COMPANY PROFILE / 機能性材料
MPマテリアルズ
― 米国で唯一、レアアースの採掘・分離から磁石の製造までを1社でつなごうとしている会社
強い永久磁石の原料であるレアアース(希土類)は、採掘よりも分離・精製と磁石づくりが中国に集中してきました。 MP Materials は、カリフォルニア州の Mountain Pass 鉱山で採掘から分離(NdPr酸化物)までを行い、 テキサス州フォートワースの Independence 工場で焼結ネオジム磁石の製造を2025年12月に始めた米国上場企業です。 2025年7月には米国国防総省(会社の書類では Department of War)と、価格の下限保証と磁石の買取りを含む長期契約を結びました。 本稿は、10-K(年次報告書)と10-Q(四半期報告書)で確認できる事実を、 会社の計画(未確定)と分けて整理します。
- 30秒でわかるMP Materialsと、機能性材料での立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 機能性材料の世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模
- 機能性材料にかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は機能性材料で何を目指しているか
- 機能性材料分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるMPマテリアルズと、機能性材料での立ち位置
磁石製造(従)中心の材料はNdPr(ネオジム・プラセオジム)
US$110/kg2025年10月〜2035年末。第2磁石工場の全量買取りも
MP Materials の価値は「鉱山を持っている」ことだけでなく、 米国政府が価格と販路を保証する形で、採掘から磁石までの供給網を国内に作ろうとしている点にあります。 2025年12月期の素材部門(Materials)の調整後EBITDAは、国防総省との価格保護契約の収入US$51.0Mを含めてUS$16.8Mの黒字でした(前年はマイナスUS$14.1M) 事実。 つまり現在の事業は、政府との契約と、磁石の立ち上げの成否の2点に大きく左右されます。 磁石については、10-Kが「磁石の製造を始めた」ことは書いていますが、出荷数量・価格・製品仕様の数値は開示されていません 未確定/将来。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は MP Materials Corp.。「MP」は Mountain Pass(鉱山の名前)に由来する通称で、 会社名として「MP」だけで書くことは避けます。 なお会社の書類では、米国国防総省(Department of Defense)が Department of War(DoW) と表記されています。本稿は会社の表記に従い、初出で併記します。 ロゴは公式サイトに掲載されているものです。
公式サイト:https://mpmaterials.com/3. 機能性材料の世界で、この会社はどこにいるか
MP Materials は素材・原料メーカーが主で、焼結ネオジム(NdFeB)磁石の製造を従として持つ会社です。 永久磁石の基本は本シリーズの技術解説「永久磁石とレアアース」で、 レアアースを使わない磁石は「レアアースフリー磁石」で扱っています。 同じ磁石の分野でも、Niron Magnetics(本シリーズの企業解説)はレアアースを使わない窒化鉄で新しい材料を事業化する会社であり、 MP Materials は既存のレアアース磁石の供給網を国内に作り直す会社です。両者は競合する面も補う面もあり、 どちらが優れているかを本稿は論じません。
4. 会社の規模
上場企業なので、10-Kに全社の数字があります。機能性材料に関わるのは、会社のほぼ全体がレアアースと磁石の事業であることです 事実。
| 指標(US$) | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万) | 253.4 | 203.9 | 224.4 |
| うち レアアース濃縮物(百万) | 252.5 | 144.4 | 42.0 |
| うち NdPr酸化物・金属(百万) | 0.7 | 57.8 | 115.1 |
| うち 磁石の前駆体(百万) | ― | ― | 66.9 |
| 価格保護契約の収入(百万) | ― | ― | 51.0 |
| 純利益(損失)(百万) | 24.3 | (65.4) | (85.9) |
| 指標 | 数値 | 時点・条件 |
|---|---|---|
| 従業員(常勤換算) | 998人 | 2025年12月31日。野外勤務が約83%。磁石の技術チームは180人超 |
| 現金等 | US$1.8B | 2025年12月31日。現金・同等物・短期投資の合計 |
| 有利子負債(元本) | US$1.1B | 2025年12月31日。転換社債・国防総省向け約束手形など |
| 2026年上半期の売上 | US$199.1M | 2026年6月30日までの6か月(前年同期 US$118.2M)。純損失 US$28.3M |
| 埋蔵量(鉱山) | REO 196万ショートトン | 2025年12月31日。独立コンサルタントSRK推計。平均品位5.89%、鉱山寿命は約28年(会社の見通し) |
価格保護契約の収入は、製品を売った売上ではなく、国防総省が市場価格との差額を払う契約上の収入として別に計上されています。 10-Kは、この契約のため「NdPrの実現価格」という指標を今後は示さないとしています 事実。 また10-Kには調査会社 Adamas Intelligence による世界のレアアース酸化物市場の推計(2025年に約252,000トン、年平均成長率6.0%)が引用されていますが、 これは調査会社の市場推計であるため、本稿は採用しません。
5. 機能性材料にかけているリソース
4点それぞれについて、一次情報で確認できたか/できなかったかを表にします。
| リソースの種類 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | 998人(2025年末)。2024年に18%増、2025年に24%増。磁石の技術者・技能者のチームは180人超。2026年に数百人を追加採用し、第2磁石工場の全面稼働時には約1,500人を見込む(会社の見通し) | 事実(見込みは未確定) |
| 金(設備投資・研究開発) | 設備投資(政府補助を除く純額)は2023年US$259.1M、2024年US$186.3M、2025年US$148.2M。2026年はUS$500〜600Mの見込み(会社の見通し)。研究開発費は単独では開示されず、「先進プロジェクト・開発」費US$24.2M(2025年)には国防総省関連の取引費用US$20.1Mが含まれる | 事実(見込みは未確定) |
| 外部への出資・買収・合弁・事業売却 | 合弁:サウジアラビアのMaaden社と、同国にレアアース精製所を建設する合弁(2025年11月発表。MPと国防総省が持分の目標49%、Maaden が51%以上)。売却:VREX Holdco Pte. Ltd. の持分49%を2025年に売却(受取US$9.7M)。被出資:国防総省へ優先株US$400Mとワラント。買収:2025年の買収は10-Kに記載なし | 事実 |
| 大学・研究機関・公的資金との連携 | 国防総省の産業基盤分析・維持局との契約US$35M(2022年2月、重希土の分離設備。2025年に受取US$24.2M)。国防総省との長期契約(価格下限・買取り・融資)。製造業向け税額控除(§45X)の利益US$20.3M(2025年)。大学・国立研究所との共同研究は10-Kに記載なし | 事実(共同研究は確認できず) |
主要な製品・設備の状況
| 製品・設備 | 規模・内容 | 段階 | 日付 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| レアアース濃縮物(Mountain Pass) | 2025年のREO生産量50,692トン。2021年以降、毎年40,000トン以上。年6万トンを目指す「Upstream 60K」(会社の目標) | 稼働 | 2025年 | 出典1 |
| NdPr酸化物(Mountain Pass) | 2025年の生産量2,599トン(前年比+101%)。設計処理量には未達と会社が記載 | 稼働(立ち上げ中) | 2025年 | 出典1 |
| NdPr金属・合金片(Independence) | 電解採取は2024年末、ストリップキャストは2025年に稼働 | 稼働 | 2024〜2025年 | 出典1 |
| 焼結NdFeB磁石(Independence) | 2025年12月に量産規模の設備で製造開始。年3,000トンへの拡張は国防総省との合意に基づく計画 | 立ち上げ中(設備の最終調整) | 2025年12月〜 | 出典1・2 |
| 重希土(Tb・Dy)分離(HREE設備) | テルビウム・ジスプロシウムを主に磁石部門向けに。会社は2026年後半に初期生産を見込む | 建設中 | 2026年後半(見込み) | 出典2 |
| サマリウム酸化物の分離・クロールアルカリ設備の再稼働 | 国防総省との合意で実施を約束。サマリウム事業にUS$150Mの融資(12年) | 計画 | ― | 出典1 |
| 第2磁石工場「10X Facility」(テキサス州Northlake) | 年7,000トン。投資はUS$1.25B超、州・地方の優遇約US$200M。Independenceと合わせて年10,000トン | 建設に着手(用地購入2026年4月)。稼働開始は2028年の見込み | 2026年 | 出典2 |
| 磁石のリサイクルライン(Mountain Pass) | Apple との契約に基づく、使用済み・工程くずの磁石からの回収 | 建設・開発中 | 2025年〜 | 出典1 |
Mountain Pass の鉱石はバストネサイト(フッ素炭酸塩鉱物)で、軽希土(ランタン・セリウム・プラセオジム・ネオジムなど)が主体です。 10-Kによれば、焙焼(鉱石を回転炉で酸化させる工程)でセリウムを4価に変えると溶けにくくなり、 不溶性の脈石と一緒に早い段階で除去できるため、後工程で扱う量が大幅に減り、エネルギー・薬品・排水が減るとされています 事実。 一方で、鉱石の組成は軽希土が中心で、重希土の割合は低いと同書は述べています。 磁石の工程は、10-Kの記述によれば、NdPr酸化物の電解採取→合金片のストリップキャスト→水素粉砕(水素化脆化による粗粉砕)とジェットミル→プレス成形→焼結→機械加工、 さらに粒界拡散などの追加処理で「耐久性と磁気特性を高める」場合がある、という流れです。
一般に、焼結ネオジム磁石の高温での保磁力はテルビウム・ジスプロシウムなどの重希土を粒界に使うことで確保されると言われます (本シリーズの技術解説「永久磁石とレアアース」で扱う一般的な解説)。会社が重希土の分離設備を磁石部門向けに優先して建てているのは、 ここに理由があると読めます 未確定/将来。 ただし、磁石の保磁力・残留磁束密度・グレードなどの製品仕様の数値は10-Kには記載がなく、確認できませんでした。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2017年7月 | Mountain Pass を取得し、操業を再開 | 米国唯一の大規模なレアアース鉱山・精製拠点 |
| 2021年〜 | REO濃縮物を毎年40,000トン以上生産 | 上流の安定 |
| 2022年2月 | 国防総省から重希土分離設備の契約US$35Mを獲得。Independence 工場の建設に着手 | 重希土・磁石への投資の起点 |
| 2022年4月 | GM(ゼネラルモーターズ)と磁石・前駆体の長期供給契約 | 最初の基盤顧客 |
| 2023年 | 分離(NdPr酸化物)の操業を開始。2月に住友商事の米国法人が日本向けNdPrの独占販売店に。11月に「Upstream 60K」を発表 | 濃縮物の販売から、分離製品の販売へ |
| 2024年末〜2025年 | Independence で電解採取・ストリップキャストを稼働。2025年第1四半期に磁石前駆体(NdPr金属)の販売を開始 | 下流の立ち上げ |
| 2025年7月 | 国防総省との複合契約(7月9日)、株式公募(純額US$724.2M)、Apple との供給契約(前払いUS$200M。条件の達成が前提)、中国向けの全製品の販売を停止 | 政府・顧客資金で下流を拡大、中国依存を断つ |
| 2025年8月 | 国防総省へUS$150Mの約束手形(サマリウム事業)、JPモルガン主導のUS$275M与信枠 | 資金の多様化 |
| 2025年10月 | NdPrの価格保護契約が開始(下限US$110/kg) | 価格変動リスクを政府と分担 |
| 2025年11月 | サウジ Maaden 社・国防総省とレアアース精製所の合弁を発表 | 米国外での精製拡大。資本負担を軽くする構造 |
| 2025年12月 | 焼結NdFeB磁石の製造を開始(Independence) | 鉱山から磁石までが形の上でつながった |
| 2026年1〜2月 | Shenghe 社との販売契約が満了し延長せず。10Xの用地を Northlake(テキサス州)に決定。米国の技術・産業企業とNdPrの購入契約 | 中国向け販売の終了、第2工場の確定 |
| 2026年4〜8月 | 10Xの用地(約120エーカー)を約US$80Mで購入し建設に着手。上半期の売上US$199.1M | 売上の中心がNdPr酸化物・金属へ |
7. 今後の計画
年7,000トン会社の見込み(建設中)
いずれも会社の計画・見込みであり、達成された事実ではありません 未確定/将来。 10-Kは、磁石製造の立ち上げについて「建設の遅れ、設備の据付の遅れ、顧客の期待を満たせない可能性」などのリスクを自ら挙げています。
次はいずれも公式資料で確認できませんでした 未確定/将来。
磁石の出荷数量・価格・グレード別の仕様/Apple 向け磁石の出荷時期/ サマリウム酸化物・クロールアルカリ設備の稼働時期/Maaden 合弁の投資額・稼働時期/ 2026年2月のNdPr購入契約の相手先名・数量(会社は相手を公表していません)/ 大学・国立研究所との共同研究。
8. この会社は機能性材料で何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 鉱山から磁石まで1社で完結する供給網が、会社の目的 | 10-Kが事業の使命を「レアアース磁石の供給網を米国に取り戻すこと」と明記 | 事実 |
| 現在の素材事業は国防総省の価格下限なしでは黒字化していない | 素材部門の調整後EBITDA US$16.8Mは、価格保護契約の収入US$51.0Mを含む。10-Kは「PPAの収入により黒字になった」と説明 | 推測 |
| 磁石の性能を決める重希土の自給を重視している | 重希土設備が磁石部門向けと明記。鉱石は軽希土が中心 | 推測 |
| 売上が少数の大口契約(国防総省・GM・Apple)に集まっていく | それぞれ長期契約と前払いが開示されている(Apple前払いUS$200M〔条件達成が前提〕、GM前払いUS$150M) | 推測 |
| 米国外では資本を抑えて精製を広げる | Maaden 合弁は「資本負担の軽い構造」で、米国側の出資は国防総省が非遡及で融資 | 事実 |
素材部門(Materials)の2025年の調整後EBITDAはUS$16.8Mの黒字で、10-Kは「国防総省との価格保護契約の収入により黒字となった」と説明しています。 この収入はUS$51.0Mですから、単純に引くと約マイナスUS$34.2Mになります 本稿の計算 (調整後EBITDAの定義や、価格保護契約に伴う償却の扱いが絡むため、厳密な値ではありません)。 価格下限が無ければ赤字だった、という読みが成り立ちます。 契約は2035年末までですが、10X工場が全面稼働して市場価格がUS$110/kgを超えた場合は、超過分の30%を国防総省に支払う取り決めもあります 事実。 ここから、会社は下限の保護を受けつつ、上振れの一部を政府と分け合う構造を選んだと読めます 未確定/将来。本稿の解釈であり、会社が述べた内容ではありません。
9. 機能性材料分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
製品は大きく、Materials(素材)とMagnetics(磁石)の2部門に分かれます 事実。
| 部門 | 主な製品 | 販売先(会社の記述) |
|---|---|---|
| Materials | NdPr酸化物・金属、セリウム・ランタン製品、重希土の混合品「SEG+」、(従来は)レアアース濃縮物 | 日本・韓国・アジア、米国。2025年7月から中国向けは停止 |
| Magnetics | 磁石の前駆体(NdPr金属)、焼結NdFeB磁石(2025年12月に製造開始) | GM(前駆体。完成磁石は2026年開始の見込み)、Apple(磁石)、国防総省(10X工場の全量) |
磁石の用途として10-Kが挙げるのは、電気自動車の駆動モーター、ロボット、風力発電機、省エネモーター、民生・医療機器、防衛システムなどです。 10-Kは、これらの用途に向けた製品ごとの仕様(グレード、磁気特性)を開示していません 未確定/将来。
一般に、磁石の量産では、粉の粒径・酸素量・配向(磁場中成形で結晶の向きを揃える)・焼結温度の管理が性能と歩留まりを左右すると言われます。 10-Kは、磁石工場の工程を「プレス成形→焼結→機械加工→表面処理」と書いていますが、 配向の方法や歩留まり・酸素管理などの工程条件は開示されていません。 会社自身が「顧客の期待を満たせない可能性」をリスクとして挙げ、2025年12月に「量産規模の設備で製造を始めた」段階です。 新製品の導入(NPI)用の工場でまず車載用グレードの試作を行ってから量産設備に移る、という順序も10-Kに書かれています 事実。 自動車や電子機器向けでは、顧客側の評価・認定を通ることが次の壁になります(一般的な事情で、会社固有の事実ではありません)。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 鉱山が1か所 | 売上の中心は単一の場所(Mountain Pass)の操業に依存し、停止すると生産・収益に影響する(10-K) | 事実 |
| 国防総省への依存 | 価格下限、買取り、優先株、融資、設備契約が同一の相手に集中。国防総省の優先株が転換され、ワラントが行使された場合の普通株は、2025年7月9日時点の発行済株式の15%に相当する | 事実 |
| 磁石の立ち上げ | 建設・設備の遅れ、顧客の期待未達が会社自身のリスクとして記載。磁石の数量・価格は未開示 | 事実 |
| 重希土の確保 | 鉱石は軽希土中心。重希土の分離設備は2026年後半に稼働見込みで、磁石の性能を支える原料の確保が課題 | 推測 |
| 中国の輸出管理と市場 | 中国は2025年4月4日の商務部・税関総署の公告2025年第18号で、サマリウム・ガドリニウム・テルビウム・ジスプロシウム・ルテチウム・スカンジウム・イットリウムの関連品目に輸出管理を実施。10-Kによれば、2025年に管理を拡大し、同年11月に米中の合意で拡大分の実施を停止した。これらは需給・価格を変動させる | 事実(公告は商務部の公式ページ、合意は10-Kの記述) |
| 資金と財務条件 | 2026年の設備投資US$500〜600M。与信枠には、一定の条件まで現金等US$500M以上の維持を求める財務制限がある。2030年満期の転換社債(新規発行US$747.5Mと、2026年満期債との交換分US$115.3M) | 事実 |
| 価格変動 | レアアース価格は2023〜2024年に大きく下がり、収益・現金収支に影響した。2025年10月からは価格下限により下振れ分を国防総省が補う一方、10X工場の全面稼働後は市場価格が基準を上回ると超過分の30%を支払う | 事実 |
| 環境規制・訴訟 | 鉱山・加工の許認可と環境規制に服する。建設関連の訴訟で2026年に和解(US$8.8M) | 事実 |
12. 用語集
- レアアース(希土類)
- ネオジムなど17元素の総称。強い永久磁石の原料になる。
- NdPr
- ネオジムとプラセオジム。ネオジム磁石の主原料で、レアアース市場で金額が最大。
- 重希土(HREE)
- テルビウム・ジスプロシウムなど。磁石の耐熱性(保磁力)に使われる。軽希土より産出が少ない。
- バストネサイト
- Mountain Pass の主な鉱石。レアアースを含むフッ素炭酸塩鉱物。
- NdFeB磁石
- ネオジム・鉄・ホウ素の焼結磁石。モーター用で最も強い市販の永久磁石。
- PPA(価格保護契約)
- MP Materials と国防総省のNdPr価格下限の契約。本稿では「価格保護契約」と書く。
- オフテイク
- 買い手が生産物を長期にわたり買い取る契約。
- Form 10-K/10-Q
- 米国上場企業がSECに提出する年次報告書/四半期報告書。監査(10-K)・レビュー(10-Q)を受ける。

13. 出典
- MP Materials Corp. Form 10-K(2025年12月期、2026年2月26日提出)。事業概要、セグメント別の売上、国防総省との合意、Apple・GMとの契約、設備投資、鉱山の埋蔵量、従業員数、リスク。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801368/000180136826000008/mp-20251231.htm
- MP Materials Corp. Form 10-Q(2026年6月期、2026年8月7日提出)。2026年上半期の業績、10X Facility(Northlake)、重希土設備の見込み、GM前駆体の残高。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801368/000180136826000048/mp-20260630.htm
- MP Materials Corp. Form 8-K 添付資料(2025年11月19日)。Maaden社・国防総省とのレアアース精製所の合弁のリリース。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801368/000119312525287046/d39340dex991.htm
- MP Materials Corp. 公式サイト(ロゴの取得元)。 https://mpmaterials.com/
- 中華人民共和国商務部・税関総署 公告2025年第18号「一部の中重希土関連品目に輸出管理を実施する決定」(2025年4月4日、英語版)。 https://english.mofcom.gov.cn/Policies/AnnouncementsOrders/art/2025/art_0dd87cbee7b045bf93fabe6ab2faceee.html
- 米国下院 中国共産党との戦略的競争特別委員会 Khanna, Moolenaar Introduce Bipartisan Legislation to Reshore America’s Magnet Supply Chain(2026年6月9日)。MP Materials幹部の支持コメントを含む。 https://democrats-selectcommitteeontheccp.house.gov/media/press-releases/khanna-moolenaar-introduce-bipartisan-legislation-reshore-americas-magnet
- 米国SEC EDGAR 提出書類一覧(MP Materials Corp.、CIK 0001801368)。10-K・10-Q・8-Kの提出日の確認用。 https://www.sec.gov/cgi-bin/browse-edgar?action=getcompany&CIK=0001801368&type=&dateb=&owner=include&count=40
14. 主張と出典の対応表
| 本文の主張 | 区分 | 出典 |
|---|---|---|
| 正式名称、本社所在地、事業の2部門、Mountain Pass・Independence の概要、従業員998人 | 事実 | 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801368/000180136826000008/mp-20251231.htm |
| 売上・純損失・各製品の売上(2023〜2025年)、NdPr生産量2,599トン、REO生産量50,692トン | 事実 | 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801368/000180136826000008/mp-20251231.htm |
| 国防総省との合意(価格下限US$110/kg、買取り、EBITDA保証US$140M、優先株US$400M、ワラント、約束手形US$150M) | 事実 | 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801368/000180136826000008/mp-20251231.htm |
| Apple との契約(前払いUS$200M)、GMとの契約(前払いUS$150M)、住友商事との販売店契約 | 事実 | 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801368/000180136826000008/mp-20251231.htm |
| 設備投資の実績(US$148.2M等)と2026年の見通し(US$500〜600M)、現金等US$1.8B | 事実 | 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801368/000180136826000008/mp-20251231.htm |
| 鉱山の埋蔵量(196万ショートトン)、中国向け販売の停止、焙焼によるセリウムの除去、磁石の工程 | 事実 | 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801368/000180136826000008/mp-20251231.htm |
| 2026年上半期の売上・価格保護契約収入、10Xの用地(Northlake)・投資額・稼働時期、重希土の2026年後半の見込み、GMの残債務US$45.5M | 事実(見込みは未確定) | 出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801368/000180136826000048/mp-20260630.htm |
| Maaden との合弁(持分の目標49%と51%以上、国防総省の非遡及融資) | 事実 | 出典3 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801368/000119312525287046/d39340dex991.htm |
| 中国商務部・税関総署の公告2025年第18号(2025年4月4日、中重希土の輸出管理) | 事実 | 出典5 https://english.mofcom.gov.cn/Policies/AnnouncementsOrders/art/2025/art_0dd87cbee7b045bf93fabe6ab2faceee.html |
| Magnets Value Chain Support Act of 2026(2026年6月9日提出)と、MP Materials幹部の支持表明 | 事実(提出段階) | 出典6 https://democrats-selectcommitteeontheccp.house.gov/media/press-releases/khanna-moolenaar-introduce-bipartisan-legislation-reshore-americas-magnet |
| 提出書類の一覧と提出日 | 事実 | 出典7 https://www.sec.gov/cgi-bin/browse-edgar?action=getcompany&CIK=0001801368&type=&dateb=&owner=include&count=40 |
| 公式サイトのロゴ | 事実 | 出典4 https://mpmaterials.com/ |
| 磁石の出荷数量・価格・グレード別の仕様 | 未確定/将来 | 10-K・10-Qに記載なし。本稿では推計もしない 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801368/000180136826000008/mp-20251231.htm |
| 2026年2月のNdPr購入契約の相手先名・数量 | 未確定/将来 | 10-Qに記載なし(会社は相手を公表していない) 出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801368/000180136826000048/mp-20260630.htm |
| 大学・国立研究所との共同研究 | 未確定/将来 | 10-Kに記載なし。存在しないとも断定しない 出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801368/000180136826000008/mp-20251231.htm |
| 世界のレアアース酸化物市場の規模・成長率(Adamas Intelligenceの推計) | 未確定/将来 | 調査会社の推計であるため本稿では採用しない(10-Kの引用部分) |
| 素材事業が国防総省の価格下限なしでは黒字化していないという読み | 推測 | 本稿の解釈(セグメント調整後EBITDAとPPA収入から) |
| 素材部門の調整後EBITDAからPPA収入を除いた約マイナスUS$34.2M | 本稿の計算 | 本稿の計算(US$16.8M − US$51.0M。定義の差があるため目安) |
| 重希土の自給を重視しているという読み | 推測 | 本稿の解釈(HREE設備が磁石部門向けという記述から) |
| 売上が少数の大口契約に集まっていくという読み | 推測 | 本稿の解釈(長期契約と前払いの開示から) |
| 焼結ネオジム磁石の高温での保磁力は重希土で確保されるという一般的な説明 | 解説 | 解説(本シリーズの技術解説「永久磁石とレアアース」で扱う一般的な知識。10-Kの記載ではない) |
| 重希土の確保が課題というリスクの読み | 推測 | 本稿の解釈 |
| 4類型の区分(素材/部品/コーティング/新方式) | 本稿の計算 | 本稿による整理。企業名は本シリーズから例示 |
最終更新:2026年10月10日/Troy Technical
本稿の数値はMP Materials Corp.が米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類(Form 10-K、10-Q、8-K)と、中国商務部・米国下院特別委員会の公式発表に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。