TECHNOLOGY EXPLAINER
光電気化学セル
― 光を当てた半導体電極で水を分解する、研究段階の水素製造
光電気化学(PEC)セルは、半導体の電極を水に浸し、太陽光のエネルギーで水を水素と酸素に直接分解します。小面積の実験室では19.3%の変換効率(STH)が報告されている一方、 数十〜百cm²級の素子では数%〜10%弱で、水中で光を受ける半導体の耐久は数十〜千時間の報告にとどまります。米国エネルギー省(DOE)はこれを長期的な技術経路と位置づけています。

- 光電気化学セルとは何か(3行でつかむ)
- 原理 ― 半導体に光を当てて水を分解する
- 光で水を分解する4つの構成
- 効率の定義(STH)と、本稿の計算
- 半導体光電極の材料
- 素材技術者の視点①:水中の半導体は壊れやすい ― 保護層
- 耐久の課題 ― 報告された時間と、目標の時間
- 規模と実証 ― どこまで来たか
- コストと位置づけ
- 素材技術者の視点②:評価の物差しをそろえる
- 限界と、確認できなかったこと
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標・見通しであり、実績が確認できていない事項
このほか、材料の観点での読み取りは「解説」として区別しています。
本記事は光電気化学セルの原理・材料・評価の解説であり、装置の取り扱いや運転の助言ではありません。水素は可燃性ガスで、取り扱いには法令と規格があります。研究論文の値は、条件(面積、時間、光源、電位の制御の有無)とセットで読んでください。
1. 光電気化学セルとは何か(3行でつかむ)
- 何をするものか:DOEは、光電気化学(PEC)による水の分解を、水・太陽光・専用の半導体から水素をつくる方法と説明しています。半導体を水系の電解質に浸し、光のエネルギーで水分子を水素と酸素に直接分解します。DOEはこれを長期的な技術経路とし、効率・耐久・コストの改善がまだ必要だとしています事実[参考資料1]
- どこまで来たか:小面積の素子では、太陽光から水素への変換効率(STH)が19.3%(模擬太陽光)と報告されています事実[参考資料8]。一方、64〜123 cm²の大きさでは3.9%〜8.5%の報告です事実[参考資料6・9]。比較として、太陽電池と電解槽を組み合わせた別方式(PEC ではない)では、30%が報告されています事実[参考資料5]。
- 何が足りないか:水中で光を受ける半導体は、腐食しやすい材料が多く、耐久が課題です。報告される運転時間は、本稿が集めた範囲で1〜1,000時間のオーダー(図7)。DOEの目標表の電極寿命(2020年目標が2年、最終目標が10年)とは、桁が離れています事実[参考資料2]。
2. 原理 ― 半導体に光を当てて水を分解する
半導体にバンドギャップ以上のエネルギーの光が当たると、電子が価電子帯から伝導帯へ励起され、電子と正孔の対ができます。電子と正孔が分離して表面に届くと、一方の電極で正孔が水を酸化して酸素を、他方の電極で電子が水素イオンを還元して水素を生じます。水を分解する過程は、光の吸収、電荷の分離と移動、表面での反応の3段階で整理されます事実[参考資料17]。
この発想の起点は、1972年に藤嶋昭と本多健一が『Nature』に報告した「半導体電極での水の電気化学的光分解」です事実[参考資料3]。二酸化チタン(TiO2)電極が使われたことは広く知られていますが、本稿が確認できたのは論文の題名と冒頭の記述までで、条件や数値は確認していません。
水を分解するのに必要な電圧は、熱力学的には1.23 V(300 K)です。実際の電解では、反応の遅さによる損失などが加わり、運転電圧は1.5〜1.9 Vの範囲とされています事実[参考資料5]。Turanらは、最新級の触媒でも、電極に10 mA/cm²を流すには約1.7〜1.8 Vが必要だとし、この電圧を単一接合の太陽電池で出すにはバンドギャップが約2.2 eV以上必要で、あるいは接合を直列に重ねる、としています事実[参考資料6]。AM1.5Gの太陽光で最適な単一接合の太陽電池のバンドギャップは1.34 eVで、高いバンドギャップの電池は光の透過損失が大きく効率が低い、とも述べています[参考資料6]。
1.23 Vは水の分解に必要な最小のエネルギーですが、光を吸う半導体はそれより大きなバンドギャップを持つ必要があり、さらに損失を見込むと、単一の吸収体では広いバンドギャップ(光を吸いにくい)を選ばざるをえません。吸収体を重ねて電圧を稼ぐタンデム構成が、高効率の素子で使われるのはこのためです(次章)。これは原理の整理で、個別の材料の数値は第5章で出典付きで示します。
3. 光で水を分解する4つの構成
光で水素をつくる方式は、半導体と電解質、電子の通り道の組み合わせで大きく分かれます。DOEは、PEC反応器を電極型(太陽電池のパネルに似た構成)と粒子型(半導体粒子のスラリー)の2つに分け、これまでは電極型がよく研究されてきたと述べています事実[参考資料1]。ここに、太陽電池と電解槽をつなぐ方式を加えて、4つに整理しました。
③は厳密にはPEC ではありませんが、実用化の観点では「比較の基準」になります。Jiaらは、InGaP/GaAs/GaInNAsSb の三接合太陽電池に2台のPEM電解槽を直列でつないだ系で、48時間平均のSTHが30%と報告しています(集光の条件)事実[参考資料5]。同論文は、半導体と液体の接合を1つ以上もつPECの系で当時最高だった効率は12.4%(2016年時点)だったとも述べています。また、タンデムのPECの理論上の最大効率は、さまざまな仮定のもとで23〜32%と予測されています[参考資料5]。さらに同論文は、光化学・PEC・PV-電解のいずれも、現時点では既存の技術に対して経済的に成り立っていない、と書いています[参考資料5]。
4. 効率の定義(STH)と、本稿の計算
PECの効率で最も重要な指標が、STH(solar-to-hydrogen、太陽光から水素への変換効率)です。Chenらは、PECの効率の種類と測り方の標準を整理し、STHを重視すべきだとしています事実[参考資料4]。STHは、できた水素の化学エネルギーを、入射した太陽光のエネルギーで割った値です。外部から電気を加えずに(バイアスなしで)光だけで反応させた場合に、意味のある値になります。
・電流から求める式:STH = [ 電流密度 J × 1.23 V × ファラデー効率 ] ÷ 入射光の電力密度(AM1.5G、100 mW/cm²)。Jiaらは、STHを「熱力学電位×電解電流×水素発生のファラデー効率÷入射光の電力」で算出したと述べています[参考資料5]。ファラデー効率を1とすると、STH(%) = 1.23 × J(mA/cm²) です。
・水素の量から求める式:DOEの目標表は、STH = 水素生成速度(kg/s/m²) × 1.23×10⁸ J/kg ÷ 1,000 W/m²(1サンの入射、理想的な条件)と示しています[参考資料2]。
・DOEの目標表のSTHは、できた水素のエネルギー(LHV)を、全波長の太陽光のエネルギーで割ったものと定義されています[参考資料2]。
この関係を使って、STHの値ごとに「動作電流」「水素の生成速度」「1 kgの水素を1日につくるのに要る受光面積」を計算しました。1日の日射量を5 kWh/m²と仮定します(本稿の仮定)。
| STH | 必要な動作電流(mA/cm²) | 水素生成速度(g/h/m²、1サン) | 1日の水素(g/m²) | 1 kg/日に要る面積(m²) | 対応する報告・目標 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0.76% | 0.6 | 0.22 | 1.1 | 899 | 光触媒パネル(100 m²規模)の最大値[参考資料10]。PECではない粒子型 |
| 3.9% | 3.2 | 1.14 | 5.7 | 175 | Si薄膜の一体型デバイス(64 cm²)[参考資料6] |
| 9.8% | 8.0 | 2.87 | 14.3 | 70 | ペロブスカイトの光アノード+太陽電池(小面積)[参考資料9] |
| 12.4% | 10.1 | 3.63 | 18.1 | 55 | GaInP2/GaAs の一体型(1998年、短絡電流とLHVによる)[参考資料15] |
| 19.3% | 15.7 | 5.65 | 28.2 | 35 | III-V族タンデム(小面積、模擬太陽光)[参考資料8] |
| 20% | 16.3 | 5.85 | 29.3 | 34 | DOEの2020年目標[参考資料2] |
| 25% | 20.3 | 7.32 | 36.6 | 27 | DOEの最終目標[参考資料2] |
| 30% | 24.4 | 8.78 | 43.9 | 23 | 太陽電池+電解槽(PECではない。集光)[参考資料5] |
表1 STHと水素の量・面積の関係(本稿の計算)。ファラデー効率1、AM1.5G(100 mW/cm²)、水素のエネルギーはDOEの式の1.23×10⁸ J/kg、日射量5 kWh/m²/日、損失なしと仮定。報告値の条件(面積、時間、方式)はそれぞれ異なります。光触媒(電極なし)の行の電流は、同じSTHに相当する等価な値です。
表1から読み取れること本稿の計算:
- STH 10%でも、1 kg/日に約68 m²が要ります。DOEの費用解析が想定する50,000 kg/日の工場では、STH 10%・損失なしでも約3.4 km²の受光面積になります(集光で受光面積を減らす案は DOE の目標表にあります[参考資料2])。
- STHが1桁違うと、同じ水素量に要る面積も1桁違います(図4の対数のグラフ)。光触媒パネルの0.76%は、同じ水素量に10%の約13.2倍の面積を要します。
- 動作電流は、STH 10%で約8 mA/cm²です。次章の材料表にある「1.23 VRHEでの光電流」の値と混同しないでください(第10章)。
5. 半導体光電極の材料
光電極には、金属酸化物、III-V族化合物、シリコン、ペロブスカイトなどが使われています。バンドギャップと、報告された特徴を表にまとめます。
| 材料(役割) | 報告された特徴・数値(条件) | 課題 | 出典 |
|---|---|---|---|
| TiO2(光アノード) | アナターゼのバンドギャップ約3.2 eV。安定で無毒。1972年に水の光分解の電極として報告 | 紫外線にしか応答しにくい。電荷の再結合 | [参考資料17・3] |
| WO3(光アノード) | バンドギャップ約2.6〜2.8 eV。酸性溶液で化学的に安定 | 吸収できる光が限られる | [参考資料17] |
| α-Fe2O3(光アノード) | バンドギャップ約2.1 eV。地球上に豊富で安価 | 電荷の移動度が低い。水の酸化の速度が遅い | [参考資料17] |
| BiVO4(光アノード) | バンドギャップ約2.4 eV。金属酸化物の光アノードの主役。理論上の光電流の上限7.5 mA/cm²に2018年までに近づいたとされる。Mo添加の粒子状のBiVO4で、0.4 VRHEの低いバイアスで1,000時間超の安定な酸素発生 | 電荷の再結合が速い。安定性の課題(レビュー) | [参考資料17・12] |
| Cu2O(光カソード) | Al添加ZnOとTiO2のナノ層で保護し、Pt粒子を載せた電極で、0 VRHEで最大−7.6 mA/cm²(穏やかなpH)。1時間後も活性、ファラデー効率はほぼ100%と推定 | 保護層が必要。試験時間が短い(1時間) | [参考資料13] |
| Si(保護TiO2つきの光アノード) | ALDのTiO2(4〜143 nm)とNi酸化物の触媒で、1.0 M KOHで100時間超の連続酸素発生、30 mA/cm²超、ファラデー効率ほぼ100% | 半セルの試験(電位を制御) | [参考資料11] |
| III-V族(GaInP/GaInAs など) | 逆積層のメタモルフィック構造と透明な傾斜バッファーで、16%超のSTH(埋め込みp-n接合により電解質界面の電圧損失を0.55 V低減)。別の素子で、結晶性チタニアの保護層とRh触媒を使い、模擬太陽光で19.3%(酸性)、18.5%(中性) | 要旨には運転時間・安定性の記載がなく、本稿は確認できなかった。多層の複雑な構造(本記事の解説) | [参考資料7・8] |
| ペロブスカイト(FAPbI3の光アノード) | Ni箔/NiFeOOHで封止。1.23 VRHEで22.8 mA/cm²、模擬1サンで3日間の安定。同サイズの太陽電池と並列につなぐ系でSTH 9.8%、123 cm²級のミニモジュールで8.5% | 封止の信頼性。長期の屋外データは確認できなかった | [参考資料9] |
表2 半導体光電極の材料(すべて事実。バンドギャップはレビュー論文の記述で、結晶相・膜の状態で変わります。数値は各報告の条件のもので、材料間の優劣を示しません)。
6. 素材技術者の視点①:水中の半導体は壊れやすい ― 保護層
Si、GaAs、GaPのように、バンドギャップが太陽光の利用に適した半導体は、水系の溶液中で不安定です。Huらは、原子層堆積(ALD)で成膜したTiO2の被覆(4〜143 nm)が腐食を防ぎ、電子的な欠陥によって正孔を通し、光を通すのに十分な透明性を持つとしました事実[参考資料11]。Siの光アノードは、Ni酸化物の触媒と組み合わせて、1.0 M KOH中で100時間超、30 mA/cm²超の連続酸素発生を示しました。GaAsとGaPでは、光電圧が0.81 Vと0.59 V、光電流の上限が14.3と3.4 mA/cm²でした[参考資料11]。
これは偶然ではありません。Chenと Wangは、約30種の光触媒の半導体について、酸化・還元に対する熱力学的な安定性を計算し、次の傾向を示しました事実[参考資料14]。(i) 一部の金属酸化物は、n型の光アノードとして使うとき、光で生じた正孔による酸化に耐えうる。(ii) 非酸化物の半導体はすべて酸化されやすいが、光で生じた電子による還元には強く、酸化から守ればp型の光カソードとして使える。(iii) 酸化物に、電気陰性度の低い陰イオンを添加・合金化すると、バンドギャップは下がる(光を吸いやすくなる)が、酸化への安定性も下がる。
つまり、光を広く吸うことと水中で壊れないことは、材料の選択でぶつかります(本記事による解説)。そこで、吸収体と水を分ける保護層が必要になります。保護層に求められるのは、(1) 緻密で水を通さない、(2) 光を通す、(3) 電荷(アノードでは正孔)を通す、(4) 吸収体とのバンドの並びが合う、の4つです。Chengらの19.3%の素子では、結晶性のチタニアの層が、腐食の防止、伝導帯の並びの調整、Rh触媒粒子を載せる土台の3つを兼ねていました[参考資料8]。
Paracchinoらは、Cu2Oの光カソードで同じ考え方を使いました。Al添加ZnOとTiO2のナノ層で光カソードの分解を防ぎ、Pt粒子で水素発生を活性化して、0 VRHEで最大−7.6 mA/cm²を得ています。ただし、試験は1時間です[参考資料13]。保護層は耐久を伸ばす手段ですが、保護層そのものの耐久(ピンホール、剥離、溶解)が次の課題になります(解説。本稿が確認した範囲に、保護層の長期の劣化機構を直接比較した一次資料は含まれていません)。
7. 耐久の課題 ― 報告された時間と、目標の時間
耐久の報告は、条件がそろっていません。電極単体を電位制御で試験した「半セル」の報告と、デバイス全体の報告が混ざります。図7に、本稿が確認した範囲の時間を並べました。
- 最長の報告でも、DOEの目標には遠い。半セルで1,000時間超(Mo添加BiVO4、0.4 VRHE)の報告がありますが[参考資料12]、これは約0.11年に相当する時間にすぎません(1,000時間÷8,760時間)本稿の計算。DOEの目標表の電極寿命(効率が元の80%に落ちるまでの、電解液に浸かった寿命)は、2015年が0.5年、2020年が2年、最終目標が10年(実際の水素製造は約5年相当)です事実[参考資料2]。
- 1日に光が当たるのは数時間。日射が1日5時間相当と仮定すると、1,000時間は約0.5年分の日照に相当します本稿の計算。実際の屋外では、昼夜、天候、温度変化の繰り返しが加わります。
- DOEが示す2011年の状況:薄膜系の素子は4%超のSTHを数百時間、結晶系は12%超を数十時間示した、と記しています事実[参考資料2]。2011年時点のこの例では、効率の高い結晶系のほうが、確認された運転時間は短くなっています(DOEの記述の比較であり、材料の優劣を断定するものではありません)。
8. 規模と実証 ― どこまで来たか
実証の報告を、規模・方式・報告値の順に整理します。公式資料で確認できたのは、DOEの目標表、EUの研究プロジェクトの概要(CORDIS)、査読論文の要旨です。

| 取り組み | 規模・方式 | 報告値(条件) | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| Turanら(Jülich、2016年) | シリコン薄膜の太陽電池と電解電極を一体化した無線のデバイス。64 cm²、13個の基本ユニット | STH 3.9%。別の小型の素子で、バイアスなしの安定運転を40時間 | 実験室。PECではなく一体型のPV-電解[参考資料6] |
| Hansoraら(2024年) | ペロブスカイト(FAPbI3)の光アノードを Ni箔/NiFeOOH で封止。小面積の系と、123 cm²までのミニモジュール | 小面積でSTH 9.8%、ミニモジュールで8.5%。光アノードの安定は模擬1サンで3日 | 実験室[参考資料9] |
| Nishiyamaら(2021年) | Al添加SrTiO3の粒子状光触媒を使ったパネル反応器。100 m²規模のアレイで数か月の運転。ガスは市販のポリイミド膜で水素を回収 | 最大STH 0.76%。意図的な着火でも壊れなかった。論文自身が、水素製造は非効率で全体ではエネルギー的に収支が負であると述べている | 実証規模だが光触媒方式(PECセルではない)[参考資料10] |
| Jiaら(2016年) | 三接合太陽電池と2台のPEM電解槽(集光) | 48時間平均でSTH 30%。電流は48時間で10%低下(177→160 mA) | 実験室。PECではない比較対象[参考資料5] |
| EU PECDEMO(2014〜2017年、FP7) | 金属酸化物の光電極を、小さいバンドギャップの薄膜太陽電池の前に置くハイブリッド型。4個の素子のモジュール(各50 cm²以上)を野外で試験する計画 | 計画の目標:小面積でSTH 10%(1,000時間で性能低下10%未満)、モジュールで8% | CORDISで確認できたのは目標の記述のみ。成果の数値は確認できなかった 未確定/将来[参考資料18] |
表3 PECと関連方式の規模と実証(すべて報告時点の値。事実。PECDEMOの行は計画の目標)。
この表から読み取れること(本記事による解説):
- PECの素子は、本稿が確認した範囲で数cm²〜百数十cm²の規模です。m²規模の実証は、光触媒の粒子型(0.76%)に限られます。
- 実証規模と効率は両立していません。効率の高い報告(16〜19%)は小面積で、規模の大きい報告(64〜123 cm²、100 m²)では3.9%〜8.5%、0.76%でした。
- 光触媒パネルの論文は、水素製造は非効率で、全体ではエネルギー的に収支が負であると自ら述べたうえで、安全に水素を回収できることを示した、という位置づけです[参考資料10]。
9. コストと位置づけ
DOEは、光電極型PECの目標を、集光(10〜15倍)を前提とした費用解析(2009年の報告、2007年のドル)から設定しています。最終目標の水素コストは2.10 US$/kg、2020年の目標は5.70 US$/kgで、STHは2020年に20%、最終目標で25%です未確定/将来[参考資料2]。
| 項目(光電極型・集光あり) | 2011年の状況 | 2015年目標 | 2020年目標 | 最終目標 |
|---|---|---|---|---|
| 水素コスト(US$/kg、2007年のドル) | ― | 17.30 | 5.70 | 2.10 |
| STH | 4〜12% | 15% | 20% | 25% |
| 光電極のコスト(US$/m²、例示の値) | ― | 300 | 200 | 100 |
| 電極の寿命(年、例示の値) | ― | 0.5 | 2 | 10 |
表4 DOEのPEC技術目標(光電極型、集光あり)[参考資料2]。未確定/将来。コストは、精製した300 psiの圧縮水素の完全なシステムのコスト(50,000 kg/日の工場、2007年のドル)。光電極のコストと電極の寿命は、目標を達成する例示のパラメータです。
DOEの同じ表は、集光器とPEC受光部の資本コストの目標について、改善が必要だが、この分野は燃料電池技術室の現在の研究の重点ではない、と注記しています事実[参考資料2]。目標値は2009年の費用解析を土台にしたもので、その後に更新された数値があるかどうかは、本稿は確認できませんでした。
Pinaudらは、4種類の仮想的な大規模施設(10トン/日)について、DOEのH2Aモデルで水素コストを解析し、1.60〜10.40 US$/kgという幅を示しました(粒子懸濁系が低く、パネル系が高い)。パネル系ではSTHの改善が費用を大きく下げうること、材料の性能目標が達成されればDOEの分配水素のしきい値(2〜4 US$/kg)と整合しうることも述べています事実[参考資料16]。ただし、これは2013年の仮想的な施設の解析で、実測値ではありません。
Nishiyamaらは、最も効率の高い太陽光水素の製造方式は、太陽電池と電解装置を組み合わせたもの(実験室規模で30%)だと述べています[参考資料10](図3の③)。DOEはPECの利点として、低い運転温度で高い変換効率が得られる可能性と、安価な薄膜や粒子の半導体材料を使える可能性を挙げています[参考資料1]。一方、本稿が確認した範囲では、PECが実機として太陽電池+電解より安いことを示した一次資料はありません。コストの読み方は、本シリーズ『水素の製造コスト』編の式(LCOH)で確認できます。太陽光だけで動かす設備の稼働率は日照時間に限られるため、同編で見たように、水素1 kgあたりの設備費の割合が大きくなります(本記事による解説)。
10. 素材技術者の視点②:評価の物差しをそろえる
半セルの光電流は、STHではありません。Hansoraらのペロブスカイトの光アノードは、1.23 VRHEで22.8 mA/cm²の光電流を示しましたが、同じ素子を太陽電池とつないでバイアスなしで動かした系のSTHは9.8%でした事実[参考資料9]。22.8 mA/cm²に1.23 Vを掛けて100 mW/cm²で割ると約28%になりますが、これは外部から電位を加えて測った半セルの値で、STHとして読めません本稿の計算。バイアスなしで動くときの動作電流は、STH 9.8%なら約8 mA/cm²です(表1)。
水素のエネルギーの取り方で数%違います。DOEの目標表はLHVで定義し、換算の式で1.23×10⁸ J/kgを使います[参考資料2]。Khaselevと Turnerの1998年の12.4%は、短絡電流とLHVから求めたものです[参考資料15]。Jiaらは熱力学電位(1.23 V、約237 kJ/mol)で計算しています[参考資料5]。LHV(33.3 kWh/kg、約242 kJ/mol)を237 kJ/molと比べると約2%、DOEの換算(約248 kJ/mol)では約5%の差が出ます本稿の計算。
光源のスペクトルと強度の校正が必要です。Young らは、スペクトルを補正したオンサンの測定を、入射光子から電流への変換効率(IPCE)で検証したと述べています[参考資料7]。Chenらは、PECの材料開発を加速するために、測定法・定義・報告の標準を整理しました[参考資料4]。素材の論文を読むときは、(1) バイアスの有無、(2) 半セルかデバイスか、(3) 光源とスペクトル補正、(4) 面積と時間、(5) 水素を実際に測ったか(電流から換算したか)、を確認します(本記事による解説)。
11. 限界と、確認できなかったこと
(1) 研究段階の技術であり、実用の値ではない
本稿の値は、すべて実験室または小規模の実証の報告値です。商用の装置の性能や価格を示すものではありません。DOEもPECを長期的な技術経路としています[参考資料1]。
(2) 本稿が確認できなかった項目
- EU PECDEMOプロジェクトの最終的な成果の数値(CORDISでは目標の記述のみ確認)。
- 藤嶋・本多の1972年の論文の詳細な条件と数値(題名と冒頭の記述までを確認)。
- Chengらの19.3%の素子と、Youngらの16%超の素子の運転時間・安定性(要旨に記載がない)。
- Fe2O3、WO3、TiO2の最新の最高性能の数値(レビューの記述の範囲で、バンドギャップと定性的な特徴のみを示した)。
- 保護層の長期劣化の機構を直接比較した一次資料。
- DOEのPEC目標が現在の戦略で更新されているか。
- 日本国内のPEC実証プロジェクトの公式資料(本稿では扱っていない)。
(3) 光触媒との違い
粒子型の光触媒は、電極と配線がなく構成は単純ですが、水素と酸素が混ざった気体を安全に扱って水素を回収する必要があります[参考資料10]。PECセルの課題とは異なるため、本稿ではパネル規模の実証のみ紹介しました。
- PECは、半導体電極を水に浸して光で水を分解する方式で、DOEは「長期的な技術経路」としています事実
- 最高効率は小面積で19.3%、大きな素子では数%〜10%弱、水素の量とSTHの関係から、10%でも1 kg/日に約68 m²が必要です本稿の計算
- 光を吸う材料ほど水中で不安定で、保護層(透明・緻密・電荷を通す)が必要です事実
- 報告された耐久は数十〜千時間で、DOEの目標(年単位)とは桁が離れています事実
- 半セルの光電流とSTHは別の量です。バイアス、光源、水素の測り方を確認します本稿の計算
12. 用語集
- PEC(光電気化学)
- 半導体電極に光を当て、電極と電解質の界面での反応を利用する方式。ここでは水の分解。
- STH(太陽光から水素への変換効率)
- できた水素の化学エネルギーを、入射した太陽光のエネルギーで割った値。バイアスなしの運転で意味を持つ。
- バンドギャップ(Eg)
- 半導体で電子が価電子帯から伝導帯へ上がるのに要るエネルギー。光を吸える波長を決める。
- 光アノード/光カソード
- 光で酸化反応(水から酸素)を起こす電極(n型)/還元反応(水素)を起こす電極(p型)。
- VRHE
- 可逆水素電極を基準にした電位。pHによらず比較できる。
- 半セル(三電極)の測定
- 電極単体の電位を外部で制御して測る方法。デバイス全体のバイアスなしの運転とは違う。
- タンデム(多接合)
- バンドギャップの異なる吸収体を重ね、電圧を稼ぎ光を分担して吸う構成。
- 保護層
- 吸収体と水を分け、腐食を防ぐ薄い層。透明で緻密で電荷を通す必要がある。
- ALD(原子層堆積)
- 原子層ずつ膜を積む成膜法。均一で緻密な薄膜が得られる。
- ファラデー効率
- 流れた電荷のうち、目的の反応(水素の発生)に使われた割合。
- AM1.5G
- 地上の太陽光の標準スペクトル(全天、100 mW/cm²に規格化して使われる)。
- 光触媒(粒子型)
- 半導体の粒子を水に分散させ、電極も配線も使わずに反応させる方式。
- H2A
- DOEが使う水素製造コストの解析モデル。
13. 参考資料(一次情報)
- 米国エネルギー省(DOE)"Hydrogen Production: Photoelectrochemical Water Splitting" — energy.gov
- 米国エネルギー省(DOE)"DOE Technical Targets for Hydrogen Production from Photoelectrochemical Water Splitting" — energy.gov
- Fujishima, A. and Honda, K."Electrochemical Photolysis of Water at a Semiconductor Electrode", Nature 238, 37-38(1972年) — nature.com
- Chen, Z. ら"Accelerating materials development for photoelectrochemical hydrogen production: Standards for methods, definitions, and reporting protocols", J. Mater. Res. 25, 3-16(2010年、DOI 10.1557/JMR.2010.0020。要旨を参照) — doi.org
- Jia, J. ら"Solar water splitting by photovoltaic-electrolysis with a solar-to-hydrogen efficiency over 30%", Nat. Commun. 7, 13237(2016年) — nature.com
- Turan, B. ら"Upscaling of integrated photoelectrochemical water-splitting devices to large areas", Nat. Commun. 7, 12681(2016年) — nature.com
- Young, J. L. ら"Direct solar-to-hydrogen conversion via inverted metamorphic multi-junction semiconductor architectures", Nat. Energy 2, 17028(2017年) — nature.com
- Cheng, W.-H. ら"Monolithic Photoelectrochemical Device for Direct Water Splitting with 19% Efficiency", ACS Energy Lett. 3, 1795-1800(2018年、DOI 10.1021/acsenergylett.8b00920。要旨をCrossrefとOpenAlexで確認) — doi.org
- Hansora, D. ら"All-perovskite-based unassisted photoelectrochemical water splitting system for efficient, stable and scalable solar hydrogen production", Nat. Energy 9, 272-284(2024年) — nature.com
- Nishiyama, H. ら"Photocatalytic solar hydrogen production from water on a 100-m2 scale", Nature 598, 304-307(2021年) — nature.com
- Hu, S. ら"Amorphous TiO2 coatings stabilize Si, GaAs, and GaP photoanodes for efficient water oxidation", Science 344, 1005-1009(2014年、DOI 10.1126/science.1251428。要旨をOpenAlexで確認) — doi.org
- Kuang, Y. ら"Ultrastable low-bias water splitting photoanodes via photocorrosion inhibition and in situ catalyst regeneration", Nat. Energy 2, 16191(2017年) — nature.com
- Paracchino, A. ら"Highly active oxide photocathode for photoelectrochemical water reduction", Nat. Mater. 10, 456-461(2011年) — nature.com
- Chen, S. and Wang, L.-W."Thermodynamic Oxidation and Reduction Potentials of Photocatalytic Semiconductors in Aqueous Solution", Chem. Mater. 24, 3659-3666(2012年、DOI 10.1021/cm302533s。要旨をOpenAlexで確認) — doi.org
- Khaselev, O. and Turner, J. A."A Monolithic Photovoltaic-Photoelectrochemical Device for Hydrogen Production via Water Splitting", Science 280, 425-427(1998年、DOI 10.1126/science.280.5362.425。要旨を確認) — doi.org
- Pinaud, B. A. ら"Technical and economic feasibility of centralized facilities for solar hydrogen production via photocatalysis and photoelectrochemistry", Energy Environ. Sci. 6, 1983(2013年、DOI 10.1039/C3EE40831K。要旨を確認) — doi.org
- Raub Aini, A. ら"Advances of nanostructured metal oxide as photoanode in photoelectrochemical (PEC) water splitting application", Heliyon 10, e39079(2024年、査読付きレビュー) — pmc.ncbi.nlm.nih.gov
- 欧州委員会(CORDIS)"Photoelectrochemical Demonstrator Device for Solar Hydrogen Generation(PECDEMO)" FP7、2014年4月〜2017年3月 — cordis.europa.eu
14. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| DOE:PECは半導体を水系電解質に浸し光で水を水素と酸素に分解する方式で、長期的な技術経路。電極型と粒子型の2分類。効率・耐久・コストの改善が必要 | DOE Hydrogen Production: PEC Water Splitting 出典1 https://www.energy.gov/eere/fuelcells/hydrogen-production-photoelectrochemical-water-splitting | 事実 |
| DOEのPEC技術目標:光電極型(集光あり)の水素コスト17.30(2015年)、5.70(2020年)、2.10 US$/kg(最終、2007年のドル)、STH 15・20・25%、2011年の状況4〜12%(薄膜系4%超を数百時間、結晶系12%超を数十時間)、電極寿命0.5・2・10年(効率が元の80%になるまで。10年は約5年の実生産)、光電極コスト300・200・100 US$/m²。STHは水素のLHV÷全波長の太陽光。STH=水素生成速度×1.23×10⁸ J/kg÷1,000 W/m²。集光器のコストの分野は現在の研究の重点ではないとの注記。粒子型(二床式)の目標 | DOE PEC技術目標 出典2 https://www.energy.gov/eere/fuelcells/doe-technical-targets-hydrogen-production-photoelectrochemical-water-splitting | 事実 未確定/将来 |
| 1972年に藤嶋と本多が「半導体電極での水の電気化学的光分解」を Nature 238, 37-38 に報告したこと(題名と冒頭の記述) | Fujishima and Honda, Nature (1972) 出典3 https://www.nature.com/articles/238037a0 | 事実 |
| Chenらの論文:PECの効率の定義を整理し、STHを重視すること、平面光電極の標準的な測定手順を示したこと(要旨) | Chen ら, J. Mater. Res. (2010) 出典4 https://doi.org/10.1557/JMR.2010.0020 | 事実 |
| Jiaらの論文:三接合太陽電池と2台のPEM電解槽の系で48時間平均STH 30%(集光)、電流は177 mAから160 mAへ10%低下。STHの算出法(熱力学電位×電流×ファラデー効率÷入射光電力)。熱力学的な最小電圧1.23 V、運転電圧1.5〜1.9 V。当時のPEC最高効率12.4%、タンデムPECの理論最大23〜32%。光化学・PEC・PV-電解のいずれも現時点では経済的でない | Jia ら, Nat. Commun. (2016) 出典5 https://www.nature.com/articles/ncomms13237 | 事実 |
| Turanらの論文:スケーラブルな一体型デバイス、64 cm²(13個の基本ユニット)でSTH 3.9%、無線のデバイスのバイアスなし40時間の安定運転。最新級の触媒で10 mA/cm²に約1.7〜1.8 V、単一接合の電池で約2.2 eV以上、AM1.5Gでの最適な単一接合は1.34 eV | Turan ら, Nat. Commun. (2016) 出典6 https://www.nature.com/articles/ncomms12681 | 事実 |
| Youngらの論文:逆積層メタモルフィック構造のGaInP/GaInAsのタンデムで16%超のSTH、埋め込みp-n接合で電解質界面の電圧損失を0.55 V低減、スペクトル補正した測定をIPCEで検証 | Young ら, Nat. Energy (2017) 出典7 https://www.nature.com/articles/nenergy201728 | 事実 |
| Chengらの論文:モノリシックな光カソードで、反射低減、結晶性チタニアの保護・バンド整合・Rh触媒の土台、模擬AM1.5Gで19.3%(酸性)・18.5%(中性)、理論限界の0.85 | Cheng ら, ACS Energy Lett. (2018) 出典8 https://doi.org/10.1021/acsenergylett.8b00920 | 事実 |
| Hansoraらの論文:FAPbI3の光アノードをNi箔/NiFeOOHで封止、1.23 V_RHEで22.8 mA/cm²、模擬1サンで3日の安定、同サイズの太陽電池との系でSTH 9.8%、123 cm²級のミニモジュールで8.5% | Hansora ら, Nat. Energy (2024) 出典9 https://www.nature.com/articles/s41560-023-01438-x | 事実 |
| Nishiyamaらの論文:Al添加SrTiO3の光触媒を使った100 m²のパネル反応器アレイ、数か月の運転、市販のポリイミド膜で水素を回収、最大STH 0.76%、着火後も無傷、全体では水素製造は非効率でエネルギー的に収支が負 | Nishiyama ら, Nature (2021) 出典10 https://www.nature.com/articles/s41586-021-03907-3 | 事実 |
| Huらの論文:Si・GaAs・GaPの光アノードは水系で不安定、ALDのTiO2(4〜143 nm)が腐食を防ぎ正孔を通し透明、Si光アノードは1.0 M KOHで100時間超・30 mA/cm²超・ファラデー効率ほぼ100%、GaAsとGaPの光電圧と光電流 | Hu ら, Science (2014) 出典11 https://doi.org/10.1126/science.1251428 | 事実 |
| Kuangらの論文:Mo添加の粒子状BiVO4の光アノードで、0.4 V_RHEで1,000時間超の安定な酸素発生、光腐食の抑制と触媒の再生 | Kuang ら, Nat. Energy (2017) 出典12 https://www.nature.com/articles/nenergy2016191 | 事実 |
| Paracchinoらの論文:Cu2Oの光カソードを Al添加ZnO と TiO2 のナノ層で保護しPtを載せ、0 V_RHEで最大−7.6 mA/cm²、1時間後も活性、ファラデー効率ほぼ100%と推定 | Paracchino ら, Nat. Mater. (2011) 出典13 https://www.nature.com/articles/nmat3017 | 事実 |
| Chen と Wangの論文:約30種の光触媒の半導体の酸化・還元に対する熱力学的安定性の傾向(i〜iii) | Chen and Wang, Chem. Mater. (2012) 出典14 https://doi.org/10.1021/cm302533s | 事実 |
| Khaselevと Turnerの論文:モノリシックなPV-PEC素子で、短絡電流とLHVによる水素生成効率12.4%(1998年) | Khaselev and Turner, Science (1998) 出典15 https://doi.org/10.1126/science.280.5362.425 | 事実 |
| Pinaudらの論文:4種類の仮想的な大規模施設(10トン/日)のH2Aによる水素コスト1.60〜10.40 US$/kg、粒子型が低くパネル型が高い、STHの改善が効く、DOEのしきい値2〜4 US$/kgと整合しうる | Pinaud ら, Energy Environ. Sci. (2013) 出典16 https://doi.org/10.1039/C3EE40831K | 事実 |
| Raub Ainiらのレビュー:TiO2アナターゼ約3.2 eV、ZnO約3.3 eV、Fe2O3約2.1 eV、WO3約2.6〜2.8 eV、BiVO4約2.4 eV、BiVO4の理論光電流上限7.5 mA/cm²に2018年までに近づいた、各材料の長所と課題、水の分解の3段階 | Raub Aini ら, Heliyon (2024) 出典17 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11620101/ | 事実 |
| EU PECDEMO(FP7、2014年4月〜2017年3月)の目標:金属酸化物の光電極と薄膜太陽電池のハイブリッド型、小面積STH 10%・1,000時間で性能低下10%未満、モジュール(各50 cm²以上の4素子)の野外試験でSTH 8% | CORDIS PECDEMO 出典18 https://cordis.europa.eu/project/id/621252 | 事実 未確定/将来 |
| STHと電流・水素量の関係(STH(%)=1.23×J(mA/cm²)、水素生成速度の換算)、表1の各値(動作電流、g/h/m²、g/日/m²、1 kg/日に要る面積、50,000 kg/日で約3.4 km²)、図4、1,000時間=約0.11年、日照5時間/日で約0.5年、22.8 mA/cm²×1.23 V÷100 mW/cm²=約28%、7.5 mA/cm²→約9.2%、LHV・ΔG・DOEの1.23×10⁸ J/kgの差(約2%・約5%) | 本稿の計算。ファラデー効率1、AM1.5G(100 mW/cm²)、水素のエネルギーはDOEの式の1.23×10⁸ J/kg、日射量5 kWh/m²/日、損失なしは本稿の仮定 | 本稿の計算 |
| 光を吸う材料ほど水中で壊れやすいことと保護層の4つの要件、4つの構成の整理(図3)、バンドの条件の説明、「安いが劣化の速い材料」の選択、半セルの光電流とSTHの区別、報告を読むときの5つの確認事項、PECの位置づけ | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関・著者が表明した見解ではない | 解説 |
| EU PECDEMOの成果の数値、藤嶋・本多の論文の条件、Chengら・Youngらの素子の運転時間、各酸化物の最新の最高性能、保護層の長期劣化の機構、DOE目標の更新の有無、日本国内のPEC実証 | 本稿の調査範囲では公開された一次情報で確認できなかった(または扱わなかった)ため記載していない | 解説 |
| 図2〜図7が実際の素子の構造・測定データではなく説明用の作図であること。図1と図8がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月/出典は一次情報(DOEの公表資料、EUのCORDIS、査読論文の要旨・本文、査読付きレビュー)に限定しています。市場調査会社の推計は使っていません。 材料の観点での読み取りは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 EU PECDEMOの成果の数値、藤嶋・本多の1972年の論文の詳細、ChengらとYoungらの素子の運転時間、保護層の長期劣化の機構、DOE目標の更新の有無は、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。 本記事の計算は式と明示した仮定から算出したもので、特定の素子や設備の性能ではありません。 図はすべて説明用の概念図または本稿の計算図です。図2〜図7はベクター作図、図1と図8はAI生成イメージであり、いずれも実際の装置・素子・測定データを示すものではありません。