TECHNOLOGY EXPLAINER
ナノ計測
― 「粒径は何nmか」に、答えは1つではない
同じ粉体を測っても、電子顕微鏡は像から数えた円相当径、動的光散乱(DLS)は溶媒を引き連れて動く球の径、原子間力顕微鏡(AFM)は基板からの高さを答えます。 OECDの試験ガイドラインTG 125は、方法ごとに測る量が違うこと、そして個数基準<表面積基準<体積基準の順に大きな値が出る傾向があることを明記しています。 EUの「ナノ」の定義は「個数基準で50%以上」を求めるので、どの量を、どの方法で測ったかが、そのまま結論を左右します。

- ナノ計測とは何か(3行でつかむ)
- 何を測っているのか ― 方法ごとに「直径」の意味が違う
- 方法ごとの適用範囲と、過大・過小の傾向
- 電子顕微鏡(SEM・TEM) ― 粒子を1個ずつ数える
- 走査プローブ顕微鏡(AFM・STM) ― 高さを測る
- 光散乱・沈降・移動度・小角X線散乱 ― 分散液やエアロゾルを測る
- BET・X線回折・ラマン・XPS ― 表面・結晶・組成を見る
- 本稿の計算:個数・表面積・体積・散乱強度で見ると
- 本稿の計算:BETの比表面積から球相当径を求める
- 素材技術者の視点①:測定法は「仕様」の一部である
- 標準物質と校正 ― NISTの金ナノ粒子とOECD TG 125
- 量産での品質管理 ― TG 125の推奨を工程に並べる
- 素材技術者の視点②:規制の定義と、測定のコスト
- 課題と、確認できなかったこと
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・見通しであり、実績が確認できていない事項
このほか、読み取りや整理は「解説」として区別しています。
1. ナノ計測とは何か(3行でつかむ)
- 測る量が違う:OECD TG 125は、粒径が「測定原理に依存する等価球径」(顕微鏡では円相当径)として報告されること、そして測定された等価径が試料調製、データ解析、分布の重みづけ、平均の種類にも影響されることを述べています事実。
- 方法ごとに偏りの向きが違う:同TGの表では、電子顕微鏡、AFM、SAXSは径を過小に、DLS、PTA、DMASは過大に見積もりやすいとされています事実。
- 値には条件を添える:量産品の粒径や、規制上の「ナノ」の判定は、どの量を、どの方法で、どの調製で測ったかとセットでなければ比べられません(本記事による解説)。
OECD TG 125は、異なる原理で得た粒径の分布どうしの数学的な変換は、「ごく限られた条件」(理想的な球で単分散など)でしか行えず、ほとんどの場合、変換は仮定に頼り不確かさが分からなくなるので、一般には勧められない、としています 事実。 つまり、「DLSで80 nmだったから、電子顕微鏡でも80 nm」とは言えません(本記事による解説)。
2. 何を測っているのか ― 方法ごとに「直径」の意味が違う
TG 125は、分布の種類を添字で区別します。個数基準が0、長さ基準が1、面積基準が2、体積(質量)基準が3、強度基準がiです。 たとえばPTAの個数基準の流体力学的径は d₀,hyd と書きます事実。 同じ1個の粒子でも、どこを「粒子の端」とみなすかは、方法ごとに違います。

形状・色・寸法は説明用です。数値・原文の対応は下の元図で確認できます。
元のSVG模式図と正確な説明を見る
図の読み方・元図の説明:同じ1個の粒子を、方法ごとに別の「直径」で測っている(概念図) / コア / 電子顕微鏡(SEM・TEM) / 像の面積と同じ円の直径 / (円相当径、個数基準) / SAXS(小角X線散乱) / 散乱強度から換算した直径 / (体積二乗相当、強度基準) / DLS・PTA / 溶媒和層や吸着した分子を含む / 流体力学的径(拡散から換算) / AFM(原子間力顕微鏡) / 基板からの高さ / (横方向は探針の形に左右される) / DMAS・sp-ICP-MS / 電気移動度で決まる径/ / 含まれる金属の質量から換算した径 / 内側から、コア・被覆・水和層(点線) / ※ 説明用の概念図です。各方法がどこを「粒子の端」とみなすかが違うため、同じ粒子でも値は一致しません。 / ※ 層の厚さや大きさの比は示していません。測る量の名称はOECD TG 125の表1によります。
| 方法 | 測る量(直径の種類) | 分布の基準 | 試料の状態 | 過大/過小の傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 電子顕微鏡(SEM・TEM) | 円相当径(像の面積と同じ円の直径) | 個数 | 真空中の、乾燥して堆積した粒子 | 過小(真空での収縮、被覆とのコントラスト) |
| AFM | 高さ基準の円相当径 | 個数 | 基板に堆積した粒子 | 過小(撮像の力で粒子が圧縮される) |
| DLS | 流体力学的径 | 散乱強度 | 分散液 | 過大(大きい粒子の散乱が小さい粒子を覆う) |
| PTA | 流体力学的径 | 個数 | 分散液 | 過大 |
| DMAS | 電気移動度径 | 個数 | エアロゾル | 過大(液体からエアロゾルを作る過程) |
| 遠心沈降(CLS/AUC) | ストークス径 | 体積など(検出器による) | 分散液 | TGの表では過大・過小とも「なし」 |
| SAXS | 体積二乗相当径 | 散乱強度 | 分散液・粉体 | 過小(被覆の散乱が弱い場合) |
| sp-ICP-MS | 質量相当径 | 個数 | 分散液 | 過小。ただし共同試験で十分に検証できず付属書扱い |
すべて事実(OECD TG 125 表1・表2、段落37、付属書C。参考資料1)。表の並べ方と要約は本記事によります。
3. 方法ごとの適用範囲と、過大・過小の傾向
TG 125は、1〜1,000 nmの粒子について、8つの方法を並べています。どの方法も1〜1,000 nmの全域を同じ精度では測れないため、TGは「組み合わせが必要になることがある」と述べています事実。
TG 125は、径を過小に見積もりやすい方法で、測定値が100 nmの近くだった場合を例にしています。実際の値は100 nmより大きい(例:120 nm)可能性が高いので、「ナノマテリアルでない」可能性が高いが、補完的な2つ目の方法で確認する、という考え方です。 反対に過大に見積もりやすい方法(DLSなど)で100 nm付近だった場合は、実際の値は小さい(例:80 nm)可能性が高く、「ナノマテリアルである」可能性が高い、とします事実。 どちらの場合も、確認は補完的な別の方法で行うと書かれています(段落37)。
4. 電子顕微鏡(SEM・TEM) ― 粒子を1個ずつ数える
電子顕微鏡は、個数基準の粒径分布を像から直接得られる代表的な方法です。TG 125は、SEMでは集束した電子線で試料を走査して二次電子(表面形態に敏感)や後方散乱電子(組成の違いに敏感)を検出し、TEMでは試料を透過した電子から粒子の投影像を得る、と説明しています。TEMの横方向の分解能は通常SEMより高いとされます事実。 粒径とその形状の測定法は、ISOがTEM用にISO 21363:2020、SEM用にISO 19749:2021を発行しています事実。
- 何個数えるか:TG 125は、粒径分布が狭い(幾何標準偏差σg≦1.5)なら300個で足り、広い(σg>1.5)なら少なくとも700個を測るとしています。ISO 19749の概要も、統計的に妥当な分布を得るには数百〜数千個の粒子を測る必要がある、という目安を述べています事実。
- 分解能:TGの表4は、直径14〜21 nmの粒子には1.5〜2.0 nm/画素の分解能が要り、1画素ぶんのずれが直径の10〜11%の不確かさになる、という目安を示しています。63〜100 nmでは5〜6 nm/画素で、不確かさは5〜6%です事実。
- 試料が安定であること:粒子は真空と電子線の下で安定でなければならず、背景から粒子の輪郭を分けられるだけのコントラストが要ります。真空中での収縮や、被覆とのコントラスト不足で、径が小さく出ることがあります。
- 導電コーティング:非導電性の試料は帯電するので、電子線の強度を下げる、試料と基板の導電性を上げる、の順に試し、それでも駄目なら薄い導電膜をつけます。ただしその膜の厚さぶんだけ粒子が大きく見えるので、厚さを報告し、結果から差し引くことが求められます事実。
- 凝集体の中の粒子:凝集体や集合体の中の粒子は、それぞれの物理的な境界が完全に見える場合にだけ1個として数えられます。測定する前に、像で調製の質(粒子が分離しているか、不純物やアーティファクトは少ないか)を目視で確認します。
- 繊維は電子顕微鏡だけ:繊維の直径と長さを測る方法は、TG 125の時点で電子顕微鏡の画像解析のみとされています(段落5)。
5. 走査プローブ顕微鏡(AFM・STM) ― 高さを測る
AFMは、先端の尖った探針で表面をなぞり、高さの差から像を作ります。TG 125では、粒子の径は高さから決め、個数基準の分布 d₀,hgt が得られます事実。試料は基板に固定した粒子で、乾燥した表面でも液中でも測れます(TG 125)。
- 横方向は信頼しにくい:横方向のデータは試料と探針の形状の畳み込みで、探針の質に強く依存します。TGは、粒径の決定に横方向のデータを使うことを勧めていません(段落48)。探針の先端の曲率半径は10 nm未満が前提です。
- 基板の粗さが径に混ざる:粒子と下地の粗さは一緒に測られるので、基板は平らでなければならず、粗さが粒径の5%未満が推奨されます。研磨したシリコンウエハーやマイカが例に挙がっています。
- 非球形では向きに依存:正確に決まるのは高さだけで、粒子の向きによって値が変わります。AFMは、粒子を押しつぶして過小に出すことがあります。
- 混合物は苦手:AFMは粒子の化学的な素性に関係なく大きさを測るので、複数種類が混ざった試料では、それぞれの分布を分けるのが難しい、とされています。
STM(走査トンネル顕微鏡)は、探針と導電性の表面の間に流れるトンネル電流で表面の原子配列を観察する装置で、本記事では解説として触れるだけです(本記事による解説)。 本稿の調査範囲では、STMを粒径分布の測定法として挙げるISO規格やOECD試験ガイドラインは確認できませんでした。
6. 光散乱・沈降・移動度・小角X線散乱 ― 分散液やエアロゾルを測る
(1) 動的光散乱(DLS)
DLSは、希釈した分散液にレーザー光を当て、散乱光の強さの揺らぎから粒子の拡散係数を求め、ストークス・アインシュタインの式で流体力学的径を計算します。得られるのは強度で重みづけした径 dᵢ,hyd です事実。
- 大きい粒子が小さい粒子を覆う:散乱光の強さは粒子の半径の6乗に比例する(ミー散乱の領域でない場合)ので、大きな粒子の信号が小さな粒子の信号に重なり、小さな粒子の存在を見落とす、または少なく見積もる原因になります。
- 水和層や吸着物を含む:測る径は、粒子の表面の電気二重層や、結合した分子(分散剤、タンパク質)を含みます。二重層の厚さは分散条件(pH、イオン強度)で変わるため、流体力学的径は同じ分散条件でのみ比較できるとされています。
- 濃度に注意:濃度が高すぎると多重散乱で相関関数が速く減衰し、見かけの径が小さく、多分散性が大きく出ます。TGは、濃度を2倍変えて系統的な依存がないことを確かめるよう勧めています。
- 変換は勧められない:強度基準の結果を個数基準や体積基準に変換すると、解析の不確かさが大きく増えるため、勧められません。変換した場合は、手順の全体を報告します。
- 装置の確認:光学系は高純度の溶媒で定期的に確認し、性能はDLSで粒径が認証された標準物質で確認します。
DLSの規格は、ISO 22412です。OECD TG 125は2017年版を挙げていますが、ISOのカタログには2025年版(ISO 22412:2025)も掲載されています事実。
(2) PTA、遠心沈降、DMAS、SAXS
- PTA(粒子追跡解析):個々の粒子の拡散を追って、個数基準の流体力学的径を求めます。10〜1,000 nmの範囲で、DLSと同じく過大になりやすい方法です。
- 遠心沈降(CLS)・分析超遠心(AUC):沈降の速さからストークス径を求めます。分布の分解能が高く、混合物にも使える場合があります。
- DMAS(微分型電気移動度分析):エアロゾルにした粒子の電気移動度から径を求めます。乾燥した被覆層を含む外径が直接得られます。液体からエアロゾルを作る過程で過大になりやすい、とされています。
- SAXS(小角X線散乱):散乱強度の角度依存から体積二乗相当径を求めます。被覆の散乱が弱いと、被覆ぶんが径に入らず過小になります。
これらに対応するISO規格として、TG 125の付属書Bは、遠心沈降にISO 13318-1/-2/-3、DMASにISO 15900とISO/TS 12025、SAXSにISO 17867、PTAにISO 19430などを挙げています(番号はTGの記載による)事実。 sp-ICP-MSには、ISO/TS 19590:2017(無機ナノ粒子の水系媒体中の粒径分布と濃度)が発行されています。ただしTG 125は、sp-ICP-MSが共同試験で装置への依存が大きく、十分に検証できなかったとしています事実。
7. BET・X線回折・ラマン・XPS ― 表面・結晶・組成を見る
粒径そのものだけでなく、表面や結晶、組成の評価も、ナノ材料の性質を決める重要な項目です。以下は、一次情報で確認できた範囲の要点です。
- BET法(ガス吸着):ISO 9277:2022は、粉体(ナノ粉体を含む)や多孔質固体の全体の比表面積を、物理吸着したガスの量からBET法で求める規格です。適用できるのは、II型(非多孔質または大孔)とIV型(メソ孔、孔径2〜50 nm)の吸着等温線に限られ、到達できない孔は検出されません。測定ガスを吸収する固体には、確実には適用できません事実(ISO 9277のカタログ記載)。OECD TG 124は、BETの質量比表面積と、ガスピクノメーターで求める骨格密度から、粉体の体積比表面積(VSSA)を求めます。
- X線回折(XRD):回折ピークの幅から結晶子の大きさを見積もる式がシェラーの式で、Pattersonの1939年の論文(題名「The Scherrer Formula for X-Ray Particle Size Determination」)が知られています。ただし、求められるのは結晶子のサイズで、粒子の大きさとは一致しません。1つの粒子が複数の結晶子からなる場合、結晶子の方が小さく出ます(本記事による解説)。
- ラマン分光:Ferrari と Basko の総説は、グラフェンのラマン分光が層の数と向き、端の質、電場・磁場・ひずみ・ドーピング・乱れ・官能基の影響を調べるのに使われることを述べています事実。カーボン材料では、欠陥に敏感なDバンドとGバンドの強度比が品質の指標に使われます(本記事による解説。具体的な数値は、グラフェンやCNTの個別編で扱います)。
- XPS(X線光電子分光):表面の数nmの元素組成と化学状態を調べる方法です。Shardの論文は、題名でコア-シェル型ナノ粒子のXPSデータを解釈する簡便な方法を扱っています(題名のみ引用)。被覆の厚さの見積もりに使えることは、題名の趣旨から読み取れます(本記事による解説)。
- EDX(エネルギー分散型X線分析):電子顕微鏡に付ける組成分析で、TG 125は、異なる物質の粒子が混ざった試料を見分けるのに併用できるとしています。
8. 本稿の計算:個数・表面積・体積・散乱強度で見ると
測り方で結論がどれだけ変わるかを、極端な例で確かめます本稿の計算。 前提:粉体が、直径20 nmの球(個数で99%)と直径200 nmの球(個数で1%)の2種類だけからなり、密度は同じとします。
- 個数基準:20 nmの粒子は 99.0%。
- 表面積基準(d²に比例):200 nmは20 nmの10倍なので、面積は100倍。20 nm側 = 0.99、200 nm側 = 0.01×100 = 1。20 nm側の割合は 0.99 ÷ 1.99 = 49.7%。
- 体積(質量)基準(d³に比例):体積は1,000倍。20 nm側 = 0.99、200 nm側 = 0.01×1,000 = 10。20 nm側の割合は 0.99 ÷ 10.99 = 9.0%。
- 散乱強度基準(d⁶に比例、粒径が波長より十分小さい場合の近似):強度は10⁶倍。20 nm側 = 0.99、200 nm側 = 0.01×10⁶ = 10,000。20 nm側の割合は 0.99 ÷ 10,000.99 = 0.01%。
前提と限界:TG 125も、DLSの散乱強度が半径の6乗に比例するのはミー散乱の領域でない場合だと断っています。200 nmの粒子は可視光の波長に近く、この近似は成り立たないので、上の0.01%は極端な側の見積もりです。 それでも、個数で99%を占める粒子が、DLSの強度分布ではほとんど見えなくなる方向の偏りは、TGの記述(大きい粒子が小さい粒子を覆う)と一致します。
9. 本稿の計算:BETの比表面積から球相当径を求める
BETの質量比表面積(SSA)から、粒子が滑らかな単分散の球だと仮定したときの直径を計算できます本稿の計算。
- 式:球の表面積/質量 = 6/(ρ×d)。よって d = 6/(ρ×SSA)。ρは密度。
- TiO₂(密度4.0 g/cm³と仮定):SSA = 50 m²/g なら d = 6/(4.0×10⁶ g/m³ × 50 m²/g) = 30 nm。SSA = 10 m²/g なら 150 nm。SSA = 1.5 m²/g なら 1 µm。
- Au(密度19.3 g/cm³):NISTの標準物質RM 8012は、TEMで27.6 nmとされています[参考資料10]。この大きさの滑らかな球なら、SSA = 6/(19.3×10⁶ × 27.6×10⁻⁹) = 約11.3 m²/g。
- EUの除外基準との関係:体積比表面積6 m²/cm³に当たるSSAは、TiO₂(4.0 g/cm³)で1.5 m²/g、Au(19.3 g/cm³)で約0.31 m²/g。同じ体積比表面積でも、密度が違うと質量基準の値は変わります。
前提と限界:実際の粉体は、多孔質であったり、一次粒子が融合した凝集体であったり、表面が粗かったりします。そのとき、BETの値から決まる「球相当径」は、顕微鏡で見える粒子の大きさとは一致しません。 EUの勧告も、比表面積が高いのが内部のナノ構造によることがあるとして、比表面積を「ナノと認める指標」にする選択肢を削除しています(本シリーズ『ナノ材料の定義と規制』編を参照)。
10. 素材技術者の視点①:測定法は「仕様」の一部である
TG 125は、試料調製がどの方法でも結果を左右するとして、次の点を挙げています事実。
- 代表性:試料は、粒径分布について統計的に代表的で、均一でなければならず、サイズによる分別は避ける。採取する場所と経過時間を変えて、調製の均一性と時間安定性を確かめる。
- 調製による変化:過大なエネルギー入力による粒子の破壊、細孔の大きすぎるフィルターによる小粒子の損失、試験媒体への溶解、凝集体のほぐれ不足(ISO 14887)。ほぐれ不足や過粉砕は、電子顕微鏡で見積もれ、個数濃度で5%を上限とする推奨がある(ISO 14887は、ナノ特有でない一般的な指針)。
- 分散の安定性:分散液は、測定が終わるまで安定でなければならない。粒子が有意に沈降・凝集・溶解しないこと。個々の粒子の分布を求める場合は、超音波処理の途中で同じ方法を繰り返し測り、安定な分散に達したかを確かめる。
- 3つの経路:乾燥粉、分散液、エアロゾルのどれからも調製でき、可能なら3つとも試して、調製の再現性と頑健さを評価する。
- 試験報告に書く項目:組成と識別番号、表面修飾、形態、混入物、試料の量、調製法(基板の種類、分散媒、ろ過、濃度、分散剤、超音波の機種・出力・エネルギー)、調製から測定までの時間、装置の機種・ソフトウェアの版・設定。
材料の技術者に分かりやすい言い方をすれば、粒径は、粉そのものの性質ではなく、「粉+調製条件+測定法」の性質です。したがって、受入検査や出荷検査の仕様書には、粒径の値だけでなく、測る量(d₀,ecd か dᵢ,hyd かなど)、分布の基準、調製と装置の条件を書いておく必要があります(本記事による解説)。

11. 標準物質と校正 ― NISTの金ナノ粒子とOECD TG 125
測定値の正しさを確かめるには、値が付けられた標準物質が要ります。
- NISTの金ナノ粒子:NISTは2008年1月に、生物医学研究向けの世界初のナノ粒子の標準物質(RM)として、公称10、30、60 nmの金の球を発行しました(NNIの資料の表現では「世界初」)。この発行には6つの異なる粒径の測定法の開発が要った、と米国国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(NNI)の資料に書かれています事実。
- TEMで付与された値:NIST SP 1200-21は、RM 8011、8012、8013のTEM径を8.9 nm、27.6 nm、56 nmとしています(RM 8013は56 nm±0.5 nm)。同じ文書は、PVPで被覆した銀ナノ粒子RM 8017(公称75 nm)のTEM径を74.6 nmとしています事実。
- TG 125の推奨:方法の較正は、その方法と測定量に対して認証された標準物質で行うこと。また、方法や物質に経験がないときは、少なくとも一度、共同試験で使ったナノ材料か認証標準物質で試験することを勧めています事実。TG 125の付属書Eは、共同試験で使った試験材料の一覧を載せています。
RM 8011〜8013に付けられた値は、本稿が確認できたNIST SP 1200-21ではTEMの径です。NNIの資料は6つの測定法を開発したとしているので、認証書には複数の方法の値が載っていると推測しますが、本稿は認証書そのものを直接は確認できませんでした(NISTの認証書の配布ページが取得できなかったため)。 したがって、本稿は「RM 8012は27.6 nm」と言い切らず、「TEMで27.6 nmとされる」と書いています(本記事による注記)。
12. 量産での品質管理 ― TG 125の推奨を工程に並べる
TG 125は規制のための試験法ですが、その推奨は、量産ロットの粒径管理にもそのまま使えます(本記事による解説)。流れに並べ直すと次のようになります。
(1) 主たる方法と補完法を決めておく
単一の方法ですべてを決めるのではなく、偏りの向きが逆の方法を組み合わせると、結果の信頼性が上がります。たとえば、過小になりやすい電子顕微鏡と、過大になりやすいDLSの両方で測り、差が説明できるかを見ます。TG 125も、「ほとんどの実在のナノ材料は少数の方法でしか特性づけられず、全部の方法でよく特性づけられる材料はわずかだ」と述べ、方法の限界の確認を強く勧めています事実。
(2) 分布の「幅」を管理項目にする
TG 125は、幾何標準偏差σgが1.5以下を「狭い」、1.5超を「広い」と区別し、狭いか広いかで電子顕微鏡で数える粒子数も変えています事実。 平均径が同じでも、σgが違えば、「100 nm以下の個数割合」は大きく変わります(本記事による解説)。仕様には、平均や中央値に加えて、σgのような分布の幅を示す量を添えることが考えられます。
13. 素材技術者の視点②:規制の定義と、測定のコスト
EUの勧告は、個数基準の粒径分布で50%以上が1〜100 nmかどうかを問います。工場でふだん見ている「平均粒径」や「D50」は、多くの場合体積基準かDLSの強度基準で、個数基準とは別の量です(本記事による解説)。 この2つをつなぐには、粒径の分布そのものが要ります。第8章の例では、個数で99%が20 nmの粉が、体積基準では9%、散乱強度基準では0.01%に見えました。
勧告は、実施を支えるためにJRC(欧州委員会共同研究センター)が、推奨する測定法とベストプラクティスを示すガイダンスを作るとしています(前文8)事実。 一方で、NBCIはMWCNTに関する意見書で、TG 125が極めて手間のかかる測定を要すると述べています事実(業界団体の意見)。 個数基準で測るには、3つの調製経路での確認、300〜700個以上の粒子の計数、補完法での確認が要ります(第10〜12章)。測定のコストは、規制対応の現実的な負担です(本記事による解説)。
ここで役立つのが、「ナノでない側」を比較的簡便に判定する道です。勧告の前文20によると、NanoDefineプロジェクトは、多数の工業材料で、個数基準の粒径分布の中央値による判定と、体積比表面積が6 m²/cm³未満による判定の間に、非ナノ材料の分類に食い違いがなかったと報告しています事実。 体積比表面積は、BETとピクノメーターで求められます(OECD TG 124)。ただし、多孔質の材料では、小さな粒子がなくても比表面積が大きくなるので、高い値が出ても「ナノ」とは言えません。除外の判定には使えても、ナノであることの証明にはなりません(本記事による解説)。
規制の側の詳細は、本シリーズ『ナノ材料の定義と規制』編で扱います。
14. 課題と、確認できなかったこと
- NISTの金ナノ粒子の標準物質(RM 8011〜8013)の認証書に載る方法別の値(認証書の配布ページを取得できなかった。TEMで付与された値は、NIST SP 1200-21で確認)。
- STMを粒径分布の測定法として挙げるISO規格・OECDガイドライン。
- ISO規格の本文(有料)。本稿は、題名と適用範囲、規格団体のカタログの概要、およびOECD TG 125の付属書Bの規格番号までを確認した。ISO 13318、15900、17867、19430などは番号のみ(題名と最新版は未確認)。
- ISO 22412:2025と2017年版の違い。
- ラマンのID/IGの具体値、XRDのシェラー定数、XPSの殻の厚さの計算式など、個別の数式・数値(題名や総説の趣旨までを確認)。
- 量産ロットでの合否基準や検査頻度。TG 125は定めておらず、企業の公開値も確認していない。
- 粒径は「方法ごとに別の量」。円相当径、高さ、流体力学的径、電気移動度径、体積二乗相当径、質量相当径がある事実
- 偏りの向きが違う。電子顕微鏡・AFM・SAXSは過小に、DLS・PTA・DMASは過大になりやすい事実
- 分布の基準で結論が変わる。個数で99%の20 nm粒子は、体積基準で9%、散乱強度基準で0.01%に見えた(例示)本稿の計算
- 電子顕微鏡は、σg≦1.5で300個、σg>1.5で700個以上を数える。導電コーティングの厚さは報告して差し引く事実
- BETは比表面積を測る方法。球相当径は理想化した計算で、多孔質や凝集体では顕微鏡の粒径と一致しない本稿の計算
- 標準物質の値も「方法つき」。NISTの金粒子RM 8012は、TEMで27.6 nmとされる事実
- 測定法は仕様の一部。測る量、分布の基準、調製、装置の条件まで書く(解説)
15. 用語集
- 等価球径/円相当径
- 測定原理で決まる、球(または円)に換算した直径。顕微鏡では像の面積と同じ円の直径。
- 流体力学的径
- 拡散の速さから換算した、溶媒和層や吸着物を含む球の直径(DLS、PTA)。
- 個数基準/強度基準
- 粒子を個数で数えた分布/散乱光の強さで重みづけた分布。
- 幾何標準偏差(σg)
- 対数正規分布を仮定した分布の幅。TG 125は1.5以下を「狭い」とする。
- フェレ径
- 像の粒子を挟む平行線の間隔。最小・最大のフェレ径が非球形粒子の評価に使われる。
- 骨格密度
- 粒子内部の閉じた孔を除いた材料自体の密度。ガスピクノメーターで求める。
- BET法
- ガス分子の物理吸着量から、比表面積を求める方法。
- 結晶子
- X線回折で一つの結晶として振る舞う領域。1個の粒子が複数の結晶子からなることがある。
- SEM/TEM
- 走査型/透過型電子顕微鏡。表面の形態/粒子の投影像を得る。
- AFM/STM
- 原子間力顕微鏡(高さを測る)/走査トンネル顕微鏡(導電性の表面を観察する)。
- DLS/PTA
- 動的光散乱/粒子追跡解析。ブラウン運動から流体力学的径を求める。
- DMAS
- 微分型電気移動度分析。エアロゾル中の粒子の電気移動度から径を求める。
- SAXS
- 小角X線散乱。散乱強度の角度依存から径を求める。
- sp-ICP-MS
- 単一粒子ICP質量分析。粒子1個ごとの金属の信号から質量相当径を求める。
- 標準物質(RM)
- 値が付与され、測定の確認や校正に使う試料。
- 共同試験(ILC)
- 複数の試験所が同じ試料を測り、方法の妥当性を評価する試験。
- 多重散乱
- 濃い試料で、光が複数回散乱されること。DLSで見かけの径が小さく出る。
16. 参考資料(一次情報)
- OECD Test Guideline No. 125「Nanomaterial Particle Size and Size Distribution of Nanomaterials」2022年6月30日採択、2023年7月4日訂正(PDF) — oecd.org
- OECD Test Guideline No. 124「Determination of the Volume Specific Surface Area of Manufactured Nanomaterials」2022年6月30日 — oecd.org
- ISO ISO 21363:2020「Nanotechnologies — Measurements of particle size and shape distributions by transmission electron microscopy」 — iso.org
- ISO ISO 19749:2021「Nanotechnologies — Measurements of particle size and shape distributions by scanning electron microscopy」 — iso.org
- ISO ISO 22412:2017「Particle size analysis — Dynamic light scattering (DLS)」 — iso.org
- ISO ISO 22412:2025「Particle size analysis — Dynamic light scattering (DLS)」 — iso.org
- ISO ISO 9277:2022「Determination of the specific surface area of solids by gas adsorption — BET method」 — iso.org
- ISO ISO/TS 19590:2017「Nanotechnologies — Size distribution and concentration of inorganic nanoparticles in aqueous media via single particle inductively coupled plasma mass spectrometry」 — iso.org
- 米国国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(NNI)「NIST Issues First Nanoparticle Reference Materials for Biomedical Research」(PDF) — nano.gov
- NIST Murphy KE ほか「Characterization of nanoparticle suspensions using single particle inductively coupled plasma mass spectrometry」NIST Special Publication 1200-21(PDF) — nvlpubs.nist.gov
- Patterson AL「The Scherrer Formula for X-Ray Particle Size Determination」Physical Review 1939;56:978–982(題名のみ引用) — doi.org/10.1103/PhysRev.56.978
- Ferrari AC, Basko DM「Raman spectroscopy as a versatile tool for studying the properties of graphene」Nat Nanotechnol 2013;8:235–246 — doi.org/10.1038/nnano.2013.46
- Shard AG「A Straightforward Method For Interpreting XPS Data From Core–Shell Nanoparticles」J Phys Chem C 2012;116:16806–16813(題名のみ引用) — doi.org/10.1021/jp305267d
- 欧州委員会 Commission Recommendation of 10 June 2022 on the definition of nanomaterial (2022/C 229/01) — eur-lex.europa.eu
- NBCI(ナノテクノロジービジネス推進協議会)「NBCI Feedback on Chemicals – new rules on carcinogenic, mutagenic or reproductive toxic substances subject to restrictions」2026年2月6日(PDF) — nbci.jp
17. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| 粒径が測定原理に依存する等価球径(顕微鏡では円相当径)であり、試料調製・解析・重みづけ・平均の種類にも影響されること。分布の添字(個数0、長さ1、面積2、体積3、強度i)。傾向 d₀<d₂<d₃ と、変換は特別な条件でのみ可能で一般には勧められないこと。8つの方法の適用範囲・測る量・分布の基準・試料の状態(表1)、過大・過小の傾向と個数基準を直接得られる方法(表2)、過小・過大の場合の判定の考え方(段落37) | OECD TG 125(段落20〜24、37、表1・表2)[参考資料 1]https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/publications/reports/2023/07/test-no-125-nanomaterial-particle-size-and-size-distribution-of-nanomaterials_4e91976f/af5f9bda-en.pdf | 事実 |
| 電子顕微鏡:SEM・TEMの原理、個数基準の円相当径、300個(σg≦1.5)/700個以上(σg>1.5)、画素分解能と不確かさの表(表4)、導電コーティングの厚さの報告と差し引き、凝集体中の粒子の扱い、繊維は電子顕微鏡のみ、EDXとの併用。ISO 21363:2020(TEM)とISO 19749:2021(SEM)の題名・適用範囲、数百〜数千個という目安 | OECD TG 125(段落5、110〜122)[参考資料 1]https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/publications/reports/2023/07/test-no-125-nanomaterial-particle-size-and-size-distribution-of-nanomaterials_4e91976f/af5f9bda-en.pdf。ISO 21363[参考資料 3]https://www.iso.org/standard/70762.html。ISO 19749[参考資料 4]https://www.iso.org/standard/66235.html | 事実 |
| AFM:高さ基準の円相当径、探針の先端の曲率半径10 nm未満、横方向データを径の決定に使わないこと、基板の粗さ(粒径の5%未満が推奨)、非球形では向きに依存、混合物での難しさ、凝集体との区別がσg<1.2など限られた場合のみ | OECD TG 125(段落40〜50)[参考資料 1]https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/publications/reports/2023/07/test-no-125-nanomaterial-particle-size-and-size-distribution-of-nanomaterials_4e91976f/af5f9bda-en.pdf | 事実 |
| DLS:散乱強度の揺らぎから流体力学的径(強度基準)を求めること、半径の6乗に比例する散乱強度(ミー領域外)、電気二重層や吸着分子を含むこと、分散条件が変わると値が変わること、濃度の影響、変換が勧められないこと、認証標準物質による確認。OECD TG 125が挙げるISO 22412は2017年版で、ISOのカタログに2025年版があること | OECD TG 125(段落96〜108)[参考資料 1]https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/publications/reports/2023/07/test-no-125-nanomaterial-particle-size-and-size-distribution-of-nanomaterials_4e91976f/af5f9bda-en.pdf。ISO 22412:2017[参考資料 5]https://www.iso.org/standard/65410.html。ISO 22412:2025[参考資料 6]https://www.iso.org/standard/85505.html | 事実 |
| PTA・CLS・DMAS・SAXSの測る量と傾向、付属書Bの規格番号(ISO 13318-1/-2/-3、ISO 15900、ISO/TS 12025、ISO 17867、ISO 19430)。sp-ICP-MSが共同試験で十分に検証できなかったこと。ISO/TS 19590:2017の題名 | OECD TG 125(表1・表2、付属書B・C)[参考資料 1]https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/publications/reports/2023/07/test-no-125-nanomaterial-particle-size-and-size-distribution-of-nanomaterials_4e91976f/af5f9bda-en.pdf。ISO/TS 19590[参考資料 8]https://www.iso.org/standard/65419.html | 事実 |
| BET法:ISO 9277:2022の適用範囲(II型・IV型の等温線、到達できない孔は検出されない、測定ガスを吸収する固体には確実には適用できない)。VSSAを質量比表面積×骨格密度で求め、骨格密度はガスピクノメーターで求めること | ISO 9277:2022のカタログ記載[参考資料 7]https://www.iso.org/standard/71014.html。OECD TG 124[参考資料 2]https://www.oecd.org/en/publications/test-no-124-determination-of-the-volume-specific-surface-area-of-manufactured-nanomaterials_abb72f8f-en.html | 事実 |
| XRDのシェラーの式(題名)。グラフェンのラマン分光が層数・端の質・ひずみ・ドーピング・乱れなどに使われること。コア-シェル型ナノ粒子のXPSデータの解釈の論文(題名)。EDXが混合試料の識別に併用できること | Patterson 1939[参考資料 11]https://doi.org/10.1103/PhysRev.56.978。Ferrari ほか 2013[参考資料 12]https://doi.org/10.1038/nnano.2013.46。Shard 2012[参考資料 13]https://doi.org/10.1021/jp305267d。EDXはOECD TG 125(段落115)[参考資料 1]https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/publications/reports/2023/07/test-no-125-nanomaterial-particle-size-and-size-distribution-of-nanomaterials_4e91976f/af5f9bda-en.pdf | 事実 |
| 直径20 nm(個数99%)と200 nm(個数1%)の粉で、20 nm側の割合が個数99.0%、表面積49.7%、体積9.0%、散乱強度0.01%になること(散乱強度はd⁶に比例する近似) | 本稿の計算。球形・同一密度・2つの単分散の集団という仮定は本稿が置いた。DLSの6乗則(ミー領域外)の注意はOECD TG 125(段落106) | 本稿の計算 |
| d=6/(ρ×SSA)により、TiO₂(密度4.0 g/cm³と仮定)でSSA 50・10・1.5 m²/gが30・150 nm・1 µmになること。Au(密度19.3 g/cm³)でTEM径27.6 nmの球なら約11.3 m²/g。体積比表面積6 m²/cm³に当たるSSAがTiO₂で1.5、Auで約0.31 m²/gであること | 本稿の計算。球形・単分散・内部に空孔なし・滑らかな表面という仮定、TiO₂の密度は本稿が置いた。Auの密度とRM 8012のTEM径はNIST SP 1200-21の表6[参考資料 10]https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/SpecialPublications/NIST.SP.1200-21.pdf | 本稿の計算 |
| 試料調製:代表性・均一性、分別の回避、調製による変化(破壊、フィルターでの損失、溶解、ほぐれ不足、ISO 14887の個数濃度5%という推奨)、分散の安定性、3つの調製経路、試験報告の項目 | OECD TG 125(段落25〜29、33、34、176)[参考資料 1]https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/publications/reports/2023/07/test-no-125-nanomaterial-particle-size-and-size-distribution-of-nanomaterials_4e91976f/af5f9bda-en.pdf | 事実 |
| NISTが2008年1月に公称10・30・60 nmの金の球の標準物質を発行したこと、6つの測定法の開発、NNIの資料で「世界初」と表現されていること。RM 8011・8012・8013のTEM径が8.9・27.6・56 nm(RM 8013は56±0.5 nm)、RM 8017(公称75 nm)のTEM径が74.6 nm。TG 125が較正に認証標準物質を勧め、付属書Eに共同試験の材料を載せていること | NNI[参考資料 9]https://www.nano.gov/sites/default/files/nistissuesfirstnanoparticlereferencematerials.pdf。NIST SP 1200-21[参考資料 10]https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/SpecialPublications/NIST.SP.1200-21.pdf。OECD TG 125(段落24、174、175)[参考資料 1]https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/publications/reports/2023/07/test-no-125-nanomaterial-particle-size-and-size-distribution-of-nanomaterials_4e91976f/af5f9bda-en.pdf | 事実 |
| EU勧告の「個数基準で50%以上」、前文8(JRCのガイダンス)、前文14(識別できる構成粒子の難しさ)、前文20(NanoDefineの結果と体積比表面積6 m²/cm³未満)。NBCIが、TG 125は極めて手間のかかる測定を要し、混合物の閾値0.1重量%の混入を測る現実的な方法がないと述べたこと | 欧州委員会勧告 2022/C 229/01[参考資料 14]https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32022H0614(01)。NBCI意見書(業界団体の意見)[参考資料 15]https://www.nbci.jp/topics/public/doc/20260206_260206_NBCIFeedbacktopublicconsultationCMRV01.pdf | 事実 |
| TG 125の推奨を①〜⑤の工程と校正に並べ直したこと。受入・出荷検査の仕様に測る量・分布の基準・調製と装置の条件を書くという提案。測定法に偏りの向きが逆の方法を組み合わせるという提案。規制の問いは個数、工場の管理は平均径という整理。体積比表面積による除外は「ナノでない側」の判定に使えるが証明にはならないという読み取り。STMを解説にとどめたこと | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関が表明した見解ではない | 解説 |
| NISTの標準物質の認証書に載る方法別の値、STMの規格、ISO規格の本文、ISO 22412:2025と2017年版の違い、ラマンのID/IG・シェラー定数・XPSの計算式の具体値、量産ロットの合否基準と検査頻度 | 本稿の調査範囲では、公的な一次資料で確認できなかったため記載していない | 解説 |
| 図1・図6がAI生成イメージであること、図2〜5・図7が説明用のベクター作図であること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月9日/出典は一次情報(OECDの試験ガイドライン、規格団体のカタログ、NISTとNNIの文書、査読論文、欧州委員会の勧告)と、業界団体の意見(それと明記した箇所)に限定しています。 読み取りや整理は「解説」として出典付きの事実と区別しています。 NISTの標準物質の認証書に載る方法別の値、STMの規格、ISO規格の本文、ISO 22412の新旧の違い、ラマン・XRD・XPSの具体的な数式や数値、量産ロットの合否基準と検査頻度については、一次情報で確認できなかったため、事実としては記載していません。 図の数値のうち、第8章・第9章の計算は本記事が仮定を置いて算出した例示で、実在の材料の測定値ではありません。 図はすべて説明用の概念図です。図1・図6はAI生成イメージ、図2〜5・図7はベクター作図であり、実在の装置・製品・測定画面を示すものではありません。