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田中貴金属 企業解説

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COMPANY PROFILE / 水素エネルギー

田中貴金属
― 燃料電池・水電解の触媒から、めっき電極、水素透過膜まで、貴金属の加工と回収で水素の「材料」を幅広く手がける素材会社

田中貴金属は、1885年(明治18年)に創業した貴金属の総合メーカーで、産業用の貴金属製品(ボンディングワイヤ、触媒、ペーストなど)、貴金属の回収・精製、地金や宝飾などの事業を持ちます。 水素に関わるのは、産業用貴金属事業を担う田中貴金属工業株式会社です。固体高分子形燃料電池(PEFC)用の電極触媒を1985年から開発し、同社の説明では世界トップクラスの供給実績があります。 近年は、PEM水電解用の触媒、水電解用の貴金属めっき電極、改質・アンモニア分解用の触媒、パラジウム系の水素透過膜へと広げています。2026年7月には、自社の湘南工場の近くで500kWの純水素燃料電池発電設備も稼働させ、水素の「作り手」と「使い手」を兼ねる立場にもなりました。 一方、会社は非上場で、水素に限った売上・利益・従業員数は開示されていません。本稿は、会社の計算書類、公式のプレスリリース、公式の製品ページ、NEDOと京都大学の公表資料から、何を確認でき、何を確認できなかったかを整理し、素材技術者の視点で触媒・電極・膜の何が効くかを書きます。

構成:第161期(2025年度)連結計算書類、第160期連結計算書類、公式サイトの会社情報・沿革、公式の製品ページ、公式プレスリリース(2011年〜2026年)、NEDOの発表(2020年1月14日)、京都大学ほかの発表と論文(2025年)を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかる田中貴金属と、水素エネルギーでの立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. 水素エネルギーの世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模
  5. 水素エネルギーにかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社は水素エネルギーで何を目指しているか
  9. 水素エネルギー分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集
  13. 出典
  14. 主張と出典の対応表

1. 30秒でわかる田中貴金属と、水素エネルギーでの立ち位置

正式名称田中貴金属工業株式会社
(水素事業の主体)
英語名は Tanaka Kikinzoku Kogyo K.K.(Tanaka Precious Metals)。1885年創業、1918年設立
本社東京都中央区
日本橋茅場町2-6-6
公式サイトの会社概要。湘南工場(神奈川県平塚市)に燃料電池触媒の工場
上場非上場
(本稿の確認範囲)
上場や有価証券報告書の提出を示す公式資料は見つからず、財務は計算書類として公開
この分野での類型材料・部品
(触媒・電極・膜)
PEFCとPEM水電解の触媒、めっき電極、Pd水素透過膜、改質・アンモニア分解の触媒
中心となる技術・対象PEFC用電極触媒
(白金、白金合金)
1985年から開発。水電解用の酸化イリジウム触媒が第2の柱として成長
田中貴金属工業の売上高4,191億7,714万円2025年度。水素に限った売上は非開示。従業員 2,862名(2025年12月31日)
グループ連結の売上高1兆978億円2025年12月期(第161期)。親会社は株式会社フィールドインアンドカンパニー
水素の自社利用純水素燃料電池 500kW2026年7月8日に稼働開始(東芝製、100kW機×5台)
まず押さえるべき1点

「田中貴金属」は1つの会社ではなく、複数の会社の総称です。公式資料から確認できる構造は、親会社の株式会社フィールドインアンドカンパニー(2025年1月1日にTANAKAホールディングスから社名変更)の下に、 グループの経営管理を担う株式会社田中貴金属グループがあり、その100%子会社として田中貴金属工業株式会社が産業用貴金属事業(触媒・電極・膜など水素関連の製品を含む)を営んでいる、というものです 事実。 この記事の「水素の事業」は田中貴金属工業のものですが、財務の連結計算書類は親会社のフィールドインアンドカンパニーのものです。 水素に関わる売上・利益・従業員数を切り出した数字は公開されていません。確認できるのは、製品群、設備投資(公表された案件)、共同研究、受賞の実績です 未確定/将来。

2. ロゴと社名の表記について

ロゴは同社の産業用貴金属製品の公式サイト(tanaka-preciousmetals.com)のヘッダーで公開されているロゴ(円形のマークと、TANAKA・田中貴金属の文字)を、そのまま取得して設置しています。生成画像による再現は行っていません。

表記の注意:一般に「田中貴金属」と呼ばれる企業グループには、複数の法人があります。 本稿で水素事業の主体としているのは田中貴金属工業株式会社です。グループの経営管理会社は株式会社田中貴金属グループ(2024年設立)で、その親会社は株式会社フィールドインアンドカンパニーです。 「TANAKAホールディングス株式会社」は、2025年1月1日付で会社分割を行い、経営管理の機能を田中貴金属グループへ承継したうえで、フィールドインアンドカンパニーへ社名を変更した、旧名です。 2025年より前のプレスリリースには、旧名のTANAKAホールディングスが発表者として出てきます。

公式サイト:https://tanaka-preciousmetals.com/jp/

3. 水素エネルギーの世界で、この会社はどこにいるか

水素エネルギーに関わる企業の4つの類型 同じ「水素の会社」でも、つくる・運ぶ・使う・素材を作るで、強みと売り先が違う 水電解装置 燃料電池・利用機器 ガス・大型案件 材料・部品 水から水素をつくる 水素を電気や動力に変える 水素を大量に作り運ぶ 膜や触媒の素材を供給 nucera/ITM Power Plug Power/Nel Ballard/Bloom Energy トヨタ/川崎重工業 Air Products/Linde Air Liquide/ACWA Chemours/AGC Johnson Matthey ほか 装置の実績と量産体制 用途ごとの製品と実績 ガス供給網と資金力 素材性能と品質の安定 案件と政策に左右 用途の立ち上がりに左右 巨額投資の回収に左右 完成品の需要に左右 田中貴金属は右端の「材料・部品」。燃料電池・水電解の触媒、めっき電極、水素透過膜を作って供給する 水素に限った売上は非開示。2026年7月には自社の湘南工場向けに500kWの純水素燃料電池も稼働させた
図1 水素エネルギーに関わる企業の4類型と、田中貴金属の位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。田中貴金属が燃料電池・水電解向けの触媒や電極を手がけていることは、同社の公式の製品ページとプレスリリースに基づきます。

田中貴金属の主たる類型は材料・部品です。扱う方式・用途は、固体高分子形燃料電池(PEFC)、PEM水電解、都市ガスなどを改質して水素を作る装置、アンモニアから水素を作る装置、パラジウム膜による水素精製の5つで、 製品群が材料・用途ともに広いのが特徴です。同時に、水素の利用者として自社工場で燃料電池発電も始めましたが、これは自社利用であり、装置を売る事業ではありません。 どの材料・用途が中心かを、同社の資料で確認できた範囲で整理します。

材料・用途田中貴金属での位置づけ確認できた一次情報区分
PEFC用の電極触媒(Pt/C、PtCo/C、PtRu/C)水素事業の中心。1985年から開発。同社は「世界トップクラスの供給実績」と説明(経済産業省のグローバルニッチトップ企業に2020年に選定)製品ページ、プレスリリース事実(会社の説明)
PEM水電解用の電極触媒(酸化Ir、Pt系)第2の柱として拡大中。酸素発生と水素の再結合の2つの機能をもつ触媒を開発して量産化したと説明(2025年に触媒工業協会技術賞)。売上は非開示製品ページ、プレスリリース事実(会社の説明)
PEM水電解用の貴金属めっき電極(GDL・PTL)チタンの基材にPtやPtIrを電着した電極。給電体・ガス拡散層・多孔質輸送層に提供と説明製品ページ事実(会社の説明)
改質触媒・変成触媒・PROX触媒、アンモニア分解触媒都市ガスなどから水素を作る装置と、アンモニアから水素を作る装置向けの触媒(Ru、Rh、Pt)。水素事業の裾野製品ページ事実(会社の説明)
パラジウム水素透過膜水素の精製に使う金属膜。約300℃用(PdCu39、2025年)と約100℃用(HPM-L111、2026年)を開発。サンプル提供の段階プレスリリース、製品ページ事実(会社の説明)
貴金属の回収・精製・リサイクル使用済み触媒などから貴金属を回収して再び製品にする。水素関連の触媒にも関わる公式サイト、製品ページ事実
水素の利用(自社の純水素燃料電池発電)湘南燃料電池発電所に500kWを導入し、2026年7月8日に稼働開始。サプライヤーであると同時に利用者になった、と同社が説明プレスリリース(2024年・2026年)事実
水電解装置・燃料電池システム・電解質膜(PEM)そのもの同社の資料では確認できず。2018年の展示会に「水電解電極触媒評価用のCCM」を初展示した、という見出しのみ確認―未確定/将来

4. 会社の規模

田中貴金属は非上場で、有価証券報告書は確認できません。公式サイトは財務情報として、会社法にもとづく計算書類(PDF)を公開しています 事実。会社全体の規模を簡潔に示し、水素に関わる部分は「開示の範囲」を明示します。会計年度は暦年(1〜12月)です。

項目内容
田中貴金属工業株式会社(水素事業の主体)資本金 5億円、売上高 4,191億7,714万5,000円(2025年度)、従業員 2,862名(2025年12月31日)、本社 東京都中央区日本橋茅場町2-6-6、代表取締役社長執行役員 田中 浩一朗。事業は「貴金属地金および各種産業用貴金属製品の製造・販売・輸出入、貴金属の回収・精製」
株式会社田中貴金属グループ田中貴金属工業などを100%子会社とするグループの経営管理会社。2024年設立、2025年から同社を中心とした体制へ移行(沿革)。第2期(2025年度)の計算書類が公開されている。親会社はフィールドインアンドカンパニー(直接100%保有)
株式会社フィールドインアンドカンパニー旧TANAKAホールディングス。連結の対象は39社、持分法適用会社は8社(2025年12月期)。田中貴金属工業、田中電子工業、EEJA、Metalor Technologies International SAなどを含む
水素に限った数字売上・利益・従業員数・研究開発費・設備投資の累計は、いずれも非開示。個別に公表された設備投資(2013年の約10億円、2018年の約40億円)のみ確認
連結(フィールドインアンドカンパニー)2024年12月期(第160期)2025年12月期(第161期)
売上高8,469億21百万円1兆978億13百万円
営業利益303億12百万円445億17百万円
経常利益379億6百万円518億53百万円
親会社株主に帰属する当期純利益289億64百万円366億64百万円
総資産/純資産―1兆8,645億92百万円/4,976億40百万円
ここで注意

連結の売上高が大きいのは、貴金属の地金・原料の取引や、回収・精製の金額を含むためと考えられますが、売上の内訳(地金、産業用製品、宝飾など)は計算書類に記載がなく、確認できません 未確定/将来。 貸借対照表では、棚卸資産が1兆818億円、借入地金が5,804億円と、貴金属の保有・調達が大きな割合を占めます。 このため、売上高の増減は貴金属の相場に左右されうるもの(推測)であり、水素事業の規模や伸びを示す数字ではありません。 なお、2025年1月1日の会社分割(吸収分割)は、同一グループ内の組織再編と会社が説明しています。

5. 水素エネルギーにかけているリソース

水素に限った人員・投資は開示されていません。人・金・外部・大学の4点で、確認できたか/できなかったかを整理します。

項目確認できた内容区分
人(研究開発拠点・人員)燃料電池用触媒の研究開発・製造は、湘南工場(神奈川県平塚市)の敷地内にあるFC触媒開発センター。田中貴金属工業の従業員は2,862名(2025年12月31日)。水素事業に限った人員、研究者数は非公表。受賞した触媒の開発者として5名の氏名が公表されている(2025年)事実/非公表
金(研究開発費・設備投資)2013年:燃料電池用触媒の専用工場(延べ床面積1,000㎡)を約10億円で湘南工場に新設。2018年:FC触媒開発センターに約3,000㎡の新棟を増設、投資額約40億円、生産能力を約7倍(2019年1月に本格稼働の予定と発表)。2024年〜2026年:500kWの純水素燃料電池発電設備を導入(投資額は確認できず)。水素に限った研究開発費は非開示事実(個別案件)/非開示
外部への出資・買収・合弁・事業売却2023年9月:中国の関連会社の成都光明派特貴金属有限公司と、燃料電池用電極触媒の製造技術に関する技術援助契約(同社の子会社、雅安光明派特貴金属の工場に生産設備を置き、2025年中に中国向け触媒の生産を開始する予定と発表)。2026年7月30日:株式会社クリーンプラネット(量子水素エネルギーの研究開発)へ出資(出資比率・金額は確認できず)。水素に関わる買収や合弁会社の設立は確認できなかった事実/確認できず(出資比率・金額)
大学・研究機関・公的資金NEDO「固体高分子形燃料電池利用高度化技術開発事業」(2015〜2019年度)で山梨大学と共同研究し、白金コバルト合金の水素極触媒を開発(2020年)。京都大学を中心に、技術研究組合FC-Cubic、横浜国立大学、九州大学、奈良女子大学、島根大学、立命館大学との共同研究で、酸化イリジウム触媒の活性点を解明(2025年、論文あり)。川崎カーボンニュートラルコンビナート形成推進協議会などに入会(2024年)。グリーンイノベーション基金など、水電解に関わる個別の公的資金は確認できなかった事実/確認できず(水電解の公的資金)

主要プロジェクトの状況

田中貴金属は装置メーカーではないため、プロジェクトは触媒の製造設備と、自社の水素利用が中心です。生産量(トン/年)は、いずれの案件も公式資料で確認できませんでした。

案件場所規模段階日付・出典
FC触媒専用工場(マザー工場)湘南工場(神奈川県平塚市)延べ床面積 約1,000㎡、投資 約10億円2013年3月に竣工、同年10月に本格稼働の予定と発表2013年2月26日
FC触媒開発センターの増設湘南工場新棟 約3,000㎡、投資 約40億円、生産能力は従来の約7倍2018年7月に竣工、2019年1月に本格稼働の予定と発表。現在の稼働状況は確認できなかった2018年7月10日
中国向けFC触媒の生産中国・雅安光明派特貴金属の工場非開示計画:2025年中に生産開始の予定(2023年の発表)。実際に開始したかは確認できなかった2023年9月12日
500kW純水素燃料電池発電設備「TANAKA H2 Nexus」田中貴金属工業湘南燃料電池発電所(平塚市)500kW(東芝製「H2Rex」100kW機×5台)。総合効率95%(LHV基準)、設計耐久性 約80,000時間(いずれもメーカー公称)稼働。最大稼働時には近隣の湘南工場の使用電力の約34%を賄えると同社が試算(田中貴金属試算)2024年3月12日(導入決定)、2026年7月9日(稼働)
パラジウム水素透過膜のサンプル提供―HPM-L111は月約100枚まで対応サンプル提供の段階(2025年9月・2026年3月から)2025年9月12日、2026年3月5日

6. これまでの取り組み

時期できごと意味
1885年・1918年東京・日本橋で創業(江島屋田中商店)、1918年に株式会社化。白金を主力に据えて発展貴金属の加工・回収の長い蓄積
1985年PEFC用の燃料電池電極触媒の開発を開始(2016年・2026年の発表)水素の素材としての出発点
2011年Ballard Power Systemsの「2010年最優良サプライヤー賞」を4回連続で受賞(同社の発表)燃料電池メーカーの評価(同社の説明)
2013年湘南工場に燃料電池用触媒の専用工場を約10億円で新設(同年10月に本格稼働の予定)増産のための「マザー工場」
2016年Hondaの燃料電池車「CLARITY FUEL CELL」に、田中貴金属の白金電極触媒が採用されたと発表自動車向けの採用事例(同社の発表)
2018年水電解用電極触媒を評価するためのCCMをFC EXPOで初展示(見出しのみ確認)。7月にFC触媒開発センターの増設(約40億円、生産能力約7倍)を発表水電解への展開と、燃料電池触媒の増産
2020年NEDO・山梨大学と共同で、水素極の過酸化水素の発生を半分以下に抑える白金コバルト合金触媒を開発(1月14日)。経済産業省の「グローバルニッチトップ企業」に、燃料電池用触媒で選定(8月)耐久性の向上と、事業の評価
2023年9月中国の関連会社と、燃料電池用電極触媒の製造技術に関する技術援助契約を締結中国需要への対応の計画
2024年3月湘南工場近くに500kWの純水素燃料電池発電設備の導入を決定。川崎のカーボンニュートラルコンビナート形成推進協議会などに入会水素の利用者としての取り組み
2025年1月1日にグループ再編。6月:「PEM形水電解用電極触媒の開発と実用化」で触媒工業協会技術賞(酸素発生と水素の再結合の2機能をもつ触媒を量産化したと説明)。8月:京都大学ほかとの共同研究成果が論文に。9月:約300℃で使えるPdCu39水素透過膜水電解触媒の実用化と、水素精製への拡大
2026年3月:約100℃で使えるPd水素透過膜「HPM-L111」を発表(同社は世界初と説明)。7月8日:500kW燃料電池発電設備を稼働。7月30日:クリーンプラネットへ出資。9月9日:ドイツのHydrogen Technology World Expo 2026(10月20〜22日)に初出展すると発表製品群の拡大と、海外展開

7. 今後の計画

海外展示Hydrogen Technology
World Expo 2026に出展
2026年10月20〜22日、ドイツ・ハンブルク。同社として初出展(予定の発表)
水素透過膜サンプル提供を継続
(HPM-L111は月約100枚まで)
量産や価格の計画は書かれていない
水電解触媒イリジウムの使用量削減を
目指して開発
Ir低減触媒、H₂リーク対策触媒の開発に取り組むと説明。時期・目標値は非開示
CO₂削減2030年に2013年比50%以上
削減を目指す
田中貴金属グループの目標。500kW燃料電池の導入はその施策の1つ(2024年の発表)

2026年7月の発表で、同社は500kWの燃料電池発電所の運用を通じて「水素利用に関する知見やノウハウを蓄積し、今後の技術開発や事業拡大につなげる」と述べています 未確定/将来。 一方、燃料電池触媒・水電解触媒の売上や数量の目標、新たな工場の建設計画、中国での生産開始の確認は、公式資料に記載がありません。

確認できなかったこと

次はいずれも一次資料に記載がありません 未確定/将来。

水素事業の売上・利益・従業員数/燃料電池用・水電解用の触媒の出荷量、シェアの数値の根拠/2018年増設後の現在の生産能力/中国での生産が2025年中に始まったか/水電解用触媒の売上と顧客名/500kW設備の投資額/クリーンプラネットへの出資比率と金額/水素事業の売却や撤退の計画(同社は発表していません)。

8. この会社は水素エネルギーで何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
燃料電池触媒で培った製造能力と電気化学の知見を、水電解、水素精製、改質の素材へ広げて、水素のバリューチェーン全体に素材を供給しようとしている2026年の発表:「40年以上の燃料電池用触媒の開発で培った技術を基盤に、水電解用触媒、水素透過膜、改質触媒、貴金属めっき電極などへ事業領域を拡大している」事実(会社の説明)
水電解では、イリジウムの使用量を減らすことと、PEMの薄膜化による効率向上を課題としている2025年の技術賞の発表(薄い膜を可能にする触媒)、2026年の展示会発表(希少なイリジウムの使用量削減を目指す)、製品ページ(Ir低減触媒を開発中)事実(会社の説明)
貴金属の回収・リサイクルまで含めた一貫体制を強みとして、水素関連の素材の需要変動に備えている2026年の発表:「貴金属の調達から材料開発、製造、販売、リサイクルまでを一貫して行う」。公式サイトの回収・精製の事業事実(会社の説明)
自社で水素を使う利用者の立場を持つことで、顧客の課題を実運用で把握しようとしている2026年7月の発表:運用現場の課題を把握・共有でき、パートナーとの連携を強化すると述べる事実(会社の説明)
将来の次世代エネルギーとの接点を探るため、先端領域のスタートアップへの出資も行っている2026年7月の出資の発表:知見の獲得を目指す、創業200周年(2085年)を見据えた超長期ビジョン。技術の実現性や水素事業との関係は同社も未確定としている推測
推測の根拠を1つだけ詳しく

「素材の間口を広げて、水素のバリューチェーン全体に供給しようとしている」と読む根拠は、製品の追加の順序と、各発表の言い回しです。 2013年と2018年の発表は、燃料電池用電極触媒の増産が中心でした。2018年には水電解用の評価用CCMを展示し、2020年に水素極の合金触媒、2025年に水電解触媒の技術賞と、約300℃のPd膜、2026年に約100℃のPd膜と500kW燃料電池発電所と続きます。 2026年9月の展示会の発表は、電極触媒、水素精製、ガス改質、めっき電極、リサイクルを「水素バリューチェーンを支える技術」として並べました。 これは、特定の1製品の拡大というより、貴金属の加工と回収で水素の工程ごとの素材をそろえるという見せ方です。 ただし、それぞれの売上規模は非開示で、どの製品が実際の収益を支えているかは、公式資料では確認できません 未確定/将来。

9. 水素エネルギー分野の提携マッピング

田中貴金属を中心とした、供給・共同研究・出資・協議会の関係 同社の公式資料に記載のある関係のみ。供給の例は過去の発表で、現在の取引は確認できない 共同研究・導入・協議会 供給 出資・関連会社 田中貴金属 水素の素材 Ballard Power Systems 2011年 最優良サプライヤー賞 本田技研工業 2016年 CLARITY FUEL CELLに採用 NEDO・山梨大学 2020年 白金コバルト水素極触媒 京都大学・FC-Cubicほか 2025年 酸化Ir触媒の活性点を解明 成都光明派特貴金属(中国) 関連会社。2023年 技術援助契約 クリーンプラネット 2026年7月 出資(量子水素) 東芝 500kW純水素燃料電池の納入元 川崎市の官民協議会 2024年 CN関連の協議会に入会
図2 田中貴金属を中心とした供給・共同研究・出資・協議会の関係。出典:同社の公式プレスリリース(2011年、2016年、2020年、2023年、2024年、2025年、2026年)、NEDOの発表、京都大学ほかの発表。図に含めたのは同社が公式資料で述べている関係だけです。BallardとHondaは過去の発表で、現在の取引内容は確認できません。クリーンプラネットへの出資は、同社の量子水素エネルギーの実現性や水素事業との関係を、本稿は評価していません。

田中貴金属の関係の特徴は、顧客名が出るのが過去の発表(2011年のBallard、2016年のHonda)に限られることです。 現在の燃料電池用・水電解用の触媒の取引先は、同社の資料に社名が書かれていません。取引先を伏せる理由は同社の説明がなく、本稿では推測しません。 一方、共同研究では大学・研究機関の名前が具体的に出ます(NEDO、山梨大学、京都大学、FC-Cubic、横浜国立大学ほか)。 水電解装置メーカーとの共同開発や供給契約の個別案件は、公式資料では確認できませんでした 未確定/将来。

10. 提供している技術・製品・サービス

以下は、同社の公式の製品ページ、プレスリリース、NEDOの発表の記述です。数値はメーカー公称で、条件がある値は条件とセットで書きます。異なる条件の値を並べて優劣をつけることはできません 事実。

製品同社ページの記述(メーカー公称)
PEFC用の白金触媒(Pt/C)標準品は、白金の担持量が30〜70wt%。高比表面積カーボンの担体(TEC10E40E〔40%〕、TEC10E50E〔50%〕、TEC10E60TPM〔60%〕、TEC10E70TPM〔70%〕)と、VULCAN® XC72の担体(TEC10V30E〔30%〕、V40E〔40%〕、V50E〔50%〕)。同社は「負荷変動によるPt溶出を抑えた品種、高電位耐久性を高めた品種」などを開発したと説明(性能値は非開示)。標準品以外の担体・担持量・合金もの相談を受けると記載
PEFC用の白金合金触媒(PtCo/C)TEC36E32(Pt担持量30wt%)、TEC36E52(50wt%)。高比表面積カーボンの担体。「合金触媒担持プロセスを最適化し、酸素還元活性の高いPtCo触媒を開発」と説明(活性の数値は非開示)
PEFC用の白金ルテニウム触媒(PtRu/C)アノード用。TEC61E54とTEC61E54-HT2(担持量54wt%、Pt:Ruのモル比1:1.5)、TEC62E58-HT(58wt%、1:2)。「耐一酸化炭素被毒性に優れ、改質水素燃料のアノード触媒として標準」と説明
PEM水電解用の酸化Ir触媒(アノード)TEC77100(高活性):Ir含有率76wt%、触媒比表面積90〜120 m²/g、平均結晶子サイズ10〜20 Å、劣化速度5〜40 µV/h。TEC77110(高耐久性):Ir含有率86wt%、40〜70 m²/g、20〜40 Å、0〜10 µV/h。劣化速度の条件はセル温度50℃、定電流2.0 A/cm²と注記(試験時間、セルの構成、膜は記載なし)。Pt系のカソード触媒も提供
PEM水電解用の2元機能触媒(OER+GRC)酸素発生触媒(OER)と、水素と酸素を再結合させる触媒(GRC)の2つの機能をもつ触媒。アノード側の水素濃度を下げて「水素クロスオーバー」を抑え、PEMの薄膜化を可能にすると説明。量産化に成功し、国内外の顧客へ提供可能と発表(2025年。効率や膜厚の数値は非開示)
貴金属めっき電極(PEM水電解用GDL・PTL、不溶性電極)チタンを基材にPtやPtIrを電着。基材はエキスパンド(最小開口2.0mm×1.0mm)、マイクロメッシュ、多孔質体(繊維焼結体・粉末焼結体)。めっきの例として白金0.1µmの断面画像を掲載。金めっきや酸化イリジウムのコーティングにも対応
改質触媒・変成触媒・PROX触媒、アンモニア分解触媒都市ガスなどから水素を作る装置向けの水蒸気改質触媒(Ru、Rh)、変成触媒、PROX触媒(COを数ppmまで除去)を一括で提供と説明。アンモニアから水素を作る改質触媒(Ru、Pt)、排ガス中のアンモニアを分解する触媒も提供。性能値は個別の記載を本稿では確認していない
パラジウム水素透過膜圧延箔・管材。PdCu39(2025年):完全なbcc相を得る独自の熱処理により、約300℃で使用可能。HPM-L111(2026年):表面の特殊処理で、約100℃前後で高い水素透過性能を示す金属膜(同社は世界初と説明)。サンプル提供は月約100枚まで。ピンホールフリーの薄膜
貴金属の回収・精製使用済み触媒などから貴金属を回収・精製し、再び製品にする。産業用貴金属事業で調達から開発、製造、販売、リサイクルまでを一貫して行うと説明
素材技術者の視点:貴金属触媒・電極・膜で、素材設計の「どこ」が効くか

(1) 燃料電池では、白金の「量」より「どこに、どう載せるか」と、運転の厳しさへの耐性が効く。 同社のPt/C標準品は、担持量(30〜70wt%)と担体(高比表面積カーボン、VULCAN® XC72)の組合せで品種が分かれています。 一般に、担持量が高いほど薄い電極層にできますが、粒子が集まりやすく、担体の違いで分散や耐久性が変わります(本稿の一般的な整理)。 同社は、負荷変動による白金の溶出を抑えた品種、高い電位での耐久性を高めた品種を開発したと説明しますが、性能値(質量活性、電気化学的活性表面積、耐久試験の結果)は公開ページにありません 未確定/将来。詳しくは、本シリーズの技術解説『白金族金属と触媒』『燃料電池車と固体高分子形燃料電池』を参照してください。

(2) 水素極(アノード)の合金化で、「膜が壊れる」仕組みを断つ。 NEDOと山梨大学、田中貴金属工業の2020年の発表は、燃料電池のアノードで過酸化水素ができ、そこから生じるラジカルが電解質膜を分解する、という劣化の経路に着目しました。 白金スキン層をもつPtCo合金触媒(量合成した「PtCo/C HT」)をアノードにすると、過酸化水素の発生が半分以下になり、加速劣化試験で、電圧が0.85V以下になるまでの時間が市販のPt/CBの4倍以上に延びたと報告されています。 ただし、この値は試験条件つきです。厚さ25µmの電解質膜、カソードは市販のPt/GCB HT、電極面積29.2cm²の単セル、反応ガスを加圧し90℃・開回路で加速した試験(200時間ごとに水素透過速度を測定)で、燃料電池車の実走行での寿命を示すものではありません。 触媒のアノード側の設計が、膜の寿命にまで影響する例です。

(3) 水電解では、イリジウムの「比表面積」と「結晶子サイズ」が、活性と耐久性の分かれ目になる。 同社の公称値では、高活性品(TEC77100)は比表面積が大きく(90〜120 m²/g)結晶子が小さい(10〜20 Å)一方、劣化速度は5〜40 µV/h。高耐久品(TEC77110)は比表面積が小さく(40〜70 m²/g)結晶子が大きい(20〜40 Å)うえ、劣化速度は0〜10 µV/hと、活性と耐久性の間のトレードオフを示唆する構成です(これは同社の2品種の数値の並びからの本稿の読みで、同社が「トレードオフ」と述べているわけではありません)。 なお、この数値はセル温度50℃、定電流2.0 A/cm²という条件の公称値で、他の条件や他社の値とは比べられません。 京都大学ほかとの共同研究は、酸化イリジウム触媒の高い活性の起源を、運転中のX線吸収分光(operando XAS)などで解明したと報告しています(Journal of the American Chemical Society, 2025)。 詳しくは、本シリーズの技術解説『PEM水電解』『水電解スタックと材料』を参照してください。

(4) 「水素クロスオーバー」を触媒で抑えて、膜を薄くできる。 カソードで生じた水素が膜を通ってアノードへ移ると、酸素と混じって危険になるため、従来は厚い膜でこれを抑え、その分、抵抗が増えて効率が下がっていました。 同社の2元機能触媒は、アノード側で水素と酸素を再結合させて水素濃度を下げ、膜の薄膜化を可能にすると説明されています(効率や膜厚の数値は非開示)。 触媒の機能追加で、膜・電解槽の設計の自由度が広がる例ですが、実際の改善幅は公開資料では確認できません 未確定/将来。

(5) めっき電極は、「貴金属を薄く、必要なところだけ」使う技術が効く。 チタン基材へのPt電着の例(白金0.1µm)や、部分めっき・再めっきによる貴金属の使用量の削減を同社は挙げます。基材は、コストの安いエキスパンド、表面が滑らかなマイクロメッシュ、ガス供給の均一性が期待できる多孔質体と、性質が違います。 触媒層付き膜(CCM)と接する面の平滑さは、膜への物理的なダメージの緩和につながると同社は説明しています。

(6) パラジウム膜は、相の制御で動作温度を下げる。 PdCu系の合金膜は、わずかでもfcc相が混ざると水素透過性能が大きく下がるため、完全なbcc相にする熱処理が鍵だと、同社は2025年の発表で述べています。2026年のHPM-L111は、膜の表面処理により、約100℃でも水素透過を可能にしたと説明されています(透過係数や純度の数値、耐久性は公開資料で確認できず)。 水素の精製は取扱いの法令・規格の対象であり、本稿は取扱いの助言ではありません。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
水素事業の規模と損益が見えない水素に関わる売上・利益・従業員数、触媒の出荷量は非開示。「世界トップクラス」などの同社の主張に、第三者の数値の裏付けは確認できない未確定/将来
需要の立ち上がり燃料電池車、定置用、水電解装置の市場の立ち上がりに、触媒の需要は左右される。水素関連の需要の見通しは同社の資料に書かれていない。燃料電池向けの供給で最も大きな顧客が誰かも確認できない推測
計画の確認ができない中国向けFC触媒の生産開始(2025年中の予定)と、2018年増設の稼働状況は、その後の公式資料で確認できない未確定/将来
貴金属の価格と供給白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウムを使う。イリジウムは特に希少と同社も述べる。貸借対照表の棚卸資産や借入地金が大きく、相場の変動の影響を受けうる事実(会社の説明)/推測
イリジウムを減らす技術の進展Ir低減触媒の開発が進めば、酸化Ir触媒の需要構造が変わりうる。同社自身も低減を課題としているが、実現時期は非開示推測
競合・顧客の内製化燃料電池や電解装置のメーカーが、触媒を自社で作る、他の素材企業から買う可能性。競合の動向は同社の資料に書かれておらず、本稿は評価しない推測
新技術の事業化Pd水素透過膜はサンプル提供の段階(月約100枚)。量産・価格・顧客は未確認。クリーンプラネットへの出資は、同社も「知見の獲得」と述べる探索的な取り組みで、事業との関係は未確定未確定/将来
グループ構造の開示法人が複数に分かれ、上場しておらず、事業別の財務は公表されない。親会社・経営管理会社・事業会社のどの数字かの確認が必要事実

12. 用語集

白金族金属(PGM)
白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムの総称。触媒として使われる高価な金属。
PEFC
固体高分子形燃料電池。水素と酸素から電気を作る。燃料電池車などに使われる。
PEM水電解
プロトン交換膜(固体高分子膜)を使い、水を水素と酸素に分解する方式。
電極触媒
電極の反応を速める触媒。燃料電池や水電解では、白金やイリジウムの粒子を担体に載せた粉末が使われる。
担体(カーボン)
触媒の貴金属粒子を載せる土台の粒子。比表面積の大きいカーボンや、VULCAN® XC72のようなカーボンブラックが使われる。
合金触媒(PtCo、PtRu)
白金に別の金属を混ぜた触媒。PtCoは酸素の反応や水素極の劣化抑制に、PtRuは一酸化炭素への耐性に使われる。
OER/HER
水電解で、アノードで起こる酸素発生反応(OER)と、カソードで起こる水素発生反応(HER)。
GDL/PTL
ガス拡散層/多孔質輸送層。電極の面にガスや水を均一に行き渡らせ、電気を通す層。田中貴金属はチタンにめっきした電極を提供。
水素クロスオーバー
水電解で、カソードの水素が膜を通ってアノード側へ移る現象。酸素と混ざると危険があり、膜を厚くして抑えるのが従来の方法。
水素透過膜
水素だけを通す金属膜。パラジウム合金が使われる。水素の高純度化に用いる。
改質/変成/PROX
都市ガスなどから水素を作る工程。改質で水素とCOを作り、変成でCOを減らし、PROXでさらに数ppmまで除く。
メーカー公称
メーカー自身が示す性能値。試験条件と版が一緒でないと、他の製品と比べられない。
Tanaka Kikinzokuのheroを示す概念画像
図3 田中貴金属が供給する水素関連の素材を表した概念図。カーボンなどの担体に白金やイリジウムの微粒子を載せた黒い触媒粉末を量り分ける作業と、水電解の電極として使われる白金めっきのチタンメッシュ(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。

13. 出典

  1. 田中貴金属 田中貴金属工業株式会社(グループ企業一覧、公式サイト)。会社概要(資本金、売上高、従業員数、本社)。 https://www.tanaka.co.jp/company/group/tkk/
  2. 田中貴金属 グループ企業一覧(公式サイト)。田中貴金属グループと子会社の関係。 https://www.tanaka.co.jp/company/group/
  3. 田中貴金属 財務情報(公式サイト)。計算書類の公開。 https://www.tanaka.co.jp/company/financial/
  4. フィールドインアンドカンパニー(旧TANAKAホールディングス) 第161期(2025年度)連結計算書類(PDF)。連結の業績、連結子会社、会社分割と社名変更。 https://www.tanaka.co.jp/company/assets/pdf/161_2025_01.pdf
  5. TANAKAホールディングス(現フィールドインアンドカンパニー) 第160期(2024年度)連結計算書類(PDF)。 https://www.tanaka.co.jp/company/assets/pdf/160_2024_01.pdf
  6. 田中貴金属グループ 株式会社田中貴金属グループ 第2期(2025年度)計算書類(PDF)。親会社との関係。 https://www.tanaka.co.jp/company/assets/pdf/161_2025_02.pdf
  7. 田中貴金属 沿革・歴史(公式サイト)。創業から2026年までの沿革。 https://www.tanaka.co.jp/company/history/
  8. 田中貴金属工業 燃料電池用電極触媒、水電解用電極触媒(製品ページ)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/products/pefcs.html
  9. 田中貴金属工業 貴金属めっき電極(PEM形水電解用GDL・不溶性電極)(製品ページ)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/products/plating_electrode.html
  10. 田中貴金属工業 改質触媒・変成触媒・PROX触媒(製品ページ)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/products/reforming_shift_reaction_prox_catalyst.html
  11. 田中貴金属工業 アンモニア関連触媒(製品ページ)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/products/nh3_catalyst.html
  12. 田中貴金属工業 水素透過膜(製品ページ)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/products/hydrogen_permeable_films.html
  13. TANAKAホールディングス 田中貴金属工業、燃料電池用触媒を開発・製造する専用工場を建設(2013年2月26日、PDF)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/sites/topics/jp/20130226_01.pdf
  14. TANAKAホールディングス 田中貴金属工業、FC触媒開発センターを増設(2018年7月10日、PDF)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/sites/topics/jp/20180710_01.pdf
  15. TANAKAホールディングス Hondaの新型燃料電池自動車「CLARITY FUEL CELL」に田中貴金属の燃料電池用白金電極触媒が採用(2016年5月12日、PDF)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/sites/topics/jp/20160512_01.pdf
  16. TANAKAホールディングス 田中貴金属工業、バラード・パワー・システムズより燃料電池触媒の最優良サプライヤー賞を受賞(2011年5月10日、PDF)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/sites/topics/jp/20110510_01.pdf
  17. 田中貴金属工業 世界初、燃料電池の劣化を大幅に抑制する白金-コバルト合金水素極触媒を開発(2020年1月14日)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20200114.html
  18. NEDO 山梨大学・田中貴金属工業との共同発表(2020年1月14日)。白金コバルト合金水素極触媒、加速劣化試験の条件。 https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101266.html
  19. 田中貴金属工業 2020年版「経済産業省認定グローバルニッチトップ企業」に選定(2020年8月4日)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20200804.html
  20. 田中貴金属工業 中国における燃料電池用電極触媒の生産体制を確立(2023年9月12日)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20230912.html
  21. 田中貴金属グループ 国内最大級500kW燃料電池発電設備を導入し生産工場における水素エネルギー活用を推進(2024年3月12日)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20240312.html
  22. 田中貴金属工業 「PEM形水電解用電極触媒の開発と実用化」が「2025年度 触媒工業協会技術賞」を受賞(2025年6月6日)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20250606.html
  23. 田中貴金属工業/京都大学ほか 京都大学との共同研究のお知らせ(2025年8月20日)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20250820.html
  24. Thakur ほか Identifying Active Sites of IrOx Catalysts for OER: A Combined Operando XAS, SEIRAS, and Theoretical Study, Journal of the American Chemical Society 147, 30613–30625(2025)。DOI: 10.1021/jacs.4c18510。 https://doi.org/10.1021/jacs.4c18510
  25. 田中貴金属工業 300℃の低温領域で使用可能な高性能パラジウム合金水素透過膜の開発に成功(2025年9月12日)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20250912.html
  26. 田中貴金属工業 100℃前後で高い水素透過性能を示す高性能パラジウム水素透過膜の開発に世界で初めて成功(2026年3月5日)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20260305.html
  27. 田中貴金属工業 国内最大級500kW燃料電池発電設備「TANAKA H2 Nexus」を稼働開始(2026年7月9日)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20260709.html
  28. 田中貴金属グループ クリーンプラネットへ出資(2026年7月30日)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20260730-1.html
  29. 田中貴金属工業 Hydrogen Technology World Expo 2026に初出展(2026年9月9日)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20260909.html
  30. 田中貴金属工業 産業用貴金属製品グローバルサイト(ロゴ画像の取得元)。 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
田中貴金属工業の会社概要(資本金5億円、売上高4,191億7,714万5,000円〔2025年度〕、従業員2,862名〔2025年12月31日〕、本社所在地、事業内容、1885年創業・1918年設立)事実出典1 https://www.tanaka.co.jp/company/group/tkk/
グループの法人構造(田中貴金属グループの100%子会社として田中貴金属工業、ほか)事実出典2 https://www.tanaka.co.jp/company/group/
財務情報が計算書類(PDF)として公開されていること事実出典3 https://www.tanaka.co.jp/company/financial/
連結の売上高1兆978億13百万円、営業利益445億17百万円、経常利益518億53百万円、純利益366億64百万円、総資産・純資産、棚卸資産、借入地金、連結子会社39社・持分法適用会社8社、2025年1月1日の会社分割と社名変更事実出典4 https://www.tanaka.co.jp/company/assets/pdf/161_2025_01.pdf
2024年12月期の連結の売上高8,469億21百万円、営業利益303億12百万円、経常利益379億6百万円、純利益289億64百万円事実出典5 https://www.tanaka.co.jp/company/assets/pdf/160_2024_01.pdf
田中貴金属グループが親会社(フィールドインアンドカンパニー)の100%子会社であること、第2期の計算書類事実出典6 https://www.tanaka.co.jp/company/assets/pdf/161_2025_02.pdf
沿革(2010年の持株会社化、2024年の田中貴金属グループ設立、2025年の体制移行、2026年の組織変更)事実出典7 https://www.tanaka.co.jp/company/history/
PEFC用触媒の品番・担持量・担体・Pt:Ruのモル比、水電解用酸化Ir触媒TEC77100・TEC77110の公称値(Ir含有率、比表面積、結晶子サイズ、劣化速度。条件はセル温度50℃・定電流2.0 A/cm²)、2元機能触媒の説明事実(メーカー公称)出典8 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/products/pefcs.html
貴金属めっき電極(Ti基材、Pt・PtIr、基材の種類、最小開口2.0mm×1.0mm、白金0.1µmの例)事実(メーカー公称)出典9 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/products/plating_electrode.html
改質触媒・変成触媒・PROX触媒(Ru、Rh)の説明事実(会社の説明)出典10 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/products/reforming_shift_reaction_prox_catalyst.html
アンモニア分解触媒と、アンモニア含有排ガスのNOx・N₂O抑制分解用触媒(Ru、Pt)の説明事実(会社の説明)出典11 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/products/nh3_catalyst.html
水素透過膜の製品ページ(Pd合金、圧延箔・管材、ピンホールフリー)事実(会社の説明)出典12 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/products/hydrogen_permeable_films.html
2013年のFC触媒専用工場(約10億円、延べ床面積1,000㎡、湘南工場)事実(2013年の計画)出典13 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/sites/topics/jp/20130226_01.pdf
2018年のFC触媒開発センター増設(新棟約3,000㎡、約40億円、生産能力約7倍、2019年1月本格稼働の予定)事実(2018年の計画)出典14 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/sites/topics/jp/20180710_01.pdf
HondaのCLARITY FUEL CELLへの採用、1985年からの開発事実(会社の発表)出典15 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/sites/topics/jp/20160512_01.pdf
Ballardの「2010年最優良サプライヤー賞」の4回連続受賞事実(会社の発表)出典16 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/sites/topics/jp/20110510_01.pdf
NEDO・山梨大学との白金コバルト合金水素極触媒(過酸化水素の発生を半分以下、加速劣化試験の条件、電圧0.85V以下までの時間が4倍以上)、NEDOの事業名と期間(2015〜2019年度)事実出典17・18 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20200114.html https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101266.html
経済産業省のグローバルニッチトップ企業に燃料電池用触媒で選定(2020年)事実出典19 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20200804.html
中国の関連会社との技術援助契約(2023年9月、雅安光明派特貴金属の工場、2025年中に生産開始の予定)事実(2023年の計画)出典20 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20230912.html
500kW純水素燃料電池の導入決定(2024年3月)、CO₂削減目標、川崎の協議会への入会、導入効果の試算事実(会社の説明)出典21 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20240312.html
2025年度触媒工業協会技術賞(PEM形水電解用電極触媒、OER+GRCの2元機能触媒、量産化、水素クロスオーバーの抑制)事実(会社の説明)出典22 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20250606.html
京都大学を含む8機関(田中貴金属工業、FC-Cubic、4大学を含む)との共同研究、酸化イリジウム触媒の活性点の解明、論文の書誌情報事実出典23・24 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20250820.html https://doi.org/10.1021/jacs.4c18510
PdCu39水素透過膜(約300℃、完全なbcc相、2025年)事実(会社の説明)出典25 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20250912.html
HPM-L111(約100℃、世界初との主張、月約100枚のサンプル提供、2026年)事実(会社の説明)出典26 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20260305.html
TANAKA H2 Nexusの稼働(2026年7月8日、500kW、100kW機×5台、総合効率95%、設計耐久性約80,000時間、湘南工場の電力の約34%)事実(メーカー公称・会社の試算)出典27 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20260709.html
クリーンプラネットへの出資(2026年7月30日)、2085年を見据えた超長期ビジョン事実(会社の発表)出典28 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20260730-1.html
Hydrogen Technology World Expo 2026への初出展(2026年10月20〜22日)、水素バリューチェーンの製品群、1985年からの開発、事業領域の拡大未確定/将来出典29 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20260909.html
ロゴ画像は公式サイトのヘッダーで公開されているロゴを取得事実出典30 https://tanaka-preciousmetals.com/jp/
水素事業に限った売上・利益・従業員数・研究開発費、出荷量、2018年増設後の現在の稼働、中国での生産開始の確認、水電解用触媒の売上と顧客名、500kW設備の投資額、クリーンプラネットへの出資比率と金額、水電解に関わる個別の公的資金、非上場であることを明記した公式の記述未確定/将来公式資料に記載なし。本稿では存在しないとも断定しない(本稿)
「素材の間口を広げて水素のバリューチェーン全体に供給しようとしている」「先端領域への出資は次世代エネルギーとの接点を探るため」という読み、売上高の増減は貴金属相場に左右されうること、イリジウム低減による需要構造の変化、顧客・競合の変化推測出典4・8・22・28・29 https://www.tanaka.co.jp/company/assets/pdf/161_2025_01.pdf https://tanaka-preciousmetals.com/jp/products/pefcs.html https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20250606.html https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20260730-1.html https://tanaka-preciousmetals.com/jp/news/press_release/20260909.html
田中貴金属を「材料・部品」の類型とする区分と、4類型の整理本稿の計算本稿による整理・計算(技術説明は一般的な解説であり、同社の個別製品の値ではない。本シリーズの技術解説を参照)
水電解の2品種(TEC77100とTEC77110)の数値の並びから読む「活性と耐久性のトレードオフ」本稿の計算本稿による整理・計算(技術説明は一般的な解説であり、同社の個別製品の値ではない。本シリーズの技術解説を参照)
担体・合金化・水素クロスオーバー・めっき電極・Pd膜の相に関する技術説明本稿の計算本稿による整理・計算(技術説明は一般的な解説であり、同社の個別製品の値ではない。本シリーズの技術解説を参照)

最終更新:2026年10月6日/Troy Technical
本稿の内容は、田中貴金属グループの公開する計算書類、公式のプレスリリースと製品ページ、NEDOと京都大学ほかの公表資料に基づきます。調査会社の市場推計や報道ベースの数値は使用していません。「世界トップクラス」などの市場での位置づけは同社の主張で、第三者の裏付けは確認していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。製品の性能値は同社のメーカー公称で、条件を併記したものに限って書いており、規格値・保証値ではありません。会社の計画・目標は未確定で、実現を保証するものではありません。本稿は、水素の取扱い・運用、投資の判断について、読者個人に助言するものではありません。