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国際幹細胞学会(ISSCR)|iPS細胞・再生医療 機関解説

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INSTITUTION PROFILE / iPS細胞・再生医療

ISSCR(国際幹細胞学会)
― iPS細胞・再生医療の「ものさし」を示す国際学会

ISSCRは米国に本部を置く、幹細胞研究者の国際的な学会です。政府機関ではなく、承認も、法的な規制もしません。その代わりに、研究と臨床応用のガイドラインを書き、年次大会で研究者を集め、各国の規制当局と対話することで、世界の機関や規制が参照する「ものさし」になっています。本稿では、ISSCRがiPS細胞・再生医療にどこまで影響を持つのかを、「参照される」ことと「従わせられる」ことの違いに注意して整理します。

構成:ISSCRの公式サイト(機関紹介、ガイドライン本文、標準、役員、年次大会、会長メッセージ)を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

国際幹細胞学会(ISSCR) — AI生成の概念画像
AI生成の概念画像。解説対象の技術・活動をイメージしたもので、実在の製品・施設・職員の写真や実測結果ではありません。
この記事でわかること
  1. 30秒でわかるISSCR
  2. どんな機関か ― 影響力の「型」
  3. iPS細胞・再生医療で何をしているか
  4. 影響力の範囲(権限と地域)
  5. 関わっている組織(指針が届く先)
  6. 今後の見通し
  7. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるISSCR

正式名称International Society for
Stem Cell Research
略称ISSCR。日本語では「国際幹細胞学会」
国・地域国際(本部は米国)本部は米国イリノイ州エバンストン。会員は80か国超にわたる
機関の種類学術団体(学会)政府機関ではない。学術誌「Stem Cell Reports」も発行
設立20年以上前正確な設立年は本稿で未確認。初版のガイドラインは2006年
人数規模80か国超会員数の公表値は本稿の確認範囲では見つからず。ボランティア150人超
規模の目安年次大会 約3,000人2026年のモントリオール大会。予算額は本稿で未確認
iPS細胞・再生医療への関与指針と標準研究と臨床応用のガイドライン、多能性幹細胞由来治療の手引き
影響が及ぶ範囲国際的な参照先法的拘束力はなく、各国の法令が優先する
まず押さえるべき1点

ISSCRの影響力は「従わせる力」ではなく「参照される力」です。ガイドライン自身が、各国の法令や規則に優先しないと明記しています 事実。それでも影響が大きいのは、英国が2024年に作った幹細胞由来の胚モデルの実務規範がISSCRのガイドラインを土台にしていること、米国科学アカデミーが「ガイドラインは研究機関に広く守られている」と述べていることを、ISSCRが挙げているからです 事実(いずれもISSCR自身の記述です)。承認を決める厚生労働大臣やFDAのような権限は持ちません。

2. どんな機関か ― 影響力の「型」

iPS細胞・再生医療の記事に出てくる「機関」は、企業と違って自分では製品を売りません。その代わりに、どういう経路で業界に影響を与えるかで4つの型に分けられます。

iPS細胞・再生医療を動かす「機関」の4つの型 機関は自分では製品を売らない。どの経路で業界に影響を与えるかで4つに分かれる 資金を出す 研究開発に予算を配る AMED/CIRM 何を研究させるか 届く範囲=予算の対象 政策・規制を決める 承認・制度・法律 厚生労働省/FDA 何を市場に出せるか 届く範囲=自国の領域 標準を決める 指針・ガイドライン ISSCR/ICH どう作り確かめるか 届く範囲=使う側の自主 場をつくる 研究拠点・年次大会 CiRA/ISSCR 誰が研究し会うか 届く範囲=参加者 ISSCRは「標準を決める」型と「場をつくる」型。ただし標準に法的拘束力はない 同じiPS細胞・再生医療でも、どの型の機関かによって影響の届き方がまったく違う
図1 iPS細胞・再生医療に関わる機関の4つの型と、ISSCRの位置。区分は本稿によるもので、機関名は本シリーズで扱う機関から例示しています 本稿の計算。ISSCRは指針(標準)と年次大会(場)の2つを担うため2つの枠を強調しました。

3. iPS細胞・再生医療で何をしているか

活動中身区分
ガイドライン「幹細胞研究と臨床応用のためのガイドライン」。2021年版を全面改訂し、2025年8月に幹細胞由来の胚モデルの部分だけを更新(v1.2)。章は倫理原則、胚研究など、臨床応用、コミュニケーション、研究の標準の5つ事実
未承認の治療への立場実質的に加工した細胞などは、患者に売る前に安全性と有効性を示すべきとする(勧告3.1.1)。未承認の幹細胞治療の臨床使用は、規制の効いた臨床試験などに限るべきとする(勧告3.5.1)。参加費を取る試験は特に精査を求める事実
研究室向けの標準人の幹細胞を使う研究室が守る最低限の特性評価と報告の基準(英語のほか日本語版のPDFもある)事実
多能性幹細胞由来治療の手引き細胞株の選択から製剤の製造まで、9つの法域の規制情報と時間軸を整理したロードマップ(2025年)。産学と規制当局向け事実
年次大会・シンポジウム2026年はモントリオールで約3,000人が参加。2026年10月には京都で「iPSC 20周年シンポジウム」を開催(完売)事実
規制当局との対話英MHRA、EMA、日本のPMDA、韓国MFDSと正式に会合し、FDAやインド・中国の規制当局には意見書を出していると述べている(ISSCRの記述)事実
患者・市民向けの情報未承認の治療と本物の科学を見分けるための資料と無料講座を公開(特定の治療を勧めるものではない)事実

4. 影響力の範囲(権限と地域)

観点ISSCRが持っているものISSCRが持っていないもの
権限ガイドラインと標準を作成・公表する権限。規制当局への意見表明承認・認可の権限、各国の法令を変える権限。ガイドラインは地域の法令に優先しない
地域国際。会員は80か国超。各国の枠組みや大学の方針が参照する特定の国への強制力。参照するかどうかは各国・各機関の判断
拘束力会員や研究機関が自主的に従うことで生まれる「事実上の標準」違反に対する罰則。資金配分による誘導(本稿の確認範囲では見つからず)
規模年次大会 約3,000人、ボランティア150人超会員数・予算額の公表値(本稿では確認できず)
数字と評価の読み方の注意

「世界で広く参照されている」という評価の多くは、ISSCR自身の公式ページに書かれたものです。第三者の評価として挙げられている米国科学アカデミーの言及や英国の規範の例も、本稿はISSCRの記述を通して確認しており、原典は確認していません 未確定/将来。会員数や財務の数字は、本稿で確認した公式ページには見つかりませんでした。

5. 関わっている組織(指針が届く先)

ISSCRの成果物はどこへ届くか 4つの活動から、研究機関や規制の枠組みが自主的に参照する。最終的に決めるのは各国の法令と規制当局 ISSCR(国際幹細胞学会) 80か国超の研究者が参加する学術団体 ガイドライン 研究と臨床応用の指針 2021年版・2025年に更新 標準・手引き 幹細胞の研究室標準 多能性幹細胞治療の手引き 場 年次大会 約3,000人 京都 iPSC 20周年 規制当局との対話 MHRA・EMA・PMDA MFDSと会合、FDAへ意見 参照する側:大学・研究機関・各国の枠組み 英国の胚モデルの実務規範などが指針を土台にしたと記述 決めるのは各国の法令と規制当局 承認は厚生労働大臣、FDA、EMAなどの権限 ※ISSCRの指針は地域の法令に優先しない
図2 ISSCRの成果物が届く先。出典:ISSCRの機関紹介、ガイドライン本文、年次大会・シンポジウムのページ 事実。図中の分類は本稿の整理です 本稿の計算。

ISSCRと日本のつながりも、公式ページから読み取れます。過去の会長には山中伸弥氏(2012〜2013年)と岡野栄之氏(役員表で前会長として掲載)がおり 事実、2026年10月に京都で開く記念シンポジウムでは、山中氏らが基調講演を担当します 事実。また、ISSCRの研究室向け標準には日本語版のPDFがあります 事実。ただし、これらは交流や普及の事例であり、日本の承認制度や研究費の配分にISSCRが権限をもつことを意味しません。

6. 今後の見通し

読み取れること根拠となる一次情報区分
2026年10月19〜22日、京都で「iPSC 20周年シンポジウム」が開かれる(完売で、当日登録はない)開催ページに日程・会場・完売の記載未確定/将来
多能性幹細胞由来の治療が臨床に近づくほど、製造と規制対応の実務文書(手引き、9法域の整理)が重みを増す2025年のロードマップ、および会長メッセージが日本でのiPS細胞由来製品の条件付き承認と複数の後期臨床試験に言及推測
幹細胞由来の疾患モデルを創薬に使う新規アプローチ方法論(NAMs)の標準づくりに重心が広がるISSCRの4つの柱に「疾患モデルと創薬」があり、学界・産業界・規制当局を集めて標準づくりを進めると記述推測

7. 用語集

ISSCR
International Society for Stem Cell Research。幹細胞研究者の国際学会で、ガイドラインや標準を発行する。
ガイドライン
ISSCRが示す研究と臨床応用の指針。法律ではなく、各国の法令に優先しない。
幹細胞由来の胚モデル
幹細胞から作る、初期胚に似た構造。2025年に指針の該当部分が更新された。
多能性幹細胞(PSC)
ES細胞とiPS細胞の総称。さまざまな細胞に分化できる。
NAMs
新規アプローチ方法論。動物実験に代わる、または補う試験法の総称。
未承認の幹細胞治療
規制当局の承認を受けていないのに患者に提供される幹細胞の治療。

8. 出典

  1. ISSCR Our Impact(80か国超、規制当局との定期的な会合、指針の参照例、未承認治療への対応、2025年の多能性幹細胞由来治療のロードマップ)。 https://www.isscr.org/impact
  2. ISSCR Guidelines for Stem Cell Research and Clinical Translation(2021年版、2025年8月の更新 v1.2、全5章)。 https://www.isscr.org/resources/guidelines-for-stem-cell-research
  3. ISSCR ガイドライン オンライン版「Fundamental Ethical Principles」(各国の法令に優先しないとの記述)。 https://www.isscr.org/guidelines-online/fundamental-ethical-principles
  4. ISSCR ガイドライン オンライン版「Clinical Translation of Stem Cell-based Interventions」(勧告3.1.1、3.5.1、参加費を取る試験への注意)。 https://www.isscr.org/guidelines-online/clinical-translation-of-stem-cell-based-interventions
  5. ISSCR Standards for Human Stem Cell Use in Research(研究室向けの最低限の特性評価・報告基準。英語・日本語など)。 https://www.isscr.org/resources/standards
  6. ISSCR Best Practices for the Development of Pluripotent Stem Cell-Derived Therapies(産学・規制当局向けの手引き)。 https://www.isscr.org/resources/translational-best-practices
  7. ISSCR iPSC 20th Anniversary Symposium(2026年10月19〜22日、京都国際会館。完売)。 https://www.isscr.org/upcoming-events/2026-kyoto-international-symposium
  8. ISSCR The Archives(ISSCR 2026年次大会:モントリオール、約3,000人。2025年は香港)。 https://www.isscr.org/the-archives
  9. ISSCR Our People(役員:会長 Lorenz Studer、過去会長に山中伸弥氏・岡野栄之氏)。 https://www.isscr.org/people
  10. ISSCR 会長メッセージ(150人超のボランティア、事務局、臨床応用と新規アプローチ方法論の重点)。 https://www.isscr.org/isscr-news/advancing-discovery-translation-and-global-collaboration
  11. ISSCR FAQ & Resources(所在地:米国イリノイ州エバンストン)。 https://www.isscr.org/faq
  12. ISSCR About Stem Cells(患者・市民向け情報サイト、無料の講座)。 https://www.aboutstemcells.org/

9. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
80か国超、規制当局との会合(MHRA・EMA・PMDA・MFDS)、指針の参照例、2025年のロードマップ(9法域)事実ISSCR自身の記述/出典1 https://www.isscr.org/impact
ガイドライン2021年版、2025年8月の更新(胚モデルの部分)、全5章事実出典2 https://www.isscr.org/resources/guidelines-for-stem-cell-research
ガイドラインは各国の法令に優先しない事実出典3 https://www.isscr.org/guidelines-online/fundamental-ethical-principles
勧告3.1.1、3.5.1、参加費を取る試験への注意事実出典4 https://www.isscr.org/guidelines-online/clinical-translation-of-stem-cell-based-interventions
研究室向けの標準(日本語PDFを含む)事実出典5 https://www.isscr.org/resources/standards
多能性幹細胞由来治療の手引き事実出典6 https://www.isscr.org/resources/translational-best-practices
2026年10月の京都シンポジウムの日程・完売・基調講演者事実出典7 https://www.isscr.org/upcoming-events/2026-kyoto-international-symposium
2026年年次大会の開催地と約3,000人事実出典8 https://www.isscr.org/the-archives
会長と過去会長(山中伸弥氏、岡野栄之氏)事実出典9 https://www.isscr.org/people
ボランティア150人超、事務局、会長が挙げる重点(臨床応用・NAMs・国際協力)事実出典10 https://www.isscr.org/isscr-news/advancing-discovery-translation-and-global-collaboration
本部の所在地事実出典11 https://www.isscr.org/faq
患者・市民向けの情報サイトと講座事実出典12 https://www.aboutstemcells.org/
機関の4つの型の区分、図2の分類本稿の計算本稿による整理
会員数、予算額、設立年、第三者評価の原典確認未確定/将来出典1〜12に記載なし。本稿では推計しない
第6章の見通し2項目(推測)推測出典1・6・10の記述からの本稿の解釈

最終更新:2026年10月1日/Troy Technical
本稿の数値はISSCRの公式サイトに基づきます。評価に関する記述の多くはISSCR自身の発信です。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈です。