COMPANY PROFILE / 水素エネルギー
ダイムラー・トラック
― 燃料電池トラックを「電池式EVと並ぶ第2の道」と位置づける商用車メーカー。量産は2030年代前半へ後ろ倒しになった
Daimler Truckは、水素エネルギーの話題で「燃料電池トラックの先頭にいる会社」として名前が出ます。液体水素を積む燃料電池トラック(GenH2、そして次世代のNextGenH2)を実際の顧客に走らせ、累計で約60万kmを走ったと会社が発表しているからです。 燃料電池そのものは、Volvo Groupと折半出資の合弁cellcentricが作ります。2026年7月にはToyotaが同じ合弁に参画する契約が結ばれ、完成後は3社が1/3ずつ持つ予定です。 一方で、燃料電池トラックの量産は2030年代前半が目標とされ、cellcentricは2024年に2.81億ユーロの減損を計上しています。 本稿は、水素に関わる範囲に限って、Daimler Truckが何を持ち、何を計画し、どこが未確定かを、一次資料の範囲で整理します。
- 30秒でわかるDaimler Truckと、水素エネルギーでの立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 水素エネルギーの世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模
- 水素エネルギーにかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は水素エネルギーで何を目指しているか
- 水素エネルギー分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるダイムラー・トラックと、水素エネルギーでの立ち位置
Daimler Truckは「水素の会社」ではなく、「年に40万台超のトラックを売る会社が、電池式EVと並ぶ第2の道として水素を育てている」と見るのが正確です 本稿の計算。 年次報告書は、脱炭素の手段を「電池式」と「水素式」の二本立てと説明し、水素では燃料電池に加えて水素エンジンも2023年から並行して追っています 事実。 燃料電池の本体は持分法適用の合弁cellcentricにあり、2025年のcellcentricの売上はわずか1百万ユーロです 事実。 水素トラックが事業として成り立つ規模になるかは未確定です 未確定/将来。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:上場している持株会社は Daimler Truck Holding AG、事業会社は Daimler Truck AG です。日本語では「ダイムラー・トラック」と書きます。 水素トラックの車名は Mercedes-Benz GenH2 Truck(第1世代の試作車)と Mercedes-Benz NextGenH2 Truck(2026年に発表された次世代)で、ブランド名はMercedes-Benz Trucksです。 燃料電池の会社 cellcentric は別の法人で、英国の製薬企業CellCentric(同じ綴りの別会社)とは関係がありません。 ロゴ画像は同社の公式サイトで公開されているものを取得しました。
公式サイト:https://www.daimlertruck.com/3. 水素エネルギーの世界で、この会社はどこにいるか
4. 会社の規模
Daimler Truckは世界最大級の商用車メーカーの1つで、会社全体の数字は大きいため、水素に関わる事業は全体のごく一部と見られます。会社全体の数字を簡潔に示し、水素に関わる事業の数値は次の章で扱います。
| 指標 | 2025年 | 2024年 |
|---|---|---|
| グループ売上(百万ユーロ) | 49,387 | 54,077 |
| 調整後EBIT(百万ユーロ) | 3,778 | 4,667 |
| 研究開発費(資産計上分を含む。百万ユーロ) | 2,272 | 2,174 |
| 有形固定資産投資(百万ユーロ) | 1,117 | 1,417 |
| 販売台数(台) | 422,510 | 460,409 |
| うち排出ゼロ車(台) | 6,726 | 4,035 |
| 従業員(人。各年末) | 108,476 | 108,201 |
上の表は、年次報告書に載る継続事業と非継続事業(アジアのトラック事業の一部)を合わせた値です 事実。 2026年4月1日から三菱ふそうが連結から外れ、持分法適用のARCHIONの扱いに変わったため、2026年以降の数字は範囲が違います(2026年上半期の中間報告書)。
水素に関わる売上・利益・研究開発費・人員は、年次報告書に独立した金額として開示されていません。 年次報告書が示す研究開発費の重点は「ゼロエミッション車と自動運転」までで、水素分は別掲されていません。 本稿はこれらを推計しません 未確定/将来。
5. 水素エネルギーにかけているリソース
Daimler Truckの水素への資源は、自社のトラック開発と合弁cellcentricへの出資に分かれます。水素に限った数字は少ないため、確認できた範囲を示します。
| リソース | 一次情報で確認できた内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | グループ全体で108,476人(2025年末)。水素担当の人員は非公表。cellcentricは560人超(Kirchheim/Teck、Esslingen、Stuttgart、カナダのBurnaby)と、cellcentric自身が説明(約700件の特許) | 事実/一部非公表 |
| 金(投資・出資) | 水素トラックへの投資は2020年代末までに中3桁百万ユーロと会社が説明(具体額は非公表)。cellcentricへの拠出は、2025年に両株主合計2.1億ユーロ(Daimler Truck分1.05億)、2024年は2.3億ユーロ(同1.15億)、2026年上半期は1.5億ユーロ(同0.75億)。cellcentricの持分法損益は2025年に-1.2億ユーロ、2024年に-4.04億ユーロ(2.81億ユーロの減損を含む) | 事実/一部非公表 |
| 買収・出資・合弁・売却 | cellcentricはDaimler Truck 50%・Volvo Group 50%の合弁(2021年)。2020年の予備合意ではVolvoが約0.6億ユーロで50%を取得する計画(最終の取引額は本稿で確認していない)。Toyotaが1/3の株主として参画する契約(完了は2026年末〜2027年初の見込み)。完了後、Daimler Truckの持分は50%から1/3に下がる。ほかにLinde Engineering(充填方式の共同開発)、KEYOU(水素エンジン)と協力 | 事実 |
| 大学・研究機関・公的資金 | NextGenH2 Truckの開発・生産・実運用に、ドイツ連邦交通省とラインラント=プファルツ州・バーデン=ヴュルテンベルク州から計2.26億ユーロの支援。EUのClean Hydrogen Partnershipなど個別の枠組みや、大学との共同研究の具体名は、参照した資料で確認できず | 事実/一部確認できず |
主要プロジェクトの状況
| 案件 | 場所 | 規模 | 段階 | 日付・出典 |
|---|---|---|---|---|
| NextGenH2 Truckの小規模量産 | ドイツ・Wörth(Mercedes-Benz工場) | 100台 | 計画(2026年末から顧客運行を開始する予定) | 2026年1月26日の発表。2026年9月15日の共同発表でも計画のまま(出典4・6) |
| GenH2 Truckの顧客試験(第1回) | 顧客の運行路線(場所は記載なし) | 5台、225,000km超、5社(Air Products、Amazon、Holcim、INEOS Inovyn、Wiedmann & Winz) | 完了 | 2025年の年次報告書(出典1) |
| GenH2 Truckの顧客試験(第2回) | ドイツ国内 | 5社(Hornbach、Reber Logistik、Teva Deutschland、Rhenus、DHL Supply Chain)。累計の走行距離は約60万km | 実施中 | 2025年10〜11月に開始(出典1・6) |
| sLH2(過冷却液体水素)の公共充填ステーション | ドイツ・Wörth am Rhein | 1か所 | 稼働(顧客試験に使用) | 2024年2月7日に発表、2024年中頃から顧客試験(出典7) |
| 水素エンジンのトラック | — | 確認できなかった | 計画(市場投入は2027年を予定) | KEYOUとの協力(2026年上半期の中間報告書、出典2) |
| 液体水素の供給網の検討 | アブダビ→欧州(Masdar)、ハンブルク港経由(HHLA・Kawasaki Heavy Industries) | 確認できなかった | 検討(覚書/意向書) | 2025年の主なできごと(年次報告書、出典1)。月は記載なし |
Daimler Truckは、水素駆動の開発で液体水素の使用を優先しています。液体水素はマイナス253°Cで、気体より同じ体積に多く積めるため航続が伸び、気体の高圧タンクより軽く安いと会社は説明しています 事実。 材料の側から見ると、液体水素のタンクと配管は、極低温でも脆くならない金属と断熱、そして継手からの蒸発(ボイルオフ)の管理が要になります。会社は新型車に蒸発を管理する装置、水素漏れを知らせるセンサー、タンクを守る衝突対策の側面パネルを加えたと書いています 事実。 燃料電池の方式(固体高分子形か)やスタックの材料は、参照した資料に明記がありません。燃料電池トラックでは一般に、膜・白金系触媒・金属のバイポーラ板が性能と耐久を決めます(一般的な説明です) 未確定/将来。 詳しくは、本シリーズの技術解説「液体水素」「高圧水素タンク」「燃料電池車と固体高分子形燃料電池」「白金族金属と触媒」を参照してください。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2020年4月21日 | Daimler TruckとVolvo Groupが、燃料電池の合弁を作る予備的で拘束力のない合意を発表。Volvoが約0.6億ユーロで50%を取得。大型車の燃料電池を2020年代後半に量産する目標 | 水素での提携の出発点 |
| 2021年3〜4月 | Daimler Truck Holding AGを設立。4月29日にcellcentricの発足を発表し、量産の運転開始を2025年に計画 | 当初の量産時期 |
| 2021年12月 | Daimler AGからスピンオフし、上場 | 独立した商用車メーカーに |
| 2023年 | 燃料電池に加え、水素エンジンも並行して追求を開始。GenH2 Truckが液体水素1回の充填で1,047kmを走行(2024年2月の発表は2023年9月、2026年1月の発表は2023年末と記載) | 方式を広げ、航続を実証 |
| 2024年2月7日 | Linde Engineeringと、sLH2の充填方式を発表。ISO規格にすることを目指す。Wörth am Rheinの公共ステーションを2024年中頃から顧客試験に使用 | 液体水素の充填の標準化へ |
| 2024年(通期) | cellcentricの持分に2.81億ユーロの減損。理由は、欧州と米国のグリーン水素インフラの遅れと、米国の枠組みの不確実性 | 水素の立ち上がりの遅れを損失として認識 |
| 2025年7月8日 | Capital Market Dayで、燃料電池の市場立ち上げを2029年超、少量・欧州優先に見直し。cellcentricの大量産の工業化は後ろ倒し | 時期の見直し |
| 2025年 | GenH2 Truckの第1回顧客試験が完了(225,000km超)。10〜11月に第2回が開始 | 実運行の経験を蓄積 |
| 2026年1月26日 | NextGenH2 Truckを発表。Wörth工場で100台を作り、2026年末から顧客運行。燃料電池トラックの量産は2030年代前半を目標。公的資金2.26億ユーロ | 量産時期の後ろ倒しを明示 |
| 2026年3月末 | Toyotaがcellcentricに参画する覚書 | 株主を3社にする構想 |
| 2026年7月 | Toyotaの参画に関する拘束力のある契約。プレスリリースは7月27日、2026年上半期の中間報告書は7月17日と記載(日付が一次資料の間で異なる) | 完了は2026年末〜2027年初の見込み |
| 2026年9月15日 | IAA Transportationで、Volvo Group、Daimler Truck、Toyota、Bosch、Air Liquide、TotalEnergiesなどが水素モビリティの供給網計画を発表 | 車両と水素供給を一体で進める計画 |
7. 今後の計画
ほかに、次の計画が一次資料に書かれています 未確定/将来。
- 水素供給:2026年9月の共同発表は、ドイツでは2030年までに水素トラックを拡大できる条件が揃ったと主張し、1日に最大100台へ給水素できる大容量ステーションを目指すとしています。EUの代替燃料インフラ規則(AFIR)などに沿った、給水素ステーションと車両の補助の足並みを政府に求めています
- cellcentric:Toyotaの参画で「技術の先行・産業規模・競争力」を高める。引き続き独立した会社として運営される
- バス:燃料電池の観光バスは、電池式の観光バスの次の段階として量産に進む計画(年次報告書)
水素単独の売上・利益・人員・研究開発費/cellcentricの大量生産工場の具体的な場所と時期/燃料電池トラックの量産時の目標台数/Toyota参画後の出資額の内訳/水素エンジンのトラックの仕様と台数/MasdarやHHLA・Kawasaki Heavy Industriesとの提携の次の段階。 いずれも、参照した年次報告書・中間報告書・プレスリリースに記載がありません。
8. この会社は水素エネルギーで何を目指しているか
会社が「目指す」と直接書いている部分と、本稿が読み取った部分を分けます。推測は一次情報から本稿が読み取った解釈です。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 電池式と水素式の二本立てで脱炭素を進める | 年次報告書は「電池式と水素式の補完的な2つの技術」と説明。Capital Market Dayでも「BEVと水素で、より早く、資本負担を抑えて脱炭素」と記載 | 事実 |
| 水素は長距離・重量物向けの選択肢と位置づける | 2021年の発表は「電池は軽い荷物と短距離、燃料電池は重い荷物と長距離に向く」と説明 | 事実 |
| 燃料電池では投資を分担し、量を束ねる | Capital Market Dayの資料は「技術のリーダーシップを保ち、投資を分担し、量を束ねる」と記載。cellcentricは追加の顧客・パートナーと規模を拡大 | 事実 |
| Toyotaの参画で、投資負担と量産の難しさを3社で分ける | 参画の目的は「技術の先行・産業規模・競争力の強化」。cellcentricへの年間の拠出は両株主合計で2億ユーロ前後 | 推測 |
| 液体水素を軸に、車両・充填・供給網をそろえる | 液体水素の優先、Linde Engineeringとの充填方式の共同開発、Masdar・HHLA・Kawasaki Heavy Industriesとの供給網の検討 | 事実(個々の取り組み)/推測(全体の方針) |
「投資負担と量産の難しさを3社で分ける」という読みの根拠は、量産時期の見直しと損失の動きです。 量産の時期は、2020年の合意時の「2020年代後半」から、2025年7月に「2029年超」、2026年1月に「2030年代前半」へと後ろに動いています。 cellcentricの2025年の売上は1百万ユーロ、税引後の損失は239百万ユーロで、2024年には2.81億ユーロの減損もありました 事実。 この規模の損失を2社で折半していた構図に、3社目が加わる、という読み方です。 ただし、Toyotaがどの程度の出資額や技術を持ち込むかは公表されていません。会社自身が参画の理由として挙げているのは、技術・産業規模・競争力の強化までです 未確定/将来。
9. 水素エネルギー分野の提携マッピング
Daimler Truckが一次資料で結ぶ水素の関係は、出資(cellcentric)、共同開発(Linde Engineering、KEYOU)、供給網の検討(Masdar、HHLA・Kawasaki Heavy Industries)、公的資金(ドイツ連邦交通省と州)です 事実。 このうち契約として確定して動いているのはcellcentricとLinde Engineeringとの共同開発で、供給網の相手との関係は覚書・意向書の段階です。 Toyotaの参画は契約が結ばれたものの、規制当局の承認を待っており、完了前です。 Volvo Groupと共同で進める事業が多い一方、会社は「競争する分野は独立して競争する」と説明しています。
10. 提供している技術・製品・サービス
Daimler Truckの水素に関わる製品は、燃料電池トラックの試作・小規模量産と、水素エンジン、バスです。性能の数値はメーカー公称であり、条件と規模を添えます。
| 区分 | 公式資料に載っている内容 | 条件・規模・出所 |
|---|---|---|
| Mercedes-Benz NextGenH2 Truck | 長距離のけん引車。cellcentricの燃料電池BZA150を2基(各150kW、合計300kW)、液体水素タンク2本(最大85kg)、LFPバッテリー101kWh、eActros 600由来のeアクスル。2026年末から100台を顧客運行 | メーカー公称(2026年1月26日の発表)。航続は「満載で1,000km超」。バッテリーの容量は新品の公称で社内の定義による |
| 航続・水素消費の実績値 | 2023年のGenH2 Truckの試験で1,047kmを1回の液体水素充填で走行(走行の時期は発表により2023年9月または2023年末)。初期の顧客試験での水素消費は平均5.6〜8kg/100km | メーカー公称。1,047kmは総重量約40トン、5.6〜8kg/100kmは総重量16〜34トンの条件。異なる条件の値で優劣をつけない |
| sLH2充填方式 | 過冷却液体水素の充填。会社は気体水素に比べ、貯蔵密度・航続・充填時間・コスト・エネルギー効率で優れると説明。10〜15分で充填 | メーカー公称(Linde Engineeringと共同)。ISO規格にすることを目指す |
| 水素エンジン | 水素を内燃機関で燃やすトラック。既存の車両・エンジンを基にKEYOUが水素化を担当し、2027年に市場投入の計画 | 計画。仕様は確認できず |
| バス | eCitaro(市街バス)に燃料電池のレンジエクステンダーを2023年から設定。Setraの燃料電池観光バス「H₂ Coach」を2025年9月に試験走行(最低航続800km) | メーカー公称。H₂ Coachは技術展示(量産前) |
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 量産時期の後ろ倒し | 量産の目標は「2020年代後半」(2020年)→2025年運転開始の計画(2021年)→「2029年超」(2025年7月)→「2030年代前半」(2026年1月)と動いた | 事実 |
| 合弁の赤字 | cellcentricの持分法損益は2025年に-1.2億ユーロ、2024年に-4.04億ユーロ。売上は2025年に1百万ユーロ。年間の拠出は両株主合計で2億ユーロ前後 | 事実 |
| 水素インフラの遅れ | 年次報告書は、減損の理由を欧州と米国のグリーン水素インフラの遅れと挙げる。2026年9月の共同発表は、補助・水素価格・通行料の優遇などの政策支援を政府に求めている | 事実 |
| 公的資金への依存 | NextGenH2の開発・生産・運用に2.26億ユーロの公的支援。補助の枠組みが変われば計画に影響する | 事実/推測(影響の大きさ) |
| 株主構成の変更 | Toyota参画は規制当局の承認が条件で、完了は2026年末〜2027年初の見込み。完了後、Daimler Truckの持分は50%から1/3に下がる。契約日が一次資料間で異なる(7月17日/7月27日) | 事実/未確定/将来 |
| 供給網の未整備 | 液体水素の供給網(Masdar、HHLA・Kawasaki Heavy Industries)は覚書・意向書の段階。水素の価格が軽油と競争できる水準になるかは会社が課題として挙げる | 事実 |
| 電池式との競合 | 会社自身が電池式(eActros 600など)を主力と位置づけ、水素を補完とする。市場が電池式に偏れば水素の台数は伸びにくい | 推測 |
| 水素の取扱い・規制 | 水素の取扱いは法令・規格の対象。会社も新型車に漏れ検知や蒸発管理を加えている。本稿は取扱いの助言ではない | 事実(会社の記載) |
12. 用語集
- FCEV(燃料電池車)
- 水素を車上の燃料電池で電気に変えて走る車。本シリーズの技術解説「燃料電池車と固体高分子形燃料電池」を参照。
- cellcentric
- Daimler TruckとVolvo Groupの燃料電池の合弁。2021年発足。Toyotaが参画予定。
- 液体水素(LH₂)
- マイナス253°Cに冷やして液体にした水素。本シリーズの技術解説「液体水素」を参照。
- sLH2(過冷却液体水素)
- 液体水素を沸点より少し冷やした状態で充填する方式。Daimler TruckとLinde Engineeringが共同開発。
- BZA150
- cellcentricの燃料電池ユニットの型名。1基150kW。NextGenH2 Truckは2基で300kW。
- 小規模量産
- 本格的な量産の前に、限られた台数を実際の顧客に使ってもらう生産。NextGenH2は100台。
- 持分法
- 出資先の損益を、持分割合に応じて自社の損益に取り込む会計。cellcentricはこの方式。
- AFIR
- EUの代替燃料インフラ規則。給水素ステーションなどの整備目標を定める。
- RED III
- EUの再生可能エネルギー指令の改正。産業での再生可能水素の利用目標を含む。
- 車両総重量(GCVW)
- トラックの車両総重量。連結したトレーラーと積み荷を含む。航続や水素消費の比較では必ず条件にそろえる。

13. 出典
- Daimler Truck Annual Report 2025(2026年3月公表)。グループ主要数値、cellcentricの持分・拠出・損益・減損、研究開発費、GenH2の顧客試験、液体水素の提携、二本立て戦略の記述。 https://www.daimlertruck.com/fileadmin/user_upload/documents/investors/reports/annual-reports/2025/daimler-truck-ir-annual-report-2025-incl-combined-management-report-dth-ag.pdf
- Daimler Truck Interim Report Q2 2026(2026年上半期)。cellcentricへの拠出、Toyota参画の覚書と契約の記載、KEYOUとの水素エンジン協力。 https://www.daimlertruck.com/fileadmin/user_upload/documents/investors/reports/interim-reports/q2/2026/daimler-tuck-ir-interim-report-q2-2026.pdf
- Daimler Truck Capital Market Day 2025 プレゼンテーション(2025年7月8日)。水素・電池・ディーゼルの技術戦略、燃料電池の立ち上げ時期の見直し。 https://www.daimlertruck.com/fileadmin/user_upload/documents/investors/presentations/daimler-truck-ir-capitalmarketday-2025-07-08.pdf
- Daimler Truck プレスリリース「Daimler Truck presents Mercedes-Benz NextGenH2 Truck…」(2026年1月26日)。NextGenH2 Truckの仕様、小規模量産、公的資金2.26億ユーロ、量産の時期。 https://www.daimlertruck.com/en/newsroom/pressrelease/daimler-truck-presents-mercedes-benz-nextgenh2-truck-with-small-series-production-planned-from-end-of-2026-53330597
- Daimler Truck プレスリリース「…sign binding agreement for Toyota to join cellcentric as equal shareholder」(2026年7月27日)。cellcentricの概要と株主構成の変更。 https://www.daimlertruck.com/en/newsroom/pressrelease/daimler-truck-volvo-group-and-toyota-motor-corporation-sign-binding-agreement-for-toyota-to-join-cellcentric-as-equal-shareholder-53549918
- Volvo Group プレスリリース「Industry leaders scale full value chain for hydrogen mobility across Europe」(2026年9月15日。Daimler Truckほかとの共同発表)。水素トラックの累計走行距離、100台の小規模量産、水素への投資額の言及、供給網の協力。 https://www.volvogroup.com/en/news-and-media/news/2026/sep/industry-leaders-scale-full-value-chain-for-hydrogen-mobility-across-europe.html
- Daimler Truck プレスリリース「Safe, Fast and Simple: Daimler Truck and Linde Set New Standard for Liquid Hydrogen Refueling Technology」(2024年2月7日)。sLH2充填方式。 https://www.daimlertruck.com/en/newsroom/pressrelease/safe-fast-and-simple-daimler-truck-and-linde-set-new-standard-for-liquid-hydrogen-refueling-technology-52581266
- Volvo Group プレスリリース「Volvo Group and Daimler Truck AG fully committed to hydrogen-based fuel-cells – launch of new joint venture cellcentric」(2021年4月29日)。 https://www.volvogroup.com/en/news-and-media/news/2021/apr/news-3960135.html
- Volvo Group プレスリリース「The Volvo Group and Daimler Truck AG to lead the development of sustainable transportation by forming joint venture…」(2020年4月21日)。合弁の予備合意、Volvoの取得額。 https://www.volvogroup.com/en/news-and-media/news/2020/apr/news-3640568.html
- Daimler Truck 公式サイト「Share」(上場取引所・指数構成の記載)。 https://www.daimlertruck.com/en/investors/share
- Daimler Truck 公式サイト(ロゴ画像の取得元)。 https://www.daimlertruck.com/
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年10月8日/Troy Technical
本稿の数値は、Daimler Truckの年次報告書・中間報告書・公式プレスリリース、およびVolvo Groupの公式リリースに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。会社の性能値・目標は会社の説明であり、第三者の検証を経たものではありません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。水素の取扱いは法令・規格の対象であり、本稿は取扱いの助言ではありません。