COMPANY PROFILE / 水素エネルギー
ケマーズ
― 水電解と燃料電池の「膜」Nafionを持つフッ素化学メーカー。水素向けの拡張を保留し、PFAS(有機フッ素化合物)の規制と訴訟の最中にある
水素エネルギーの話題でChemoursの名前が出るのは、PEM(固体高分子)水電解や燃料電池の心臓部であるプロトン伝導膜の代表的なブランド「Nafion」を作っている会社だからです。 ただし会社全体では、水素の会社ではありません。2025年の売上は58億800万米ドルで、主力は冷媒(Thermal & Specialized Solutions)と酸化チタン(Titanium Technologies)。 NafionはAdvanced Performance Materials(APM)事業に入り、同事業の売上は12億6,300万米ドルです。 水素向けだけの売上は開示されていません。2024年には、第三者の水素市場の見通しが下がったことを受け、フランスのNafion増産計画を長期の保留にしています(10-K)。 PFASの規制については、EU(欧州連合)の制限案の審査が進行中で、本稿は会社の開示書類に基づいて中立に書きます。
- 30秒でわかるChemoursと、水素エネルギーでの立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 水素エネルギーの世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(水素に関わる範囲を中心に)
- 水素エネルギーにかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は水素エネルギーで何を目指しているか
- 水素エネルギー分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるケマーズと、水素エネルギーでの立ち位置
(CC)10-Kの記載
PEM水電解・燃料電池クロルアルカリ、フロー電池向けも同じNafion
Chemoursの水素は、「膜の売り手」としての小さな一角です。 会社の売上58億米ドルのうち、冷媒の事業が20億6,600万米ドル、酸化チタンが24億2,900万米ドル、APMが12億6,300万米ドルで、Nafionはこの最後の事業の一部です 事実。 10-Kは、Nafion膜を「クロルアルカリ(塩素・苛性ソーダの製造)やフロー電池、水素の電解槽と燃料電池に欠かせない部品」と書いており、水素だけでなく塩素産業向けの既存の用途も同じ製品が担っています。 2024年の第3四半期、会社は第三者の産業見通しが水素の需要を下方修正し、2030年までの成長が遅くなるとしたことを受けて、2022年に発表したフランスのNafion増産を長期保留にしました 事実。 一方でNafionは、PFASの広い定義に入るフッ素ポリマーに属し、製造拠点の1つFayetteville Worksは、PFASの排出をめぐる訴訟と和解の対象です。 本稿は、技術の位置づけ、事業の実態、規制と訴訟を、会社の開示書類の範囲で並べます。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は The Chemours Company です。Nafion、Teflon、Viton、Krytox、Opteon、Freon、Ti-Pure は製品ブランド名で、会社名ではありません。 親会社だったE. I. du Pont de Nemours and Company(EID)と、現在のDuPont de Nemours, Inc.は別の会社です。 ロゴ画像は同社の公式サイト(chemours.com)が公開しているものを取得しました。
公式サイト:https://www.chemours.com/en/3. 水素エネルギーの世界で、この会社はどこにいるか
4. 会社の規模(水素に関わる範囲を中心に)
Chemoursは3つの事業(冷媒、酸化チタン、高機能材料)を持つ化学メーカーです。水素に関わるのは高機能材料(APM)の一部で、水素向けだけの売上は開示されていません 事実。金額は米ドルです。
| 指標 | 2024年 | 2025年 | 注記 |
|---|---|---|---|
| 売上(全社) | 5,782百万ドル | 5,808百万ドル | 10-K |
| Thermal & Specialized Solutions(冷媒など) | 1,830百万ドル | 2,066百万ドル | 調整後EBITDA 670百万ドル(2025年) |
| Titanium Technologies(酸化チタン) | 2,572百万ドル | 2,429百万ドル | 調整後EBITDA 145百万ドル |
| Advanced Performance Materials(Nafionを含む) | 1,326百万ドル | 1,263百万ドル | 調整後EBITDA 108百万ドル(2024年は160百万ドル)。前年比-5%(価格+3%、数量-8%) |
| 純損益 | +69百万ドル | -386百万ドル | 純損失。評価はしない |
| 研究開発費(全社) | 109百万ドル | 108百万ドル | 水素に限った額は非公表 |
| 設備投資(全社) | 360百万ドル | 213百万ドル | 有形固定資産の購入 |
| 従業員 | ― | 約5,700人 | うちアメリカ大陸79%、欧州14%、アジア太平洋7% |
2026年4〜6月期のAPM事業の売上は3億2,600万ドル(前年同期3億4,600万ドル)、上半期(1〜6月)は5億6,900万ドル(前年同期6億3,900万ドル)、調整後EBITDAは3,100万ドルでした(10-Q)。 会社は減少の理由を、SPS Capstone(表面保護用の製品群)の終了と、ワシントン工場の停止の影響と説明しています。10-Qの事業部門の業績説明に、水素への言及はありません 事実。
上の売上・利益は会社全体と事業ごとの数字で、Nafionだけの数字ではありません。 APM事業の中でも、水素向けの売上は開示されていません 未確定/将来。 2025年の10-Kは、APMの数量減の要因として「周期的な市場の弱さが、先端材料と水素市場向けの製品に影響した」と書いています。減少幅の内訳は書かれていません。 Nafion膜の生産能力(面積やトン)も開示されていません。
5. 水素エネルギーにかけているリソース
| リソース | 一次情報で確認できた内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | 従業員は約5,700人。水素に限った人員は非公表。10-Kの役員経歴に、Chemours Hydrogen Venture という社内の事業単位の責任者を2022〜2023年に置いたとの記載。現在のAPM事業の社長は、その元責任者 | 事実/一部非公表 |
| 金(研究開発・設備) | 研究開発費は全社で108百万ドル(2025年)。設備投資は全社で213百万ドル。研究拠点 Chemours Discovery Hub は312,000平方フィートで、デラウェア大学の Science, Technology, and Advanced Research(STAR)キャンパス内。水素に限った額は非公表。2022年に発表したフランスの増産計画の投資額は10-Kに書かれていない | 事実/一部非公表 |
| 減損・計画の見直し | 2024年第3四半期、APM事業ののれん56百万ドルを全額減損。理由として、第三者の見通しが水素の需要を下方修正したこと等を挙げ、Nafionの増産を長期保留。2025年の10-Kも、水素関連インフラの整備の遅れを評価の対象に挙げた(減損の兆候は認めず) | 事実 |
| 出資・合弁 | THE Mobility F.C. Membranes Company GmbH(BWT FUMATECH Mobility GmbHと50/50の合弁。2023年に事業を開始)。燃料電池・加湿器用の膜を、モビリティ向けの長期顧客のために製造。所在地、投資額、生産能力は10-Kに記載なし | 事実 |
| 大学・研究機関・公的資金 | 10-Kは「業界コンソーシアムに参加し、主要な大学の研究者と協力している」と一般論を記載。具体的な大学名・プロジェクト名は確認できず。水素向けの政府助成(米国DOE、EUの共同事業など)は、10-Kに記載なし | 確認できず |
主要プロジェクトの状況
| 案件 | 場所 | 規模 | 段階(2026年10月5日時点で確認できた範囲) | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| Nafion(イオン交換材料)の増産 | フランス・Villers-Saint-Paul | 非公表 | 2022年に発表。2024年から長期保留(市場の状況が改善し、ポリマー増産が必要になるまで)。2025年の10-Kも同じ記載。中止とは書かれていない | 出典1・3・5 |
| 燃料電池・加湿器用の膜の合弁 | 所在地は記載なし(法人形態は GmbH) | 非公表 | 2023年に事業開始。以後の拡張の記載は10-Kにない | 出典1・4・11 |
| Nafion膜・分散液の製造 | 米国ノースカロライナ州Fayetteville Works | 非公表 | 稼働中(同拠点でNafion膜・分散液、含フッ素モノマーなどを製造)。同拠点はPFAS排出をめぐる訴訟と和解の対象でもある | 出典1・6 |
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2015年7月 | E. I. du Pont de Nemours and Company(EID)から分離して独立。Fayetteville のNafion膜の製造設備などを引き継ぐ | Nafionは50年以上の歴史があると公式サイトが説明(分離前からの事業) |
| 2022年 | 水素経済の成長を見込み、フランス・Villers St. Paulで Nafion の増産と技術の高度化を行う計画を発表。同年から2023年まで、社内に「Chemours Hydrogen Venture」の責任者を置く | 水素向けの拡張を打ち出した時期 |
| 2023年 | THE Mobility F.C. Membranes Company(BWT FUMATECH Mobilityと50/50)が事業を開始 | 燃料電池・加湿器用の膜を、合弁で拡大 |
| 2024年第3四半期 | 第三者の見通しが水素の需要を下方修正したことを受け、Villers の増産を長期保留。APM事業ののれん56百万ドルを減損 | 水素向けの拡張を「保留」に切り替えた |
| 2025年1月 | 表面保護用のSPS Capstone事業の終了を承認。「規制の変更と不確実性が、テロマー系化学品の需要減と市場からの除外を招いた」と説明 | Nafionではなく別製品の例。規制の不確実性が需要減につながったと会社が説明(2025年に52百万ドルの費用を計上) |
| 2025年 | Washington Works で設備損傷による予定外の全面停止(第3四半期に約20百万ドルの影響)。年間のAPM事業の調整後EBITDAは108百万ドル | APM事業の収益の弱さ |
| 2026年3月 | 欧州化学品庁(ECHA)のリスク評価委員会(RAC)がPFAS制限案の意見を採択。社会経済分析委員会(SEAC)は意見案を出す(会社の10-Qの記載) | EUの審査が山場に |
| 2026年9月10日 | ノースカロライナ州および11の自治体との和解を発表。総額4億5,500万ドルを15年で支払う(Chemoursの負担は50%、現在価値で約1億8,000万ドル、既に引当済みと会社が説明) | Fayetteville Works をめぐる主な訴訟の整理。和解は裁判所の却下命令の手続き待ち |
7. 今後の計画
次はいずれも、本稿が確認した公式資料に記載がありません 未確定/将来。
Nafion膜の生産能力(面積・トン)と水素向けの売上・数量/Villers の増産の再開の条件と時期、当初の投資額/合弁の所在地・生産能力/水素向けの公的助成/ EUのPFAS制限案でPEM水電解・燃料電池向けの膜に適用除外があるか(欧州化学品庁のページは自動アクセスが遮断され、本稿は本文を確認できなかった)。
8. この会社は水素エネルギーで何を目指しているか
会社が直接書いている部分と、本稿が読み取った部分を分けます。推測は、一次情報から本稿が読み取った解釈です。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 水素向けは拡張より、既存の能力と合弁での対応へ | Villersの増産を長期保留。モビリティ向けの膜は合弁(50/50)で供給。全社の設備投資は2024年360百万ドル→2025年213百万ドルに減少 | 推測 |
| Nafionの事業は水素に限らず、クロルアルカリなどの既存の用途に支えられている | 10-Kの文言:Nafion膜は「クロルアルカリやフロー電池、水素の電解槽と燃料電池に欠かせない」と、クロルアルカリを先頭に挙げる | 推測 |
| 使用済み膜の回収・再利用を打ち出す | nafion.com:クロルアルカリ用に使った膜をリサイクルする多段階の工程で、再生材の不純物が新品の仕様を満たすと説明 | 事実(会社の説明) |
| PFAS関連の債務の整理を優先する | 2026年9月の発表が、戦略「Pathway to Thrive」の「長期」の柱の進展として和解を位置づけ。Fayetteville Worksでの排出削減への投資にも言及 | 事実(会社の説明)/推測(優先度) |
| 水素市場の見通しは慎重 | 2025年の10-K:水素関連インフラの整備の遅れを評価の対象にあげ、水素市場向け製品の弱さを数量減の要因に挙げる | 事実 |
「拡張から保留へ」という読みの根拠は、10-Kに時系列で残る言い回しの変化です。 2022年と2023年の10-Kは、「水素経済が2030年までに大きく成長すると見込み、2022年にNafionの増産を発表した」と書いていました。 2024年の10-Kは、同じ増産を「長期保留」とし、のれん56百万ドルを減損した理由に水素の需要見通しの引き下げを挙げています。 2025年の10-Kでは、水素の話は「数量減の要因の1つ」と「インフラ整備の遅れ」に変わりました 事実。 これらから、本稿は会社が水素向けの大型投資を、需要が確認できるまで先送りしていると読みます 推測 未確定/将来。
9. 水素エネルギー分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
Chemoursが水素に出しているのは完成品ではなく、膜と材料です。Nafionのウェブサイトは、水電解、燃料電池、クロルアルカリ、エネルギー貯蔵などに使われるPFSA膜、分散液、樹脂を載せています 事実。次の厚さの値は、nafion.com の製品表にあるメーカー公称の厚さです。
| グレード(Nafion™) | 形態・公称の厚さ | 化学的安定化 | メーカーが挙げる主な用途 |
|---|---|---|---|
| NR211 | 溶液キャスト膜・25 µm | あり | エネルギー貯蔵、燃料電池 |
| NR212 | 溶液キャスト膜・50 µm | あり | エネルギー貯蔵、燃料電池 |
| N115 | 押出キャスト膜(無補強)・127 µm | あり | エネルギー貯蔵、水素の生成、各種の電解プロセス |
| N117 | 押出キャスト膜(無補強)・183 µm | あり | エネルギー貯蔵、水素の生成、各種の電解プロセス |
| N1110 | 押出キャスト膜(無補強)・254 µm | あり | 水素の生成、各種の電解プロセス |
| N424/N438/N551 | 補強膜(高強度) | N424・N551はなし、N438はあり | 各種の電解プロセス、塩酸からの塩素の製造(N438)、カリウム系のクロルアルカリ(N551) |
ほかに、分散液(溶液キャスト膜の原料)、樹脂(ペレット)、クロルアルカリ用のカルボン酸膜があります(nafion.com)。 燃料電池・加湿器向けの膜は、BWT FUMATECH Mobilityとの合弁 THE Mobility F.C. Membranes Company が、モビリティ向けの長期顧客のために製造します 事実。 水素の水電解向けの特徴として、nafion.com は「高電流密度・低電圧で動く」「広い温度範囲で動く」「電解質に苛性アルカリでなく水だけを使う」と書いています(性能値と試験条件は示されていません)。 これらの特徴は、メーカーの説明であり、他社の製品との優劣を示す数字ではありません。
nafion.com の説明から、素材の選びどころが読み取れます。 溶液キャスト膜(25〜50 µm)は「イオンが移動する抵抗が低いことが重要な用途」向けで、押出キャスト膜(127 µm以上)は「高い強度や低い透過(クロスオーバー)が必要な用途」向けと書かれています 事実。 つまり、薄い膜は抵抗を減らす一方で、水素と酸素が膜を通って混ざる量や機械的な強さは不利になりやすく、厚い膜はその逆になる、という典型的な設計の綱引きです(本シリーズの技術解説「PEM水電解」「水電解スタックと材料」を参照)。 Chemoursの資料は、実際の水電解槽・燃料電池のメーカーがどの厚さを採用しているか、運転の条件下での耐久時間を示していません 未確定/将来。 もう1つはフッ素の二面性です。10-Kは、同社のフッ素ポリマーの利点を「化学的な不活性、熱安定性、耐食性」と書き、これらの性質が過酷な環境で選ばれる理由だと説明します。 同じ全フッ素の骨格が、PFASの広い定義に入る理由でもあります(本シリーズの技術解説「フッ素樹脂とPFAS」を参照) 推測。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 水素の需要の見通し | 2024年に第三者の見通しが水素の需要を下方修正し、2030年までの成長が遅く、それ以後が不確実とされたため、Nafionの増産を長期保留し、のれん56百万ドルを減損。2025年も水素関連インフラの整備の遅れを評価対象に挙げた | 事実 |
| APM事業の収益の弱さ | 2025年の調整後EBITDAは108百万ドル(前年160百万ドル、利益率9%)。2026年上半期の売上は569百万ドルで前年同期の639百万ドルから11%減、調整後EBITDA利益率は5% | 事実 |
| EUのPFAS制限案 | 会社の説明では、制限案は4,000超の物質(F-ガスとフッ素ポリマーを含む)を対象に検討され、2025年8月に当初の全面禁止案から、用途別の複数の選択肢を含む背景文書に改められた。2026年3月にRACが意見を採択、SEACは意見案を出し、2026年5月25日に意見募集が終了。最終意見は2026年内の見込みで、その後に欧州委員会が判断し、最短の施行は2027年。PEM水電解・燃料電池向けの膜に適用除外があるかは、本稿では確認できなかった | 事実(会社の説明)/未確定/将来 |
| PFAS関連の訴訟と費用 | 2026年9月にノースカロライナ州および11自治体と総額4億5,500万ドルで和解(Chemoursの負担は50%)。ほかにも係争・調査が続く(10-Kの法的手続の章)。和解は裁判所の手続きが残る | 事実 |
| 製造拠点の集中 | Nafion膜・分散液の製造が、PFAS排出をめぐる訴訟・同意命令(2019年)の対象であるFayetteville Worksにある。フランスの増産は保留中 | 事実 |
| 設備の事故・停止 | 2025年にWashington Worksで予定外の停止。APMの2025年の調整後EBITDAを押し下げたと会社が説明 | 事実 |
| 財務の負担 | 2025年は純損失386百万ドル、純利息費用269百万ドル。10-Kは環境法規の遵守費用が「重要であり続ける」と書く。評価はしない | 事実 |
| 競争 | 2024年の判断の理由として、会社は「競争の激しさ」と周期的な市場の回復の限定を挙げる。競合他社の名前と比較は10-Kに書かれていない | 事実 |
12. 用語集
- PFSA
- パーフルオロスルホン酸。全フッ素化した骨格にスルホン酸基を持つポリマーで、Nafionの主成分。
- PEM水電解/PEFC
- プロトン交換膜を使った水電解と、同じ膜を使った燃料電池(固体高分子形)。
- クロルアルカリ
- 食塩水を電気分解して塩素と苛性ソーダ(と水素)をつくる産業。Nafionの既存の主な用途の1つ。
- PFAS
- 有機フッ素化合物の総称。定義は法域で異なり、EUの制限案は広い構造式の定義でフッ素ポリマーも対象に含める、と会社が説明。
- REACH制限/RAC/SEAC
- EUの化学品規則REACHの制限手続。ECHAのリスク評価委員会(RAC)と社会経済分析委員会(SEAC)が意見を出し、欧州委員会が判断する。
- 溶液キャスト/押出キャスト
- 膜の作り方。溶液(分散液)から薄く作る方法と、溶かして押し出して作る方法。
- クロスオーバー
- 膜を通って、水素と酸素などのガスが反対側へ漏れること。
- 調整後EBITDA
- 会社が定義する利益指標。一部の費用を除く。他社の同名の指標とは範囲が違いうる。

13. 出典
- Chemours Form 10-K(2025年12月期、2026年2月24日提出)。事業概要、売上・損益、APM事業、研究開発費・設備投資、従業員、Nafionの増産保留、PFASの規制の記述。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1627223/000119312526065201/cc-20251231.htm
- Chemours Form 10-Q(2026年6月30日終了の四半期、2026年8月5日提出)。APM事業の2026年上半期の業績、EUのPFAS制限案の審査状況。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1627223/000162722326000024/cc-20260630.htm
- Chemours Form 10-K(2024年12月期、2025年2月18日提出)。Nafion増産の長期保留、APMののれん減損、SPS Capstoneの終了。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1627223/000095017025021787/cc-20241231.htm
- Chemours Form 10-K(2023年12月期、2024年3月27日提出)。合弁THE Mobilityの事業開始、Chemours Hydrogen Ventureの記載。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1627223/000095017024037171/cc-20231231.htm
- Chemours Form 10-K(2022年12月期、2023年2月10日提出)。2022年のNafion増産計画の発表。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1627223/000095017023002467/cc-20221231.htm
- Chemours プレスリリース「Chemours, DuPont and Corteva Reach Agreement to Resolve PFAS-Related Claims in North Carolina」(2026年9月10日)。 https://www.chemours.com/en/news-media-center/all-news/press-releases/2026/chemours-dupont-and-corteva-reach-agreement-to-resolve-pfas-related-claims-in-north-carolina
- Chemours(Nafion) Nafion™ 公式サイト(トップページ)。Nafion膜・分散液・樹脂の位置づけ。 https://www.nafion.com/en/
- Chemours(Nafion) Nafion™ 公式サイト「Hydrogen Production」。水電解向けの説明。 https://www.nafion.com/en/applications/hydrogen-production
- Chemours(Nafion) Nafion™ 公式サイト「Fuel Cells」。燃料電池向けの説明。 https://www.nafion.com/en/applications/fuel-cells
- Chemours(Nafion) Nafion™ 公式サイト「Sulfonic Membranes」。PFSA膜の種類・厚さ・用途の表。 https://www.nafion.com/en/products/sulfonic-membranes
- Chemours(Nafion) Nafion™ 公式サイト「Sustainability」。合弁THE Mobility、膜のリサイクル、排水処理の説明。 https://www.nafion.com/en/sustainability
- Chemours 公式サイト(ロゴ画像の取得元)。 https://www.chemours.com/en/
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年10月5日/Troy Technical
本稿の数値は、Chemoursの米国証券取引委員会(SEC)への提出書類(Form 10-K・10-Q)、2026年9月10日の公式プレスリリース、Nafion™の公式サイトに基づきます。調査会社の市場推計や報道ベースの数値は使用していません(10-Kが引用する第三者の水素の見通しの数値も採用していません)。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。PFASの規制・訴訟については、会社の開示に基づいて中立に書いており、法的な評価ではありません。会社の計画・目標は未確定の将来の見通しです。本稿は水素の取扱い・運用の助言ではなく、取扱いは法令・規格の対象です。