TECHNOLOGY EXPLAINER
高圧水素タンク
― 「樹脂ライナー+炭素繊維の殻」で、70 MPaの水素を閉じ込める
燃料電池車の水素は、公称使用圧力70 MPa(700気圧)まで圧縮してタンクに積みます。DOEの2025年の記録(2023年の試算値)では、使える水素5.6 kgのシステムは質量約109 kg、そのうち水素は約5%で、約3分の2(約73 kg)が炭素繊維複合材です。 壁を水素が透過し、急減圧でライナーが傷み、火災で複合材が熱に負けるため、材料と試験が規格で細かく定められています。

- 高圧水素タンクとは何か(3行でつかむ)
- 35 MPaと70 MPa ― 「公称使用圧力」とは
- タイプ1〜5 ― 壁の構成
- 本稿の計算:圧縮した水素の密度と、システムの質量・体積の内訳
- 素材技術者の視点①:容器の壁は「フープ巻」だけでは決まらない
- ライナーと水素透過
- 急減圧とライナーの損傷
- 素材技術者の視点②:金属部品(ボス・弁・アルミ)の水素適合性
- 認証試験 ― 何を確かめるのか
- 火災と安全弁(TPRD)
- 疲労と寿命 ― 「破裂の前に漏れる」設計
- 規格と制度
- 課題と、本稿で確認できなかったこと
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。
水素は可燃性ガスで、高圧ガスの容器は高圧ガス保安法などの法令・規格の対象です。 本記事は材料・原理・評価・制度の解説であり、容器の設計・使用・取扱いに関する個別の助言ではありません。
1. 高圧水素タンクとは何か(3行でつかむ)
高圧水素タンクは、気体の水素を高い圧力で押し込んで、小さな容積に詰める容器です。水素は軽い気体なので、圧力を上げないと車に必要な量が入りません。
- いまの主流:DOEは、車載の物理貯蔵(圧縮ガス)について、公称使用圧力350 barと700 barのタンクが近い将来の技術だとしています。物理貯蔵は最も成熟した水素貯蔵技術です事実
- 構造:DOEが試算に使う700 barのタイプ4は、樹脂のライナー、金属のボス(口金)、炭素繊維複合材、衝撃保護用のポリウレタン発泡体のキャップからなります事実
- 何が難しいか:DOEによれば、圧縮ガスの貯蔵は、重さあたり・体積あたりの水素量とコストが、目標に届いていない主な領域です事実。コストは炭素繊維複合材に支配されます事実
高圧水素タンクは、「圧力に耐える殻」と「水素を通さない内張り」を別々の材料に分けた容器です。 殻(炭素繊維複合材)が圧力を受け持ち、内張り(樹脂ライナー)が水素を閉じ込めます。 材料の悩みは、内張りを水素が少しずつ通り抜けること、急に圧力を抜くと内張りが傷むこと、そして殻が熱に弱いことです。
2. 35 MPaと70 MPa ― 「公称使用圧力」とは
タンクの圧力は、「公称使用圧力(NWP)」で呼びます。国連GTR No.13(水素・燃料電池車の世界統一技術規則)は、NWPを、完全に充填した容器の中の水素が、15℃で均一な温度になったときの安定した圧力と定義しています事実。 充填中の最大圧力(最大充填圧力)は、NWPの125%です事実。
同規則は、NWPが70 MPa以下の貯蔵システムを対象にしています。Phase 2(2023年)には、道路用に新しく作る圧縮水素貯蔵システムのNWPは70 MPa以下とする旨が書かれています事実。
| 項目 | NWP 35 MPa | NWP 70 MPa | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 最大充填圧力(NWPの125%) | 43.75 MPa | 87.5 MPa | GTR13の定義[参考資料1]。数値は本稿の計算 |
| 破裂圧の下限(NWPの200%) | 70 MPa | 140 MPa | GTR13 Phase 2の5.1.1.1[参考資料2]。数値は本稿の計算 |
| 同(NWPの225%) | 78.75 MPa | 157.5 MPa | Phase 1の下限。Phase 2では35 MPa以下の容器に限り、締約国の判断で225%を適用できる[参考資料1・2]。数値は本稿の計算 |
NWPの定義、125%、200%・225%はすべて事実(国連GTR No.13 Phase 1[参考資料1]、Amendment 1[参考資料2])。表中の圧力の値は、その割合から本記事が換算しました。
3. タイプ1〜5 ― 壁の構成
圧力容器は、壁の構成で「タイプ」に分けられます。ISO 11119は、複合材で補強した容器のタイプを次のように定義しています事実。
- タイプ2:金属ライナーに、胴部のみ複合材(または鋼線)を巻く。ISO 11119-1:2020(2020年11月、第3版)[参考資料7]
- タイプ3:荷重を分担する金属ライナーに、胴部とドーム部の全面に複合材を巻く。ISO 11119-2:2020[参考資料8]
- タイプ4:荷重を分担しない金属または非金属のライナーに、全面に複合材を巻く。ISO 11119-3:2020[参考資料9]
- タイプ5:ライナーなし。試験圧力が60 bar未満のもの。ISO 11119-3:2020[参考資料9]
ISO 11119の各部は、水容量450 Lまでの容器と、最小設計寿命15年を対象にしています。複合材の補強は、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、またはその混合です事実。 日本の容器保安規則は、複合容器のうち「フープラップ容器」を、ライナーの胴部だけにフープ巻(繊維を軸にほぼ直角に巻く方法)で繊維を巻いたもの、「フルラップ容器」をヘリカル巻またはインプレーン巻で胴部と鏡部(ドーム部)に巻いたものと定義しています事実。
自動車用の水素容器は、日本の容器保安規則(第2条)で、継目なし容器と繊維強化プラスチック複合容器に分けられています。そのうえで、国連の世界技術規則に適合する複合容器は「国際圧縮水素自動車燃料装置用容器」として別に定義されています事実。
4. 本稿の計算:圧縮した水素の密度と、システムの質量・体積の内訳
(1) 70 MPaの水素は、理想気体より薄い
DOEの2025年の記録(Record 24006)は、700 barのタイプ4タンクを、内容積144.2 L、水素の総貯蔵量5.8 kg(使える水素5.6 kg)、水素温度15℃と仮定しています事実。この数字から、水素の密度と、理想気体からのずれを確かめます。
- 実際の密度:5.8 kg ÷ 0.1442 m³ = 約40.2 kg/m³(40.2 g/L)。DOEの記録は、タンクの内容積の計算にNISTのREFPROPを使ったとしています
- 理想気体なら:ρ = PM/RT = (70×10⁶ Pa × 2.01588×10⁻³ kg/mol) ÷ (8.3145 J/(mol·K) × 288.15 K) = 約58.9 kg/m³
- 圧縮係数 Z:58.9 ÷ 40.2 = 約1.46。70 MPaでは水素分子どうしの反発が効き、理想気体より約46%体積が大きい(密度が低い)
前提と限界:水素の温度は15℃、総貯蔵量と内容積はDOEの設計想定です。35 MPaの密度は、一次資料の値を確認していないため、ここでは計算していません。
(2) システムの内訳を見る
同じ記録の補足表から、システムの質量と体積の内訳を整理します。
- 質量あたり:使える水素5.6 kg ÷ システム質量109 kg = 約5.1 wt%(DOEの記録のエネルギー換算では1.71 kWh/kg)。DOEの2025年目標は0.055(5.5 wt%、1.8 kWh/kg)
- 体積あたり:5.6 kg ÷ 215.7 L = 約26 g/L(0.86 kWh/L)。DOEの2025年目標は0.040 kg/L(40 g/L、1.3 kWh/L)
- 水素以外の質量:水素5.8 kgに対し、複合材72.7 kg、ライナー8.0 kg、ボス0.9 kg、周辺部品22 kg。水素1 kgを積むのに、複合材だけで約12.5 kg(72.7 ÷ 5.8)が要る
- 換算:水素の低位発熱量を33.33 kWh/kgとしました(1.71 kWh/kg = 5.6×33.33÷109)
限界:DOEの数値は、高い生産量(年10万台)を想定した試算で、実在の車のタンクの実測値ではありません。DOEの記録そのものが、2025年目標との距離を「質量あたり約1.71 kWh/kg(目標1.8)、体積あたり0.86 kWh/L(目標1.3)、コスト12.7ドル/kWh(目標9)」と示しています事実。
5. 素材技術者の視点①:容器の壁は「フープ巻」だけでは決まらない
薄肉の円筒では、内圧によって周方向(フープ)に生じる応力が、軸方向の2倍になります。この式だけを使うと、繊維は円周方向にだけ巻けばよいように見えます。
ところが、実際のタンクには、両端のドーム部と、軸方向に生じる荷重があります。DOEのモデル(147 L、700 bar)では、複合材106.6 kgのうち、フープ巻が34.3 kg、らせん巻が72.3 kgです事実。 らせん巻のほうが、フープ巻の約2倍重い、ということです本稿の計算(72.3 ÷ 34.3 = 2.1)。
- 前提:薄肉円筒。破裂圧 = 70 MPa × 2.25 = 157.5 MPa。内半径は、DOE 2025年の記録の内径39.6 cmから19.8 cm。繊維の引張強さ5,123 MPa(記録が採用した繊維の値)。繊維が周方向の荷重をすべて負担し、樹脂とライナーは負担しない
- 繊維の必要な厚さ:t = P × r ÷ σ = 157.5 × 198 ÷ 5,123 = 約6.1 mm
- 複合材の厚さ:繊維の体積割合を記録の51%とすると、6.1 ÷ 0.51 = 約12 mm
これは下限の見積りです。実際の設計は、らせん巻の層、ドーム部、繊維の性能が荷重に換算される割合(translation efficiency)、製造のばらつきの余裕などで、これより大きくなります。DOEの記録は、これらの値が製造メーカーの独自情報であるとしています事実。
2023年の記録では、複合材は72.7 kgで、2019年の90.3 kg(フープ中心の巻き方)より軽くなりました。繊維の前駆体はPAN-MA(低コストの前駆体)からPANへ、繊維の引張強さは4,900 MPaから5,123 MPaへ、樹脂はビニルエステルからエポキシへ、繊維の体積割合は64.7%から51%に変わっています事実。 炭素繊維そのものの性質は、本シリーズ『CFRPと複合材料』編で詳しく扱っています。
6. ライナーと水素透過
タイプ4のライナーは、水素を閉じ込める「内張り」です。圧力を受け持つのは外側の複合材で、ライナーの仕事は水素を通さないことです。 とはいえ、高分子は水素を完全には止められません。気体が高分子を通り抜ける仕組み(溶解して拡散する)は、本シリーズ『バリア性とコーティング』編で扱いました。
(1) 規格が許す透過量
国連GTR13は、漏れと透過の許容量を、貯蔵システムの水容量1 Lあたり毎時46 mL以下と定めています。測定は、水素で満たして55〜60℃に12時間以上置いたあと、透過速度が定常になるまで(または最長500時間)行います事実。 この値は、ガレージ内の水素濃度が1%(爆発下限の4%の4分の1)を超えないことを目安に導かれています。規則の説明は、総水容量330 L以下の車を、50 m³のガレージに置く場合を例に計算しています事実。
- 前提:DOEの試算のタンク(水容量144.2 L)が、上限ちょうどの46 mL/h/Lで透過するとする
- 46 × 144.2 = 6,633 mL/h = 約6.6 L/h(毎分約110 mL)
- GTRの説明が例にした総水容量330 Lでは、46 × 330 ÷ 60 = 毎分253 mL(GTR自身の計算と同じ)
注意:これは「規格の上限」を当てはめた計算で、実在のタンクの透過量ではありません。上限を満たす実際の透過は、これよりずっと小さいのがふつうと考えられますが、本稿では実測値を確認していません。
(2) ライナーの材料:HDPEからポリアミドへ
DOEの試算は、2019年の記録ではライナーを高密度ポリエチレン(HDPE)、厚さ0.5 cmとし、2023年の試算ではポリアミド(PA)、厚さ0.38 cmとしています事実。 ライナーの材料は、透過のしにくさのほかに、ブロー成形などでの加工性、繰り返し圧力への強さ、金属ボスとの接合で選ばれます(本記事による解説)。
材料の研究例として、次の二つが公表されています。
- Sunらは、ポリアミド6に層状の無機成分を加えた材料を、タイプ4ライナーの候補として評価しました。−10〜85℃、25〜50 MPaで測った水素透過率は、ポリアミド6より3〜5倍低く、引張強さは36%、曲げ強さは17%、曲げ弾性率は12%上がったと報告しています。この研究は、高分子ライナーの商用利用が水素透過率の高さに制約されている、という問題意識から始まっています事実(論文はこの材料が「水素タンクの規格が定める要件を満たす」としています)
- Fujiwaraらは、自由体積の割合が異なる5種のポリエチレンについて、最大90 MPaの水素圧下で透過を測りました。圧力が上がると、拡散係数が下がり、それに伴って透過係数も下がりました。圧力で高分子の自由体積が縮むためと説明しています事実
7. 急減圧とライナーの損傷
高圧下では、水素がライナーの中に溶け込みます。容器の水素を急に抜くと、ライナーの内部に残った水素の濃度が、外側との間に圧力差を作ります。 Jinらの総説は、この急減圧で、ライナーに損傷が起きうると整理しています。ライナーに合う材料の開発と、タイプ4タンクの商用化にとって、減圧損傷の理解が重要だとしています事実。
もうひとつの損傷は、繰り返し圧力による疲労です。Rondinellaらは、高圧貯蔵用のタイプ4容器のHDPEライナーが、室温の圧力サイクル試験中に破損した例を調べました。破損は半球状の頭部に、ライナーのピンチオフ線に直角な亀裂として現れました。 ライナーの製造の過程(ブロー成形、複合材の硬化)で、化学的・形態的な大きな変化は見られず、最も可能性の高い原因は設計に関係する疲労だった、と結論しています事実。
8. 素材技術者の視点②:金属部品(ボス・弁・アルミ)の水素適合性
タイプ4でも、ボス(口金)、遮断弁、逆止弁などの金属部品は、高圧の水素に触れます。タイプ1・3の容器では、胴部そのものが金属です。 国連GTR13は、Phase 1では材料の適合性と水素脆化の要求を各国の規制に委ね、Phase 2(2023年)で、水素中の疲労試験とすべり歪み速度の遅い引張試験(SSRT)の要求を加えました事実。
- 疲労(切欠き材:方法1):応力集中係数3以上の切欠き試験片を3本、125% NWPの水素中・293 ± 5 K・応力比0.1・1 Hz以下で試験し、それぞれ10⁵サイクルを超えること
- 疲労(平滑材:方法2):平滑試験片で応力比−1、2×10⁵サイクルを超えること。あわせて、水素中・228 ± 5 KのSSRTで降伏強さが、同じ温度の空気中の80%を超えること
- 試験の水素:純度99.999%以上のガスを使う(試験ガスの不純物の上限が定められている)
つまり、規格の側が、「水素中の疲労」と「水素中の引張での延性の低下」を、金属部品の合否の指標にしているということです。これは、水素パイプラインでの評価(本シリーズ『水素パイプライン』編)と同じ種類の考え方です(本記事による解説)。
アルミニウム合金については、別の試験があります。GTR13は、アルミニウム合金は水素脆化に強く、有力な材料だとしたうえで、一部のアルミ合金には湿った気体の中での応力腐食割れ(HG-SCC)が起きることを説明しています。 この割れは、アルミニウムと水分の反応(2Al + 3H₂O → Al₂O₃ + 6H)で生じた水素原子が、き裂の先端に集まって進むもので、容器の外側と内側の両方で起こりうるとされます(水素ガスに含まれる水分が内側の原因になる)。日本の専門家が、この割れの感受性を調べる試験方法を提案し、規則の附属書に入っています事実。
9. 認証試験 ― 何を確かめるのか
国連GTR13の容器の認証試験は、新品の「基準値」を決める試験、劣化の条件を順に重ねる「耐久性」の試験、水素ガスで行う「路上性能」の試験、そして火災の試験から成ります。
試験で特徴的なのは、「新品の強さ」ではなく、「傷・薬液・熱・繰り返しを重ねたあとの強さ」を確認することです。 たとえば、のこで深さ0.75 mm以上・長さ200 mmの傷を付け、振子で衝撃を与え、硫酸・水酸化ナトリウム・ガソリンとメタノールの混合液・尿素溶液・ウォッシャー液などを48時間以上当てたまま、125% NWP以上で加圧します。そのあと、NWPの80%・125%で圧力を繰り返し、最後に破裂させて、破裂圧が新品の中央値BP0の80%以上であることを求めます事実。
Phase 2の説明によれば、劣化後に求める破裂圧は、新品の破裂圧の80%以上かつNWPの180%以上です。複合材は、こうした傷や薬液で強度が下がりうる材料なので、こうした順序の試験になっていると読めます(本記事による解説)。
10. 火災と安全弁(TPRD)
炭素繊維複合材は、火災の熱でマトリックス樹脂が軟化・分解し、圧力を受け持てなくなる恐れがあります(本記事による解説)。そこで、容器には熱で作動する圧力解放装置(TPRD)が付いています。TPRDは、温度で作動して水素を放出する、再閉鎖しない圧力解放装置です事実。
- 試験の考え方:局所の炎は、容器の上でTPRDから最も遠い位置に当てます。TPRDが炎に直接あたらない最悪の条件を想定した試験です事実(Phase 1の条文)
- 合格条件(Phase 2):容器が破裂しないこと、1 MPa未満まで連続して放出されること(軽量車は1時間以内、大型車は2時間以内)、TPRDの排気以外から0.5 mを超える噴流火炎が出ないこと。時間内に1 MPa未満にならなければ、破裂しなくても不合格です事実
- TPRDの部品試験:圧力サイクル、促進寿命、温度サイクル、塩水腐食、車両環境、応力腐食割れ、落下・振動、漏れ、作動、流量などの試験が規則に挙げられています事実。TPRD自体の規格はISO 19882:2025(第2版、2025年2月)です[参考資料11]
- 設計の変更:TPRDの部品、設置位置、または排気配管を変えると、火災試験のやり直しが必要です事実

11. 疲労と寿命 ― 「破裂の前に漏れる」設計
タンクは、充填のたびに圧力が上がり下がりします。この繰り返しで、複合材やライナーが疲労します。GTR13は、これを「破裂より先に漏れる」設計で守る考え方をとっています。
| 項目 | 規定 | 根拠・出典 |
|---|---|---|
| 基準の圧力サイクル試験 | 新品3本を、125% NWPまで液圧で、最大22,000回、または漏れが出るまで繰り返す。漏れは、軽量車で7,500回または11,000回(締約国の判断)、大型車で11,000回より前に出てはならない(Phase 2) | [参考資料2] |
| Phase 1の回数 | 漏れが出てはならない回数は、15年の使用寿命に対して5,500、7,500、または11,000回を各国が設定 | [参考資料1] |
| 使用寿命 | Phase 1は15年以下、Phase 2は25年以下を対象。15年超〜25年以下の寿命では、漏れが出てはならない回数は11,000回 | [参考資料1・2] |
| DOEの目標 | 運転サイクル寿命(1/4タンクから満タン)1,500回(2020年・2025年・究極目標とも) | [参考資料5] |
すべて事実(国連GTR13 Phase 1[参考資料1]、Amendment 1[参考資料2]、DOE[参考資料5])。
- 2回/日 × 365日 × 15年 = 10,950回(GTRの上限11,000回の根拠は、「1日2回の満タン充填を15年続ける」車、とGTRが説明)
- 1回/日 × 365日 × 15年 = 5,475回(下限の5,500回にほぼ等しい)
- 22,000回 × 1回の充填で走る距離350 kmとすると、約770万km(GTRの説明は、350〜500 km/回で「700万kmをはるかに超える」)
限界:1回の充填の走行距離(350 km)は、GTRが挙げる範囲(350〜500 km。別の箇所では320〜480 km)の下限側の値を本記事が選びました。実際の使われ方(タクシー、商用車など)は管轄ごとに異なります。
GTRが「漏れ先行」を重視する理由として、規則は、漏れ(車の停止と修理につながる)が破裂(より重大な事象)より先に起きることを求める、という考え方を書いています。 破裂のほうが事象が重大なので、1サイクルあたりの確率はより低くあるべきだとして、破裂しないことの確認のサイクル数(22,000)を、漏れの確認(7,500〜11,000)より多くしています事実。
12. 規格と制度
車載の水素容器は、国連の世界技術規則と、ISO規格、各国の法令が重なって規定されています。公表資料で確認できる範囲を整理します。
| 規格・制度 | 内容 | 段階(日付) |
|---|---|---|
| 国連GTR No.13 Phase 1 | 水素・燃料電池車の世界統一技術規則。圧縮水素貯蔵システムの認証試験(破裂圧225% NWP以上、22,000サイクル、火災試験など)を規定 | 世界登録簿に登録:2013年6月27日(文書の日付:2013年7月19日) |
| 国連GTR No.13 Amendment 1(Phase 2) | 破裂圧の下限を200% NWPに(35 MPa以下は締約国の判断で225%)、大型車の追加、使用寿命25年以下、水素中の材料適合性試験(疲労・SSRT)とアルミ合金のHG-SCC試験を追加 | 世界登録簿に登録:2023年6月21日(文書の日付:2023年7月17日) |
| ISO 11119-1・-2・-3:2020 | 複合材ガス容器の設計・製造・試験。-1はタイプ2、-2はタイプ3、-3はタイプ4・5。いずれも水容量450 Lまで、最小設計寿命15年 | 2020年11月発行 |
| ISO 19881:2025 | 「Gaseous hydrogen — Land vehicle fuel containers」。圧縮水素の車載容器の性能にもとづく要求。UN GTR 13との整合を掲げる | 第2版、2025年6月発行(2018年版は置き換えられた) |
| ISO 19882:2025 | 「Gaseous hydrogen — Thermally activated pressure relief devices for compressed hydrogen vehicle fuel containers」 | 第2版、2025年2月発行(2018年版は置き換えられた) |
| 容器保安規則 (昭和41年通商産業省令第50号) | 高圧ガス保安法にもとづく容器の規則。第2条で「圧縮水素自動車燃料装置用容器」を定義し、世界技術規則に適合する複合容器を「国際圧縮水素自動車燃料装置用容器」と別に定義 | 制定:1966年5月25日 現行版の施行:2026年6月12日(e-Govの表示) |
| 各国・地域の関連規則(GTR13の列挙) | EUは一般安全規則(EU)2019/2144(水素の安全は国連規則第134号を参照)、日本は保安基準の細目を定める告示の別添100(圧縮水素ガス燃料装置の技術基準)。標準の例として、CSA/ANSI HGV 2:21(車載容器)、SAE J2601(充填プロトコル) | GTR13が列挙したもので、各規則の改正状況は本稿では確認していない |
すべて事実(国連GTR13[参考資料1・2]、ISO[参考資料7〜11]、e-Gov法令検索[参考資料12])。規格本文は有料のものを含むため、題名・適用範囲・公開部分にとどめます。
日本では、車載の圧縮水素容器が、高圧ガス保安法の下で容器保安規則の対象です。製造・検査・使用の個別の要件は、本稿では確認していません。
13. 課題と、本稿で確認できなかったこと
- 35 MPaのタンクの具体値:水素密度、システムの質量・体積・コストは、一次資料で条件を揃えた値を確認していないため、記載していません
- 市販車のタンクの仕様と構造:トヨタ、ホンダ、ヒョンデなどの実車のタンクの層構成・水素量・質量は、本稿では扱っていません(燃料電池車の記事を参照)
- ライナーの実測の水素透過率:GTRの上限は確認しましたが、HDPE・ポリアミドなどの実際の透過率(温度・圧力ごと)の代表値は、条件を揃えて確認できませんでした
- 充填時の温度上昇とプレクール:急速充填で温度が上がる問題とSAE J2601の詳細は、本稿の調査範囲では確認していません
- 大型車(トラック、バス)や船舶・鉄道向け、タイプ5・コンフォーマブルタンク:本稿では扱っていません
- 規格本文の詳細:ISO 11119、ISO 19881、ISO 19882の本文(試験条件、合否基準)は有料のため、確認していません
- DOE記録のライナー値:2023年の試算の補足表のライナーは質量8.0 kg・体積8.4 L(比は約0.95 kg/L)で、ポリアミドの値としてそのまま扱えるかは、本稿では確認していません
(1) 試算と実機の違い
DOEの記録は、年産10万台を想定した設計試算で、使える水素5.6 kgの単一タンクという前提です。複数のタンクを搭載する実車や、少量生産のタンクの値とは異なります。
(2) 目標と現状は別の量
DOEの2025年目標(5.5 wt%、1.8 kWh/kg、40 g/L、9ドル/kWh)に対し、2023年の試算は1.71 kWh/kg、0.86 kWh/L(約26 g/L)、12.7ドル/kWhです。質量あたりは目標に近づきましたが、体積あたりは目標の約3分の2にとどまります本稿の計算(26÷40)。
(3) 規則は改正が続いている
GTR13は2023年に改正され、さらに次の段階(Phase 3)で、材料適合性や水素脆化の要求を議論するとされています未確定/将来。ISO 11119-2は改訂作業中(ISO/AWI 11119-2)とされています。
- 公称使用圧力(NWP)は15℃での圧力で、最大充填圧力はその125%、破裂圧の下限は200%(Phase 2。225%は35 MPa以下で選択可)です事実
- 70 MPa、15℃の水素の圧縮係数は約1.46で、理想気体より約46%体積が大きいと、DOEの値から求まります本稿の計算
- 700 barタイプ4システムの質量は約109 kgで、複合材が約3分の2、水素は約5%です(DOEの2023年の試算)事実
- 複合材の質量は、らせん巻のほうがフープ巻より重い(DOE 2015年のモデルで約2倍)事実
- 透過の上限は水容量1 Lあたり毎時46 mL、火災試験は「破裂せず、1 MPa未満まで放出」、寿命は「破裂の前に漏れる」設計です事実
- 金属部品には、水素中の疲労とSSRTの試験が、Phase 2で加わりました事実
14. 用語集
- NWP(公称使用圧力)
- 完全に充填した容器の水素が15℃で安定したときの圧力。
- 最大充填圧力
- 充填中に加える最大の圧力。NWPの125%。
- 圧縮係数 Z
- 実在気体の体積が理想気体の何倍かを表す数。高圧の水素では1より大きい。
- ライナー
- 容器の内側で気体を閉じ込める内張り。樹脂または金属。
- ボス(口金)
- 容器の端に付く金属の部品。弁や安全弁を取り付ける。
- フープ巻
- 繊維を円筒の軸にほぼ直角(周方向)に巻く方法。
- ヘリカル巻(らせん巻)
- 繊維を円筒とドーム部にらせん状に巻く方法。軸方向とドームの荷重を受け持つ。
- TPRD
- 熱で作動する圧力解放装置。火災の熱で水素を放出し、再閉鎖しない。
- 破裂圧(BP0)
- 新品の容器を液圧で破裂させたときの圧力の中央値。
- SSRT
- すべり歪み速度の遅い引張試験。水素脆化の評価に使う。
- HG-SCC
- 湿った気体の中でのアルミ合金の応力腐食割れ。水素ガスに含まれる水分でも起きうる。
- 世界技術規則(GTR)
- 自動車の安全などを世界で調和させるための国連の規則。
- ISO 11119
- 複合材ガス容器の設計・製造・試験の規格。タイプ2〜5を扱う。
- 低位発熱量
- 燃焼で生じる水蒸気の凝縮熱を含めない発熱量。水素は33.33 kWh/kg。
15. 参考資料(一次情報)
- 国連(UNECE) Global technical regulation No. 13: Global technical regulation on hydrogen and fuel cell vehicles(ECE/TRANS/180/Add.13)世界登録簿への登録 2013年6月27日(PDF) — https://documents.un.org/api/symbol/access?s=ECE/TRANS/180/Add.13&l=en&t=pdf
- 国連(UNECE) UN Global Technical Regulation No. 13 Hydrogen and Fuel Cell Vehicles, Amendment 1(ECE/TRANS/180/Add.13/Amend.1)世界登録簿への登録 2023年6月21日(PDF) — https://documents.un.org/api/symbol/access?s=ECE/TRANS/180/Add.13/Amend.1&l=en&t=pdf
- 米国エネルギー省(DOE) Hydrogen Program Record 24006「Onboard Type IV Compressed Hydrogen Storage System - Cost and Performance Status」2025年4月28日(PDF) — https://www.hydrogen.energy.gov/docs/hydrogenprogramlibraries/pdfs/24006-onboard-storage-cost-performance-status.pdf
- 米国エネルギー省(DOE) Hydrogen and Fuel Cells Program Record 15013「Onboard Type IV Compressed Hydrogen Storage System - Cost and Performance Status 2015」2015年(PDF) — https://www.hydrogen.energy.gov/pdfs/15013_onboard_storage_performance_cost.pdf
- 米国エネルギー省(DOE) 「DOE Technical Targets for Onboard Hydrogen Storage for Light-Duty Vehicles」 — https://www.energy.gov/eere/fuelcells/doe-technical-targets-onboard-hydrogen-storage-light-duty-vehicles
- 米国エネルギー省(DOE) 「Physical Hydrogen Storage」 — https://www.energy.gov/eere/fuelcells/physical-hydrogen-storage
- ISO ISO 11119-1:2020 Gas cylinders — Design, construction and testing of refillable composite gas cylinders and tubes — Part 1: Hoop wrapped fibre reinforced composite gas cylinders and tubes up to 450 l — https://www.iso.org/standard/75815.html
- ISO ISO 11119-2:2020 Gas cylinders — Design, construction and testing of refillable composite gas cylinders and tubes — Part 2: Fully wrapped fibre reinforced composite gas cylinders and tubes up to 450 l with load-sharing metal liners — https://www.iso.org/standard/75816.html
- ISO ISO 11119-3:2020 Gas cylinders — Design, construction and testing of refillable composite gas cylinders and tubes — Part 3: Fully wrapped fibre reinforced composite gas cylinders and tubes up to 450 l with non-load-sharing metallic or non-metallic liners or without liners — https://www.iso.org/standard/75817.html
- ISO ISO 19881:2025 Gaseous hydrogen — Land vehicle fuel containers — https://www.iso.org/standard/19881
- ISO ISO 19882:2025 Gaseous hydrogen — Thermally activated pressure relief devices for compressed hydrogen vehicle fuel containers — https://www.iso.org/standard/82596.html
- e-Gov法令検索 容器保安規則(昭和四十一年通商産業省令第五十号) — https://laws.e-gov.go.jp/law/341M50000400050
- Jin ら 「Review of Decompression Damage of the Polymer Liner of the Type IV Hydrogen Storage Tank」Polymers, 15, 2258, 2023 — https://doi.org/10.3390/polym15102258
- Rondinella ら 「Study of the Failure Mechanism of a High-Density Polyethylene Liner in a Type IV High-Pressure Storage Tank」Polymers, 16, 779, 2024 — https://doi.org/10.3390/polym16060779
- Sun ら 「Research on hydrogen permeability of polyamide 6 as the liner material for type IV hydrogen storage tank」International Journal of Hydrogen Energy, 45, 24980-24990, 2020 — https://doi.org/10.1016/j.ijhydene.2020.06.174
- Fujiwara ら 「Hydrogen permeation under high pressure conditions and the destruction of exposed polyethylene」International Journal of Hydrogen Energy, 46, 11832-11848, 2021 — https://doi.org/10.1016/j.ijhydene.2020.12.223
- NIST Chemistry WebBook「Hydrogen」(分子量) — https://webbook.nist.gov/cgi/cbook.cgi?ID=C1333740
- NIST Fundamental Physical Constants「molar gas constant」 — https://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?r
16. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| 公称使用圧力(NWP)の定義(15℃の安定した圧力)。最大充填圧力がNWPの125%であること。Phase 1の破裂圧の下限(NWPの225%、ガラス繊維主体は350%超)。基準の圧力サイクル寿命(125% NWPで22,000回、漏れが5,500・7,500・11,000回のいずれかより前に出ないこと)。透過の上限(水容量1 Lあたり毎時46 mL)と、その根拠(ガレージ50 m³、330 L、毎分253 mL)。使用寿命15年以下。TPRDの定義。局所の炎をTPRDから最も遠い位置に当てること、火災試験の温度の表。TPRDの変更が火災試験の再実施を要すること。Phase 1で材料適合性・水素脆化を各国の規制に委ねたこと | 国連GTR No.13(ECE/TRANS/180/Add.13、2013年)[参考資料 1]https://documents.un.org/api/symbol/access?s=ECE/TRANS/180/Add.13&l=en&t=pdf | 事実 |
| Phase 2(Amendment 1):破裂圧の下限200% NWP(35 MPa以下は締約国の判断で225%)。軽量車7,500または11,000回、大型車11,000回、15年超〜25年以下の寿命で11,000回。使用寿命25年以下。NWP 70 MPa以下。残留破裂圧がBP0の80%以上かつ(寿命終了時)NWPの180%以上。傷(深さ0.75 mm以上・長さ200 mm)、薬液5種、48時間以上、125% NWP以上。高温静置(125% NWP、85℃、1,000時間以上)。水素ガス500サイクル、透過試験(55〜60℃、定常まで最長500時間)。火災試験の合格条件(1 MPa未満まで放出、軽量車1時間・大型車2時間、0.5 m超の噴流火炎なし、破裂なし)。TPRDの部品試験の項目。水素中の疲労・SSRT試験(切欠き材・平滑材、125% NWP、293 K・228 K、10⁵・2×10⁵サイクル、降伏強さ80%)。アルミ合金のHG-SCC。Phase 3の議題。サイクル数の根拠(1日2回×15年、走行距離、漏れが先行する考え方)。ライナーと外殻の二層の説明 | 国連GTR No.13 Amendment 1(2023年)[参考資料 2]https://documents.un.org/api/symbol/access?s=ECE/TRANS/180/Add.13/Amend.1&l=en&t=pdf | 事実 |
| 700 barのタイプ4システムの試算:内容積144.2 L、総貯蔵量5.8 kg(使える水素5.6 kg)、15℃、設計の安全率2.25、内径39.6 cm、ライナーのHDPEからPAへ、厚さ0.5 cmから0.38 cm、繊維の前駆体・引張強さ・樹脂・体積割合の変化、複合材の質量(2019年90.3 kg、2023年72.7 kg)、質量・体積の内訳、ポリウレタン発泡体キャップ、重量エネルギー密度1.71 kWh/kg、体積エネルギー密度0.86 kWh/L、コスト12.7ドル/kWh(2020年ドル、年10万台)、2025年目標との比較 | DOE Program Record 24006(2025年4月28日)[参考資料 3]https://www.hydrogen.energy.gov/docs/hydrogenprogramlibraries/pdfs/24006-onboard-storage-cost-performance-status.pdf | 事実 |
| 700 barタイプ4の147 Lタンク(総貯蔵量5.9 kg)のモデル計算:複合材の質量(2013年91.0 kg、2015年106.6 kg、低コスト樹脂99.6 kg、97.0 kg)とフープ・らせんの内訳、層数(フープ46層、らせん32層)と厚さ(15.64 mm、21.76 mm)、安全率2.25(破裂圧1,575 bar以上)、35 Lの試験タンクの破裂試験で較正されたこと | DOE Program Record 15013(2015年)[参考資料 4]https://www.hydrogen.energy.gov/pdfs/15013_onboard_storage_performance_cost.pdf | 事実 |
| DOEの技術目標(2020年・2025年・究極:質量あたり、体積あたり、コスト、運転サイクル寿命1,500回など) | DOE 技術目標のページ[参考資料 5]https://www.energy.gov/eere/fuelcells/doe-technical-targets-onboard-hydrogen-storage-light-duty-vehicles | 事実 |
| 車載の物理貯蔵が350 barと700 barの圧縮ガスタンクであること。物理貯蔵が最も成熟した技術で、質量・体積あたりの水素量とコストに改善が必要なこと。コストが炭素繊維複合材に支配されること | DOE「Physical Hydrogen Storage」[参考資料 6]https://www.energy.gov/eere/fuelcells/physical-hydrogen-storage | 事実 |
| タイプ2の定義(金属ライナー、胴部のみの複合材または鋼線)、水容量450 Lまで、最小設計寿命15年、発行が2020年11月(第3版) | ISO 11119-1:2020[参考資料 7]https://www.iso.org/standard/75815.html | 事実 |
| タイプ3の定義(荷重を分担する金属ライナー、全面巻)、改訂作業中(ISO/AWI 11119-2)であること | ISO 11119-2:2020[参考資料 8]https://www.iso.org/standard/75816.html | 事実 |
| タイプ4(荷重を分担しないライナー、全面巻)、タイプ5(ライナーなし、試験圧力60 bar未満)の定義、水容量450 Lまで、最小設計寿命15年、炭素・アラミド・ガラス繊維、発行が2020年11月 | ISO 11119-3:2020[参考資料 9]https://www.iso.org/standard/75817.html | 事実 |
| ISO 19881:2025が第2版(2025年6月)で、圧縮水素容器の性能にもとづく要求を定め、UN GTR 13との整合を掲げること | ISO 19881:2025[参考資料 10]https://www.iso.org/standard/19881 | 事実 |
| ISO 19882:2025が第2版(2025年2月)であること。題名 | ISO 19882:2025[参考資料 11]https://www.iso.org/standard/82596.html | 事実 |
| 容器保安規則(昭和41年通商産業省令第50号)の第2条:フープラップ容器、フルラップ容器、圧縮水素自動車燃料装置用容器、国際圧縮水素自動車燃料装置用容器(世界技術規則に適合する複合容器)の定義。制定日(1966年5月25日)、現行版の施行日(2026年6月12日) | e-Gov法令検索[参考資料 12]https://laws.e-gov.go.jp/law/341M50000400050 | 事実 |
| 高圧下でライナーに水素が溶け込み、急減圧で内部の水素濃度による圧力差からライナーに損傷が起きうること。減圧損傷の理解がライナー材料の開発とタイプ4の商用化に重要であること | Jin ら(Polymers, 2023)[参考資料 13]https://doi.org/10.3390/polym15102258 | 事実 |
| 高圧貯蔵用タイプ4容器のHDPEライナーが室温の圧力サイクル試験で破損したこと、半球状の頭部の亀裂、製造過程に大きな変化がなく、設計に関係する疲労が最も可能性の高い原因であること | Rondinella ら(Polymers, 2024)[参考資料 14]https://doi.org/10.3390/polym16060779 | 事実 |
| ポリアミド6に層状の無機成分を加えた材料の評価:−10・25・85℃、25・35・50 MPa、水素透過率が3〜5倍低下、引張強さ36%・曲げ強さ17%・曲げ弾性率12%の向上、高分子ライナーの商用利用が水素透過率の高さに制約されているという問題意識 | Sun ら(IJHE, 2020)[参考資料 15]https://doi.org/10.1016/j.ijhydene.2020.06.174 | 事実 |
| 5種のポリエチレンを最大90 MPaの水素圧で評価し、圧力の上昇で拡散係数と透過係数が下がったこと。自由体積の縮みによる説明 | Fujiwara ら(IJHE, 2021)[参考資料 16]https://doi.org/10.1016/j.ijhydene.2020.12.223 | 事実 |
| 水素のモル質量2.01588 g/mol、気体定数8.3145 J/(mol·K)(理想気体の密度の計算に使用) | NIST[参考資料 17]https://webbook.nist.gov/cgi/cbook.cgi?ID=C1333740[参考資料 18]https://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?r | 事実 |
| 70 MPa、15℃の水素の密度が約40.2 kg/m³(5.8 kg÷0.1442 m³)、理想気体では約58.9 kg/m³、圧縮係数が約1.46であること。NWP・最大充填圧力・破裂圧の換算値(43.75、87.5、70、140、78.75、157.5 MPa)。質量・体積の割合(水素5%、複合材67%、ライナー7%、ボス1%、周辺部品20%、体積では容器内容積67%など)。水素の質量割合約5.1 wt%、体積あたり約26 g/L、複合材約12.5 kg/水素1 kg。らせん巻がフープ巻の約2.1倍の質量であること。フープ方向のみで考えた繊維の厚さの下限(約6.1 mm、複合材で約12 mm)。GTR透過上限の当てはめ(144.2 Lで約6.6 L/h、330 Lで毎分253 mL)。サイクル数の換算(10,950回、5,475回、約770万km)。目標との比(26÷40) | 本稿の計算。前提:理想気体と15℃、DOEの設計想定(内容積・質量・内径・繊維の強さと体積割合)、薄肉円筒の式、水素の低位発熱量33.33 kWh/kg。DOEの試算値は実機の実測ではなく、フープ方向のみの式は下限の見積りで設計値ではない | 本稿の計算 |
| DOEの2025年目標との距離(質量あたり・体積あたりの目標達成の見通し)、GTR13のPhase 3で材料適合性・水素脆化が議題になること | いずれも計画・議論中の事項であり、実績ではない見通しである[参考資料 2]https://documents.un.org/api/symbol/access?s=ECE/TRANS/180/Add.13/Amend.1&l=en&t=pdf[参考資料 5]https://www.energy.gov/eere/fuelcells/doe-technical-targets-onboard-hydrogen-storage-light-duty-vehicles | 未確定/将来 |
| 35 MPaのタンクの水素密度・質量・体積・コスト、市販車(トヨタ、ホンダ、ヒョンデなど)のタンクの構造と仕様、実測の水素透過率の代表値、充填時の温度上昇とSAE J2601の詳細、大型車・船舶・鉄道用、タイプ5・コンフォーマブルタンク、ISO規格本文の試験条件、DOE記録のライナー質量・体積の比(約0.95 kg/L)の扱い | 本稿の調査範囲では一次資料に確認できなかったため、記載していない | 解説 |
| 「らせん巻のほうが重い」から読み取れる、円筒のフープ応力だけでは壁の重さが決まらないという整理。ライナーの材料が透過のしにくさ以外の要因(加工性・疲労・ボスとの接合)でも選ばれるという整理。金属部品の合否が水素中の疲労と延性の低下で決まるという整理。複合材が傷や薬液で強度が下がりうる材料だから試験の順序がこうなっているという読み取り。炭素繊維複合材が火災で樹脂の軟化・分解により圧力を受け持てなくなる恐れという説明 | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関が表明した見解ではない | 解説 |
| 図1〜図6が実際の観察像・設計図・試験記録ではなく説明のための作図であること。ヒーロー画像と図7がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月6日/出典は一次情報(国連規則、規格団体、政府・国立研究所の記録、法令、査読論文)に限定しています。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 35 MPaタンクの具体値、市販車のタンクの仕様、実測の水素透過率の代表値、充填時の温度上昇、規格本文の試験条件は、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。 DOEの数値は高い生産量を想定した設計試算で、実機の実測値ではありません。水素は可燃性ガスで、容器の取扱いには法令・規格が適用されます。本記事は解説であり、設計・使用・取扱いの個別の助言ではありません。 図はすべて説明用の概念図です。図1〜図6はベクター作図、ヒーロー画像と図7はAI生成イメージであり、いずれも実際の断面写真・観察像・設備の実物を示すものではありません。