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医薬品医療機器総合機構(PMDA)|iPS細胞・再生医療 機関解説

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INSTITUTION PROFILE / iPS細胞・再生医療

医薬品医療機器総合機構(PMDA)
― 日本の再生医療を「審査する」実務機関。承認を決めるのは大臣

PMDAは厚生労働省が所管する独立行政法人で、iPS細胞由来の製品を含む再生医療等製品の相談、審査、製造所の調査を担当します。ただし承認の決定は厚生労働大臣が行い、研究費の助成はAMEDの事業です。2026年3月に承認されたiPS細胞由来の2製品も、PMDAの審査を経て条件及び期限付承認を受けました。本稿では、PMDAがiPS細胞・再生医療にどこまで影響を持つのかに絞って整理します。

構成:PMDAの機関概要、令和7年度業務実績報告書、再生医療等製品の承認審査のページ、承認品目一覧、厚生労働省の通知・ガイダンスを一次情報として使用/最終更新 2026年10月

医薬品医療機器総合機構(PMDA) — AI生成の概念画像
AI生成の概念画像。解説対象の技術・活動をイメージしたもので、実在の製品・施設・職員の写真や実測結果ではありません。
この記事でわかること
  1. 30秒でわかるPMDA
  2. どんな機関か ― 影響力の「型」
  3. iPS細胞・再生医療で何をしているか
  4. 影響力の範囲(権限と地域)
  5. 関わっている企業・組織
  6. 今後の見通し
  7. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかる医薬品医療機器総合機構(PMDA)

正式名称独立行政法人
医薬品医療機器総合機構
英文 Pharmaceuticals and Medical Devices Agency(PMDA)
国日本所在地は東京都千代田区霞が関
機関の種類独立行政法人中期目標管理法人。主務大臣は厚生労働大臣。省庁ではない
設立2004年4月1日旧審査センターなど3組織の業務を統合して発足
職員数1,053人2025年4月1日現在。再生医療等製品の専任人数は公表資料にない
審査の実績優先品目8.9か月再生医療等製品の総審査期間(2025年度、50%タイル値)。通常品目は11.1か月
iPS細胞・再生医療への関与相談・審査・製造所の調査承認を決めるのは厚生労働大臣。PMDAは審査する側
影響が及ぶ範囲日本で売る製品すべて国外の製造所も調査の対象。国際会議にも参加
まず押さえるべき1点

PMDAは、iPS細胞由来の製品を含む再生医療等製品を実際に審査し、相談を受ける実務機関ですが、 承認を決めるのは厚生労働大臣です。PMDAの案内は、再生医療等製品の承認は厚生労働大臣が行い、 申請書はPMDAの窓口に出すと書いています 事実。 2026年3月6日に承認されたiPS細胞由来の製品2つ(クオリプスのリハート、住友ファーマのアムシェプリ)も、 この仕組みの中で、条件及び期限付承認という形で承認されました 事実。

2. どんな機関か ― 影響力の「型」

iPS細胞・再生医療の記事に出てくる「機関」は、企業と違って自分では細胞を作りません。その代わりに、どういう経路で業界に影響を与えるかで4つの型に分けられます。

iPS細胞・再生医療を動かす「機関」の4つの型 機関は自分では細胞を作らない。どの経路で業界に影響を与えるかで4つに分かれる 資金を出す 政策・規制を決める 標準を決める 場をつくる 研究開発に予算を配る 承認審査・法律・指針 研究倫理・品質の指針 研究拠点・学会 AMED/CIRM FDA/EMA/厚生労働省 ISSCR/ICH CiRA/ISSCR 何を研究させるか 何を市場に出せるか どう研究し、どう作るか 誰が誰に会うか 届く範囲=自国の予算 届く範囲=自域の市場 届く範囲=賛同する側 届く範囲=参加者 PMDAは「政策・規制を決める」型の実務担当。審査の中身を作るが、承認の決定は大臣 届く範囲は日本の市場。国外の製造所の調査や国際会議への参加で、日本の外にも影響する
図1 iPS細胞・再生医療に関わる機関の4つの型と、PMDAの位置。区分は本稿によるもので、機関名は本シリーズで扱う機関から例示しています 本稿の計算。PMDAは規制の型の実務担当で、決定権は厚生労働大臣にあります。

3. iPS細胞・再生医療で何をしているか

PMDAは、再生医療等製品(細胞に培養などの加工をしたものや、遺伝子治療用の製品)について、次の業務を行います 事実。

役割中身根拠となる資料
開発の相談治験の前から対面助言、薬事戦略相談、細胞・組織加工製品の初回治験計画届書の調査(30日調査)を行う。2025年度は国内企業56組、海外企業23組に出張面談PMDAの再生医療等製品のページ、業務実績報告書
承認審査製品の有効性・安全性を審査する。2025年度に承認された再生医療等製品の総審査期間(50%タイル値)は、優先品目8.9か月、通常品目11.1か月業務実績報告書
条件及び期限付承認均質でない再生医療等製品について、有効性が推定されれば、条件と期限を付けて早く承認する制度。PMDAが申請前相談と審査を担当する条件及び期限付承認のガイダンス、取扱い通知
先駆的指定画期性などの条件に合う再生医療等製品を、相談・審査で優先する制度。指定は厚生労働大臣が行い、PMDAは厚生労働省と一緒に取り組むPMDAの先駆的指定制度のページ
製造所の調査GCTP(再生医療等製品の製造管理・品質管理の基準)の実地調査を行う。2025年度は8件(海外3、国内5)業務実績報告書
診療側の製造許可の調査再生医療等安全性確保法にもとづき、特定細胞加工物の製造施設の構造設備の調査と立入検査を行う。2025年5月の法改正後は対象が広がったPMDAの適合性調査のページ、業務実績報告書
国際調和ICHのQ5E、細胞・遺伝子治療の討議グループ、IPRPの作業部会に参加。アジアやアフリカの規制づくりも支援業務実績報告書
素材技術者の視点:「均質でない」ことを前提にした制度

条件及び期限付承認の要件の1つは、申請に係る再生医療等製品が均質でないことです 事実。 生きた細胞から作る製品は、ロットや原料によって性質がばらつくことを避けにくいため、 この前提がおかれていると読めます(本稿の解釈)。 厚生労働省の通知は、PMDAの相談・審査での経験をもとに、申請前に評価計画を相談することを勧めています 事実。 iPS細胞由来の製品では、製造工程の管理と、承認後に有効性を確かめる計画の両方が審査の焦点になります。

2026年3月6日の承認品目の一覧には、ヒト人工多能性幹細胞加工製品として次の2つが載っています 事実。

販売名(会社)中身(PMDAの表記)承認の形
リハート(クオリプス)ヒト(同種)iPS細胞由来心筋細胞シート。標準治療で効果不十分な虚血性心筋症による重症心不全が対象条件及び期限付承認、希少疾病用再生医療等製品
アムシェプリ(住友ファーマ)ラグネプロセル。iPS細胞から作ったドパミン神経前駆細胞塊を脳に移植。既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病が対象条件及び期限付承認、希少疾病用、先駆け審査指定

4. 影響力の範囲(権限と地域)

観点PMDAが持っているもの持っていないもの
権限再生医療等製品の相談、審査、製造所の調査。審査の結果は、大臣が承認を決める際の土台になる承認の最終決定、先駆的指定、外国製造業者の認定(いずれも厚生労働大臣)。研究費の配分
地域日本で売る製品。国外の製造所も調査の対象で、外国の製造業者は日本で売るために大臣の認定が要る。国際会議(ICHなど)に参加し、アジアやアフリカの規制づくりを支援他国の承認の決定。他国の制度を変える権限
規模職員1,053人(2025年4月1日)。審査期間は優先品目8.9か月、通常品目11.1か月(2025年度)再生医療等製品だけの職員数・予算(公表資料に独立した数字がない)
国際的な参照先PMDAは「日本の規制モデルの導入に向けた環境整備」を進めたと報告書に書いている(二国間会合など)他国がそのモデルを採用するかどうかの決定
数字の読み方の注意

職員数はPMDA全体(医薬品、医療機器、副作用被害の救済なども含む)の数字です 事実。 審査期間は申請から承認までの総期間で、申請者側の資料整備期間を除く場合があります。 また、条件及び期限付承認は通常の承認とは別の位置づけで、 期限内に有効性を確かめ、あらためて申請する必要があります 事実。

5. 関わっている企業・組織

日本の再生医療の承認は、誰が決め、誰が審査し、誰が研究費を配るかが分かれています。PMDAの資料から確認できる分担を示します。

再生医療等製品の承認の流れ(日本) PMDAが審査し、厚生労働大臣が承認する。審議会は意見を述べる 申請企業 申請書はPMDAの窓口へ PMDA 相談・審査・調査 薬事・食品衛生審議会 意見を述べる 厚生労働大臣 承認を決める PMDAの外にある役割 承認・指定・認定の決定:厚生労働大臣 (PMDAは審査と調査を担当) 研究費の助成:AMEDの事業 2026年3月6日に承認されたiPS細胞由来製品 リハート(クオリプス) iPS細胞由来心筋細胞シート アムシェプリ(住友ファーマ) iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞
図2 再生医療等製品の承認の流れ。出典:PMDAの製造販売手順の案内、条件及び期限付承認のガイダンス(法第23条の26の引用)、2025年度・2026年度の承認品目一覧、厚生労働省の再生医療のページ。審議会の位置づけは、条件及び期限付承認で意見を聴くという法の定めによる。図示は本稿によるもの 本稿の計算。

役割分担

組織再生医療等製品での役割根拠
厚生労働大臣(厚生労働省)製造販売の承認、先駆的指定、外国製造業者の認定を決める。条件及び期限付承認では審議会の意見を聴く。ガイダンスや通知も厚生労働省が出す出典6・7・8・9・11
PMDA相談、承認審査、製造所の調査、安全対策。外国製造所の構造設備の調査も行う出典1・3・8・11
薬事・食品衛生審議会条件及び期限付承認で、大臣に意見を述べる出典6
AMED研究費の助成の事業を持つ。厚生労働省の再生医療のページがAMEDの事業ページを案内している出典13
申請企業クオリプス、住友ファーマなどが申請者として承認品目一覧に載る出典4

6. 今後の見通し

読み取れること根拠となる一次情報区分
条件及び期限付承認の運用は、2024年3月のガイダンスと2025年10月の通知で手続が明文化されたため、今後の再生医療等製品の申請でも使われやすくなるガイダンスと取扱い通知が、申請前相談、評価計画の作成、申請区分を説明している推測
2026年3月に条件及び期限付承認を受けたiPS細胞由来の2品目が、期限内に本承認を得られるか法は7年を超えない範囲で期限を付けると定める。各品目の期限と承認条件の内容は本稿では確認していない未確定/将来
次のiPS細胞由来製品の承認時期PMDAの公表資料に審査予定の見通しは載っていない未確定/将来

7. 用語集

再生医療等製品
細胞に培養などの加工をしたもの(身体の構造・機能の再建などに使う)と、遺伝子治療用の製品。医薬品医療機器法の分類の1つ。
条件及び期限付承認
均質でない再生医療等製品について、有効性が推定されれば、条件と7年を超えない期限を付けて早く承認する制度。
先駆的再生医療等製品
画期性などの条件に合うものとして大臣が指定し、相談・審査で優先する再生医療等製品。
GCTP
再生医療等製品の製造管理・品質管理の基準。PMDAが製造所を調査する。
薬事・食品衛生審議会
厚生労働大臣に意見を述べる審議会。条件及び期限付承認では意見を聴く。

8. 出典

  1. PMDA PMDAとは(名称、2004年4月1日の設立、中期目標管理法人、3つの業務)。 https://www.pmda.go.jp/about-pmda/outline/0001.html
  2. PMDA 業務実績報告書(令和7年度)。職員1,053人(2025年4月1日)、主務大臣、所在地、審査期間、GCTP実地調査、国際調和、出張面談。 https://www.pmda.go.jp/files/000282524.pdf
  3. PMDA 再生医療等製品の承認審査のページ(定義、通知・ガイダンスの一覧、30日調査)。 https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/ctp/0007.html
  4. PMDA 2025年度承認品目一覧(再生医療等製品)。 https://www.pmda.go.jp/files/000280052.pdf
  5. PMDA 2026年度承認品目一覧(再生医療等製品)。 https://www.pmda.go.jp/files/000282058.pdf
  6. 厚生労働省(PMDA掲載) 再生医療等製品に係る条件及び期限付承認並びにその後の有効性評価計画策定に関するガイダンス(2024年3月29日。法第23条の26の条文、7年を超えない期限)。 https://www.pmda.go.jp/files/000267914.pdf
  7. 厚生労働省(PMDA掲載) 再生医療等製品の条件及び期限付承認の取扱いについて(2025年10月6日 医薬機審発1006第1号)。 https://www.pmda.go.jp/files/000277559.pdf
  8. PMDA 再生医療等製品の製造販売手順について(承認は厚生労働大臣、申請書はPMDAの窓口)。 https://www.pmda.go.jp/files/000216666.pdf
  9. PMDA 先駆的医薬品・医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品指定制度について。 https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/0002.html
  10. PMDA 再生医療等安全性確保法に関する適合性調査(特定細胞加工物等の製造許可に係る調査)。 https://www.pmda.go.jp/review-services/gmp-qms-gctp/ensure-safety-regen/0001.html
  11. PMDA 再生医療等製品外国製造業者の認定申請について(認定は厚生労働大臣、構造設備の調査はPMDA)。 https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/foreign-mfr/0011.html
  12. PMDA 新医薬品の承認品目一覧(2025年度)。PMDAの審査と審議会を経て厚生労働大臣が承認するという説明。 https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/p-drugs/0039.html
  13. 厚生労働省 再生・細胞医療・遺伝子治療について(AMEDの再生医療の事業ページへの案内、再生医療等安全性確保法)。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/index.html

9. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
正式名称、2004年4月1日の設立、中期目標管理法人であること事実出典1 https://www.pmda.go.jp/about-pmda/outline/0001.html
職員1,053人(2025年4月1日)、主務大臣が厚生労働大臣であること、所在地事実出典2 https://www.pmda.go.jp/files/000282524.pdf
再生医療等製品の総審査期間(優先品目8.9か月、通常品目11.1か月)、GCTP実地調査8件、出張面談、国際調和の活動事実出典2 https://www.pmda.go.jp/files/000282524.pdf
再生医療等製品の定義、通知・ガイダンス、初回治験計画届書の調査事実出典3 https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/ctp/0007.html
2025年度の承認品目(リハート、アムシェプリを含む)の中身と承認の形事実出典4 https://www.pmda.go.jp/files/000280052.pdf
2026年4月以降の承認品目事実出典5 https://www.pmda.go.jp/files/000282058.pdf
条件及び期限付承認の要件と、7年を超えない期限(法第23条の26)事実出典6 https://www.pmda.go.jp/files/000267914.pdf
条件及び期限付承認の申請前相談と、申請区分事実出典7 https://www.pmda.go.jp/files/000277559.pdf
再生医療等製品の承認は厚生労働大臣が行い、申請書はPMDAの窓口に出すこと事実出典8 https://www.pmda.go.jp/files/000216666.pdf
研究費の助成の事業(AMED)への案内と、再生医療等安全性確保法の改正(2025年5月31日)事実出典13 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/index.html
先駆的指定は大臣が指定し、PMDAは厚生労働省とともに取り組むこと事実出典9 https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/0002.html
特定細胞加工物の製造施設の構造設備の調査と立入検査事実出典10 https://www.pmda.go.jp/review-services/gmp-qms-gctp/ensure-safety-regen/0001.html
外国製造業者の認定は大臣、構造設備の調査はPMDA事実出典11 https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/foreign-mfr/0011.html
PMDAの審査と審議会を経て厚生労働大臣が承認する流れ(新医薬品の説明)事実出典12 https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/p-drugs/0039.html
機関の4つの型の区分、承認の流れの図示本稿の計算本稿による整理(出典6・8・12の記載から作成)
「均質でない」という要件は、細胞製品の品質のばらつきを前提にしていること推測出典6の要件の文言からの本稿の解釈
条件及び期限付承認が今後の申請でも使われやすくなること推測出典6・7の整備状況からの本稿の解釈
2026年3月承認の2品目が期限内に本承認を得られるか未確定/将来各品目の期限と承認条件の内容は本稿では確認していない
次のiPS細胞由来製品の承認時期、再生医療等製品専任の職員数・予算未確定/将来出典1〜5に記載なし。本稿では推計しない

最終更新:2026年10月1日/Troy Technical
本稿の数値はPMDAの公式サイトと業務実績報告書、厚生労働省の通知に基づきます。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈です。医療上の助言ではありません。