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永久磁石とレアアース 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

永久磁石とレアアース
― 「強い磁石」を決めるのは組成より界面、そして供給の弱点は鉱山より精製と磁石化

ネオジム磁石は、理論上の上限の約8割まで性能を引き出した、成熟した材料です。それでも課題が二つ残っています。一つは、高温でも減磁しない「保磁力」を、希少な重希土類(ジスプロシウム・テルビウム)に頼りすぎずに得ること。もう一つは、レアアースの精製と磁石の製造が少数の国に集中し、輸出管理が公布・施行・停止の段階で動いていることです。 この記事では、Br・HcJ・(BH)max の読み方、ネオジム・サマリウムコバルト・フェライト・ボンド磁石の違い、粒界拡散、温度の制約、そして USGS・IEA・欧州連合・中国商務部の公式資料で確認できる供給の姿を、一次情報の範囲で整理します。

構成:査読論文(J. Appl. Phys.、Engineering、Adv. Nat. Sci.、Rev. Metal.)、磁石メーカーの公称値(Arnold Magnetic Technologies ほか)、USGS・IEA の報告、中国商務部の公告、EU 規則、IEC・JIS の書誌ページを使用/確認日 2026年10月10日

磁石の試料、特性評価、ローターへの組込みを分けた例です
図1 概念画像(ImageGenで生成)。磁石の試料、特性評価、ローターへの組込みを分けた例です。形や台数は説明用で、実際のモーター設計ではありません。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。
この記事の構成
  1. 永久磁石とは何か(3行でつかむ)
  2. 性能の読み方 ― 減磁曲線と Br・HcJ・(BH)max
  3. 4つの系統 ― 焼結ネオジム、サマリウムコバルト、フェライト、ボンド磁石
  4. ネオジム磁石の作り方と、保磁力が決まる場所
  5. 重希土類を減らす ― 粒界拡散、微細化、軽希土類への置換
  6. 温度という制約 ― 使える温度は保磁力で決まる
  7. 用途 ― EV のモーターと風力発電
  8. レアアースの供給 ― 産出、精製、中国の輸出管理(段階と日付)
  9. 制度 ― 欧州の重要原材料法と、日本の特定重要物資
  10. 限界と、確認できなかったこと
  11. 評価・標準の読み方
  12. 用語集
  13. 参考資料(一次情報)
  14. 主張と出典の対応表(監査)
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標・停止中の措置・シナリオで、実績や効力が確認できていない事項
このほか、材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。推測は太字で示します。法令・措置は、公布(発表)/施行(効力の開始)/停止を区別して書きます。

この記事の数値の読み方

磁石の数値には、焼結磁石かボンド磁石か、測定した温度、典型値か保証される最小値かという条件が付きます。この記事の磁石の数値は、メーカーの公称値(カタログ・データシート)、査読論文、規格団体の記載で、条件を添えて示します。異なる系統・試料形態の値を並べて優劣をつけることはしません。 レアアースの価格と価格の予測は扱いません。資源の統計は USGS・IEA の公表値で、推定や改訂を含みます。

1. 永久磁石とは何か(3行でつかむ)

  • 性能は3つの量で読む:Br(磁化がどれだけ強く残るか)、HcJ(逆向きの磁界にどれだけ耐えるか)、(BH)max(磁石の外へ取り出せるエネルギーの目安)です。Br は主相の性質でほぼ決まりますが、HcJ は材料の「内部の組織」で決まります事実[参考資料3・4・10]
  • 強いが、熱に弱い:ネオジム磁石は最も強い一方、温度が上がると保磁力が大きく下がります。ハイブリッド車の駆動モーターでは動作温度が約200 ℃に達するとされ、その温度で必要な保磁力をジスプロシウム・テルビウムで補ってきました事実[参考資料3・4]
  • 供給の鎖は長い:鉱山、精製(分離・精錬)、合金・磁石の製造が別々の国に偏り、中国の輸出管理は公布・施行・停止の段階で動いています。確認日(2026年10月10日)時点で、2025年10月に公布された拡張措置は、2026年11月10日まで停止中です事実[参考資料15・17・24]
この記事でいちばん大事な一行

磁石の「強さ」(Br)は主相の性質でほぼ決まるのに対し、「使える温度」(HcJ)は粒界の微細構造と、重希土類の入れ方で決まります。 そして供給のリスクは、鉱石を掘る段階より、精製と磁石への加工の段階に集中しています事実[参考資料3・4・17・18]。

2. 性能の読み方 ― 減磁曲線と Br・HcJ・(BH)max

磁石の性能は、磁化した磁石に逆向きの磁界を加えていったときの減磁曲線(磁化曲線の第2象限)から読みます。同じ曲線から、次の量が決まります事実[参考資料10]。

量意味読むときの注意
Br(残留磁束密度)外から磁界を加えない状態で磁石が保つ磁束密度。強さの目安閉磁路で測った値。ボンド磁石では磁性粉の体積割合が下がるため低い
HcB(保磁力)磁束密度 B がゼロになる逆磁界HcB に達しても減磁はしておらず、磁界を外すと Br 側へ戻る
HcJ(固有保磁力)磁化 J がゼロになる逆磁界。減磁に耐える強さの目安温度で大きく変わる。規格の試験方法では測定温度を指定する(第11章)
Hk と角形比J が 0.9Br まで下がる逆磁界が Hk。Hk÷HcJ が「角形比」で、1に近いほど J 曲線が角形に近いArnold は、良質なネオジムとフェライトで 0.90〜0.95、サマリウムコバルトで 0.85〜0.93 とする
(BH)max(最大エネルギー積)B と H の積が最大になる点の値。磁石の大きさあたりの「取り出せるエネルギー」の目安配向のそろった磁石では (BH)max ≒ Br² ÷ 4μ0μrec(μrec は1.035〜1.06程度)
α(Br)、α(HcJ)Br・HcJ の温度係数(%/℃)。2つの温度の間の平均の変化率変化は直線ではないので、温度範囲の指定が必須。フェライトは20〜100 ℃、サマリウムコバルトは20〜150 ℃、ネオジムは20 ℃から最高使用温度までが多い

すべて事実(Arnold Magnetic Technologies の技術ノート TN 1501[参考資料10])。

減磁曲線(第2象限)と、そこから読み取る量(概念図) 曲線の形と数値は説明用で、実在の磁石のデータではありません。 Br HcJ Hk HcB (BH)max 動作点 負荷線 J 曲線(磁石そのものの磁化) B 曲線 H(左向きが逆磁界) B, J Br 残留磁束密度。強さの目安 HcB B がゼロになる逆磁界 HcJ 磁化がゼロになる逆磁界。   減磁への強さの目安 Hk J が 0.9Br に下がる逆磁界 (BH)max 橙の長方形の最大面積 動作点は、磁気回路で決まる負荷線 と B 曲線の交点です。 ※ 用語は Arnold の技術ノート[参考資料10]、動作点の考え方は Hirosawa ら[参考資料3]によります。 ※ 角形に近い J 曲線は、よく配向した磁石を想定した描き方です。
図2 概念図(ベクター作図)。減磁曲線(第2象限)と、Br・HcB・HcJ・Hk・(BH)max の位置関係を示した説明用の図です。曲線の形と数値は説明用で、実在の磁石のデータではありません。用語は Arnold の技術ノート[参考資料10]、動作点の考え方は Hirosawa ら[参考資料3]によります。

モーターなどで磁石を使うとき、動作点は、磁石の形と磁気回路で決まる負荷線と B 曲線の交点です。磁石の体積を最小にする設計では、動作点が(BH)max の点(おおむね H=Br/2)になるため、使う温度で、HcJ を磁束密度の単位に直した μ0HcJ が、Br の半分を超えている必要があります。Hirosawa らは、この条件を、重希土類を使う理由として説明しています事実[参考資料3]。

本稿の計算(1):上限と、いまの市販品の距離

配向のそろった磁石の(BH)max の理論上の上限は、飽和磁化 Ms から (1/4)μ0Ms² になります。Nd2Fe14B は μ0Ms=1.61 T(Coey の表2)で、上限は約516 kJ/m³です事実[参考資料4]。

本稿の計算Arnold の焼結ネオジム N52 の典型値は406 kJ/m³(51 MGOe)で、上限の約79%です(406÷516)。1984年に報告された最初の焼結磁石(組成 Nd15B8Fe77、(BH)max=290 kJ/m³)は上限の約56%でした[参考資料1]。約40年で、典型値は約1.4倍(406÷290)になった計算です。 別の確認として、N52 の Br(1.45 T)から (BH)max ≒ Br²÷4μ0μrec を計算すると、μrec=1.035〜1.06 で約395〜404 kJ/m³となり、カタログの406 kJ/m³とほぼ合います。

前提と限界:N52 は Arnold の公称の典型値で、1984年の値は研究室の単一組成の試料です。ここでの比較は「到達度の目安」で、製品の優劣や、他社の値を示すものではありません。

素材技術者の視点①:保磁力は「材料の定数」ではない

Br や飽和磁化は、結晶構造と組成で決まる主相の性質です。ところが保磁力は、同じ主相でも、微細組織で何倍も変わる「外因的な」量です。Coey によれば、異方性磁界 HA(逆転に要する磁界の物理的な上限)の20〜30%に届く保磁力を得るだけでも、多くの年数の開発が必要でした[参考資料4]。Hirosawa らの表では Nd2Fe14B の HA は5.33 MA/m です[参考資料3]。一方、Arnold の標準グレード N の HcJ 最小値は955 kA/m で、本稿の計算異方性磁界の約18%(955÷5,330)です。

素材から見ると、これは「磁石を良くする」とは、組成の探索より粒の大きさ・粒界の相・欠陥の位置を作り込む仕事だという意味です(第4章)。ただし比較は、最小値(保証側)と、室温の理論値の間の比で、典型値を使えば割合はもう少し高くなります(本記事による解説)。

3. 4つの系統 ― 焼結ネオジム、サマリウムコバルト、フェライト、ボンド磁石

現在使われている永久磁石は、主相の違いと作り方(焼結かボンドか)で整理できます。Coey は、希土類磁石の生産量を年約1.4×105 t、フェライト磁石を年約1×106 t としています(2018年ごろの論文での記述)事実[参考資料4]。次の表は、メーカーの公称値と論文の値を、条件を添えて並べたものです。条件が違うため、行どうしの優劣を示すものではありません。

系統(出典・条件)BrHcJ(BH)max温度の目安特徴
焼結ネオジム N35(Arnold、典型値/最小値)1,210 mT(典型)955 kA/m 以上282.5 kJ/m³(典型)最高使用温度 80 ℃、α(Br) −0.12 %/℃、α(HcJ) −0.618 %/℃最も強い系統。Curie 温度は約310 ℃[1・4]
焼結ネオジム N52(同上)1,450 mT875 kA/m 以上406 kJ/m³最高使用温度 60 ℃強さを優先したグレード。保磁力は低め
焼結ネオジム N35EH(同上)1,200 mT2,388 kA/m 以上279 kJ/m³最高使用温度 200 ℃、α(HcJ) −0.472 %/℃N35 とほぼ同じ強さで、保磁力が約2.5倍。重希土類を使う等級
焼結サマリウムコバルト Recoma 28(Arnold、Sm2Co17)1.10 T(典型)2,000 kA/m(典型)、1,200(最小)225 kJ/m³(典型)最高使用温度 350 ℃、α(Br) −0.035 %/K(20〜150 ℃)高温に強い。(BH)max は N52 典型値の約55%(225÷406、本稿の計算)
焼結サマリウムコバルト Recoma 18(同上、SmCo5)0.87 T(典型)2,400 kA/m(典型)、2,000(最小)143 kJ/m³(典型)最高使用温度 250 ℃、α(Br) −0.045 %/KSmCo 磁石は耐食性が高く、ほとんどの場合保護膜なしで使えるとメーカーは記す
焼結フェライト Y30H-1(Eclipse Magnetics、流通業者のデータシート)380〜400 mT235〜290 kA/m27〜32 kJ/m³最大約250 ℃(一部の条件で約300 ℃)と同社は記す酸化鉄系で強さは小さい。La・Co 置換の高性能品もある[9・29]
ボンド Nd-Fe-B(等方、圧縮成形・エポキシ、論文)0.722 T718 kA/m(Hci)83.5 kJ/m³この論文では記載なしMQP-B 粉を使用。形状の自由度が高いが、強さは小さい

すべて事実(Arnold のカタログ Rev. 210607[参考資料7]と Recoma の表 Rev. 160205a[参考資料9]、Eclipse Magnetics のデータシート[参考資料11]、Qin と He(2013)[参考資料12])。最高使用温度はメーカーの公称で、強い反磁界や低い負荷線では、大幅に低くなりうるとメーカー自身が注記しています[参考資料9]。Curie 温度は Sagawa ら(585 K)と Coey(315 ℃)[参考資料1・4]。

磁石の系統別の最大エネルギー積((BH)max) 棒は公称の典型値。点線は Nd2Fe14B の理論上限(本稿の計算)。条件の違う値の並置です。 最高使用温度 焼結ネオジム N52 Arnold 典型値、Br 1,450 mT 406 60 °C 焼結ネオジム N35EH HcJ 最小 2,388 kA/m 279 200 °C サマリウムコバルト Recoma 28 Sm2Co17、典型値 225 350 °C サマリウムコバルト Recoma 18 SmCo5、典型値 143 250 °C ボンド Nd-Fe-B(等方) 圧縮成形・エポキシ(論文) 83.5 記載なし 焼結フェライト Y30H-1 流通業者のデータシート 27–32 約250 °C 0 100 200 300 400 500 (BH)max(kJ/m³) 理論上限 516 ※ Arnold Magnetic Technologies のカタログ(NdFeB:Rev. 210607、Recoma:Rev. 160205a)の典型値[参考資料7・9]。 ※ ボンドは Qin と He(2013)[参考資料12]、フェライトは Eclipse Magnetics のデータシート(範囲)[参考資料11]。 ※ 理論上限 = (1/4)μ0Ms² = 516 kJ/m³(Coey、μ0Ms = 1.61 T)[参考資料4]。N52 は約79%(本稿の計算)。
図3 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。各系統の最大エネルギー積の公称の典型値(棒)と、Nd2Fe14B の理論上限516 kJ/m³(点線、本稿の計算)。出典・条件の異なる値の並置で、系統や製品の優劣を示すものではありません。値は[参考資料4・7・9・11・12]によります。

同じ主相でも、どう固めるかで到達できる強さが変わります。Coey は、Nd2Fe14B(Ms=1.28 MA/m)の理想的な場合の最大エネルギー積を整理しています事実[参考資料4]。

形理想の(BH)max磁性材料あたりの効率(Coey の定義)
配向・焼結515 kJ/m³100%
配向・ボンド(充填率 f=0.7)252 kJ/m³70%((BH)max は f² に比例し、効率は f に等しい)
ランダム(無配向)・焼結129 kJ/m³25%
ランダム・ボンド(f=0.7)63 kJ/m³18%

すべて事実(Coey の表1[参考資料4]。理想的な場合の上限で、実測値ではない)。

この表が意味するのは、「配向」と「充填率」の両方が (BH)max に効くということです。ボンド磁石は、樹脂で固めるために磁性粉の割合が下がり、等方の場合は配向の利点も使えません。それでも、形状の自由度、寸法精度、任意の方向への着磁ができる点で、ハードディスクのスピンドルモーターなどに使われると Coey は述べています[参考資料4]。

素材技術者の視点②:4つの系統は「強さ・温度・資源」の三すくみ

表を縦に読むと、強さ((BH)max)が大きい順にネオジム、サマリウムコバルト、ボンド、フェライトで、使える温度の序列はおおむね逆です。ネオジムは最も強い一方、Curie 温度が約310 ℃と比較的低く(Coey は315 ℃で、使える温度範囲を限る弱点とします)、温度に弱い系統です[参考資料1・4]。サマリウムコバルトは、強さで劣る代わりに、Br の温度係数が小さく(−0.035〜−0.045 %/K)、最高使用温度が高い、とメーカーは示します[参考資料9]。フェライトは強さが小さく、酸化鉄を主とします[参考資料11]。

素材技術者にとっての要点は、系統の選択が、強さだけでなく温度と資源の制約を同時に決めることです。Coey は、ネオジムは「妥当なコストで高い性能が要る幅広い用途」に最適化されてきた材料、サマリウムコバルトは高温の安定性が要るときの選択、と整理しています[参考資料4]。ネオジムを高温で使うしわ寄せが「保磁力を保つための重希土類」に来ます(第5章)。コバルトの資源は、本シリーズ「電池材料の資源と調達」編で扱っています(本記事による解説)。

4. ネオジム磁石の作り方と、保磁力が決まる場所

ネオジム磁石は、1984年に Sagawa ら、Croat らが J. Appl. Phys. に並べて報告した材料です(Coey は発見を1982年としています)事実[参考資料1・2・4]。Sagawa らの報告は、Nd、Fe、B(約1 wt%)からなる正方晶の化合物(格子定数 a=0.880 nm、c=1.221 nm)を見いだし、Curie 温度は585 K、異方性定数は約3.5 MJ/m³、飽和磁化は1.35 T(当時の報告値)と述べ、組成 Nd15B8Fe77 の焼結磁石で Br=1.23 T、HcI=960 kA/m、(BH)max=290 kJ/m³、Br の温度係数−1260 ppm/K と記しています事実[参考資料1]。

焼結ネオジム磁石ができるまで(概念図) 各工程の下に、その工程で決まる性質を添えました。 ① 溶解・鋳造 ストリップキャスト α-Fe を抑え、粒界相を分散 ② 水素粉砕(HD) 粒界相が先に水素を吸い 割れて粗い粉になる ③ 微粉砕 ジェットミル(高圧ガス) 粒径分布と酸素量が決まる ④ 磁場中成形 磁場で向きを揃えて圧縮 配向度が Br を左右 ⑤ 焼結 不活性雰囲気または真空 密度95%超をめざす ⑥ 熱処理 粒界相の欠陥回復・連続化 保磁力を上げる ⑦ 加工 切断・研削で形状に 寸法精度が決まる ⑧ 着磁 高磁界のパルスで磁化 希土類磁石は高磁界が必要 (任意)粒界拡散:Dy・Tb を表面から入れ、粒界に沿って内部へ拡散させる 焼結後に加える工程。順序・条件はメーカーで異なり、薄い磁石向き(第5章) ※ 工程の整理は Herraiz Lalana の総説[参考資料5]、着磁は Arnold の技術ノート[参考資料10]、粒界拡散は[参考資料4・8]によります。 ※ 実際の設備・条件・順序はメーカーごとに異なります。
図4 概念図(ベクター作図)。焼結ネオジム磁石の製造工程と、各工程で決まる性質の整理です。工程の整理は Herraiz Lalana の総説[参考資料5]によります。実際の設備・条件・順序はメーカーごとに異なります。

工程の要点は次のとおりです事実[参考資料5]。

  • ストリップキャスト:溶けた合金を水冷した銅の輪に流して冷やす。冷却が速く、α-Fe の樹枝状晶を抑え、Nd リッチ相の分布を改善できる(α-Fe は粉にしにくく、配向も妨げる)
  • 水素粉砕(HD):水素がまず粒界相に吸われて膨張し、粒界で割れ、続いて主相も水素を吸って割れ、粗い粉になる。発熱し、粉は酸素と反応しやすいので不活性雰囲気で扱う
  • ジェットミル:5〜10 barの高圧ガスで粒子どうしを衝突させ、分布の狭い微粉と低い酸素量が得られる
  • 磁場中成形:全粒子の磁化容易軸を最終の磁化の向きにそろえて圧縮する。成形体(グリーン)の密度は理論密度の約60%
  • 焼結と熱処理:不活性ガスか真空中で、理論密度の95%超をめざす。焼結後の熱処理で、粒界相の欠陥が回復し、Nd リッチ相がより連続的になり、保磁力が上がることがある

保磁力が決まる場所は、結晶粒の「内部」ではなく「粒界と表面」です。Hirosawa らの総説(NIMS)は、次のように整理しています事実[参考資料3]。

  • 結晶粒の大きさはマイクロメートル級で、磁壁の厚さ(約4 nm)や交換長(Nd2Fe14B で約1.2 nm)よりずっと大きい。それでも、保磁力はナノメートルの局所的な性質に支配される
  • 粒と粒の間の粒界相(厚さ約2 nm)は、3次元アトムプローブで Fe・Co を約80 at.% 以上含むことが分かり、強磁性であることが3つの方法で示された
  • 界面の Nd イオンと一部の Fe 原子は、面内向きの(負の)異方性を持ち、保磁力を下げる

さらに Coey は、逆向きの磁化の核は、磁石の端や角の表面の不規則な部分から発生しやすいと述べます。円柱や直方体の磁石は、端・角で反磁界が最も大きくなるためです[参考資料4]。

素材技術者の視点③:「粒界」をどう設計するかが、磁石の勝負

第2章の素材技術者の視点①の続きです。Nd2Fe14B の粒を、非磁性(または弱磁性)の薄い Nd リッチ相で一粒ずつ隔てるのが理想で、これが磁気的な結合を切って、減磁の連鎖を止めます。ところが、Hirosawa らの総説によれば、実際の粒界相は強磁性を帯びており、Nd 含有を約80%まで高めると常磁性になる、という結果が出ています。(001) 面の側(粒の上下)は常磁性に近づけられるが、(001) に垂直な側面は Fe・Co の多い強磁性のまま残る、とも述べています[参考資料3]。

つまり、保磁力は組成の探索より、粒の大きさ・粒界相の量と厚み・粒界の元素分布で決まり、結晶面ごとに粒界の状態が違います。素材開発の言葉に直すと、「粉の粒度」「焼結の温度と時間」「熱処理」「添加元素(Ga など)」「酸素量」が、すべて保磁力の設計変数になります(本記事による解説。添加元素の効果は、本稿では一次情報で確認していないため、個別には書きません)。

5. 重希土類を減らす ― 粒界拡散、微細化、軽希土類への置換

Coey によれば、重希土類(Dy・Tb)は、スピン軌道相互作用を通じて一軸異方性を高めるために入れられます。2011年ごろの高温グレードでは、Dy・Tb が重量比で約5%、Dy/Nd 比が約0.16で、重希土類を使わない磁石に比べて原料コストが約2倍だったとされます。その状況を受けて、重希土類を減らす・使わない磁石の研究が進みました事実[参考資料4]。 重希土類には代償があります。重希土類を加えると異方性は高まる一方、磁化は弱まります(Coey)[参考資料4]。つまり、保磁力を買うために、強さを手放すことになります。

重希土類を減らす手段は、大きく3つあります。

  1. 粒界拡散(GBD):逆磁化の核は表面や粒界の不規則な部分から生じやすいので、そこだけを Dy・Tb で強化する。焼結後に表面から重希土類を入れ、粒界に沿って拡散させる事実[参考資料4・6・8]
  2. 微細化:粉の粒径を1 µm級まで小さくすることで、重希土類の必要量を減らしてきた事実[参考資料4]。Hirosawa らは、結晶粒が小さいと、反転した表面の粒が作る有効な反磁界が小さくなる、と説明する[参考資料3]
  3. 軽希土類への置換:Nd の一部を、より豊富で安い La・Ce で置き換える事実[参考資料4・14](レアアースフリーの磁石は、本シリーズ「レアアースフリー磁石」編で扱います)
左は粒の内部にも入れる例、右は表面から粒界へ導入する考え方です
図5 概念画像(ImageGenで生成)。左は粒の内部にも入れる例、右は表面から粒界へ導入する考え方です。色は重希土類の位置の模式で、実測の濃度分布ではありません。 [参考資料4] [参考資料8] 形状・色・寸法は説明用です。数値と原文の対応は下の元図で確認できます。
元のSVG模式図と正確な説明を見る
重希土類を「全体に入れる」か「表面から入れる」か(概念図) 結晶粒の大きさ・数・厚みは説明用で、実在の組織ではありません。 従来:合金の段階で Dy を全体に添加 どの粒にも Dy が入る HcJ は上がるが、磁化(Br)は下がる 粒界拡散:焼結後に表面から Dy・Tb を拡散 Dy・Tb の供給源(塗布・蒸着など) 表面に近い粒の外側だけを強化 深部には届きにくい=薄い磁石向き 橙=Dy・Tb が多い領域、青灰=Nd 主体の主相 ※ 全体添加で磁化が下がる点は Coey[参考資料4]、拡散が薄い磁石(6 mm 未満)に向く点は Arnold のカタログ[参考資料8]によります。 ※ 従来法でも主相の粒界近傍に Dy が偏る場合などがあり、図は両極端を単純化したものです(本稿の整理)。
図5 概念図(ベクター作図)。重希土類を合金の段階で全体に入れる従来法と、焼結後に表面から拡散させる粒界拡散の違いを示した説明用の図です。粒の大きさ・数・厚みは説明用で、実在の組織ではありません。全体添加で磁化が下がる点は Coey[参考資料4]、拡散が薄い磁石に向く点は Arnold[参考資料8]によります。

粒界拡散の効果は、Arnold のカタログで確認できます。同社は、粒界拡散の「GBD Neo」について、Dy・Tb の使用量を減らしつつ保磁力を高め、残留磁束密度の低下を抑える、薄い磁石(厚さ6 mm未満)か積層材に向くと説明しています事実[参考資料8]。同じ保磁力の等級で、標準グレードと粒界拡散グレードを並べると、次のようになります。

HcJ の等級(最小)標準グレード粒界拡散グレード差(本稿の計算)
1,592 kA/m(最高使用温度 150 ℃の等級)N42SH:Br 1,310 mT、(BH)max 330 kJ/m³G52SH:Br 1,440 mT、(BH)max 402 kJ/m³Br+9.9%、(BH)max+21.8%
1,990 kA/m(同 180 ℃)N40UH:Br 1,270 mT、(BH)max 318 kJ/m³G54UH:Br 1,450 mT、(BH)max 418 kJ/m³(HcJ 最小は1,910)Br+14.2%、(BH)max+31.4%(HcJ は約4%小さい)
2,388 kA/m(同 200 ℃)N40EH:Br 1,270 mT、(BH)max 314 kJ/m³G46EH:Br 1,360 mT、(BH)max 362 kJ/m³Br+7.1%、(BH)max+15.3%

事実(Arnold のカタログ Rev. 210607[参考資料7・8]、典型値の Br と(BH)max、HcJ は最小値)。差の列は本稿の計算(粒界拡散グレード÷標準グレード−1)。同一メーカー内の比較で、他社の値を示すものではありません。粒界拡散グレードは薄い磁石向きで、形状・大きさの条件が異なります。

本稿の計算(2):何を読み取るか

本稿の計算同じ HcJ の等級で、粒界拡散グレードは標準グレードより Br が約7〜14%、(BH)max が約15〜31%高く出ています。これは、同じ保磁力を、磁化を犠牲にせず得ることに粒界拡散が貢献していることと整合します(Dy・Tb の使用量そのものの削減率は、本稿では一次情報で確認できなかったため示しません)。

前提と限界:Arnold の公称の典型値同士の比較で、等級の保磁力の最小値は同じではないもの(G54UH の HcJ 最小は1,910 kA/m)があります。粒界拡散グレードは、厚さ6 mm未満の磁石が対象で、大きな磁石には同じ効果を期待できない(拡散が深部へ届きにくい)点が、設計上の制約です[参考資料8]。

粒界拡散のほかに、重希土類を使わない道もあります。次の2件は、企業の公表であり、他社・他の用途にそのまま当てはまるものではありません。

  • 熱間加工(ホットデフォーム)磁石:Honda と大同特殊鋼は2016年7月12日に、重希土類を含まない熱間加工ネオジム磁石を、世界で初めてハイブリッド車の駆動モーターに実用化したと発表しました。熱間加工法は、焼結磁石より約10分の1の微細な結晶粒を得られるとされ、Honda は磁石と回転子の形も見直して、従来磁石を使うモーターと同等のトルク・出力・耐熱性を示したと記しています事実(企業の発表)[参考資料13]。
  • ランタン・セリウム置換:トヨタは2018年2月20日に、Nd の一部を La・Ce に置き換えて Nd 使用量を最大50%減らし、Tb・Dy を使わず、従来のネオジム磁石と同等の耐熱性を持つ磁石を開発したと発表しました。同社は、量産技術の開発を進め、自動車やロボットでの早期の採用をめざす、としています事実(企業の発表)[参考資料14]。実用化の状況は、本稿では確認していません未確定/将来。
素材技術者の視点④:重希土類は「強さを払って保磁力を買う」添加

Dy・Tb を合金全体に入れると、主相の異方性が上がって保磁力が増しますが、磁化が下がります(Coey)。粒界拡散は、保磁力が必要な表面の薄い層だけに重希土類を置く設計で、「必要な場所にだけ払う」という発想です[参考資料4]。

Hirosawa らの総説の考え方では、さらに根本的な解は、粒界の磁気的な性質と微細組織の制御で、重希土類なしに保磁力を得ることです。彼らの目標は、サブミクロンの微細粒の異方性 Nd-Fe-B で、室温の保磁力2 MA/m を得ること(160 ℃で安全に動作させるための値)で、熱間加工と粒界拡散で作った Dy フリーの試料は、この保磁力の水準に届いたように見える一方、Br を商用の焼結磁石の水準に近づけることが課題、と述べています[参考資料3]。素材開発の言葉では、「保磁力は上げたが磁化が下がった」というトレードオフの位置を、少しずつ右上へ動かす仕事です(本記事による解説)。

6. 温度という制約 ― 使える温度は保磁力で決まる

磁石の磁気特性は温度で変わります。Coey は、損失を3つに分けています事実[参考資料4]。

  • 可逆の損失:Br と HcJ は、Ms と K1 の温度依存のため、温度が上がると下がり、常温に戻れば回復する。避けられない
  • 不可逆の損失:完全に着磁した準安定な磁区構造が、高温で変わることによる。常温で再着磁すれば戻る
  • 回復しない損失:酸化や希土類の揮発など、組成・組織の変化による

高温用途の磁石のメーカーは、使用温度域より約50 K 高い温度で磁石を「条件づけ」し、不可逆の損失をあらかじめ出し切ることがある、とも述べます[参考資料4]。

温度で変わる Br と HcJ(本稿の計算:平均の温度係数による直線近似) 同じメーカーの2製品。ネオジム N40UH と、サマリウムコバルト Recoma 33E。20 ℃から180 ℃。 ネオジム N40UH(Arnold) サマリウムコバルト Recoma 33E(Arnold) 残留磁束密度 Br(典型値) 900 1,000 1,100 1,200 1,300 20 °C 100 °C 180 °C mT 1,270 1,160 1,026 1,095 固有保磁力 HcJ(最小値) 0 500 1,000 1,500 2,000 20 °C 100 °C 180 °C kA/m 1,990 1,750 509 1,040 使った係数(Arnold の技術ノートの表:20 ℃から180 ℃の平均)[参考資料10] N40UH:α(Br) = −0.12 %/℃、α(HcJ) = −0.465 %/℃  Recoma R33E(本図の33E):α(Br) = −0.035 %/℃、α(HcJ) = −0.254 %/℃ ※ 20 ℃の値は、N40UH が Arnold のカタログ[参考資料7](Br 典型 1,270 mT、HcJ 最小 1,990 kA/m)、  33E が Recoma の表[参考資料9](Br 典型 1.16 T、HcJ 最小 1,750 kA/m)。 ※ 可逆の変化のみ(不可逆の減磁・経年は含まない)。係数は平均値で、実際の曲線は直線ではありません。 ※ 製品も磁気回路も異なる値の比較で、優劣を示すものではありません。
図6 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。Arnold の技術ノートの平均温度係数(20〜180 ℃)[参考資料10]を使い、ネオジム N40UH とサマリウムコバルト Recoma 33E の Br(典型値)と HcJ(最小値)を、直線で近似したものです。可逆の変化のみで、製品も磁気回路も異なる値の比較であり、優劣を示すものではありません。
本稿の計算(3):180 ℃ で何が起きるか

本稿の計算Arnold の技術ノートの表[参考資料10]から、20〜180 ℃の平均の温度係数は、N40UH が α(Br)=−0.12 %/℃、α(HcJ)=−0.465 %/℃、Recoma R33E が α(Br)=−0.035 %/℃、α(HcJ)=−0.254 %/℃です。20 ℃の値は、N40UH が Br 典型1,270 mT・HcJ 最小1,990 kA/m[参考資料7]、Recoma 33E が Br 典型1.16 T・HcJ 最小1,750 kA/m[参考資料9]です。温度差160 ℃を掛けると、次のようになります。

  • Br:N40UH は1,270×(1−0.0012×160)=約1,026 mT、Recoma 33E は1,160×(1−0.00035×160)=約1,095 mT。20 ℃では N40UH のほうが高い(1,270対1,160)が、180 ℃では逆転する
  • HcJ:N40UH は1,990×(1−0.00465×160)=約509 kA/m、Recoma 33E は1,750×(1−0.00254×160)=約1,040 kA/m。20 ℃の保持率は、前者が約26%、後者が約59%

前提と限界:平均の温度係数を直線で当てはめた概算です。実際の曲線は直線ではなく、不可逆の減磁や経年は含みません。20 ℃の値は典型値(Br)と最小値(HcJ)が混在し、製品も異なります。N40UH の最高使用温度は180 ℃(Arnold の技術ノート)で、この計算は、その温度の近くで磁石がどのくらい余力を残すかの目安です。

ほかにも、温度には次の側面があります事実[参考資料10]。

  • 低温側:ネオジムは約140 K で「スピン再配列」を起こし、磁化の容易軸が円錐状になって磁気特性が大きく下がる。Nd の80%以上を Pr で置換すると、この再配列がなくなる
  • フェライトは逆:温度が上がると保磁力が増す。そのかわり、低温で保磁力が小さくなり、実用の下限は標準のフェライトで−40 ℃、La-Co フェライトで約−60 ℃
  • 最高使用温度は条件つき:メーカーが示す最高使用温度は、強い反磁界や低い負荷線の条件では大きく下がりうる[参考資料9]
素材技術者の視点⑤:「最高使用温度」は材料の値ではなく、材料+磁気回路の値

Br は、温度が上がると、ネオジムで−0.12 %/℃のペースで下がりますが、これは可逆で、設計に織り込めます。怖いのは、HcJ が使う温度で、動作点の反磁界を下回ることで、不可逆の減磁が起きます(第2章)。Hirosawa らは、約200 ℃での動作に室温の保磁力2.4 MA/m(3 T)の Nd-Dy-Fe-B 焼結磁石が要るとされる HEV 用途で、保磁力の平均温度係数を−0.5 %/K と仮定すると、動作温度で必要な HcJ は約600 kA/m 程度になる、と見積もっています[参考資料3]。

メーカーの最高使用温度は、特定の負荷線を前提にした値と読めます(Arnold は、強い反磁界や低い負荷線では、最高使用温度は大幅に低くなりうると注記)[参考資料9]。素材技術者としては、データシートの温度は「その磁石の限界」ではなく「ある磁気回路での限界」と読み替え、モーターや回路の設計者と、どの動作点で使うのかを突き合わせる必要があります(本記事による解説)。

7. 用途 ― EV のモーターと風力発電

USGS は、世界の用途として最も大きいのは磁石だと推定しています(米国では触媒が最大)事実[参考資料15]。Hirosawa らは、生産量の順に、自動車(電動車以外)、ディスクドライブ、HEV・EV、電動自転車、トランスデューサー(スピーカーを含む)を挙げ、風力発電などの発電・蓄エネルギー機器を、近い将来に大量の高性能磁石を使う分野として挙げています事実[参考資料3]。

合金から粉体、成形、焼結、加工品へ進む工程例です
図7 概念画像(ImageGenで生成)。合金から粉体、成形、焼結、加工品へ進む工程例です。粉体は囲いの中で扱い、炉外の試料は冷却済みとして示しています。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。

EV・HEV の駆動モーターの多くは、磁石を回転子の薄いスロットに埋め込むIPM(埋込磁石)型です。この型は、固定子の巻線がつくる強い反磁界を磁石が受けるため、高い保磁力が前提になります。高速回転では磁石の磁束が巻線に大きな電圧を生み、「弱め界磁」で磁束を打ち消す必要が生じて、損失が増える弱点もある、と Hirosawa らは説明しています[参考資料3]。

素材技術者の視点⑥:モーターの設計が、磁石に求める性質を変える

Hirosawa らは、モーターの方式によって磁石に求める性質が変わることを示しています。通常の IPM 型は高い保磁力と、できるだけ大きい Br を求めます。一方、磁石を高速域でわざと減磁し、低速域で再着磁する可変磁力モーターでは、保磁力の低い(弱い)磁石が適し、フェライトなど弱い磁石を使えるリラクタンス補助型も、まだ開発段階にあるとされます。ただし同論文は、当面は IPM 型が主流で、高保磁力ネオジムが大規模用途の中心であり続けると見通しています事実[参考資料3]。

素材の側から見ると、「磁石を良くする」ことと「磁石に求める性質を変えるモーターを設計する」ことは、同じ資源問題の別々の解き方です。重希土類を減らす方向は、磁石側(第5章)と、回路側(保磁力を減らせる設計)の両方にあります(本記事による解説)。

レアアースが製品に占める割合は、小さいと IEA は見ています。IEA の Global Critical Minerals Outlook 2026 は、レアアースは永久磁石のコストの約40%を占めるが、車1台の価値の1%未満としています事実[参考資料17]。これは、価格が上がっても最終製品への影響が限定的な場合があるという文脈での記述で、価格の見通しを示すものではありません。

風力発電機・EV モーター1台あたりの磁石の使用量や、レアアースの含有量は、設計や容量で大きく異なります。本稿では、公的機関や査読論文で、単一の代表値を確認できなかったため、数値を示しません(第10章)。

8. レアアースの供給 ― 産出、精製、中国の輸出管理(段階と日付)

(1) 掘る国と、精製する国

USGS の Mineral Commodity Summaries 2026(2026年2月)によると、2025年(推定)の世界のレアアース鉱山生産は約390,000 t(酸化物換算)で、中国が270,000 t、米国が51,000 t、オーストラリアが29,000 t、ミャンマーが22,000 t です事実[参考資料15]。本稿の計算中国の割合は約69%(270,000÷390,000)です。埋蔵量は、中国が44 Mt、世界計が75 Mt 超(USGS)で、中国の割合は6割未満(44÷75超)になります。

レアアースの鉱山生産(2025年推定)と、精製の集中 単位は酸化物(REO)換算のトン。割合は USGS の表から本稿が計算。 中国 270,000 (69.2%) 米国 51,000 (13.1%) オーストラリア 29,000 (7.4%) ミャンマー 22,000 (5.6%) タイ 4,800 (1.2%) マダガスカル 2,700 (0.7%) その他(差引) 10,500 (2.7%) 世界計 390,000 t(USGS の丸めた値)。埋蔵量は中国 44 Mt、世界計 75 Mt 超(USGS)。 掘る国と、精製する国は同じではない 鉱山生産の中国の割合 約69%(USGS、本稿の計算) 精製の最大供給国(中国) 90%超 (IEA の記述) ※ USGS Mineral Commodity Summaries 2026[参考資料15]。精製は IEA Global Critical Minerals Outlook 2026[参考資料18]:「ガリウム・黒鉛・マンガン・  レアアースで最大の精製国(中国)が世界供給の90%超」。IEA は2023年から2025年に集中がわずかに下がったとも記す[参考資料17]。
図8 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。2025年(推定)のレアアース鉱山生産(USGS)と、精製の最大供給国の割合(IEA の記述)。割合は USGS の表から本稿が計算しました。国別の割合は鉱山生産のもので、精製・磁石製造の割合ではありません。値は[参考資料15・17・18]によります。

鉱山より、精製のほうが集中しています。IEA は、ガリウム・黒鉛・マンガン・レアアースで、最大の精製国である中国が世界の供給の90%超と記しています。一方で、レアアースの精製は、米国の新規事業とマレーシアの増産によって、2023〜2025年に集中度がわずかに下がった例外だとしています事実[参考資料17・18]。

USGS は、重希土類(Tb・Dy など)について、米国は2025年に重希土類の鉱物を採掘したが、持続的な商業規模で重希土類の化合物や金属を生産した企業はなかった、と記します。2021〜2024年の米国の輸入元は、テルビウムが中国100%、ホルミウムが中国100%(USGS)です事実[参考資料16]。米国政府系の融資など、分離施設への支援の動きも記されています[参考資料16]。

(2) IEA の見通し(シナリオ)

IEA のシナリオでは、既存・発表済みの案件で、2035年に中国以外で期待できるレアアースの鉱山能力は約50 kt、計画された精製・分離能力は40 kt 未満(主にマレーシアと米国)、金属・合金・磁石の下流の能力は約18 kt(レアアース含有量)にとどまります未確定/将来[参考資料18]。同じ報告は、供給源を多様化した精製能力は2035年の採掘供給の約3分の2に当たる一方、計画された磁石の生産能力は約3分の1にすぎず、磁石のレアアース供給網の多様化には、今後10年で約600億ドルの投資が必要と試算します未確定/将来[参考資料17]。

素材技術者の視点⑦:鉱山より「精製」と「磁石化」が弱い鎖

数字を縦に読むと、鉱山(中国の約69%)→精製(同90%超)→(IEA によれば)磁石の生産能力、と下流へ行くほど集中や不足が大きくなります。素材技術者にとって、これは「どの元素を使うか」が、そのままどの工程の設備と技術を持つ国に依存するかの選択になることを意味します。重希土類(Dy・Tb)は、供給が特に細いため、設計で減らす対象になりました(第5章)。

中国の輸出管理は、鉱物そのものだけでなく、磁石、製造設備、製造技術にまで及ぶ設計になっています(次項)。電池材料でも同じ構図(掘る国と精製する国が違う)があり、本シリーズ「電池材料の資源と調達」編で扱っています(本記事による解説)。

(3) 中国の輸出管理 ― 公布・施行・停止を区別する

中国商務部(と海関総署)の公式の公告で、段階と日付を確認しました。確認日は2026年10月10日で、以降の変更は反映していません。

中国のレアアース関連の輸出管理:公布・施行・停止の段階(確認日 2026年10月10日) いずれも商務部(と海関総署)の公式の公告で確認。日付は公告の記載。 2025-04-04 公告第18号 施行(公布日から) Sm・Gd・Tb・Dy・Lu・Sc・Y の7元素の金属・合金・酸化物・化合物を管理対象に。 Sm-Co 磁石と、Tb・Dy を含む Nd-Fe-B 磁石も含む。輸出には許可が必要。 2025-10-09 公告第56・57・61・62号 公布 → のち停止 57号:Ho・Er・Tm・Eu・Yb(Ho 含有磁石・磁気冷凍材料を含む)。56号:設備と原料。 56・57号は2025-11-08、61号の一部は2025-12-01から施行と定めた。62号(技術)は公布日から。 2025-11-07 公告第70号 停止中 第55・56・57・58号と、第61・62号の実施を暂停(一時停止)すると決定。 期間は2026-11-10まで。第18号は第70号の列挙に含まれない。 2026-01-06 2026年第1号 施行(公布日から) 日本の軍事ユーザー・軍事用途向けの、すべての両用物項の輸出を禁止。 民生用途の扱いは、公告の文面からは読み取れない。 2026-11-10 停止の期限 未確定/将来 期限後に停止が延長されるか、措置が効力を持つかは確認できなかった。 実際の判断では、商務部の最新の公告を確認する必要がある。 ※ 公告第18・56・57・61・62・70号と2026年第1号の原文(商務部)[参考資料19〜25]。USGS も同じ流れを記す[参考資料15]。 ※ 概念図。措置の解釈・影響の評価は含みません。
図9 概念図(ベクター作図)。中国のレアアース関連の輸出管理の段階(公布・施行・停止)を、日付順に整理した図です。いずれも商務部(と海関総署)の公式の公告で確認し、措置の解釈や影響の評価は含みません。[参考資料19〜25]
措置内容(公式の公告)段階(確認日 2026年10月10日)
公告2025年第18号(2025年4月4日)Sm・Gd・Tb・Dy・Lu・Sc・Y の7元素の金属・合金・酸化物・化合物。Sm-Co 磁石(永久磁石材料)、Tb または Dy を含む Nd-Fe-B 磁石を含む(磁体・磁粉)。輸出者は許可を申請。「本公告は発布の日から正式に実施」[19]施行済み。USGS は、4月の措置は有効のまま(2025年12月時点)で、一部の輸出者への一般許可(general licenses)が出始めたと記す[15・16]
公告2025年第57号(2025年10月9日)Ho・Er・Tm・Eu・Yb の5元素の金属・合金・酸化物・化合物。Ho では永久磁石材料、磁気冷凍材料、磁歪材料も含む。「2025年11月8日から正式に実施」[20]公布済み。第70号により停止中
公告2025年第56号(同日)稀土生産加工設備(遠心抽出設備、焼成窯、真空誘導還元炉、稀土永久磁石の真空誘導鋳片炉など)と原料・助剤(抽出剤など)。「2025年11月8日から正式に実施」[21]公布済み。第70号により停止中
公告2025年第61号(同日)域外適用。中国原産の稀土物項を価値で0.1%以上含む域外製品、中国原産の稀土技術で域外生産した物項などに許可を要求。「一(一)・(二)は2025年12月1日から、(三)は公布の日から実施」[22]公布済み。第70号により停止中
公告2025年第62号(同日)稀土の採掘・冶炼分離・金属冶炼・磁材製造・二次資源回収利用の技術(および生産線の装配・調試・維護・維修・升級等の技術)。「磁材製造」は Sm-Co、Nd-Fe-B、Ce 磁石の製造技術を指す。「本公告は発布の日から実施」[23]公布済み。第70号により停止中
公告2025年第70号(2025年11月7日)第55・56・57・58号と、第61・62号を、即日から2026年11月10日まで暂停(一時停止)すると決定。時効状態は「現行有効」[24]停止中。期限は2026年11月10日。期限後は未確定/将来(確認できなかった)
商務部公告2026年第1号(2026年1月6日)日本の軍事ユーザー・軍事用途、および日本の軍事力の向上に資する最終用途向けの、すべての両用物項の輸出を禁止。第三国から日本の主体への転売・提供も法的責任の対象と記す[25]施行済み(公布の日から)。民生用途の扱いは、公告の文面からは読み取れない

すべて事実(中国商務部・海関総署の公告の原文[参考資料19〜25]、USGS[参考資料15])。第55・58号は超硬材料と電池材料の措置で、レアアースではないため本表では扱いません。公告の日本語訳は本稿が行いました。

段階の区別を誤ると、結論が変わる

「中国がレアアースの輸出管理を強化した」と報道された措置には、施行済み(2025年4月の第18号)と、公布されたが停止中(2025年10月の第56・57・61・62号)があります。IEA も、2025年4月の措置の影響で自動車メーカーが稼働率を下げたり、一時的に止めたりしたこと、10月の拡大措置は2026年11月まで1年間停止されたが「脆弱性は残る」ことを記しています事実[参考資料17]。 IEA は、全面的に実施された場合に、中国国外の下流の生産で年約6.5兆ドルが危険にさらされると試算します未確定/将来(シナリオの試算)[参考資料17]。 実際の判断では、各国政府の最新の公告を確認してください。本稿の日付は、確認日以降に変わりうるものです。

9. 制度 ― 欧州の重要原材料法と、日本の特定重要物資

欧州連合:規則(EU)2024/1252(重要原材料法)は、「磁石用の希土類元素(Nd、Pr、Tb、Dy、Gd、Sm、Ce)」を戦略的原材料の一つに挙げます。2030年までの目標(第5条)は、域内の抽出で年間消費の10%、加工で40%、リサイクルで25%、どの第三国への依存も65%以下とします事実[参考資料26]。

永久磁石には専用の条項があります(第28・29条)。MRI、風力発電機、産業用ロボット、自動車、ヒートポンプ、電動機などの製品に、永久磁石の有無と種類(ネオジム鉄ホウ素、サマリウムコバルト、アルニコ、フェライト)を示すラベルと、磁石の重量・位置・化学組成・取り外し方法を引けるデータキャリアを求めます。実施法の採択期限は2026年11月24日で、要求は実施法の発効から2年後に適用されます(国防・宇宙用途は第28条の対象外)。リサイクル材の含有割合(Nd・Dy・Pr・Tb・B・Sm・Ni・Co)の公表は、2027年5月24日または委任法の発効から2年後の遅いほうです事実[参考資料26]。実施法・委任法が採択済みかは、本稿では確認していません未確定/将来。

日本:内閣府によると、経済安全保障推進法に基づき、令和4年(2022年)12月に特定重要物資として永久磁石を含む11物資が政令で指定されました事実[参考資料27]。個別の認定や支援の内容は、本稿では確認していません。

リサイクルの現状:USGS は、米国では電池、永久磁石、蛍光灯から回収されるレアアースは限られると記します[参考資料15]。IEA は、将来、初期の EV と風力タービンの使用済みの量が増えることで磁石のリサイクルが恩恵を受けうるとしています未確定/将来[参考資料17]。リサイクルの技術は、本稿では扱いません(第10章)。

10. 限界と、確認できなかったこと

(1) メーカーの数値

Arnold の典型値・最小値は、同社の標準グレードの公称で、他社の値ではありません。粒界拡散グレードは厚さ6 mm未満向けです。Eclipse Magnetics は流通業者のデータシートで、メーカーの規格値ではありません。TDK のフェライトのデータシートは、サイトに接続できず確認していません。ボンド磁石の値は、1本の論文(MQP-B 粉、エポキシ、圧縮成形)の例です。

(2) 重希土類の削減量

粒界拡散や熱間加工による Dy・Tb の使用量の削減率(重量%)は、一次情報で確認できなかったため示していません。Honda・大同特殊鋼とトヨタの発表は企業の公表で、他の用途・他社の磁石に一般化できません。トヨタの磁石の実用化の状況は確認していません。

(3) 使用量の代表値

風力発電機・EV モーター1台あたりの磁石の質量やレアアース含有量は、公的機関・査読論文で単一の代表値を確認できなかったため、記載していません。

(4) 供給と制度

中国の公告第70号による停止は2026年11月10日まで(確認日の約1か月後)で、期限後の扱いは確認できませんでした。EU の永久磁石の実施法・委任法の採択の有無、日本の特定重要物資「永久磁石」の個別の認定や支援の内容は、確認していません。2026年第1号の民生用途への影響は、公告の文面から読み取れません。

(5) 範囲外

アルニコ磁石、リサイクルの技術(水素処理など)、価格と価格の予測、磁石の腐食・表面処理、安全(強磁界の取り扱い)は扱っていません。レアアースフリー磁石は「レアアースフリー磁石」編、磁気熱量材料は「磁気熱量効果と磁気冷凍」編、薄膜の磁気材料は「スピントロニクス材料」編で扱います。

この記事のまとめ
  • 磁石は Br・HcJ・(BH)max で読み、すべて条件つきです。Arnold の N52 の(BH)max 典型値は理論上限の約79%。1984年の最初の焼結磁石は約56%でした事実/本稿の計算
  • 保磁力は組織で決まり、重希土類は「強さを払って買う」添加です。粒界拡散は同じ保磁力の等級で Br を約7〜14%、(BH)max を約15〜31%高く出す(Arnold の公称値の比較、薄い磁石向け)事実/本稿の計算
  • 温度で系統が入れ替わります。20 ℃ではネオジムの Br が高いが、180 ℃近くでは平均係数の概算でサマリウムコバルトが上回る本稿の計算
  • 供給の弱点は精製と磁石化です。中国は鉱山で約69%、精製で90%超(IEA)。中国の輸出管理は、2025年4月の措置が施行済み、10月の拡大措置は公布済みで2026年11月10日まで停止中です事実
  • 制度は動いています。EU は磁石のラベル・データ・リサイクル材割合を求め(実施法の期限は2026年11月24日)、日本は永久磁石を特定重要物資に指定しました事実/未確定/将来

11. 評価・標準の読み方

永久磁石の性能は、減磁曲線を測り、そこから Br・HcB・HcJ・(BH)max を読みます。一般的な評価手法は、電磁石の極の間に試料を挟む閉磁路のヒステリシスグラフ(電磁石法)と、保磁力が非常に高い磁石向けの開磁路(超電導磁石を使う振動試料型磁力計など)で、測定は、試料の形状・温度・着磁の程度に影響されます[参考資料10・30・32]。規格は「試験方法」と「材料ごとの最小値の規定」に分かれます。

評価項目ISOIEC・IEEEJISASTM(番号・題名のみ)測定条件で値が変わる点
減磁曲線・Br・HcB・HcJ・(BH)max(閉磁路)確認できなかったIEC 60404-5:2015「Magnetic materials – Part 5: Permanent magnet (magnetically hard) materials – Methods of measurement of magnetic properties」(第3版、2015-04-16)[28]
IEEE:確認できなかった
JIS C 2501:2019「永久磁石試験方法」(IEC 60404-5:2015 を基にした修正採用〔MOD〕)[31]ASTM A977/A977M「Standard Test Method for Magnetic Properties of High-Coercivity Permanent Magnet Materials Using Hysteresigraphs」(確認した版:A977M-07〔2013年再承認〕)[10]測定温度(JIS C 2501 は23±5 ℃を推奨、温度係数の大きい材料は±1 ℃を強く推奨)。HcJ が1.6 MA/m を超えると、閉磁路では極片が磁気飽和して大きな誤差が出ることがある(JIS C 2500 の注記[32])
高保磁力磁石の開磁路測定(超電導磁石、反磁界補正)確認できなかったIEC 60404-18:2025「Permanent magnet (magnetically hard) materials – Methods of measurement of the magnetic properties in an open magnetic circuit using a superconducting magnet」(第1版、2025-02-20)[30]JIS C 2500:2022「超電導磁石を用いる開磁路法による永久磁石の磁気特性測定方法」(IEC TR 63304:2021 を参考にして制定)[32]確認できなかった試験片の形状と反磁界補正の方法で、測った減磁曲線が変わる。JIS C 2500 は HcJ が2 MA/m を超える磁石の測定が可能とする
材料グレードの最小値の規定確認できなかったIEC 60404-8-1:2023「Magnetic materials – Part 8-1: Specifications for individual materials – Permanent magnet (magnetically hard) materials」(第4版、2023-09-20)[29]JIS C 2502:2019「永久磁石材料」(IEC 60404-8-1:2015 を基にした修正採用〔MOD〕)[33]ASTM A1101「Standard Specification for Sintered and Fully Dense Neodymium Iron Boron (NdFeB) Permanent Magnets」(確認した版:A1101-23)[34]
ASTM A1054「Standard Specification for Sintered Ferrite Permanent Magnets」(確認した版:A1054-16)[35]
規格の最小値は保証値で、メーカーの「典型値」と異なる。グレードの対象材料の範囲は版で異なる(IEC の2023年版は熱間加工 Nd-Fe-B などを追加)
温度係数・最高使用温度確認できなかった温度係数の用語は IEC の定義に従うと Arnold は記す[10]。最高使用温度を定める規格は確認できなかった確認できなかった確認できなかった係数は温度範囲の指定が必須(フェライト20〜100 ℃、SmCo 20〜150 ℃など)。最高使用温度は負荷線の条件で大きく変わる[9]

各行の規格の番号・題名・版は事実(IEC・JSA・BSI・AFNOR の書誌ページ、Arnold の技術ノートの参考文献で確認)。表の整理は本稿の計算に当たる編集作業です。ASTM の規格は、ASTM のサイトを開かず、ASTM 以外の公開資料で番号・題名を確認した範囲のみ記載し、試験条件・手順・合否基準は書いていません。規格の本文は有料で確認していません。

位置づけの違い:IEC 60404 は国際規格(TC 68:磁性合金・鋼)で、JIS C 2501・C 2502 は、それぞれ IEC 60404-5・60404-8-1 の2015年版を基に技術的な内容を修正した国内規格(MOD)です。JIS C 2500 は、IEC TR 63304:2021 を参考に2022年に制定されました。IEC には、同じ超電導磁石を使う開磁路の測定方法(SCM-VSM 法と SCM 引抜き法)を扱う IEC 60404-18:2025 があります。ASTM は米国の業界規格で、IEC・JIS と並行して使われます。JIS C 2502 が基にした IEC 60404-8-1 は2015年版で、2023年版の追加内容(熱間加工 Nd-Fe-B など)を JIS が取り込んだかは、本稿では確認していません未確定/将来。

規格の読み方の注意

  • 規格は「試験方法」であり、性能を保証するものではない。IEC 60404-8-1・JIS C 2502 の最小値は、そのグレードの保証側の値で、カタログの「典型値」とは違う
  • 同じ「HcJ」でも、測り方で値が変わる。閉磁路の電磁石法は HcJ が高い磁石で誤差が出やすく、開磁路の超電導磁石法は反磁界補正が要る。どちらの方法で、何 ℃で測った値かを確認する
  • メーカーの値は、準拠規格・版・測定温度・典型か最小かを併記して読む。最高使用温度は、規格の量ではなく、メーカーが負荷線などの条件を付けて示す値と読める

12. 用語集

Br(残留磁束密度)
外部磁界なしで磁石が保つ磁束密度。強さの目安。
HcB/HcJ
B/J がゼロになる逆磁界。HcJ(固有保磁力)が減磁への強さ。
(BH)max
最大エネルギー積。B×H の最大値。
Hk・角形比
J が0.9Brに下がる逆磁界と、Hk÷HcJ。
α(Br)・α(HcJ)
Br・HcJ の平均の温度係数。温度範囲を添える。
異方性磁界 HA
磁化の向きを回すのに要る磁界の物理的な上限。
負荷線・動作点
磁気回路で決まる直線と、B 曲線の交点が磁石の動作点。
HD
水素粉砕。合金に水素を吸わせて割る工程。
GBD
粒界拡散。表面から Dy・Tb を粒界に沿って入れる。
HREE/LREE
重希土類(Dy・Tb など)/軽希土類(La・Ce・Nd など)。
IPM
埋込磁石型。磁石を回転子の内部に埋め込むモーター。
REO
酸化物換算。レアアースの量を酸化物の質量で表す。
両用物項
民生用と軍事用の両方に使える物品・技術。中国の輸出管理の対象を表す。
Curie 温度
強磁性が失われる温度。

13. 参考資料(一次情報)

  1. Sagawa M. ほか “New material for permanent magnets on a base of Nd and Fe (invited)”, J. Appl. Phys. 55, 2083–2087 (1984), DOI 10.1063/1.333572 — doi.org/10.1063/1.333572
  2. Croat J. J. ほか “Pr-Fe and Nd-Fe-based materials: A new class of high-performance permanent magnets (invited)”, J. Appl. Phys. 55, 2078–2082 (1984), DOI 10.1063/1.333571 — doi.org/10.1063/1.333571
  3. Hirosawa S., Nishino M., Miyashita S.(NIMS) “Perspectives for high-performance permanent magnets: applications, coercivity, and new materials”, Adv. Nat. Sci.: Nanosci. Nanotechnol. 8, 013002 (2017), DOI 10.1088/2043-6254/aa597c(オープンアクセス) — doi.org/10.1088/2043-6254/aa597c
  4. Coey J. M. D. “Perspective and Prospects for Rare Earth Permanent Magnets”, Engineering 6, 119–131 (2020), DOI 10.1016/j.eng.2018.11.034(オープンアクセス) — doi.org/10.1016/j.eng.2018.11.034
  5. Herraiz Lalana E. “Permanent magnets and its production by powder metallurgy”, Rev. Metal. 54(2), e121 (2018), DOI 10.3989/revmetalm.121(オープンアクセス) — doi.org/10.3989/revmetalm.121
  6. Hirota K. ほか “Coercivity Enhancement by the Grain Boundary Diffusion Process to Nd–Fe–B Sintered Magnets”, IEEE Trans. Magn. 42, 2909–2911 (2006), DOI 10.1109/TMAG.2006.879906(書誌のみ確認) — doi.org/10.1109/TMAG.2006.879906
  7. Arnold Magnetic Technologies “Neodymium Iron Boron Magnet Catalog”(Rev. 210607) — arnoldmagnetics.com/…/Arnold-Neo-Catalog.pdf
  8. Arnold Magnetic Technologies “Grain Boundary Diffused Neodymium Iron Boron Magnet Catalog”(Rev. 210607) — arnoldmagnetics.com/…/Arnold-Grain-Boundary-Diffused-Neo-Catalog.pdf
  9. Arnold Magnetic Technologies “RECOMA Summary of main grades of SmCo5 and Sm2Co17″(表 Rev. 160205a、Recoma Combined) — arnoldmagnetics.com/…/Recoma-Combined-160301.pdf
  10. Arnold Magnetic Technologies “What is the Magnetic Hysteresis Loop”(TECHNote TN 1501 rev.2015a) — arnoldmagnetics.com/…/Tech-Notes_Hysteresis-Loop.pdf
  11. Eclipse Magnetics “Ferrite and ceramic magnets datasheet”(流通業者のデータシート) — eclipsemagnetics.com/…/ferrite_and_ceramic_datasheet.pdf
  12. Qin W., He J. “Research on Composite Powder and Magnet Properties of Bonded NdFeB Magnets Prepared by Press Molding”, Appl. Mech. Mater. 345, 218–222 (2013), DOI 10.4028/www.scientific.net/AMM.345.218(要旨を確認) — scientific.net/AMM.345.218
  13. Honda・Daido Steel “Daido Steel and Honda Adopt World’s First Hybrid Vehicle Motor Magnet Free of Heavy Rare Earth Elements”(2016年7月12日、ニュースリリース) — global.honda/en/newsroom/news/2016/4160712eng.html
  14. Toyota Motor Corporation “Toyota Develops New Magnet for Electric Motors Aiming to Reduce Use of Critical Rare-Earth Element by up to 50%”(2018年2月20日、ニュースリリース) — global.toyota/en/newsroom/corporate/21139684.html
  15. 米国地質調査所(USGS) “Mineral Commodity Summaries 2026: Rare Earths”(2026年2月) — pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2026/mcs2026-rare-earths.pdf
  16. 米国地質調査所(USGS) “Mineral Commodity Summaries 2026: Rare Earths (Heavy)” — pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2026/mcs2026-rare-earths-heavy.pdf
  17. 国際エネルギー機関(IEA) “Global Critical Minerals Outlook 2026” Executive summary — iea.org/reports/global-critical-minerals-outlook-2026/executive-summary
  18. 国際エネルギー機関(IEA) “Global Critical Minerals Outlook 2026” Outlook — iea.org/reports/global-critical-minerals-outlook-2026/outlook
  19. 中国 商務部・海関総署 公告2025年第18号「公布对部分中重稀土相关物项实施出口管制的决定」2025年4月4日(中国語) — mofcom.gov.cn/…/art_5e663d0b…
  20. 中国 商務部・海関総署 公告2025年第57号「公布对部分中重稀土相关物项实施出口管制的决定」2025年10月9日(中国語) — mofcom.gov.cn/…/art_9510f263…
  21. 中国 商務部・海関総署 公告2025年第56号「公布对部分稀土设备和原辅料相关物项实施出口管制的决定」2025年10月9日(中国語) — mofcom.gov.cn/…/art_22129555…
  22. 中国 商務部 公告2025年第61号「公布对境外相关稀土物项实施出口管制的决定」2025年10月9日(中国語) — mofcom.gov.cn/…/art_e2587592…
  23. 中国 商務部 公告2025年第62号「公布对稀土相关技术实施出口管制的决定」2025年10月9日(中国語) — mofcom.gov.cn/…/art_04a2df12…
  24. 中国 商務部・海関総署 公告2025年第70号「公布暂停实施…的决定」2025年11月7日(中国語) — mofcom.gov.cn/…/art_da147202…
  25. 中国 商務部 公告2026年第1号「关于加强两用物项对日本出口管制的公告」2026年1月6日(中国語) — mofcom.gov.cn/…/art_5acdf514…
  26. 欧州議会・理事会 “Regulation (EU) 2024/1252 establishing a framework for ensuring a secure and sustainable supply of critical raw materials”(2024年4月11日、官報 2024年5月3日) — eur-lex.europa.eu/…CELEX:32024R1252
  27. 内閣府 「サプライチェーン強靱化の取組(重要物資の安定的な供給の確保に関する制度)」 — cao.go.jp/keizai_anzen_hosho/suishinhou/supply_chain/supply_chain.html
  28. IEC “IEC 60404-5:2015” 製品ページ(IEC Webstore) — webstore.iec.ch/en/publication/22142
  29. IEC “IEC 60404-8-1:2023” 製品ページ(IEC Webstore) — webstore.iec.ch/en/publication/68440
  30. IEC “IEC 60404-18:2025” 製品ページ(IEC Webstore) — webstore.iec.ch/en/publication/76495
  31. 日本規格協会(JSA) JIS C 2501:2019「永久磁石試験方法」閲覧用プレビュー — webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_c_02501_000_000_2019_j_ed10_ch.pdf
  32. 日本規格協会(JSA) JIS C 2500:2022「超電導磁石を用いる開磁路法による永久磁石の磁気特性測定方法」閲覧用プレビュー — webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_c_02500_000_000_2022_j_ed10_ch.pdf
  33. 日本規格協会(JSA) JIS C 2502:2019「永久磁石材料」閲覧用プレビュー — webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_c_02502_000_000_2019_j_ed10_ch.pdf
  34. 英国規格協会(BSI) “ASTM A1101-23” 書誌ページ(BSI Knowledge。ASTM のサイトではない) — knowledge.bsigroup.com/…/ndfeb-permanent-magnets-1
  35. AFNOR “ASTM A1054-16” 書誌ページ(AFNOR Editions。ASTM のサイトではない) — boutique.afnor.org/…/am95890/275610

14. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
1984年の Nd-Fe-B:Nd-Fe-B 正方晶化合物(a=0.880 nm、c=1.221 nm、Curie 温度585 K、異方性定数約3.5 MJ/m³)、焼結磁石 Nd15B8Fe77 の Br 1.23 T・HcB 880 kA/m・HcI 960 kA/m・(BH)max 290 kJ/m³・Br の温度係数−1260 ppm/KSagawa ら(1984)の要旨
出典1 https://doi.org/10.1063/1.333572
事実
Nd-Fe-B の発見者・年(Sagawa と Croat、1982年)、希土類磁石の生産量(約1.4×105 t/年)とフェライト(約1×106 t/年)、理想の(BH)max の表(515・252・129・63 kJ/m³)、Nd2Fe14B の μ0Ms=1.61 T・Curie 315 ℃・(BH)max 上限516 kJ/m³、保磁力が HA の20〜30%に届くまでの年数、2011年の重希土類(Dy・Tb 約5 wt%、Dy/Nd 約0.16、原料コスト約2倍)、重希土類が異方性を高め磁化を下げること、粒界拡散・微細化・La/Ce置換、損失の3分類と約50 K の条件づけ、端・角からの核生成、ボンド磁石の効率と用途Coey(2020)の総説
出典4 https://doi.org/10.1016/j.eng.2018.11.034
出典2 https://doi.org/10.1063/1.333571
事実
HcJ が使用温度で Br の半分を超える必要、HEV の約200 ℃、粒界相(約2 nm、Fe・Co 約80 at.% 以上、強磁性)、界面の負の異方性、磁壁約4 nm・交換長1.2 nm、HA=5.33 MA/m、粒界の Nd 約80%で常磁性、(001)面と側面の違い、サブミクロン微細粒の目標(室温2 MA/m で160 ℃)、HcJ 約600 kA/m の見積もり、IPM 型と可変磁力型の違い、生産量順の用途Hirosawa ら(2017、NIMS)
出典3 https://doi.org/10.1088/2043-6254/aa597c
事実
焼結ネオジムの工程(ストリップキャスト、水素粉砕、ジェットミル、磁場中成形・グリーン密度約60%、焼結・密度95%超、熱処理で保磁力向上)Herraiz Lalana(2018)
出典5 https://doi.org/10.3989/revmetalm.121
事実
粒界拡散を Nd-Fe-B 焼結磁石の保磁力向上に用いる報告があること(書誌のみ確認)Hirota ら(2006)の題名・書誌
出典6 https://doi.org/10.1109/TMAG.2006.879906
事実
焼結ネオジムの公称値(N35・N52・N35EH・N40UH など の Br・HcJ・(BH)max・α(Br)・α(HcJ)・最高使用温度)、N42SH・N40UH・N40EH の値Arnold Neodymium Iron Boron Magnet Catalog(Rev. 210607)
出典7 https://www.arnoldmagnetics.com/wp-content/uploads/2019/06/Arnold-Neo-Catalog.pdf
事実
粒界拡散グレード(G52SH・G54UH・G46EH など)の値、Dy・Tb の使用量を減らす・薄い磁石(6 mm 未満)か積層材向きという説明Arnold Grain Boundary Diffused Neo Catalog(Rev. 210607)
出典8 https://www.arnoldmagnetics.com/wp-content/uploads/2019/06/Arnold-Grain-Boundary-Diffused-Neo-Catalog.pdf
事実
サマリウムコバルト Recoma 18・28・33E の値(Br・HcJ・(BH)max・α(Br)・最高使用温度)、最高使用温度は強い反磁界や低い負荷線では大幅に低くなりうるという注記、耐食性の記述Arnold RECOMA(表 Rev. 160205a)
出典9 https://www.arnoldmagnetics.com/wp-content/uploads/2017/10/Recoma-Combined-160301.pdf
事実
減磁曲線の用語(HcB・HcJ・Hk・角形比・(BH)max・α の定義)、(BH)max ≒ Br²÷4μ0μrec、温度係数の温度範囲の慣行、N40UH と R33E の平均係数、スピン再配列(約140 K と Pr 置換)、フェライトの温度特性、ASTM A977M の参考文献としての番号・題名Arnold TECHNote TN 1501 rev.2015a
出典10 https://www.arnoldmagnetics.com/wp-content/uploads/2017/10/FINAL_Tech-Library_Tech-Notes_Hysteresis-Loop.pdf
事実
焼結フェライト Y30H-1 の範囲(Br 380〜400 mT、Hcj 235〜290 kA/m、(BH)max 27〜32 kJ/m³)、使用温度の目安Eclipse Magnetics のデータシート(流通業者)
出典11 https://www.eclipsemagnetics.com/site/assets/files/22199/eclipsemagnetics_ferrite_and_ceramic_datasheet.pdf
事実
ボンド Nd-Fe-B(MQP-B 粉、エポキシ、圧縮成形)の Br 0.722 T・Hcb 457 kA/m・Hci 718 kA/m・(BH)max 83.5 kJ/m³Qin と He(2013)の要旨
出典12 https://www.scientific.net/AMM.345.218
事実
Honda・大同特殊鋼の重希土類フリー熱間加工ネオジム磁石(2016年7月12日の発表、結晶粒は焼結の約10分の1、従来と同等のトルク・出力・耐熱性)Honda のニュースリリース(企業の発表)
出典13 https://global.honda/en/newsroom/news/2016/4160712eng.html
事実
トヨタの Nd 使用量最大50%減・Tb/Dy 不使用・La/Ce 置換(2018年2月20日の発表)、早期採用をめざすという記述。実用化の状況は未確認トヨタのニュースリリース(企業の発表・目標)
出典14 https://global.toyota/en/newsroom/corporate/21139684.html
未確定/将来
USGS:2025年推定の鉱山生産(世界計390,000 t、中国270,000、米国51,000、オーストラリア29,000、ミャンマー22,000、タイ4,800、マダガスカル2,700)、埋蔵量(中国44 Mt、世界計75 Mt 超)、世界の最大用途が磁石、リサイクルは限定的、2025年4月・10月の中国の措置と11月の1年間の停止、4月の措置は有効のまま一般許可が出始めたUSGS MCS 2026 Rare Earths
出典15 https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2026/mcs2026-rare-earths.pdf
事実
重希土類:米国は2025年に重希土類鉱物を採掘したが持続的な商業規模の生産はない、2021〜2024年の輸入元(テルビウム・ホルミウムは中国100%)、2025年12月時点で4月の措置は有効USGS MCS 2026 Rare Earths (Heavy)
出典16 https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2026/mcs2026-rare-earths-heavy.pdf
事実
IEA:レアアースは永久磁石のコストの約40%・車1台の価値の1%未満、2025年4月の措置の影響と10月の拡大・1年間停止、精製の集中度がわずかに低下した例外、リサイクルの見通し、被害額の試算(年約6.5兆ドル)、供給源を多様化した精製能力は採掘供給の約2/3・磁石生産能力は約1/3、多様化の投資は約600億ドルIEA Global Critical Minerals Outlook 2026(Executive summary)
出典17 https://www.iea.org/reports/global-critical-minerals-outlook-2026/executive-summary
事実
IEA:最大の精製国(中国)が90%超(ガリウム・黒鉛・マンガン・レアアース)、2035年の中国以外の鉱山約50 kt・精製・分離40 kt 未満・下流約18 kt(シナリオ)IEA Global Critical Minerals Outlook 2026(Outlook)
出典18 https://www.iea.org/reports/global-critical-minerals-outlook-2026/outlook
未確定/将来
公告2025年第18号:7元素・Sm-Co 磁石・Tb/Dy 含有 Nd-Fe-B 磁石、公布日から実施商務部・海関総署の公告
出典19 https://www.mofcom.gov.cn/zcfb/blgg/gg/2025/art/2025/art_5e663d0bfec7452dabd950d0f0e42153.html
事実
公告2025年第57号:Ho・Er・Tm・Eu・Yb、Ho の永久磁石・磁気冷凍・磁歪材料、2025年11月8日から実施商務部・海関総署の公告
出典20 https://www.mofcom.gov.cn/zcfb/blgg/gg/2025/art/2025/art_9510f263c3c246d8936fbfa684a58ca8.html
事実
公告2025年第56号:稀土生産加工設備(真空誘導鋳片炉など)と原辅料、2025年11月8日から実施商務部・海関総署の公告
出典21 https://www.mofcom.gov.cn/zcfb/blgg/gg/2025/art/2025/art_2212955575594a8f9c518d7317f6189e.html
事実
公告2025年第61号:域外適用(0.1%以上、中国原産技術で域外生産、中国原産物項)、一(一)・(二)は2025年12月1日、(三)は公布日から商務部の公告
出典22 https://www.mofcom.gov.cn/zcfb/blgg/gg/2025/art/2025/art_e2587592fd774f23a62925ee51641071.html
事実
公告2025年第62号:稀土技術の輸出管制、「磁材制造」は Sm-Co・Nd-Fe-B・Ce 磁石の製造技術、公布日から実施商務部の公告
出典23 https://www.mofcom.gov.cn/zcfb/blgg/gg/2025/art/2025/art_04a2df12aa7c4529be797fd70eaf0dc8.html
事実
公告2025年第70号:第55〜58号と第61・62号を2026年11月10日まで暂停、時効状態「現行有効」(確認日)。期限後の扱いは確認できなかった商務部・海関総署の公告
出典24 https://www.mofcom.gov.cn/zcfb/blgg/gg/2025/art/2025/art_da147202d0934ddebe252772e95ed7b3.html
未確定/将来
商務部公告2026年第1号:日本の軍事ユーザー・軍事用途向けの両用物項の輸出禁止、公布日から実施商務部の公告
出典25 https://www.mofcom.gov.cn/zcfb/blgg/gg/2026/art/2026/art_5acdf51490094b39b7ffb381280b2a3b.html
事実
EU 規則2024/1252:磁石用希土類が戦略的原材料、2030年の目標(10%・40%・25%・65%)、第28・29条(ラベル、データキャリア、リサイクル材割合、実施法の期限2026年11月24日)。採択状況は未確認EUR-Lex(規則の原文)
出典26 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32024R1252
事実
日本:令和4年12月に永久磁石を含む11物資を特定重要物資に指定内閣府
出典27 https://www.cao.go.jp/keizai_anzen_hosho/suishinhou/supply_chain/supply_chain.html
事実
規格:IEC 60404-5:2015(第3版、2015-04-16、適用範囲)、IEC 60404-8-1:2023(第4版、2023-09-20、適用範囲と追加内容)、IEC 60404-18:2025(第1版、2025-02-20、適用範囲)IEC Webstore
出典28 https://webstore.iec.ch/en/publication/22142
出典29 https://webstore.iec.ch/en/publication/68440
出典30 https://webstore.iec.ch/en/publication/76495
事実
規格:JIS C 2501:2019(IEC 60404-5:2015 の MOD、23±5 ℃推奨)、JIS C 2500:2022(IEC TR 63304:2021 を参考、閉磁路では HcJ が1.6 MA/m を超えると誤差)、JIS C 2502:2019(IEC 60404-8-1:2015 の MOD)JSA の閲覧用プレビュー
出典31 https://webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_c_02501_000_000_2019_j_ed10_ch.pdf
出典32 https://webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_c_02500_000_000_2022_j_ed10_ch.pdf
出典33 https://webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_c_02502_000_000_2019_j_ed10_ch.pdf
事実
規格:ASTM A1101-23(題名)、ASTM A1054-16(題名と適用範囲の記述)、ASTM A977M-07(題名。出典10)。ASTM のサイトは開かず、BSI・AFNOR の書誌ページと Arnold の参考文献で確認BSI Knowledge・AFNOR Editions
出典34 https://knowledge.bsigroup.com/products/standard-specification-for-sintered-and-fully-dense-neodymium-iron-boron-ndfeb-permanent-magnets-1
出典35 https://www.boutique.afnor.org/en-gb/standard/astm-a105416/standard-specification-for-sintered-ferrite-permanent-magnets/am95890/275610
事実
理論上限に対する割合(N52 約79%、1984年の試料約56%)、約40年で約1.4倍、(BH)max≒Br²÷4μ0μrec の確認(約395〜404 kJ/m³)、HcJ 955 kA/m は HA の約18%、粒界拡散と標準グレードの差(Br+7〜14%、(BH)max+15〜31%)、180 ℃の Br・HcJ の概算(N40UH:約1,026 mT・約509 kA/m、Recoma 33E:約1,095 mT・約1,040 kA/m)、中国の鉱山生産の割合(約69%)本稿の計算。Arnold の公称値・USGS の表・Coey の値から算出。Br は典型値、HcJ は最小値、温度は平均係数による直線近似で、実際の曲線は直線ではない。製品・条件が異なる値の比較で、優劣を示すものではない本稿の計算
風力発電機・EV モーター1台あたりの磁石・レアアースの使用量、粒界拡散・熱間加工による Dy・Tb 削減率、TDK フェライトの値、アルニコ、リサイクル技術、価格本稿の調査範囲でアクセスできた一次情報では確認できなかった、または本稿の方針で扱わなかったため記載していない解説
「保磁力は材料の定数ではなく組織で決まる」「4系統は強さ・温度・資源の三すくみ」「粒界をどう設計するか」「重希土類は強さを払って保磁力を買う添加」「最高使用温度は材料+磁気回路の値」「モーターの設計が磁石に求める性質を変える」「鉱山より精製と磁石化が弱い鎖」という読み取り。粒界相が磁気的な結合を通じて減磁を広げる、という説明公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない解説
図2〜6・8・9が実際の測定図・実データではなく説明のための作図であること。図1・図7がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月10日/出典は一次情報(査読論文、磁石メーカーの公称値、USGS・IEA の報告、中国商務部の公告、EU 規則、規格団体の書誌ページ)に限定しています。規格の本文は有料のため確認していません。ASTM International のサイトは、同団体が AI の利用を禁じる旨を表示しているため、開いていません。 磁石の数値はメーカーの公称値・論文の値で、条件(温度、焼結かボンドか、典型値か最小値か)を添えています。構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 風力・EV の使用量、重希土類の削減率、公告第70号の期限後の扱い、EU の実施法の採択状況、トヨタ磁石の実用化については、確認できなかったため記載していません。 図はすべて説明用の概念図です。図2〜6・8・9はベクター作図、図1と図7はAI生成イメージであり、いずれも実際の顕微鏡像・製品の実物を示すものではありません。