけでなく、失敗の起きる頻度(ごく低い確率の領域)を見る必要があります。De Bisschopの指標が、CDではなく失敗の個数を数えるのはこのためです[参考資料 5]。 材料側の対策は、吸収を増やす(図4・図5)、反応に寄与する事象を増やす、酸や分子の広がりを抑える、パターンの倒れや溶け残りを減らす(現像・リンスの設計)などですが、個々の対策の効果と代償は、具体的な材料と条件ごとに違い、本稿ではそれ以上の一般化はしません。

8. フォトマスク ― 反射膜と吸収体

Liら(2026年、査読論文・オープンアクセス)は、EUVのマスクを次のように説明しています事実。EUVは物質に強く吸収されるので、露光機は反射光学系を使い、マスクも同じ反射の原理を使います。Mo/Si多層膜が反射板として働き、層の厚さは反射を強め合うように精密に制御されます。照明は小さな斜めの角度で入射し、入射光と反射光を光学系の中で分離できるようにします。基板は低熱膨張ガラスで、露光中のパターンの歪みを抑えます。その上に、EUVを強く吸収するパターン状の吸収体が回路のレイアウトを決め、像のコントラストを高めます。0.33 NAの装置では、先端の吸収体材料はTaBNで、典型的な厚さは60〜70 nmです。

レジストとフォトマスクの構造・工程を示す解説画像
図9 概念画像(ImageGenで生成)。下の基板、交互に積層した反射膜、上面の吸収体パターンを断面で示します。EUV用マスクは光を透過させる板ではなく、反射を使います。 [参考資料 6]
形状・色・寸法は説明用です。数値・原文の対応は下の元図で確認できます。
元のSVG模式図と正確な説明を見る

図の読み方・元図の説明:反射型フォトマスクの断面(概念図) / 各層の厚さ・光の角度は模式的です。光は斜めに入り、斜めに出ます。 / ペリクル(防塵膜) / 入射光 / 反射光 / 影 / 吸収体 / キャッピング層 / Mo/Si 多層膜 / 低熱膨張ガラス基板 / ※ 基板・Mo/Si多層膜・吸収体の構成、斜め入射、TaBN吸収体の厚さ60〜70 nm(0.33 NA)はLiら[参考資料 6]によります。 / ※ 影は吸収体の厚みと斜め入射で生じるマスク3D効果の一因です。実際の層数・厚さ・材料は示しません。

反射型フォトマスクの断面(概念図) 各層の厚さ・光の角度は模式的です。光は斜めに入り、斜めに出ます。 ペリクル(防塵膜) 入射光 反射光 影 吸収体 キャッピング層 Mo/Si 多層膜 低熱膨張ガラス基板 ※ 基板・Mo/Si多層膜・吸収体の構成、斜め入射、TaBN吸収体の厚さ60〜70 nm(0.33 NA)はLiら[参考資料 6]によります。 ※ 影は吸収体の厚みと斜め入射で生じるマスク3D効果の一因です。実際の層数・厚さ・材料は示しません。
図9 概念図(ベクター作図)。反射型フォトマスクの断面と、斜め入射で吸収体の厚みが「影」を作る様子です[参考資料 6]。層数・厚さ・角度は模式的で、実際のマスクの設計を示すものではありません。

マスク3D効果と、ハイNAでの吸収体の見直し

斜めに入射するため、吸収体の厚みが影を作り、像が歪みます。これをマスク3D効果(M3D)と呼びます。Liらは、M3Dは斜め入射、多層膜内の複雑な反射、吸収体の光学応答が合わさって起き、NAが高いほど悪化すると述べています事実。ASMLのEXE:5000のページは、High-NA(0.55)ではアナモルフィック光学系により従来の大きさのレチクルを使い続けられると説明しています[参考資料 12]事実。その一方で、M3Dに強い吸収体への見直しが研究の焦点になっています。

Liらは、対策として、EUVでの消衰係数が高く(high-k)屈折率が低い(low-n)材料なら、薄くしてもM3Dを抑えられるとされていると述べ、研究例を挙げています事実。

  • Ni-Al合金(Luongら):吸収体を薄くでき、像と工程余裕が改善する。ただし安定性とエッチング性に課題
  • Ta-Co合金(Thakareら):像のコントラストを高め、最良焦点のばらつきを減らす。ただしテレセントリシティ誤差の課題
  • Ru/Taの二層(Thakareら):エッチング性と結像性能のバランスをとるが、二層構造がマスクの検査・修復を複雑にする
  • Pt-W合金(Liら自身):白金を主体に、フッ素系プラズマで揮発性の生成物を作るタングステンを加えてエッチング性を高めた。光学定数を測った膜でシミュレーションし、TaBNより薄い厚さで結像が良くなるとの結果。これは一つの研究グループによるシミュレーション中心の評価で、実機での採用ではありません
素材技術者の読みどころ④:吸収体は「光学・成膜・加工・修復」の多目的最適化

Liらが挙げる、マスク吸収体に求められる膜の条件は、素材技術者には馴染み深い項目ばかりです事実。

  • 成膜温度は150 ℃未満:下の多層膜の反射率を守るため
  • 非晶質またはナノ結晶:ラインエッジラフネスを小さくするため
  • 表面粗さ0.5 nm未満、残留応力±300 MPa以内、使用中の熱負荷と洗浄液への安定性
  • 加工性:フッ素系プラズマでエッチングできること
  • 修復と検査:現在のEUVマスクは、電子ビーム誘起の堆積とエッチングで欠陥を修復します。新しい吸収体では、修復に使う前駆体も、光学特性を満たし、後工程で反応しないものを選ぶ必要があります。また、DUV光による欠陥検査はコントラストが低く、明視野検査の技術開発が必要です

光学的に最適な材料が、エッチングや修復で扱いにくいことは珍しくありません(解説)。このシリーズでいう『エッチング』『成膜』の知識は、マスク材料の選択に直結します。

9. ペリクルの材料

ペリクルは、マスクの前に張る極薄の防塵膜です。要件は、EUVをよく通す、ナノメートルの厚さで壊れない、高温・水素ラジカルに耐える、反射が小さいことです(Choiら)事実。数値の詳細は『リソグラフィとEUV』編で述べたので、ここでは材料系統を整理します。

材料系統公表されている情報(出所の区分)注意点
シリコン系の膜三井化学は、従来のEUVペリクルはシリコン系の膜で、ASMLのライセンスにより2021年に商業生産を始めたと述べる(同社の発表)事実High-NA・高出力(600 W以上)には新しい材料が必要とされる(同社)
金属シリサイド実物大110 × 144 mmで、透過率90%超、反射率0.04%未満、引張強さ2 GPa超(Choiら、2024年、論文中の試作膜)事実400 W級のEUV向けの評価。量産での採用は確認できなかった
カーボンナノチューブ(CNT)透過率92%以上、1 kW超の露光出力に耐える光耐性をうたう(三井化学、2024年、同社の公称)事実量産設備は計画(年5,000枚、2025年12月完成予定〔暫定〕)。稼働状況は確認できなかった未確定/将来

出所:Choiら[参考資料 11]、三井化学[参考資料 10]。透過率の測定条件・基準は異なり、優劣を比べる数字ではありません。

10. 数字の読み方 ― シミュレーション・実験室・公称を混ぜない

数字何の値か区分注意点
約15%(35 nm)有機系レジストが利用する入射EUV光の割合総説(2024年)/本稿の計算で再現吸収係数の単位は推定。レジストの種類で違う
最大3倍/約2倍/同程度スズ系/Hf系/Zr系の吸収(有機系比)査読論文(2018年、実測)研究用の化合物の薄膜で、市販レジストではない。実測と計算に食い違いも
5〜10分の1乾式レジストの原料使用量企業の公称(2020年)開発段階の主張。実績は確認できなかった
半ピッチ5〜16 nm、10 nm未満RLSの関係式の対象範囲、熱化電子の影響が顕在化する領域理論・シミュレーション(2019〜2020年)実機の測定値ではない
LWR 1.0/1.5 nmラフネス比の計算に置いた例本稿の計算の仮定実測値ではない
60〜70 nm0.33 NA装置でのTaBN吸収体の典型的な厚さ査読論文(2026年)メーカー・世代で違う
150 ℃未満、0.5 nm未満、±300 MPaマスク吸収体の成膜に求められる条件の例査読論文(2026年)Pt-W研究が挙げた要件。規格値ではない
90%超/92%以上ペリクルのEUV透過率査読論文(2024年)/企業の公称(2024年)測定条件・基準が違う

11. 課題・限界/確認できなかったこと

(1) 量産でのレジスト・マスク材料の採用状況は確認できなかった

金属酸化物レジストや乾式レジスト、新しい吸収体、CNTペリクルが量産でどこまで使われているかは、本稿で読んだ一次情報から確認できませんでした。企業の発表は開発や計画の段階の記述が中心です。

(2) 具体的なレジストの性能値は載せていない

特定のレジストの感度(露光量)、解像度、LERの実測値は、条件(露光機・パターン・膜厚・現像)ごとに大きく違い、公開された一次情報の比較が難しいため、載せていません。本記事の数字は、仮定を明記した計算か、論文・企業の記述にとどめました。

(3) 規制・安全の観点は扱っていない

レジストや反射防止膜に含まれるフッ素系化合物(PFAS)の規制との関係、金属含有材料の取扱いと廃液の管理は、本稿では確認していません。PFASと半導体の規制は、次の『エッチング』編でガスの化学と合わせて扱います。

(4) 電子ビーム描画・マスク製造の工程は扱っていない

マスクのパターンを描く工程、検査・修復の装置の詳細は扱っていません。光に頼らないナノインプリントのテンプレートは『自己組織化とナノインプリント』編で扱います。

この記事のまとめ
  • 化学増幅レジストは、酸が保護基を次々に外す仕組みで、IBMで発明されDRAM製造に導入されました事実
  • EUVでは光子が原子に吸収され、電子が反応を起こします。35 nmの有機系レジストは入射光の約15%しか使いません事実。吸収が3倍なら同じ膜厚で約40%です本稿の計算
  • スズ系は吸収が有機系の最大3倍(研究用化合物の実測)。乾式レジストは開発中の主張です未確定/将来
  • 感度・解像度・LERは綱引きの関係にあり、半ピッチ10 nm未満では熱化電子の影響が顕在化します(シミュレーション)事実
  • 確率的欠陥は、寸法のばらつきと、ランダムな印刷失敗の二つで現れ、失敗の頻度を見る指標が使われます事実
  • マスクは、低熱膨張ガラス・Mo/Si多層膜・吸収体(TaBN 60〜70 nm)の構造で、High-NAでは影(M3D)への対応が焦点です事実

12. 用語集

レジスト
光で溶解性が変わる感光性の膜。現像後、エッチングの型になる。
CAR
化学増幅レジスト。酸が保護基を触媒的に外す。
PAG
光酸発生剤。光や電子で酸を出す成分。
PEB
露光後ベーク。酸が動いて反応が進む工程。
ポジ型/ネガ型
露光部が溶ける/露光部が残る。
RLS
解像度(Resolution)・ラフネス(LER)・感度(Sensitivity)。
LER/LWR
線の縁のでこぼこ/線幅のばらつき。
LCDU
局所CD均一性。穴などの寸法のばらつき。
確率的欠陥
光子・分子の数のゆらぎで、ランダムに起きる印刷失敗や寸法のばらつき。
金属酸化物レジスト
スズ・Hf・Zrなどの金属を含み、EUVの吸収が高い無機系のレジスト。
M3D
マスク3D効果。斜め入射と吸収体の厚みで像が歪む現象。
吸収体
EUVマスク上でEUVを吸収してパターンを作る膜。TaBNなど。
ペリクル
マスクの前に張る極薄の防塵膜。
OPC
光学近接効果補正。原版パターンの事前補正。

13. 参考資料(一次情報)

  1. Hasan MW ほか「Recent Advances in Metal-Oxide-Based Photoresists for EUV Lithography」Micromachines 15(9), 1122(2024年、査読論文・総説) — doi.org/10.3390/mi15091122
  2. Fallica R ほか「Absorption coefficient of metal-containing photoresists in the extreme ultraviolet」J. Micro/Nanopattern. Mater. Metrol. 17(2), 023505(2018年、査読論文) — doi.org/10.1117/1.JMM.17.2.023505
  3. Kozawa T「Theoretical study on trade-off relationships between resolution, line edge roughness, and sensitivity in resist processes for semiconductor manufacturing by extreme ultraviolet lithography」Jpn. J. Appl. Phys. 58(9), 096502(2019年、査読論文) — doi.org/10.7567/1347-4065/ab37ff
  4. Azumagawa K, Kozawa T「Analysis of trade-off relationships between resolution, line edge roughness, and sensitivity in extreme ultraviolet lithography using lasso regression」Jpn. J. Appl. Phys. 59(7), 076501(2020年、査読論文) — doi.org/10.35848/1347-4065/ab984e
  5. De Bisschop P「Stochastic effects in EUV lithography: random, local CD variability, and printing failures」J. Micro/Nanolith. MEMS MOEMS 16(4), 041013(2017年、査読論文) — doi.org/10.1117/1.JMM.16.4.041013
  6. Li Z ほか「Evaluating an alternative Pt-W alloy as a low-n EUV mask absorber: Film properties and imaging performance」iScience 29(8), 116912(2026年、査読論文・オープンアクセス) — doi.org/10.1016/j.isci.2026.116912
  7. Ito H「Chemical amplification resists: History and development within IBM」IBM J. Res. Dev. 44(1.2), 119–130(2000年、論文の要旨) — doi.org/10.1147/rd.441.0119
  8. Lam Research「Lam Research Unveils Technology Breakthrough for EUV Lithography」ニュースリリース(2020年2月26日) — globenewswire.com
  9. Cardineau B ほか「Photolithographic properties of tin-oxo clusters using extreme ultraviolet light (13.5 nm)」Microelectronic Engineering 127, 44–50(2014年、査読論文) — doi.org/10.1016/j.mee.2014.04.024
  10. 三井化学「Mitsui Chemicals Sets up Production Facilities for CNT Pellicles to Be Used in Next-Gen EUV Lithography」ニュースリリース(2024年5月28日) — jp.mitsuichemicals.com
  11. Choi M ほか「Development and optimization of metal silicide EUV pellicle for 400W EUV lithography」Nanotechnology 36(6), 06LT01(2024年、査読論文) — doi.org/10.1088/1361-6528/ad902d
  12. ASML「TWINSCAN EXE:5000」製品ページ(メーカー公称、2026年10月9日閲覧) — asml.com
  13. ASML「TWINSCAN NXE:3800E」製品ページ(メーカー公称、2026年10月9日閲覧) — asml.com

14. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
化学増幅の概念がIBM研究所で発明されDRAM製造に導入されたこと、波長300 nm未満の先端レジスト設計の土台であり続けていることIto(2000年、論文の要旨) [参考資料 7]https://doi.org/10.1147/rd.441.0119事実
DUVではPAGが光子を吸収し脱保護が起きること、EUVでは光子エネルギーが92 eVで光電子・二次電子の連鎖が反応を起こすこと、EUVでは約35 nmの薄いレジストを使いパターン倒れを防ぐこと、有機系35 nmは入射光の約15%しか使わないこと、遷移金属・高原子番号の金属がEUV吸収を高める候補であること、金属酸化物レジストは露光で架橋した無機ネットワークを作りエッチング耐性が高く感度が高い傾向があること、従来のCARは高い露光量で処理能力が下がることHasanら(2024年、査読論文・総説) [参考資料 1]https://doi.org/10.3390/mi15091122事実
スズのかご状分子・Zr・Hfオキソクラスターの薄膜をシンクロトロン光で測定し、スズ系が有機系の最大3倍、Hf系が約2倍、Zr系が有機系ポリマーと同程度の吸収。実測と計算はおおむね一致したが膜密度・膜厚むらによる食い違いもあったことFallicaら(2018年、査読論文)。研究用の化合物の薄膜で、市販レジストではない [参考資料 2]https://doi.org/10.1117/1.JMM.17.2.023505事実
化学増幅EUVレジストのシミュレーションで、解像度・LER(化学勾配)・感度の関係を定式化したこと。半ピッチ10 nm未満では熱化電子の影響が顕在化し、増感剤濃度または有効反応半径の増加が必要になることKozawa(2019年、査読論文。シミュレーションにもとづく理論研究) [参考資料 3]https://doi.org/10.7567/1347-4065/ab37ff事実
半ピッチ5〜16 nmで、解像度・化学勾配・感度・増感剤総濃度・有効反応半径の関係を回帰分析で予測できたことAzumagawa・Kozawa(2020年、査読論文) [参考資料 4]https://doi.org/10.35848/1347-4065/ab984e事実
確率的効果が局所CDのばらつき(LWR、LCDU)と、欠落コンタクト・マイクロブリッジなどのランダムな印刷失敗として現れること、失敗は通常のCD測定で評価できないこと、SEM画像から数える指標NOKを提案したこと、CD・ピッチ・レジスト・露光量への依存性を調べられること、OPC検証段階での簡易予測器を検討したことDe Bisschop(2017年、査読論文) [参考資料 5]https://doi.org/10.1117/1.JMM.16.4.041013事実
EUVのマスクがMo/Si多層膜の反射板・低熱膨張ガラス基板・パターン状の吸収体で構成され、小さな斜め入射を使うこと、0.33 NAの先端吸収体がTaBNで典型的な厚さ60〜70 nmであること、M3DがNAとともに悪化すること、low-n・high-k吸収体が薄くしてもM3Dを抑える候補とされること、Ni-Al・Ta-Co・Ru/Taの研究例とその課題、Pt-W合金のシミュレーション評価、成膜温度150 ℃未満・非晶質またはナノ結晶・表面粗さ0.5 nm未満・残留応力±300 MPa以内、電子ビーム誘起の堆積・エッチングによる修復、DUV検査の低コントラストLiら(2026年、査読論文・オープンアクセス)。Pt-Wはシミュレーション中心の一研究 [参考資料 6]https://doi.org/10.1016/j.isci.2026.116912事実
乾式レジストをASML・imecと開発していること、低線量・高解像度・原料5〜10分の1の主張、堆積とエッチングの技術を感光材料に広げるという位置づけLam Research ニュースリリース(2020年2月26日、企業の公称)。開発段階の発表で、採用状況は確認できなかった [参考資料 8]https://www.globenewswire.com/news-release/2020/02/26/1991075/0/en/Lam-Research-Unveils-Technology-Breakthrough-for-EUV-Lithography.html未確定/将来
スズ・オキソクラスターのEUV光リソグラフィ特性が報告されていること(論文の題名と著者・掲載誌)Cardineauら(2014年、査読論文)。個別の数値は確認していない [参考資料 9]https://doi.org/10.1016/j.mee.2014.04.024事実
従来のEUVペリクルがシリコン系の膜で、三井化学がASMLのライセンスで2021年に商業生産を開始したこと、CNTペリクルの透過率92%以上・1 kW超の光耐性(公称)、High-NA・高出力(600 W以上)には新材料が必要とされること、年5,000枚・建設完了2025年12月(暫定)の計画三井化学 ニュースリリース(2024年5月28日)。設備は計画で、稼働状況は確認できなかった [参考資料 10]https://jp.mitsuichemicals.com/en/release/2024/2024_0528_1/index.htm未確定/将来
ペリクルの要件(ナノメートルの厚さで壊れやすい、高温・水素ラジカルに耐える)、金属シリサイド膜が実物大110×144 mmで透過率90%超・反射率0.04%未満・引張強さ2 GPa超Choiら(2024年、査読論文) [参考資料 11]https://doi.org/10.1088/1361-6528/ad902d事実
High-NAでアナモルフィック光学系により従来サイズのレチクルを使い続けられることASML 製品ページ(メーカー公称) [参考資料 12]https://www.asml.com/en/products/euv-lithography-systems/twinscan-exe-5000事実
NXE:3800Eの処理能力が露光量30 mJ/cm²の条件であることASML 製品ページ(メーカー公称) [参考資料 13]https://www.asml.com/en/products/euv-lithography-systems/twinscan-nxe-3800e事実
35 nmの吸収率(α=4.8 /µmで約15.5%、α=14.4 /µmで約39.6%)、図4の曲線、入射光子約2,039個(30 mJ/cm²、10 nm×10 nm)、吸収光子数(187/315/435/807個)とばらつき1÷√N(約7.3/5.6/4.8/3.5%)、LWR 1.0・1.5 nmのCD比(CD 16/12/8 nmで約6.3/8.3/12.5%と約9.4/12.5/18.8%)本稿の計算。α=4.8 /µmは総説の「約15%」と合うよう本記事が置いた仮定(単位は推定)、14.4はFallicaらの最大3倍から。30 mJ/cm²・LWRの値・10 nm角の領域は仮定本稿の計算
酸の拡散が感度とぼけの両方を生むこと、薄膜・吸収・エッチング耐性の三つ巴、金属含有レジストの取扱い管理が厳しくなるという見立て(推測)、吸収体が光学・成膜・加工・修復の多目的最適化であること、「失敗の頻度を見る」という整理、各素材技術者の視点公表内容にもとづく本記事の整理・解説。金属含有材料の管理は一次情報で確認できなかった解説
量産でのレジスト・マスク材料の採用状況、特定レジストの感度・解像度・LERの実測値、PFAS規制との関係、マスク製造・描画の工程本稿の調査範囲では一次情報で確認できなかったため記載していない解説
図2・図3・図4・図5・図6・図8・図9が実際の設計図・測定図ではなく説明のための作図であること。図1と図7がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月9日/出典は一次情報(査読論文・企業の公式発表・装置メーカーの公式ページ)に限定しています。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 量産でのレジスト・マスク材料の採用状況、特定レジストの性能実測値、PFAS規制との関係は、確認できなかったため記載していません。 金属酸化物レジストの吸収の値は研究用化合物の実測で、市販レジストの性能ではありません。企業の数値は各社の公称です。 図は説明用の概念図・作図です。図2〜6・図8・図9はベクター作図、図1と図7はAI生成イメージであり、いずれも実際の装置・パターン・マスクの写真や設計を示すものではありません。