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超撥水・防氷・防汚コーティング 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

超撥水・防氷・防汚コーティング
― 「接触角150°」だけでは決まらない、滑る・落ちる・剥がれる・長持ちする

水を弾く、氷が付きにくい、汚れや海の生物が付きにくい。この3つはよく一緒に語られますが、測るものも設計も違います。 この記事では、接触角と転落角、ロータス型(空気を保つ凹凸)と SLIPS(液体含浸表面)、氷付着強度、海洋の防汚、耐久性、そして撥水剤に使われてきたPFAS(有機フッ素化合物)の規制の動き(提案・採択・施行の区別つき)を、一次情報の範囲で整理します。

構成:査読論文(Nature、Science、Science Advances、Nature Communications、Environment International ほか)、EU官報の規則、ECHA(欧州化学機関)・IMO(国際海事機関)・環境省・規格団体(ISO・JISC)の公式ページを使用/確認日 2026年10月10日

水滴の動きと、低温での着氷は別の試験です
図1 概念画像(ImageGenで生成)。水滴の動きと、低温での着氷は別の試験です。高い接触角だけで防氷性や耐久性を保証できません。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。
この記事の構成
  1. 3行でつかむ
  2. 濡れの基礎 ― 接触角、前進角と後退角、転落角
  3. 本稿の計算:固体面積率と、水滴が落ちる傾斜角
  4. 液体含浸表面(SLIPS)― 空気ではなく液体で滑らせる
  5. 防氷 ― 氷付着強度で読む
  6. 防汚 ― 汚れの種類と、海洋の生物付着
  7. 耐久性 ― 摩耗、紫外線、結露・霜
  8. PFASを使う撥水剤の規制の動き ― 提案・採択・施行を区別する
  9. 限界と、確認できなかったこと
  10. 評価・標準の読み方
  11. 用語集
  12. 参考資料(一次情報)
  13. 主張と出典の対応表(監査)
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・予定であり、実績が確認できていない事項
このほか、材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。推測は太字で示します。

この記事の数値の読み方

接触角、氷付着強度、耐久性の数値は、基材・膜厚・試験法・試験時間が論文ごとに違う研究室の結果です。量産品や屋外・海中での実際の性能を示すものではありません。 「超撥水」「防氷」「防汚」「完全に防ぐ」などの語を、製品の性能保証として読まないでください。規制の記述は法令・公式文書の範囲で、提案・採択・施行を区別し、確認日(2026年10月10日)を添えています。 特定の製品や企業の優劣は論じません。

1. 3行でつかむ

  • 超撥水は「接触角が大きい」だけでは足りない:水の接触角が150°を超え、転落角(ロール・オフ角)が10°未満というのが、Deng らが超撥水コーティングを指す基準です事実[参考資料5]。接触角が大きくても、後退角が低ければ水滴は落ちません(第3章の計算)
  • 防氷は氷付着強度で読む:氷付着強度が100 kPa未満のものを「アイスフォビック(氷を付きにくくする)」と呼び、風や振動に頼って氷を落とすには20 kPa未満が必要とされます事実[参考資料9]。しかも、氷付着強度は試験装置と氷の種類で大きく変わり、論文間で直接は比べられません[参考資料10・11]
  • 防汚は「汚れの種類」ごとに別の問題:水汚れ、油汚れ、海の生物付着は別です。海洋では、撥水性の表面にむしろ強く付く生物(珪藻のスライム)もあり、撥水と防汚は同じではありません事実[参考資料12]
この記事でいちばん大事な一行

「接触角150°」は、入口にすぎません。水が転がり落ちるか(転落角)、氷が付いたときに剥がれるか(氷付着強度)、海中で生物が付いたときに離れるか(付着の強さ)は、別の測定で、別の設計です。 そして、どれも擦れ、紫外線、結露と霜、洗浄のあとにも保たれるか、という耐久性を伴って初めて、製品の性能になります。

本稿は、表面の「構造と評価の読み方」に集中します。撥水膜の成膜法とメーカー公称値の読み方は本シリーズ「ナノコーティングと薄膜」編で、PFASそのものの定義とフッ素樹脂の扱いは「フッ素樹脂とPFAS」編で、光触媒の自己洗浄は「二酸化チタンと光触媒」編で、殺生物剤の規制と防食は「抗菌・防食コーティング」編で、シリコーンは「シリコーン」編で扱います。

2. 濡れの基礎 ― 接触角、前進角と後退角、転落角

固体の上の液滴がつくる角度を接触角と呼びます。Quéré の総説(2008)は、固体の粗さが、見かけの接触角と接触角ヒステリシスの両方に大きな影響を与えること、そしてこれが超撥水性、超撥油性、界面での滑り(スリップ)などの性質を生む、と整理しています事実[参考資料1]。

用語意味読むときの注意
静的接触角静止した液滴の接触角液滴の置き方や置いてからの時間で変わる。表面の汚染や温湿度の影響も受ける
前進角・後退角液滴の体積を増やして濡れ広がる側の角度(前進角)と、体積を減らして縮む側の角度(後退角)。ISO 19403-6:2024 は、液滴の体積を変えて両方を求める光学的な方法[参考資料27]後退角は、液滴が「引き剥がれやすいか」の指標になる。静的接触角だけでは分からない
接触角ヒステリシス前進角と後退角の差(前進角-後退角)。傾けた面で液滴が止まるか転がるかを左右する粗さと化学的な不均一さで変わる。ISO 19403-6 は、この差から界面の形態的・化学的な均質さも評価できるとしている[参考資料27]
転落角(ロール・オフ角)表面を傾けて、液滴が転がり落ち始める角度。ISO 19403-7:2024 は、傾斜台で転落角と、転がり落ちる液滴の前進角・後退角を求める方法[参考資料28]同じ表面でも、液滴の量で値が変わる
固体面積率 f液滴の下で、固体と液体が実際に接している面積の割合(Cassie–Baxter の式に使う)空気を保てているときだけ意味をもつ(第3章)

「意味」の列は事実(Quéré[1]、ISO の公式ページ[27・28])。「読むときの注意」の列は本記事の解説です。ISO 19403-7 は2017年版が廃止され、2024年版が現行です。

(1) 液滴がのる4つの状態

凹凸のある表面で液滴がとる代表的な状態が、Wenzel 状態(液が凹凸の底まで入り込む)とCassie–Baxter 状態(凹凸の間に空気を保つ)です。Cassie と Baxter は1944年に、多孔質な表面の濡れ性を論じました[参考資料2]。Cassie–Baxter の式は、固体と空気(空気との接触角を180°とする)が混在する表面の見かけの接触角を、固体面積率 f から cosθ* = f(cosθ+1)-1 と表します事実[参考資料23]。

左から平滑面、凹凸に入り込む状態、空気を挟む状態、潤滑液を保持する状態です
図2 概念画像(ImageGenで生成)。左から平滑面、凹凸に入り込む状態、空気を挟む状態、潤滑液を保持する状態です。接触角の数値は元図で確認し、写真の測定と受け取らないでください。 [参考資料1] [参考資料6] 形状・色・寸法は説明用です。数値と原文の対応は下の元図で確認できます。
元のSVG模式図と正確な説明を見る
液滴がのる4つの表面(概念図) 平滑な固体面 液滴は、その面と液体で 決まる接触角をとる (ヤングの式) Wenzel 状態 液が凹凸の底まで 入り込んでいる。 接触角も付着も 凹凸の影響を受ける[1] Cassie–Baxter 状態 空気 凹凸の間に空気を保ち、 液滴は突起の先に乗る。 ロータスの葉に着想を 得た表面の型[6] SLIPS(液体含浸) 凹凸に潤滑液を保持し、 滑らかな液膜の上に 液滴が乗る[6] ※ 液滴・凹凸の形は説明用の概念図です。縮尺・数値は実在の表面のものではありません。 ※ Wenzel と Cassie–Baxter の整理は Quéré の総説[1]、SLIPS は Wong らの報告[6]によります。
図2 概念図(ベクター作図)。平滑面、Wenzel 状態、Cassie–Baxter 状態、SLIPS の4つの状態を並べた概念図です。Quéré の総説[参考資料1]と Wong らの報告[参考資料6]にもとづく整理で、縮尺・数値は実在の表面のものではありません。

ロータスの葉に着想を得た、微細な凹凸のある撥水表面には、Wong らが次の課題を挙げています:油に対する撥液性の限界と大きな接触角ヒステリシス、圧力がかかったときの破綻、物理的な損傷で壊れること、自己修復できないこと、製造コストの高さ事実[参考資料6]。第4章の SLIPS は、これらの課題に応える設計として提案されたものです。

素材技術者の視点①:撥水の評価は「静的な角度」から「動的な角度」へ

素材開発の現場では、静的接触角(一つの数字)が最初に報告されがちです。しかし、水が転がるか、貼りつくかは、前進角と後退角の差(ヒステリシス)で決まります。同じ静的接触角でも、後退角が低い表面は、水滴を傾けても動かしません(第3章で数値の例を示します)。 Cassie–Baxter 状態は、液が凹凸に入り込む(Wenzel 状態に移る)と、一気に崩れる場合があります。圧力と物理的な損傷[参考資料6]、結露と霜[参考資料9]は、その引き金になりえます。静的な値を「初期値」、動的な値と擦れ後の値を「実用の値」として、分けて読むことを勧めます(本記事による解説)。

3. 本稿の計算:固体面積率と、水滴が落ちる傾斜角

(1) 固体面積率 f が小さいほど、見かけの接触角は大きくなる

本稿の計算①:Cassie–Baxter の式

平滑面の接触角θを110°とし、Cassie–Baxter の式 cosθ* = f(cosθ+1)-1 を使って、固体面積率 f ごとの見かけの接触角θ* を計算します本稿の計算。式は、Cassie–Baxter 状態(空気を保つ)の見かけの接触角を示す式として、公開論文[参考資料23]で確認しました。

  • f=0.05:約165.3° / f=0.1:約159.1° / f=0.2:約150.3° / f=0.3:約143.4° / f=0.5:約132.1°
  • つまり、θ=110° の平滑面でも、液と固体の接触面積率を約0.2以下に保てれば、見かけの接触角は150°を超える計算になります

前提と限界:完全に空気を保つ Cassie–Baxter 状態を仮定した式で、液が凹凸に入り込む(Wenzel 状態)と成り立ちません。f は凹凸の幾何で決まり、実測では見積もりにくい量です。また、見かけの接触角が大きいことと、水滴が転がることは別の性質です(次の計算)。

固体面積率で、見かけの接触角はどう変わるか(本稿の計算) Cassie–Baxter の式 cosθ*=f(cosθ+1)-1 で計算。平滑面の接触角θ=110° の場合。 100 120 140 160 180 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 固体と液体が接する面積率 f 見かけの接触角 θ*(度) 150°(超撥水の目安) θ=110° の平滑面の例 f=0.05 → 165.3° f=0.1 → 159.1° f=0.2 → 150.3° f=0.3 → 143.4° f=0.5 → 132.1° ※ 完全な Cassie–Baxter 状態(空気を保つ)を仮定した計算です。 ※ 液が凹凸に入り込む(Wenzel 状態になる)と、この計算は成り立ちません。
図3 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。平滑面の接触角110° の材料で、固体面積率 f を変えたときの見かけの接触角を、Cassie–Baxter の式[参考資料23]で計算した曲線です。特定の表面の実測データではありません。

(2) 接触角が同じでも、ヒステリシスが大きいと水滴は落ちない

本稿の計算②:Furmidge の式

水滴が傾斜面で動き出す条件は、Furmidge の式 mg sinα = γ w(cosθr-cosθa)で表されます(m:水滴の質量、γ:表面張力、w:水滴の幅、θa:前進角、θr:後退角)事実[参考資料3・24]。実際には、係数 k(接触線の形で決まる、1に近い値)が付くことが指摘されています[参考資料4]。

これを使い、10 μL(質量10 mg)の水滴、前進角155°、水の表面張力72 mN/m、k=1 として、後退角を変えたときの転落角を計算します本稿の計算。水滴の底面の幅は、接触角155° の球欠形から求めた約1.13 mm を使いました。

  • 後退角150°(ヒステリシス5°):転落角 約1.9°
  • 後退角145°(ヒステリシス10°):転落角 約4.2°
  • 後退角125°(ヒステリシス30°):転落角 約16.0°

前提と限界:水滴を球欠形、k=1 とした近似で、実測の転落角と一致するとは限りません。水滴の量や幅で値は変わります。それでも、静的な接触角が同じ155°でも、後退角が125°まで下がると、転落角は10°を超え、「転落角10°未満」の目安[参考資料5]を満たさなくなることは確かです。

接触角ヒステリシスと、水滴が転がり落ちる傾斜角(本稿の計算) Furmidge の式で計算。10 μL の水滴、前進角155°、水の表面張力72 mN/m、係数 k=1 の例示。 ヒステリシス5°(後退角150°) 約1.9° ヒステリシス10°(後退角145°) 約4.2° ヒステリシス30°(後退角125°) 約16.0° 10°(超撥水の目安:転落角10°未満) 0 5 10 15 20 水滴が転がり落ちる傾斜角(度) ※ 静的な接触角が同じ(155°)でも、後退角が下がると、大きく傾けないと水滴が落ちなくなります。 ※ 水滴の底面の幅は、球欠形(接触角155°)として計算した1.13 mm を使用。実測値ではありません。
図4 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。前進角155° の水滴について、後退角を変えたときの転落角を Furmidge の式[参考資料3]で計算した棒グラフです。実測値ではなく、10 μL・k=1 の近似による例示です。

4. 液体含浸表面(SLIPS)― 空気ではなく液体で滑らせる

Wong らは2011年に、ウツボカズラ(食虫植物)に着想を得たSLIPS(slippery liquid-infused porous surfaces、滑りやすい液体含浸多孔質表面)を報告しました。ナノ・マイクロ構造をもつ基材に、潤滑液を閉じ込めて固定し、安定で欠陥のない、不活性な「滑る」界面をつくる、というロータス効果とは概念の違う方法です事実[参考資料6]。

  • 水、炭化水素、原油、血液といった単純・複雑な液体をはじき、接触角ヒステリシスは2.5°未満
  • 物理的な損傷のあと、0.1〜1秒で撥液性が回復する(潤滑液が流れ込んで傷を埋める)
  • 氷の付着に耐え、約680気圧までの圧力でも機能する
  • 基材の幾何にあまり依存せず、多孔質のテフロン膜のような低表面エネルギーの構造材料にも適用できる

すべて事実(Wong ら[参考資料6]の報告。著者らの条件での結果)。

素材技術者の視点②:潤滑液は「消耗する部品」

SLIPS は、空気の代わりに液体を使うことで、圧力・傷・低い接触角ヒステリシスの問題に答える設計です[参考資料6]。一方で、液体は流れ出し、持ち去られ、蒸発します。Golovin らは、氷を付けて剥がす繰り返しの試験で、フッ素系の高価な潤滑液を使った SLIPS 系の表面が、数回の着氷・除氷のあとに氷付着強度が約10倍に増えた、と報告しています。また、潤滑液は、水滴、霜、氷によって持ち去られる場合がある、と指摘しています事実[参考資料9]。

素材から見ると、SLIPS の設計は、潤滑液の化学(表面張力、粘度、基材との親和性)と、構造が潤滑液を保持する力の組み合わせです。実用では、潤滑液の補給・更新まで含めた寿命設計が必要で、論文の初期性能(回復の速さ、ヒステリシス)だけでは寿命を読めません(本記事による解説)。

5. 防氷 ― 氷付着強度で読む

(1) 何を測るか ― 氷付着強度と、水の濡れ性の関係

防氷表面の設計では、「氷ができない」ことと、「できた氷が簡単に剥がれる」ことを分けて考えます。Golovin らは、氷付着強度τiceが100 kPa未満のものを「アイスフォビック(氷を付きにくくする)」と定義し、飛行機の翼や送電線で氷を受動的に落とすには20 kPa未満が必要としています事実[参考資料9]。

Meuler らは、鋼板に約200〜300 nm の塗膜21種を付けて試験し、氷付着強度が、水滴を取り去るのに必要な仕事(1+cosθrec、θrecは後退角)と強く相関することを示しました。フッ素化 POSS を含む材料で、氷付着強度を最大4.2倍低くできたとしています。ただし、平滑な材料で後退角が既知の材料より大きくなるものはなく、さらに下げるには凹凸(テクスチャー)が必要、と論じています事実[参考資料8]。

Golovin らは、エラストマー塗膜の架橋密度を調整し、界面で滑らせることで、材料の化学によらず、氷付着強度を0.2 kPa未満まで下げられると報告しました。さらに、激しい摩耗、酸・塩基への曝露、100回の着氷・除氷、熱サイクル、促進腐食、ミシガンの冬を数か月曝露したあとでも10 kPa未満を保つ塗膜をつくったとしています事実[参考資料9]。この論文では、エラストマーの違いによる氷付着強度の変化は、表面エネルギーではなく架橋密度が主因だった、と述べています。

氷と固体の接触、潤滑層を挟む接触、柔らかい層の変形を比べています
図5 概念画像(ImageGenで生成)。氷と固体の接触、潤滑層を挟む接触、柔らかい層の変形を比べています。接触の考え方を示し、どれが必ず優れるという図ではありません。 [参考資料7] [参考資料9] 形状・色・寸法は説明用です。数値と原文の対応は下の元図で確認できます。
元のSVG模式図と正確な説明を見る
氷と表面の3つの組み合わせ(概念図) 超撥水(空気層) 基材 氷 水・霜 結露や霜で凹凸に水が入る 環境では、効果が保てない 例がある[7・9] 液体含浸(SLIPS) 基材 氷 潤滑液 氷は滑りやすいが、潤滑液が 氷や水に持ち去られて減る と、性能が落ちる例がある[9] 低架橋密度のエラストマー 基材 エラストマー 氷 架橋密度の調整で、氷付着 強度を系統的に下げられた という報告がある[9] ※ 概念図です。各タイルの記述は Kreder らの総説[7]と Golovin らの報告[9]の範囲で、実在の表面の断面ではありません。 ※ 「保てない」「落ちる」は、Golovin らが述べた条件での観察で、すべての表面に当てはまるものではありません。
図5 概念図(ベクター作図)。氷と表面の3つの組み合わせを、Kreder らの総説[参考資料7]と Golovin らの報告[参考資料9]の範囲で整理した概念図です。実在の表面の断面や実測値ではなく、各表面の優劣を示すものでもありません。

(2) 超撥水が防氷にならないとき

Kreder らの総説は、微細な凹凸をもつ超撥水表面が、一定の条件で氷の蓄積を防ぐことは示されているものの、同じ凹凸が別の環境では不利になること、あらゆる環境で氷をはじく表面は、まだ見つかっていないことをまとめています事実[参考資料7]。Golovin らも、超撥水表面は、凹凸に結露した水滴や霜が入り込むと、氷付着強度が保てなくなる、と論じています[参考資料9]。

(3) 氷付着強度は、試験のしかたで変わる

Rønneberg らの総説は、実験で得られた氷付着強度は、現状では比較も転用もできず、実験装置と氷の種類に非常に敏感だ、と述べています。水平・垂直のせん断試験、遠心法、引張試験などがあり、基準となる試験として、バルク水の氷を使った水平せん断試験を提案しています事実[参考資料10]。また、同じアルミニウム基材・遠心法でも、氷の種類(降水氷0.78 MPa、雲中氷0.53 MPa、バルク水氷0.28 MPa)で氷付着強度が約3倍違った、と報告されています[参考資料11]。

ISO/TS 19392-6:2026 は、風力タービンブレード用の塗装系について、遠心法で人工の氷の付着を測る方法を定めています。氷の種類と除去の試験条件を定めて再現性を得ることが目的で、さまざまな着氷の場面に合わせた固定の試験条件は示していません。注記に、氷付着強度の測定の原理には、遠心試験とせん断試験の2つがあると記されています事実[参考資料29]。

本稿の計算③:氷の自重と、必要な付着強度の関係

氷を重力だけで落とす場合を考えます本稿の計算。垂直な面に付いた、厚さhの氷の板が面に及ぼすせん断応力は、おおむね ρgh(ρ:氷の密度、約917 kg/m3とする)です。

  • h=1 mm:約9 Pa / h=1 cm:約90 Pa / h=10 cm:約900 Pa(約0.9 kPa)
  • 一方、Golovin らが示した「受動的に落とせる」目安の20 kPaや、「アイスフォビック」の定義100 kPaは、厚さ10 cmの氷の重さによるせん断応力の20倍〜100倍以上です
  • 氷の付着面積を0.01 m2(10 cm×10 cm)とすると、付着強度100 kPaでは、剥がすのに約1,000 N、20 kPaでは約200 N、10 kPaでは約100 Nのせん断力が必要です(F=τ×A)

前提と限界:氷の板が一様に付いている、面が垂直、という単純な見積もりで、氷の形・曲がり・風・振動・すき間を考えていません。氷が厚さ10 cm(約0.9 kPa)なら、0.2 kPa未満という報告値[参考資料9]はそれを下回りますが、厚さ1 cm(約90 Pa)の氷には届きません。「アイスフォビック」の定義100 kPaを満たしても、氷は自重だけでは落ちません。風・振動・加熱・機械的な除去との組み合わせで使う、という設計の前提が必要です(本記事による解説)。

素材技術者の視点③:防氷は、接触角ではなく「氷付着強度と寿命」で選ぶ

防氷の評価では、接触角が大きいことを根拠にしないことです。氷付着強度は、水の後退角と相関する面がある一方[参考資料8]、エラストマーでは架橋密度と界面の滑りが支配的でした[参考資料9]。つまり、撥水性の高さと、氷が剥がれる強さは、同じ設計軸ではありません。 素材技術者が確認する項目は、(a)氷の種類と試験方法(遠心かせん断か)、(b)着氷・除氷を何回繰り返したあとの値か、(c)摩耗・紫外線・洗浄のあとの値か、(d)基材と膜厚、(e)用途が求める付着強度(落とし方)です(本記事による解説)。

6. 防汚 ― 汚れの種類と、海洋の生物付着

「防汚」は、汚れの種類で意味が変わります。水に溶けた汚れや粒子、油汚れ、生物の付着(バイオファウリング)は、それぞれ別の評価になります(本記事による整理)。

汚れの種類表面に求める性質一次情報で確認できたこと
水汚れ・粒子(自己洗浄)水滴が転がって汚れを運ぶ、小さい転落角超撥水表面は、摩耗で凹凸が壊れると水が貼りつくようになり、接触による汚染も起きて、自己洗浄の寿命を縮める。光触媒や電気抵抗の低減が、汚れの蓄積を防ぐ方法として提案されている[14]
油汚れ撥油性(水より表面張力の低い液体もはじく)超撥水の表面でも、界面活性剤を含む溶液、アルコール、アルカンには濡れる。超撥水・超撥油を両立する透明な「超両撥」コーティングが Deng らによって報告されたが、非フッ素の撥水剤は油をはじけない傾向がある[5・16]
海洋の生物付着付着の抑制、または付着しても低いせん断力で離れる(フジツボ、藻、バイオフィルム)後述(Callow と Callow [12])

「一次情報で確認できたこと」の列は事実(Verho ら[14]、Deng ら[5]、Holmquist ら[16]、Callow と Callow[12])。「表面に求める性質」の列は本記事の解説です。

(1) 海洋の生物付着 ― 殺生物剤から、付着しても離れる塗膜へ

Callow と Callow の総説(Nature Communications, 2011)によると、船体の生物付着は、世界の海運業にとって経済的にも環境的にも負担です。付着が重い船体では、巡航速度で推進に必要な動力が最大86%増え、珪藻の薄い膜(スライム)でも10〜16%増えるという引用があります。主な対策は殺生物剤入りの塗料ですが、環境への懸念と法規制により、塗膜の物理化学的な性質だけに頼る非殺生物型の技術が求められています事実[参考資料12]。

規制の面では、国際海事機関(IMO)の「船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約(AFS 条約)」が、2001年10月5日に採択され、2008年9月17日に発効しました。船舶への有害な有機スズ化合物の使用を禁じ、有害な物質を防汚システムに使うことを防ぐ仕組みを定めています。2021年には海洋環境保護委員会(MEPC)が殺生物剤のシブトリン(cybutryne)に関する改正を採択し、2023年1月1日に発効しました(2023年1月1日以降は、この物質を含む防汚システムを新たに塗らない。次の塗り替え時、遅くとも最後の施工から60か月以内に除去または上塗りする)事実[参考資料13]。殺生物剤の欧州の規制は、本シリーズ「抗菌・防食コーティング」編で扱います。

浸漬した試験片を引き上げて、付着と除去の状態を確認する例です
図6 概念画像(ImageGenで生成)。浸漬した試験片を引き上げて、付着と除去の状態を確認する例です。汚れの量は説明用で、製品の性能比較ではありません。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。

非殺生物型の「付着しても離れる(フジツボなどが、船が動くときの低いせん断力で離れる)」塗膜はフジツボなどが付くのを防ぐのではなく、付いた生物の付着を弱くします。Callow と Callow によると、現在の商用の付着防止(フジツボなどが離れやすい)塗膜の多くは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のエラストマーです。表面エネルギーが低く(約22 mN/m)、弾性率も低いことが特徴で、硬い付着生物の離れやすさは (γE)1/2(γ:表面エネルギー、E:弾性率)に比例する、とされます。ただし、下地への接着に中間層(タイコート)が要ること、傷つきやすいこと、疎水性の表面により強く付く珪藻のスライムを落としにくいこと、そして15ノットを超える高速で動く船に最も向き、港に長く止まる船や低速の船には向きにくいことが課題です事実[参考資料12]。

素材技術者の視点④:「撥水」は「防汚」とは別の設計軸

海の中では、疎水性の表面が、むしろ一部の生物(珪藻)に強く付かれる場合があります[参考資料12]。陸上で水滴が転がる表面が、海中で汚れにくいとは限りません。逆に、PDMS のように弾性率が低く表面エネルギーも低い材料が、フジツボ(硬い付着生物)には有利に働く、という設計は、相手の生物と、使い方(船の速度、停泊の長さ)で評価が変わります。

素材から見ると、防汚の評価で最初に確認するのは、(a)対象生物(硬い付着生物かスライムか)、(b)試験の場所と期間(海域・季節・浸漬日数)、(c)静置か、せん断を受ける条件か、(d)殺生物剤を含むか、です。陸上の接触角だけで海洋の防汚を語る資料は、読み方に注意が必要です(本記事による解説)。

7. 耐久性 ― 摩耗、紫外線、結露・霜

超撥水の最大の弱点は、耐久性です。Verho らの総説(Adv. Mater. 2011)は、超撥水に必要な微細な粗さが壊れやすく、機械的な摩耗は、まず水の貼りつきの増加として現れ、非濡れ性の喪失につながると述べています。階層的な粗さ(ナノの凹凸を大きな構造で守る)、親水性の母材を避けること、自己修復する疎水層などが、耐摩耗性を高める方法として示されてきましたが、接触による汚染も寿命を縮め、「超撥水表面の脆さが応用を限っている」としています事実[参考資料14]。

Tian、Verho、Ras は Science の解説(2016)で、標準化された摩耗・耐久性の試験が、優れた材料を前に進めるために必要だと述べています事実[参考資料15]。つまり、耐摩耗性の数字は、論文ごとに試験方法が違い、そのままでは比べられません。

劣化の要因一次情報で確認できた例評価・規格の例(第10章)
摩耗・擦れDeng らの超両撥コーティングは、砂の衝突で最上層が損傷したあとも超両撥性を保った(Science 2012)[5]。Golovin らの塗膜は、激しい摩耗後も氷付着強度10 kPa未満を保った[9]JIS K 5600-5-9(摩耗輪法)、ASTM D4060(Taber)
紫外線・屋外暴露Golovin らは、ミシガンの冬の屋外に数か月曝露した例を含めている[9]。屋外耐久は、実環境の結果か促進試験の結果かを分けて読むISO 16474-3:2021、JIS K 5600-7-8、ASTM G154
結露・霜・着氷の繰り返しGolovin らは100回の着氷・除氷のあとでも10 kPa未満を保つ塗膜を報告。一方、SLIPS 系の表面は数回で氷付着強度が約10倍になった例を報告[9]ISO/TS 19392-6 は氷付着強度の測定法(繰り返し回数は規定外)
洗浄・化学薬品Golovin らは酸・塩基への曝露後の値も報告[9]。洗浄での劣化の標準的な試験は、本稿では確認していない確認できなかった

「一次情報で確認できた例」の列は事実(各論文の要旨・本文の記載。条件は各論文のもの)。規格の列は第10章で番号・題名を確認した範囲です。

素材技術者の視点⑤:「初期の接触角」と「擦ったあとの動的な角度」を分けて見る

メーカーの技術資料には、初期の接触角に加えて「擦ったあとの接触角」が載ることがあります(例は、本シリーズ「ナノコーティングと薄膜」編で扱ったフッ素系の防汚コーティング剤の公称値)。ただし、その擦り方(摩耗輪か布か、荷重、回数)が実際の使い方とどう対応するかは、資料からは分かりません。 超撥水では、静的接触角が保たれても、後退角が下がる(ヒステリシスが増える)と、水滴は転がらなくなります(第3章)。擦った後の評価は、静的な接触角だけでなく、前進角・後退角(または転落角)で見るのが、素材技術者にとって実用的な読み方です(本記事による解説)。

8. PFASを使う撥水剤の規制の動き ― 提案・採択・施行を区別する

(1) なぜ撥水剤が問題になるのか

Holmquist らの総説(Environment International, 2016)によると、繊維の撥水(DWR)では、側鎖にパーフルオロアルキル基をもつ長鎖のPFASの廃止(フェーズアウト)と、その代替への切り替えが進み、現在は含フッ素と非フッ素の撥水剤が市場に並存しています。代替の撥水剤は、側鎖フッ素化ポリマー、シリコーン、炭化水素、その他(デンドリマーや無機ナノ粒子など)の4つに分けられます。非フッ素の代替は油をはじく性能に欠けることが最大の違いで、すべての代替で、不純物や分解生成物が環境へ拡散的に放出される、と指摘しています。ハザードの順位づけでは炭化水素系が最も環境負荷が小さいとされましたが、著者らは、性能が求められる用途ごとに、利点とリスクを秤にかけて選ぶことを勧めています事実[参考資料16]。

(2) 規制は「地域」と「段階」で別のもの

PFAS 規制の「いまの位置」を段階別に(2026年10月10日に確認できた範囲) 提案 科学的評価 採択・決定 適用・施行 EU:PFHxA の制限 (REACH 附属書 XVII 79) 2019年12月20日 ドイツが提案を提出 RAC 2021年6月 SEAC 2021年12月 意見を採択 2024年9月19日 委員会規則 2024/2462 2026年10月10日〜 衣類・履物など 2027年10月10日〜 その他の繊維 EU:PFAS 全体の制限案 (REACH) 2023年1月13日 五か国が提案を提出 RAC最終 2026年3月 SEAC草案 2026年3月 意見募集〜5月25日 SEAC最終:年末見込 欧州委員会の提案 REACH委員会の票決 (時期は未定) 未定 日本:化審法 (第一種特定化学物質) 2021年4月16日 PFOA・塩を閣議決定 審議の経過は 本稿では確認せず 2024年7月5日 異性体・関連物質を 閣議決定 2021年10月22日 2024年9月〜2025年1月 (予定として発表) 済み(採択・施行・適用開始) 評価中 これから(未確定) 本稿では確認せず ※ 日付は ECHA、EU官報の規則、環境省の発表によります。確認日は2026年10月10日。日本の2024〜2025年は閣議決定時の予定日。
図7 概念図(ベクター作図)。EU の PFHxA の制限、EU の PFAS 全体の制限案、日本の化審法の指定について、提案・科学的評価・採択・適用の段階を、2026年10月10日に確認できた範囲で整理した図です[参考資料17〜22]。各セルの要約は本記事によるもので、今後の手続きで変わる可能性があります。

(3) EU:PFHxA の制限は「採択済み」、2026年10月10日に適用が始まった

欧州委員会規則(EU)2024/2462(2024年9月19日付、官報2024年9月20日)は、REACH 規則の附属書 XVII に項目79を追加し、ウンデカフルオロヘキサン酸(PFHxA)、その塩、およびPFHxA関連物質(構造から、PFHxA に分解・変換しうると考えられる物質)を制限しました事実[参考資料17]。ECHA の制限意図の登録簿でも、状況は「欧州委員会が決定済み」、採択された制限は規則2024/2462(附属書 XVII 項目79)とされています[参考資料20]。

適用開始日(条文)対象(条文)濃度の上限(均質な材料中)
2026年10月10日から(a)一般向けの衣類・関連付属品の繊維・革・毛皮、(b)一般向けの履物、(c)食品接触用の紙・板紙、(d)一般向けの混合物、(e)化粧品PFHxA とその塩の合計 25 ppb、PFHxA 関連物質の合計 1,000 ppb
2027年10月10日から上記以外の一般向けの繊維・革・毛皮(カーペット、カーテン、室内装飾など)同上
2026年4月10日/2029年10月10日消火泡(訓練・試験用、公共消防は2026年4月10日。民間航空は2029年10月10日)同上
適用除外(条文)個人用保護具(リスク区分III の一部)、医療機器・体外診断用医療機器、建築用繊維。各日付より前に市場に出された物品・混合物―

すべて事実(Commission Regulation (EU) 2024/2462 の附属書[参考資料17])。規則は公布後20日目に発効。本稿の確認日は、衣類などへの適用開始日と同じ2026年10月10日で、この日以降の運用の指針や解釈の更新は確認していません。

規則の前文は、PFHxA 関連物質が繊維、食品接触用の紙・板紙、消火泡で多量に使われていること、委員会が、RAC が排出を最小化するリスク管理措置を適用できないと結論した用途に絞って制限したこと、対象に屋外衣類(レインジャケットなど)を例示していることを述べています。さらに、衣類以外の一般向けの繊維(カーペット、カーテン、室内装飾など)については、水をはじく性質の代替は利用できるように見えること、油・汚れをはじく性質の欠如が重大な悪影響を伴う機能の損失になることは十分には確立されていないこと、を述べています事実[参考資料17]。

本稿の計算④:25 ppb と 1,000 ppb は、どのくらいの量か

条文の濃度は、均質な材料中の質量濃度(ppb)です本稿の計算。1 ppb=1 µg/kg として、

  • 25 ppb(PFHxA とその塩の合計):25 µg/kg = 0.025 mg/kg。1 kg の布地なら、合計25 µg
  • 1,000 ppb(PFHxA 関連物質の合計):1,000 µg/kg = 1 mg/kg。1 kg の布地なら、合計1 mg

前提と限界:濃度の上限であって、製品1点あたりの許容量ではありません。「均質な材料」の考え方と、どの分析法で測るかは、条文だけでは決まらず、本稿では確認していません。

(4) EU:PFAS 全体の制限案は「提案・評価中」

ドイツ、デンマーク、オランダ、ノルウェー、スウェーデンの当局が準備した PFAS の包括的な制限案は、2023年1月13日に ECHA へ提出されました。意見募集は2023年3月22日から9月25日に行われています。ECHA によると、リスク評価委員会(RAC)が2026年3月2日に最終意見を採択し、社会経済分析委員会(SEAC)が3月10日に意見案に合意しました。2026年3月26日の公表で、両委員会は「適切な適用除外つきの、EU 全体の制限」を支持すると発表し、SEAC 意見案への意見募集が2026年5月25日まで行われました。SEAC は、2026年末までに最終意見を採択する見込みで、その後、欧州委員会が最終意見をもとに制限を提案し、REACH 委員会(加盟国)で議論・投票します事実/未確定/将来[参考資料18・19]。ECHA の特設ページには、2026年10月7日付で11月の SEAC 会合の議題が掲載されています[参考資料19]。

つまり、制限案は提案・評価中で、法令としては採択も施行もされていません。個別の分野ごとの適用除外の内容や、撥水剤に関係する部分の扱いは、本稿では確認していません(確認できなかった項目に記載)。

(5) 日本:化審法による個別物質の指定

環境省の発表によると、PFOA(撥水剤などに使用)またはその塩は、2021年4月16日に政令が閣議決定され、化審法の第一種特定化学物質に指定されました。撥水剤などの13種類の製品が、輸入禁止の製品に指定され、施行日は2021年10月22日です事実[参考資料21]。 その後、2024年7月5日に、「PFOA の分枝異性体またはその塩」と「PFOA 関連物質」を第一種特定化学物質に追加する政令が閣議決定されました。輸入できない製品として、前者は撥水剤などの13種類、後者は撥水剤などの8種類が指定されています。同じ発表の「今後のスケジュール」に、施行の予定日として2024年9月10日(分枝異性体の指定)と2025年1月10日(関連物質の指定、輸入禁止製品など)が記されています[参考資料22]。実際の施行を示す官報は、本稿では確認していません。

素材技術者の視点⑥:規制は「構造」で決まり、代替は「機能」で評価される

EU の PFHxA の制限は、炭素数6のパーフルオロアルキル基(C6F13–)または C5F11– を含む物質という構造で範囲を定め、分解して PFHxA になりうる「関連物質」まで含めます[参考資料17]。つまり、「短鎖(C6)だから別扱い」という考え方は、この制限では通用しません。 一方、代替の評価は、Holmquist らが示すように、撥水と撥油を分けて行う必要があります[参考資料16]。撥水だけが目的なら、炭化水素やシリコーンの選択肢が現実的ですが、撥油・防汚が必要な用途(食品接触、医療・防護など)は、別の議論になります。

素材技術者が確認することは、(a)自社の撥水剤の構造が、規制の対象の構造に当たるか(C5・C6 の部分構造、ポリマーの側鎖を含む)、(b)求める機能が撥水だけか、撥油・防汚も含むか、(c)規制の段階(採択済みか、提案・評価中か)と適用日、(d)サプライチェーンでの含有の確認方法(分析法)です。PFAS という言葉でひとくくりにせず、段階と範囲を分けて読むことが、設計と調達の出発点です(本記事による解説)。

9. 限界と、確認できなかったこと

(1) 論文本文の条件

Wong ら(2011)、Kreder ら(2016)、Quéré(2008)、Furmidge(1962)などは、要旨または出版社のページの記載の範囲で確認しています。試験条件、基材、液体の種類の詳細は記載していません。

(2) 市販の撥水・防氷・防汚製品のデータ

実際の製品のデータシートと現場の寿命は、本稿では扱っていません。撥水膜の公称値の読み方は、本シリーズ「ナノコーティングと薄膜」編に例があります。

(3) 米国など、他の地域のPFAS規制

米国の連邦・州の規制(TSCA の報告規則、州のPFAS製品規制など)、中国、その他の地域は、本稿では確認していません。EU のPFAS 全体の制限案の個別の内容(分野ごとの適用除外、撥水剤に関係する部分)、ECHA が2026年6月に公表した意見募集の結果と SEAC 会合の記録も、内容を確認していません。

(4) 日本の施行の確認

化審法の2024〜2025年の指定は、閣議決定時の環境省の発表に記された施行の予定日を記載しています。官報などで実際の施行を確認していません。

(5) 規格

ISO・JIS・ASTM の本文は確認していません。耐摩耗の ISO 規格、氷付着強度の JIS・ASTM、転落角・動的接触角の JIS は、確認できませんでした。IEC・IEEE の該当規格も確認できませんでした。

(6) 扱わなかった項目

防曇・防霧(曇りの防止)、撥油の評価(油の接触角)、光触媒による自己洗浄、殺生物剤を含む塗料の効果と規制の詳細は、扱っていません。光触媒は本シリーズ「二酸化チタンと光触媒」編、殺生物剤の規制は「抗菌・防食コーティング」編で扱います。

この記事のまとめ
  • 超撥水は、接触角150°超と、転落角10°未満の両方で定義されます。静的接触角が同じでも、後退角が低いと水滴は落ちません事実/本稿の計算
  • SLIPS は潤滑液で滑らせる設計ですが、潤滑液は消耗します。防氷は接触角ではなく、氷付着強度と繰り返しの寿命で読み、氷の種類と試験方法をそろえて比べます事実
  • 防汚は汚れの種類で別の設計です。海洋では、疎水性の表面に強く付く生物もあり、撥水と防汚は同じではありません事実
  • 撥水剤のPFAS規制は、地域と段階で別のものです。EU の PFHxA の制限は採択済みで2026年10月10日に適用が始まり、PFAS 全体の制限案は提案・評価中、日本は化審法で個別物質を指定しています事実/未確定/将来

10. 評価・標準の読み方

この分野で測るのは、接触角(静的・前進角・後退角)、転落角、氷付着強度、生物付着の程度と付着の強さ、摩耗・紫外線のあとの性能です。測る手法は、液滴を置いて角度を読む光学的な方法(接触角、転落角)、氷を作って剥がす力を測る方法(遠心法、せん断法)、海に浸して付着を見る浸漬試験、擦る・光を当てる促進試験などです。 規格が定めているのは、それぞれの試験の方法で、「超撥水」「防氷」「防汚」の合格基準や製品性能ではありません。

評価項目ISOIEC・IEEEJISASTM測定条件で値が変わる点
静的接触角、表面自由エネルギー事実ISO 19403-1:2022(ぬれ性の用語と一般原則)、ISO 19403-2:2024(接触角による固体表面の表面自由エネルギーの求め方)確認できなかったJIS R 3257(基板ガラス表面のぬれ性試験方法)。ISO 19403 との対応は未確認D7334(前進接触角による、塗膜・基材・顔料の表面ぬれ性の実施基準)液滴量、置いてからの時間、温度・湿度、表面の汚染、液体の種類
動的接触角(前進角・後退角)事実ISO 19403-6:2024(液滴の体積を変えて測る前進角・後退角)確認できなかった確認できなかった確認できなかった(D7334は前進接触角を対象とすると論文に記載)体積を変える速さ、針の位置、液滴の量
転落角(ロール・オフ角)事実ISO 19403-7:2024(傾斜台での動的接触角と転落角。2017年版は廃止)確認できなかった確認できなかった確認できなかった液滴の量、傾ける速さ、前進角・後退角の定義
氷付着強度事実ISO/TS 19392-6:2026(風力タービンブレード用塗装系の、遠心法による氷付着の測定。せん断試験は別の原理と注記)確認できなかった確認できなかった確認できなかった氷の種類と大きさ、遠心かせん断か、温度、着氷・除氷の繰り返し回数[10・11]
海洋の生物付着事実ISO 15181-1:2007(防汚塗料から人工海水へ殺生物剤を抽出する一般的な方法。放出速度の測定で、付着の抑制を直接測るものではない)確認できなかった確認できなかったD3623(浅い水深での防汚パネル試験)、D4939(海水中で生物付着とせん断を受ける試験)、D5618(フジツボの付着強さをせん断で測る、と論文に記載。題名は未確認)海域、季節、浸漬期間、対象生物
耐摩耗事実確認できなかった確認できなかったJIS K 5600-5-9(塗料一般試験方法-塗膜の機械的性質-耐摩耗性(摩耗輪法))D4060(有機塗膜の、Taber 摩耗試験機による耐摩耗性)摩耗輪の種類、荷重、回数。超撥水では標準化が必要と指摘[15]
促進耐候(紫外線)事実ISO 16474-3:2021(塗料。蛍光紫外線ランプ、熱、水に曝露する方法)確認できなかったJIS K 5600-7-8(塗料一般試験方法-塗膜の長期耐久性-促進耐候性(紫外線蛍光ランプ法))G154(紫外線チャンバーの促進耐候として論文に記載。題名は未確認)ランプの種類、温度、結露・水の有無、時間、屋外との対応

規格の番号と題名は、ISO は ISO の公式ページ、JIS は日本産業標準調査会(JISC)のJIS検索で確認しました。ASTM規格は、ASTMのサイトを開かず、それ以外の公開資料(査読論文の本文・参考文献欄)での番号・題名の記載を確認した範囲です。ASTMの欄は、試験の内容・条件・合否基準を書いていません。表の整理は本稿の計算です。

規格の位置づけ ― 国際規格、国内規格、業界規格

  • ISO 19403 シリーズ(塗料・ワニスのぬれ性)は国際規格で、用語(第1部)、表面自由エネルギー(第2部)、動的接触角(第6部)、転落角(第7部)が別々の規格です[参考資料25〜28]。第1部(2022年)、第2部(2024年)、第6部(2024年)、第7部(2024年)は、2017年版が廃止されて改訂された現行版です。古い資料の「ISO 19403-7:2017」は、現在は廃止された版です
  • JIS は国内規格です。ガラスのぬれ性の JIS R 3257 は確認できましたが、ISO 19403 に対応する JIS は、本稿では確認できませんでした。JIS と ISO の一致の程度は、JIS の本文を確認していないため確認できていません
  • ASTM は米国の標準化団体が発行する業界規格で、ISO・JIS とは別体系です。同じ「接触角」でも、前進角のみを扱うか、静的な角度か、動的な角度かが異なります

読むときの注意

  • 規格は「試験方法」であり、材料の性能を保証しません。ISO 19403-7 が定めるのは転落角の測り方で、「何度以下なら超撥水」という判定は規格には含まれません(定義は論文によって異なり、本稿では Deng らの「10°未満」を例に紹介しました[5])
  • 氷付着強度は、試験の方式と氷の種類で変わります。ISO/TS 19392-6 は風力タービンブレード用で、遠心法です。航空機・送電線・船舶に当てはまる共通の規格は、本稿では確認できませんでした。値は条件を併記して読みます[10・11]
  • メーカーの値は、準拠した規格・版・試験条件を併記して読みます。特に、摩耗後や紫外線曝露後の値は、摩耗輪・荷重・回数、ランプの種類・時間を確認します
  • 規格値の範囲と、実使用条件のずれに注意します。実験室の短時間の促進試験が、屋外・海中の数年の寿命とどう対応するかは、規格だけでは分かりません[15]

11. 用語集

接触角
固体の上の液滴がつくる角度。静的、前進角、後退角がある。
前進角・後退角
液が濡れ広がる側の角度/縮む側の角度。
接触角ヒステリシス
前進角と後退角の差。液滴が動くかどうかを左右する。
転落角(ロール・オフ角)
表面を傾けて、液滴が転がり落ち始める角度。
超撥水
水の接触角が150°を超え、転落角が10°未満の表面(Deng らの用法)。
Wenzel/Cassie–Baxter 状態
液が凹凸の底まで入る状態/凹凸の間に空気を保つ状態。
SLIPS
滑りやすい液体含浸多孔質表面。構造に潤滑液を閉じ込める設計。
氷付着強度
氷を表面から剥がすのに必要な単位面積あたりの力(kPa、MPa)。
アイスフォビック
氷を付きにくくする。Golovin らは氷付着強度100 kPa未満と定義。
生物付着(バイオファウリング)
水中の構造物に生物が付くこと。船体では抵抗と燃料消費を増やす。
付着しても離れる塗膜
生物の付着を防がず、付いた生物が低いせん断力で離れる塗膜(フジツボなどが離れやすい)。
PFAS/PFHxA
有機フッ素化合物の総称/炭素数6のパーフルオロカルボン酸。

12. 参考資料(一次情報)

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  2. Cassie A. B. D., Baxter S. “Wettability of porous surfaces”, Trans. Faraday Soc. 40, 546–551 (1944), DOI 10.1039/TF9444000546 — doi.org/10.1039/tf9444000546
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  23. Chen ほか “A bio-based superhydrophobic pit and fissure sealant for enhanced stability and anticaries application”, Mater. Today Bio 41, 103690 (2026), DOI 10.1016/j.mtbio.2026.103690(Cassie–Baxter の式の記載の確認に使用。オープンアクセスの本文) — doi.org/10.1016/j.mtbio.2026.103690
  24. Dong ほか “Recent Advances and Retrospective Review in Bioinspired Structures for Fog Water Collection”, Biomimetics 10, 791 (2025), DOI 10.3390/biomimetics10120791(Furmidge の式の記載の確認に使用。オープンアクセス) — doi.org/10.3390/biomimetics10120791
  25. ISO “ISO 19403-1:2022 Paints and varnishes — Wettability — Part 1: Vocabulary and general principles” — iso.org/standard/81414.html
  26. ISO “ISO 19403-2:2024 Paints and varnishes — Wettability — Part 2: Determination of the surface free energy of solid surfaces by measuring the contact angle” — iso.org/standard/87262.html
  27. ISO “ISO 19403-6:2024 Paints and varnishes — Wettability — Part 6: Measurement of dynamic advancing and receding angle by changing the volume of a drop” — iso.org/standard/87266.html
  28. ISO “ISO 19403-7:2024 Paints and varnishes — Wettability — Part 7: Measurement of the dynamic contact angles and the roll-off angle on a tilt stage” — iso.org/standard/87267.html
  29. ISO “ISO/TS 19392-6:2026 Paints and varnishes — Coating systems for wind-turbine rotor blades — Part 6: Determination and evaluation of ice adhesion using centrifuge” — iso.org/standard/89845.html
  30. ISO “ISO 16474-3:2021 Paints and varnishes — Methods of exposure to laboratory light sources — Part 3: Fluorescent UV lamps” — iso.org/standard/76034.html
  31. ISO “ISO 15181-1:2007 Paints and varnishes — Determination of release rate of biocides from antifouling paints — Part 1: General method for extraction of biocides” — iso.org/standard/42867.html
  32. 日本産業標準調査会(JISC) JIS検索「JIS R 3257 基板ガラス表面のぬれ性試験方法」 — jisc.go.jp(R3257)
  33. 日本産業標準調査会(JISC) JIS検索「JIS K 5600-5-9 塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第9節:耐摩耗性(摩耗輪法)」 — jisc.go.jp(K5600-5)
  34. 日本産業標準調査会(JISC) JIS検索「JIS K 5600-7-8 塗料一般試験方法-第7部:塗膜の長期耐久性-第8節:促進耐候性(紫外線蛍光ランプ法)」 — jisc.go.jp(K5600-7)
  35. ASTM規格の番号・題名の確認に使った公開資料(ASTMのサイトは参照していない): D7334 は Pine ほか, Heliyon 7, e06234 (2021), DOI 10.1016/j.heliyon.2021.e06234/D4060 は Sun ほか, Polymers 15, 127 (2022), DOI 10.3390/polym15010127/D3623 は Santos ほか, Sensors 22, 7074 (2022), DOI 10.3390/s22187074/D4939 は Park ほか, Sci. Rep. 13, 9276 (2023), DOI 10.1038/s41598-023-36549-8/D5618 は Chungprempree ほか, Polymers 13, 2242 (2021), DOI 10.3390/polym13142242/G154 は Rizzo-Sierra ほか, Polymers 17, 2849 (2025), DOI 10.3390/polym17212849 — doi.org/10.1016/j.heliyon.2021.e06234(ほか)

13. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
粗さが見かけの接触角と接触角ヒステリシスに大きく影響し、超撥水・超撥油・界面の滑りを生むことQuéré(2008)の要旨
出典1 https://doi.org/10.1146/annurev.matsci.38.060407.132434
事実
多孔質な表面のぬれ性(Cassie–Baxter)の原典Cassie と Baxter(1944)
出典2 https://doi.org/10.1039/tf9444000546
事実
液滴の滑りの式(Furmidge)の原典、k の指摘Furmidge(1962)
出典3 https://doi.org/10.1016/0095-8522(62)90011-9
Stern ら(2025)
出典4 https://doi.org/10.1021/acs.langmuir.5c01302
事実
超撥水の基準(接触角150°超、転落角10°未満)、超両撥コーティング、砂の衝突後も超両撥性を保ったことDeng ら(2012)の要旨
出典5 https://doi.org/10.1126/science.1207115
事実
SLIPS の考え方、接触角ヒステリシス2.5°未満、0.1〜1秒の回復、約680気圧、ロータス型表面の課題Wong ら(2011)の要旨
出典6 https://www.nature.com/articles/nature10447
事実
超撥水表面は条件によって防氷に有利にも不利にもなること、あらゆる環境で氷をはじく表面はまだないことKreder ら(2016)の要旨
出典7 https://www.nature.com/articles/natrevmats20153
事実
氷付着強度と後退角(1+cosθrec)の相関、塗膜21種、最大4.2倍の低減、さらに下げるにはテクスチャーが必要Meuler ら(2010)の要旨
出典8 https://doi.org/10.1021/am1006035
事実
アイスフォビックの定義(100 kPa未満)、受動的な除去に必要な20 kPa未満、架橋密度と界面滑りによる0.2 kPa未満、摩耗・酸塩基・100回の着氷除氷・熱サイクル・促進腐食・ミシガンの冬のあとの10 kPa未満、SLIPS 系で数回後に約10倍、潤滑液が持ち去られる指摘、超撥水が結露・霜で効果を保てない指摘Golovin ら(2016)
出典9 https://doi.org/10.1126/sciadv.1501496
事実
氷付着強度が比較・転用できないこと、測定方式、水平せん断試験の提案Rønneberg ら(2020)の要旨
出典10 https://doi.org/10.1080/01694243.2019.1679523
事実
氷の種類ごとの氷付着強度(降水氷0.78、雲中氷0.53、バルク水氷0.28 MPa、アルミニウム基材・遠心法)Rønneberg ら(2019)の要旨
出典11 https://doi.org/10.1063/1.5086242
事実
生物付着の負担(動力の増加最大86%、珪藻スライム10〜16%)、殺生物剤が主、非殺生物型、付着しても離れる塗膜(PDMS、約22 mN/m、(γE)^1/2、課題、15ノット超)Callow と Callow(2011)
出典12 https://www.nature.com/articles/ncomms1251
事実
AFS 条約(2001年採択、2008年9月17日発効、有機スズ、シブトリンの改正と2023年1月1日、60か月)IMO の公式ページ
出典13 https://www.imo.org/en/about/Conventions/Pages/International-Convention-on-the-Control-of-Harmful-Anti-fouling-Systems-on-Ships-(AFS).aspx
事実
超撥水の摩耗による劣化、階層的な粗さ、接触による汚染、光触媒などの提案、表面の脆さVerho ら(2011)の要旨
出典14 https://doi.org/10.1002/adma.201003129
事実
標準化された摩耗・耐久性試験が必要という指摘Tian ら(2016)の要旨
出典15 https://doi.org/10.1126/science.aaf2073
事実
撥水剤の4つの化学(側鎖フッ素化ポリマー、シリコーン、炭化水素、その他)、非フッ素は撥油性に欠けること、拡散的な放出、ハザードの順位づけと、用途ごとの選択の推奨Holmquist ら(2016)の要旨
出典16 https://doi.org/10.1016/j.envint.2016.02.035
事実
PFHxA の制限(附属書 XVII 項目79):対象物質、濃度(25 ppb/1,000 ppb)、2026年10月10日・2027年10月10日・2026年4月10日・2029年10月10日の日付、適用除外、前文の記述、規則の日付(2024年9月19日)と20日目の発効Commission Regulation (EU) 2024/2462
出典17 https://publications.europa.eu/resource/celex/32024R2462
事実
PFAS 全体の制限案の経過(2023年1月13日の提出、2026年3月2日・10日の RAC・SEAC、3月26日の公表、5月25日までの意見募集、2026年末までの SEAC 最終意見の見込み、その後の手続き)ECHA
出典18 https://echa.europa.eu/-/echa-supports-pfas-restriction-with-targeted-derogations
出典19 https://echa.europa.eu/hot-topics/perfluoroalkyl-chemicals-pfas
事実/未確定/将来
PFHxA の制限の状況が「欧州委員会が決定済み」、採択された制限が規則2024/2462であることECHA の制限意図の登録簿
出典20 https://echa.europa.eu/registry-of-restriction-intentions/-/dislist/details/0b0236e18323a25d
事実
日本の化審法:PFOA・塩(2021年4月16日閣議決定、2021年10月22日施行、撥水剤等13種の輸入禁止)、分枝異性体・関連物質(2024年7月5日閣議決定、施行予定日2024年9月10日・2025年1月10日)環境省の発表
出典21 https://www.env.go.jp/press/109478.html
出典22 https://www.env.go.jp/press/press_03409.html
事実
Cassie–Baxter の式、Furmidge の式の表記公開論文の記載
出典23 https://doi.org/10.1016/j.mtbio.2026.103690
出典24 https://doi.org/10.3390/biomimetics10120791
事実
ISO 19403-1:2022、19403-2:2024、19403-6:2024、19403-7:2024、ISO/TS 19392-6:2026、ISO 16474-3:2021、ISO 15181-1:2007 の番号・題名・版・適用範囲ISO の公式ページ
出典25 https://www.iso.org/standard/81414.html
出典26 https://www.iso.org/standard/87262.html
出典27 https://www.iso.org/standard/87266.html
出典28 https://www.iso.org/standard/87267.html
出典29 https://www.iso.org/standard/89845.html
出典30 https://www.iso.org/standard/76034.html
出典31 https://www.iso.org/standard/42867.html
事実
JIS R 3257、K 5600-5-9、K 5600-7-8 の番号・題名日本産業標準調査会(JISC)のJIS検索
出典32 https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=R3257
出典33 https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=K5600-5
出典34 https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=K5600-7
事実
ASTM D7334、D4060、D3623、D4939、D5618、G154 の番号と記載された内容(ASTMのサイトは参照せず、査読論文の本文・参考文献欄の記載で確認)査読論文(オープンアクセス)の記載
出典35 https://doi.org/10.1016/j.heliyon.2021.e06234(ほか、参考資料の末尾に列挙)
事実
固体面積率と見かけの接触角(θ=110° で f=0.05〜0.5 に対し約165.3〜132.1°)、後退角と転落角(10 μL、前進角155°、k=1で、約1.9・4.2・16.0°)、氷の自重ρgh(約9・90・900 Pa)と付着強度から必要な力、25 ppb=0.025 mg/kg、1,000 ppb=1 mg/kg本稿の計算。Cassie–Baxter 状態の仮定、球欠形・k=1 の近似、一様な氷の板の単純化による例示で、実測値ではない本稿の計算
Wong・Kreder・Quéré・Furmidge の論文本文の条件、市販製品のデータ、米国などのPFAS規制、EU の PFAS 制限案の個別内容、日本の実際の施行を示す官報、耐摩耗の ISO 規格、氷付着強度・転落角・動的接触角の JIS と ASTM、IEC・IEEE の該当規格本稿の調査範囲でアクセスできた一次情報では確認できなかったため記載していない解説
「静的な値を初期値、動的な値と擦れ後の値を実用の値」「潤滑液は消耗する部品」「防氷は付着強度と寿命で選ぶ」「撥水は防汚とは別の設計軸」「初期の接触角と擦った後の動的な角度」「規制は構造で決まり代替は機能で評価される」という読み取り、図2・図5・図7の整理公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない解説
図2・図3・図4・図5・図7が実際の観察像・実データではなく説明のための作図であること。図1と図6がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月10日/出典は一次情報(査読論文、EU官報の規則、ECHA・IMO・環境省・規格団体のページ)に限定しています。多くの論文は要旨の範囲で確認しており、本文の試験条件を確認していないものがあります。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 米国などのPFAS規制、EU の PFAS 制限案の個別内容、日本の実際の施行を示す官報、氷付着強度の JIS・ASTM については、確認できなかったため記載していません。 接触角・氷付着強度・耐久性の数値は、基材・膜厚・試験法が論文ごとに違う研究室の結果であり、量産品や実際の使用環境に一般化できません。 図はすべて説明用の概念図です。図2〜図5・図7はベクター作図、図1と図6はAI生成イメージであり、いずれも実際の顕微鏡像・実験データ・製品の実物を示すものではありません。