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圧電材料と無鉛化 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

圧電材料と無鉛化
― 「鉛をやめる」と「性能を保つ」のあいだで、数字の条件を読む

圧電材料は、力を加えると電圧が出て、電圧をかけると形が変わる材料です。超音波素子、センサー、アクチュエータ、MEMS に使われ、長く鉛を含む PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)が主役でした。 この記事では、圧電性能の指標(d33、g33、キュリー温度)の読み方、無鉛材料(KNN、BNT、BaTiO₃ 系、PVDF、AlN/ScAlN)の位置づけ、EU の RoHS 指令が鉛を含む圧電セラミックスをどう扱っているか、そして測定条件を揃えずに数字を並べたときの落とし穴を、一次情報の範囲で整理します。

構成:査読論文(Nature、Nature Materials、Physical Review Letters、J. Am. Ceram. Soc.、J. Eur. Ceram. Soc.、RSC Advances、Microsystems & Nanoengineering ほか)、メーカー資料(PI Ceramic、Measurement Specialties)、欧州連合官報の委任指令 (EU) 2025/2363、USGS、IEC・JIS・IEEE の公式ページを使用/確認日 2026年10月10日

セラミックの両面の電極から、力を加えたときの電気応答を測ります
図1 概念画像(ImageGenで生成)。セラミックの両面の電極から、力を加えたときの電気応答を測ります。変形は説明用で、肉眼で大きく縮む材料とは限りません。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。
この記事の構成
  1. 圧電材料とは何か(3行でつかむ)
  2. 仕組み ― 分極、ペロブスカイト、組成相境界
  3. 指標を正しく読む ― d33、d31、g33、結合係数、Qm、キュリー温度
  4. 材料の家族 ― PZT、単結晶、KNN、BNT、BaTiO₃ 系、PVDF、AlN/ScAlN
  5. 測定条件で数字は別物になる
  6. 無鉛化の規制 ― RoHS 指令の適用除外
  7. 本稿の計算:d33×g33、動作温度の目安、鉛とニオブ
  8. 応用と、無鉛化の現在地
  9. 限界と、確認できなかったこと
  10. 評価・標準の読み方
  11. 用語集
  12. 参考資料(一次情報)
  13. 主張と出典の対応表(監査)
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・予定であり、実績が確認できていない事項
このほか、材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。推測は太字で示します。

この記事の数値の読み方

ここに出てくる d33、キュリー温度などの数値は、引用元ごとに、材料の形態(焼結体・単結晶・薄膜・フィルム)、測定法、温度が異なります。メーカー公称値は量産品の保証値ではなく、各社の定めた条件での代表値です。研究室のチャンピオンデータを量産品の性能として読まないでください。 材料や企業の優劣は論じません。医療機器・安全に関する個別の助言も書きません。

1. 圧電材料とは何か(3行でつかむ)

  • 圧電は「力と電気の変換」:力を加えると電荷が出る(正圧電効果)、電圧をかけると形が変わる(逆圧電効果)。この変換の大きさを表す代表の数字が d33 などの圧電定数です
  • PZT が主流だった理由と、その弱点:PZT は d33 が大きく、組成で性質を調整できます。一方、鉛を重量で 60% 超含みます事実[参考資料1]。EU の RoHS 指令は鉛を厳しく制限しますが、PZT 圧電セラミックスは適用除外の対象です事実[参考資料14]
  • 無鉛化は「同じ数字を出す材料を探す」だけでは済みません:d33 の大きい組成はキュリー温度が低い傾向があり、焼結や信頼性の課題も別に出ます。無鉛材料は「特定の用途では使える段階」で、PZT を広く置き換える段階ではない、というのが複数の総説の評価です事実[参考資料2・3・4]
この記事でいちばん大事な一行

d33 の数字は、材料の形態(焼結体・単結晶・薄膜・ポリマー)、測り方(準静的・共振・大きな電場)、ポーリングの条件で別物になります。 無鉛材料の d33 を PZT と並べるときは、キュリー温度(または脱分極温度)と測定条件を同時に見る必要があります。

2. 仕組み ― 分極、ペロブスカイト、組成相境界

圧電材料は、結晶の中でプラスとマイナスの電荷の中心がずれて、分極している材料です。力で結晶が変形すると分極が変わって表面に電荷が出ます(正圧電効果)。逆に電圧をかけると結晶が変形します(逆圧電効果)。 PZT、BaTiO₃、KNN、BNT などは、ABO₃ 型のペロブスカイト構造を持ち、B サイトのイオンが中心から少しずれることで分極が生じる、と説明されます(一般的な説明で、本記事の解説です)。

圧電のしくみ(左)と組成相境界(右)の概念図 ペロブスカイト型の単位格子(酸素は省略) 自発分極 P 中心の B イオンが少しずれると、分極が生まれる 力で形が変わると電荷が出る(正圧電効果) 電圧をかけると形が変わる(逆圧電効果) 組成相境界(MPB) 温度 組成 キュリー温度 Tc 立方晶(常誘電) 正方晶 T 菱面体晶 R MPB ※ 相図の形と組成は説明用の概念図で、特定の材料の実測ではありません。 ※ MPB の近くでは分極の向き(正方晶の〈001〉と菱面体晶の〈111〉)が回りやすく、d33 や誘電率が大きくなる、という説明は Liu と Ren[参考資料7]によ ります。
図2 概念図(ベクター作図)。圧電のしくみ(左)と、組成相境界の考え方(右)を示した説明用の図です。相図の形と組成は説明用で、特定の材料の実測値ではありません。MPB の説明は Liu と Ren[参考資料7]によります。

焼結したセラミックスは、結晶粒ごとの分極の向きがそろっていないため、そのままでは圧電性が小さく、高い電場をかけて分極の向きをそろえるポーリングという処理をします(解説)。PI Ceramic のデータは、ポーリングの24〜48時間後、23 ℃で測ったものとされています事実[参考資料8]。ポーリングの条件で測定値が変わることは、後の章で見ます。

高い d33 の説明に使われるのが組成相境界(MPB)です。Liu と Ren は、Ba(Ti₀.₈Zr₀.₂)O₃–(Ba₀.₇Ca₀.₃)TiO₃(BZT–BCT)の相図で、MPB が立方晶・菱面体晶・正方晶の三重点から始まり、MPB の組成では分極の向きが正方晶の〈001〉と菱面体晶の〈111〉の間で回りやすいので d33 が大きい、と説明しています事実[参考資料7]。PZT や PMN–PT も同じような三重点を持つとされます[参考資料7]。

3. 指標を正しく読む ― d33、d31、g33、結合係数、Qm、キュリー温度

指標意味読むときの注意
d33(pC/N、10⁻¹² C/N)力と同じ向きに加えた力あたりの発生電荷。Saito らは「同じ向きに加えた単位の力あたりの誘起電荷」と定義[参考資料1]。同じ値を逆圧電では、電場あたりのひずみ(m/V、pm/V)としても表せる(解説)ポーリング条件、測定法、温度、試料形態で変わる。BZT–BCT では、ポーリング条件によって 560〜620 pC/N と幅がある[参考資料7]
d31力に直角の方向の係数。板状の素子の曲げや横振動に関わる符号は軸の取り方と素材で異なる。PZT は d33 が正・d31 が負と資料に記載[参考資料8]、PVDF フィルムは d31 が正・d33 が負と記載[参考資料9]。比べるときは絶対値と軸を確認する
g33(10⁻³ V·m/N)加えた応力あたりに生じる電界。電圧出力の感度を表す。g は d を誘電率で割った関係にある(定義にもとづく解説)d33 が大きくても誘電率が大きければ g は大きくならない。高誘電率の PIC153 は d33 が 600 pC/N と大きいが、g33 は 16.4 で、PIC255 の 25 より小さい[参考資料8]
kp・kt・k31・k33(結合係数)電気エネルギーと機械エネルギーの変換効率を表す無次元の係数振動モード(円板の広がり、厚み、棒の長さ方向など)ごとに別の値。PIC255 は kp 0.62、k33 0.69、BNT 系 PIC700 は kp 0.14、k33 0.43[参考資料8]
Qm(機械的品質係数)共振時の機械的な損失の小ささを表す。大きいほど損失が小さい硬質 PZT の PIC181 は 2,000、軟質の PIC255 は 80[参考資料8]。大きな電圧・電流をかける高出力用には、Qm の大きい硬質が使われる(PI Ceramic の記載[参考資料22])
比誘電率・tanδコンデンサとしての性質。tanδ は誘電損失PIC255 は εT33/ε0 が 1,800、tanδ が 20×10⁻³、PIC181 は 1,200 と 3×10⁻³[参考資料8]。低周波の小信号の値で、周波数と電場で変わる(解説)
キュリー温度 Tc/脱分極温度 TdTc は強誘電性が失われる温度。BNT 系では、メーカー資料が Tc ではなく脱分極温度を記載している(一般に、脱分極温度は Tc より低く、圧電性が落ち始める温度の目安として使われる:解説)PI Ceramic の資料では PIC700 の「190 ℃」は脱分極温度の値[参考資料8]。同じ表の「Tc」と並べて読まない。メーカーの推奨動作温度は Tc の 50% まで[参考資料8]
e31,f(C/m²)基板に固定された薄膜に使う、横方向の圧電応力定数薄膜は基板に拘束され、バルクの d31 とは別の指標になる。総説は e31,f が d31 と弾性コンプライアンスから決まる式を示している[参考資料11]

すべて事実(PI Ceramic[参考資料8]、Measurement Specialties[参考資料9]、Saito ら[参考資料1]、Liu と Ren[参考資料7]、Jung ら[参考資料11])。「解説」と注記した部分は一般的な定義にもとづく本記事の説明です。

4. 材料の家族 ― PZT、単結晶、KNN、BNT、BaTiO₃ 系、PVDF、AlN/ScAlN

次の表は、材料群ごとに、一次情報で確認できた代表的な値とその条件を並べたものです。試料の形態も、測り方も、出どころも違うので、表の中で優劣をつける目的の表ではありません。

材料群試料形態確認できた値と条件出典
軟質 PZT
(PIC151・PIC255・PIC153 など)
焼結体(メーカー公称)PIC255:Tc 350 ℃、d33 400 pC/N、εT33/ε0 1,800。PIC151:Tc 250 ℃、d33 500、εT33/ε0 2,500。PIC153:Tc 160 ℃、d33 600、εT33/ε0 4,500。軟質5種の範囲は d33 240〜600 pC/N、Tc 160〜350 ℃。23 ℃、EN 50324-2 の形状の試験片、ポーリング後24〜48時間[8]
硬質 PZT
(PIC181 など)
焼結体(メーカー公称)PIC181:Tc 330 ℃、d33 265 pC/N、εT33/ε0 1,200、tanδ 3×10⁻³、Qm 2,000。硬質5種の範囲は d33 190〜300 pC/N、Tc 270〜370 ℃。条件は上と同じ[8]
PZT 系の薄膜基板上の薄膜|e31,f| は PZT 系で約 12.2〜15.3 C/m²。結晶化に 500〜700 ℃が必要(総説の記述)[11]
単結晶の PMN–PT・PZN–PT単結晶(〈001〉配向の菱面体晶)d33 が 2,500 pC/N を超え、k33 が 90% 超、誘電損失 1% 未満と報告(1997年)[5]
Sm 添加 PMN–PTセラミックd33 は最大 1,500 pC/N、ε33/ε0 は 13,000 超、Tc は 89 ℃[6]
KNN 系織構化セラミック(論文)、焼結体(メーカー)Saito ら(2004年):d33 が 300 pC/N 超、織構化で最大 416 pC/N。PI Ceramic の PIC753:Tc 300 ℃、d33 241 pC/N、kp 0.53、Qm 200(予備データ)。PIC758 は開発中で仕様なしと注記[1][8]
BNT 系焼結体(メーカー)PIC700:脱分極温度 190 ℃、d33 100 pC/N、kp 0.14、tanδ 30×10⁻³(予備データ)[8]
BZT–BCTセラミックd33 は 560〜620 pC/N(ポーリング条件で幅、20 ℃、Berlincourt 型 d33 メーター)、Tc 93 ℃、比誘電率約 3,060。焼結は 1,450〜1,500 ℃(空気中)[7]
PVDF・共重合体フィルム延伸した高分子フィルムPVDF:d31 23、d33 −33 pC/N、εr 12〜13、g31 216×10⁻³ V·m/N。共重合体:d31 11、d33 −38。100 ℃を超える使用・保管を PVDF では推奨せず、共重合体は最大 135 ℃(1999年版メーカー資料)[9]
AlN・ScAlN 薄膜スパッタ薄膜|e31,f| は AlN が約 1.1、ScAlN が約 3.2 C/m²(Sc 比 x≈0.41 で、強誘電状態の値)。成膜は 400 ℃未満で、CMOS 工程と両立(総説の記述)[11]

すべて事実。メーカー公称値は焼結体の代表値で、予備データを含みます。「Sc 比 x≈0.41」の値は、総説の表の注記にもとづきます[参考資料11]。

d33 と Tc(または脱分極温度)の関係 ― 条件の異なる値を並べた参考図 横軸は温度(℃)、縦軸は d33(pC/N、対数目盛)。値の出どころと試料形態が違うため、優劣の図ではありません。 100 200 500 1,000 2,000 0 100 200 300 400 キュリー温度 Tc(℃)。PIC700 だけは脱分極温度 d33(pC/N) 鉛を含む 無鉛 メーカー公称(焼結体) 論文値(セラミック) Sm 添加 PMN-PT BZT-50BCT 軟質PZT PIC153 軟質PZT PIC151 軟質PZT PIC255 硬質PZT PIC181 硬質PZT PIC300 KNN系 PIC753 BNT系 PIC700 ※ ■はメーカー公称(PI Ceramic、2024年8月版。23 ℃、EN 50324-2 の形状の試験片)、●は論文値[参考資料6・7]。PIC753・PIC700 は予備データ(メー カー資料の注記)で、白抜きの■で示します。 ※ BZT-50BCT は報告された 560〜620 pC/N の上端、20 ℃、Berlincourt 型 d33 メーター[参考資料7]。Sm 添加 PMN-PT は Tc 89 ℃、d33 は最大 1,500 pC/N[参考資料6]。 ※ メーカー値と論文値は、測定法も試料の作り方も別です。単結晶(d33 が 2,500 pC/N を超える報告)とポリマーは、温度と試料形態が違うため、この図には載 せていません。
図3 概念図(ベクター作図)。d33 とキュリー温度の関係を、引用した値で並べた参考図です。値はメーカー公称[参考資料8]と論文[参考資料6・7]のもので、測定法・試料の作り方・条件が違うため、材料の優劣を示す図ではありません。

PI Ceramic は、BNT 系と KNN 系の無鉛材料について、「技術の成熟度はさまざまで、個別の用途開発向けに供給している」と説明し、共振を使う用途で鉛を含む材料の代替になりうるとしています。同時に、無鉛材料は PZT とは使い方で挙動が異なるため、用途ごとにパラメータと寸法を調整し、長期安定性を再試験する必要があるとしています事実[参考資料22]。同社の材料データの無鉛欄にも、「信頼性は各用途で再評価が必要」と注記があります[参考資料8]。

総説の評価も一致しています。Rödel らは 2009 年に「特定の狭い用途では適しているが、広く PZT を置き換えるには至っていない」[参考資料2]、2015 年に「いくつかの用途では移行の見通しが出てきたが、高い信頼性、大きな変位、高い周波数、広い温度範囲を求める厳しい用途は遠い」と述べています[参考資料3]。Hong らは 2016 年の総説で、一部の用途で製品が出ている一方、PZT と同等以上の性能を持つ無鉛セラミックスという目標は達成されていない、としています[参考資料4]。

素材技術者の視点①:d33 が大きい組成は、Tc が低く、温度で性能が動く

図3で、d33 の大きな点(Sm 添加 PMN–PT の 1,500 pC/N、BZT–BCT の 620 pC/N)は、どちらも Tc が 90 ℃前後と低い側にあります事実[参考資料6・7]。一方、Tc が 350 ℃の PIC255 は d33 が 400 pC/N です[参考資料8]。ただし Liu と Ren は、BZT–BCT の高い d33 は低い Tc だけでは説明できない(Tc が同程度の既存の無鉛材料は d33 がずっと小さい)と指摘しています[参考資料7]。

KNN 系でも、斜方晶から正方晶への多形相転移の温度を室温付近へ下げると室温の特性は上がりますが、通常は Tc の低下を伴います事実[参考資料10]。さらに、Liu と Ren は BZT–BCT の d33 が MPB を横切る温度で最大になると報告し[参考資料7]、Dwivedi らは KNN–BZT の相共存が温度に強く依存し、PZT の古典的な MPB とは違うと述べています[参考資料10]。 素材から見ると、無鉛材料の d33 は「室温の最大値」だけで選ぶと、使う温度で性能が動くことになります。表にある室温の値に加えて、使う温度範囲の d33 の変化を確認する、という読み方が必要です(本記事による解説)。

素材技術者の視点②:無鉛化は、焼結と汚染管理の問題でもある

KNN は、アルカリ元素(K、Na)の揮発性が高く、通常の焼結で緻密で電気特性のよい焼結体を得るのが難しい、と総説は述べています事実[参考資料10]。BZT–BCT は、仮焼 1,350 ℃、焼結 1,450〜1,500 ℃で作られています[参考資料7]。 薄膜では、PZT の鉛が CMOS 工程の汚染源になる一方、KNN も 600 ℃以上の結晶化が必要で、動きやすい K⁺・Na⁺ が汚染リスクになる、と別の総説は述べています事実[参考資料11]。 つまり無鉛化は、組成を変えるだけでなく、粉末、焼成雰囲気、電極、成膜装置、ライン管理を含めた工程の置き換えになります(本記事による解説)。

5. 測定条件で数字は別物になる

同じ「d33」でも、準静的法、共振法、大きな電場でのひずみ、薄膜の測定では、見ている量も条件も違います。次の図は、本記事で出てきた測定の違いを整理したものです。

d33 などの数字は「どの測り方で、どの試料か」で別物になる 準静的法(直接効果) 測るもの d33(力を加えて出る電荷) 条件 小さな交番力。NPL の指針は数百 Hz の準静的な測定と説明。力と周波数は 機器ごとに違う[23] 試料 ポーリング済みの焼結体。Liu と Ren は Berlincourt 型 d33 メータ ーを使用[7] 注意 同じ組成でもポーリング条件で値が動 く(BZT-BCT で 560〜620 pC/N)[ 7] 共振法(小信号) 測るもの kp・kt・k31・k33、d31、g、弾性率 、Qm、比誘電率、tanδ 条件 小さな電圧で、共振・反共振の周波数 付近 試料 規格の寸法の円板・棒(EN 50324-2 )。メーカー値は低出力の測定[8] 注意 PI Ceramic の値は「ポーリング後24 〜48時間、23 ℃」の条件[8] 大きな電場のひずみ 測るもの 逆圧電の dS/dE、電界誘起ひずみ 条件 大きな電場(値は原論文で確認) 試料 焼結体、単結晶、薄膜など 注意 BZT-50BCT の dS/dE は 1,140 pm/V、PZT は 360〜900 pm/V と報 告[7] 薄膜(基板に固定) 測るもの e31,f(C/m²)、または d33 条件 IEC 62047-30・JIS C 5630-30 が 測定法と報告様式を規定[15・16] 試料 基板上の薄膜。基板に拘束されるので 、バルクの d31 とは別の指標を使う [11] 注意 PZT 系 12.2〜15.3、AlN 約1.1、 ScAlN 約3.2 C/m²(Sc 比 x≈0.41 )[11] ※ 一覧は本記事による整理で、各測定法の規格本文の条件を書いたものではありません。値は引用元の条件のもので、互いに比べるためのものではありません。 ※ 大きな電場のひずみ曲線から読む有効な係数が、小信号の d33 と一致する保証はありません(解説)。
図4 概念図(ベクター作図)。本記事で出てきた測定の違いを整理した説明用の図です。値は引用元の条件のもので、規格本文の試験条件を書いたものではありません。

Damjanovic の総説(Rep. Prog. Phys. 1998)は、強誘電体セラミックスと薄膜の誘電・圧電特性に、分極反転やドメイン壁の変位が寄与することを論じています事実[参考資料21]。ドメイン壁の動きは電場や周波数で変わりうるので、小信号で測った係数と、大きな電場で使うときの有効な値は同じとは限りません(本記事による解説)。

準静的法(d33 メーター)について、英国の National Physical Laboratory(NPL)の指針(2001年)は、数百 Hz の準静的な測定で、小さな交番力をかけて出る電荷を力の振幅で割るものと説明し、予荷重、交流荷重の大きさ、試料の厚み、測定周波数、校正、温度、水分と気流が結果に影響するので確認するよう勧めています事実[参考資料23]。同じ指針は、共振法は最も信頼できる方法だが、純粋な基本共振モードになる形の試料が必要だと述べています。この指針の時点では、準静的法の規格はありませんでした。

読み違えの典型

  • 形態の違い:単結晶(d33 が 2,500 pC/N 超[参考資料5])、セラミック、薄膜(e31,f で語る[参考資料11])、ポリマー(d33 が −33 pC/N[参考資料9])は、同じ表に並べても比べられません
  • Tc と Td:メーカー資料の BNT 系の「190 ℃」は脱分極温度です[参考資料8]。Tc の列にある数字と同じ意味で読まないでください
  • 予備データ:PIC753・PIC700 は予備データで、変更されうると注記されています[参考資料8]。研究室や試作段階の値を、量産品の性能として書かないでください
  • 比較の相手:Liu と Ren が「PZT と同程度」と述べたときの PZT は、超軟質の PZT-5H(d33 約 590 pC/N)です[参考資料7]。PZT 一般ではありません。「PZT 並み」と書かれているときは、どの PZT かを確認します

6. 無鉛化の規制 ― RoHS 指令の適用除外

EU の RoHS 指令(Directive 2011/65/EU)は、電気電子機器に含まれる特定の有害物質を制限します。鉛の上限は均質材料中の重量で 0.1% です事実[参考資料14]。PZT は鉛を重量で 60% 超含むので[参考資料1]、この上限を大きく超えます(次の章で計算)。したがって、PZT 圧電セラミックスを電気電子機器に使えるかどうかは、附属書 III の適用除外にかかっています。

RoHS 指令の鉛の適用除外(セラミック)の流れ ― 等間隔に並べた経過 2018年2月27日 確定 委任指令 (EU) 2018/736:ガラス・セラミック中の鉛を 7(c)-I で適用除外。期限は区分ごとに2021年7 月21日・2023年7月21日・2024年7月21日 上記の期限 確定 更新申請があったため、委員会が決定するまで既存の適用除外は有効(指令2011/65/EU 第5条5項、 2025/2363 の前文(6)) 2025年9月8日 確定 委任指令 (EU) 2025/2363 を採択。7(c)-I を更新し、7(c)-II を更新、7(c)-V(ガラス)と 7(c)-VI (セラミック)を新設 2025年11月21日 確定 官報(OJ L series)に掲載。施行は掲載の20日後(本稿の計算で2025年12月11日) 2026年7月1日 確定 加盟国が国内法の整備を2026年6月30日までに行い、2026年7月1日から適用する義務(同指令 第2条) 2027年6月30日 将来 7(c)-I(セラミック中の鉛、例:圧電デバイス)の期限。全区分 2027年12月31日 将来 7(c)-II(高圧コンデンサの誘電体)、7(c)-V(ガラス)、7(c)-VI(PZT 圧電セラミックス、PTC セラ ミックス)の期限 ※ 出典は欧州連合官報の委任指令 (EU) 2025/2363[参考資料14]。確認日は2026年10月10日。更新申請の有無と、期限以後の扱いは確認できませんでした。 ※ 時間軸は等間隔に並べた図で、実際の間隔とは異なります。「確定」は条文に書かれた日付、「将来」は未到来の期限です。
図5 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。RoHS 指令のセラミック中の鉛の適用除外の流れを、委任指令 (EU) 2025/2363[参考資料14]の文言にもとづいて等間隔に並べた図です。施行日(2025年12月11日)は本稿の計算です。

2025年9月8日に採択された委任指令 (EU) 2025/2363 は、ガラス・セラミック中の鉛の適用除外を次のように改めました事実[参考資料14]。

附属書 III の項目対象(条文の要旨)期限
7(c)-Iコンデンサの誘電体セラミックスを除く、ガラスまたはセラミック中に鉛を含む電気電子部品(例:圧電デバイス)、またはガラス・セラミックのマトリックス化合物。全区分2027年6月30日
7(c)-VI(新設)セラミック中の鉛で、(1) 圧電の PZT セラミックスに使う、(2) 正の温度係数(PTC)を持つセラミックスにする、のいずれかの機能。全区分(7(c)-II・III・IV の用途と附属書 IV の14番の用途を除く)2027年12月31日
7(c)-II定格電圧 125 V AC または 250 V DC 以上のコンデンサの誘電体セラミックス中の鉛2027年12月31日

すべて事実(委任指令 (EU) 2025/2363 の附属書[参考資料14])。7(c)-V(ガラス中の鉛の用途)は省略しています。

同指令の前文は、評価の結論を次のように述べています事実[参考資料14]。セラミック中の鉛は、広い温度・電圧・周波数の範囲で、誘電・圧電・焦電・強誘電などの性質を与える。鉛を含むセラミックスとガラスの代替品は、すべての用途で技術的に可能とはいえない、または特定の用途で信頼性が十分に確保されない。7(c)-I は短期の更新とし、期限を全区分で一つにそろえた。

「採択」「施行」「適用」を分けて読む

委任指令 (EU) 2025/2363 は、2025年9月8日に採択され、2025年11月21日に官報に掲載されています。施行は掲載の20日後(条文の規定)で、本稿の計算では2025年12月11日です。加盟国は2026年6月30日までに国内法を整備し、2026年7月1日から適用する義務があります(確認日 2026年10月10日の時点で、この日付は過ぎています)。各国の国内法の整備状況は確認していません。 7(c)-I(2027年6月30日)と 7(c)-VI・7(c)-II(2027年12月31日)の期限は将来の日付未確定/将来で、更新申請の有無とその後の扱いは確認できませんでした。RoHS 指令の対象は電気電子機器で、他の法令(REACH など)や EU 以外の規制は、この記事の範囲外です。

7. 本稿の計算:d33×g33、動作温度の目安、鉛とニオブ

(1) d33 と g33 の積 ― 「d33 が大きい」と「電圧出力が大きい」は別

本稿の計算

メーカー資料の d33 と g33 を掛けます本稿の計算。単位は 10⁻¹² C/N × 10⁻³ V·m/N = 10⁻¹⁵ m²/N で、10⁻¹² m²/N に直して示します。

  • 軟質 PZT:PIC151 は 500 × 21.5 = 10,750 → 10.8、PIC255 は 400 × 25 = 10,000 → 10.0、PIC153 は 600 × 16.4 = 9,840 → 9.8[参考資料8]
  • 硬質 PZT:PIC181 は 265 × 23 = 6,095 → 6.1[参考資料8]
  • 無鉛(予備データ):KNN 系 PIC753 は 241 × 20.0 = 4,820 → 4.8、BNT 系 PIC700 は 100 × 16 = 1,600 → 1.6[参考資料8]
  • PVDF フィルム:33 × 330 = 10,890 → 10.9(d33 −33 pC/N、g33 −330×10⁻³ V·m/N の絶対値、1999年版のメーカー資料[参考資料9])

前提と限界:静的・小信号の素材定数の積で、結合係数、機械インピーダンス、使う周波数、素子の形、負荷を含みません。PZT と KNN・BNT はメーカー資料(2024年8月版)、PVDF は別のメーカーの1999年版で、版も条件も違います。出力や感度の優劣を示す値ではありません。 それでも、軟質 PZT の中で d33 が最大の PIC153(600 pC/N)が、積では PIC151・PIC255 より小さいことは確認できます。g が d を誘電率で割った量であることから、積は d の2乗を誘電率で割った量に比例し、高誘電率の材料は d33 が大きくても出力の素材指標は伸びにくい、という見方ができます(本記事による解説)。

本稿の計算:d33 × g33(厚み方向の素材定数の積) 単位は 10⁻¹² m²/N。d33 は 10⁻¹² C/N、g33 は 10⁻³ V·m/N の値をそのまま掛けた。 PVDF フィルム 10.9 軟質PZT PIC151 10.8 軟質PZT PIC255 10.0 軟質PZT PIC153 9.8 硬質PZT PIC181 6.1 KNN系 PIC753 4.8 BNT系 PIC700 1.6 0 2 4 6 8 10 12 d33 × g33(10⁻¹² m²/N) ※ PZT・KNN・BNT はメーカー公称[参考資料8](焼結体、23 ℃、EN 50324-2 の形状の試験片、小信号)。PIC753・PIC700 は予備データ。PVDF は1999年版の メーカーマニュアル[参考資料9]の代表値(絶対値、厚み方向)。 ※ 静的・小信号の素材定数の積で、結合係数、機械インピーダンス、使う周波数、素子の形、負荷は含みません。出力や感度の優劣を示す図ではありません。
図6 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。メーカー資料の d33 と g33 の積です[参考資料8・9]。静的・小信号の素材定数の積で、出力や感度の優劣を示すものではありません。版・メーカー・試料の形態が違う値を含みます。

(2) 動作温度の目安 ― メーカーの「Tc の 50%」を当てはめる

本稿の計算

PI Ceramic の資料は、推奨動作温度を「キュリー温度の 50% まで」としています[参考資料8]。この数字を、資料の Tc(℃)の値にそのまま 0.5 を掛けて当てはめます本稿の計算。

  • PIC255:350 × 0.5 = 175 ℃。PIC181:330 × 0.5 = 165 ℃。PIC151:250 × 0.5 = 125 ℃。PIC153:160 × 0.5 = 80 ℃
  • KNN 系 PIC753:300 × 0.5 = 150 ℃。BNT 系 PIC700:脱分極温度 190 × 0.5 = 95 ℃

前提と限界:資料は「50%」の温度の基準(摂氏か絶対温度か)を明記していないので、本稿は摂氏の値に掛けました。PI Ceramic の材料にだけ適用できる目安で、他社の材料、実際の保証温度、使う電圧・時間には当てはまりません。BNT 系は Tc ではなく脱分極温度を使っています。 それでも、d33 の大きい PIC153(Tc 160 ℃)の使える温度の目安は、d33 が小さい PIC255(Tc 350 ℃)の半分以下で、「d33 が大きい」と「高温で使える」はトレードオフになりやすい、という図3の傾向と合っています。

(3) 鉛の含有率と RoHS の上限

本稿の計算

PZT の鉛は重量で 60% 超[参考資料1]、RoHS の上限は均質材料中 0.1% [参考資料14]です。60 ÷ 0.1 = 600 倍以上本稿の計算。

前提と限界:60% は Saito らの論文の記述(「60 重量%を超える」)で、組成ごとの正確な値ではありません。0.1% の上限は均質材料ごとに判断されるため、部品全体の平均ではありません。それでも、この差の大きさが、PZT を使えるかどうかを適用除外に頼る理由です(本記事による解説)。

(4) 無鉛材料の原料 ― ニオブの供給

本稿の計算

USGS の Mineral Commodity Summaries 2026 によると、2025年(推定)のニオブの世界の鉱山生産は 112,000 t(ニオブ含有量)で、ブラジルが 104,000 t です[参考資料13]。104,000 ÷ 112,000 = 約 92.9%本稿の計算。 Ibn-Mohammed らは、KNN には約 60 重量% の Nb₂O₅ が含まれると指摘しています[参考資料12]。Nb₂O₅ の Nb の重量比は 69.904%(USGS の脚注)なので、60% × 0.699 = 約 42% が Nb本稿の計算 の計算になります。

前提と限界:「約 60 重量%」は論文の概数で、組成(Li、Ta、Sb 添加など)で変わります。USGS が示す米国のニオブ消費の内訳は、鋼が約 77%、超合金が約 23% です[参考資料13]。圧電セラミックスの需要が供給に与える影響は、本稿では確認していません。

素材技術者の視点③:「無鉛=環境にやさしい」とは限らない

Ibn-Mohammed らは、KNN を「有害性の低い代替材料」とする見方に疑問を投げかけています。Nb₂O₅ は鉛の酸化物より人への毒性はずっと低いが、採掘と抽出が大きな環境損傷を引き起こす、という指摘です事実[参考資料12]。 USGS の統計では、ニオブの鉱山生産の大半が一つの国に集まっています[参考資料13]。評価の軸(人への毒性、採掘の環境負荷、供給の集中、使用後の処理)によって、どちらが「優れている」かは変わります。 素材から見ると、無鉛化の議論は法規制の対象物質を減らすこととライフサイクル全体の環境負荷を減らすことを分けて考える必要があります(本記事による解説)。

8. 応用と、無鉛化の現在地

電極間で分極処理を行う装置例です
図7 概念画像(ImageGenで生成)。電極間で分極処理を行う装置例です。無鉛材料でも、組成・処理条件と試験法を確認する必要があり、鉛を除くだけで同じ性能になるわけではありません。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。

超音波・センサー・アクチュエータ

PI Ceramic は、軟質 PZT の用途として、微小位置決めのアクチュエータ、振動センサー、流量・レベル測定などの超音波送受信器、音響用の変換器を挙げています。硬質 PZT は、大きな電気的・機械的負荷がかかる高出力の超音波(洗浄、材料加工、液体の分散)やソナーに使われる、としています事実[参考資料22]。 同社は無鉛の BNT 系・KNN 系について、共振を使う用途で代替の可能性があるとし、マイクロポンプ、超音波ネブライザー、高出力超音波トランスデューサー、センサーで「最初の良好な開発結果が示せる」と述べています[参考資料22]。同社の用途表には、気泡検出、流量計測、混合・分散、超音波処理が挙がっています(本記事は医療上の用途の性能や安全には触れません)。

MEMS・薄膜

Jung らの総説は、MEMS で最も広く使われる圧電材料は PZT(d33 は 200〜600 pC/N)で、MEMS ミラー(LiDAR など)に使われる一方、結晶化に 500〜700 ℃が必要で CMOS 工程との相性、鉛の汚染リスク、強誘電性にともなうヒステリシスが課題だと述べています事実[参考資料11]。AlN は圧電定数が小さいものの、400 ℃未満で成膜でき CMOS と両立し、ヒステリシスがありません。Sc を加えた ScAlN は、e31,f が約 3.2 C/m² まで上がる(x≈0.41)と整理されています[参考資料11]。薄膜の測定法は IEC 62047-30 と JIS C 5630-30 に定められています[参考資料15・16]。

高分子フィルム

PVDF フィルムは、音響インピーダンスが PZT の約 10 分の 1(PVDF 2.7、PZT 30、単位 10⁶ kg/m²·s)で、水や生体組織に近い、とメーカーのマニュアルは説明しています事実[参考資料9]。一方で、セラミックスと比べて送信器としては弱く、特に共振付近と低周波でそうだと述べています。柔らかく大面積にできるため、センサー用途に向きます[参考資料9]。

無鉛化の現在地

Rödel らは figure of merit(性能指標)の分析をもとに、無鉛圧電セラミックスは一部の用途では移行が見通せるが、信頼性・変位・周波数・温度範囲の厳しい用途は遠いと結論しています[参考資料3]。2009年の総説の評価(狭い用途では適している)[参考資料2]、2016年の総説の評価(PZT と同等以上の性能という目標は達成されていない)[参考資料4]、PI Ceramic の説明(用途ごとの再調整と長期安定性の再試験が必要)[参考資料22]は、同じ方向を向いています。 条文では、PZT 圧電セラミックスの鉛の適用除外が2027年12月31日まで設けられています事実[参考資料14]。これは、規制の側でも、代替品がすべての用途で技術的に可能とはいえないと判断されていることを示します(前文の記述)。

9. 限界と、確認できなかったこと

(1) 規格の本文

ISO 19622・21819・17859・5712、IEC 60483・62047-30、IEEE 176、EN 50324-2、JIS R 1696・R 1699・R 1682・R 1762・C 5630-30 の本文は確認していません(ISO・IEC・JSA のページに載っている題名と適用範囲を確認しました)。試験条件、手順、合否基準は記載していません。

(2) 無鉛材料の信頼性と寿命

無鉛材料の疲労、高温・高湿での経時変化、量産時の特性のばらつきは、本稿が確認できた一次情報では数値で示されていません。PI Ceramic の資料も、信頼性は用途ごとの再評価が必要としています[参考資料8・22]。

(3) PVDF の数値

PVDF の d31・d33 などは、Measurement Specialties の1999年版マニュアルの代表値です。現在の版や、他社・他の延伸条件の値は確認していません。

(4) 規制の範囲

RoHS 指令の適用除外の期限以後の扱い(更新申請の有無、委員会の決定)は確認できませんでした。EU 以外の規制、REACH、各国の国内法の整備状況は扱っていません。

(5) ASTM と、室温の共振法の JIS

圧電セラミックスの ASTM の該当規格は、ASTM 以外の資料を調べた範囲では確認できませんでした(ASTM のサイトは開いていません)。室温の共振法を規定する JIS と ISO も見つかりませんでした(第10章)。

(6) 市場・出荷量

無鉛材料の採用状況や出荷量は、公的な統計を確認できなかったため記載していません。

この記事のまとめ
  • d33 は条件つきの数字です。焼結体、単結晶、薄膜、ポリマーで別の値になり、ポーリング条件でも動きます事実
  • d33 の大きい組成は、Tc が低い傾向があります。Sm 添加 PMN–PT は d33 最大 1,500 pC/N で Tc 89 ℃、BZT–BCT は 560〜620 pC/N で Tc 93 ℃です事実
  • 無鉛材料は、特定の用途では使える段階です。メーカーは用途ごとの再調整と長期安定性の再試験を求め、総説は厳しい用途への適用は遠いとしています事実
  • EU は PZT 圧電セラミックスの鉛の適用除外を2027年12月31日までとしています。7(c)-I は2027年6月30日までです事実。以後の扱いは未確認です未確定/将来
  • 「無鉛=環境にやさしい」とは限りません。KNN は約 60 重量% の Nb₂O₅ を含み、ニオブの鉱山生産の約 93% はブラジルです事実/本稿の計算

10. 評価・標準の読み方

圧電材料の性能は、次の量で測ります。d33・d31(力と電荷、または電場とひずみの関係)、g33(電圧出力の感度)、結合係数 k、機械的品質係数 Qm、比誘電率、誘電損失 tanδ、キュリー温度 Tc。セラミックスでは、規定の形の試験片(円板・棒など)の共振・反共振の周波数付近の小信号の電気インピーダンスから多くの係数を求める方法と、小さな交番力をかけて電荷を測る準静的法(d33 メーター)が一般的です。大きな電場でのひずみ、高温・高負荷での特性、発電特性には別の測定法があり、薄膜では基板に固定された状態の電気機械変換特性を測ります。

今回の調査で、ISO/TC 206(ファインセラミックス)と日本ファインセラミックス協会が原案を作った JISに、圧電セラミックスの測定規格が複数あることを確認しました。一方、ASTM の該当規格は確認できませんでした。

評価項目ISOIEC・IEEE(・地域規格)JISASTM測定条件で値が変わる点
準静的法の d33(d33 メーター、Berlincourt 法)
事実
ISO 19622:2018「Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics) — Test method for piezoelectric constant d33 of piezoelectric ceramics by direct quasi-static method」(第1版、2018年4月。2023年に見直しで確認)[24]確認できなかったJIS R 1696:2014「準静的圧電正効果法による圧電セラミックスの圧電定数d33測定方法」[28]確認できなかった予荷重、交流荷重の大きさ、試料の厚み、周波数、校正、温度(NPL の指針[23])。ポーリング条件
圧電セラミックスの小信号特性(共振法:結合係数、d、g、弾性率、Qm など)
事実
確認できなかったIEC 60483:1976「Guide to dynamic measurements of piezoelectric ceramics with high electromechanical coupling」(IEC/TC 49)[17]
IEEE Std 176-1987「IEEE Standard on Piezoelectricity」(2000年3月6日に撤回)[19]
EN 50324-2「Piezoelectric properties of ceramic materials and components – Part 2: Methods of measurement – Low power」(CENELEC の地域規格、2002年版)[20]
確認できなかった(室温の共振法を規定する JIS は、調べた範囲で見つからなかった)確認できなかった試験片の寸法、ポーリング後の経過時間、温度、小さな電圧。PI Ceramic の値は「EN 50324-2 の寸法の試験片、ポーリング後24〜48時間、23 ℃」[8]
高負荷・高温での圧電特性
事実
ISO 21819-1:2018(共振・反共振法、高温条件)、ISO 21819-2:2018(電気的過渡応答法、高振動レベル)。いずれも第1版、2018年8月、2024年に見直しで確認[25・26]確認できなかったJIS R 1699-1:2016、JIS R 1699-2:2016(題名は ISO と同じ趣旨)[29・30]確認できなかった温度、振動レベル。測定法の適用範囲は規格が定める(本文は未確認)
高電界での電界誘起ひずみ
事実
ISO 17859:2015「Measurement method of piezoelectric strain at high electric field」(第1版、2015年9月。2020年に確認、2026年10月10日の ISO のページでは見直し中)。適用範囲:印加電界 0〜2 MV/m、周波数 0.1〜1 Hz[27]確認できなかったJIS R 1682:2007「ファインセラミックスの高電界における電界誘起ひずみの測定方法」[31]確認できなかった電界の大きさと周波数、試料の固定。小信号の d33 と同じ値になる保証はない
MEMS 圧電薄膜の電気機械変換特性
事実
確認できなかったIEC 62047-30:2017「Semiconductor devices – Micro-electromechanical devices – Part 30: Measurement methods of electro-mechanical conversion characteristics of MEMS piezoelectric thin film」(第1版、2017年9月15日)[15]。同シリーズの Part 36(2019)・Part 37(2020)は環境試験(題名のみ確認)[15]JIS C 5630-30:2020「マイクロマシン及びMEMS―第30部:MEMS圧電薄膜の電気機械的変換特性の測定方法」。IEC 62047-30:2017 と一致(IDT)[16]確認できなかった基板、膜厚、電極、電場、周波数。規格は測定法と報告の様式を定める(IEC の適用範囲の記載[15])
圧電共振デバイスの発電特性(エネルギーハーベスティング)
事実
ISO 5712:2022「Method for measuring the power generation characteristics of piezoelectric resonant devices for stand-alone power sources」(第1版、2022年5月)[32]確認できなかったJIS R 1762:2020「ファインセラミックス―自立型電源用圧電デバイスの発電特性測定方法」[33]確認できなかった振動の周波数・加速度、負荷。詳細は本シリーズ「エネルギーハーベスティング」編
圧電セラミックスの用語
事実
確認できなかったIEC TS 61994-4-2:2011「…Glossary – Part 4-2: Piezoelectric and dielectric materials – Piezoelectric ceramics」(第2版、2011年3月8日の技術仕様書)[18]確認できなかった確認できなかった用語の定義であり、測定条件は定めない(題名から読める範囲)
整理(本稿)
本稿の計算
「規格の位置づけ」の整理:ISO(19622、21819、17859、5712)は国際規格で、いずれも ISO/TC 206 が担当です。JIS R 1696・R 1699・R 1682・R 1762 は日本ファインセラミックス協会が原案を作った国内規格で、JSA の規格ページの「対応国際規格」の欄には国際規格の記載がなく(IDT などの一致規格の関係は確認できなかった)、制定年は ISO より前(R 1696 は2014年、ISO 19622 は2018年)です。MEMS 薄膜は IEC 62047-30 が国際規格で、JIS C 5630-30 が一致規格です。IEC 60483 は1976年、IEEE 176-1987 は撤回済み、EN 50324-2 は欧州の地域規格で、メーカーが試験片の寸法に引いている実務上の基準です。

規格の本文は有料のため、番号・題名・発行年・適用範囲(ISO と JIS のページに記載された範囲)にとどめています。ASTM International のサイトは、AI による利用を認めない旨を示しているため、開いていません。ASTM の圧電セラミックスの該当規格は、ASTM 以外の資料(ISO・JIS・NPL・論文)を調べた範囲でも見つかりませんでした。

規格の読み方の注意

  • 規格は「試験方法」であり、材料の性能を保証しません。PI Ceramic の値は「EN 50324-2 の寸法の試験片で測った代表値」とされています[参考資料8]。規格は測り方をそろえるためのもので、その値が自分の素子や使う条件で出る保証ではありません
  • 同じ名前の特性でも、手法と規格が違います。d33 でも、準静的法(ISO 19622)、共振法、高電界のひずみ(ISO 17859)、薄膜(IEC 62047-30)は、条件も規格も別です(第5章)。NPL の指針(2001年)は、準静的法には当時規格がなく、装置ごとに少しずつ違う測定をしていると指摘しています[参考資料23]。その後、JIS R 1696(2014年)と ISO 19622(2018年)が制定されました。古い資料の d33 が、どの手順の値かは確認が必要です
  • メーカーの値は、準拠規格・版・条件を併記して読みます。PI Ceramic の例では、資料の版(2024年8月)、ポーリング後の経過時間(24〜48時間)、温度(23 ℃)、試験片の規格(EN 50324-2)が並んでいます[参考資料8]。予備データか、仕様なしの開発品かの注記も、規格値と同じくらい重要です
  • 規格の古さ・撤回・見直しに注意します。IEEE 176-1987 は撤回されており[参考資料19]、IEC 60483 は1976年の指針、ISO 17859 は見直し中です[参考資料27]未確定/将来。新しい材料(無鉛セラミックス、ScAlN 薄膜)に、古い規格の前提がそのまま当てはまるかどうかは、規格の本文と材料の条件を照らして確認します(本記事による解説)

11. 用語集

正圧電効果/逆圧電効果
力を加えると電荷が出る効果/電圧をかけると形が変わる効果。
分極/ポーリング
電荷の中心のずれ/高い電場で分極の向きをそろえる処理。
d33・d31
圧電定数。力と同じ向き(33)、直角の向き(31)。単位は pC/N。
g33
圧電電圧定数。応力あたりの電界。単位は 10⁻³ V·m/N。
結合係数 k
電気と機械のエネルギー変換の効率を表す係数。
Qm
機械的品質係数。共振での損失の小ささ。
キュリー温度 Tc
強誘電性が失われる温度。
脱分極温度 Td
分極が失われ始める温度の目安。BNT 系の資料で使われる。
MPB
組成相境界。組成を変えて二つの強誘電相が接する境界。
PZT
チタン酸ジルコン酸鉛。鉛を含む代表的な圧電セラミックス。
KNN/BNT
ニオブ酸カリウムナトリウム/チタン酸ビスマスナトリウム。無鉛材料の系。
BZT–BCT
Ba(Ti,Zr)O₃–(Ba,Ca)TiO₃。無鉛のペロブスカイト系。
PVDF
ポリフッ化ビニリデン。延伸とポーリングで圧電性を持つ高分子。
e31,f
基板に固定された薄膜の横方向の圧電応力定数。単位は C/m²。
RoHS 指令の適用除外
附属書 III に列挙された用途だけ、制限物質の使用を認める仕組み。期限つき。

12. 参考資料(一次情報)

  1. Saito Y. ほか “Lead-free piezoceramics”, Nature 432, 84–87 (2004), DOI 10.1038/nature03028 — doi.org/10.1038/nature03028
  2. Rödel J. ほか “Perspective on the Development of Lead-free Piezoceramics”, J. Am. Ceram. Soc. 92, 1153–1177 (2009), DOI 10.1111/j.1551-2916.2009.03061.x — doi.org/10.1111/j.1551-2916.2009.03061.x
  3. Rödel J. ほか “Transferring lead-free piezoelectric ceramics into application”, J. Eur. Ceram. Soc. 35, 1659–1681 (2015), DOI 10.1016/j.jeurceramsoc.2014.12.013 — doi.org/10.1016/j.jeurceramsoc.2014.12.013
  4. Hong C.-H. ほか “Lead-free piezoceramics – Where to move on?”, J. Materiomics 2, 1–24 (2016), DOI 10.1016/j.jmat.2015.12.002(オープンアクセス) — doi.org/10.1016/j.jmat.2015.12.002
  5. Park S.-E., Shrout T. R. “Ultrahigh strain and piezoelectric behavior in relaxor based ferroelectric single crystals”, J. Appl. Phys. 82, 1804–1811 (1997), DOI 10.1063/1.365983 — doi.org/10.1063/1.365983
  6. Li F. ほか “Ultrahigh piezoelectricity in ferroelectric ceramics by design”, Nat. Mater. 17, 349–354 (2018), DOI 10.1038/s41563-018-0034-4 — doi.org/10.1038/s41563-018-0034-4
  7. Liu W., Ren X. “Large Piezoelectric Effect in Pb-Free Ceramics”, Phys. Rev. Lett. 103, 257602 (2009), DOI 10.1103/PhysRevLett.103.257602 — doi.org/10.1103/PhysRevLett.103.257602
  8. PI Ceramic GmbH “Piezo Ceramics Material Data”(PZT 標準材料と無鉛材料の材料データ。2024年8月版。メーカー公称値) — pi-usa.us …/Piezo_Ceramics_Material_Data.pdf
  9. Measurement Specialties, Inc. “Piezo Film Sensors Technical Manual”, P/N 1005663-1 REV B(1999年4月2日。メーカー公称値) — courses.media.mit.edu/…/MSI-techman.pdf
  10. Dwivedi S. ほか “Structure, dielectric, and piezoelectric properties of K0.5Na0.5NbO3-based lead-free ceramics”, RSC Adv. 8, 24286–24296 (2018), DOI 10.1039/c8ra04038a(オープンアクセス) — doi.org/10.1039/c8ra04038a
  11. Jung Y. ほか “Recent progress in aluminum nitride for piezoelectric MEMS mirror applications: enhancements with scandium doping”, Microsyst. Nanoeng. 11, 179 (2025), DOI 10.1038/s41378-025-01053-8(オープンアクセス) — doi.org/10.1038/s41378-025-01053-8
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  14. 欧州委員会 “Commission Delegated Directive (EU) 2025/2363 of 8 September 2025 amending Directive 2011/65/EU … as regards an exemption for lead in glass or ceramic components”, Official Journal L, 21.11.2025(EUR-Lex) — eur-lex.europa.eu/eli/dir_del/2025/2363/oj/eng
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  18. IEC “IEC TS 61994-4-2:2011” 製品ページ(IEC Webstore) — webstore.iec.ch/en/publication/6261
  19. IEEE “176-1987 – IEEE Standard on Piezoelectricity” 標準ページ(撤回済み) — standards.ieee.org/ieee/176/356
  20. AFNOR Editions “NF EN 50324-2 / EN 50324-2:2002″(EN 50324-2 の題名と適用範囲を示す標準ページ) — boutique.afnor.org/…/nf-en-503242/…
  21. Damjanovic D. “Ferroelectric, dielectric and piezoelectric properties of ferroelectric thin films and ceramics”, Rep. Prog. Phys. 61, 1267–1324 (1998), DOI 10.1088/0034-4885/61/9/002 — doi.org/10.1088/0034-4885/61/9/002
  22. PI Ceramic GmbH “Piezoceramic Materials”(製品ページ。軟質・硬質 PZT と無鉛材料の用途の説明) — piceramic.com/en/products/piezoceramic-materials
  23. Stewart M., Battrick W., Cain M.(National Physical Laboratory) “Measurement Good Practice Guide No. 44: Measuring Piezoelectric d33 coefficients using the Direct Method”, 2001年6月 — eprintspublications.npl.co.uk/2768/1/mgpg44.pdf
  24. ISO “ISO 19622:2018 Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics) — Test method for piezoelectric constant d33 of piezoelectric ceramics by direct quasi-static method”(ISO のページ) — iso.org/standard/65515.html
  25. ISO “ISO 21819-1:2018 … Characteristic of piezoelectric properties under high-load conditions — Part 1: Resonant-antiresonant method under high-temperature conditions”(ISO のページ) — iso.org/standard/71874.html
  26. ISO “ISO 21819-2:2018 … Characteristic of piezoelectric properties under high-load conditions — Part 2: Electrical transient response method under high vibration levels”(ISO のページ) — iso.org/standard/71875.html
  27. ISO “ISO 17859:2015 Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics) — Measurement method of piezoelectric strain at high electric field”(ISO のページ) — iso.org/standard/60834.html
  28. 日本規格協会(JSA) “JIS R 1696:2014 準静的圧電正効果法による圧電セラミックスの圧電定数d33測定方法”(JSA Webdesk の規格ページ) — webdesk.jsa.or.jp/…bunsyo_id=JIS+R+1696:2014
  29. 日本規格協会(JSA) “JIS R 1699-1:2016 ファインセラミックス―高負荷環境下での圧電材料の特性―第1部:共振・反共振法による高温環境条件下での測定方法”(JSA Webdesk の規格ページ) — webdesk.jsa.or.jp/…bunsyo_id=JIS+R+1699-1:2016
  30. 日本規格協会(JSA) “JIS R 1699-2:2016 …第2部:電気的過渡応答法による高振動レベル下での測定方法”(JSA Webdesk の規格ページ) — webdesk.jsa.or.jp/…bunsyo_id=JIS+R+1699-2:2016
  31. 日本規格協会(JSA) “JIS R 1682:2007 ファインセラミックスの高電界における電界誘起ひずみの測定方法”(JSA Webdesk の規格ページ) — webdesk.jsa.or.jp/…bunsyo_id=JIS+R+1682:2007
  32. ISO “ISO 5712:2022 Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics) — Method for measuring the power generation characteristics of piezoelectric resonant devices for stand-alone power sources”(ISO のページ) — iso.org/standard/81569.html
  33. 日本規格協会(JSA) “JIS R 1762:2020 ファインセラミックス―自立型電源用圧電デバイスの発電特性測定方法”(JSA Webdesk の規格ページ) — webdesk.jsa.or.jp/…bunsyo_id=JIS+R+1762:2020

13. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
PZT は鉛を重量で 60% 超含むこと。KNN 系の織構化セラミックスで d33 が 300 pC/N 超、最大 416 pC/N。d33 の定義(同じ向きに加えた単位の力あたりの誘起電荷)Saito ら(2004)の要旨
出典1 https://doi.org/10.1038/nature03028
事実
無鉛圧電セラミックスは特定の狭い用途では適するが、PZT を広く置き換えるには至っていない(2009)。一部の用途で移行の見通しがあり、厳しい用途は遠い(2015)。一部の用途で製品が出ているが、PZT 同等以上という目標は達成されていない(2016)三つの総説の要旨
出典2 https://doi.org/10.1111/j.1551-2916.2009.03061.x
出典3 https://doi.org/10.1016/j.jeurceramsoc.2014.12.013
出典4 https://doi.org/10.1016/j.jmat.2015.12.002
事実
単結晶 PMN–PT・PZN–PT の d33 が 2,500 pC/N 超、k33 が 90% 超、誘電損失 1% 未満(〈001〉配向の菱面体晶)Park と Shrout(1997)の要旨
出典5 https://doi.org/10.1063/1.365983
事実
Sm 添加 PMN–PT セラミックスの d33 が最大 1,500 pC/N、ε33/ε0 が 13,000 超、Tc が 89 ℃Li ら(2018)の要旨
出典6 https://doi.org/10.1038/s41563-018-0034-4
事実
BZT–BCT の d33 560〜620 pC/N(20 ℃、Berlincourt 型メーター、ポーリング条件で幅)、Tc 93 ℃、比誘電率約 3,060、仮焼 1,350 ℃・焼結 1,450〜1,500 ℃、dS/dE 1,140 pm/V(PZT 360〜900)、PZT-5H(約 590 pC/N)との比較、三重点と MPB での分極の回転による説明、Tc だけでは d33 を説明できないという指摘、d33 が MPB を横切る温度で最大になることLiu と Ren(2009)
出典7 https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.103.257602
事実
PZT 軟質 5 種(d33 240〜600 pC/N、Tc 160〜350 ℃)、硬質 5 種(d33 190〜300、Tc 270〜370 ℃)、PIC255・PIC151・PIC153・PIC181 の個別の値、KNN 系 PIC753 と BNT 系 PIC700 の値(予備データ)、PIC758 は開発中、BNT 系の温度は脱分極温度、推奨動作温度は Tc の 50% まで、測定条件(EN 50324-2 の試験片、ポーリング後 24〜48 時間、23 ℃)、無鉛材料は用途ごとの信頼性の再評価が必要PI Ceramic の材料データ(2024年8月版)。メーカー公称値
出典8 https://www.pi-usa.us/fileadmin/user_upload/pi_us/files/technotes_whitepapers/Piezo_Ceramics_Material_Data.pdf
事実
PVDF フィルムの d31 23・d33 −33 pC/N、g31 216×10⁻³、比誘電率 12〜13、共重合体の d31 11・d33 −38、PVDF は 100 ℃超の使用・保管を推奨しない、共重合体は最大 135 ℃、音響インピーダンス(PVDF 2.7、PZT 30)、送信器としては弱いことMeasurement Specialties のマニュアル(1999年版)。メーカー公称値
出典9 https://courses.media.mit.edu/2022spring/mas836/readings/MSI-techman.pdf
事実
KNN 系はアルカリ元素の揮発性が高く緻密化が難しいこと、多形相転移を室温付近に下げると室温特性は上がるが通常 Tc が下がること、KNN–BZT の相共存が温度に強く依存することDwivedi ら(2018)
出典10 https://doi.org/10.1039/c8ra04038a
事実
PZT 系薄膜の |e31,f| 約 12.2〜15.3 C/m²、AlN 約 1.1、ScAlN 約 3.2(Sc 比 x≈0.41)、PZT の結晶化 500〜700 ℃、AlN の成膜 400 ℃未満・CMOS 両立、KNN の結晶化 600 ℃以上と K⁺・Na⁺ の汚染リスク、PZT の鉛の汚染リスク、e31,f の式、PZT の d33 200〜600 pC/NJung ら(2025)の総説
出典11 https://doi.org/10.1038/s41378-025-01053-8
事実
KNN には約 60 重量% の Nb₂O₅ が含まれること、Nb₂O₅ は鉛酸化物より人への毒性が低いが採掘・抽出が大きな環境損傷を起こすという指摘Ibn-Mohammed ら(2017)の要旨
出典12 https://doi.org/10.1557/mrc.2017.10
事実
ニオブの世界鉱山生産 112,000 t(2025年推定)とブラジル 104,000 t、Nb₂O₅ の Nb 重量比 69.904%、米国の消費内訳(鋼約 77%、超合金約 23%)USGS Mineral Commodity Summaries 2026
出典13 https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2026/mcs2026-niobium.pdf
事実
RoHS:鉛の上限 0.1 重量%(均質材料)、委任指令 2025/2363 の採択(2025年9月8日)・官報掲載(2025年11月21日)、適用(2026年7月1日)、7(c)-I(2027年6月30日)・7(c)-II・7(c)-V・7(c)-VI(2027年12月31日)の文言と期限、前文の評価の結論、2018/736 の期限(2021・2023・2024年の7月21日)、更新申請があり決定まで既存の適用除外が有効であること委任指令 (EU) 2025/2363(EUR-Lex、官報)
出典14 https://eur-lex.europa.eu/eli/dir_del/2025/2363/oj/eng
事実
IEC 62047-30:2017 の題名・発行日(2017年9月15日)・適用範囲、IEC 62047-36:2019 と -37:2020 の題名IEC Webstore
出典15 https://webstore.iec.ch/en/publication/29344
事実
JIS C 5630-30:2020 の題名と、IEC 62047-30:2017 との一致(IDT)JSA Webdesk の規格ページ
出典16 https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS+C+5630-30%3A2020
事実
IEC 60483:1976、IEC TS 61994-4-2:2011(2011年3月8日、第2版)、IEEE 176-1987(2000年3月6日に撤回)、EN 50324-2(CENELEC、2002年版)の題名・発行年・状態IEC Webstore、IEEE、AFNOR の各ページ
出典17 https://webstore.iec.ch/en/publication/2229
出典18 https://webstore.iec.ch/en/publication/6261
出典19 https://standards.ieee.org/ieee/176/356
出典20 https://www.boutique.afnor.org/en-gb/standard/nf-en-503242/piezoelectric-properties-of-ceramic-materials-and-components-part-2-methods/fa019556/20692
事実
強誘電体セラミックスと薄膜の誘電・圧電特性にドメイン壁の変位が寄与することDamjanovic(1998)の要旨
出典21 https://doi.org/10.1088/0034-4885/61/9/002
事実
PI Ceramic による軟質・硬質 PZT の用途、無鉛(BNT 系・KNN 系)の供給状況と用途、用途ごとの再調整と長期安定性の再試験の必要PI Ceramic の製品ページ
出典22 https://www.piceramic.com/en/products/piezoceramic-materials
事実
準静的法(d33 メーター)の指針:数百 Hz の準静的、予荷重・交流荷重・試料の厚み・周波数・校正・温度に注意、2001年時点でこの測定法の規格はなかったことNPL Measurement Good Practice Guide No. 44(2001年)
出典23 https://eprintspublications.npl.co.uk/2768/1/mgpg44.pdf
事実
ISO 19622:2018(準静的法の d33)、ISO 21819-1・-2:2018(高負荷・高温)、ISO 17859:2015(高電界のひずみ、0〜2 MV/m、0.1〜1 Hz、見直し中)、ISO 5712:2022(圧電共振デバイスの発電特性)の題名・発行年・状態・適用範囲ISO の各ページ(2026年10月10日に確認)
出典24 https://www.iso.org/standard/65515.html
出典25 https://www.iso.org/standard/71874.html
出典26 https://www.iso.org/standard/71875.html
出典27 https://www.iso.org/standard/60834.html
出典32 https://www.iso.org/standard/81569.html
事実
JIS R 1696:2014、R 1699-1・-2:2016、R 1682:2007、R 1762:2020 の題名と、対応国際規格の欄に国際規格の記載がないことJSA Webdesk の各規格ページ
出典28 https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS+R+1696%3A2014
出典29 https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS+R+1699-1%3A2016
出典30 https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS+R+1699-2%3A2016
出典31 https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS+R+1682%3A2007
出典33 https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS+R+1762%3A2020
事実
図3の点(メーカー公称と論文値)、図6の d33×g33(PIC151 10.8、PIC255 10.0、PIC153 9.8、PIC181 6.1、PIC753 4.8、PIC700 1.6、PVDF 10.9)、動作温度の目安(175・165・125・80・150・95 ℃)、鉛 60% ÷ 0.1% = 600 倍以上、ニオブ 104,000 ÷ 112,000 = 約 92.9%、60% × 0.699 = 約 42%、施行日 2025年12月11日本稿の計算。前提と限界は第7章に記載(積は静的・小信号の素材定数、動作温度は PI Ceramic の目安を摂氏に当てはめたもの)本稿の計算
2027年6月30日・12月31日の期限は将来の日付で、更新申請の有無とその後の扱いは確認できなかったこと本稿の調査範囲では確認できなかったため記載していない未確定/将来
IEC 60483・IEC 62047-30・IEEE 176・EN 50324-2・JIS C 5630-30 の本文、無鉛材料の信頼性・寿命の数値、PVDF の最新の値、ISO・JIS・ASTM の材料規格(確認できたものを除く)本稿の調査範囲でアクセスできた一次情報では確認できなかったため記載していない解説
「d33 の大きい組成は Tc が低く、温度で性能が動く」「無鉛化は焼結と汚染管理の置き換えでもある」「無鉛=環境にやさしいとは限らない」「高誘電率の材料は d33 が大きくても出力の素材指標は伸びにくい」という読み取り。規格の位置づけの整理(第10章)公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない解説
図2・図3・図4・図5・図6が実際の観察像・実データそのものではなく説明のための作図であること。図1と図7がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月10日/出典は一次情報(査読論文、メーカーの材料データ、欧州連合官報の委任指令、USGS、規格団体のページ)に限定しています。規格の本文は有料のため確認できていません。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 規格の本文、無鉛材料の信頼性・寿命の数値、PVDF の最新の値、RoHS の適用除外の期限以後の扱いについては、確認できなかったため記載していません。 d33 などの数値は、引用元ごとに材料の形態・測定法・温度が異なり、他の材料や量産品に一般化できません。 図はすべて説明用の概念図です。図2〜図6はベクター作図、図1と図7はAI生成イメージであり、いずれも実際の断面写真・顕微鏡像・製品の実物を示すものではありません。