COMPANY PROFILE / 水素エネルギー
エア・プロダクツ
― 「世界をリードする水素供給会社」と自称する産業ガス大手。クリーン水素の大型案件は、NEOMとEdmontonを残して絞り込まれた
Air Productsは、水素エネルギーの話題で「水素を大量に作り、運ぶ会社」として名前が出ます。製油所などへ水素をパイプラインで供給する事業が本業で、会社は10-Kで自らを「世界をリードする水素の供給会社」と説明しています(会社の自己評価)。 そのうえで、サウジアラビアのNEOMグリーン水素プロジェクトと、カナダのEdmonton(アルバータ州)のネットゼロ水素複合施設を建設中です。 一方で、2025年2月と2026年6月の2回にわたり、米国のグリーン液体水素(Massena、Casa Grande)やルイジアナの低炭素水素・アンモニア複合施設などから撤退し、累計で約66億ドルの費用を計上しました。 本稿は、水素に関わる事業・プロジェクトに絞って、何が動き、何が止まり、何が未確定かを、一次資料の範囲で整理します。
- 30秒でわかるAir Productsと、水素エネルギーでの立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 水素エネルギーの世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模
- 水素エネルギーにかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は水素エネルギーで何を目指しているか
- 水素エネルギー分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるエア・プロダクツと、水素エネルギーでの立ち位置
Air Productsは「水素を主力製品の1つとして大量に売っている産業ガス会社」であり、同時に「クリーン水素の大型案件を実際に建て、実際に止めた会社」です 本稿の計算。 10-Kは、同社が生産する水素は主に灰色水素(化石燃料由来で炭素回収なし)と説明しています 事実。 クリーン水素では、NEOM(グリーン)とEdmonton(炭素回収つきのブルー)が建設中で、2025年と2026年に複数の案件から撤退しました 事実。 建設中の2案件が計画どおりに稼働するかは未確定です 未確定/将来。
2. ロゴと社名の表記について
表記の注意:法人名は Air Products and Chemicals, Inc.、通称は Air Products(エア・プロダクツ)です。ロゴ画像は同社の公式サイトで公開されているものを取得しました。 水素の大型案件は、NEOM Green Hydrogen Project(サウジアラビア)と、会社の公式ページのNet-Zero Hydrogen Energy Complex(Edmonton)で、アルバータ州政府の一覧では別名(Hydrogen Production and Liquefaction Facility)で載っています。 NEOMの事業会社は NEOM Green Hydrogen Company(NGHC) で、Air Productsの子会社ではなく、3社の合弁です。
公式サイト:https://www.airproducts.com/3. 水素エネルギーの世界で、この会社はどこにいるか
4. 会社の規模
Air Productsは世界有数の産業ガス会社で、会社全体の規模は大きいため、会社全体の数字を簡潔に示し、水素に関わる数値は次の章で扱います。会計年度は9月末で、2025年9月期は2024年10月〜2025年9月です。
| 指標(百万ドル) | 2025年9月期 | 2024年9月期 |
|---|---|---|
| 売上 | 12,037.3 | 12,100.6 |
| 営業利益(損失) | -877.0 | 4,466.1 |
| 純利益(損失) | -354.4 | 3,862.4 |
| 調整後営業利益(約) | 2,900 | 約2,990 本稿の計算 |
| 研究開発費 | 96.3 | 100.2 |
| 設備投資(会社の定義) | 5,064.1 | 5,152.0 |
2025年9月期の営業損失は、約37億ドルの事業・資産処理費用(主にプロジェクトの中止)を含むためです。前年の営業利益には、LNG事業の売却益16億ドルが含まれていました 事実。 地域別の産業ガス事業が売上の90%超を占め、オンサイト(顧客の近くの大型設備からの供給)が売上のおよそ半分です。 2026年は、第3四半期(4〜6月)の売上が31.6億ドル、営業損失が20.97億ドル(約29億ドルの中止費用を含む)、調整後営業利益が8.10億ドル、9カ月累計の売上が94.35億ドルでした 事実。
水素ガスの売上・利益は、10-Kに独立した金額として開示されていません。売上は地域別セグメントと供給方式(オンサイト・マーチャント・機器販売)で示されます。10-Kは地域別産業ガス売上の約半分が大気ガスと記載しますが、水素の金額は示していません。 調整後営業利益は会社の非GAAP指標で、2024年9月期の値は10-Kの前年比(-3%、-89.8百万ドル)からの本稿の逆算です。 本稿は水素分を推計しません 未確定/将来。
5. 水素エネルギーにかけているリソース
| リソース | 一次情報で確認できた内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | 会社全体で約21,300人(2025年9月30日)。水素担当の人員は非公表。研究開発の拠点は、Allentown(米国)、英国のBasingstokeとCarrington、バルセロナ、上海、Dhahran(サウジアラビア)。特許は米国約560件・外国約2,650件 | 事実/一部非公表 |
| 金(研究開発・設備投資) | 研究開発費は9,630万ドル(2025年9月期。会社全体で、水素分は非公表)。設備投資は2025年9月期が約51億ドルで、主な支出はNEOM、ルイジアナ、アルバータ(カナダ)などのクリーンエネルギー案件。2026年9月期の見通しは約35億ドル(第3四半期の発表で約40億ドルから下方修正)で、そのうち従来型の産業ガス案件向けは約10億ドルとされていた | 事実/見通し |
| 金(プロジェクト中止の費用) | 2025年9月期に約36億ドル、2026年第3四半期に約29億ドル。2026年6月30日までの累計は65.66億ドル(資産の評価減55.18億ドル、契約解除などの費用10.47億ドル)。2026年6月末の未払いは7.87億ドル。2026年6月の8-Kは、現金支出が9.25億ドルを超えない見込みと記載 | 事実 |
| 買収・出資・合弁・売却 | NEOMはNEOM CompanyとACWA Powerとの対等な合弁(NGHC)。サウジアラビアのJubailでは、Saudi Aramco子会社と50/50の合弁(BHIG)が水素・窒素・酸素の設備とパイプラインを建設中。中国で、クリーン水素の基盤づくりのために作った合弁の持分に減損(2025年9月期)。World Energyとのサステナブル航空燃料(SAF)拡張計画は契約を終了(2025年2月) | 事実 |
| 大学・研究機関・公的資金 | Edmonton案件に、連邦・州政府から$475Mの資金(2022年11月8日。アルバータ州政府の一覧の記載で、通貨の明記なし)。移動式の水素充填装置の開発に、Alberta Innovatesの水素センター・オブ・エクセレンス事業が支援。10-Kは「大学の研究への資金提供と協力、米国政府などの受託研究」を一般論として記載。米国の水素の税額控除(45V)の活用は、会社が「着工済みなど条件を満たす案件で見込む」と記載 | 事実/個別の大学名は確認できず |
主要プロジェクトの状況
| 案件 | 場所 | 規模 | 段階 | 日付・出典 |
|---|---|---|---|---|
| NEOM Green Hydrogen Project(グリーン水素・アンモニア) | サウジアラビア NEOM | 水素600トン/日、グリーンアンモニア最大年120万トン、電解は2GW超(thyssenkrupp製)。事業費90.46億ドル(ACWA Power) | 建設中(稼働は2027年の予定) | 10-K(2025年11月)と10-Q(2026年7月)。2021年12月の発表は生産開始を2026年と記載(出典1・2・10・11) |
| Net-Zero Hydrogen Energy Complex(ブルー水素・液体水素) | カナダ Edmonton(アルバータ州) | 水素1,500トン/日、CO₂回収年300万トン。推定費用$4.6B(州政府の一覧) | 建設中(期間2022〜2027年) | 州政府の一覧と会社の2026年4月のリリース(出典7・8・9) |
| Louisiana Clean Energy Complex(低炭素水素・アンモニア) | 米国ルイジアナ州 | 確認できなかった | 中止(2026年6月26日に決定) | 10-Qは「建設中」、8-Kは「最終投資決定をしない限り進めない」と過去に開示、と表現が異なる(出典2・3) |
| Casa Grandeのグリーン(ゼロカーボン)液体水素施設 | 米国アリゾナ州 | 確認できなかった | 中止(2026年6月26日に決定) | 10-Qは「建設中」と記載(出典2・3・4) |
| Massenaのグリーン液体水素施設 | 米国ニューヨーク州 | 35トン/日の計画 | 中止(2025年2月24日) | 水力発電が45Vの対象外になったこと、モビリティ市場の遅れが理由(出典6) |
| BHIG(水素・窒素・酸素の供給設備) | サウジアラビア Jubail | 確認できなかった | 建設中 | 2025年1月にAramco子会社との50/50の合弁に(出典1) |
Air Productsは、水素を作るだけでなく、パイプライン、液体水素のコンテナ、貯蔵設備を自社で扱います。10-Kは、同社のガードナー・クライオジェニクス事業がヘリウムと水素の輸送・貯蔵用の容器を製造し、設備の主な原材料が鋼とアルミニウムだと記載しています 事実。 水素のパイプラインや高圧設備では、鋼材に水素が入り込んで靭性が落ちる水素脆化が設計上の論点になり、液体水素の容器ではマイナス253°Cでの材料の靭性と断熱が要になります(一般的な説明です。会社の資料でここまでの材料仕様は確認していません) 未確定/将来。 NEOMの電解装置は、thyssenkrupp製の20MWのアルカリ水電解モジュールの積み上げです。電極・隔膜・触媒の性能がどう効くかは、本シリーズの技術解説「アルカリ水電解」「水電解スタックと材料」を参照してください。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 1940年 | 創業 | — |
| 2020年7月 | ACWA Power・NEOMと、グリーン水素由来のアンモニア設備の合意に署名 | NEOM案件の出発点 |
| 2021年12月13日 | thyssenkrupp Uhde Chlorine Engineersに、2GW超の電解設備を発注。生産開始は2026年と記載 | 電解装置の供給元が決まる |
| 2022年11月8日 | Edmonton案件に連邦・州政府から$475Mの資金(アルバータ州政府の一覧の記載) | 公的資金の支え |
| 2023年5月 | NEOMのEPC契約(67億ドル)とプロジェクト融資(約61億ドル)が成立。Air Productsが主請負者・システム統合者 | 建設の資金調達 |
| 2025年1月 | BHIG(Jubail)をAramco子会社との50/50の合弁にし、連結から外す | サウジアラビアでの水素供給設備 |
| 2025年2月24日 | 米国3案件から撤退(World EnergyのSAF拡張、MassenaのグリーンLH2、テキサスの一酸化炭素)。費用は最大31億ドルと見込む | 新経営体制による案件の見直し |
| 2025年9月期(通期) | プロジェクト中止の費用約36億ドル。中国の2つのガス化プラントは売却を目指す | — |
| 2026年6月26日 | Louisiana Clean Energy Complex、Casa Grande、ほか小規模案件から撤退を決定。第3四半期に約29億ドルの費用 | 2回目の大きな見直し |
| 2026年6月30日〜7月30日 | NEOMのアンモニアの販売・配送契約をYaraと最終化 | NEOMの製品の出口 |
7. 今後の計画
ほかに、次の方針が一次資料に書かれています 未確定/将来。
- 方針:10-Kは「中核の産業ガス事業に集中し直す」としたうえで、エネルギー転換の案件も「当社の想定する収益基準を満たす案件で追求する」と記載しています。2026年の発表でも「従来型の産業ガス案件に支えられた成長」を述べています
- Louisiana・Casa Grandeの資産:できる限り他の案件に転用し、契約上の負担を減らす方針(8-K)。最終的な費用は変わる可能性がある
- NEOMのアンモニア:Yaraの世界の供給網で販売される。Air Productsは長期のテイク・イフ・テンダード契約の唯一の引取り先
水素ガス単独の売上・利益・人員・研究開発費/水素の生産量・販売量/ルイジアナとCasa Grandeの案件規模/NEOMとEdmontonの最新の工事進捗率/NEOM以外の欧州のクリーン水素案件の状況/Edmonton案件の水素の引取り先の契約の詳細(Imperial以外)。 いずれも、参照した10-K・10-Q・8-K・公式リリースに記載がありません。
8. この会社は水素エネルギーで何を目指しているか
会社が「目指す」と直接書いている部分と、本稿が読み取った部分を分けます。推測は一次情報から本稿が読み取った解釈です。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 戦略の軸を中核の産業ガス事業に戻す | 10-Kの見通しは「中核の産業ガス事業への新たな集中」。CEOは2026年7月に「従来型の産業ガス案件で資本支出を減らし成長する」と述べた | 事実 |
| クリーン水素は、想定する収益基準を満たす案件に限る | ルイジアナは「想定する収益が基準に届かない」ことを理由に撤退 | 事実 |
| 水素モビリティ向けの投資を当面は広げない | 2025年のMassena、2026年のCasa Grandeはいずれも、水素モビリティ市場の遅れを理由に含む | 事実(理由の記載)/推測(今後の方針) |
| NEOMを最初の大型グリーン案件として完成させ、製品を世界へ売る体制を作る | Yaraとの販売・配送契約の最終化。「世界初の大規模再生可能アンモニア工場」と会社が説明 | 事実 |
| Edmontonで炭素回収つき水素と液体水素の供給を伸ばす | ATRで90%超の炭素回収、液体水素設備を含む。ImperialのStrathcona製油所へ水素を供給 | 事実(計画)/推測(今後の拡大) |
「クリーン水素を少数の高収益案件に絞る」という読みの根拠は、撤退の理由の共通点です。 2025年2月のMassenaは「水力発電が45Vの対象外になったこと」と「モビリティ市場の遅れ」、2026年6月のルイジアナは「想定する収益が基準に届かないこと」、Casa Grandeは「厳しい商業環境・案件固有の経済性・モビリティ市場の遅れ」が理由です 事実。 いずれも、技術の不成立ではなく需要・政策・収益性が理由で、同社は一方で建設中の2案件を継続しています。 ただし、撤退した案件が将来別の形で復活するかは確認できません。会社は「レビューは継続中」とも記載しています 未確定/将来。
9. 水素エネルギー分野の提携マッピング
Air Productsの水素の関係は、NEOMの3社合弁(ACWA Power、NEOM Company)、電解装置のthyssenkrupp、アンモニアの販売先Yara、サウジアラビアのAramco、カナダのImperialなどです 事実。 NEOMは「3社が対等に出資し、Air Productsがエンジニアリング・調達・建設(EPC)の主請負者を務め、製品の唯一の引取り先にもなる」という、1社が複数の役割を持つ構図です(10-K)。 Edmonton案件への政府資金や、移動式の水素充填装置への支援など、公的な支えも一次資料で確認できます。 2025年・2026年の撤退は、関係先との契約の終了を伴います(World Energyなど)。
10. 提供している技術・製品・サービス
Air Productsの水素に関わる事業は、水素ガスの供給、クリーン水素の大型プロジェクト、水素関連の機器です。性能の数値は会社の説明であり、条件と規模を添えます。
| 区分 | 公式資料に載っている内容 | 条件・規模・出所 |
|---|---|---|
| 水素ガスの供給(灰色水素) | 石油・化学工場の副生ガスの精製や天然ガスの水蒸気改質(SMR)で作る水素を、製油所などへパイプラインで供給。オンサイト供給は15〜20年の長期契約が中心 | 10-Kの記載。生産量・販売量は非公表。会社は「世界有数の水素供給会社」と説明(会社の自己評価) |
| NEOM(グリーン水素・アンモニア) | 再生可能電力で水を電気分解して水素を作り、窒素と合わせてグリーンアンモニアにする。製品はAir Productsが引取る | 規模:水素600トン/日、アンモニア最大年120万トン(ACWA Power)。稼働は2027年の予定 |
| Edmonton(ブルー水素・液体水素) | オートサーマル改質(ATR)で水素を作り、90%超のCO₂を回収して地下に貯留。水素専焼の発電設備と液体水素設備を含む | 規模:水素1,500トン/日、CO₂回収年300万トン(州政府の一覧)。炭素回収率90%超は会社の説明値で、条件は記載なし。建設中 |
| 水素関連の機器 | 液体水素・ヘリウムの輸送・貯蔵用の容器(ガードナー・クライオジェニクス)、ターボ膨張機(Rotoflow)、空気分離装置 | 機器の販売は売上の10%未満(10-K) |
| 水素モビリティ向け | 移動式の液体→気体の水素充填装置を開発(Alberta Innovatesの支援)。ただし、モビリティ向けの大型案件は撤退が続く | 2026年4月の会社のリリース。市場の立ち上がりの遅れが撤退理由(8-K) |
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 大型案件の見直しの繰り返し | 2025年2月と2026年6月に複数の案件から撤退し、累計65.66億ドルの費用。会社は「レビューは継続中」と記載 | 事実 |
| 買い手が決まる前の建設 | 10-Kは、大型のクリーン水素案件が、生産量の相当部分の引取り契約が確定する前に建設されていると記載。需要・価格が定まらないリスク | 事実 |
| NEOMの完成と性能 | 2027年稼働の予定。EPC請負者として約8億ドルまでの性能保証を負う(2028年11月に失効)。当初の発表(2021年12月)は2026年に生産開始と記載しており、時期が後ろにずれた | 事実 |
| 政策への依存 | 米国の水素の税額控除(45V)は、Massena撤退の理由に挙げられた。10-Kは、規制環境の変化や優遇の縮小でクリーン水素の案件が脅かされる可能性を挙げる | 事実(会社の記載) |
| 水素モビリティ市場 | 会社自身が、2025年・2026年の撤退理由に、水素モビリティ市場の立ち上がりの遅れを挙げる | 事実 |
| 資本負担と資金調達 | NEOMのプロジェクト融資は約61億ドル(借入55億ドル)。債務総額は2025年9月末で177億ドル。設備投資は2026年に約35億ドルへ縮小見込み | 事実/見通し |
| 段階の表現が文書間で異なる | ルイジアナ案件を、10-Qは「建設中」、8-Kは「最終投資決定をしない限り進めない」と過去に開示、と記載する。外部から実際の段階を確かめにくい | 事実 |
| 水素の取扱い・規制 | 水素のパイプラインや設備の運用は、法令・規格の対象。10-Kはパイプラインの漏れ・破裂、火災・爆発などの運用上の危険をリスクに挙げる。本稿は取扱いの助言ではない | 事実(会社の記載) |
12. 用語集
- 灰色水素(グレー水素)
- 化石燃料から作り、炭素回収をしない水素。本シリーズの技術解説「水素の色分けと炭素強度」を参照。
- ブルー水素/グリーン水素
- ブルーは炭素回収つきの化石由来、グリーンは再生可能電力による水の電気分解。定義は主体により異なる。
- オートサーマル改質(ATR)
- 酸素を使い、反応熱を内部で賄う水素製造法。CO₂が濃く出るため回収しやすい(会社の説明)。
- オンサイト供給
- 顧客の近くに設備を建て、長期契約でガスを供給する方式。Air Productsの売上の約半分。
- テイク・イフ・テンダード
- 売り手が提示した製品を、買い手が引取る契約。NEOMの製品の引取りはこの形。
- EPC
- 設計・調達・建設を一括で請け負う契約。Air ProductsはNEOMの主請負者。
- 45V
- 米国のクリーン水素製造の税額控除。会社は、水力発電の電力が対象外になったことをMassena撤退の理由に挙げた。
- SAF
- 持続可能な航空燃料。World Energyとの拡張計画は終了。
- LCEC
- Louisiana Clean Energy Complex。2026年6月に撤退を決定した低炭素水素・アンモニア複合施設。
- VIE(変動持分事業体)
- 議決権以外の経済的な関係で支配が決まる事業体。NEOMの合弁は、Air Productsが連結している。

13. 出典
- Air Products Form 10-K(2025年9月期。2025年11月20日提出)。事業の概要、水素の生産方法、売上・損益、従業員、研究開発、設備投資、NEOM合弁の会計、プロジェクト中止の費用、リスク要因。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2969/000000296925000055/apd-20250930.htm
- Air Products Form 10-Q(2026年6月30日終了の第3四半期。2026年7月30日提出)。2026年のプロジェクト中止の内容と費用、NEOMの資金調達、設備投資。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2969/000000296926000036/apd-20260630.htm
- Air Products Form 8-K(2026年6月26日付。Item 2.06 重要な減損)。ルイジアナ、アリゾナ州Casa Grandeなどからの撤退の決定とその理由。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2969/000119312526289427/d97956d8k.htm
- Air Products プレスリリース(2026年6月30日。8-Kの添付資料99.1)。ルイジアナ計画の中止、Yaraとのアンモニア販売契約の最終化。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2969/000119312526289427/d97956dex991.htm
- Air Products プレスリリース「第3四半期決算」(2026年7月30日。8-Kの添付資料99.1)。決算、通期見通し、設備投資の見通し、Yara契約の最終化。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2969/000000296926000034/exhibit99130jun26.htm
- Air Products Form 8-K(2025年2月24日付。Item 2.06)。米国3案件(World Energy、Massena、テキサスの一酸化炭素)からの撤退。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2969/000119312525033509/d830166d8k.htm
- アルバータ州政府 Alberta Major Projects「Air Products Hydrogen Production and Liquefaction Facility」。Edmonton案件の規模・段階・予定期間・推定費用・政府資金。 https://majorprojects.alberta.ca/details/Air-Products-Hydrogen-Production-and-Liquefaction-Facility/4461
- Air Products 公式サイト「Canada Net-Zero Hydrogen Energy Complex」。Edmonton案件の方式(オートサーマル改質と炭素回収)と建設の状況。 https://www.airproducts.com/energy-transition/canada-net-zero-hydrogen-energy-complex
- Air Products ニュースリリース(2026年4月16日付。Canadian Hydrogen Conventionの出展案内)。アルバータ州の既存設備と、Edmonton案件の「建設が進行中」の記載、Alberta Innovatesの支援。 https://www.airproducts.com/company/news-center/2026/04/0417-air-products-industrial-decarbonization-solutions-canadian-hydrogen-convention
- ACWA Power 公式サイト「NEOM Green Hydrogen Project」。NEOMの規模・事業費・出資比率・予定。 https://www.acwapower.com/en/what-we-do/projects/neom-green-hydrogen-project/
- Air Products ニュースリリース(2021年12月13日。thyssenkrupp Uhde Chlorine Engineersへの電解装置の発注)。 https://www.airproducts.com/company/news-center/2021/12/1213-air-products-awards-thyssenkrupp-uhde-chlorine-engineers-contract-for-neom
- Air Products 公式サイト(ロゴ画像の取得元)。 https://www.airproducts.com/
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年10月8日/Troy Technical
本稿の数値は、Air Productsが米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類と公式リリース、アルバータ州政府とACWA Powerの公式ページに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。会社の見通し・目標・性能値は会社の説明であり、第三者の検証を経たものではありません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。水素の取扱いは法令・規格の対象であり、本稿は取扱いの助言ではありません。