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フェイト・セラピューティクス|iPS細胞・再生医療 企業解説

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COMPANY PROFILE / iPS細胞・再生医療

フェイト・セラピューティクス
― iPS細胞から「作り置きの免疫細胞」を量産し、自己免疫疾患とがんの臨床試験を進める会社

Fate Therapeuticsは、本シリーズの意味でのiPS細胞・細胞治療の会社です。 ヒトiPS細胞に複数の遺伝子改変を加え、そこから1つの「クローナルマスターiPS細胞株」を選んで増やし、T細胞やNK細胞を量産するという方式を採っています。 会社は、iPS細胞由来のCAR-T細胞として世界で初めて臨床試験に入ったと自社の10-Kで説明しています。 2025年12月末の従業員は161名、売上はONO(小野薬品工業)との共同研究収入のみで、2026年6月末の現金等は1億5,380万米ドルです。 本稿では、何を作り、誰と組み、どこまで進み、何が未確定かを、会社の法定開示とClinicalTrials.govだけで整理します。

構成:Fate Therapeuticsが米国SECに提出した2025年12月期Form 10-K(2026年2月26日)と2026年6月期Form 10-Q(2026年8月13日)、ClinicalTrials.govを一次情報として使用/最終更新 2026年10月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるFate Therapeuticsと、iPS細胞・再生医療での立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. iPS細胞・再生医療の世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模
  5. iPS細胞・再生医療にかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社はiPS細胞・再生医療で何を目指しているか
  9. iPS細胞・再生医療分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるフェイト・セラピューティクスと、iPS細胞・再生医療での立ち位置

正式名称Fate Therapeutics, Inc.日本語表記は本稿での片仮名(フェイト・セラピューティクス)
本社米国カリフォルニア州
サンディエゴ
2007年にデラウェア州で設立
上場Nasdaq: FATENasdaq Global Market
この分野での区分iPS細胞・細胞治療細胞を作る会社(ゲノム編集は従)
治療の仕組みiPS細胞由来の
CAR-T・CAR-NK細胞
作り置き型(他家)。複数の遺伝子改変を加える
先頭の開発品FT819(ループス)第1相試験を実施中。2026年7月にループス腎炎の第2相を開始
従業員161名2025年12月31日。自社のGMP製造施設を持つ
資金現金等 US$153.8百万2026年6月30日。少なくとも12か月の運営資金と会社は見込む
まず押さえるべき1点

この分野で多い「iPS細胞の会社」は、心筋や神経など体の組織を作るタイプですが、Fate Therapeuticsは免疫細胞(T細胞・NK細胞)を作るタイプです 事実。 iPS細胞を「無限に増える材料」として使い、1つの細胞株から同じ品質の細胞を大量に作ることで、患者さんごとに細胞を作る自家CAR-Tの課題(時間・費用・ばらつき)を避けようとしています。 対象疾患は全身性エリテマトーデス(SLE、ループス)などの自己免疫疾患とがんです。 結果の数値はいずれも少数例の初期試験のもので、治療効果を保証するものではありません。

2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は Fate Therapeutics, Inc.(米国デラウェア州法人)。 「FT819」「FT825」などは開発コード名で、承認された医薬品の名前ではありません。 FT825はONO-8250とも呼ばれ、小野薬品工業(Ono Pharmaceutical)との共同開発品です。 同社は10-Kで「iPS由来CAR-T細胞として初めて臨床試験に入った」と述べていますが、これは会社の説明であり、本稿では独自に確認していません。

公式サイト:https://fatetherapeutics.com/

3. iPS細胞・再生医療の世界で、この会社はどこにいるか

iPS細胞・再生医療に関わる企業の3つの類型 同じ「再生医療の会社」でも、治し方がまったく違う 大手製薬・事業会社 ゲノム編集・遺伝子治療 iPS細胞・細胞治療 提携・買収で参入し、販売網を持つ 遺伝子を直接書き換えて治す 細胞そのものを作り、移植する Vertex/Novartis Bristol Myers Squibb ほか CRISPR Therapeutics/Intellia Beam/Prime Medicine ほか Fate/Sana クオリプス/Heartseed ほか 後期臨床と販売網の資金力 編集ツールと安全性評価の深さ 細胞製造と品質管理の量産力 自社の細胞・遺伝子の基盤は薄い 提携先の方針転換に左右される 製造費と長期の安全性が重い 主たる類型は「iPS細胞・細胞治療」。iPS細胞から作る作り置き型の免疫細胞が事業の中心 ゲノム編集で複数の機能を付けるが、編集ツールの会社ではなく、細胞の量産と品質で勝負する会社
図1 iPS細胞・再生医療に関わる企業の3類型と、Fate Therapeuticsの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。Fate Therapeuticsはこの分野の「iPS細胞・細胞治療」の類型で、従たる類型は「ゲノム編集」です。

iPS細胞を使う点では、心筋や神経を作る日本のiPS企業と共通しますが、作るのは免疫細胞で、狙いは体に注入して病気の細胞を取り除くことです。 同社はiPS細胞の段階で遺伝子改変を加え、きちんと改変できた1つの細胞から細胞株を作ります(クローナルマスターiPS細胞株)。 関連する考え方は本シリーズの技術解説「iPS細胞」「iPS由来の免疫細胞」「CAR-T細胞」「細胞製造とセルバンク」「MHCとユニバーサルドナー」にあります。

4. 会社の規模

臨床段階の会社なので、見るべきは売上よりも研究開発費と手元資金です 事実。金額は米ドルです。

指標(百万米ドル)2024年12月期2025年12月期2026年1〜6月
売上(Onoとの協業収入)13.66.63.4
研究開発費135.0107.849.1
純損失(186.3)(136.3)(61.4)
設備投資(有形固定資産の購入)0.76.0―
項目内容時点
現金等(現金・投資)US$205.1百万2025年12月31日
現金等(現金・短期投資)US$153.8百万2026年6月30日
資金の見通し(会社)少なくとも次の12か月は運営できる見込み10-Q
従業員161名(研究開発27、臨床開発・製造・薬事103、管理31)2025年12月31日
累積赤字約US$16億2026年6月30日
ここで注意

売上はすべてOnoとの協業収入で、製品の売上はありません 事実。 研究開発費は2024年の135.0百万ドルから2025年の107.8百万ドルへ減りました。 会社は事業の絞り込みを進めており、資金調達に頼る構造は変わっていません。

5. iPS細胞・再生医療にかけているリソース

金額は開示された範囲のみ、非開示のものは「確認できず」と書きます。

リソースの種類内容区分
人従業員161名(2025年12月末)。研究開発27、臨床開発・製造・薬事103、管理31事実
研究・製造拠点サンディエゴの本社に約200,000平方フィートの事務・研究・GMP製造スペース(賃借は2036年5月まで)。40,000平方フィート超のGMP施設を自社で運営。2024年10月にトーリーパインズの約72,000平方フィートの賃借を早期解約事実
金:研究開発費2025年12月期 US$107.8百万(前期は US$135.0百万)。2026年1〜6月 US$49.1百万事実
金:製造設備投資有形固定資産の購入は2025年 US$6.0百万、2024年 US$0.7百万事実
製造自社のcGMP製造施設(サンディエゴ)に加え、一部の工程を医療機関の細胞療法施設とCMOに委託。重要な原料の一部は研究用グレードで、単一供給元もある事実
外部からの導入(ライセンス)Memorial Sloan Kettering Cancer Center(iPS由来CAR-T・NK、2016年、2018年に改訂)、Whitehead Institute(リプログラミング関連、2009年)、ミネソタ大学(NK細胞関連、2016年12月)事実
外部への出資・買収スタートアップへの出資・買収は10-Kに記載なし確認できず
公的資金カリフォルニア再生医療研究所(CIRM)からFT819向けに最大US$7.9百万(2024年)、FT836向けにUS$4.0百万(2025年)事実
製薬企業との連携小野薬品工業(Ono)。2018年から固形がん向けのiPS由来CAR-T・CAR-NK細胞を共同研究事実
知財発行済み特許600件超、出願中550件超事実
素材技術者の視点:iPS細胞の「無限増殖」を支える培地・凍結・原料の品質

10-Kは製造を3段階で説明しています。(1)健康なドナー細胞からDNAを組み込まない方式でiPS細胞に初期化し、遺伝子改変して1つの細胞から細胞株を作る、(2)細胞株から造血前駆細胞を経てT細胞・NK細胞へ分化・増殖、(3)洗浄・製剤化して単回分の凍結バッグに充填。 材料面で効くのは、分化を誘導する培地・成長因子の品質(研究用グレードのままの原料もあると会社自身が述べています)、凍結保存液と解凍後の生存率、閉鎖系で扱う培養バッグ・装置です 事実。 会社は原料の一部が単一供給元で、長期の供給契約もないとリスクに挙げています。具体的な原料名・供給元は非開示です 未確定/将来。

6. これまでの取り組み

時系列は法定開示とClinicalTrials.govで確認できたものに限ります。

時期できごと意味
2007年デラウェア州で設立。本社はサンディエゴiPS細胞の登場前後に創業
2009年2月Whitehead Instituteとライセンス契約(リプログラミング関連の特許)iPS細胞の基盤特許の一部を導入
2016年MSKCCとライセンス契約(2018年5月に改訂)、ミネソタ大学とライセンス契約(12月)iPS由来のCAR-T・NK細胞の権利を確保
2018年9月小野薬品工業と協業契約。一時金US$10.0百万固形がん向けの共同研究
2022年11月OnoがFT825(ONO-8250)のオプションを行使。費用US$12.5百万。Fateは米国・欧州で共同開発・共同販売を選択FT825が共同開発品になった
2024年1月FT825の第1相試験を開始(NCT06241456)固形がん向けiPS由来CAR-T
2024年2月〜3月CIRMがFT819に最大US$7.9百万の助成。FT819のSLE第1相試験を開始(NCT06308978)自己免疫疾患に本格参入
2024年10月FT522(CAR-NK)のINDをFDAが許可。トーリーパインズの賃借を早期解約事業の絞り込み
2025年4月FT819がSLE向けにFDAからRMAT指定開発・審査の面で優遇
2025年7月〜11月FT836のINDをFDAが許可(7月)。FT819を英国(8月)・EU(10月)で試験許可。10月に全身性硬化症の1例目、11月にFT836の1例目を投与試験を米国外へ拡大
2026年7月FT819のループス腎炎向け第2相試験RECLAIM-LN(NCT07570862)を開始登録を意識した試験へ進んだ

7. 今後の計画

FT819(SLE・ループス腎炎)第2相RECLAIM-LNを実施想定53名。主要評価項目は26週の完全腎奏効。完了予定2029年7月(推計)
FT819(他の自己免疫疾患)用量拡大を継続全身性硬化症、ANCA関連血管炎、特発性炎症性筋疾患。第1相は想定244名
FT839第1/2相を2026年10月に開始予定ClinicalTrials.gov上の推計。想定446名。2026年にIND準備を完了予定
FT825/FT836(固形がん)第1相を継続FT825は想定351名、FT836は想定119名

会社は10-Kで、FT819をループス腎炎の第2相(登録を可能にする試験)から進め、その後に腎外ループス向けの第2の試験を行い、数年かけて生物学的製剤承認申請(BLA)に進むのが最終目標だと述べています 未確定/将来。 FT819のFDAへの追加手続きとして、FT819-201試験がFDAのCMC(製造・品質管理)迅速化パイロットプログラム(CDRP)に選ばれたと10-Qに記載があります。

確認できなかったこと

次はいずれも一次資料に記載がありません 未確定/将来。

BLA提出の具体的な時期/FT839の実際の投与開始日/各品目の製造規模(年間の投与可能数)/想定する薬価/商業製造の委託先の社名。 「いつ承認される」といった断定は、本稿では行いません。

8. この会社はiPS細胞・再生医療で何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
事業の重心はがんから自己免疫疾患へ移った10-Kの戦略の筆頭がFT819のSLE。FT819のRMAT指定、第2相開始、自己免疫の基本試験の拡大が続く推測
前処置(強い抗がん剤)を減らす・なくすことが差別化の軸FT819はフルダラビンを使わない前処置と、前処置なしの群(Regimen B)を試験。FT522・FT836は同種免疫防御受容体(ADR)で前処置を不要にする設計事実
入院を短くし、通院で使える細胞治療を狙っているFT836は初回24時間の入院、2回目は外来を想定する旨を10-Kが記載事実
固形がんはOnoの資金と力を借りて進める固形がんのFT825は共同開発で、Fateの売上はOno由来のみ。Onoとの契約は何度も改訂推測
現状は製品の売上ではなく、提携収入と調達に頼る売上は協業収入のみ。会社は資金調達の必要性を述べている事実
推測の根拠を1つだけ詳しく

10-Kの戦略の最初に置かれているのは「FT819でSLEの治療上の差別化を確立する」です 事実。 2025年4月のRMAT指定、2026年7月の第2相開始、第1相の対象疾患の拡大、FDAのCDRPへの選定と、1つの品目に手続きが集中して積み上がっていることが読み取れます。 ここから本稿は、会社の資源がFT819に最優先で向かっていると読みます。 ただし、第1相の少数例のデータ(2025年10月22日時点で1か月以上追跡できた10名)からループス腎炎の第2相へ進む判断の妥当性は、第2相の結果が出るまで確認できません 未確定/将来。

9. iPS細胞・再生医療分野の提携マッピング

Fate Therapeuticsを中心とした提携関係 2025年12月期 Form 10-Kと2026年6月期 Form 10-Qに記載のある関係のみ。報道ベースは含まない Fate Therapeutics 小野薬品工業 固形がんの共同開発・オプション MSKCC iPS由来CAR-T・NKの特許を導入 Whitehead Institute リプログラミング特許を導入 ミネソタ大学 NK細胞関連の特許を導入 CIRM(カリフォルニア) FT819・FT836の臨床助成 CMO・医療機関の施設 製造の一部を委託(社名非開示) 共同開発・導入/導出 公的・非営利の資金・研究連携 製造受託・供給・材料
図2 出典:2025年12月期 Form 10-K、2026年6月期 Form 10-Q。図に含めたのは開示された関係だけです。CMOと医療機関の細胞療法施設は社名が非開示のため総称にしています。Fateは自社のGMP製造施設も持ちます。

10. 提供している技術・製品・サービス

製品はまだありません。提供しているのはiPS細胞由来の免疫細胞の開発候補と、そのiPS細胞株づくりの技術です 事実。

品目細胞種対象段階(2026年9月時点)
FT819CAR-T(CD19標的)SLE、ループス腎炎、全身性硬化症、血管炎、筋炎第1相(NCT06308978)と第2相RECLAIM-LN(NCT07570862)。RMAT指定(SLE)
FT522CAR-NK(CD19標的、ADR)B細胞性リンパ腫、自己免疫疾患リンパ腫の第1相は完了。自己免疫は時期を評価中
FT825/ONO-8250CAR-T(HER2標的)固形がん第1相(NCT06241456)。Onoと共同
FT836CAR-T(MICA/B標的)固形がん第1相(NCT07216105)。前処置なしの併用試験
FT839二重CAR-T(CD19・CD38)がん・自己免疫疾患第1/2相(NCT07800871)を2026年10月に開始予定(推計)

FT819の臨床データ(会社の公表。いずれも少数例の試験)

SLE向け第1相(NCT06308978)では、2025年11月25日時点で12名が投与されました。2025年10月22日時点で1か月以上追跡できた10名のうち6名がループス腎炎でした。 用量レベル1(3億6,000万個)の平均SLEDAI-2Kスコアは、ベースラインの15.2(5名)から3か月で10.7(2名)、6か月で6(2名)に低下したと会社は報告しています。 用量レベル2(9億個)では14.3(3名)から3か月で6(2名)、6か月で4(1名)でした。 腎機能の面では、追跡が3か月を超えた2名のループス腎炎患者さんが、それぞれ2か月・6か月で完全腎奏効に達したと記載されています。 いずれも対象は数名で、比較対照はなく、評価時点も短いため、効果を示すものではありません 事実。

安全性として、会社は用量制限毒性がなく、グレード2を超えるCRS・ICANS・GvHDの報告がないと述べています。以前のB細胞性腫瘍の試験(43名)では、ICANS・GvHDは報告されず、軽症のCRSは14%でした。

素材技術者の視点:「改変を重ねたiPS細胞を1つ選ぶ」工程が品質の核

FT819はTCRの遺伝子座にCARを挿入し、TCRの発現をなくす(GvHDの防止)設計で、FT522・FT836はさらに同種免疫防御受容体(ADR)を加えています 事実。 材料・工程の面では、多数の改変を持つ細胞が1つの細胞株として安定して増え、分化後も同じ性質を保てるかが品質の核で、これを支えるのが培地の組成、足場の有無、継代の条件、凍結・解凍の条件です。 具体的な条件は非開示で、ここは一般論です 未確定/将来。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
資金現金等は2026年6月末でUS$153.8百万。製品の売上はなく、追加の調達が前提事実
臨床の初期段階FT819のデータは少数例の第1相。第2相は2026年7月に始まったばかりで、結果は2029年ごろ(推計)事実
製造と原料重要な原料の一部が研究用グレードで、単一供給元があり、長期供給契約もない。iPS由来細胞の品質の一貫性が課題事実
提携先への依存売上はOnoだけ。契約は複数回改訂されており、固形がんの進み方はOnoとの関係に左右される事実
ライセンスの支払いMSKCCには、臨床上のマイルストーン達成後に株価に連動して最大US$75.0百万の支払い義務がある事実
競合10-Kは、自家・同種を含む細胞免疫療法に多数の企業が取り組んでいると述べている事実
焦点の移動がんから自己免疫疾患へ重心が移っており、固形がん品目の優先度が下がる可能性推測

12. 用語集

iPS細胞
体の細胞を初期化して作る、ほぼ無限に増える多能性幹細胞。Fateは免疫細胞の原料として使う。
クローナルマスターiPS細胞株
遺伝子改変を確かめた1個の細胞から増やした細胞株。ここから同一の細胞製品を繰り返し作る。
作り置き型(オフ・ザ・シェルフ)
患者さんごとに作るのではなく、あらかじめ多数分を作って保管し、必要なときに使う方式。
CAR-T/CAR-NK
がん細胞などの目印を見つける受容体(CAR)を持たせたT細胞/NK細胞。
TRAC遺伝子座
T細胞受容体の遺伝子の場所。CARをここに挿入すると発現が揃い、GvHDも抑えられる。
ADR(同種免疫防御受容体)
Fateの技術。患者さんの活性化した免疫細胞を標的にして、投与細胞が排除されるのを防ぐ。
SLE(全身性エリテマトーデス)
免疫が自分の組織を攻撃する自己免疫疾患。腎臓に起きたものがループス腎炎。
SLEDAI-2K
SLEの病気の活動度を点数で表す評価指標。数値が小さいほど活動が低い。
RMAT
再生医療先端治療。FDAが重い疾患向けの再生医療製品に与える指定。
CIRM
カリフォルニア再生医療研究所。州の公的資金で再生医療の臨床試験などを助成する機関。
GvHD
移植片対宿主病。ドナー由来の細胞が患者さんの組織を攻撃する合併症。
CMC/CDRP
製造・品質管理(CMC)。CDRPはFDAが製造面の議論を早める試行的プログラム。
概念図:1つの細胞株から免疫細胞を大量に作り、小分けに凍結保存して必要なときに使う流れAI生成による概念図
図3 FateのiPS細胞由来免疫細胞の製造の概念図(AI生成による概念図。実際の設備・製品・患者を写したものではありません)。

13. 出典

  1. Fate Therapeutics Form 10-K(2025年12月期、米国SEC提出、2026年2月26日)。事業内容・パイプライン・臨床結果・提携・財務・従業員・製造・ライセンス。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526073699/fate-20251231.htm
  2. Fate Therapeutics Form 10-Q(2026年6月30日終了四半期、米国SEC提出、2026年8月13日)。現金残高、Onoとの契約、CIRM助成、2026年上半期の財務。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526347988/fate-20260630.htm
  3. 米国国立医学図書館 ClinicalTrials.gov NCT06308978(FT819、自己免疫疾患の第1相試験)。 https://clinicaltrials.gov/study/NCT06308978
  4. 米国国立医学図書館 ClinicalTrials.gov NCT07570862(FT819、ループス腎炎の第2相試験RECLAIM-LN)。 https://clinicaltrials.gov/study/NCT07570862
  5. 米国国立医学図書館 ClinicalTrials.gov NCT06241456(FT825/ONO-8250、固形がんの第1相試験)。 https://clinicaltrials.gov/study/NCT06241456
  6. 米国国立医学図書館 ClinicalTrials.gov NCT07216105(FT836、固形がんの第1相試験)。 https://clinicaltrials.gov/study/NCT07216105
  7. 米国国立医学図書館 ClinicalTrials.gov NCT07800871(FT839、自己免疫疾患の第1/2相試験)。 https://clinicaltrials.gov/study/NCT07800871
  8. Fate Therapeutics 公式サイト(ロゴ・会社概要の確認用)。 https://fatetherapeutics.com/

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
正式名称(Fate Therapeutics, Inc.)、本社所在地、Nasdaq上場、2007年設立事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526073699/fate-20251231.htm
従業員161名と部門別の内訳事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526073699/fate-20251231.htm
施設(サンディエゴ約200,000平方フィート、賃借2036年5月まで)、40,000平方フィート超のGMP施設事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526073699/fate-20251231.htm
売上・研究開発費・純損失(2024・2025年12月期)、設備投資事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526073699/fate-20251231.htm
2026年1〜6月の売上・研究開発費・純損失、現金等US$153.8百万、累積赤字、12か月の運営資金事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526347988/fate-20260630.htm
2025年12月末の現金等US$205.1百万事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526073699/fate-20251231.htm
製造の3段階、自社のcGMP製造施設とCMO・医療機関の併用、研究用グレード原料と単一供給元事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526073699/fate-20251231.htm
MSKCC・Whitehead・ミネソタ大学のライセンス、MSKCCへの株価連動の支払い最大US$75.0百万事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526073699/fate-20251231.htm
Onoとの協業契約(2018年9月、一時金US$10.0百万、FT825オプション行使US$12.5百万)事実出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526073699/fate-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526347988/fate-20260630.htm
CIRMの助成(FT819 US$7.9百万、FT836 US$4.0百万)事実出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526073699/fate-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526347988/fate-20260630.htm
FT819のSLE向け第1相の概要・開始日・評価項目・想定登録数事実出典3 https://clinicaltrials.gov/study/NCT06308978
FT819のループス腎炎向け第2相RECLAIM-LN(開始日、主要評価項目、想定53名)事実出典4 https://clinicaltrials.gov/study/NCT07570862
FT825の第1相(開始2024年1月、想定351名)事実出典5 https://clinicaltrials.gov/study/NCT06241456
FT836の第1相(開始2025年11月、想定119名)、前処置なしの設計事実出典1・6 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526073699/fate-20251231.htm https://clinicaltrials.gov/study/NCT07216105
FT839の第1/2相(開始予定2026年10月、想定446名)事実出典7 https://clinicaltrials.gov/study/NCT07800871
FT819のSLEデータ(2025年10月22日・11月25日時点)、B細胞性腫瘍43名の結果事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526073699/fate-20251231.htm
FT819のRMAT指定(2025年4月)、MHRA・EMAの試験許可、FT819-201のCDRP選定事実出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526073699/fate-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526347988/fate-20260630.htm
FT522のIND許可(2024年10月)、リンパ腫の第1相の完了事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1434316/000119312526073699/fate-20251231.htm
BLA提出の時期・FT839の実際の投与開始日・製造規模・薬価・商業製造の委託先未確定/将来一次資料に記載なし。本稿では推定しない
スタートアップへの出資・買収、国の補助金(CIRM以外)未確定/将来10-Kに記載なし。本稿では存在しないとも断定しない
事業の重心ががんから自己免疫疾患へ移ったという読み推測10-Kの戦略の記載順とFT819の手続きの積み重ねからの本稿の解釈
固形がんはOnoの資金と力を借りて進めるという読み推測Onoとの契約構造と売上構成からの本稿の解釈
焦点の移動で固形がん品目の優先度が下がる可能性推測本稿の解釈
培地・凍結・原料の材料面の課題未確定/将来一般論としての本稿の解説。会社は管理値を開示していない

最終更新:2026年10月1日/Troy Technical
本稿の数値はすべてFate Therapeuticsが米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類とClinicalTrials.govに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。本稿は特定の治療を勧めるものではなく、医療上の助言ではありません。