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ナノ材料の定義と規制 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

ナノ材料の定義と規制
― 「ナノ」の線は、法域ごと、法令ごとに別々に引かれている

「1〜100 nm」という数字は共通の出発点です。しかしEUの勧告は「個数基準で50%以上」、米国のTSCA報告規則は「固体で、サイズゆえの特性を狙って作る」、日本の厚生労働省通達は「固体状で約1〜100 nm」と、同じ数字に別の条件を付けています。 さらに、安全性の扱いは「ナノかどうか」ではなく、形・サイズ・表面・溶解性で変わります。

構成:ISO、欧州委員会(EUR-Lex)、米国EPA・FDA、厚生労働省、環境省、OECD、IARC、NIOSHの公式文書を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

ナノ材料の定義と規制の構造・工程を示す解説画像
図1 概念図(AI生成イメージ)。「粉体の測定結果を、各国の規制の言葉に直して届け出る」という実務の場面を表した説明用の絵です。実在の文書・装置・粉体の外観を示すものではありません。
この記事の構成
  1. 「ナノ」の定義とは何か(3行でつかむ)
  2. 定義の地図 ― 同じ「1〜100 nm」に、別の条件が付いている
  3. EU勧告2022/C 229/01 ― 個数基準50%と、比表面積による除外
  4. 本稿の計算:個数基準と質量基準で、同じ粉が別の物になる
  5. 素材技術者の視点①:「個数基準」を測れるのか
  6. REACHのナノフォーム ― 登録は「形」ごとに行う
  7. 化粧品と食品 ― 規則ごとに、別の定義が使われている
  8. 米国 ― TSCAの報告規則とFDAの考え方
  9. 日本 ― 通達とガイドラインで動いている部分
  10. OECDとISO ― 試験法と用語の土台
  11. 提案・採択・適用を区別して読む
  12. 「ナノだから危険/安全」とは言えない ― 形で決まる例
  13. 素材技術者の視点②:規制は「仕様書の書き方」を変える
  14. 課題と、確認できなかったこと
  15. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=提案・草案の段階にあり、採択・適用が確認できていない事項
このほか、読み取りや整理は「解説」として区別しています。

この記事の位置づけについてのお断り

本記事は規制の読み方の解説です。法的な助言ではなく、個々の製品がどの規制の対象になるかを判断するものでもありません。 また、特定の材料・企業・国の優劣を述べるものではなく、「ナノだから危険」「ナノだから安全」と一般化することもしません。 実際の判断は、各法令の原文と所管当局の最新の文書で確認してください。

1. 「ナノ」の定義とは何か(3行でつかむ)

  • 共通の言葉:ISO 80004-1:2023(2023年7月発行)は、ナノスケールを「長さの範囲でおよそ1 nmから100 nm」、ナノマテリアルを「いずれかの外形寸法がナノスケールにある、または内部構造・表面構造がナノスケールにある材料」と定義しています事実。同規格は、この定義がコミュニケーションを助ける一般的な記述子であるとも述べています。
  • 規制の言葉:EUだけでも、勧告(2022年)、REACHのナノフォーム、化粧品規則、食品関連規則が、それぞれ別の定義を持っています。米国はTSCAの報告規則で独自の定義を置き、FDAは定義を置かず「考慮すべき点」を示しています事実。
  • 安全性:IARCは、多層カーボンナノチューブのうちMWCNT-7だけを2B(ヒトに対する発がん性が疑われる)とし、ほかの多層CNTと単層CNTは分類できない(グループ3)としました事実。同じ「カーボンナノチューブ」でも、評価は形で分かれます。
この記事でいちばん大事な一行

EUの勧告は、自分の定義が「EU法令のどの文書の適用範囲も決めない」と、自分で書いています 事実(前文23)。 つまり、「ナノ材料かどうか」は一つの答えではなく、「どの法令で、どの時点の定義で」と聞かれて初めて答えが出る問いです(本記事による解説)。

2. 定義の地図 ― 同じ「1〜100 nm」に、別の条件が付いている

各文書の定義を、寸法の範囲で並べると次のようになります。範囲はほぼ揃っているのに、「何を数えるか」「何を除くか」が違うのが分かります。

各文書が書く「ナノ」の寸法範囲(本記事による整理) 横軸は対数。濃い棒=文書が数値で示す範囲、薄い棒=条件付きで広がる範囲 ISO 80004-1:2023 EU勧告 2022/C 229/01 EU REACH ナノフォーム EU 化粧品規則 EU 食品(新規食品) 米国 TSCA 704.20 米国 FDA ガイダンス 日本 厚労省通達 約1〜100 nm(長さの範囲) 個数基準で50%以上が範囲内 個数分布の50%以上が範囲内 不溶性または生体内残留性 100 nm「程度」以下(下限の記載なし) 固体・重量の1%以上・サイズ由来の特性 〜1 µm(性質を狙う場合) 固体状・約1〜100 nm 0.1 nm1 nm10 nm 100 nm1 µm10 µm ※ 各文書の条件の一部だけを示した概念図です。閾値・除外・例外は下の表と、各章を参照してください。 ※ EU食品の定義は「100 nmのオーダー」とされ、1 nmの下限は書かれていません。FDAは定義ではなく「考慮点」です。
図2 概念図(ベクター作図)。寸法の範囲は、ISO 80004-1:2023[参考資料1・2]、欧州委員会勧告[3]、REACH改正規則[4]、化粧品規則[5]、新規食品規則[7]、40 CFR 704.20[11]、FDAガイダンス[14]、厚労省通達[18]の記載によります。文書の全条件を網羅したものではなく、寸法の範囲の比較のための整理は本記事によるものです。
文書性格寸法閾値・条件形・溶解性・その他
ISO 80004-1:2023国際規格(用語)ナノスケール=約1〜100 nm閾値なし(用語の定義)ナノマテリアルは外形寸法・内部構造・表面構造のいずれかがナノスケール
EU勧告 2022/C 229/01勧告(2022年6月10日)外形寸法の1つ以上が1〜100 nm個数基準の粒径分布で50%以上固体粒子に限る。単一分子は粒子でない。比表面積が6 m²/cm³未満なら対象外
REACH ナノフォーム委員会規則(2018/1881)外形寸法の1つ以上が1〜100 nm個数分布の50%以上例外として、フラーレン、グラフェン薄片、単層CNT(1 nm未満の寸法)を含める
EU 化粧品規則規則(EC)1223/2009外形寸法または内部構造が1〜100 nm個数の閾値の記載なし不溶性または生体内に残留し、意図的に製造されたもの
EU 新規食品規則規則(EU)2015/22831つ以上の寸法が100 nm「程度」以下個数の閾値の記載なし意図的に製造。100 nmを超える凝集体でも、ナノスケール特有の性質を保つものを含める
米国 TSCA 704.20EPA報告規則粒子(凝集体を含む)の少なくとも1次元が1〜100 nm重量で1%未満は対象外25 ℃で固体。サイズゆえの「独特で新規な性質」を示すよう製造・加工されたもの
米国 FDA拘束力のないガイダンス外形寸法・内部構造・表面構造が約1〜100 nm定義は置かない寸法に由来する性質を狙うなら、1 µm程度までも対象として考える
日本 厚労省通達通達(2009年3月31日)少なくとも1次元が約1〜100 nm閾値の記載なし固体状の材料。ナノ構造体(凝集体を含む)も対象

すべて事実(参考資料1〜5・7・11・14・18)。表の要約と並べ方は本記事によります。

3. EU勧告2022/C 229/01 ― 個数基準50%と、比表面積による除外

欧州委員会は2022年6月10日に、ナノマテリアルの定義に関する勧告を採択しました(官報掲載は2022年6月14日)。2011年の勧告(2011/696/EU)を更新するもので、定義は次のように読めます事実。

EU勧告(2022/C 229/01)の定義の読み方(本記事による整理) ① 固体の粒子からなる材料か? (液滴・気泡は含めず、単一分子は粒子に数えない) ② 個数基準の粒径分布で、50%以上の粒子が次のどれかを満たすか (a) 外形寸法の1つ以上が 1〜100 nm (b) 棒・繊維・管状で、2つの寸法が1 nm未満、他が100 nm超 (c) 板状で、1つの寸法が1 nm未満、他が100 nm超 ③ 体積比表面積が 6 m²/cm³ 未満か? (未満なら「ナノマテリアルとはみなさない」) この勧告の定義では、ナノマテリアル ナノマテリアルではない ナノマテリアルではない ナノマテリアルではない いいえ いいえ はい はい はい いいえ
図3 概念図(ベクター作図)。勧告の本文[参考資料3]を、判定の順に並べ直したものです。流れ図の形にしたのは本記事の整理で、勧告が示す手順ではありません。粒径が100 µmを超える(2つの直交する寸法がいずれも100 µm超の)粒子は、個数分布の決定で考慮しなくてよい、という規定も本文にあります。

2011年の勧告からの変更点は、勧告の前文に理由とともに書かれています事実。

  • 閾値50%の「柔軟性」を削除:2011年の勧告は、特定の場合に50%の閾値を変えられる余地を残していました。2022年の勧告は、規制間で扱いが食い違わないよう、この余地を削除しました(前文13)。
  • 比表面積を「ナノと認める指標」として使う選択肢を削除:高い比表面積が、小さな粒子の多さではなく内部のナノ構造によることがあるためです(前文19)。
  • その代わり「除外」の基準を追加:NanoDefineプロジェクトの結果にもとづき、体積比表面積が6 m²/cm³未満の材料は、ナノマテリアルとみなさないとしました(前文20、本文1)。
  • 液体の粒子を除外:ミセルやエマルションの液滴のように、外形が絶えず変わる粒子は、外形寸法を判定の軸にしにくいためです(前文10)。
  • 1 nm未満の寸法をもつ粒子を一般化:2011年勧告はフラーレン、グラフェン薄片、単層CNTを名指しで加えていました。2022年は、棒状・板状の形状条件に一般化しました(前文17、本文1(b)(c))。

勧告は、固体の大きな製品や部品(コーティング、一部のセラミックス、ナノ多孔質材料、ナノ複合材料など)は、内部構造や表面構造がナノスケールでも対象にしないとしています(前文11)。 ISOの「ナノマテリアル」(内部構造・表面構造がナノスケールでもよい)より、狭い定義だということです事実。

勧告は何を「しない」のか

勧告の前文23は、この定義がEU法令のどの文書の適用範囲にも影響せず、反映もしないと述べています。 勧告の本文3は、委員会、加盟国、事業者が政策や法令を準備するときに、この定義の使用を推奨しています事実。 EU運営条約の枠組みでは、勧告自体は拘束力をもちません(本記事による解説)。実際の義務は、各法令の本文が決めます。

4. 本稿の計算:個数基準と質量基準で、同じ粉が別の物になる

「個数基準」という言葉の意味を、簡単な例で確かめます本稿の計算。 前提:粉体が、直径80 nmの球状粒子(個数で80%)と直径400 nmの球状粒子(個数で20%)の2種類だけからなり、密度は同じとします(2つの単分散の集団を仮定した、説明用の数字です)。

本稿の計算
  • 個数基準:100 nm以下の粒子は80.0%。勧告の「50%以上」を満たします。
  • 表面積基準(d²に比例):80 nm側 = 0.8×80² = 5,120、400 nm側 = 0.2×400² = 32,000。80 nm側の割合は 5,120 ÷ 37,120 = 13.8%。
  • 体積(質量)基準(d³に比例):80 nm側 = 0.8×80³ = 409,600、400 nm側 = 0.2×400³ = 12,800,000。80 nm側の割合は 409,600 ÷ 13,209,600 = 3.1%。
  • 体積比表面積(球・単分散・内部に空孔なしの場合):VSSA = 6/d。d=100 nm で 60 m²/cm³、d=1 µm で 6 m²/cm³。
  • 質量比表面積との換算:OECD TG 124は、VSSA(m²/cm³)を質量比表面積(m²/g)×骨格密度(g/cm³)で計算するとしています事実。密度を4.0 g/cm³と仮定すると、6 m²/cm³ = 1.5 m²/g。

前提と限界:実際の粉体は粒径に幅があり、形も球ではありません。空孔のある粒子では、小さな粒子がなくても比表面積は大きくなります。 上の数字は、「何を数えるか」で結論が変わることを示すためのものです。OECD TG 125も、方法の原理によって d₀<d₂<d₃ の傾向があり、一方から他方への数学的な変換は特別な条件でしか行えないとしています事実。

同じ粉でも、数え方で「100 nm以下の割合」が変わる(例示) 青=直径80 nmの粒子、橙=直径400 nmの粒子(個数で80%:20%と仮定した説明用の粉体) 個数基準表面積基準体積(質量)基準 80 nm側 80.0% 80 nm側 13.8% 80 nm側 3.1% 50%の線 d=100 nm の球 VSSA = 60 m²/cm³ d=1 µm の球 VSSA = 6 m²/cm³ 密度4.0 g/cm³の材料で 6 m²/cm³ = 1.5 m²/g ※ 表面積基準・体積基準は、球形・同一密度・2つの単分散の集団という本稿の仮定による計算です。実測値ではありません。 ※ VSSA=6/d は、内部に空孔のない球の場合。OECD TG 124は、VSSAを質量比表面積と骨格密度の積としています。
図4 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。数値はすべて本記事が仮定を置いて算出した例示で、実在の材料の測定値ではありません。VSSAと質量比表面積の関係はOECD TG 124[参考資料21]、閾値6 m²/cm³は勧告[3]によります。

5. 素材技術者の視点①:「個数基準」を測れるのか

素材技術者の読みどころ:定義が、測定法を選ぶ

個数基準の粒径分布は、1個1個の粒子の大きさを数える方法(電子顕微鏡、原子間力顕微鏡など)でないと、直接は得られません。 OECD TG 125の表では、個数基準の分布を直接得られるのはAFM、DMAS、PTA、電子顕微鏡(とsp-ICP-MS。ただしsp-ICP-MSは同TGの共同試験で十分に検証できず、付属書扱い)で、DLSやSAXS、遠心沈降法は直接には得られないとされています事実。 また、凝集体の中の個々の粒子を見分けられるのは、電子顕微鏡が「はい」、AFMとDMASが「場合による」、DLSとPTAは「いいえ」です(同表)。

勧告は、凝集体や集合体の中の「識別できる構成粒子」も数えるとしています。識別の難しさは、勧告自身が前文14で認めています事実。 ナノ材料の測定を扱う業界団体のNBCI(ナノテクノロジービジネス推進協議会)は、MWCNTに関する2026年2月の意見書で、OECD TG 125が「極めて手間のかかる測定」を要し、混合物の分類の閾値である0.1重量%の混入を測る現実的な方法が確立していない、と述べています事実(業界団体の意見であり、規制当局の見解ではありません)。

ここから読めるのは、定義の条文が、そのまま品質管理の仕様になるということです。 「50%以上が1〜100 nm」を満たすかどうかは、何個の粒子を、どう分散して、どの装置で数えたかに依存します。 測定法で値が変わることは、本シリーズ『ナノ計測』編で詳しく扱います(本記事による解説)。

6. REACHのナノフォーム ― 登録は「形」ごとに行う

EUの化学物質規則REACH(規則(EC)1907/2006)は、委員会規則(EU)2018/1881で、ナノフォームを扱うために付属書を改正しました。 採択は2018年12月3日、官報掲載は12月4日、適用は2020年1月1日からです(適用前に先行して従うことも認められていました)事実。

改正後の付属書VIは、ナノフォームを次のように定義しています事実。「個数のサイズ分布で50%以上の粒子の、1つ以上の外形寸法が1〜100 nmの範囲にある、天然または製造された物質の形」で、例外としてフラーレン、グラフェン薄片、単層CNT(1 nm未満の寸法をもつもの)を含めます。 この定義は2018年の規則の本文に書かれたもので、2022年の勧告に自動的に連動するものではありません(勧告自身が、法令の適用範囲に影響しないと述べています)。 両者を一致させる予定があるかどうかは、本稿の調査範囲で確認できませんでした。

REACH:ナノフォームは4つの特性で区別し、登録で別々に扱う(本記事による整理) 個数基準の粒径分布 1〜100 nmの粒子の個数割合を明記 表面処理 処理剤の物質名(IUPAC名・CAS/EC番号) 形状・縦横比など 結晶性、殻状・中空の構造を含む 比表面積 体積基準、質量基準、または両方 ナノフォーム または 類似ナノフォーム の集合 登録情報 製造・用途の情報を、 ナノフォームごとに分けて記載 化学物質安全性報告書 登録に含む全ナノフォームを 評価の対象にする 前文が求める検討 溶解速度、分散安定性、 粉じん性(dustiness)など ※ 4つの特性は、付属書VIの2.4.2〜2.4.5の項目にあたります。「類似ナノフォームの集合」は、境界を明示し、   その範囲内の変動がハザード・曝露・リスクの評価に影響しないことを正当化できる場合に定められます。
図5 概念図(ベクター作図)。REACH改正規則2018/1881の付属書VI(2.4)と前文[参考資料4]にもとづく整理です。図の形にしたのは本記事によるもので、規則が示す書式ではありません。

同規則の前文は、ナノフォームの扱いについて次のように述べています事実。

  • 粒径・形状・表面は、毒性や環境中での挙動に影響しうるため、物質の同定の段階で、最低限の特性づけ情報を出す(前文)。
  • 水への溶解度に加えて、水中や生体・環境媒体中での溶解速度を常に考える。オクタノール/水分配係数は適用できないことが多く、その場合は分散安定性の検討を考える。
  • 吸入されうるナノフォームでは、粉じん性の情報を出す。最低トン数帯の急性毒性は、経口より吸入の方が適切とされる(ヒトへの曝露が考えにくい場合を除く)。
  • 分子構造の類似だけでは、リードアクロスやグルーピングの根拠にならない。
  • 使用によってナノフォームが別のナノフォームに変わりうるため、川下ユーザーは、その情報を供給網の上流に伝える。

素材技術者の読みどころ

素材技術者の視点:登録書類は、そのまま「製品の仕様書」になる

ナノフォームの特性づけの項目(粒径分布、表面処理剤、形状、比表面積)は、粉体メーカーがロットごとに管理している項目と、ほぼ重なります。 違うのは、それが登録上の「同一性」の根拠になることです。表面処理剤を変えれば、規則上は別のナノフォームか、設定した「集合」の境界の外になりえます(本記事による解説)。

また、前文は「使用が、物質のナノフォームを別のナノフォームに変える、または新しいナノフォームを生じる可能性がある」と明記しています事実。 混練、分散、塗工、焼成といった加工工程で、凝集状態や表面が変わることは、材料の技術者にはなじみの現象です。 川下ユーザーが「自社の工程で形が変わるか」を説明できることが、供給網の中で求められる、ということです。

7. 化粧品と食品 ― 規則ごとに、別の定義が使われている

(1) 化粧品:定義・事前届出・表示・個別の規制

化粧品規則(EC)1223/2009の制定時の条文は、第2条1項(k)で「不溶性または生体内に残留する(biopersistent)、意図的に製造された、外形寸法または内部構造が1〜100 nmの材料」と定義しています。 個数の閾値(50%など)の記載はありません事実。同条3項は、技術・科学の進歩や国際的に合意された定義に合わせて、委員会がこの定義を調整すると定めています。 本稿の調査範囲では、この定義が2022年勧告に合わせて改正されたことは確認できませんでした。

  • 事前の届出(第16条):ナノマテリアルを含む化粧品は、上市の6か月前に、責任者が委員会へ電子的に届け出る(附属書IIIの要件を満たすものなどを除く)。届出には、化学名、粒子の大きさを含む仕様、年間の見込み量、毒性プロファイル、安全性データを含める。
  • 懸念があるとき(同条4項):委員会は消費者安全科学委員会(SCCS)に意見を求める。SCCSは原則6か月以内に答える。
  • 表示(第19条1項(g)):ナノマテリアルの形で存在する成分は成分表に明示し、名称の後に「nano」を括弧書きで付ける。

以上はすべて事実(参考資料5)です。個別の物質については、委員会規則(EU)2024/858が付属書を改正しました(2024年3月14日採択、15日官報掲載)。

内容規則2024/858の記載日付
付属書II(使用禁止)に追加されたナノの物質スチレン/アクリレーツコポリマー(nano)、同ナトリウム塩、銅(nano)・コロイド銅、コロイド銀(nano)、金(nano)・コロイド金など、白金(nano)・コロイド白金など2025年2月1日から上市不可/2025年11月1日から提供不可
付属書III(制限)に追加:ヒドロキシアパタイト(nano)歯磨きで10%まで、マウスウォッシュで0.465%まで。吸入による曝露につながる用途は不可。個数で95.8%以上が縦横比3未満(残りは4.9以下)の棒状で、被覆・表面修飾なしのものに限る同上(制限に適合しないものについて)

すべて事実(委員会規則(EU)2024/858、参考資料6)。

禁止の理由は「有害と証明された」ではない

規則2024/858の前文は、禁止した物質について、SCCSの意見と助言を踏まえて「安全性を評価するだけのデータが不足している」と結論し、したがって「潜在的なリスクがある」としています事実。 一方、ヒドロキシアパタイト(nano)については、SCCSが「歯磨きで10%まで、マウスウォッシュで0.465%まで安全」と結論し、ただし、この結論は棒状の粒子に限ると注意しています。 同じ「nano」でも、データがあるかどうか、形がどうかで扱いが分かれています(本記事による解説)。

(2) 食品:新規食品としての事前許可と、表示

規則(EU)2015/2283(2015年11月25日採択、2018年1月1日から適用)は、「エンジニアード・ナノマテリアル」を、意図的に製造された、1つ以上の寸法が100 nm程度以下の材料、または機能的な部分の多くが100 nm程度以下で、凝集体・集合体が100 nmを超えてもナノスケール特有の性質を保つものと定義しています。 エンジニアード・ナノマテリアルからなる食品は新規食品に位置づけられ、上市の前に許可の手続きが必要です事実。 食品情報規則(EU)1169/2011の第18条3項(制定時)は、エンジニアード・ナノマテリアルの形で存在する成分を成分表に明示し、名称の後に「nano」を付けるとしています。

(3) 二酸化チタン(E 171):欧州食品安全機関(EFSA)の評価と、食品添加物としての撤回

委員会規則(EU)2022/63(2022年1月14日採択)は、食品添加物としての二酸化チタン(E 171)の許可を撤回しました。2022年2月7日に発効し、同年8月7日までは従来の規則で製造した食品を上市できました。 前文によると、EFSAは2016年の再評価では、安全性の余裕は「懸念にならない」としつつ追加試験を勧めました。 あわせて、規格に粒径分布とナノスケール粒子の割合を加えることを勧めました。2019年には、粒径分布に関する追加項目を規格に含める意見を出し、2021年5月6日の意見で、遺伝毒性の懸念を排除できず、多くの不確実性があるため、食品添加物としてはもはや安全とは考えられないと結論しました事実。

この規則は、粒径で線を引いてはいません。添加物E 171そのものの許可を撤回したものです。また、医薬品の着色剤としては、代替の開発までの間、暫定的に許可が残されています(前文15〜18)事実。 委員会は、医薬品での使用の継続の要否を、規則の発効から3年以内に見直すとしていましたが、その結果は本稿の調査範囲で確認できませんでした。

8. 米国 ― TSCAの報告規則とFDAの考え方

(1) EPA:有害性ではなく「情報の収集」の規則

米国環境保護庁(EPA)の規則(40 CFR 704.20、「ナノスケールで製造または加工される化学物質」)は、有害性を判定したり使用を禁じたりする規則ではなく、TSCA第8条(a)にもとづく、一度限りの報告と記録保存の義務です。EPAのページは、この情報収集が「ナノスケール材料が害を及ぼすと結論づけるためのものではない」と明記しています事実。

項目規則の記載(要約)
報告の対象25 ℃・標準大気圧で固体であり、粒子(凝集体・集合体を含む)が少なくとも1次元で1〜100 nmの形で製造・加工され、サイズゆえの「独特で新規な性質」を示すよう製造・加工される物質。1〜100 nmの粒子が重量で1%未満の形で製造・加工される場合は含まない
「独特で新規な性質」同じ物質の他の形・サイズと異なる、サイズ依存の性質で、その性質がその形・サイズで製造・加工する理由になっているもの
「別個の形(discrete form)」平均粒径が標準偏差の7倍を超えて変わり、かつ、ゼータ電位・比表面積・分散安定性・表面反応性のいずれかが標準偏差の7倍を超えて変わる/形態が異なる/被覆物質が異なる、のいずれか
報告しなくてよいもの表面上の膜として生じるもの、DNA、RNA、タンパク質、酵素、脂質、炭水化物、ペプチド、リポソーム、抗体、ウイルス、微生物、1 nm未満のイオンに完全に解離するもの、年間売上高が1,100万ドル未満の小規模事業者、など
報告する内容名称・化学的同一性、粒子の大きさ・形態・表面修飾、物理化学的性質、不純物、生産量、用途、製造・加工の方法、曝露、放出、リスク管理の方法、既存の環境・健康影響の情報

すべて事実(40 CFR 704.20、参考資料11)。要約は本記事によります。

経過は次のとおりです事実。EPAは2015年4月6日に規則案を公表し、2017年1月12日に最終規則を公布しました(82 FR 3641)。規則は2017年5月12日に発効する予定でしたが、EPAは発効日を2017年8月14日に延期しました。 既存の物質の報告は「最終的な発効日から1年以内」と規則に定められているので、期限は2018年8月14日になります本稿の計算(発効日2017年8月14日+1年)。

素材技術者の視点:「別個の形」の線は、測定の不確かさで引かれている

「平均粒径が標準偏差の7倍を超えて変わる」という基準は、測定のばらつきを物差しにして、形の違いを判断するものです。 同じプロセスのロット間の差は「同じ形」、プロセスや被覆を変えて測定の不確かさを大きく超えて変わったら「別の形」——という読み方です(本記事による解説)。 このため、測定法と、その繰り返し精度を決めておくことが、報告の前提になります。測定のばらつきについては、本シリーズ『ナノ計測』編で扱います。

(2) FDA:製品ごとに見る。定義は置かない

FDAのガイダンス「Considering Whether an FDA-Regulated Product Involves the Application of Nanotechnology」(2014年6月、最終版)は、FDAが「ナノテクノロジー」「ナノマテリアル」「ナノスケール」などの規制上の定義を置いていないと明記し、製品がナノテクノロジーの応用を含むかを考えるための、次の2点を示しています事実。

  1. 材料または最終製品が、少なくとも1つの外形寸法、または内部・表面の構造が、ナノスケール(約1〜100 nm)にあるよう設計されているか。
  2. 材料または最終製品が、寸法に由来する物理的・化学的性質や生物学的影響を示すよう設計されているか(その寸法が1 µm(1,000 nm)まででも)。

FDAは製品の種類ごとにガイダンスを出しています。医薬品(生物学的製品を含む)でナノマテリアルを含むもののガイダンスは2022年4月の最終版、化粧品のナノマテリアルの安全性のガイダンスは2014年6月の最終版です。 化粧品については、FDAは「連邦食品・医薬品・化粧品法は、化粧品や成分(着色剤を除く)に市販前承認を求めていない」とし、製造者・販売者が安全性を裏づけるデータを揃える責任を負うと述べています事実。 FDAのガイダンスは、拘束力のない推奨です。

9. 日本 ― 通達とガイドラインで動いている部分

日本には、ナノマテリアルを横断的に定義し、登録や届出を義務づける法律は、本稿の調査範囲では確認できませんでした。 確認できたのは、労働現場と環境の2つの分野での、通達とガイドラインです。

(1) 厚生労働省:労働現場のばく露防止(基発第0331013号、2009年3月31日)

通達は、冒頭でこう述べています。ナノマテリアルの生体への影響について「十分な知見は得られてはいない」が、一部の物質で「一定の条件下でマウス等に影響を与えることを示す研究報告」もあるため、予防的アプローチの考え方にもとづいてばく露防止の対策をまとめた、という趣旨です事実。 同通達は、2008年2月7日付の基発第0207004号を廃止して、より具体的な管理方法を示しました。

  • 対象:元素等を原材料として製造された固体状の材料で、大きさを示す3次元のうち少なくとも1つの次元が約1〜100 nmのナノ物質、およびナノ物質で構成されるナノ構造体(凝集した物体を含む)。
  • 作業環境の管理:ばく露のおそれがない場合を除き、製造・取扱装置は原則として密閉式にする。秤量、投入、回収、移し替えなども原則として密閉化・無人化・自動化する。粉体を液体や樹脂に混ぜる作業は、ばく露のおそれが高いため、密閉化するかグローブボックス内で行う。
  • 局所排気と除じん:密閉化できない工程には局所排気装置等を置く。排気には、ナノマテリアルを捕集できるフィルターを備えた除じん装置を設ける。粒径や凝集状態を調べない場合は、HEPAフィルターまたは同等以上のものを使う。
  • 濃度の把握:作業環境中の濃度の把握に努める。ナノサイズの粒子を測る機器が使えない場合は、粉じん計でもよい。使える場合は、走査型電気移動度粒径分析器、凝縮粒子計数器、粒子表面積計などを使う。
  • 呼吸用保護具:密閉化や局所排気が難しい場合などには、粒子捕集効率が99.9%以上の防じんマスクなど、有効な呼吸用保護具を使わせる。そのほか、作業規程、清掃、廃棄、立入り制限、健康管理、安全衛生教育を定めている。
ナノ材料の定義と規制の構造・工程を示す解説画像
図6 概念図(AI生成イメージ)。通達が示す「密閉化・グローブボックス・局所排気と除じん」の考え方を表した説明用の絵です。実在の施設・装置・製品を示すものではありません。

(2) 環境省:環境への放出を防ぐガイドライン

環境省は、平成20年度に学識経験者による「ナノ材料環境影響基礎調査検討会」を設置し、2009年3月に「工業用ナノ材料に関する環境影響防止ガイドライン」をまとめました。事業者が環境保全上の適切な管理方策を選ぶための情報という位置づけです事実。 その後も情報の収集を続け、令和7年(2025年)3月に、検討委員会が「ナノマテリアルの水生生物に対する影響等について(中間とりまとめ)」を公表しています事実。

日本の読み方:「横断的な定義」より「現場の予防」が先に動いた

日本の2つの文書は、いずれも、有害性が確定したから出されたものではなく、知見が十分でない段階での予防的な対応として出されています(厚労省通達の冒頭)。 EUのREACHのように物質ごとの登録を求める制度とは、立て付けが違います。 なお、化審法などの個別の法律にナノ固有の規定があるかどうかは、本稿の調査範囲では確認できませんでした(本記事による整理)。

10. OECDとISO ― 試験法と用語の土台

  • OECDの製造ナノマテリアル作業部会(WPMN):OECDのTG 125は、WPMNが、製造ナノマテリアルの安全な利用のために、試験ガイドラインやガイダンス文書を整備してきたと述べています事実。2013年9月19日のOECD理事会勧告は、従来の化学物質の試験・評価の手法は一般に妥当だが、ナノマテリアルの特性に合わせた調整が要る場合があると結論しました(規則(EU)2015/2283の前文による)事実。
  • OECD TG 124と125:どちらも2022年6月30日に採択されました(TG 125は2023年7月4日に訂正)。TG 124は粉体の体積比表面積(VSSA)を、BET法による比表面積とガスピクノメーターによる骨格密度から求める方法、TG 125は1〜1,000 nmの粒子の大きさと粒径分布の測定法です事実。規制の定義で使う量を測る手順が、ガイドラインとして整ったことになります(本記事による解説)。
  • ISO 80004-1:2023:2023年7月発行の第1版で、ISO/TS 80004-1:2015、-2:2015、-4:2011、-11:2017を1つに統合して置き換えました。ISO/TC 229とIEC/TC 113の共同で作られています事実。

11. 提案・採択・適用を区別して読む

ここまでの文書を、段階ごとに並べます。同じ文書でも、提案と採択と適用は別の日付で、読むときには、どの段階の話かを必ず確認する必要があります。

提案・採択・適用は、別の日付である(本記事による整理) 横軸は年。同じ「規制」でも、採択から適用まで数か月から2年以上の幅があります 本稿 2026年10月 米国 TSCA 704.20 EU 新規食品規則 2015/2283 EU REACH ナノフォーム EU E 171 撤回 2022/63 EU 勧告 2022/C 229/01 EU 化粧品 2024/858 EU CLP 2024/2564(MWCNT) REACH 付属書XVII(草案) 2015 2017 2019 2021 2023 2025 2027 草案への意見書(提案段階) 採択・公布 適用・発効 未確定(採択・適用の確認なし) ※ 日付は各文書の記載にもとづき、年の中の位置は日割りで置いた概略です。勧告には適用日がありません。 ※ TSCAの■は最終規則の発効日(2017年8月14日に延期後)。化粧品の2つ目の■は2025年11月1日(提供不可)。
図7 概念図(ベクター作図)。各文書の日付は表[下]と参考資料の記載によります。8つの文書を同じ軸に並べたのは本記事の整理で、各制度の重みや規制の強さを比べるものではありません。
文書段階日付
EU勧告 2011/696/EU勧告(2022年勧告で更新)2011年10月18日
EU 新規食品規則 2015/2283採択/適用2015年11月25日/2018年1月1日
米国 TSCA ナノスケール報告規則規則案→最終規則→発効2015年4月6日→2017年1月12日→2017年8月14日(延期後)
EU REACH 改正 2018/1881採択/官報掲載/適用2018年12月3日/12月4日/2020年1月1日
EU E 171 撤回 2022/63採択/発効/経過措置の終了2022年1月14日/2022年2月7日/2022年8月7日
EU勧告 2022/C 229/01勧告(採択・官報掲載)2022年6月10日・6月14日
OECD TG 124・125採択2022年6月30日(TG 125の訂正:2023年7月4日)
ISO 80004-1:2023発行(第1版)2023年7月
EU 化粧品 2024/858採択/官報掲載/適用2024年3月14日/3月15日/2025年2月1日(上市)・11月1日(提供)
EU CLP 委任規則 2024/2564採択/官報掲載/適用2024年6月19日/9月30日/2026年5月1日(先行適用は発効日から可)
EU REACH 付属書XVII の改正案(MWCNTを含む)草案・意見募集NBCIが2026年2月6日に意見書を提出(草案の公表日は本稿で確認できず)

最後の行を除き事実(参考資料1〜11・13・20・21)。最後の行は草案の段階にあり、採択と適用は未確定/将来です。

REACH付属書XVIIの改正案について(草案・未確定)

NBCIの意見書と日本ゼオンの発表によると、欧州委員会は、REACH付属書XVIIを改正して、多層カーボンナノチューブ(指標番号006-104-00-2)を発がん性・変異原性・生殖毒性のある物質として制限する案を示し、NBCIは2026年2月6日に意見書を出しました事実(業界団体と企業の文書にもとづく記述です)。 ただし、本稿は欧州委員会の草案本文を直接は確認していません。採択されたか、いつ適用されるかは未確定/将来です。

12. 「ナノだから危険/安全」とは言えない ― 形で決まる例

公的機関の評価や分類を並べると、「ナノ」という言葉でひとまとめにしているものは少なく、サイズ・形・被覆・溶解性などで、評価が分かれていることが分かります事実。以下は、そのうち確認できた例です。

  • カーボンナノチューブ(IARC、モノグラフ111):作業部会は2014年9月30日〜10月7日にリヨンで開かれ、評価は2017年に刊行されました。ヒトの証拠は不十分で、動物実験の証拠にもとづき、MWCNT-7は「ヒトに対する発がん性が疑われる」(グループ2B)、MWCNT-7以外の多層CNTと単層CNTは「分類できない」(グループ3)とされました。動物実験の証拠は、MWCNT-7では十分、MWCNT-7に近い寸法の2種類では限定的、そのほかでは不十分でした。
  • 多層カーボンチューブ(EU CLP、委任規則2024/2564):調和分類の対象は、径30 nm以上3 µm未満、長さ5 µm以上、縦横比3超の多層カーボンチューブ(MWC(N)Tを含む)で、発がん性区分1B(吸入、H350i)、反復曝露の特定標的臓器毒性区分1(肺、吸入、H372)です。適用は2026年5月1日からで、発効日からの先行適用は認められています。
  • 銀(EU CLP、同じ委任規則):銀は粒径で3つの形に分けて調和分類されました。塊(径1 mm以上)、粉(100 nm超〜1 mm未満)、ナノ(1 nm超〜100 nm以下)です。生殖毒性区分2と標的臓器毒性区分2は3つの形に共通で、水生環境有害性は、塊では分類なし、粉ではM係数10、ナノではM係数1,000と分かれています。
  • 二酸化チタン(NIOSH、CIB 63、2011年4月):同じ物質に、微細な粒子で2.4 mg/m³、超微細な粒子(ナノスケールを含む)で0.3 mg/m³という、別々の推奨曝露限界(時間加重平均)を設定しました。NIOSHは超微細な二酸化チタンを「潜在的な職業性発がん性物質」としています。
  • 化粧品(EU):ヒドロキシアパタイト(nano)は、条件(棒状、被覆なし、用途と濃度)つきで許容され、金・白金・銅などのナノは、データ不足を理由に使用が禁止されました(第7章)。
同じ物質でも、形・サイズで「評価」が分かれる例(本記事による整理) 二酸化チタン NIOSH 推奨曝露限界(mg/m³) 時間加重平均・最長10時間/日 微細(fine) 2.4 超微細(ナノスケールを含む) 0.3 2.4 ÷ 0.3 = 8倍の差 (本稿の計算。限界値の差であり、  ヒトへの影響の大きさの比ではない) 銀 EU CLP 調和分類(2024/2564) 水生環境有害性の M 係数(急性) 塊(粒径 1 mm以上) 水生の分類なし 粉(100 nm超〜1 mm未満) M=10 ナノ(1 nm超〜100 nm以下) M=1,000 棒の長さは M 係数の対数に比例 カーボンナノチューブ IARC モノグラフ111(2017年刊) MWCNT-7 グループ2B ほかの多層CNT グループ3 単層CNT グループ3 EU CLP 調和分類(2024/2564) 多層の筒状炭素:径 30 nm以上 3 µm未満、長さ 5 µm以上、 縦横比 3超のもの 発がん性1B(H350i・吸入) グループ3=分類できない(安全の意味ではない) ※ 数値と分類は、NIOSH CIB 63[参考資料24]、委員会委任規則2024/2564[10]、IARC モノグラフ111[22・23]の記載によります。 ※ 3つの例を並べたのは本記事の整理です。分類・限界値の根拠や基準が異なるため、横並びの優劣比較はできません。
図8 概念図(ベクター作図)。数値と分類はNIOSH CIB 63[参考資料24]、委員会委任規則2024/2564[10]、IARC モノグラフ111[22・23]によります。3つの例を並べたのは本記事の整理で、根拠や基準が異なるため、物質どうしの比較ではありません。
読み方の注意
  • 「グループ3(分類できない)」は、安全の保証ではありません。証拠が不十分で、分類できないという意味です(本記事による解説)。
  • 推奨曝露限界の8倍の差は、限界値の差であって、ヒトへの影響の大きさの比ではありません。
  • これらは作業者の吸入ばく露や、環境・消費者の曝露について、それぞれ別の基準で出された評価です。消費者向けの製品や食品の安全を、これらから一般化することはできません。

13. 素材技術者の視点②:規制は「仕様書の書き方」を変える

素材技術者の読みどころ:規制が見ているのは「材料名」ではなく「材料の形」

第12章の例に共通するのは、同じ化学組成でも、粒径、形(棒状・繊維状)、被覆、溶解性で区分が分かれることです。 材料名だけの仕様(例:「酸化チタン」「銀粉」)では、規制のどの区分に入るかが決まりません。実務で必要になるのは、次の項目です(以下は本記事による解説)。

  • 個数基準の粒径分布:どの方法で、何個を数え、どう分散して測ったか。(REACHの付属書VIは、測定法の記述を再現できる程度に書くことを求めています。)
  • 形状と縦横比:棒状・繊維状かどうか(CNTのCLP分類は径・長さ・縦横比で定義されています)。
  • 表面処理・被覆:処理剤の名前。変えれば、別のナノフォームや別の「形」になりうること(REACH、TSCAの「別個の形」)。
  • 比表面積と骨格密度:EUの除外基準(VSSA 6 m²/cm³未満)や、REACHの特性づけに使われる。
  • 変更管理:プロセスや被覆の変更が、測定の不確かさを超えて形を変えるか。

また、定義は「固体粒子からなる材料」を対象にしており、勧告は、大きな固体製品や部品を、内部・表面のナノ構造があっても対象にしないとしています。 製品や混合物の中に含まれるナノ材料の扱いは、別の規定(たとえば混合物の分類の閾値)で決まります。NBCIが問題にしているのは、この混合物の閾値での測定の難しさです。

14. 課題と、確認できなかったこと

確認できなかったこと
  • 日本で、ナノマテリアルを横断的に定義し、登録や届出を義務づける法律、および化審法などの個別の法律のナノ固有の規定(本稿の調査範囲では確認できなかった)。
  • 化粧品規則(EC)1223/2009の定義の改正(2022年勧告への調整)の有無と時期。
  • REACHのナノフォームの定義を2022年勧告に合わせる予定の有無。
  • REACH付属書XVIIの改正案(多層CNTを含む)の欧州委員会の草案本文、その後の採択と適用日(日本の業界団体と企業の文書で、案の存在と意見書の日付だけを確認)。
  • 二酸化チタン(E 171)の医薬品での使用の見直し(規則2022/63の第3条)の結果。
  • TSCAの報告結果と、EPAがその後にとった追加の措置。
  • FDAの食品関連のガイダンスの内容と日付(題名のみ一覧で確認)。
  • 韓国、中国、カナダ、オーストラリアなど、本稿で扱っていない国・地域の制度。
この記事のまとめ
  • ISOの「ナノ」は用語の定義。1〜100 nm程度の範囲を示すが、「一般的な記述子」だと断っている事実
  • EU勧告2022は「個数基準で50%以上」。体積比表面積が6 m²/cm³未満は対象外。勧告は法令の適用範囲を決めない事実
  • 同じ粉でも、数え方で割合が変わる。例示では、80%(個数)が3.1%(体積)になった本稿の計算
  • REACHは「ナノフォーム」ごとに登録。2020年1月1日から適用事実
  • 化粧品・食品・TSCA・FDA・日本は、それぞれ別の定義と性格。TSCAは情報収集、FDAは定義なし、日本は予防的な通達とガイドライン事実
  • 提案・採択・適用は別の日付。REACH付属書XVIIの改正案は未確定未確定/将来
  • 安全性は形で分かれる。MWCNT-7だけが2B、NIOSHの限界値は2.4と0.3 mg/m³、銀はM係数が10と1,000事実

15. 用語集

ナノスケール
ISO 80004-1では、長さの範囲でおよそ1 nmから100 nm。
ナノマテリアル
外形寸法、内部構造、表面構造のいずれかがナノスケールにある材料(ISO)。規制では別の定義が使われる。
ナノフォーム
REACHで、個数分布の50%以上の粒子が1〜100 nmにある、物質の形。
類似ナノフォームの集合
境界を明示して、評価を共同で行えるとしたナノフォームのまとまり。
個数基準/質量基準
粒子を個数で数えた分布/質量(体積)で重みづけた分布。同じ粉でも結果が違う。
体積比表面積(VSSA)
体積あたりの表面積(m²/cm³)。質量比表面積×骨格密度で求める(OECD TG 124)。
凝集体(aggregate)/集合体(agglomerate)
強く結合・融合した粒子/弱く結合した粒子や凝集体の集まり。
勧告(Recommendation)
EUの法形式の一つ。それ自体は拘束力をもたない(EU運営条約288条)。
CLP
EUの、物質・混合物の分類、表示、包装の規則(EC)1272/2008。
SCCS
EUの消費者安全科学委員会。化粧品の安全性について意見を出す。
EFSA
欧州食品安全機関。食品添加物や新規食品の安全性を評価する。
TSCA
米国の有害物質規制法。第8条(a)で、報告と記録保存を求める。
別個の形(discrete form)
TSCA 704.20で、平均粒径、性質、形態、被覆の違いで区別される、報告単位としての形。
予防的アプローチ
知見が十分でない段階で、影響の可能性にもとづいて講じる対策の考え方。
WPMN
OECDの製造ナノマテリアル作業部会。試験ガイドラインなどを整備している。
グループ2B/3(IARC)
ヒトに対する発がん性が疑われる/分類できない。
M係数
CLPで、水生環境有害性の高い物質の、混合物の分類での重みを上げる係数。

16. 参考資料(一次情報)

  1. ISO ISO 80004-1:2023「Nanotechnologies — Vocabulary — Part 1: Core vocabulary」(第1版、2023年7月) — iso.org
  2. ISO/VDE Verlag ISO 80004-1:2023 プレビュー版(序文、用語3.1.1〜3.1.5を含む) — vde-verlag.de
  3. 欧州委員会 Commission Recommendation of 10 June 2022 on the definition of nanomaterial (2022/C 229/01) — eur-lex.europa.eu
  4. 欧州委員会 Commission Regulation (EU) 2018/1881 of 3 December 2018(REACH付属書のナノフォームに関する改正) — eur-lex.europa.eu
  5. 欧州議会・理事会 Regulation (EC) No 1223/2009 on cosmetic products — eur-lex.europa.eu
  6. 欧州委員会 Commission Regulation (EU) 2024/858 of 14 March 2024(化粧品規則の付属書IIおよびIIIの改正) — eur-lex.europa.eu
  7. 欧州議会・理事会 Regulation (EU) 2015/2283 on novel foods — eur-lex.europa.eu
  8. 欧州議会・理事会 Regulation (EU) No 1169/2011 on the provision of food information to consumers — eur-lex.europa.eu
  9. 欧州委員会 Commission Regulation (EU) 2022/63 of 14 January 2022(食品添加物 二酸化チタン E 171) — eur-lex.europa.eu
  10. 欧州委員会 Commission Delegated Regulation (EU) 2024/2564 of 19 June 2024(CLP附属書VIの調和分類の改正) — eur-lex.europa.eu
  11. 米国連邦規則 40 CFR 704.20「Chemical substances manufactured or processed at the nanoscale」 — ecfr.gov
  12. 米国EPA「Control of Nanoscale Materials under the Toxic Substances Control Act」 — epa.gov
  13. 米国連邦官報「Chemical Substances When Manufactured or Processed as Nanoscale Materials; TSCA Reporting and Recordkeeping Requirements」2017年1月12日(82 FR 3641) — federalregister.gov
  14. 米国FDA「Considering Whether an FDA-Regulated Product Involves the Application of Nanotechnology」Guidance for Industry、2014年6月 — fda.gov
  15. 米国FDA「Drug Products, Including Biological Products, that Contain Nanomaterials」Guidance for Industry、2022年4月 — fda.gov
  16. 米国FDA「Safety of Nanomaterials in Cosmetic Products」Guidance for Industry、2014年6月 — fda.gov
  17. 米国FDA「Nanotechnology Guidance Documents」(ガイダンス一覧) — fda.gov
  18. 厚生労働省 基発第0331013号「ナノマテリアルに対するばく露防止等のための予防的対応について」2009年3月31日(PDF) — mhlw.go.jp
  19. 環境省「ナノマテリアルの環境影響について」(工業用ナノ材料に関する環境影響防止ガイドライン、ほか) — env.go.jp
  20. OECD Test Guideline No. 125「Nanomaterial Particle Size and Size Distribution of Nanomaterials」2022年6月30日採択、2023年7月4日訂正(PDF) — oecd.org
  21. OECD Test Guideline No. 124「Determination of the Volume Specific Surface Area of Manufactured Nanomaterials」2022年6月30日 — oecd.org
  22. IARC「Some Nanomaterials and Some Fibres」IARC Monographs Volume 111、2017 — publications.iarc.who.int
  23. IARC IARC Monographs Volume 111「Carbon nanotubes」の章(PDF) — publications.iarc.who.int
  24. 米国NIOSH「Current Intelligence Bulletin 63: Occupational Exposure to Titanium Dioxide」DHHS (NIOSH) Publication No. 2011-160、2011年4月 — stacks.cdc.gov
  25. NBCI(ナノテクノロジービジネス推進協議会)「NBCI Feedback on Chemicals – new rules on carcinogenic, mutagenic or reproductive toxic substances subject to restrictions」2026年2月6日(PDF) — nbci.jp
  26. 日本ゼオン「ナノテクノロジービジネス推進協議会が発行した欧州REACH規則付属書XVIIの改正案に対するポジションペーパーへの賛同について」2026年3月19日(PDF) — zeon.co.jp
  27. 米国連邦官報「Chemical Substances When Manufactured or Processed as Nanoscale Materials; TSCA Reporting and Recordkeeping Requirements」(規則案)2015年4月6日 — federalregister.gov

17. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
ナノスケールは「長さの範囲でおよそ1 nmから100 nm」、ナノマテリアルは「いずれかの外形寸法がナノスケール、または内部構造・表面構造がナノスケールの材料」。ISO 80004-1:2023は第1版(2023年7月)で、ISO/TS 80004-1:2015、-2:2015、-4:2011、-11:2017を統合して置き換えたこと。定義が「コミュニケーションを助ける一般的な記述子」であることISO 80004-1:2023[参考資料 1]https://www.iso.org/standard/79525.html[参考資料 2]https://www.vde-verlag.de/iec-normen/preview-pdf/info_iso80004-1%7Bed1.0%7Den.pdf事実
EU勧告2022/C 229/01の定義(固体粒子、個数基準50%以上、1〜100 nm、1 nm未満の棒状・板状、100 µm超の粒子の除外、比表面積6 m²/cm³未満は非該当)。2022年6月10日採択、官報2022年6月14日。2011年勧告からの変更(閾値の柔軟性の削除、比表面積の指標の削除、液体粒子の除外、1 nm未満の一般化)。法令の適用範囲に影響しないこと、固体の大きな製品を対象にしないこと、「識別できる構成粒子」の難しさ欧州委員会勧告 2022/C 229/01(前文10・11・13・14・17・19・20・23、本文1〜3)[参考資料 3]https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32022H0614(01)事実
80 nm・400 nmの2集団(個数で80%:20%)で、100 nm以下の割合が個数80.0%、表面積13.8%、体積3.1%になること。VSSA=6/dで、100 nmで60、1 µmで6 m²/cm³。密度4.0 g/cm³の材料で6 m²/cm³=1.5 m²/g本稿の計算。球形、同一密度、2つの単分散の集団、空孔なしという仮定は本稿が置いた。VSSAを質量比表面積×骨格密度で計算する点はOECD TG 124による[参考資料 21]https://www.oecd.org/en/publications/test-no-124-determination-of-the-volume-specific-surface-area-of-manufactured-nanomaterials_abb72f8f-en.html本稿の計算
測定原理で d₀<d₂<d₃ の傾向があり、変換は特別な条件でのみ可能であること。個数基準の分布を直接得られる方法(AFM、DMAS、PTA、電子顕微鏡)と、凝集体の構成粒子を見分けられる程度の表。sp-ICP-MSが共同試験で十分に検証できなかったこと。TG 124・125が2022年6月30日採択、TG 125が2023年7月4日訂正、1〜1,000 nmの範囲OECD TG 125(段落4、22、23、表1・2)[参考資料 20]https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/publications/reports/2023/07/test-no-125-nanomaterial-particle-size-and-size-distribution-of-nanomaterials_4e91976f/af5f9bda-en.pdf。TG 124は[参考資料 21]https://www.oecd.org/en/publications/test-no-124-determination-of-the-volume-specific-surface-area-of-manufactured-nanomaterials_abb72f8f-en.html事実
NBCIが、OECD TG 125は極めて手間のかかる測定を要し、混合物の分類の閾値0.1重量%の混入を測る現実的な方法が確立していないと述べたこと(2026年2月6日、MWCNTについての意見)NBCI意見書(業界団体の意見)[参考資料 25]https://www.nbci.jp/topics/public/doc/20260206_260206_NBCIFeedbacktopublicconsultationCMRV01.pdf事実
REACHのナノフォームの定義(個数分布の50%以上が1〜100 nm、フラーレン・グラフェン薄片・単層CNTの例外)、特性づけの項目(付属書VI 2.4)、類似ナノフォームの集合、採択2018年12月3日・官報12月4日・適用2020年1月1日(先行遵守可)。前文の記載(溶解速度、分散安定性、粉じん性、吸入経路の急性毒性、リードアクロスの制限、使用によるナノフォームの変化)委員会規則(EU)2018/1881[参考資料 4]https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32018R1881事実
化粧品規則の定義(第2条1項(k):不溶性または生体内残留、意図的に製造、1〜100 nm)、第2条3項(定義の調整)、第16条(6か月前の届出、SCCSの意見、届出事項)、第19条1項(g)(成分表の「nano」)規則(EC)1223/2009(制定時の条文)[参考資料 5]https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32009R1223事実
規則2024/858:2024年3月14日採択(3月15日官報)。付属書IIに追加されたナノの物質、データ不足のため安全性を評価できず潜在的リスクがあるという前文の論理、ヒドロキシアパタイト(nano)の制限(歯磨き10%、マウスウォッシュ0.465%、吸入用途不可、棒状・被覆なし)、2025年2月1日(上市)と2025年11月1日(提供)の期日委員会規則(EU)2024/858[参考資料 6]https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32024R0858事実
エンジニアード・ナノマテリアルの定義、その食品が新規食品に位置づけられること、2015年11月25日採択・2018年1月1日適用、OECD理事会勧告(2013年9月19日)の結論の引用。食品情報規則の第18条3項(成分表の「nano」)規則(EU)2015/2283[参考資料 7]https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32015R2283。規則(EU)1169/2011(制定時の条文)[参考資料 8]https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32011R1169事実
二酸化チタン(E 171)の許可の撤回:2022年1月14日採択、2022年2月7日発効、2022年8月7日まで経過措置。EFSAの2016年再評価、2019年・2021年の意見(2021年5月6日:遺伝毒性の懸念を排除できない)、医薬品での暫定的な許可と3年以内の見直し委員会規則(EU)2022/63[参考資料 9]https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32022R0063事実
TSCA 704.20の定義(固体、1〜100 nm、重量1%未満は対象外、独特で新規な性質)、別個の形の基準(標準偏差の7倍)、免除、報告項目、小規模事業者(売上1,100万ドル未満)、報告期限(最終的な発効日から1年以内)40 CFR 704.20[参考資料 11]https://www.ecfr.gov/current/title-40/section-704.20事実
規則案2015年4月6日、最終規則2017年1月12日(82 FR 3641)、発効日が2017年8月14日に延期されたこと。この情報収集が有害と結論づけるものではないというEPAの説明連邦官報[参考資料 27]https://www.federalregister.gov/documents/2015/04/06/2015-07497/chemical-substances-when-manufactured-or-processed-as-nanoscale-materials-tsca-reporting-and[参考資料 13]https://www.federalregister.gov/documents/2017/01/12/2017-00052/chemical-substances-when-manufactured-or-processed-as-nanoscale-materials-tsca-reporting-and。EPA[参考資料 12]https://www.epa.gov/reviewing-new-chemicals-under-toxic-substances-control-act-tsca/control-nanoscale-materials-under事実
TSCAの報告期限が2018年8月14日になること(発効日2017年8月14日+1年)本稿の計算。704.20(f)(1)の「最終的な発効日から1年以内」とEPAの発効日延期の説明を組み合わせた。EPA等が2018年8月14日と明記した文書は、本稿では確認していない本稿の計算
FDAのガイダンス(2014年6月):規制上の定義を置かないこと、2つの考慮点(約1〜100 nm、1 µmまで)。医薬品のナノマテリアルのガイダンス(2022年4月、最終)、化粧品のナノマテリアルの安全性(2014年6月、最終)、化粧品は市販前承認の対象でないことFDAのガイダンス3件とガイダンス一覧[参考資料 14]https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/considering-whether-fda-regulated-product-involves-application-nanotechnology[参考資料 15]https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/drug-products-including-biological-products-contain-nanomaterials-guidance-industry[参考資料 16]https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/guidance-industry-safety-nanomaterials-cosmetic-products[参考資料 17]https://www.fda.gov/science-research/nanotechnology-programs-fda/nanotechnology-guidance-documents事実
厚労省通達(基発第0331013号、2009年3月31日):予防的アプローチ、2008年2月7日付通達の廃止、対象の定義、密閉化・グローブボックス・局所排気・HEPAフィルター、濃度把握、呼吸用保護具(捕集効率99.9%以上)厚生労働省 通達[参考資料 18]https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001566879.pdf事実
環境省の「工業用ナノ材料に関する環境影響防止ガイドライン」(2009年3月)と、令和7年(2025年)3月の「ナノマテリアルの水生生物に対する影響等について(中間とりまとめ)」環境省ウェブページ[参考資料 19]https://www.env.go.jp/chemi/nanomaterial/eibs.html事実
委任規則2024/2564:多層カーボンチューブ(径30 nm以上3 µm未満、長さ5 µm以上、縦横比3超)の発がん性区分1B(H350i)・STOT RE 1(H372)、銀の3つの形(塊・粉・ナノ)とM係数、2024年6月19日採択・9月30日官報・2026年5月1日適用委員会委任規則(EU)2024/2564[参考資料 10]https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32024R2564事実
IARC:MWCNT-7はグループ2B、MWCNT-7以外の多層CNTと単層CNTはグループ3。ヒトの証拠は不十分。作業部会2014年9月30日〜10月7日、刊行2017年IARC モノグラフ111[参考資料 22]https://publications.iarc.who.int/Book-And-Report-Series/Iarc-Monographs-On-The-Identification-Of-Carcinogenic-Hazards-To-Humans/Some-Nanomaterials-And-Some-Fibres-2017[参考資料 23]https://publications.iarc.who.int/download/mono111-01.pdf事実
NIOSH CIB 63(2011年4月、出版番号2011-160):微細な二酸化チタン2.4 mg/m³、超微細(ナノスケールを含む)0.3 mg/m³(時間加重平均)。超微細を潜在的な職業性発がん性物質とすることNIOSH CIB 63(CDCリポジトリの書誌ページで確認。本文PDFは直接取得できなかった)[参考資料 24]https://stacks.cdc.gov/view/cdc/5922事実
2.4÷0.3=8倍本稿の計算。限界値の比であり、影響の大きさの比ではない本稿の計算
欧州委員会が多層CNTを含むREACH付属書XVIIの改正案を示し、NBCIが2026年2月6日に意見書を出したこと。日本ゼオンがこれに賛同したこと(2026年3月19日)NBCI意見書[参考資料 25]https://www.nbci.jp/topics/public/doc/20260206_260206_NBCIFeedbacktopublicconsultationCMRV01.pdfと日本ゼオンの発表[参考資料 26]https://www.zeon.co.jp/news/assets/pdf/260319.pdf。草案の採択と適用は計画・見通しの段階であり、欧州委員会の草案本文は確認していない未確定/将来
日本の法律による横断的な定義・登録制度、化審法のナノ固有規定、化粧品規則の定義の改正、REACHのナノフォームの定義と2022年勧告との整合の予定、E 171の医薬品使用の見直しの結果、TSCA報告の結果、FDA食品ガイダンスの内容と日付本稿の調査範囲では、公的な一次資料で確認できなかったため記載していない解説
勧告は拘束力をもたない(EU運営条約288条)という説明。定義が測定法を選ぶという読み取り。登録書類は仕様書になるという整理。「別個の形」の線が測定の不確かさで引かれているという読み取り。日本は「現場の予防」が先に動いたという整理。仕様書の項目の一覧公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関が表明した見解ではない解説
図1・図6が AI生成イメージであること、図2〜5・図7・図8が説明用のベクター作図であること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月9日/出典は一次情報(法令・官報、規格団体の文書、各国当局のガイダンスと通達、OECDの試験ガイドライン、IARCの評価書)と、業界団体・企業の発表(それと明記した箇所)に限定しています。 読み取りや整理は「解説」として出典付きの事実と区別しています。 日本の横断的な法定義、化審法のナノ固有規定、化粧品規則の定義改正、REACHの定義の整合予定、E 171の医薬品使用の見直し結果、TSCA報告の結果、REACH付属書XVII改正案の草案本文と採択・適用日については、一次情報で確認できなかったため、事実としては記載していません。 本記事は規制の読み方の解説であり、法的な助言ではなく、特定の製品の適合や安全を判断するものでもありません。 図はすべて説明用の概念図です。図1・図6はAI生成イメージ、図2〜5・図7・図8はベクター作図であり、実在の製品・装置・施設を示すものではありません。