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カリブー・バイオサイエンシズ|iPS細胞・再生医療 企業解説

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COMPANY PROFILE / iPS細胞・再生医療

カリブー・バイオサイエンシズ
― 健康なドナーの細胞をCRISPRで編集し、「作り置きできるCAR-T」で第3相試験の準備に入った会社

Caribou BiosciencesはiPS細胞を使う会社ではなく、ゲノム編集で細胞治療を作る会社です。 健康なドナーのT細胞を、独自のCRISPR技術「chRDNA」で複数箇所編集し、あらかじめ作り置きできる(他家・同種の)CAR-T細胞を、血液がんの治療候補として開発しています。 2025年4月には開発品を2つに絞り、従業員を約32%減らしました。 2026年5月には主力のvispa-cel(ビスパセル)の第3相試験の設計についてFDAと合意したと公表し、2026年6月末の現金等は1億1,380万米ドルです。 本稿では、何を開発し、誰と組み、どこまで進み、何が未確定かを、会社の法定開示とClinicalTrials.govだけで整理します。

構成:Caribou Biosciencesが米国SECに提出した2025年12月期Form 10-K(2026年3月5日)と2026年6月期Form 10-Q(2026年8月13日)、ClinicalTrials.govを一次情報として使用/最終更新 2026年10月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるCaribou Biosciencesと、iPS細胞・再生医療での立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. iPS細胞・再生医療の世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模
  5. iPS細胞・再生医療にかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社はiPS細胞・再生医療で何を目指しているか
  9. iPS細胞・再生医療分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるカリブー・バイオサイエンシズと、iPS細胞・再生医療での立ち位置

正式名称Caribou Biosciences, Inc.日本語表記は本稿での片仮名(カリブー・バイオサイエンシズ)
本社米国カリフォルニア州
バークレー
約71,735平方フィートの研究・事務所を賃借
上場Nasdaq: CRBUNasdaq Global Select Market
この分野での区分ゲノム編集(主)
細胞治療(従)
iPS細胞は使わない(10-Kに記載なし)
治療の仕組み同種CAR-T細胞
(作り置き型)
健康なドナーのT細胞をCRISPR chRDNAで編集
先頭の開発品vispa-cel(CD19標的)大細胞型B細胞リンパ腫。第3相試験ANTLER-3を計画
従業員97名2026年2月27日(2025年4月に約32%削減)
資金現金等 US$113.8百万2026年6月30日。少なくとも12か月の運営資金と会社は見込む
まず押さえるべき1点

この分野の企業は、患者さん自身の細胞を使う(自家)か、他人の細胞を使う(同種)かで作り方が大きく変わります。 Caribouは後者で、健康なドナーのT細胞から1回の製造で多数の投与分を作り置きする方式を目指しています 事実。 同種の細胞は患者さんの体で「異物」として攻撃されたり、逆に患者さんの組織を攻撃したりする問題があるため、会社はCRISPRで複数の遺伝子を編集してこれを抑える設計にしています。 結果の数値はいずれも少数例の第1相試験(比較対照なし)のもので、治療効果を保証するものではありません。

2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は Caribou Biosciences, Inc.(米国デラウェア州法人)。 「vispa-cel」は旧称CB-010で、ビスパセルと読まれます。開発コード名であり、承認された医薬品の名前ではありません。 CRISPRの基本特許をめぐっては、会社はカリフォルニア大学・ウィーン大学から基本特許群のライセンスを受けています。 同じCRISPR特許群の共同保有者の一人(Charpentier博士)からは、10-Kによればライセンスを受けていません。

公式サイト:https://www.cariboubio.com/

3. iPS細胞・再生医療の世界で、この会社はどこにいるか

iPS細胞・再生医療に関わる企業の3つの類型 同じ「再生医療の会社」でも、治し方がまったく違う 大手製薬・事業会社 ゲノム編集・遺伝子治療 iPS細胞・細胞治療 提携・買収で参入し、販売網を持つ 遺伝子を直接書き換えて治す 細胞そのものを作り、移植する Vertex/Novartis Bristol Myers Squibb ほか CRISPR Therapeutics/Intellia Beam/Prime Medicine ほか Fate/Sana クオリプス/Heartseed ほか 後期臨床と販売網の資金力 編集ツールと安全性評価の深さ 細胞製造と品質管理の量産力 自社の細胞・遺伝子の基盤は薄い 提携先の方針転換に左右される 製造費と長期の安全性が重い 主たる類型は「ゲノム編集」、従たる類型は「細胞治療」。編集した同種CAR-T細胞が事業の中心 患者さん自身ではなく健康なドナーのT細胞を使う点と、iPS細胞を使わない点がこの会社の特徴
図1 iPS細胞・再生医療に関わる企業の3類型と、Caribou Biosciencesの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。Caribouは「ゲノム編集・遺伝子治療」と「iPS細胞・細胞治療」にまたがり、主はゲノム編集です。iPS細胞は使いません。

同種CAR-Tでは、ドナーの細胞が患者さんの組織を攻撃する「移植片対宿主病(GvHD)」と、患者さんの免疫が投与細胞を排除する拒絶の両方を抑える必要があります。 Caribouは、T細胞受容体(TCR)の遺伝子を壊してGvHDを抑え、さらにB2M遺伝子の除去とHLA-E融合分子の導入で拒絶を抑える設計を採用しています 事実。 考え方は本シリーズの技術解説「MHCとユニバーサルドナー」「CAR-T細胞」「自家と同種」「サイトカイン放出症候群」と重なります。

4. 会社の規模

臨床段階の会社なので、見るべきは売上よりも研究開発費と手元資金です 事実。金額は米ドルです。

指標(千米ドル)2024年12月期2025年12月期2026年1〜6月
売上(ライセンス・協業収入)9,99411,1593,896
研究開発費130,153109,43939,553
純損失(149,105)(148,125)(49,367)
設備投資(有形固定資産の購入)4,8801,359―
項目内容時点
現金等(現金・有価証券)US$142.8百万2025年12月31日
現金等(現金・有価証券)US$113.8百万2026年6月30日
資金の見通し(会社)提出日から少なくとも12か月は運営できる見込み。ただし第3相試験を完全に賄うには追加資金が必要10-Q
従業員97名2026年2月27日
累積赤字US$645.9百万2026年6月30日
創業からの調達額(純額)US$849.0百万2025年12月31日まで
ここで注意

売上はライセンス収入などで、製品の売上はありません。会社は、第3相試験ANTLER-3を完全に賄うには追加の資金が必要だと自ら述べています 事実。株式の売出し(ATM)で2026年上半期に約2,010万米ドルを調達しています。

5. iPS細胞・再生医療にかけているリソース

金額は開示された範囲のみ、非開示のものは「確認できず」と書きます。

リソースの種類内容区分
人従業員97名(2026年2月)。2025年4月に47名(約32%)を削減事実
研究拠点バークレー(カリフォルニア州)に約71,735平方フィート。賃借は2032年7月と2033年3月に満了(各5年延長可)事実
金:研究開発費2025年12月期 US$109.4百万(前期比 −US$20.7百万)。2026年1〜6月 US$39.6百万事実
製造自社の製造設備は持たない。5つの受託製造機関(CMO)が、ガイドRNA、Cas9/Cas12aタンパク質、プラスミド、AAV6ベクターなどを供給し、別のCMOがCAR-T細胞本体を製造。将来の自社工場は「検討の可能性」にとどまる事実
外部からの導入(ライセンス)カリフォルニア大学・ウィーン大学からCRISPR-Cas9基本特許群を導入。ProMab社からBCMA標的のscFvと特許を購入(2020年1月、契約時一時金US$0.4百万)事実
外部への出資・買収スタートアップへの出資・買収は10-Kに記載なし。Intellia株の売却収入を資金源の一つとしている事実
外部からの出資Pfizerが2023年6月に4,690,431株を約US$25.0百万で取得(用途はCB-011などBCMA標的品目に限定)事実
公的資金・補助金国の補助金・公的助成金は10-Kに記載なし確認できず
大学・研究機関カリフォルニア大学・ウィーン大学(特許ライセンス)。Memorial Sloan Kettering Cancer Centerとのライセンスは2025年8月に終了事実
素材技術者の視点:作り置き型の細胞治療は、材料の品質が量産の可否を決める

10-Kによれば、同社の治療はガイドRNA(chRDNAは一部がDNAに置き換わったハイブリッド型)、Cas酵素、遺伝子を入れるためのウイルス(AAV6ベクターなど)、そしてドナー由来T細胞の4つの資材・工程で成り立っています。 特にウイルスの供給元が米国外のCMOに限られ、FDAの監査を受けていない点を、会社自身がリスクとして挙げています 事実。 同種の作り置き型では、1つのロットから多数の投与分を作るため、培養・凍結保存・解凍後の生存率といった工程の再現性が、そのまま供給の安定性になります 未確定/将来。 これらの管理値は会社から開示されておらず、本稿は材料・工程の一般論として書いています。

6. これまでの取り組み

時系列は法定開示とClinicalTrials.govで確認できたものに限ります。

時期できごと意味
2011年創業者はJennifer Doudna博士ら。CEOはRachel Haurwitz博士(創業以来)CRISPR-Cas9の開発者が創業に関わった
2013〜2015年カリフォルニア大学・ウィーン大学からCRISPR-Cas9基本特許群を導入。Intellia、Pioneer(現Corteva Agriscience)と特許を相互許諾基本特許を広く利用できる体制を作った
2020年12月PioneerからchRDNAの特許群の所有権を譲り受けるchRDNA技術が自社特許になった
2021年5月vispa-cel(旧CB-010)の第1相試験ANTLERを開始(ClinicalTrials.gov上の開始日)同種CAR-Tの初のヒト試験
2023年2月CB-011の第1相試験CaMMouflageを開始BCMA標的の多発性骨髄腫
2023年6月PfizerがUS$25.0百万を出資BCMA標的品目の開発資金
2024年2月CB-012(CLL-1標的)の第1相試験AMpLifyを開始急性骨髄性白血病向け
2025年4月24日事業の優先順位づけ。GALLOP(ループス)はdosing前に中止、CB-012は中止、前臨床研究も中止、47名削減vispa-celとCB-011の2つに集中
2025年8月MSKCCとのライセンスを終了(CB-012の中止に伴う)CB-012関連の権利を手放した
2025年11月3日ANTLER確認コホートとCaMMouflage用量漸増のデータを公表第3相試験の設計の根拠
2025年末CaMMouflageの用量拡大を開始CB-011は拡大コホートへ
2026年5月7日FDAと第3相試験ANTLER-3の設計で合意と公表承認申請に向けた試験の枠組みが固まった
2026年6月11日ANTLERとCaMMouflageの追跡データを更新。CB-011がRMAT指定長期追跡の数値を更新

7. 今後の計画

vispa-celANTLER-3(第3相)を計画無作為化比較試験。約250名。FDAと設計で合意(2026年5月)。開始時期は未開示
CB-011用量拡大コホートを継続CaMMouflage第1相。2025年末に開始
承認申請時期の記載なし承認見込みは未確定/将来
資金少なくとも12か月ANTLER-3を賄うには追加調達が必要

ANTLER-3の概要(10-Q):CD19標的の治療を受けたことがない(CD19-naive)2次治療の大細胞型B細胞リンパ腫で、移植や自家CAR-Tが受けられない患者さん約250名を対象に、vispa-cel(1回投与)と医師が選ぶ標準治療を比べます。 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、標準治療側の患者さんには進行後にvispa-cel群への移行が認められます 未確定/将来。

確認できなかったこと

次はいずれも一次資料に記載がありません 未確定/将来。

ANTLER-3の開始日と結果が出る時期/承認申請(BLA)の時期/CB-011の第2相以降の計画/想定する薬価/商業製造の委託先の社名/自社製造工場の建設計画。 「いつ承認される」といった断定は、本稿では行いません。

8. この会社はiPS細胞・再生医療で何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
2品目に絞って、vispa-celの第3相に資金を集中する戦略2025年4月の優先順位づけ(3つの試験を中止)と、10-Qで第3相の資金調達が課題だと明記推測
自社単独では第3相を最後まで運べず、提携や追加調達を探している10-Kが「新たな戦略的提携を選択的に追求する」と記載し、追加資金の必要性を挙げている推測
同種CAR-Tの勝負どころは、ドナーの選び方(若いドナー・HLAの一致)で効果を高められるか会社が「30歳未満のドナーとHLA2座位以上の一致」を最適な製品像として定義している事実
提携先を限定した出資(Pfizer)はBCMA品目への関心を示すPfizerの出資はBCMA標的品目の開発にのみ使う条件。情報提供権契約の期間は2026年6月29日まで事実
iPS細胞には向かわず、ドナー由来T細胞を編集する路線を続ける10-Kに、iPS細胞の使用や計画の記載がない推測
推測の根拠を1つだけ詳しく

会社が定める「最適な製品像」は、30歳未満のドナーのT細胞を使い、患者さんとドナーのHLAが12座位のうち2座位以上一致するものです 事実。 この条件に合う27名(2L LBCL)では、2026年3月6日のデータ時点で全奏効率82%、完全奏効率67%、無増悪生存期間の中央値17.1か月と会社は報告しています(比較対照のない単群の第1相)。 ここから本稿は、同種CAR-Tは「誰のどの細胞でも同じ」ではなく、ドナーと患者さんの組み合わせで成績が変わりうると会社自身が見ているのだと読みます。 第3相でこの条件をどこまで維持できるかが焦点になりますが、結果は未確定です 未確定/将来。

9. iPS細胞・再生医療分野の提携マッピング

Caribou Biosciencesを中心とした提携関係 2025年12月期 Form 10-Kと2026年6月期 Form 10-Qに記載のある関係のみ。報道ベースは含まない Caribou Biosciences UC・ウィーン大学 CRISPR-Cas9基本特許を導入 Intellia CRISPR特許を相互にライセンス Corteva(旧Pioneer) 特許を相互許諾・chRDNAを譲渡 Pfizer BCMA品目向けに約US$25M出資 ProMab BCMA標的scFvと特許を購入 受託製造機関(CMO) ガイド・Cas・ウイルス・細胞を製造 共同開発・導入/導出 出資・買収・株式 製造受託・供給・材料
図2 出典:2025年12月期 Form 10-K、2026年6月期 Form 10-Q。図に含めたのは開示された関係だけです。CMOは複数社(社名は非開示)で、ウイルスの供給元は米国外です。Pfizerとの情報提供権契約の期間は2026年6月29日までです。

10. 提供している技術・製品・サービス

製品はまだありません。提供しているのは編集した同種CAR-T細胞の開発候補と、その編集技術です 事実。

品目対象特徴段階(2026年8月時点)
vispa-cel(旧CB-010)CD19陽性のB細胞性リンパ腫(2次治療の大細胞型B細胞リンパ腫に注力)PD-1遺伝子を壊した同種CAR-T(会社の知る限り初)第1相ANTLER(NCT04637763)の主要データを公表済み。第3相ANTLER-3を計画。RMAT・ファストトラック・希少疾病用医薬品の指定
CB-011BCMA陽性の多発性骨髄腫B2M除去とHLA-E融合分子の導入で拒絶を抑える(会社の知る限り初)第1相CaMMouflage(NCT05722418)。用量拡大を実施中。RMAT・ファストトラック・希少疾病用医薬品の指定
CB-012CLL-1陽性の急性骨髄性白血病同種CAR-T第1相AMpLify(NCT06128044)は中止
vispa-cel(ループス)全身性エリテマトーデス自己免疫疾患への応用GALLOP試験(NCT06752876)は取り下げ(登録0名)

vispa-celの第1相データ(会社の公表。いずれも単群の試験)

コホート人数全奏効率完全奏効率追跡
確認コホート(ドナーとHLA 4座位以上一致)22名82%(18/22)64%(14/22)中央値6.0か月(2025年9月29日時点)
最適製品像コホート(若いドナー・HLA 2座位以上一致)35名86%(30/35)63%(22/35)中央値11.8か月(2025年9月29日時点)
最適製品像コホートの一部(2次治療の大細胞型)27名82%67%無増悪生存期間の中央値17.1か月(2026年3月6日時点)

安全性(2025年9月2日時点):全84名で多かった有害事象は血小板減少(62%)、サイトカイン放出症候群(55%)、貧血(52%)、好中球減少(39%)でした。確認・最適コホートでは、GvHDとグレード3以上のICANSの報告はなく、グレード3以上のサイトカイン放出症候群は1%でした。 一方で長引く血球減少が80名中28%で、vispa-celに関連するグレード5(死亡)のIEC-HSが1件ありました 事実。 CB-011(用量漸増48名)では、CB-011に関連するグレード5の血液毒性(ICAHT)が1件あります。数値は会社の報告であり、他の治療との優劣を示すものではありません。

素材技術者の視点:chRDNAという「ガイドRNAの材料設計」が競争力の源泉

chRDNAは、ガイドRNAの一部をDNAに置き換えたハイブリッド型で、会社は従来のCRISPR-Cas9よりオフターゲット編集が少ないと説明しています 事実。 編集を複数箇所に重ねるため、材料として効くのは、ガイドの化学合成の純度、Cas酵素の品質、ウイルスベクターの力価と不純物です。 これらの管理値は会社から開示されておらず、ここは一般論です 未確定/将来。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
資金第3相ANTLER-3を完全に賄うには追加資金が必要。現金等は2026年6月末でUS$113.8百万事実
臨床の確からしさ数値はすべて単群の第1相。第3相は未開始で、ランダム化比較では結果が変わりうる事実
安全性長引く血球減少、感染症、IEC-HSなど。vispa-cel・CB-011とも、治療に関連する死亡が各1件報告されている事実
製造の依存製造を複数のCMOに依存。ウイルスの供給元は米国外で、FDAの監査未了。供給元の変更には新たな試験と当局対応が必要事実
特許CRISPR基本特許は複数の機関が共同保有し、共同保有者の一人からはライセンスを受けていない。特許紛争の影響を受けうる事実
上場の維持10-Kは、Nasdaqの継続上場基準を満たせない場合は上場廃止になりうると述べている事実
競合10-Kは、細胞治療・ゲノム編集の産業は競争が激しく技術革新が速いと述べている。自家CAR-Tや二重特異性抗体などが先行している事実
事業の縮小2025年に3つの試験を中止し、約32%削減。品目の少なさが失敗時の影響を大きくする推測

12. 用語集

同種(アロジェニック)CAR-T
健康なドナーのT細胞から作る作り置き型のCAR-T。患者さん自身の細胞を使う自家型と対比される。
chRDNA
CaribouのCRISPR技術。ガイドRNAの一部をDNAに置き換えたハイブリッド型で、編集の精度を高めるとされる。
CAR-T細胞
がん細胞の目印を見つける受容体(CAR)をT細胞に持たせた細胞治療。
GvHD
移植片対宿主病。ドナーの細胞が患者さんの組織を攻撃する合併症。
HLA
ヒト白血球抗原。ドナーと患者さんの組織の「型」。一致度が高いほど拒絶が起きにくい。
B2M/HLA-E
B2Mを除去するとクラスI HLAが細胞表面から消える。HLA-E融合分子を足して、免疫の標的になりにくくする。
PD-1
T細胞が疲れる(疲弊する)ブレーキとして働く分子。これを壊すとCAR-Tの活動が続くと会社は説明。
RMAT/ファストトラック
FDAが重い病気向けの製品に与える指定。助言や審査の面で優遇がある。
CMO
医薬品の製造を受託する会社。Caribouは自社工場を持たない。
AAV6
アデノ随伴ウイルスの一種。CAR遺伝子を細胞に入れるために使う。
PFS
無増悪生存期間。治療後に病気が進行せず生存している期間。
ICANS/CRS
CAR-Tで起こる神経毒性(ICANS)とサイトカイン放出症候群(CRS)。
概念図:健康なドナーのT細胞を取り出し、複数の遺伝子を編集して、作り置きできる細胞治療の候補にする流れAI生成による概念図
図3 Caribouの同種CAR-T細胞の概念図(AI生成による概念図。実際の設備・製品・患者を写したものではありません)。

13. 出典

  1. Caribou Biosciences Form 10-K(2025年12月期、米国SEC提出、2026年3月5日)。事業内容・パイプライン・臨床結果・提携・財務・従業員・製造。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
  2. Caribou Biosciences Form 10-Q(2026年6月30日終了四半期、米国SEC提出、2026年8月13日)。ANTLER-3のFDAとの合意、2026年6月のデータ更新、現金残高。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000055/crbu-20260630.htm
  3. 米国国立医学図書館 ClinicalTrials.gov NCT04637763(vispa-cel〔旧CB-010〕、ANTLER試験、第1相)。 https://clinicaltrials.gov/study/NCT04637763
  4. 米国国立医学図書館 ClinicalTrials.gov NCT05722418(CB-011、CaMMouflage試験、第1相)。 https://clinicaltrials.gov/study/NCT05722418
  5. 米国国立医学図書館 ClinicalTrials.gov NCT06128044(CB-012、AMpLify試験、終了)。 https://clinicaltrials.gov/study/NCT06128044
  6. 米国国立医学図書館 ClinicalTrials.gov NCT06752876(vispa-cel、全身性エリテマトーデス向けGALLOP試験、取り下げ)。 https://clinicaltrials.gov/study/NCT06752876
  7. Caribou Biosciences 公式サイト(ロゴ・会社概要の確認用)。 https://www.cariboubio.com/

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
正式名称(Caribou Biosciences, Inc.)、本社所在地(バークレー)、Nasdaq上場、2011年創業事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
従業員97名(2026年2月27日)、2025年4月の47名(約32%)削減事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
施設(バークレー、約71,735平方フィート)と賃借期限事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
売上・研究開発費・純損失・設備投資(2024・2025年12月期)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
2026年1〜6月の売上・研究開発費・純損失、現金等US$113.8百万、累積赤字事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000055/crbu-20260630.htm
2025年12月末の現金等US$142.8百万、創業からの調達額US$849.0百万事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
2026年上半期のATMでの調達額(約US$20.1百万)事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000055/crbu-20260630.htm
自社の製造設備を持たず、5つのCMOに依存していること、ウイルス供給元が米国外でFDA未監査であること事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
UC・ウィーン大学の基本特許ライセンス、共同保有者の一人から権利を得ていないこと事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
Intellia・Corteva(Pioneer)との特許の相互許諾、chRDNA特許の譲渡(2020年12月)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
Pfizerの出資(2023年6月、US$25.0百万、4,690,431株)、情報提供権契約の期間(2026年6月29日まで)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
ProMabからのBCMA scFv購入(2020年1月)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
MSKCCとのライセンス終了(2025年8月11日)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
2025年4月24日の優先順位づけ(GALLOP・AMpLify中止、前臨床研究中止)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
ANTLER試験(第1相、開始2021年5月、主要評価項目)事実出典3 https://clinicaltrials.gov/study/NCT04637763
CaMMouflage試験(第1相、開始2023年2月、想定50名)事実出典4 https://clinicaltrials.gov/study/NCT05722418
AMpLify試験(CB-012)が終了、GALLOP試験が取り下げ(登録0名)事実出典5・6 https://clinicaltrials.gov/study/NCT06128044 https://clinicaltrials.gov/study/NCT06752876
vispa-celの確認コホート・最適製品像コホートの結果(2025年11月3日公表)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
27名サブグループの結果(2026年3月6日時点)、ANTLER-3の設計とFDA合意(2026年5月7日)事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000055/crbu-20260630.htm
CB-011の用量漸増48名の結果、RDE(450x10^6細胞)コホートの追跡更新(2026年5月26日時点)、RMAT指定事実出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000055/crbu-20260630.htm
vispa-celのRMAT・ファストトラック・希少疾病用医薬品指定、CB-011のファストトラック・希少疾病用医薬品指定事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
同種CAR-Tの設計(TRAC除去、PD-1除去、B2M除去とHLA-E融合)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1619856/000161985626000008/crbu-20251231.htm
ANTLER-3の開始日・承認申請時期・薬価・商業製造の委託先未確定/将来一次資料に記載なし。本稿では推定しない
iPS細胞の使用未確定/将来10-Kに記載なし。本稿では存在しないとも断定しない
2品目に絞り、vispa-celの第3相に資金を集中するという読み推測2025年4月の優先順位づけの内容からの本稿の解釈
提携や追加調達を探しているという読み推測10-Kの資金・提携に関する記載からの本稿の解釈
iPS細胞には向かわず、ドナー由来T細胞を編集する路線を続けるという読み推測10-Kの記載(iPS細胞の言及なし)からの本稿の解釈
事業縮小により品目の少なさが失敗時の影響を大きくするというリスク推測本稿の解釈
ガイドRNA・Cas酵素・ウイルスの材料面の課題未確定/将来一般論としての本稿の解説。会社は管理値を開示していない

最終更新:2026年10月1日/Troy Technical
本稿の数値はすべてCaribou Biosciencesが米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類とClinicalTrials.govに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。本稿は特定の治療を勧めるものではなく、医療上の助言ではありません。