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アルカリ水電解 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

アルカリ水電解
― ニッケルとKOHと多孔質の隔膜。「貴金属に頼らない」方式が、変動する電力に向き合う

アルカリ水電解は、濃いKOH(水酸化カリウム)水溶液を電解液に、ニッケル系の電極と多孔質の隔膜で水を分解する方式です。イリジウムなどの貴金属を使わず、MW(メガワット)級から数十MW級の装置の実績が積み上がっています。一方で、電流が小さい運転では水素と酸素が混ざりやすく、変動する再生可能エネルギーに合わせるには、材料と制御の両方の工夫が要ります。

構成:IRENA、米国エネルギー省(DOE)、ISO、欧州委員会 JRC、旭化成・thyssenkrupp nucera・Agfa の公表資料、査読論文を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

アルカリ水電解のheroを示す概念画像
図1 概念図(AI生成イメージ)。アルカリ水電解槽のセルフレームを積み重ねる組立の場面を想像で描いたものです。実際の装置・製品・材料の色や寸法を示すものではありません。
この記事の構成
  1. アルカリ水電解とは何か(3行でつかむ)
  2. 反応とセルの構成 ― ゼロギャップのセル
  3. 素材技術者の視点①:電解液と隔膜 ― 濃いKOHの中で、ガスは通さずイオンは通す
  4. 電極 ― ニッケルを基本に、貴金属を使わない
  5. 変動電源への追従 ― 低い電流密度で何が起きるか
  6. 素材技術者の視点②:停止のたびに電極が傷む ― 逆電流
  7. 大型化の実績 ― 実証・商用・計画を分けて読む
  8. 本稿の計算:FH2R の電流密度を逆算する
  9. 数字の読み方と評価・標準
  10. 課題・限界/用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。
性能値は、何の条件か(単セル/スタック/システム、温度、圧力、電流密度)とどの水準か(実験室/実証/商用/目標)とセットで書いています。メーカーの値は「メーカー公称」と明記します。

この記事の位置づけ

水素は可燃性のガスで、アルカリ水電解で使う濃いKOH水溶液は強い腐食性があります。取扱いには法令・規格があります。この記事は材料・原理・評価・制度の解説であり、水素設備や電解液の取扱い・運用についての個別の助言ではありません。特定の製品・企業・国の優劣を述べるものでもありません。

1. アルカリ水電解とは何か(3行でつかむ)

「強アルカリの水溶液を電解液に、ニッケル系の電極と多孔質の隔膜で水を分解する方式」です。100年以上の歴史があります。IRENA は、19世紀から20世紀前半にかけてアルカリ水電解だけが使われ、ガスを隔てる隔膜にはアスベストが使われていたと書いています事実。

  • 電解液:Brauns と Turek のレビューは、最もよく使われる電解液をKOH 20〜30 wt%の水溶液とし、導電率が最適になる温度範囲は50〜80 ℃としています事実。IRENA の表(2020年)では運転温度は70〜90 ℃、KOH は5〜7 mol/Lです事実(出所により範囲が少し違います)
  • 電極と隔膜:電極はニッケルのコーティングを施した多孔質のステンレスなど、隔膜はポリフェニレンスルフィド(PPS)の網にZrO₂(酸化ジルコニウム)を含む層を付けたものが IRENA の例です事実。貴金属の触媒を使いません
  • 弱点:電流を絞ると、水素と酸素が混ざる割合が上がり、安全のために止める基準(水素と酸素の一方に他方が2 vol%)に近づきます。Brauns と Turek は、これが再生可能エネルギーと組み合わせるときの主な問題だとしています事実
この記事でいちばん大事な一行

アルカリ水電解の材料は「貴金属を使わずに済む」代わりに、「低い電流のときにガスが混ざる」「止めるたびに電極が傷む」という、運転のしかたに起因する弱点を抱えています。 PEM 水電解が材料の希少性で悩むのに対して、アルカリ水電解は隔膜と電極の設計、そして制御で悩む――この違いを押さえると、数字の読み方が変わります(本記事による解説)。

PEM水電解については本シリーズ「PEM水電解」編で扱います。AEM水電解と固体酸化物電解セルは、それぞれの編で扱います。水電解槽全体の部材は「水電解スタックと材料」編、水素のコストは「水素の製造コスト」編を参照してください。

2. 反応とセルの構成 ― ゼロギャップのセル

アルカリ水電解セルの構成と反応(概念図)ゼロギャップ構造(電極を隔膜に押し当てる)の一例。厚さ・寸法は模式的です。直流電源+−O₂H₂OH⁻KOH水溶液ガス+電解液1234567アノード:4OH⁻ → O₂ + 2H₂O + 4e⁻カソード:4H₂O + 4e⁻ → 2H₂ + 4OH⁻① ニッケルのバイポーラ板(背板):隣のセルとつなぐ② アノード室:KOH水溶液が流れ、酸素が出る③ アノード:ニッケル系(遷移金属酸化物などの触媒層)④ 隔膜(セパレーター):ガスを通さず、水酸化物イオンは通す多孔質⑤ カソード:ニッケル系(弾性のある金属層で隔膜に押し当てる設計がある)⑥ カソード室:KOH水溶液が流れ、水素が出る⑦ ニッケルのバイポーラ板(背板)※ 材料は Brauns と Turek、Asahi Kasei の論文、IRENA の記載にもとづく例です。反応式は教科書的な内容(本稿の解説)です。
図2 概念図(ベクター作図)。材料の例は Brauns と Turek[参考資料 2]、Fujita らの論文[参考資料 3]、IRENA[参考資料 1]の記載によります。厚さ、気泡、矢印は模式的で、実際のセルの寸法や設計を示すものではありません。

カソード(陰極)では水が水素と水酸化物イオン(OH⁻)に、アノード(陽極)では水酸化物イオンが酸素と水になります。OH⁻ が隔膜を通ってカソードからアノードへ移動することで、電気が流れます(反応式と動きは教科書的な内容で、本記事の解説です)。 昔のセルは電極の間に決まった距離をあけていましたが、のちに電極を隔膜に直接押し当てる「ゼロギャップ」が主流になり、電解液による抵抗を減らしました事実(Brauns と Turek)。

部位材料の例役割素材上の難しさ
電解液KOH 水溶液(20〜30 wt%、IRENA の表では5〜7 mol/L)OH⁻ を運ぶ強アルカリで腐食性が高い。ガスの溶けやすさが純度に効く
隔膜PPS の網に ZrO₂ を含む層を付けた多孔質(IRENA)。例:Zirfon™ Perl UTP 500(Agfa)ガスを隔て、OH⁻ は通す厚いとガスは混ざりにくいが抵抗が増える
電極ニッケルのコーティングを施した多孔質ステンレス(IRENA)。ニッケルに鉄(酸素極)やモリブデン(水素極)を加えて活性を高める例(Brauns と Turek)反応の場ニッケル単独では過電圧が大きい。停止時の逆電流で劣化
バイポーラ板・枠ニッケルまたはニッケルめっき鋼。枠・シールは PSU、PTFE、EPDM(IRENA)セルをつなぎ、液とガスを漏らさないフッ素樹脂(PTFE)が使われる(「フッ素樹脂とPFAS」編)

すべて事実(IRENA[参考資料 1] Table 1、Brauns と Turek[参考資料 2]、Fujita ら[参考資料 3])。材料はメーカーによって大きく異なります。

3. 素材技術者の視点①:電解液と隔膜 ― 濃いKOHの中で、ガスは通さずイオンは通す

アルカリ水電解のsupportingを示す概念画像
図3 概念図(AI生成イメージ)。電極と隔膜の検査の場面を想像で描いたものです。実際の部材の形状・寸法・表面状態を示すものではありません。

電解液:KOH が選ばれる理由

Brauns と Turek は、KOH の導電率が50 ℃で約95 S/m、より安価な NaOH が約65 S/m で、KOH のほうが40〜50%高いと述べています事実(95 ÷ 65 = 約1.46で整合本稿の計算)。 一方、気体の溶解度は電解液の濃度が高いほど下がり(塩析)、NaOH のほうがその効果が少し強いので、KOH の溶液のほうが製品ガスは溶けやすくなります事実。 導電率を取ると、ガスの溶けやすさ(純度への影響)が代償になる――ここにも小さなトレードオフがあります(本記事による解説)。

隔膜:アスベストから複合材料へ

  • 歴史:IRENA は、アスベストの健康被害が20世紀後半に知られるまで隔膜に使われ、その後 ZIRFON® などのZrO₂ 系の複合セパレーターに置き換わった、と書いています事実
  • 構成:IRENA は隔膜を「PPS の網で支えた ZrO₂」と表記します。Brauns と Turek は Zirfon™ Perl UTP 500(Agfa)を多孔質のセパレーターの例に挙げます事実
  • 求められる性質:旭化成の論文は、隔膜に高いガスバリア性、低い電気抵抗、優れた熱的・化学的な耐久性が必要で、芳香族炭化水素系の多孔質膜や無機酸化物との複合膜がよく使われる、と述べています事実。同社は、親水性の無機粒子とフッ素樹脂のコーティングを組み合わせた表面改質の隔膜も開発しています
  • 厚さの綱引き:IRENA は、ガスの混ざりを防ぐために厚い隔膜やスペーサーを使うと抵抗が上がり、効率が下がると説明しています事実
  • メーカーの主張:Agfa は ZIRFON UTP 500+ が従来の UTP 500 より水素の収率が2.5%高いとし、測定条件は10 kA/m²(1 A/cm²)と注記しています事実(メーカー公称)。2022年3月には thyssenkrupp nucera が大量供給の購入契約を結んだと発表しています事実(Agfa の発表)
素材技術者の読みどころ:PEMの膜とは、仕事のしかたが違います

PEM の膜はイオンを通す緻密な高分子で、ガスは主に膜の中を拡散して抜けます。 アルカリの隔膜は電解液で満たされた多孔質で、イオンは細孔の中の液体を通ります。ガスの混ざりは、膜を通る分に加えて、電解液に溶けたガスが循環液に乗って運ばれる分もあります(旭化成の論文が混入の二つの経路として挙げています事実。細孔と液体という違いの整理は本記事の解説)。 このため、隔膜の評価では気体の透過性だけでなく、濡れ性(親水性)や細孔の大きさ、電解液での寸法安定性が効きます(本記事による解説)。 旭化成が親水性の無機粒子を使うのは、その一例と読めます。

4. 電極 ― ニッケルを基本に、貴金属を使わない

アルカリ水電解の大きな特徴は、電極に貴金属を使わないことです。 Brauns と Turek は、ニッケルが最もよく使われる電極材料だが、酸素発生と水素発生の過電圧が非常に高いため、触媒となる添加を加えるとしています。鉄は酸素発生の低コストな触媒、モリブデンは水素発生の過電圧を下げる例です事実。

旭化成の論文は、クロル・アルカリ電解(食塩電解)で培った技術を使っていると述べ、アノード触媒には遷移金属酸化物の混合物を、ポアービ図(電位とpHの安定領域の図)を参考に選んだと書いています事実。 また、水素気流中で加熱する還元処理によって、触媒層の導電性と比表面積を増やしたと述べています(細孔表面積の増加は触媒層にひびが入るためと推測しています事実)。 カソード側には弾性のある金属のマットレスがあり、隔膜全体を均一に押さえます。

素材技術者の読みどころ:鉄は「入れる」ときは触媒、「混ざる」ときは汚染

Brauns と Turek は、鉄を酸素極の低コストな触媒として挙げています。一方、IRENA は、ニッケル合金はクロムと鉄を含まないことが望ましいと書きます。これらが溶け出して電極を汚染し、効率と耐久性を下げるからです事実。 同じ元素でも、狙って設計した場所に入れるのか、部材から溶け出して意図せず混ざるのかで、意味が逆になります。 水質や部材の溶出は、PEM と同じく、アルカリ水電解でも寿命を左右します(IRENA は水中の鉄・クロム・銅・ケイ素・アルミニウム・ホウ素が隔膜や触媒に悪影響を与えうるとしています事実)。 (この対比は本記事の解説で、両者の資料が直接比べているわけではありません。)

5. 変動電源への追従 ― 低い電流密度で何が起きるか

製品ガスの純度は、水素が通常99.9 vol%以上、酸素が99.0〜99.5 vol%です事実(Brauns と Turek)。 水素と酸素はどちらも、相手のガスが4〜96 vol%の範囲では爆発性の混合物になるため、技術的な緊急停止の基準は2 vol%に置かれています事実。

水素と酸素が混ざる二つの経路(概念図)隔膜を通る経路と、循環する電解液に溶けて運ばれる経路。電解液を混ぜて循環すると後者が増える。A 電解液の循環を別々にするアノード室カソード室O₂H₂(1)電解液電解液B 電解液の循環を混ぜるアノード室カソード室O₂H₂(1)(2)電解液電解液(1) 隔膜を透過する。 (2) 電解液に溶けたガスが、混ぜた循環を通って反対側へ運ばれる。※ 混入の主な二経路(透過・溶解)は Fujita らの論文の記述。A・B の描き分けは Brauns と Turek の測定条件にもとづく本稿の概念図です。
図4 概念図(ベクター作図)。混入の二経路は Fujita らの論文[参考資料 3]、電解液の循環を別々/混合にした測定は Brauns と Turek のレビュー[参考資料 2]によります。装置の配管や構造を示すものではありません。

混ざる経路は二つあります。隔膜を透過する分と、電解液に溶けて循環液で運ばれる分です事実(旭化成の論文)。 後者は電解液の流量に比例して増えるので、流量は小さいほうが望ましい。ただし、大電流では発熱を抑えるために一定の流量が必要です。旭化成はこのため、電流密度に応じて電解液の流量を自動で調整して、大電流の過熱と小電流のガス混入の両方を抑える制御を導入したと述べています事実(メーカーの報告)。

低い電流密度では、酸素に混ざる水素の割合が上がる文献の測定点のみを描いた図。60 ℃、KOH 約32 wt%、電解液流量0.35 L/min、陽極側のガスの不純物(H₂ in O₂)。0.00.20.40.60.8電流密度(A/cm²)0123H₂ in O₂(vol%)電解液を別々に循環:全条件で 0.7 vol%未満安全上の遮断の目安:2 vol%1 bar:0.05 A/cm²で2%をわずかに超える10 bar:0.5 A/cm²で2%に達する20 bar:0.7 A/cm²でも2.5%※ 電解液の循環を混ぜた場合(陽極側と陰極側で共有)の3点。圧力が高いほど、電流密度が低いほど不純物が増える。※ 「わずかに超える」は論文の記述で、数値は読み取り(約2.1%)です。
図5 概念図(ベクター作図)。Brauns と Turek のレビュー[参考資料 2]が引用する測定(60 ℃、KOH 約32 wt%、1〜20 bar、0.05〜0.7 A/cm²)の数値を点で描いたものです。線で結んでいないのは、本稿が補間していないためで、他の条件の結果を示すものではありません。

Brauns と Turek が引用する測定では、電解液の循環を陽極側と陰極側で分けると、0.05〜0.7 A/cm²、1〜20 barのすべての条件で、陽極側のガスの水素濃度は0.7 vol%未満でした。 循環を混ぜると、0.05 A/cm²・常圧でも2 vol%をわずかに超え、10 barでは0.5 A/cm²で2%に達し、20 barでは0.7 A/cm²でも2.5%になりました事実(60 ℃、KOH 約32 wt%、流量0.35 L/min)。 電流が小さいと混入する量はあまり変わらないのに、出てくるガスの量が減るので、濃度が上がります(この理由は同レビューの説明です)。 このため、多くのアルカリ水電解槽の部分負荷の下限は定格の10〜25%に抑えられています事実。

IRENA の2020年の整理では、アルカリ形の負荷範囲は15〜100%、PEM 形は5〜120%です事実。 ただし、これは2020年時点の整理です。旭化成は、電流密度に応じた電解液の流量制御で運転範囲を広げたと述べています(上記)。IRENA は、隔膜のガス透過と効率のトレードオフについて、新世代の隔膜で解決したと主張する企業が一部にある、と書いています事実。

6. 素材技術者の視点②:停止のたびに電極が傷む ― 逆電流

素材技術者の読みどころ:電気を止めても、電極の電位は止まらない

アルカリ水電解槽の電源を切ると、スタックの中で電流が逆向きに流れる「逆電流」が起こります。旭化成の論文は、これが電極の腐食を引き起こし、起動と停止の繰り返しで電解効率が下がると述べています事実。 Brauns と Turek は、ニッケル電極は5,000〜10,000回の起動・停止のあとで大きく劣化すること、太陽光発電だけで運転すると20〜30年で7,000〜11,000回に達することを挙げています事実。 これはほぼ1日に1回の起動・停止にあたります(7,000 ÷ (20 × 365) = 約0.96回/日、11,000 ÷ (30 × 365) = 約1.0回/日、本稿の計算)。

対策は材料と運転の両面にあります。

  • 保護電流:IRENA は、微小な電流をかけ続けて陰極の電位が逆転するのを防ぐ方法があるとしています事実
  • 停止中の放電:旭化成は、停止中に外部の負荷をつないで放電を早める方法を開発し、電極が腐食電位にさらされる時間を短くして、寿命を約2倍にできるとしています事実(メーカーの報告)
  • 待つ時間:Brauns と Turek は、陰極は約0.25 V 以下で目に見えて劣化し始めるので、そこに達するまでの時間(約10分と報告)は完全に停止して待てる、と述べています事実

電解槽の寿命は「運転した時間」だけでなく、「止めた回数」と「止めかた」でも決まる――これは貴金属を使わない方式ならではの、材料と運転の結びつきです(本記事による解説)。

7. 大型化の実績 ― 実証・商用・計画を分けて読む

アルカリ形は、1つのセルの電極面積が大きくできます。IRENA は、電極面積が最大3 m²に達すると述べています事実。 旭化成の論文は、福島の FH2R で電極面積2.7 m²のセルを170枚直列に積んだシステムを稼働させたと書いています事実。 下の表は、公表資料から実証、商用に向けた仕様と受注、計画を分けて並べたものです。

水準公表されている内容出所
実証FH2R(福島県浪江町、NEDO事業):2020年3月に運転開始。旭化成が電解システムを供給。最大電力12 MW(交流入力)、水素300〜2000 Nm³/h(可変)、最大の出力変化速度500 kW/s、セル内圧 約70 kPaG、水素出口圧0.8 MPaG超、水素純度99.97 vol%超(ISO 14687:2019 の Type I Grade D に適合)。論文の時点で運転時間は13,000時間超Fujita ら(2025)[参考資料 3](メーカーの報告)
実証川崎のパイロット試験設備:4モジュールからなり、NEDOグリーンイノベーション基金の支援で2024年5月に運転開始Fujita ら(2025)[参考資料 3]
商用の仕様thyssenkrupp nucera の「scalum®」20 MW ユニット:クロル・アルカリ電解の実績に基づく単セル(シングルエレメント)構造。基本設計は TÜV Rheinland により ISO 22734:2019 の第4章の要求に適合と認証された、と同社が記載(この規格は廃止され、後継が発行されている)thyssenkrupp nucera の技術ページ[参考資料 6](メーカー公表)
商用の規模同社は「設置済みの容量10 GW超」「2024・2025年に合計2.7 GWを納入」「受注済み3 GW超」「供給網は年1.5 GW」と記載(ページに日付なし、2026年10月6日閲覧)。参照プロジェクトとして Stegra(スウェーデン・ボーデン)、Holland Hydrogen 1(Shell、ロッテルダム)、Onuba(Moeve、ウエルバ)、NEOM(サウジアラビア)を挙げるthyssenkrupp nucera の技術ページ[参考資料 6](メーカー公表)
計画Onuba(スペイン、Moeve):20 MW ユニット15基、合計300 MW の供給契約(2026年3月18日)。Moeve は2026年3月初めに最終投資決定(FID)を発表。公称の生産能力は年約45,000トンの水素thyssenkrupp nucera(2026)[参考資料 7]。生産能力は計画値未確定/将来
計画旭化成は、実証の経験をもとに100 MW級の商用化を計画し、JGC ホールディングスと2030年度までにグリーン化学の実証プラントを立ち上げる計画Fujita ら(2025)[参考資料 3]未確定/将来

「商用の規模」の数字はメーカーの記載で、設置済み・納入・受注の区別や、アルカリ水電解とクロル・アルカリの区別は、ページの記載からは確認できません。NEOM などの稼働状況は、本稿では確認していません。

8. 本稿の計算:FH2R の電流密度を逆算する

本稿の計算:FH2R の水素製造量から、セルあたりの電流密度を逆算する

論文が書いている数字(セル170枚、電極面積2.7 m²/セル、水素300〜2000 Nm³/h)から計算します本稿の計算。

  1. 1 Nm³の水素 = 1 ÷ 0.022414 = 44.6 mol。電子2個が必要なので、44.6 × 2 × 96,485 C ÷ 3,600 = 約2,391 Ah
  2. 直列に積んだ各セルには同じ電流が流れ、水素の生成量はセルの数に比例します。最大2000 Nm³/h ÷ 170セル = 11.76 Nm³/h/セル → 11.76 × 2,391 = 約28,100 A
  3. 電極面積 2.7 m² = 27,000 cm²。28,100 ÷ 27,000 = 約1.04 A/cm²(最大)。最小の300 Nm³/h では 約0.16 A/cm²(最大の15%)

前提と限界:電流効率100%(水素の取りこぼしがない)、Nm³が0 ℃・1 atm(標準状態)、「電極面積2.7 m²」が電流の流れる面積であること、は本稿が置いた前提です。実際の電流密度はこれより少し大きいはずです。 論文は電流密度を書いていないので、この値は公表値ではありません。

電流密度の物差し ― 出所の違う数字を並べて読む(本稿の計算を含む)帯=範囲、丸=点の値。出所と水準が異なるため、優劣を示すものではありません。IRENA(2020年)アルカリ形の公称0.2–0.8Brauns と Turek が引く測定の範囲0.05–0.7FH2R の最小〜最大(本稿の逆算)0.16–1.04DOE アルカリ形:2022年/2026年/最終0.5 / 1 / 2参考 IRENA(2020年)PEM形の公称1–2参考 DOE PEM形:2022年/2026年/最終2 / 3 / 300.511.522.53 A/cm²※ FH2R:170セル×電極面積2.7 m²、水素300〜2000 Nm³/h。1 Nm³=44.6 mol、電流効率100%の仮定で逆算(約0.16〜1.04 A/cm²)。※ DOE の3点は、アルカリ形の表では 0.5 A/cm² @1.9 V、1.0 @1.8 V、2.0 @1.7 V(PEM形は 2.0 @1.9 V、3.0 @1.8 V、3.0 @1.6 V)。
図6 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。IRENA[参考資料 1]、Brauns と Turek[参考資料 2]、DOE[参考資料 4・5]、FH2R の仕様は Fujita らの論文[参考資料 3]によります。FH2R の電流密度は、論文の最大・最小の水素製造量とセル数・電極面積から本稿が逆算したもので、公表値ではありません。

計算結果は、IRENA の公称(0.2〜0.8 A/cm²)を最大側で少し上回り、最小は最大の15%でした。これは、Brauns と Turek が挙げる部分負荷の下限(10〜25%)や IRENA の15%と同じ水準です本稿の計算。 一方、PEM 形の公称(IRENA 1〜2 A/cm²)や DOE の PEM 目標(3.0 A/cm²)とは数倍の差があります。 この差は、アルカリの隔膜が厚く、液体の電解液を通すぶんの抵抗が大きいことが主因と読めます(本記事による解説)。DOE のアルカリ形の2026年目標は1.0 A/cm²、最終目標は2.0 A/cm²です事実。

9. 数字の読み方と評価・標準

項目DOE アルカリ形(2022年の状況 → 2026年目標 → 最終目標)IRENA(2020年12月の整理)旭化成 FH2R(論文)
何の数字かスタックの状況と目標。目標は性能・耐久・設備費を同時に満たすこと、電力価格0.03 $/kWh 以下・稼働率90%超が前提2020年時点の最新水準の整理10 MW級実証設備の仕様(メーカーの報告)
電流密度と電圧0.5 A/cm² @ 1.9 V → 1.0 A/cm² @ 1.8 V → 2.0 A/cm² @ 1.7 V公称電流密度 0.2〜0.8 A/cm²、電圧範囲 1.4〜3 V記載なし(本稿の逆算で約0.16〜1.04 A/cm²)
電力量スタック 51 → 48 → 45 kWh/kg。システム 55 → 52 → 48 kWh/kgスタック 47〜66、システム 50〜78 kWh/kg記載なし(最大電力12 MW(交流)は記載)
劣化と寿命平均劣化率 3.2 → 2.3 → 2.1 mV/kh。寿命 6万 → 8万 → 8万時間(寿命末期は電圧の10%上昇)スタック寿命 6万時間(2020年)。堅牢で30年超の実績があるとの記述もある13,000時間超を運転(論文の時点)
運転条件記載なし(目標表)70〜90 ℃、圧力 30 bar未満、負荷範囲 15〜100%、水素純度 99.9〜99.9998%、電極面積 10,000〜30,000 cm²セル内圧 約70 kPaG、水素出口 0.8 MPaG超、純度 99.97 vol%超
設備費スタック 250 → 100 → 50 $/kW。システム(据付前) 500 → 250 → 150 $/kWスタック 270 $/kW(1 MW以上)、システム 500〜1,000 $/kW(10 MW以上)記載なし

すべて事実(DOE[参考資料 4]、IRENA[参考資料 1]、Fujita ら[参考資料 3])。水準の違う数字を並べたもので、優劣を示す表ではありません。IRENA のスタック寿命6万時間は表、「30年超」は本文の記述です。

  • 安全の国際規格:ISO 22734:2019 は廃止され、ISO 22734-1:2025(第1部:安全)が2025年7月に発行されています事実(ISO、2026年10月5日確認)。旧版の適用範囲には塩基性水溶液のイオン輸送媒体が含まれていました。本文は有料のため、題名と適用範囲の記載にとどめます
  • 系統サービスの試験:ISO/WD TS 22734-2(電力系統サービスの試験指針)が、アルカリ形とPEM形を主な対象に策定中です未確定/将来
  • 性能・耐久の試験方法:欧州委員会JRCの報告書(EUR 30752 EN、2021年)は、アルカリ(AWE)を含む低温水電解の調和された運転条件と試験プロトコルを示しています事実

10. 課題・限界

(1) 変動電源での長期データは限られる

再生可能エネルギーに合わせて運転した長期の劣化率を、メーカーが一次情報として公表した例は、本稿の調査範囲では確認できませんでした。Brauns と Turek や旭化成の論文が示す数字は、測定条件のある試験と、メーカーの報告です。

(2) 圧力と純度の制約

IRENA の整理では、アルカリ形の運転圧力は30 bar未満です。圧力が上がると溶存ガスが増え、混入の問題が強まる(Brauns と Turek)ため、PEM のような大きな差圧運転は難しい、という整理になります事実。

(3) メーカーの規模の数字は区別できない

thyssenkrupp nucera の「設置済み10 GW超」などは、アルカリ水電解とクロル・アルカリの内訳、設置済み・納入・受注の区別が、記載からは確認できません。NEOM などの稼働状況も確認していません。

(4) 扱っていないこと

他の方式との比較(コスト、導入量)、ニッケルなどの資源面、中国の導入状況、AEM やゼロギャップ以外のセル構造、隔膜メーカーの技術データシート(Agfa のデータシートは請求が必要で、確認できませんでした)、水素と電解液の取扱いは扱っていません。

この記事のまとめ
  • アルカリ水電解は、KOH水溶液、ニッケル系電極、ZrO₂系の多孔質隔膜でできた、貴金属を使わない方式です事実
  • 弱点は低い電流のときのガス混入です。電解液の循環を混ぜると、10 barで0.5 A/cm²でも2 vol%に達します(60 ℃・実験条件)事実
  • 止めるたびに逆電流が電極を傷めます。ニッケル電極は5,000〜10,000回の起動・停止で大きく劣化し、太陽光だけの運転ではほぼ1日1回に当たります事実本稿の計算
  • FH2R(10 MW級、実証)は、セル170枚で最大約1.04 A/cm²と逆算されます本稿の計算。PEM の数倍低い水準です
  • 商用の規模は、メーカーの記載(設置10 GW超など)と、計画(Onuba 300 MW)を分けて読みます未確定/将来

11. 用語集

KOH
水酸化カリウム。強アルカリの電解質。水溶液の導電率が高い。
隔膜(ダイアフラム)
ガスを隔て、イオンを通す多孔質のシート。膜(イオン交換膜)とは区別する。
Zirfon
Agfa の隔膜の商品名。PPS の網に ZrO₂ を含む層を付けた多孔質。
ゼロギャップ
電極を隔膜に直接押し当て、電極間の距離をなくした構造。
逆電流
電源を切ったとき、スタック内を逆向きに流れる電流。電極を傷める。
部分負荷
定格より低い出力での運転。
ターンダウン比
運転できる出力の最大と最小の比。
vol%
体積百分率。ここでは酸素に混ざる水素の割合。
Nm³
標準状態(0 ℃、1気圧)に換算した気体の体積。
FH2R
福島水素エネルギー研究フィールド(浪江町)。NEDOの実証。
塩析
塩の濃度が高いほど、気体が溶けにくくなる現象。
mV/kh
1000時間あたりのセル電圧の上昇量。劣化率の単位。

12. 参考資料(一次情報)

  1. IRENA「Green hydrogen cost reduction: Scaling up electrolysers to meet the 1.5°C climate goal」2020年12月(PDF) — irena.org
  2. Brauns J, Turek T「Alkaline Water Electrolysis Powered by Renewable Energy: A Review」Processes 8(2), 248(2020年、査読論文) — doi.org/10.3390/pr8020248
  3. Fujita Y ほか(旭化成)「Development and Demonstration of Large-scale Alkaline Water Electrolysis System “Aqualyzer”」Electrochemistry 93(11), 117007(2025年、査読論文) — doi.org/10.5796/electrochemistry.25-00129
  4. 米国エネルギー省(DOE)「Technical Targets for Liquid Alkaline Electrolysis」(2026年10月5日閲覧) — energy.gov
  5. 米国エネルギー省(DOE)「Technical Targets for Proton Exchange Membrane Electrolysis」(2026年10月5日閲覧) — energy.gov
  6. thyssenkrupp nucera「Alkaline Water Electrolysis」技術ページ(2026年10月6日閲覧) — thyssenkrupp-nucera.com
  7. thyssenkrupp nucera「thyssenkrupp nucera Supplies Electrolyzers for Moeve to Build Southern Europe’s Largest Green Hydrogen Project」2026年3月18日 — thyssenkrupp-nucera.com
  8. Agfa「Agfa sets a new efficiency standard in the production of green hydrogen with its ZIRFON UTP 500+ electrolysis membrane」 — agfa.com
  9. Agfa「Agfa’s ZIRFON separator membrane selected by thyssenkrupp nucera for large-scale green hydrogen projects」2022年3月9日 — agfa.com
  10. ISO「ISO 22734-1:2025 Hydrogen generators using water electrolysis — Part 1: Safety」 — iso.org
  11. ISO「ISO 22734:2019 Hydrogen generators using water electrolysis — Industrial, commercial, and residential applications」(廃止) — iso.org
  12. 欧州委員会 JRC Tsotridis G, Pilenga A「EU harmonised protocols for testing of low temperature water electrolysers」EUR 30752 EN(2021年) — publications.jrc.ec.europa.eu

13. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
19世紀から20世紀前半にアルカリ水電解だけが使われ、隔膜にアスベストが使われたこと、後に ZIRFON® などの ZrO₂ 系の複合セパレーターに置き換わったこと。表の値(運転温度 70〜90 ℃、圧力 1〜30 bar、KOH 5〜7 mol/L、セパレーター「PPSの網で安定化した ZrO₂」、ニッケルコートの多孔質ステンレスの電極、ニッケルコートのステンレスのバイポーラ板、枠とシールが PSU・PTFE・EPDM)。厚い隔膜やスペーサーで混ざりを防ぐと抵抗が上がり効率が下がること。電極面積が最大3 m²。ニッケル合金はクロム・鉄を含まないこと、水中の Fe・Cr・Cu・Si・Al・B が悪影響を与えうること。微小な保護電流で陰極の電位の逆転を防ぐ例。2020年の整理値(公称電流密度 0.2〜0.8 A/cm²、電圧 1.4〜3 V、負荷範囲 15〜100%(PEMは5〜120%)、水素純度 99.9〜99.9998%、スタック 47〜66・システム 50〜78 kWh/kg、寿命 6万時間、電極面積 10,000〜30,000 cm²、スタック 270 $/kW、システム 500〜1,000 $/kW)。堅牢で30年超の寿命の記述。一部の企業が混入の問題を解決したと主張していることIRENA(2020年12月)[参考資料 1]https://www.irena.org/-/media/Files/IRENA/Agency/Publication/2020/Dec/IRENA_Green_hydrogen_cost_2020.pdf事実
電解液がKOH 20〜30 wt%で、導電率が最適な温度が50〜80 ℃。KOH の導電率が50 ℃で約95 S/m、NaOH が約65 S/m で、KOH が40〜50%高いこと。塩析でガスの溶解度が濃度とともに下がり、KOH の溶液のほうが溶けやすいこと。ゼロギャップ構造。Zirfon™ Perl UTP 500(Agfa)が多孔質セパレーターの例であること。ニッケルが最も使われ、鉄が酸素発生、モリブデンが水素発生の触媒であること。水素の純度が99.9 vol%以上、酸素が99.0〜99.5 vol%、2 vol%が緊急停止の基準。測定(60 ℃、KOH 約32 wt%、0.35 L/min、0.05〜0.7 A/cm²、1〜20 bar)で、循環を分けると0.7 vol%未満、混ぜると常圧0.05 A/cm²で2%をわずかに超え、10 barで0.5 A/cm²で2%、20 barで0.7 A/cm²でも2.5%。部分負荷の下限が定格の10〜25%。ニッケル電極が5,000〜10,000回の起動・停止で大きく劣化し、太陽光のみで20〜30年に7,000〜11,000回に達すること。陰極が約0.25 V以下で劣化し、約10分と報告Brauns と Turek(2020年、査読論文)[参考資料 2]https://doi.org/10.3390/pr8020248事実
隔膜に必要な性質(高いガスバリア性、低い電気抵抗、熱的・化学的耐久性)、芳香族炭化水素系や無機酸化物との複合膜がよく使われること、親水性無機粒子とフッ素樹脂コーティングの表面改質の隔膜の開発。ニッケル製のバイポーラセルフレーム、弾性金属マットレス、アノード触媒が遷移金属酸化物の混合物で水素気流中の加熱による還元処理を行うこと。逆電流が電極腐食を起こし起動・停止の繰り返しで効率が下がること、外部負荷による放電で寿命が約2倍になること。混入の二経路(膜の透過・電解液への溶解)と電流密度に応じた電解液流量の自動調整。FH2R(2020年3月運転開始、最大12 MW(交流)、300〜2000 Nm³/h、500 kW/s、約70 kPaG、0.8 MPaG超、99.97 vol%超、170セル×2.7 m²、13,000時間超)、川崎のパイロット設備(4モジュール、2024年5月)、100 MW級の商用化とJGCとの2030年度までの実証計画Fujita ら(2025年、Electrochemistry)[参考資料 3]https://doi.org/10.5796/electrochemistry.25-00129事実
DOEアルカリ形の表の全項目(0.5 A/cm² @ 1.9 V/1.0 @ 1.8 V/2.0 @ 1.7 V、スタック 51/48/45 kWh/kg(65/69/74% LHV)、システム 55/52/48 kWh/kg、劣化率 3.2/2.3/2.1 mV/kh、寿命 6万/8万/8万時間、スタック 250/100/50 $/kW、システム 500/250/150 $/kW)と、目標を同時に満たすこと・0.03 $/kWh以下・稼働率90%超・寿命末期が電圧10%上昇という条件米国 DOE(2026年10月5日閲覧)[参考資料 4]https://www.energy.gov/eere/fuelcells/technical-targets-liquid-alkaline-electrolysis事実
図の参考として並べた DOE の PEM 形の電流密度(2.0 A/cm² @ 1.9 V/3.0 @ 1.8 V/3.0 @ 1.6 V)米国 DOE(2026年10月5日閲覧)[参考資料 5]https://www.energy.gov/eere/fuelcells/technical-targets-proton-exchange-membrane-electrolysis事実
thyssenkrupp nucera の記載:scalum® 20 MW ユニット、クロル・アルカリ由来の単セル構造、設置容量10 GW超、2024・2025年に2.7 GW納入、受注済み3 GW超、供給網年1.5 GW、参照プロジェクト(Stegra、Holland Hydrogen 1、Onuba、NEOM)、基本設計が TÜV Rheinland により ISO 22734:2019 第4章の要求に適合と認証されたことthyssenkrupp nucera 技術ページ(メーカー公表、2026年10月6日閲覧。ページに日付なし)[参考資料 6]https://www.thyssenkrupp-nucera.com/technologies/alkaline-water-electrolysis事実
Onuba(Moeve、ウエルバ):20 MW ユニット15基で300 MW の供給契約(2026年3月18日)、Moeve が2026年3月初めに最終投資決定、年約45,000トンの水素という公称能力thyssenkrupp nucera のプレスリリース。生産能力は計画値であり実績ではない[参考資料 7]https://www.thyssenkrupp-nucera.com/newsroom/news-press-releases/thyssenkrupp-nucera-supplies-electrolyzers-for-moeve-to-build-southern-europes-largest-green-hydrogen-project未確定/将来
ZIRFON UTP 500+ が従来の UTP 500 より水素の収率が2.5%高く、測定が10 kA/m²であることAgfa の発表(メーカー公称)[参考資料 8]https://www.agfa.com/corporate/news-item/agfa-sets-a-new-efficiency-standard-in-the-production-of-green-hydrogen-with-its-zirfon-utp-500-electrolysis-membrane/事実
2022年3月9日に thyssenkrupp nucera が ZIRFON 隔膜の大量供給の購入契約を結んだと Agfa が発表したことAgfa の発表(2022年3月9日)[参考資料 9]https://www.agfa.com/specialty-products/news/agfas-zirfon-separator-membrane-selected-by-thyssenkrupp-nucera-for-large-scale-green-hydrogen-projects/事実
ISO 22734:2019 が廃止され、ISO 22734-1:2025(第1部:安全、2025年7月)に置き換わったこと。旧版の適用範囲(塩基性水溶液・酸性水溶液・PEM・AEM)。ISO/WD TS 22734-2 が策定中であることISO のページ(2026年10月5日確認)。第2部は成立するか未確定[参考資料 10]https://www.iso.org/standard/82766.html [参考資料 11]https://www.iso.org/standard/69212.html事実
JRC が、アルカリを含む低温水電解の調和された運転条件・試験プロトコルの報告書(EUR 30752 EN、2021年)を出していることJRC 出版物リポジトリ[参考資料 12]https://publications.jrc.ec.europa.eu/repository/handle/JRC122565事実
95 ÷ 65 = 約1.46(KOH の導電率が NaOH より約46%高い)。7,000 ÷ (20 × 365) = 約0.96回/日、11,000 ÷ (30 × 365) = 約1.0回/日。FH2R の逆算:1 Nm³ = 44.6 mol、2,391 Ah/Nm³、2000 ÷ 170 = 11.76 Nm³/h/セル、約28,100 A、27,000 cm²、約1.04 A/cm²(最大)、300 Nm³/h で約0.16 A/cm²(最大の15%)本稿の計算。電流効率100%、Nm³ が0 ℃・1 atm、電極面積2.7 m² が電流の流れる面積という前提は本稿が置いたもので、論文は電流密度を書いていない本稿の計算
再生可能エネルギー運転での長期の劣化率、隔膜メーカーの技術データシート(Agfa は請求が必要)、thyssenkrupp nucera の数字の内訳(アルカリ水電解とクロル・アルカリ、設置・納入・受注)、NEOM などの稼働状況本稿の調査範囲では一次情報で確認できなかったため記載していない解説
反応式と OH⁻ の動き。KOH 導電率と気体溶解度のトレードオフ、PEM の膜との仕事のしかたの違い、鉄の「触媒」と「汚染」の対比、電流密度が低い理由の読み取り、停止の回数と方法が寿命を決めるという整理公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関が表明した見解ではない解説
図2・図5・図6・図4が実際の設計図・測定図ではなく説明のための作図であること。図1と図3がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月6日/出典は一次情報(国際機関・政府機関・規格団体・メーカーの公式資料、査読論文)に限定しています。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 再生可能エネルギー運転での長期の劣化率、隔膜メーカーの技術データシート、thyssenkrupp nucera の数字の内訳、NEOM などの稼働状況は、確認できなかったため記載していません。 第9章の表と図6は、出所・水準の違う数字を並べたもので、優劣を示すものではありません。 図2・図5・図6・図4はベクター作図、図1と図3はAI生成イメージであり、いずれも実際の断面写真・装置・製品を示すものではありません。