TECHNOLOGY EXPLAINER
水素の色分けと炭素強度
― 「グリーン」は、誰の、どの範囲の定義なのか
「グレー」「ブルー」「グリーン」という呼び方は広く使われていますが、法令や国際標準が定めた用語ではありません。 各国の制度が実際に基準にしているのは、水素1 kgあたりの温室効果ガスの排出量(炭素強度)と、その数え方(どこからどこまで、どの電気を使ったと見なすか)です。 この記事は、EU・日本・米国・国際機関の公的な文書を一次情報として、色の呼び名と制度上の定義の違い、炭素強度の考え方を整理した解説です。 制度は改正されるため、確認日を明記しています。法務・税務・投資の助言ではありません。

- 色分けとは何か(3行でつかむ)
- 色の呼び名が指すもの ― 俗称としての整理
- 素材技術者の視点①:色は「何を見えなくするか」
- 公的な定義①:EU ― 再生可能な非生物由来燃料(RFNBO)と低炭素水素
- 公的な定義②:日本 ― 基本戦略と水素社会推進法
- 公的な定義③:米国 ― 45V(クリーン水素製造税額控除)
- 公的な定義④:国際機関・標準 ― IEA と ISO
- 制度を並べて読む ― 閾値と、数える範囲の違い
- 炭素強度の計算の考え方 ― 本稿の計算
- 素材技術者の視点②:設備の材料は、炭素強度に入るのか
- 課題と、本稿で確認できなかったこと
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標・検討中の事項で、実績が確認できていないもの
このほか、構造の整理や読み取りは「解説」として区別し、根拠の弱い見立ては推測と明記しています。
制度は提案・採択(成立)・施行(適用開始)を区別して書き、確認日は2026年10月8日です。
本記事は制度の解説です。個別の事業や取引が、どの制度の要件を満たすかの判断・法務・税務の助言ではありません。 数値の閾値は、各制度の条文・公式文書の記載を転記したものです。制度はその後に改正される可能性があるため、実際の判断には原文と最新の状況を確認してください。 水素の取扱いや運用の助言でもありません。
1. 色分けとは何か(3行でつかむ)
水素は燃やしても二酸化炭素を出しませんが、作るときに何を原料にし、どんなエネルギーを使うかで、出る温室効果ガスの量が大きく変わります。 その違いを手短に言うために使われてきたのが、色の呼び名です。
- 色は俗称:IEA は、グレー(未処理の化石燃料由来)、ブルー(化石燃料+CO2の回収・貯留)、グリーン(再エネ電力による電解)といった色の呼び方について、「これらの用語の使い方について国際的な合意はない」とし、既存の定義は規制や供給契約の基準として使うには一般に不十分だと述べています事実[参考資料11]。
- 色が語らないこと:同じ報告は、「グレー」「ブルー」という語は、上流・中流のメタン排出や CO2 の回収率といった重要な要因について何の情報も与えない、としています[参考資料11]。
- 制度が使うもの:EU・日本・米国の制度は、いずれも排出量の閾値(kg-CO2e/kg-H2 など)と、その数え方で水素を区別しています事実[参考資料1〜10]。
「グリーン水素か」と問うときは、「誰の定義で、どこまでの排出を数え、どの電気を再生可能と見なすのか」まで問う必要があります。 同じ水素が、制度によって「該当する」「しない」と分かれることがあります(解説)。
2. 色の呼び名が指すもの ― 俗称としての整理
| 呼び名 | 一般にさす作り方 | 見えなくなる主な情報 |
|---|---|---|
| グレー | 天然ガスなど化石燃料から、CO2を回収せずに作る水素(IEA の記述:未処理の化石燃料) | 上流のメタン排出、燃料の種類(天然ガスか石炭か) |
| ブルー | 化石燃料から作り、CO2を回収・貯留する水素(IEA の記述) | 回収率、上流のメタン排出、回収した CO2 の貯留・利用先 |
| グリーン | 再生可能エネルギーの電力で水を電解して作る水素(IEA の記述) | どの電気を再生可能と見なすか(直結か、系統か、年間か時間単位か) |
| その他(ピンク、ターコイズなど) | 原子力電力による電解、メタンの熱分解などを指す呼び方が使われることがある | 本稿が確認した公的資料では、これらの色の定義を確認できなかった |
グレー・ブルー・グリーンの説明は IEA[参考資料11]の記述。「その他」は、公的な定義を確認できていないため、呼び名の例示にとどめます。なお日本の水素基本戦略は、フランスの国家戦略が「脱炭素水素」を対象とし、再エネ由来のみならず原子力由来水素も対象としていると記述しています[参考資料8]。
IEA は、色を使った用語は、電解に使う電気が系統電力の場合など、色が決められていない現実の運転を扱えないとも述べています(例:現在の電解の多くは系統電力で動くが、その色は提案されていない)[参考資料11]。
3. 素材技術者の視点①:色は「何を見えなくするか」
材料の世界でも、「高強度鋼」のように、性能の名前だけでは、どんな成分・熱処理かが分からない例は多くあります。 色の呼び名は、それと同じ位置にあります。排出量という「性能値」は、作り方の条件(原料、電力、回収率、数える範囲)で初めて決まります。
そのため、素材技術者としては、水電解の電力原単位(kWh/kg-H2)のような、材料・触媒・膜の性能が効く項目が、炭素強度に比例して効くことが重要です。第9章で数字を見ます(本記事による解説)。
4. 公的な定義①:EU ― 再生可能な非生物由来燃料(RFNBO)と低炭素水素
EU には、水素を区別する枠組みが二系統あります。RFNBO(再生可能な非生物由来燃料)と低炭素水素です。
(1) RFNBO ― 電気が「完全に再生可能」と数えられる条件
- 基本の指令:指令(EU)2023/2413(RED III、2023年10月18日採択、官報 2023年10月31日)は、RFNBO のエネルギーを各国の再エネ目標等に算入できるのは、温室効果ガスの排出削減が70%以上の場合に限る、としています(第29a条)事実[参考資料1]。また産業の水素のうち RFNBO を2030年に42%、2035年に60%とすることを求める条文があります(第22a条)[参考資料1]。
- 電気の条件:委任規則(EU)2023/1184(2023年2月10日採択、官報 2023年6月20日)は、電解に使う電気が完全に再生可能と数えられる条件を定めます。系統から取る電気については、①追加性(再エネ設備は、燃料製造設備の稼働の36か月以内に稼働し、運転支援や投資支援を受けていないこと。第5条)、②時間的な対応(2029年12月31日までは同じ暦月、2030年1月1日から同じ1時間。加盟国は届出により2027年7月1日から適用可。第6条)、③地理的な対応(同じ入札ゾーンなど。第7条)、を満たすことが原則です[参考資料2]。
- 例外と経過措置:系統の再エネ比率が前年に90%超の入札ゾーン、系統の排出強度が18 gCO2eq/MJ 未満のゾーン、再給電(出力抑制)を回避する場合などは別の規定があります(第4条)。2028年1月1日より前に稼働した設備には、追加性の要件(第5条(a)(b))が2038年1月1日まで適用されません(第11条)。委員会は2028年7月1日までに影響の報告書を提出します(第10条)[参考資料2]。
- 改正:この規則は、委任規則(EU)2024/1408(2024年3月14日付、官報 2024年5月21日)で改正されています。EUR-Lex の統合版(2024年6月10日付)の題名では、対象が「renewable fuels of non-biological origin」と表記されています[参考資料2]。本稿は、この改正の内容までは確認していません。
(2) 排出削減の計算 ― 化石燃料の比較値 94 g/MJ
委任規則(EU)2023/1185(同日採択・同日官報)は、RFNBO と再生利用炭素燃料の温室効果ガス削減率の計算方法を定め、化石燃料の比較値を 94 gCO2eq/MJ としています事実[参考資料3]。 したがって 70% 削減の閾値は 94 × (1 − 0.70) = 28.2 gCO2eq/MJ、水素の低位発熱量を 120 MJ/kg(指令 RED III の附属書 III の値[参考資料1])とすれば 約 3.38 kgCO2eq/kg-H2 に当たります本稿の計算。 この方法は、機械・設備の製造に伴う排出は数えないとしています[参考資料3・5]。
(3) 低炭素水素 ― 化石由来でも、基準を満たせば
- 定義:指令(EU)2024/1788(2024年6月13日採択、官報 2024年7月15日)の第2条(11)は、低炭素水素を、エネルギー含有量が非再生可能な源に由来し、RFNBO 用の化石燃料比較値に対して70%の排出削減の閾値を満たす水素、と定義します事実[参考資料4]。加盟国の国内法化の期限は、条文により2026年8月5日です[参考資料4]。
- 計算方法:委任規則(EU)2025/2359(2025年7月8日採択、官報 2025年11月21日)が、低炭素燃料(再生利用炭素燃料を除く)の削減率の計算方法を定めます。式は E = ei + ep + etd + eu − eccs − eccu(供給する投入物、製造、輸送・配給、最終用途の燃焼、CO2の回収・貯留/利用による削減)で、削減率は比較値に対する比です[参考資料5]。CO2の回収の実際の回収率と上流のメタン排出を考慮し、貯留は許可された地中貯留(原油・ガスの増進回収に使わないもの)に限って削減に数えます[参考資料5]。水素の地球温暖化係数は、精度が不十分としてまだ式に入れられていません[参考資料5]。
- 施行:この規則は、官報公布の20日後に施行されます。条文から、2025年12月11日に施行されたと計算できます本稿の計算[参考資料5]。委員会は2028年7月1日までに、原子力による低炭素電力を扱う別経路の導入などを評価します(第3条)未確定/将来[参考資料5]。
いずれも採択済みで施行済みの文書です(RED III:官報2023年10月31日、委任規則 2023/1184・2023/1185:同2023年6月20日、指令 2024/1788:同2024年7月15日、委任規則 2025/2359:同2025年11月21日)。いずれも「公布の20日後に施行」と条文にあり、施行日は本稿が計算した値です本稿の計算。 今後の見直し(2028年7月1日までの報告・評価)は未確定/将来です。本稿の確認日(2026年10月8日)までに、これらの改正案が採択されたかどうかは、確認できていません。
5. 公的な定義②:日本 ― 基本戦略と水素社会推進法
- 水素基本戦略(令和5年6月6日、再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議):「1 kg の水素製造におけるWell to Production Gateでの CO2 排出量が3.4 kg-CO2e 以下のものを、低炭素水素と設定する」としています。注では、Well to Production Gate を「原料生産から水素製造装置の出口まで」と説明しています。低炭素アンモニアは、1 kg の製造時の Gate to Gate(水素製造を含む)で 0.84 kg-CO2e/kg-NH3 以下とされています事実[参考資料8]。
- 算定範囲の今後:同戦略は、算定範囲を国際基準と整合させつつ、国外で製造した水素の長距離輸送、キャリアへの変換、水素の分離回収の工程から排出される CO2 も評価していく必要があるとしています。この定義は技術の進捗等に応じて見直すものとも書かれています[参考資料8]。また、炭素強度の算定は、IPHE が示す算定方法論に則り、国際的に遜色ない低炭素目標を掲げるとしています[参考資料8]。
- 水素社会推進法:「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律」(令和6年法律第37号)は、2024年5月24日公布、2024年10月23日施行です事実[参考資料6]。第2条で、低炭素水素等を、製造に伴う CO2 排出量が一定の値以下であることなど経済産業省令で定める要件に該当するものと定義します[参考資料6]。
- 施行規則(令和6年経済産業省令第69号、2024年10月23日公布・施行):第3条で、水素は1 kg あたりの製造に伴う CO2(その他の温室効果ガスは地球温暖化係数で換算)が3.4 kg 以下、アンモニアは1 kg あたり 0.87 kg 以下、合成燃料は1 MJ あたり 39.9 g 以下(製造・輸送・貯蔵・利用の排出から、原料用に回収した CO2 を控除)、合成メタンは49.3 g/MJ 以下と定めます。算定方法は経済産業大臣が定めるとしています(第3条第5項)事実[参考資料7]。
- 価格差に着目した支援:法は、供給事業者と利用事業者が共同で作る計画を主務大臣が認定し(第7条)、認定を受けた供給事業者が継続的に低炭素水素等を供給するために必要な資金に充てる助成金を、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が交付する(第10条)という枠組みです。認定の基準には、計画が経済的かつ合理的であること、供給が一定の年度までに開始され、省令で定める期間以上継続されること、などが含まれます[参考資料6]。
低炭素アンモニアは、基本戦略(2023年6月)では 0.84、施行規則(2024年10月)では 0.87 kg-CO2/kg-NH3と書かれています[参考資料7・8]。文書の位置づけ(戦略か、法令か)と日付が異なります。法令上の要件は施行規則の値ですが、本稿は両者の差の理由を確認できていません。 また、経済産業大臣が定める算定方法の本文と、認定された計画の件数・内容は、本稿では確認できていません(2026年10月8日時点)。
6. 公的な定義③:米国 ― 45V(クリーン水素製造税額控除)
- 根拠:2022年のインフレ削減法(Pub. L. 117-169、2022年8月16日)が、内国歳入法典 §45V を新設しました事実[参考資料9]。
- 排出量の段階と控除額:水素1 kg あたりのライフサイクル GHG 排出率が、4 kg-CO2e 以下のものを「適格クリーン水素」とし、基準額 0.60 ドルに適用割合を掛けます。割合は、2.5〜4 kg で 20%、1.5〜2.5 kg 未満で 25%、0.45〜1.5 kg 未満で 33.4%、0.45 kg 未満で 100%です(賃金・見習い要件を満たす施設は5倍)。基準額はインフレ調整されます事実[参考資料9]。
- 算定の範囲:ライフサイクル排出は製造地点まで(well-to-gate)で、アルゴンヌ国立研究所の GREET モデル(または後継)で求めます。米国内で製造し、第三者が製造と販売・使用を検証することが要件です[参考資料9]。
- 期限:控除は施設の運転開始から10年間。施設の建設の着工が2028年1月1日より前であることが要件です。この日付は、2025年7月4日の法律(Pub. L. 119-21 §70511)で、2033年1月1日から2028年1月1日に前倒しされました事実[参考資料9]。
- 45Q との関係:CO2の回収設備について45Q(炭素隔離の税額控除)が認められている施設で製造された水素には、45V の控除は認められません(§45V(d)(2))[参考資料9]。
- 財務省の最終規則(90 FR 2224、2025年1月10日公布・同日施行):電気を使う場合、水素製造設備が使う電気に対応するエネルギー属性証書(EAC)の条件として、追加性(発電設備の稼働が、水素設備の運転開始の36か月以内。CCS 付き既設火力は CCS 設備の運転開始で判断)、時間的な対応(2030年1月1日以降は同じ1時間。それ以前は同じ暦年)、供給可能性(同じ地域。バランシングオーソリティの接続で判断)を定めます事実[参考資料10]。
法条の数字から、賃金・見習い要件を満たした場合の1 kg あたりの控除額を計算します(インフレ調整前)本稿の計算。
- 0.45 kg 未満:0.60 × 100% × 5 = 3.00 ドル/kg
- 0.45〜1.5 kg 未満:0.60 × 33.4% = 0.2004 → 0.1セント単位で丸めて 0.200 ドル、× 5 = 1.00 ドル/kg
- 1.5〜2.5 kg 未満:0.60 × 25% × 5 = 0.75 ドル/kg / 2.5〜4 kg:0.60 × 20% × 5 = 0.60 ドル/kg
前提と限界:基準額はインフレ調整されるため、実際の額は年ごとに変わります。賃金・見習い要件を満たさない場合は5倍になりません。2025年1月の最終規則が、2025年7月の法改正の後に修正されたかどうかは、本稿では確認できていません(2026年10月8日時点)。
7. 公的な定義④:国際機関・標準 ― IEA と ISO
- IEA(2023年、G7 向け報告書):色や「持続可能」「低炭素」「クリーン」といった用語は、契約の基準として使いにくいとし、水素製造の排出強度に基づく定義を各国の規制に使うことで、市場と規制の相互運用性が高まる、としています。同報告書は一般的な許容上限は示さず、各国が自国の事情で水準を決めるとしています事実[参考資料11]。
- IPHE の方法論:IEA の報告書は、再生可能電力の発電を排出ゼロとする IPHE の方法論で、再エネ電解を 0 kg-CO2e/kg-H2 と扱っています[参考資料11]。
- ISO:ISO/TS 19870:2023 は、ISO 19870-1:2026「Hydrogen technologies — Methodology for determining the greenhouse gas emissions associated with the hydrogen supply chain — Part 1: Emissions associated with the production of hydrogen up to the production gate」(2026年4月発行)に置き換えられる、と ISO のページに記載されています。この規格は、製造ゲートまでの部分的なカーボンフットプリントを扱います事実[参考資料13]。本文は有料のため、題名と範囲の記載にとどめます。
- 2025年の状況(IEA):世界の水素需要は2024年に約1億トンで、低排出水素の利用は全体の1%未満です[参考資料12]。
8. 制度を並べて読む ― 閾値と、数える範囲の違い
| 制度 | 呼び名 | 閾値(水素) | 数える範囲 | 電気の条件(電解) | 段階 |
|---|---|---|---|---|---|
| EU RFNBO | 再生可能な非生物由来燃料 | 94 g/MJ から70%削減=28.2 g/MJ(≒3.38 kg/kg=本稿の計算) | 式 ei+ep+etd+eu−…(輸送・配給を含む)。設備製造は除く | 追加性・時間・地理の対応(暦月→2030年から1時間)など | 施行済み(委任規則 2023/1184・1185) |
| EU 低炭素水素 | 低炭素水素 | 同じ70%削減(RFNBO の比較値) | 同上(CCS の削減、メタン上流、実際の回収率を考慮) | RFNBO 水素と同じ期間単位などの整合規定 | 指令は国内法化期限 2026年8月5日、委任規則 2025/2359 は施行済み |
| 日本 | 低炭素水素等 | 3.4 kg-CO2e/kg-H2 以下(省令) | 原料生産から水素製造装置の出口まで(基本戦略)。算定方法は大臣が定める(省令) | 本稿では確認できていない | 法・省令は2024年10月23日施行 |
| 米国 45V | 適格クリーン水素 | 4 kg 以下で段階的(0.45/1.5/2.5/4 kg) | 製造地点まで(well-to-gate)、GREET モデル | EAC:新設36か月以内・同地域・2030年から1時間 | 施行済み。着工期限は2028年1月1日前(2025年7月に短縮) |
| 国際 | IEA/ISO | IEA は一般的な上限を示さない | ISO 19870-1:製造ゲートまで | ― | ISO 19870-1 は2026年4月発行 |
各国の制度の根拠は、第4〜7章の参考資料。閾値の数値は、数える範囲が同じではないため、そのまま大小を比べられません。EU の「3.38」は本稿の計算(94 g/MJ × 30% × 120 MJ/kg)で、規則本文の数値ではありません。
9. 炭素強度の計算の考え方 ― 本稿の計算
炭素強度(carbon intensity)は、排出量の合計 ÷ 製造した水素の量です。単位は、日本・米国は kg-CO2e/kg-H2、EU は g-CO2eq/MJ が使われます。換算には水素の低位発熱量 120 MJ/kg を使います(EU の RED III 附属書 III の値[参考資料1])。 以下の計算は、仮定をすべて書いた上での桁の把握が目的で、特定の事業の排出量の評価ではありません。
(1) 閾値の換算
本稿の計算
- EU(RFNBO・低炭素水素):94 g/MJ × (1 − 0.70) = 28.2 g/MJ。× 120 MJ/kg = 3,384 g = 約 3.38 kg-CO2e/kg-H2
- 日本:3.4 kg ÷ 120 MJ/kg = 0.02833 kg/MJ = 約 28.3 g/MJ
- 米国 45V の最上位から4段目の上限:4.0 kg ÷ 120 MJ/kg = 約 33.3 g/MJ
前提と限界:数値が近い(EU 28.2、日本 28.3 g/MJ)のは、換算上の偶然ではなく、日本が国際的に遜色ない水準を目指したため(基本戦略の記述[参考資料8])と読めますが、日本が EU の値を採用したと書かれた文書は、本稿では確認していません(推測)。 また、数える範囲が異なる(図2)ため、閾値の数字を直接比べて「どちらが厳しい」とは言えません。
(2) 電解の炭素強度は、電力原単位 × 電力の排出係数
電解水素の炭素強度は、近似的に次の式です本稿の計算。
- 式:CI = 電力原単位(kWh/kg-H2)× 電力の排出係数(g/kWh)÷ 1,000
- 電力原単位の仮定:DOE の PEM 型のシステムの状況値(2022年)55 kWh/kg(LHV 基準 61%)、2026年目標 51、究極の目標 46[参考資料14]
- 閾値に収まる電力の排出係数(損益分岐):閾値 ÷ 55 kWh/kg
- EU 3.38 kg → 約 61.5 g/kWh/日本 3.4 kg → 約 61.8 g/kWh
- 米国 4.0 kg → 約 72.7 g/kWh/2.5 kg → 約 45.5/1.5 kg → 約 27.3/0.45 kg → 約 8.2 g/kWh
- 電力原単位の改善の効果:55 → 51 kWh/kg で 1 − 51/55 = 約 7.3% 低下、55 → 46 で 1 − 46/55 = 約 16.4% 低下(電力の排出係数が同じなら、炭素強度も同じ割合で低下)
前提と限界:電力以外の排出(水、設備製造、補機)は数えず、使う電力はすべて同じ排出係数と仮定しています。EU・米国の実際の制度は、系統の平均排出係数ではなく、再生可能電力の調達の条件(追加性・時間・地域)で判定するため、「閾値以下の排出係数の電気を使えばよい」という単純な話ではありません。また DOE の値は目標・状況値で、個別の装置の実績ではありません。
(3) 天然ガス改質+CO2回収 ― 回収率の効き方
IEA(2023)は、CO2を回収しない天然ガス由来の水素の排出強度を 10〜14 kg-CO2e/kg-H2とし、そのうち上流・中流のメタンと CO2の排出が 1〜5 kgとしています事実[参考資料11]。 この差から、直接排出 D = 10 − 1 = 14 − 5 = 9 kgと置けます(両端で同じ値になる)本稿の計算。 回収率 η(直接排出のうち回収する割合)を仮定すると、CI = (1 − η) × 9 + U(U は上流・中流の排出)です。
参考:反応式 CH4 + 2H2O → CO2 + 4H2 からは、水素 1 kg(≒ 496 mol)あたり CO2 ≒ 124 mol = 約 5.46 kgが、原料由来だけで出る計算です(改質の熱源の排出は別)本稿の計算。
| 閾値(kg-CO2e/kg-H2) | U = 1 kg のとき必要な η | U = 2 kg | U = 3 kg | U = 4 kg |
|---|---|---|---|---|
| 3.4(日本)/約3.38(EU) | 約 73% | 約 84% | 約 96% | 100% でも超える |
| 4.0(米国 45V の適格の上限) | 約 67% | 約 78% | 約 89% | 100%(ちょうど) |
| 2.5(米国 45V の25%の段階の上限) | 約 83% | 約 94% | 達成できない | 達成できない |
前提と限界:D = 9 kg は IEA の範囲から逆算した値で、個別のプラントの値ではありません。回収の運転・輸送・貯留の排出(EU の式の eCO2-c、eCO2-t、eCO2-i)は、η に含めず、別に差し引く必要があります[参考資料5]。IEA は、回収率 60% 程度で 5〜8 kg、90% 超で 0.8〜6 kg とし、90% 超を実現する施設は当時(2023年)運転していなかったと記しています[参考資料11]。上の表の「達成できない」「超える」は、上流の排出が大きいと、回収率だけでは閾値に届かないことを示します(解説)。CCS の回収の詳細は、本シリーズ『CCS』編で扱います。
10. 素材技術者の視点②:設備の材料は、炭素強度に入るのか

ここまで見た制度の計算では、設備の材料に関わる項目は、次のように扱われています。
- 設備・機械の製造に伴う排出は、数えない。EU の二つの委任規則は、「機械・設備の製造に伴う排出は考慮しない」と明記しています事実[参考資料3・5]。したがって、イリジウム・白金・チタン・PFSA 膜といった、電解槽の材料の製造に伴う排出は、この計算には現れません。IRENA は、別の文脈ですが、白金の生産がほぼすべての環境影響の項目を支配すると述べています[参考資料15]。
- 材料の「性能」は、電力原単位を通じて入る。電解の炭素強度は、電力原単位に比例します(第9章)。膜の薄さ、触媒の活性、バイポーラ板の接触抵抗は、セル電圧、すなわち kWh/kg を左右し、炭素強度に比例して効きます(本記事による解説)。
- 劣化は、炭素強度を時間とともに悪化させる。DOE は寿命の終点を初期電圧から10%の上昇と定めています[参考資料14]。仮に電圧上昇が電力原単位にそのまま反映されるとすると、寿命の終点では炭素強度が約 10%増え、閾値 3.4 kg を維持するには、運転開始時の炭素強度が 3.4 ÷ 1.10 = 約 3.09 kg(上の電力原単位 55 kWh/kg なら、電力の排出係数 約 56 g/kWh)以下である必要がある、という計算になります本稿の計算。実際には補機の電力などは劣化しないため、上昇幅はこれより小さくなります(スタックの劣化を本稿は『水電解スタックと材料』編で扱います)。
- 水素の漏れは、まだ数えられていない。EU の2025年の委任規則は、水素の地球温暖化係数は、必要な精度ではまだ決まっていないため、算定式に入れていない、としています[参考資料5]。シール・バリア材(本シリーズ『バリア性とコーティング』編)の性能が、将来、炭素強度の算定に関わる可能性はありますが、現行の式にはありません(解説)。
まとめると:色分けや炭素強度の議論で材料が出てくるのは、「電力原単位(効率)」と「寿命(劣化)」という形が中心です(本記事による解説)。
11. 課題と、本稿で確認できなかったこと
- 範囲の不統一:EU は輸送・配給まで、日本・米国・ISO は製造ゲートまでで、閾値の数字を並べて比べられない[参考資料3・5・8・9・13]
- 電力の数え方:EU(追加性・時間・地理)と米国(EAC の新設・時間・地域)は似た考え方だが、細部と経過措置が異なる[参考資料2・10]
- 制度の変化:米国は2025年7月に着工期限が短縮され、EU も2028年に再評価の予定がある[参考資料5・9]
- 漏れとメタン:水素の地球温暖化係数と、上流のメタン排出の扱いは発展途上[参考資料5・11]
(1) 日本の算定方法の本文と、認定の実績は確認できなかった
施行規則は、二酸化炭素の量を経済産業大臣が定める算定方法で求めるとしていますが、その本文は本稿では確認できませんでした。また、価格差に着目した支援の認定された計画の件数・内容も確認できていません(2026年10月8日時点)。
(2) 米国の最終規則のその後の改定は確認できなかった
2025年1月の財務省最終規則が、2025年7月の法改正(着工期限の短縮)の後に改定・廃止されたかは、本稿では確認できていません。電気の条件(追加性・時間・地域)が現在も同じかどうかは、最新の官報で確認してください。
(3) EU の改正案の動向は確認できなかった
EU の RFNBO の電気の条件(委任規則 2023/1184)について、2024年の改正(2024/1408)の内容、および2026年10月8日までの追加の改正案・採択の有無は確認できていません。
(4) 他の国・認証スキームは扱っていない
英国、韓国、中国などの制度、民間の認証スキーム、IPHE の方法論の本文は扱っていません。色の呼び名(ピンク、ターコイズなど)の公的な定義も確認できませんでした。
(5) 実際の炭素強度の実績値は扱っていない
個別のプロジェクトの炭素強度の実測値・認証値は、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。第9章の計算は、仮定にもとづく桁の把握です。
- 色は俗称で、国際的に合意された定義はありません。制度は排出量の閾値と数え方で判定します事実
- EU は、化石燃料の比較値 94 g/MJ から70%削減(28.2 g/MJ、≒3.38 kg/kg)。日本は 3.4 kg-CO2e/kg-H2 以下。米国は 4 kg 以下で4段階の控除です事実/本稿の計算
- 数える範囲が違います。米国・日本・ISO は製造まで、EU は輸送・配給を含みます事実
- 電解の炭素強度は、電力原単位 × 電力の排出係数。55 kWh/kg なら、閾値 3.4 kg に収まる排出係数は約 62 g/kWh です本稿の計算
- 天然ガス+CCS は、回収率だけでなく上流メタンで決まります。上流 3 kg なら、3.4 kg の閾値に必要な回収率は約96%です本稿の計算
- 材料は、電力原単位と劣化を通じて炭素強度に効きます。設備の製造排出は EU の式に入りません事実
12. 用語集
- 炭素強度(CI)
- 製品1単位あたりの温室効果ガス排出量。水素では kg-CO₂e/kg-H₂ や g-CO₂eq/MJ。
- CO₂e(CO₂ 換算)
- CO₂以外の温室効果ガスを、地球温暖化係数で CO₂ に換算した量。
- RFNBO
- 再生可能な非生物由来燃料。再エネ電気から作る水素など。EU の用語。
- 追加性
- 水素のために新設された再エネ設備の電気を使う、という条件。
- 時間的な対応
- 水素を作る時間と、再エネが発電した時間をそろえる条件(暦月、1時間など)。
- EAC
- エネルギー属性証書。電気の環境価値を証明する証書。米国の 45V で使う。
- Well-to-Gate
- 原料の採取から、製造設備の出口(ゲート)まで。輸送・利用は含まない。
- 45V
- 米国内国歳入法典の、クリーン水素製造の税額控除の条文。
- GREET モデル
- 米国アルゴンヌ国立研究所のライフサイクル排出の計算モデル。
- 低位発熱量(LHV)
- 燃料の水蒸気の凝縮熱を含まない発熱量。水素は約 120 MJ/kg。
- IPHE
- 水素・燃料電池に関する国際パートナーシップ。排出量の算定方法論を示している。
- 回収率
- 排出される CO₂のうち、回収する割合。どの排出を分母にするかで意味が変わる。
13. 参考資料(一次情報)
- 欧州議会・理事会指令(EU)2023/2413(RED III)、2023年10月18日、官報 2023年10月31日 — eur-lex.europa.eu
- 欧州委員会委任規則(EU)2023/1184(RFNBO の電気に関する詳細規則)、2023年2月10日、官報 2023年6月20日(委任規則(EU)2024/1408 で改正) — eur-lex.europa.eu
- 欧州委員会委任規則(EU)2023/1185(RFNBO・再生利用炭素燃料の削減率の算定方法)、2023年2月10日、官報 2023年6月20日 — eur-lex.europa.eu
- 欧州議会・理事会指令(EU)2024/1788(再生可能ガス・天然ガス・水素の域内市場)、2024年6月13日、官報 2024年7月15日 — eur-lex.europa.eu
- 欧州委員会委任規則(EU)2025/2359(低炭素燃料の削減率の算定方法)、2025年7月8日、官報 2025年11月21日 — eur-lex.europa.eu
- 日本国脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律(令和6年法律第37号)、2024年5月24日公布、2024年10月23日施行(e-Gov 法令検索) — laws.e-gov.go.jp
- 経済産業省同法施行規則(令和6年経済産業省令第69号)、2024年10月23日公布・施行(e-Gov 法令検索) — laws.e-gov.go.jp
- 再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議「水素基本戦略」令和5年6月6日(PDF) — meti.go.jp
- 米国26 U.S. Code § 45V(クリーン水素製造の控除)。Pub. L. 117-169 §13204(2022年8月16日)、Pub. L. 119-21 §70511(2025年7月4日)で改正 — law.cornell.edu
- 米国財務省・内国歳入庁最終規則 "Credit for Production of Clean Hydrogen and Energy Credit", 90 FR 2224、2025年1月10日公布・施行 — federalregister.gov
- 国際エネルギー機関(IEA)"Towards hydrogen definitions based on their emissions intensity"(2023年、G7 向け) — iea.org
- 国際エネルギー機関(IEA)"Global Hydrogen Review 2025"(改訂版 2025年10月) — iea.org
- ISO"ISO 19870-1:2026 Hydrogen technologies — Methodology for determining the greenhouse gas emissions associated with the hydrogen supply chain — Part 1: Emissions associated with the production of hydrogen up to the production gate"(2026年4月発行。題名と範囲の記載のみ。本文は有料) — committee.iso.org
- 米国エネルギー省(DOE)"Technical Targets for Proton Exchange Membrane Electrolysis"(2026年10月5日に閲覧) — energy.gov
- IRENA"Green Hydrogen Cost Reduction: Scaling up Electrolysers to Meet the 1.5°C Climate Goal"(2020年12月) — irena.org
14. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| RED III:RFNBO のエネルギーは排出削減70%以上の場合に限り目標に算入(第29a条)。産業の水素のうち RFNBO を2030年42%、2035年60%(第22a条)。水素の発熱量 120 MJ/kg(附属書 III)。2023年10月18日採択、官報2023年10月31日 | 指令(EU)2023/2413[参考資料 1]https://eur-lex.europa.eu/eli/dir/2023/2413/oj | 事実 |
| 委任規則 2023/1184:系統の電気を完全再生可能と数える条件(第4条の例外、第5条追加性36か月・支援なし、第6条時間的対応:2029年12月31日まで暦月、2030年1月1日から1時間、加盟国は2027年7月1日から適用可、第7条地理的対応)、第10条の2028年7月1日の報告、第11条の経過措置(2028年1月1日前の稼働設備は第5条(a)(b)を2038年1月1日まで適用除外)。2023年2月10日採択、官報2023年6月20日。委任規則 2024/1408 で改正(統合版2024年6月10日) | 委任規則(EU)2023/1184[参考資料 2]https://eur-lex.europa.eu/eli/reg_del/2023/1184/oj | 事実 |
| 委任規則 2023/1185:化石燃料の比較値 94 gCO2eq/MJ、再生利用炭素燃料の70%の閾値、削減率の式 Savings = (EF − E)/EF、式の項(e_i、e_p、e_td、e_u、e_ccs)、機械・設備の製造に伴う排出は考慮しない | 委任規則(EU)2023/1185[参考資料 3]https://eur-lex.europa.eu/eli/reg_del/2023/1185/oj | 事実 |
| 指令 2024/1788 第2条(11):低炭素水素の定義(非再生可能源由来、RFNBO 用の比較値に対して70%削減)。加盟国の国内法化は2026年8月5日(第2条〜第6条、第8条〜第31条等)。第9条の低炭素燃料の認証(70%以上、マスバランス)。2024年6月13日採択、官報2024年7月15日 | 指令(EU)2024/1788[参考資料 4]https://eur-lex.europa.eu/eli/dir/2024/1788/oj | 事実 |
| 委任規則 2025/2359:低炭素燃料の算定式 E = e_i+e_p+e_td+e_u−e_ccs−e_ccu、削減率の比較値は 2023/1185 と同じ、実際の回収率・上流メタンの考慮、許可された地中貯留(増進回収に使わない)のみ削減に算入、設備製造の排出は考慮しない、水素の地球温暖化係数は未だ式に入れない旨、第3条(2028年7月1日までの評価)、2025年12月11日前に運転開始した設備に関する規定。2025年7月8日採択、官報2025年11月21日 | 委任規則(EU)2025/2359[参考資料 5]https://eur-lex.europa.eu/eli/reg_del/2025/2359/oj | 事実 |
| 水素社会推進法:令和6年法律第37号、2024年5月24日公布、2024年10月23日施行。第2条(低炭素水素等の定義と省令への委任)、第7条(計画の認定の基準)、第10条(JOGMEC の助成金) | e-Gov 法令検索(法律)[参考資料 6]https://laws.e-gov.go.jp/law/506AC0000000037 | 事実 |
| 施行規則第3条:水素は 3.4 kg 以下(1 kg あたり)、アンモニア 0.87 kg 以下、合成燃料 39.9 g/MJ 以下、合成メタン 49.3 g/MJ 以下。算定方法は経済産業大臣が定める。令和6年経済産業省令第69号、2024年10月23日公布・施行 | e-Gov 法令検索(省令)[参考資料 7]https://laws.e-gov.go.jp/law/506M60000400069 | 事実 |
| 水素基本戦略(令和5年6月6日):Well to Production Gate で 3.4 kg-CO2e 以下を低炭素水素と設定、注で「原料生産から水素製造装置の出口まで」。低炭素アンモニアは Gate to Gate で 0.84 kg-CO2e/kg-NH3 以下。算定範囲の今後の評価、定義の見直し、IPHE の方法論、IEA の報告書への言及、フランスの国家戦略が原子力由来水素も対象とする旨の記述 | 水素基本戦略[参考資料 8]https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/suiso_seisaku/pdf/20230606_2.pdf | 事実 |
| 26 U.S.C. §45V:4 kg 以下の適格クリーン水素、適用割合(20%・25%・33.4%・100%)、基準額0.60ドル、賃金・見習い要件で5倍、well-to-gate・GREET、米国内製造・第三者検証、着工期限(2028年1月1日前。Pub. L. 119-21 §70511 で2033年から短縮)、10年間、45Q との併用不可、2022年8月16日制定 | 26 U.S.C. §45V[参考資料 9]https://www.law.cornell.edu/uscode/text/26/45V | 事実 |
| 財務省最終規則 90 FR 2224:2025年1月10日公布・施行。EAC の追加性(発電設備の運転開始が水素設備の運転開始の36か月以内、CCS 付き設備の特則)、時間的な対応(2030年1月1日以降は同じ1時間、それ以前は同じ暦年)、供給可能性(同じ地域)。45VH2-GREET モデルによる算定、年単位の算定と2030年以降の時間単位の算定 | 財務省・内国歳入庁の最終規則[参考資料 10]https://www.federalregister.gov/documents/2025/01/10/2024-31513/credit-for-production-of-clean-hydrogen-and-energy-credit | 事実 |
| IEA(2023):色の用語に国際的な合意はなく、規制・契約の基準として不十分。グレー・ブルー・グリーンの例示。排出強度に基づく定義の提案、一般的な許容上限は示さない。天然ガス(回収なし)10〜14、上流・中流 1〜5、回収率約60%で 5〜8、90%超で 0.8〜6(当時、実稼働の施設なし)、2021年の世界平均 12〜13、再エネ電解は IPHE 方法論で 0 | IEA の報告書[参考資料 11]https://www.iea.org/reports/towards-hydrogen-definitions-based-on-their-emissions-intensity | 事実 |
| 世界の水素需要は2024年に約1億トン、低排出水素の利用は1%未満 | IEA Global Hydrogen Review 2025[参考資料 12]https://www.iea.org/reports/global-hydrogen-review-2025 | 事実 |
| ISO 19870-1:2026 の題名、2026年4月発行、ISO/TS 19870:2023 を置き換える、製造ゲートまでの部分的なカーボンフットプリント | ISO の規格ページ[参考資料 13]https://committee.iso.org/standard/19870-1 | 事実 |
| DOE の PEM 電解のシステムのエネルギー効率:2022年状況値 55 kWh/kg(61% LHV)、2026年目標 51、究極の目標 46。寿命の終点は初期電圧から10%の上昇 | DOE 技術目標表(PEM 電解)[参考資料 14]https://www.energy.gov/eere/fuelcells/technical-targets-proton-exchange-membrane-electrolysis | 事実 |
| 白金の生産が、ほぼすべての環境影響の項目を支配するとの記述(Duclos らの引用) | IRENA(2020)[参考資料 15]https://www.irena.org/Publications/2020/Dec/Green-hydrogen-cost-reduction | 事実 |
| EU の閾値の換算(94 × 0.30 = 28.2 g/MJ、× 120 = 約3.38 kg)。日本 3.4 kg ÷ 120 = 約28.3 g/MJ。米国 4.0 kg ÷ 120 = 約33.3 g/MJ。45V の控除額(3.00、1.00、0.75、0.60 ドル/kg、インフレ調整前)。損益分岐の電力の排出係数(3.38/55 = 61.5、3.4/55 = 61.8、4.0/55 = 72.7、2.5/55 = 45.5、1.5/55 = 27.3、0.45/55 = 8.2 g/kWh)。電力原単位の改善(7.3%、16.4%)。直接排出 D = 9 kg と、CI = (1−η)×9+U、必要な回収率の表。反応式からの CO2 約5.46 kg。10%の電圧上昇で炭素強度が約10%増える場合の運転開始時の許容(3.4÷1.10 = 約3.09 kg、約56 g/kWh)。EU 施行日(公布の20日後) | 本稿の計算。電力以外の排出は数えず、全電力が同じ排出係数と仮定。D = 9 kg は IEA の範囲からの逆算で、個別プラントの値ではない。数える範囲が制度で異なるため、閾値の大小の比較ではない。45V の額はインフレ調整前で、賃金・見習い要件を満たす場合 | 本稿の計算 |
| EU の委任規則 2025/2359 の2028年7月1日までの評価(原子力による低炭素電力の別経路など)、RFNBO の2028年の影響報告、米国・EU・日本の今後の改正 | 計画・見直しの予定であり、実施・採択は確認できていない。見通し | 未確定/将来 |
| 日本の経済産業大臣が定める算定方法の本文、認定された計画の件数・内容、米国の最終規則の2025年7月以降の改定の有無、EU の追加の改正案の有無、他国の制度・民間認証、色(ピンク・ターコイズなど)の公的な定義、個別プロジェクトの炭素強度の実績 | 本稿の調査範囲では公開された一次情報に確認できなかったため記載していない(2026年10月8日時点) | 解説 |
| 色は「作り方のラベル」で排出量を決めないという整理。範囲の違いで閾値は直接比べられないという読み取り。材料は電力原単位と劣化を通じて炭素強度に効くという整理。日本と EU の数値の近さの読み取り(推測) | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関が表明した見解ではない | 解説 |
| 図1・図2・図3・図4が説明のための作図であること。ヒーロー画像と図5がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月8日/制度の確認日も同日です。出典は一次情報(EU の官報、e-Gov 法令検索、水素基本戦略、米国連邦法典・官報、IEA、ISO のページ)に限定しています。 構造の整理や読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 日本の算定方法の本文、認定の実績、米国の最終規則のその後の改定、EU の追加の改正案、個別プロジェクトの炭素強度の実績については、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。 制度は改正されるため、実際の判断には原文と最新の状況の確認が必要で、本記事は法務・税務・投資の助言ではありません。 図はすべて説明用の概念図です。図1〜図4はベクター作図、ヒーロー画像と図5はAI生成イメージで、いずれも実際の施設・認証の手続きを示すものではありません。