TECHNOLOGY EXPLAINER
エレクトロクロミック材料とスマートウィンドウ
― 電圧で色が変わる材料の仕組みと、窓・ミラー・航空機での使われ方、そして「寿命」の測り方
エレクトロクロミック(EC)材料は、電圧をかけると、光の透過率や色が可逆的に変わる材料です。ガラスに組み込めば、ブラインドの代わりに太陽光を調節する「スマートウィンドウ」になり、自動車では後続車のヘッドライトの眩しさを自動で抑えるミラーになります。 材料は、酸化タングステン(WO3)や酸化ニッケル(NiO)の無機薄膜、ビオロゲンなどの有機分子、導電性高分子と多岐にわたり、窓では数分で切り替え、数万回以上の繰り返しと屋外で数十年の耐久が求められるのに対し、ミラーや表示では秒単位の応答が重視されます。 この記事では、着色の仕組み、材料の系統、性能の指標(着色効率・応答時間・サイクル寿命・メモリ効果)の読み方、建築・自動車・航空機での使われ方、サーモクロミック・フォトクロミックとの違い、評価規格の読み方を、一次情報の範囲で整理します。

- エレクトロクロミック材料とスマートウィンドウ(3行でつかむ)
- 仕組み ― 電子とイオンが一緒に入って、色が変わる
- 材料の系統 ― 無機酸化物、ビオロゲン、導電性高分子
- 素材技術者の視点①:電解質と対極が、色と寿命を決める
- 性能の指標を読む ― 着色効率・応答時間・サイクル寿命・メモリ効果
- 本稿の計算:窓1 m² を濃くするのに必要な電荷
- 使われ方 ― 建築、自動防眩ミラー、航空機
- 素材技術者の視点②:可視光と近赤外を分けて操る
- サーモクロミック・フォトクロミックとの違い
- 実験室の性能と実装の違い
- 限界と、確認できなかったこと
- 評価・標準の読み方
- 用語集
- 参考資料(一次情報)
- 主張と出典の対応表(監査)
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・予定・研究段階の事項であり、実績が確認できていないもの
このほか、材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。推測は太字で示します。
ここに出てくる着色効率・応答時間・サイクル数・省エネ率は、特定の試料・デバイス・条件で測った研究室の結果、シミュレーション、または企業の記載です。小さな試験片のチャンピオンデータを、大面積の窓や製品の性能として読まないでください。 企業の記載(「最大の」「業界最高」など)は企業の主張で、独立した確認ではありません。企業や製品の優劣は論じません。 導電性高分子とイオン伝導体は本シリーズ『導電性高分子とイオン伝導体』編、透明導電膜は『透明導電膜』編で扱い、ここでは窓・ミラーの材料としての論点に絞ります。
1. エレクトロクロミック材料とスマートウィンドウ(3行でつかむ)
- 電圧で「光の通り」を変える材料:EC 材料は、電圧をかけると光学特性を可逆的に、しかも電圧を切ってもその状態を保つように変えます。多層のデバイスに組み込むと、透過率を大きく変えられます事実[参考資料1]。Mortimer の総説は、色の変化が電子移動(酸化還元)の過程か、十分な電気化学ポテンシャルで起こると整理しています事実[参考資料2]
- 用途で求められるものが違う:窓は応答が分単位でよい代わりに、大面積と長寿命が必要です。表示は秒〜ミリ秒の応答が要ります。Chem. Rev. の総説は、スマートウィンドウや蓄エネルギーでは許容される切り替え時間は分のオーダー、表示は秒(またはミリ秒)が必要、と述べています事実[参考資料6]
- 最大の難関は「寿命の測り方」:EC の分野には、異なる材料やデバイスのサイクル安定性を定量的に比べる、普遍的に受け入れられた方法がない、と2023年の論文が指摘しています事実[参考資料13]。窓の国際規格 ISO 18543 は、電気で切り替わる EC ガラスの促進劣化試験を定めていますが、数字だけでは材料の優劣は比べられません事実[参考資料19]
EC は「色が変わるか」ではなく、「何回、何年、どんな温度と日射で、同じ色の幅を保てるか」の勝負です。 研究室の数秒の応答、数百サイクルの安定性は、屋外の窓の10年単位の耐久とは別の話です。 数字は、着色の波長・測定の温度・電圧・電荷量・終点の定義とセットで読みます。
2. 仕組み ― 電子とイオンが一緒に入って、色が変わる
典型的な無機の EC デバイスでは、着色する層(酸化タングステンなど)に、電子と小さな陽イオン(H+、Li+ など)が同時に入ることで色が変わります。Niklasson と Granqvist の総説によると、今日の無機 EC の研究は、酸化タングステン(電荷を挿入すると着色)と酸化ニッケル(電荷を引き抜くと着色)に集中しています。電荷が入った酸化タングステンでは、電子が局在した状態に入り、W6+、W5+、W4+ の間の遷移の重ね合わせとして吸収を現象論的に説明できます事実[参考資料1]。 大きな光学変化をもつデバイスは、酸化タングステン系の膜と酸化ニッケル系の膜を、純粋なイオン伝導体の層でつなぐことで実現できる、と同じ総説は述べています事実[参考資料1]。

元のSVG模式図と正確な説明を見る
Niklasson と Granqvist の総説は、酸化ニッケル(NiO)の着色は、粒子の外側の表面に限られる現象とみられ、水和した酸化ニッケルが水酸化物と羥基酸化物に変わった後は、水酸化ニッケルとオキシ水酸化ニッケルの間の可逆変化(Bode の反応スキーム)として説明でき、エレクトロクロミズムはプロトンの移動だけに関係する、と示しています。薄膜はスパッタリングで作られ、NiO の消色状態の透過率を上げるために、バンドギャップの広い他の酸化物との混合が検討されている、とも述べています事実[参考資料1]。
3. 材料の系統 ― 無機酸化物、ビオロゲン、導電性高分子
Mortimer の総説は、主な EC 材料の系統を、金属酸化物、ビオロゲン(溶液中、吸着膜、高分子膜)、共役導電性高分子、金属配位錯体(高分子膜、蒸着・昇華膜)、金属ヘキサシアノ金属酸塩に整理しています。デバイスの構成には、透明な電極、電解質層、デバイスの封止などの材料の側面も重要だとしています事実[参考資料2]。以下の表は、本稿が整理したものです。
| 系統 | 着色の仕組み(報告の範囲) | 特徴 | この記事で確認できた根拠 |
|---|---|---|---|
| 無機:WO3(陰極性)、NiO(陽極性) | WO3 は電子とイオンの挿入で着色。NiO は引き抜きで着色(プロトン移動) | 無機の薄膜はスパッタリングで作る例が示されている。NiO は消色状態の透過率を上げる工夫が検討されている | Niklasson と Granqvist(2007)[参考資料1] |
| 有機低分子:ビオロゲン+陽極性化合物(溶液・ゲル) | 電極で還元されるビオロゲン(陰極性)と、酸化される陽極性化合物が、電圧で同時に着色する。溶液中の電子移動反応(Byker の特許の区分) | 自動防眩ミラーで使われてきた系統。溶液の安定性(酸素・水分、化学反応性)が実用化の障害だった | Byker の特許 US 4,902,108(1990年)、Mortimer(2011)[参考資料5・2] |
| 導電性高分子(共役高分子) | 高分子の酸化還元で、π共役の状態が変わり色が変わる | 色は化学構造で設計できると考えられている(本稿の解説)。DOE の報告書は、ポリマーとイオン液体の窓で、熱と日射のもとで繰り返すと消色しなくなり、屋外の窓には耐久性が足りなかったと報告 | Mortimer(2011)、DOE 報告(2008)[参考資料2・8] |
| その他(錯体、ヘキサシアノ金属酸塩=プルシアンブルーなど) | 金属中心の酸化還元で色が変わる | Mortimer の総説が系統として挙げる。本稿は詳細を確認していない | Mortimer(2011)[参考資料2] |
系統ごとの優劣は、波長・層構成・条件が違うため、この表からは判断できません。導電性高分子そのものは、本シリーズ『導電性高分子とイオン伝導体』編を参照してください。
Byker の特許(US 4,902,108、1986年3月31日出願、1990年2月20日に登録、特許の記載による出願人は Gentex Corp)は、単一の区画に入った、自己消色型の溶液型 EC デバイスを提案しています。溶液は、溶媒、電圧で還元されると可視域で吸収が増える陰極性の化合物(既知のビオロゲンを含む)、酸化されると吸収が増える陽極性の化合物からなり、その透過率を10倍以上、数秒で変えられ、明暗のサイクルに対して驚くほど安定だと述べています。実用化の障害は溶液の安定性で、酸素と水分の濃度を下げることが安定性を高める、とも記しています事実[参考資料5]。
4. 素材技術者の視点①:電解質と対極が、色と寿命を決める
EC デバイスの性能の議論は、着色する層(WO3 など)に集まりがちですが、実際のデバイスでは、対極(イオンを貯める側)、電解質、透明電極、封止が、色の幅と寿命を決めます。Mortimer の総説も、透明な電極、電解質層、デバイスの封止が、デバイスを作るうえで重要な材料の側面だと述べています事実[参考資料2]。
対極の「透明さ」:酸化ニッケルを対極に使う場合、消色状態でも色が残ると、窓の透明度が下がります。Niklasson と Granqvist は、消色状態の透過率を上げるために、酸化ニッケルをバンドギャップの広い他の酸化物と混合する方法を取り上げています事実[参考資料1]。 電解質と高分子:DOE の報告書は、陰極性・陽極性の有機半導体ポリマーと、室温のイオン液体の電解質を組み合わせた窓を試作しました。可視と近赤外の特定の帯域を狙って透過率を変えられ、複層ガラスに組み込むと、低放射膜つきの複層ガラスより日射熱取得係数などが改善する、としています。一方、この状態では屋外の窓に使える耐久性がなく、熱と日射のもとで暗色と消色を繰り返すと、酸化還元反応が消色状態に戻らなくなったと報告しています。ポリマーの劣化反応が、加熱と日射で加速され、還元状態でも酸化状態でも進む可能性が高いと推測し、実環境の温度と日射での劣化の理解が必要だと結論しています事実[参考資料8](2008年の報告で、現在のポリマーの耐久性を示すものではありません)。
溶液型の化学的な安定性:Byker の特許は、溶液型デバイスの実用化の障害は溶液の安定性の不足で、酸素と水分を減らすことで安定性が高まると述べています事実[参考資料5]。 イオン伝導体の材料(イオン液体、高分子電解質、イオンゲル)は、本シリーズ『導電性高分子とイオン伝導体』編、全固体電池の固体電解質は『全固体電池』分野の記事を参照してください。
5. 性能の指標を読む ― 着色効率・応答時間・サイクル寿命・メモリ効果
Chem. Rev. の総説(表示向けの整理)は、EC の主な指標を次のように定義しています事実[参考資料6]。
| 指標 | 定義(Chem. Rev. 総説の記載) | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| 光学変調・コントラスト比 | 着色の前後での、特徴的な吸収波長における吸光度または透過率の差。反射型は反射率の差 | どの波長かが必要。窓なら可視光全体(昼光の透過率)と近赤外を別々に書く |
| 応答時間 | 消色状態から着色状態(または逆)へ、光学変調の90%に達するのに要する時間 | 論文により、最大の光学変調に達していない時間を報告している場合があり、横比較が難しい |
| 着色効率(CE) | 注入した電荷(単位面積あたり)あたりの、特徴的な吸収波長での光学変調 | CE が高いほど、同じ光学変調に必要な電荷が少ない。波長と電圧が条件 |
| 耐久性・寿命 | 耐久性は不利な外部環境に耐える能力。寿命は、着色と消色のサイクルを繰り返しても電気光学の切り替え能力を保つこと(サイクル寿命)と、動作時間(カレンダー寿命) | 表示では104〜106 サイクルが望ましいとされる(表示向けの記述)。窓の屋外耐久は別の条件 |
| メモリ効果 | 電力を入れ続けなくても、しばらく光学状態を保つ性質 | 窓の製品での保持時間・自己放電の大きさは、一次資料で確認できなかった |
以上の定義は表示向けの総説の整理で、窓の評価規格は第12章を参照してください。
具体的な数字の例として、Sheng らの W18O49 ナノワイヤと金ナノロッドの膜(研究室の試験片)は、ステップ電圧(−1.0 V と +0.2 V、30 s)で、着色に4.5 s(613.5 nm)・6.5 s(900 nm)、消色に4.0 s・5.0 s、着色効率は 48.46 cm²/C(613.5 nm)、86.23 cm²/C(900 nm)で、300回の切り替え後に透過率の変化 ΔT が約96%(613.5 nm)・93%(900 nm)のままだったと報告しています事実[参考資料7]。 Llordés らは、スズドープ酸化インジウムのナノ結晶をニオブ酸化物ガラスに入れた複合膜が、2.5 V の電圧範囲で近赤外光と可視光を別々に遮り、2,000サイクル後に電荷容量の96%を保ったと報告しています事実[参考資料4]。 どちらも研究室の小さな試料の数字で、窓の寿命(屋外で数十年)に直結しません。
Padilla らは、EC の分野には、異なる材料やデバイスのサイクル安定性を定量的に比べる、普遍的に受け入れられた方法がない、と述べ、試験条件を適切に定義し、サイクルによる性能の変化を分析的に記述する3段階の手順を提案しています。対象は、導電性高分子、遷移金属酸化物、金属超分子ポリマー、ビオロゲンです事実[参考資料13]。 数万サイクルという数字は、電圧、波長、温度、終点(光学変調が何%に下がったら終わりか)が書かれていなければ、比べられません。
6. 本稿の計算:窓1 m² を濃くするのに必要な電荷
着色効率(CE)は、単位面積あたりの注入電荷で割る定義です(光学変調ΔOD=log10(消色時の透過率÷着色時の透過率)として、CE=ΔOD÷(電荷÷面積))。 窓1 m² を、ΔOD=1(透過率が10分の1)だけ濃くするのに必要な電荷は、「1÷CE」で求められます本稿の計算。Sheng らの膜の CE(48.46 cm²/C)なら約206 C/m²、同じ膜の900 nm の CE(86.23 cm²/C)なら約116 C/m²です。Chem. Rev. が紹介する表示用デバイスの CE(440 cm²/C)なら約23 C/m²です本稿の計算。 窓の切り替えを5分(300 s)で行うとすると、平均の電流は、それぞれ約0.69 A、約0.39 A、約0.076 A です本稿の計算(1 C=1 A·s。対極側の電荷の出入りは、これと等しいと仮定)。
解説:大きな窓の端から電流を流すと、透明導電膜の抵抗で電圧が下がり、端と中央で着色の速さがずれる可能性があります。窓の大きさ・導電膜の抵抗・電流が、着色の均一性と切り替え時間の設計の制約になります。この点の定量的な数値は、本稿の一次資料では確認できませんでした。透明導電膜の材料は、本シリーズ『透明導電膜』編を参照してください。
7. 使われ方 ― 建築、自動防眩ミラー、航空機
建築の窓:省エネと快適性
LBNL(ローレンス・バークレー国立研究所)の2004年の報告は、DOE-2.1E のシミュレーションで、3階建ての模擬オフィスビルを米国の5つの気候と、カリフォルニアの16の気候区で調べました。昼光の照度を設定値に保つように制御した EC 窓を、分光選択性の低放射窓(昼光制御あり、内外の遮蔽なし)と比べると、窓壁面積比が0.60と大きい建物で、東・南・西の周辺ゾーンの一次エネルギー使用が10〜20%減り、同じ条件のピーク需要は20〜30%減ると報告しています事実[参考資料10](シミュレーションの結果で、実建物の保証ではありません)。 2006年の報告は、試作の大面積 EC 窓の2.5年の屋外試験も含み、効率的な低放射窓+同じ昼光制御と比べて、視覚的な快適性を保つ制御で、年間のピーク冷房負荷が19〜26%、照明エネルギーが48〜67%減ったと述べています。被験者は EC 窓を強く好み、その理由は、眩しさ、モニターへの映り込み、窓の輝度の低減に関する印象だった、としています事実[参考資料9]。同じ LBNL の設計ガイド(2006年)は、シミュレーション、実験室の試験、2.5年の屋外試験で得たデータをもとに、EC 窓の見え方、切り替えの速さ、当時の製品の提供状況などの基本情報を、設計者向けにまとめたとしています事実[参考資料11]。
製造の側では、Soladigm(のちの View)の DOE への最終報告(2011年)が、2インチの研究用試作から、大面積の商用の複層ガラスをつくる、インラインの製造へ移したと述べ、同社の技術と性能の目標が DOE の2020年目標を超えると報告しています(企業の報告。目標の中身と数値は本稿では確認していない)事実[参考資料12]。 SageGlass の製品ページは、全面を均一に着色する「SageGlass Classic」と、面内にグラデーションをつける「SageGlass Harmony」を挙げ、着色は予測アルゴリズムと気象データで制御すると述べています(製品ページの記述)事実[参考資料18]。
自動車:防眩ミラーから、調光部品へ
Gentex は、自動防眩ミラー(室内・室外)を、光センサー、独自のゲル、マイクロプロセッサーのアルゴリズムで、眩しさを検知して必要なだけ暗くするものとして説明しています。同社の「調光ガラス」のページは、同じ EC 技術を使う用途として、サンルーフ・ムーンルーフ、サンバイザー、ヘッドアップディスプレイのコンバイナー、センサーのシュラウドを挙げています(企業の記述)事実[参考資料16]。Byker の特許は、EC デバイスの用途に、可変透過率の光フィルターと、自動車の防眩バックミラーなどの可変反射率ミラーを挙げています事実[参考資料5]。

航空機:「電気で暗くなる」窓
Gentex は、航空機向けの電子調光窓(EDW)を、オンデマンドで暗くして、日射と眩しさを抑えながら外の景色を保つ窓として紹介しています。同社は、可動部品がなく、故障したときは透明に戻る(fail clear)ため FAA に適合して非常口にも使える、可視光透過率の調光幅が大きく遮光効率が99.999%超、低ヘイズ、キャビンの熱負荷の低減、客室への騒音の低減などを挙げています(企業の記述で、測定条件・規格・独立の確認は発表では確認できません)事実[参考資料17]。
| 用途 | 求められる条件(本稿の整理) | 公表された内容 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 建築の窓 | 大面積、均一な着色、数十年の屋外耐久、分単位の切り替え、中立的な色、低コスト | シミュレーションで周辺ゾーンの一次エネルギー10〜20%減、試作窓の現場試験で冷房ピーク19〜26%減・照明48〜67%減 | 2004〜2006年の報告(当時の試作品)。現在の製品の数値ではない[9・10] |
| 自動防眩ミラー | 数秒の応答、温度範囲、紫外線・熱への耐久、反射型の構造 | 光センサーで自動的に暗くする。特許は、10倍以上の透過率変化を数秒で、とする | 企業の記述。ミラーの規格の対応は第12章[5・16] |
| 航空機の窓 | 調光幅、低ヘイズ、フェイルセーフ、軽量、規制適合 | 電子調光窓。故障時に透明に戻る、可動部品なし(企業の記述) | 測定条件・規格は確認できない[17] |
| サンルーフ・バイザー・HUD | 人の視認性、日射の遮蔽、車載の温度範囲 | 調光部品として製品群を挙げる(企業の記述) | 詳細は確認できない[16] |
企業の記述は企業の主張で、独立した確認ではありません。
8. 素材技術者の視点②:可視光と近赤外を分けて操る
太陽放射のおよそ半分は近赤外域にあり、室内の暖房に使われます。Sheng らも、可視光(400〜760 nm)が昼光の取り込みに大切で、近赤外(760〜2,500 nm)の透過の調節が室温の調節に効く、と述べています事実[参考資料7]。Wang らの総説も、太陽エネルギーの約50%が近赤外域にあることから、可視と近赤外の二つの帯域(dual-band)を分けて調節することの重要性を述べ、ナノ構造材料の溶液プロセスで、可視の透過率を変えずに近赤外だけを選択的に調節できる結果が出ている、としています事実[参考資料3]。
Llordés らは、スズドープ酸化インジウム(ITO)のナノ結晶を、ニオブ酸化物ガラスに共有結合で組み込んだ複合膜を作り、電圧を2.5 V の範囲で変えると、近赤外光と可視光をそれぞれ独立に遮れることを示しました。ガラス部分は、ナノ結晶との界面で結合が再構成されることで、可視光を強く調節し、光学コントラストが5倍に向上、2,000サイクルで電荷容量の96%を保持した、と述べています事実[参考資料4]。 Sheng らは、金ナノロッドで近赤外(760〜1,360 nm)を選択的に吸収し、着色する W18O49 ナノワイヤで日射を能動的に遮る膜を作りました事実[参考資料7]。 素材の側から見ると、近赤外は自由キャリア(プラズモン)の吸収で、可視は酸化物の電子状態(バンド間・局在準位)の吸収で操るという、役割分担の設計になっています(本稿の解説)。
9. サーモクロミック・フォトクロミックとの違い
スマートウィンドウの材料は、色を変える「きっかけ」で3つに分けられます。Wang らの総説は、スマートウィンドウ向けのエレクトロクロミック、フォトクロミック、サーモクロミックの材料の基本原理と最近の発展を整理しています事実[参考資料3]。
サーモクロミック:Cui らの総説は、二酸化バナジウム(VO2)が、室温付近の可逆な金属–絶縁体転移で光学特性が大きく変わるため、省エネ型スマートウィンドウの有望な材料だと述べています。原子の欠陥、元素のドーピング、格子ひずみの効果、ナノ・マイクロスケールの形態制御が整理され、研究室の研究から大規模な実用化へ橋渡しするための課題が示されています事実[参考資料14]。Sheng らは、VO2 の転移温度(Tc)が68 °C と固定されている点を挙げ、タングステンをドープした W–VO2 ナノワイヤを組み合わせて、30〜50 °C の広い範囲に応答する窓を示しました事実[参考資料7]。 フォトクロミック:IUPAC の技術報告は、有機フォトクロミズムを、光で可逆に色が変わる現象として定義し、疲労(化学的劣化)と、サイクル数、サイクル性、半減期が主な評価パラメータだと整理しています事実[参考資料15]。 EC との違い:ISO 18543 は、電気の刺激で透過状態を切り替えるクロモジェニックガラスに適用でき、フォトクロミックおよびサーモクロミックのガラスには適用できないと明記しています事実[参考資料19]。
10. 実験室の性能と実装の違い
| 観点 | 実験室・デモで示されたこと | 実装で問われること | 根拠・区分 |
|---|---|---|---|
| 応答時間 | 試験片で着色4.5 s・消色4.0 s(613.5 nm) | 大面積の窓は分単位でよい(総説)が、面内の均一性が課題。大面積の応答時間は一次資料で確認できない | [7][6]事実/大面積は未確定/将来 |
| サイクル | 300回で ΔT 約96%、2,000回で電荷容量96%保持 | 屋外で数十年。ISO 18543 の促進劣化試験の合格。比較の標準がない | [7][4][13][19]事実 |
| 面積 | 2インチの試作、数cm〜7 cm 級の膜 | 大面積の複層ガラスをインラインで製造。コストと歩留まりは確認できない | [12][7]事実(企業の報告を含む) |
| 耐久(有機) | ポリマーとイオン液体の窓は、近赤外・可視の選択的な透過を示した | 熱と日射で消色しなくなり、屋外には耐久性が足りなかった(2008年の報告) | [8]事実 |
| 省エネ | シミュレーションで周辺ゾーン10〜20%減。試作窓の現場試験で冷房ピーク19〜26%減、照明48〜67%減 | 実建物での運用、制御の質、窓壁面積比、気候、コスト。複数の資料が示す効果は、比較対象と条件で変わる | [9][10]事実 |
| 企業の記述 | 調光幅が大きい、遮光99.999%超、フェイルクリア(航空機) | 測定条件・規格・独立の確認が確認できない | [17]事実(企業の主張) |
| 評価の標準 | 論文ごとに条件が違う | EC 窓の促進劣化試験は ISO 18543 がある。材料どうしの比較の標準的な手順は確認できない | [13][19]事実 |
11. 限界と、確認できなかったこと
(1) 製品の性能の数値
SageGlass、Gentex、Soladigm(View)の製品の、着色・消色の時間、サイクル寿命、保証、コスト、面内の均一性は、本稿が確認した範囲の一次資料では数値で確認できませんでした。企業の記述は、そのまま引用するにとどめます。
(2) 総説の本文
Granqvist の総説(Thin Solid Films 2014、Sol. Energy Mater. Sol. Cells 2012)、Beaujuge と Reynolds の導電性高分子の総説(Chem. Rev. 2010)は、本文・要旨を確認できなかったため、引用していません。Niklasson と Granqvist、Mortimer、Wang ら、Cui らは要旨を確認しています。Chem. Rev.(2022)と Sheng ら(2023)は、PubMed Central の公開本文を確認しました。
(3) 米国エネルギー省・LBNL の報告書
LBNL と DOE の報告書は、OSTI の登録情報(要旨)で確認しました。報告書の本文(PDF)は、確認時にサービスの応答がなく、読めていません。数値は要旨に書かれたものに限っています。
(4) 規格の本文
ISO 18543、ISO 9050、JIS R 3106、JIS D 5705 の本文(有料)は確認していません。試験の条件、サイクル数、合否の基準は記載していません。
(5) 他の応用
EC 表示(電子ペーパー)、エネルギー貯蔵と組み合わせたデバイス、金属の電析型(可逆金属電析)、液晶・SPD などの電気光学の調光方式、ウェアラブル、ファイバー状のデバイスは、ここでは扱っていません。
- EC は、電子とイオンが着色層に同時に入って色が変わる材料です。無機の中心は WO3(電荷挿入で着色)と NiO(引き抜きで着色)で、イオン伝導体を挟んだ多層のデバイスにします事実
- 実用で効くのは、着色層の周りの材料です。対極の透明度、電解質、封止、そして熱と日射での劣化が、寿命を決めます。有機ポリマー+イオン液体の窓は、2008年の報告で、屋外には耐久性が足りませんでした事実
- 窓1 m² を ΔOD=1 濃くするのに、CE 48.5 cm²/C なら約206 C です。5分で切り替えると平均電流は約0.69 A になります本稿の計算(研究室の膜の CE による)
- 用途は、建築の窓、自動防眩ミラー、航空機の窓へ。建築ではシミュレーションで周辺ゾーンの一次エネルギー10〜20%減、試作窓の現場試験で冷房ピーク19〜26%減(2004〜2006年の報告)事実
- サイクル寿命は、比べ方の標準がありません。ISO 18543 は、EC ガラスの促進劣化試験の規格で、サーモクロミック・フォトクロミックには適用できません事実
12. 評価・標準の読み方
何を測るか:EC 材料・デバイスは、光学変調(透過率の差)、着色効率(注入電荷あたりの変調)、応答時間(変調の90%に達する時間)、サイクル寿命、耐久性を、着色状態と消色状態の透過・反射スペクトルと、電気化学の測定(電位・電流・電荷)で評価します。窓のガラスとしては、着色状態ごとの可視光透過率、日射透過率、日射熱取得率を、分光測定から計算します。
| 評価項目 | ISO | IEC・IEEE | JIS | ASTM | 測定条件で値が変わる点 |
|---|---|---|---|---|---|
| EC ガラスの促進劣化試験・要求事項事実 | ISO 18543:2021(Glass in building – Electrochromic glazings – Accelerated ageing test and requirements)。第2版、2021年10月、ISO 18543:2017 を置き換え。太陽放射の透過を制御する EC ガラス(複層ガラス、合わせガラス、またはその組み合わせ)が対象で、材料は無機でも有機でもよい。電気刺激で切り替わるガラスに限り、フォトクロミック・サーモクロミックには適用できない[19] | 確認できなかった | JIS検索で、EC ガラスの試験規格は確認できなかった | ASTM E2141。2014年版(E2141-14)が、EC デバイスの耐久性に関する規格として Chem. Rev. の総説(表示向け)に言及されている。題名と試験内容は、ASTM 以外の資料で確認できなかった[6] | 温度、湿度、日射、電圧、サイクル数、終点の定義。表示向けの記述(−40〜80 °C、湿度80%)と、窓の条件は同じではない |
| 窓ガラスの可視光・日射特性(着色状態ごと)事実 | ISO 9050:2026(Glass in building – Determination of luminous and solar characteristics of glazing)。第3版、2026年7月、ISO 9050:2003 を置き換え。日射・可視光の特性の求め方で、角度特性は対象外[20] | 確認できなかった | JIS R 3106(板ガラスの透過率・反射率・放射率の試験方法及び建築用板ガラスの日射熱取得率の算定方法)。版の年と ISO 9050 との対応は未確認[21] | 確認できなかった | 着色の状態(どの電圧・どの濃さで測るか)、波長範囲、入射角、基準の太陽光スペクトル。EC ガラスは状態ごとに別の値になる(本稿の解説) |
| 自動車用ミラー(防眩ミラーを含む)事実 | 確認できなかった | 確認できなかった | JIS D 5705(自動車用ミラー)。防眩ミラーにどこまで適用されるかは未確認[22] | 確認できなかった | 反射率(明・暗の状態)、温度、測定の光源。規格の本文は確認していない |
| 材料の比較(光学変調・着色効率・応答時間・サイクル安定性)事実 | 確認できなかった | 確認できなかった | 確認できなかった | 確認できなかった | 共通の規格は確認できず、論文の提案(Padilla らの3段階の手順[参考資料13])があるのみ。波長・電圧・温度・終点が条件 |
| サーモクロミック・フォトクロミックの評価事実 | ISO 18543 は対象外。他の規格は確認できなかった | 確認できなかった | 確認できなかった | 確認できなかった | フォトクロミックは、IUPAC 技術報告が、疲労・サイクル数・サイクル性・半減期を評価パラメータとしている[15] |
どの規格をどの評価項目に当てるかの整理は本稿の計算(本稿の整理)です。ISO は ISO の公式ページ、JIS は JISC の JIS 検索で番号・題名を確認しました。ASTM E2141 は、ASTM 以外の公開資料(Chem. Rev. の総説)に書かれた番号・版・用途の範囲だけを記載し、ASTM のサイトは開いていません。
位置づけの違い
- ISO は国際規格、JIS は日本の国家規格です。JIS R 3106 と ISO 9050 の対応、JIS D 5705 の EC ミラーへの適用は、本稿では確認していません
- ASTM E2141 は米国の業界規格です。ISO 18543 とは別の規格で、試験の中身(温度・サイクルなど)が一致するかは、本稿では確認していません
- ISO 18543 は「ガラス(グレージング)」の規格で、材料単体の規格ではありません。EC の窓として組み立てた状態の耐久を見る規格で、WO3 やビオロゲンなど材料の優劣を比べるものではありません(本稿の解説)
規格の読み方の注意
- 規格は「試験方法・要求事項」で、寿命の保証ではありません。ISO 18543 の本文(試験条件・サイクル数・合否)は確認していません。製品が ISO 18543 に適合しているとの記載を見たら、版と試験の中身を確認します
- 同じ名前の指標でも、手法や条件が違います。応答時間は変調の90%に達する時間と定義される一方、報告ごとに最大の変調に達していないことがあります[6]。サイクル寿命は、電圧・波長・終点で数字が変わります[13]
- メーカーの値は、準拠規格・版・試験条件とセットで読みます。Gentex の航空機窓の「遮光効率99.999%超」「フェイルクリア」は、測定条件・規格の記載がありません[17]
- 規格値の範囲と実使用条件のずれ:ISO 9050 の対象は、角度特性を除いた、通常入射の光・日射特性です[20]。着色の面内の不均一、斜め入射、屋外の長期劣化は、この規格の値に含まれません(本稿の解説)
13. 用語集
- エレクトロクロミズム(EC)
- 電圧で光の透過・色が可逆的に変わる現象。
- 着色効率(CE)
- 注入した電荷(単位面積あたり)あたりの光学変調。
- ΔOD(光学濃度の変化)
- log10(消色時の透過率÷着色時の透過率)。ΔOD=1 は透過率が10分の1。
- 光学変調
- 着色の前後での透過率または吸光度の差。
- 対極(イオン貯蔵層)
- 着色層に出入りするイオンを貯めておく電極の層。
- イオン伝導体(電解質)
- イオンを通し、電子は通さない層。
- ビオロゲン
- 電極で還元されると着色する有機の化合物(陰極性)。
- メモリ効果
- 電力を入れ続けなくても、しばらく光学状態を保つ性質。
- IGU
- 複層ガラス(インシュレーテッド・グレージング・ユニット)。
- dual-band
- 可視光と近赤外を別々に調節すること。
- サーモクロミック
- 温度で色や透過が変わる性質。VO2 が代表。
- フォトクロミック
- 光で色が可逆的に変わる性質。
14. 参考資料(一次情報)
- Niklasson G. A., Granqvist C. G. “Electrochromics for smart windows: thin films of tungsten oxide and nickel oxide, and devices based on these”, J. Mater. Chem. 17, 127–156 (2007), DOI 10.1039/B612174H — doi.org/10.1039/B612174H
- Mortimer R. J. “Electrochromic Materials”, Annu. Rev. Mater. Res. 41, 241–268 (2011), DOI 10.1146/annurev-matsci-062910-100344 — doi.org/10.1146/annurev-matsci-062910-100344
- Wang Y., Runnerstrom E. L., Milliron D. J. “Switchable Materials for Smart Windows”, Annu. Rev. Chem. Biomol. Eng. 7, 283–304 (2016), DOI 10.1146/annurev-chembioeng-080615-034647 — doi.org/10.1146/annurev-chembioeng-080615-034647
- Llordés A. ほか “Tunable near-infrared and visible-light transmittance in nanocrystal-in-glass composites”, Nature 500, 323–326 (2013), DOI 10.1038/nature12398 — doi.org/10.1038/nature12398
- Byker H. J.(出願人 Gentex Corp) “Single-compartment, self-erasing, solution-phase electrochromic devices, solutions for use therein, and uses thereof”, US Patent 4,902,108(1986年3月31日出願、1990年2月20日登録) — patents.google.com/patent/US4902108A
- Gu C. ほか “Emerging Electrochromic Materials and Devices for Future Displays”, Chem. Rev. 122, 14679–14721 (2022), DOI 10.1021/acs.chemrev.1c01055(PubMed Central の公開本文で確認) — doi.org/10.1021/acs.chemrev.1c01055
- Sheng S.-Z. ほか “Nanowire-based smart windows combining electro- and thermochromics for dynamic regulation of solar radiation”, Nat. Commun. 14, 3231 (2023), DOI 10.1038/s41467-023-38353-4(オープンアクセス) — doi.org/10.1038/s41467-023-38353-4
- Boykin C. ほか “Energy Efficient Electrochromic Windows Incorporating Ionic Liquids”(米国エネルギー省の報告書、OSTI、2008年11月) — doi.org/10.2172/1001225
- Lee E. S. ほか(LBNL) “Advancement of Electrochromic Windows”(LBNL の報告書、OSTI、2006年4月) — doi.org/10.2172/899732
- Lee E. S., Yazdanian M., Selkowitz S. E.(LBNL) “The energy-savings potential of electrochromic windows in the US commercial buildings sector”(LBNL の報告書、OSTI、2004年4月) — doi.org/10.2172/891618
- Lee E. S. ほか(LBNL) “A Design Guide for Early-Market Electrochromic Windows”(LBNL の報告書、OSTI、2006年5月) — doi.org/10.2172/898284
- Rozbicki R.(Soladigm) “Soladigm DOE Final Scientific/Technical Report”(OSTI、2011年12月。企業の報告) — doi.org/10.2172/1060493
- Padilla J. ほか “Quantitative Assessment of the Cycling Stability of Different Electrochromic Materials and Devices”, ACS Appl. Opt. Mater. 1, 1174–1183 (2023), DOI 10.1021/acsaom.3c00087 — doi.org/10.1021/acsaom.3c00087
- Cui Y. ほか “Thermochromic VO2 for Energy-Efficient Smart Windows”, Joule 2, 1707–1746 (2018), DOI 10.1016/j.joule.2018.06.018 — doi.org/10.1016/j.joule.2018.06.018
- Bouas-Laurent H., Dürr H. “Organic photochromism (IUPAC Technical Report)”, Pure Appl. Chem. 73, 639–665 (2001), DOI 10.1351/pac200173040639 — doi.org/10.1351/pac200173040639
- Gentex Corporation 「Dimmable Glass」(自動車向け製品ページ。企業の記述) — gentex.com/products-technology/automotive/dimmable-glass
- Gentex Corporation 「Electronically Dimmable Windows」(航空機向け製品ページ。企業の記述) — gentex.com/products-technology/aerospace/electronically-dimmable-windows
- SageGlass(Saint-Gobain) 製品ページ(SageGlass Classic・Harmony の記述) — sageglass.com/en
- ISO “ISO 18543:2021” ページ — iso.org/standard/75536.html
- ISO “ISO 9050:2026” ページ — iso.org/standard/88642.html
- 日本産業標準調査会(JISC) JIS検索「JIS R 3106」の一覧 — jisc.go.jp(JIS R 3106)
- 日本産業標準調査会(JISC) JIS検索「JIS D 5705」の一覧 — jisc.go.jp(JIS D 5705)
15. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| EC 材料の定義(電圧で光学特性を可逆的・持続的に変える)、WO3(挿入で着色)・NiO(引き抜きで着色)、W6+・W5+・W4+ の遷移、NiO は表面現象で Bode 反応・プロトン移動のみ、スパッタ成膜、NiO と広バンドギャップ酸化物の混合、WO3 系膜と NiO 系膜をイオン伝導体でつなぐデバイス | Niklasson と Granqvist(2007) 出典1 https://doi.org/10.1039/B612174H | 事実 |
| EC 材料の主な系統(金属酸化物、ビオロゲン、共役導電性高分子、金属配位錯体、ヘキサシアノ金属酸塩)、透明電極・電解質層・封止の重要性、酸化還元で色が変わること | Mortimer(2011) 出典2 https://doi.org/10.1146/annurev-matsci-062910-100344 | 事実 |
| EC・フォトクロミック・サーモクロミックの整理、dual-band の重要性(近赤外が約50%)、ナノ構造での選択的な調節、実用化がまだ広がっていないこと | Wang ら(2016) 出典3 https://doi.org/10.1146/annurev-chembioeng-080615-034647 | 事実 |
| ITO ナノ結晶入りニオブ酸化物ガラス、2.5 V で近赤外と可視を独立に遮蔽、光学コントラスト5倍、2,000サイクルで電荷容量96%保持 | Llordés ら(2013) 出典4 https://doi.org/10.1038/nature12398 | 事実 |
| 単一区画・自己消色型の溶液型 EC デバイス、陰極性化合物(ビオロゲンを含む)と陽極性化合物、透過率を10倍以上数秒で変える、溶液の安定性が障害・酸素と水分の低減、出願・登録日、用途(可変透過率フィルター、防眩ミラー) | Byker の特許 US 4,902,108 出典5 https://patents.google.com/patent/US4902108A/en | 事実 |
| EC の指標の定義(光学変調、応答時間=90%、着色効率、耐久性・寿命、メモリ効果)、窓の切り替えは分のオーダー、表示向けの104〜106 サイクル、−40〜80 °C・湿度80%、ASTM E2141-14 への言及、CE 440 cm²/C・0.5 s の例 | Gu ら(2022)Chem. Rev.(PubMed Central の公開本文) 出典6 https://doi.org/10.1021/acs.chemrev.1c01055 | 事実 |
| W18O49 ナノワイヤと金ナノロッドの膜(着色4.5 s・消色4.0 s、CE 48.46 と 86.23 cm²/C、300回後 ΔT 約96%・93%)、近赤外の割合、VO2 の Tc=68 °C と W ドープ(30〜50 °C) | Sheng ら(2023) 出典7 https://doi.org/10.1038/s41467-023-38353-4 | 事実 |
| ポリマー+イオン液体の EC 窓(可視・近赤外の選択的な調節、複層ガラスでの日射熱取得係数の改善)、屋外には耐久性が足りない、熱と日射で消色に戻らない | DOE の報告書(2008) 出典8 https://doi.org/10.2172/1001225 | 事実 |
| 試作の大面積 EC 窓の2.5年の屋外試験、冷房ピーク負荷19〜26%減・照明エネルギー48〜67%減、被験者の好み | LBNL(2006) 出典9 https://doi.org/10.2172/899732 | 事実 |
| DOE-2.1E のシミュレーション(3階建て模擬オフィス、5気候+カリフォルニア16気候区)、周辺ゾーンの一次エネルギー10〜20%減・ピーク需要20〜30%減(窓壁面積比0.60) | LBNL(2004) 出典10 https://doi.org/10.2172/891618 | 事実 |
| 設計者向けの設計ガイド(シミュレーション、実験室の試験、2.5年の屋外試験にもとづく) | LBNL(2006) 出典11 https://doi.org/10.2172/898284 | 事実 |
| 2インチの試作から大面積の商用 IGU のインライン製造へ、DOE の2020年目標を超えるとの企業の報告 | Soladigm の DOE 最終報告(2011) 出典12 https://doi.org/10.2172/1060493 | 事実 |
| EC のサイクル安定性を比べる、普遍的に受け入れられた方法がないこと、3段階の手順の提案 | Padilla ら(2023) 出典13 https://doi.org/10.1021/acsaom.3c00087 | 事実 |
| VO2 の金属–絶縁体転移、省エネ型スマートウィンドウ、欠陥・ドーピング・ひずみ・形態制御、実用化への課題 | Cui ら(2018) 出典14 https://doi.org/10.1016/j.joule.2018.06.018 | 事実 |
| 有機フォトクロミズムの定義、疲労(化学的劣化)、サイクル数・サイクル性・半減期 | IUPAC 技術報告(2001) 出典15 https://doi.org/10.1351/pac200173040639 | 事実 |
| Gentex の自動防眩ミラーと調光部品(サンルーフ、バイザー、HUD コンバイナー、センサーシュラウド)の記述 | Gentex の製品ページ(企業の記述) 出典16 https://www.gentex.com/products-technology/automotive/dimmable-glass/ | 事実 |
| Gentex の航空機の電子調光窓(フェイルクリア、遮光効率99.999%超、可動部品なし、キャビン熱負荷の低減)の記述 | Gentex の製品ページ(企業の記述) 出典17 https://www.gentex.com/products-technology/aerospace/electronically-dimmable-windows/ | 事実 |
| SageGlass Classic(全面均一)・Harmony(面内グラデーション)、予測アルゴリズムと気象データによる着色の制御 | SageGlass の製品ページ(企業の記述) 出典18 https://www.sageglass.com/en | 事実 |
| 規格の番号・題名・版:ISO 18543:2021(第2版、2021年10月、ISO 18543:2017 を置き換え、フォトクロミック・サーモクロミックには適用できない) | ISO 出典19 https://www.iso.org/standard/75536.html | 事実 |
| 規格の番号・題名・版:ISO 9050:2026(第3版、2026年7月、ISO 9050:2003 を置き換え、角度特性は対象外) | ISO 出典20 https://www.iso.org/standard/88642.html | 事実 |
| 規格の番号・題名:JIS R 3106(板ガラスの透過率・反射率・放射率の試験方法及び建築用板ガラスの日射熱取得率の算定方法) | JISC JIS検索 出典21 https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=R3106 | 事実 |
| 規格の番号・題名:JIS D 5705(自動車用ミラー) | JISC JIS検索 出典22 https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=D5705 | 事実 |
| 窓1 m² を ΔOD=1 濃くするのに必要な電荷(CE 48.46 cm²/C で約206 C/m²、86.23 cm²/C で約116 C/m²、440 cm²/C で約23 C/m²)と、5分で切り替える場合の平均電流(約0.69 A、約0.39 A、約0.076 A) | 本稿の計算。必要な電荷=1÷CE(ΔOD=1)。CE は出典6・7の値で、条件の異なる試料。1 C=1 A·s。対極側の電荷の出入りは等しいと仮定 | 本稿の計算 |
| EC 製品の着色・消色の時間、サイクル寿命、保証、コスト、面内の均一性、ASTM E2141 の題名と試験内容、EC ガラスの JIS 規格、規格の本文、Granqvist・Beaujuge と Reynolds の総説の内容、OSTI の報告書の本文 | 本稿の調査範囲でアクセスできた一次情報では確認できなかったため記載していない | 解説 |
| 「着色層より周りの層が先に壊れる」「対極の透明度」「近赤外は自由キャリア、可視は酸化物の電子状態で操る」「大面積の窓では導電膜の抵抗が着色の均一性を制約する」「ISO 18543 は材料単体の規格ではない」「EC 窓は状態ごとに別の特性値になる」という読み取り。系統の表の整理 | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない | 解説 |
| 図2・図3・図5が実データ・実在の製品の構成ではなく説明のための作図であること。図1と図4がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月10日/出典は一次情報(査読論文、特許、米国エネルギー省・LBNL の報告書、ISO・JISC の公式ページ、各社の製品ページ)に限定しています。規格の本文は有料のため確認できていません。ASTM International のサイトは開いていません。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 製品の着色・消色の時間・サイクル寿命・保証・コスト、ASTM E2141 の題名と試験内容、EC ガラスの JIS 規格、規格の本文は、確認できなかったため記載していません。 数値は特定の試料・条件の結果、シミュレーション、または企業の記述であり、他のデバイスや製品、実際の建物に一般化できません。 図はすべて説明用の概念図です。図2・図3・図5はベクター作図、図1と図4はAI生成イメージであり、いずれも実際の写真・実測データ・製品の実物を示すものではありません。