TECHNOLOGY EXPLAINER
持続グルコースモニタリング(CGM)
― 血ではなく「間質液」を、酵素電極で測り続ける
皮膚の下に差し込んだ細いセンサーが、細胞のまわりを満たす間質液のブドウ糖を、酵素の反応を電流に変えて測り続けます。 数字は血液そのものではなく、少し遅れて追いかけるもう一つの区画の値です。 この記事は、センサーのしくみ・校正・遅れ・精度指標(MARD)・干渉物質・FDAの区分を、公的文書と査読論文から整理した技術解説です。

- CGMとは何か(3行でつかむ)
- 皮下の小さな酵素電極 ― 何がどう反応するのか
- 素材技術者の視点①:酵素・滅菌・生体適合性・接着という4つの関門
- 校正 ― 工場で済ませるか、使う人が行うか
- 遅れ(ラグ)― 血液と間質液は別の区画
- 精度指標 MARD の定義と限界
- 本稿の計算:同じセンサーでも MARD が変わる理由
- 装着期間 ― 製品ごとの公表内容
- 干渉物質 ― 表示と審査文書にあること
- FDAの「iCGM」特別管理 ― 何を満たすと分類されるのか
- PMA承認から De Novo、そしてOTCへ
- 素材技術者の視点②:「正しい」とは何と比べた値か
- 課題と、本稿で確認できなかったこと
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=公的文書・メーカーの表示・論文に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。
本記事は技術の解説であり、診断・治療・測定値の読み方に関する助言や、特定の製品の推奨ではありません。
製品の使い方や測定値の扱いは、各製品の取扱説明書と医療従事者の指示に従ってください。
1. CGMとは何か(3行でつかむ)
CGM(continuous glucose monitoring)は、「皮膚の下の液体に含まれるブドウ糖を、数分おきに電気信号として測り続ける装置」です。 指先から血を採って測る血糖測定器(SMBG)が「ある瞬間の点」を測るのに対し、CGMは時間に沿った連続した記録を残します(本記事による解説)。
- 何を測るか:血液ではなく間質液です。Dexcom G6 の FDA 審査文書は「センサーが間質液中のブドウ糖濃度を連続的に測る」と記し事実、FreeStyle Libre の承認審査文書(SSED)も、皮下に入れたセンサーが間質液中のブドウ糖に応じた電流を生むと説明しています事実
- どう測るか:グルコース酸化酵素という酵素がブドウ糖を酸化し、その反応を電流に変えます。電流の大きさはブドウ糖の量に比例すると、FDA文書は記述しています事実
- 何と比べて評価するか:臨床試験では、同時に採った血液を実験室の測定法で測った値と比べます。Libre の SSED は YSI 2300 分析装置を基準にしたと記しています事実
CGMの数字は「血液のブドウ糖」そのものではなく、「間質液のブドウ糖を酵素電極で測り、アルゴリズムで換算した推定値」です。 だから、遅れ(ラグ)があり、校正のしかたがあり、精度は「何と比べて、誰で、どんな範囲で」という条件とセットでしか語れません。 FDAは2018年から、この種の機器を特別管理つきの「iCGM」として分類しています事実。
2. 皮下の小さな酵素電極 ― 何がどう反応するのか
センサーの本体は、皮下組織に差し込む細い糸状(ワイヤー状)の部分です。 FDA文書の記述を並べると、構成は次のとおりです。

出典・数値・構成を示す元の模式図(SVG)を確認する
| 項目 | FDA文書の記述 | 出所 |
|---|---|---|
| 酵素と電流 | Dexcom G6:グルコース酸化酵素がブドウ糖の酸化を触媒して過酸化水素を生み、それが「間質液のブドウ糖に比例する」電流を生む | De Novo 審査文書[参考資料4] |
| 酵素と電流 | FreeStyle Libre 2・3:グルコース酸化酵素がブドウ糖を酸化して電子を電極へ渡し、電流を生む。電流の大きさは皮下のブドウ糖の量に比例する | 510(k) 概要[参考資料6] |
| センサーの形 | Dexcom G7:「ワイヤー型」の検知機構。Stelo:「小さく柔軟なワイヤー」を皮下組織に差し込む。Libre:センサーの「尾部(tail)」を針の誘導で皮下に入れ、針は引き抜かれる | [参考資料7・9・6] |
| 表示できる範囲 | Dexcom G6・G7:40〜400 mg/dL。下回ると「LOW」、上回ると「HIGH」と表示 | [参考資料4・7] |
| 通知の間隔 | Dexcom G6・G7:5分ごと。Libre 3:1分ごとに測定値を出す | [参考資料4・7・6] |
すべて事実(FDAの審査文書・510(k)概要)。製品ごとに更新される場合があります。
酵素電極という考え方そのものは古く、1967年に Updike と Hicks が「The Enzyme Electrode」を Nature に発表しています事実。 近年の総説は、電子を電極に渡す経路を3つの世代に整理しています。 第1世代は酸素を電子の受け手にして、生じた過酸化水素を電極で酸化して電流を読む方式、第2世代は人工の電子の受け手(メディエーター)を使う方式、第3世代は酵素から電極へ直接電子を渡す方式です。 同じ総説は、電気化学式CGMの現行センサーはいずれもグルコース酸化酵素(GOx)に基づくと記しています事実[参考資料14]。 メディエーターと酵素固定の材料の詳細は、本シリーズ「酵素と電極界面の材料」編で扱います。
3. 素材技術者の視点①:酵素・滅菌・生体適合性・接着という4つの関門
FDAの審査文書を材料の目で読むと、1本のセンサーが越えるべき関門が見えてきます。
- ① 酵素が装着期間ずっと働き続けること。総説は、GOxはFAD依存型グルコース脱水素酵素(FAD-GDH)より長期安定性に優れ、そのためFAD-GDHはCGMへの適用が限られてきたと記しています事実[参考資料14]。タンパク質を10〜15日、体温の液体のなかで働かせ続けるのは、材料側の大きな課題です(本記事による解説)。
- ② 滅菌と保管のあとでも活性が残ること。Libre のセンサーパックは電子線滅菌と記され事実[参考資料6]、Dexcom G6 の審査文書は放射線滅菌の規格(ISO 11137)を参照し、センサーの保管寿命試験で最長3か月の有効期間を裏づけたと記しています事実[参考資料4]。酵素は放射線と保管に耐えねばなりません(解説)。
- ③ 「体の中に長くいる材料」としての生体適合性。Dexcom G6 のセンサーは、組織に長期接触する埋め込み型機器(接触期間が30日を超える扱い)として、細胞毒性・感作・刺激・全身毒性・亜慢性毒性・遺伝毒性・埋植試験が行われました事実[参考資料4]。Libre の SSED も ISO 10993 の各試験に加え、4週・26週の埋植試験を掲げています事実[参考資料5]。1回の装着は10〜15日でも、繰り返し使われる前提で評価されます(解説)。
- ④ 皮膚の上では「粘着」の問題になる。Libre の審査文書は、センサーを皮膚に保持する「医療用粘着層」と、想定される有害事象として粘着剤による刺激を挙げます事実[参考資料5]。Dexcom G7 の510(k)は、粘着テープ(製品コード KGX、クラスI)を別の製品コードとして併記しています事実[参考資料7]。Dexcom G6 の送信器の外装は樹脂(エポキシ)とパラジウム接点と記されています事実[参考資料4]。皮膚接着の材料設計は、本シリーズ「パッチ型センサーと皮膚接着」編で詳しく扱います。
この4つは、測定の原理とは別の次元の要求です。酵素電極の研究論文で良いデータが出ても、このすべてを満たせなければ製品になりません(本記事による解説)。
4. 校正 ― 工場で済ませるか、使う人が行うか
CGMは電流を濃度に直すために校正が要ります。この「誰が、いつ校正するか」が、製品の世代で変わってきました。
| 製品(審査文書) | 校正に関する記述 |
|---|---|
| Dexcom G6(De Novo、2018年) | センサーに付属の校正コードを入力すれば、装着期間中の校正は不要。コードを使わない場合は、開始時に指先血糖値を2回入力し、以後24時間ごとに入力。任意の手動校正も可能 |
| FreeStyle Libre(PMA、2017年) | 製造時に校正される工場校正。血糖値によるユーザー校正を要求も受け付けもしない |
| FreeStyle Libre 2・3(510(k)、2024年) | 工場校正で、指先血糖値による校正は不要 |
| Stelo(510(k)、2024年) | 校正入力のない工場校正のみ |
すべて事実(FDA審査文書[参考資料4・5・6・9])。
工場校正を成り立たせるには、製造ロットごとに感度のばらつきを小さく抑える必要があります。 FDAのiCGM特別管理も、製造中と出荷時の管理によって、承認された性能仕様を満たす製品であることを確認するよう求めています事実[参考資料1]。 校正の負担をなくすことは、使う人の手間を、製造工程の管理に移すことでもあります(本記事による解説)。
5. 遅れ(ラグ)― 血液と間質液は別の区画
CGMの数字が血糖測定器と食い違う原因のひとつが遅れです。2つの原因が重なります。 血液から間質液へブドウ糖が移る生理学的な遅れと、センサーの応答や信号処理による機器側の遅れです。 血液と間質液という「2つの区画」の違いと、間質液のブドウ糖を正確に測ることの難しさは、Cengiz と Tamborlane の総説が整理しています[参考資料18]。
- 生理学的な遅れ:Basu らは、一晩絶食した健常成人8人の腹部皮下に微小透析カテーテルを入れ、静脈内に投与したブドウ糖トレーサーの血漿と間質液での出現を比べました。間質液での出現の遅れは平均5.3〜6.2分でした事実[参考資料15]。
- 機器を含む遅れ:Schmelzeisen-Redeker らは、試作のグルコースセンサーを使った37人(108データセット)で、生信号の血糖に対する時間遅れを平均9.5分(SD 3.7)、中央値9分と報告しました。予測アルゴリズムを使うと遅れは平均4分短くなりました事実[参考資料16]。
- 歪み:Cobelli らは、間質液のブドウ糖は血液を時間でずらしただけの曲線ではなく、血糖の水準と平衡時間の両方に依存する複雑な関係を持つと、モデルによるシミュレーションで示しました事実[参考資料17]。
血液のブドウ糖が一定の速さで変化し、間質液の値が単純に時間だけ遅れると仮定します本稿の計算。
- 変化の速さ 1 mg/dL/分、遅れ 5.3分 → 差は 1 × 5.3 = 約5 mg/dL
- 変化の速さ 2 mg/dL/分、遅れ 9.5分 → 差は 2 × 9.5 = 約19 mg/dL
前提と限界:実際の間質液の値は、単純な時間のずれではなく形も変わります[参考資料17]。この計算はオーダーを知るための概算であり、特定の機器の誤差を予測するものではありません。 なお、FDAのiCGM特別管理は、ブドウ糖の変化速度の表示の正確さも要求しており、「血糖が急に下がっている(−2 mg/dL/分より速い)のに、上昇(+1 mg/dL/分より速い)と示す測定値は1%以下」といった基準を定めています事実[参考資料1]。
Dexcom G6 の2018年の審査文書には、製品の使用上の条件として、血糖が急に上下している間は治療判断にこの機器を使わない旨が記載されていました事実[参考資料4]。 これは審査当時の表示の記述であり、現行の取扱説明書の内容ではありません。遅れという物理的な性質が、使用上の注意に反映された例として挙げています。
6. 精度指標 MARD の定義と限界
CGMの精度を語るとき、いちばんよく出てくる数字がMARD(mean absolute relative difference、平均絶対相対差)です。 定義は単純で、CGMの値と基準となる値の差を基準値で割って絶対値にし、すべての対(ペア)で平均した百分率です(本記事による解説)。
ただし、この数字は「センサーの固有の性質」ではありません。2本の総説が、その理由を述べています。
- Heinemann らは、MARDはCGMの測定性能の指標として最もよく使われ、比較も簡単に見えるが、メーカーが示すMARDの解釈には複雑な要素が絡むと述べ、非補助的な(治療判断に使う)用途では、MARDを唯一の指標にすべきでないとしています事実[参考資料19]。
- Vigersky らは、MARDは精度試験の設計に大きく左右されると述べています。糖尿病の型や年齢などの参加者の属性、センサーを着ける部位、試験中に集まった各血糖域のデータの割合が影響します。また、MARDが安全なセンサーとそうでないセンサーを見分けられることを示した臨床研究はなく、代わりにエラーグリッド解析などがあるとしています事実[参考資料20]。
実際の審査文書でも、条件による違いははっきり現れます。 Dexcom G6 の審査文書には、成人(159人)の腹部装着で、CGMの値の範囲ごとに実験室法と比べたMARDが示されています。
| CGMが示した値の範囲 | 比較した対の数 | MARD(実験室法に対して) |
|---|---|---|
| 54 mg/dL 未満 | 383 | 13.8% |
| 54〜69 mg/dL | 1,537 | 11.5% |
| 70〜180 mg/dL | 9,453 | 10.9% |
すべて事実(Dexcom G6 De Novo 審査文書[参考資料4]、成人159人・腹部装着・11施設の2試験の合算。範囲はCGMの値で区切ったもの)。同じ審査文書は、基準を実験室法とし、小児の一部(2〜6歳)は血糖測定器を基準にしたと記しています。
FreeStyle Libre の2017年の承認審査文書(SSED)も、同じ機器でも条件で変わる様子を示しています。 最初の米国試験では、実験室法(YSI 2300 分析装置)に対するMARDが12.5%でしたが、機器を改良したあとの本試験では9.7%でした事実[参考資料5]。 異なる試験の数値を並べて、製品の優劣を論じることはできません。
標準化の面では、CLSI の文書「POCT05 Performance Metrics for Continuous Interstitial Glucose Monitoring」(第2版、2020年11月刊、2025年7月に再確認)が、CGMの性能指標を扱っています事実[参考資料21]。 本文は有料のため、本稿では題名と位置づけの確認にとどめます。
7. 本稿の計算:同じセンサーでも MARD が変わる理由
(1) 求め方:3つの対で、基準値とCGMの値が次のとおりだったとします本稿の計算。
- 基準 100、CGM 110 → |110−100|÷100 = 10%
- 基準 180、CGM 162 → |162−180|÷180 = 10%
- 基準 60、CGM 72 → |72−60|÷60 = 20%
- MARD = (10 + 10 + 20) ÷ 3 = 約13.3%
(2) 試験設計の影響:あるセンサーの誤差が、血糖域ごとに 60未満で20%、70〜180で10%、180超で8% と決まっているとします(例示のための仮定値)。 2つの試験で集まったデータの割合が違うと、同じセンサーでも全体のMARDが変わります本稿の計算。
同じ理由で、MARDが小さいほどよい、という一方向の見方は危ういことになります。 Vigersky らも、MARDの代わりに、エラーグリッド解析や、糖尿病のある人での臨床研究のような、臨床的に意味のある評価を使うべきだとしています[参考資料20]。 FDAのiCGM特別管理も、MARDではなく、範囲別の一致率の下限という形で基準を定めています(第10章)。
8. 装着期間 ― 製品ごとの公表内容
| 製品 | FDA文書が記す装着期間・特徴 | 文書・区分 |
|---|---|---|
| FreeStyle Libre(初代) | 最初の12時間のウォームアップのあと最長10日。ユーザーが読み取りを行ったときだけ値を出す方式 | PMA P160030(2017年承認) |
| Dexcom G6 | 最長10日。成人は腹部のみ、小児は腹部または臀部 | De Novo DEN170088(2018年) |
| Dexcom G7 | 最長10日+12時間の猶予期間。5分ごとに値を送る | 510(k) K234133(2024年) |
| Dexcom G7 15 Day | 最長15日+12時間の猶予期間。対象は18歳以上 | 510(k) K243214(2025年) |
| FreeStyle Libre 3 / 3 Plus | 最長14日/15日。上腕の背側に装着。シルバーオキサイド電池を内蔵 | 510(k) K233537(2024年) |
| Stelo(OTC) | 最長15日+12時間の猶予期間。G7と同じハードウェアで、ファームウェアを変更して10日から15日に延長したと記載 | 510(k) K234070(2024年) |
| Lingo(OTC) | 最長14日。FreeStyle Libre 2 のセンサーに基づく | 510(k) K233655(2024年) |
すべて事実(FDA審査文書・510(k)概要[参考資料4〜10])。日付は決定日の年。装着期間の延長が精度や安全性にどう影響するかは、それぞれの試験で確認されたものであり、本稿は比較しません。
Stelo の510(k)概要は、「同じハードウェア設計」のまま、ファームウェアを変えて装着期間を10日から15日へ延ばし、精度を維持したと記しています事実[参考資料9]。 センサーを長持ちさせる要点が、酵素や膜の材料だけではなく、信号処理のソフトウェアにもあることを示す一例です(本記事による解説)。
9. 干渉物質 ― 表示と審査文書にあること
酵素電極は、ブドウ糖以外の物質が電極で反応したり、酵素の反応に影響したりすると、値がずれることがあります。 FDAのiCGM特別管理は、内因性物質・代謝物・食品・サプリメント・薬剤を含む、合理的に存在しうる干渉物質の存在下で臨床的に許容できる性能を示すよう求めています事実[参考資料1]。 以下は、メーカーの表示と審査文書に書かれていることの紹介で、読者個人の使用を判断するためのものではありません。
| 物質 | 文書の記述 | 出所 |
|---|---|---|
| アセトアミノフェン | Dexcom は、G6・G7では標準〜最大量(成人で1gを6時間ごと)を超える量で値が高く出ることがあると表示。前世代(G4/G5)では影響があったと記載。G6 の審査文書では、成人65人の臨床試験で1 gの単回投与後の最大干渉効果の平均は 5.2 mg/dL、ベンチ試験では約2 mg/dL(標準量の生理的濃度)で臨床的に有意な変化なし、6.5 mg/dLで最大22 mg/dL、20 mg/dLで最大70 mg/dLの偏りが出たとされる | [参考資料12・4] |
| ヒドロキシウレア | Dexcom は、服用するとセンサー値が実際より高くなること、その程度は体内の量に依存することを表示している | [参考資料12] |
| アスコルビン酸(ビタミンC) | FreeStyle Libre の表示:推奨される1日の許容量を超える量で、センサー値が実際より高く出ることがある | [参考資料13・5] |
| サリチル酸(アスピリンなど) | FreeStyle Libre の表示:センサー値がわずかに低く出ることがある | [参考資料13・5] |
すべて事実(各社の表示ページと FDA 審査文書)。Dexcom の表示ページは、ヒドロキシウレアについて、治療判断に使わないことなどを推奨しています。いずれも製品・版・地域によって表示が変わりうるため、実際の判断は、最新の取扱説明書と医療従事者の指示によります。ベンチ試験の濃度は審査文書の記載を転記したものです。
物質ごとに影響が違うのは、電極上で何が反応するかが、電極電位や膜の選択性、メディエーターの有無に左右されるためと考えられます(本記事による解説)。 総説は、第2世代の方式は過酸化水素を直接酸化するのに要する電位より低い印加電位で動作でき、試料中の干渉の影響を小さくできると記しています事実[参考資料14]。 アセトアミノフェンは、Dexcom の前世代では影響が大きく、G6 ではセンサーの設計を変えて影響を減らしたと審査文書が述べています事実[参考資料4]。 どのように減らしたかの材料構成は、本稿が確認した公的文書には書かれていませんでした。 電極と膜の選択性の考え方は、本シリーズ「電気化学センサー」編と「酵素と電極界面の材料」編で扱います。
10. FDAの「iCGM」特別管理 ― 何を満たすと分類されるのか
FDAは、自動インスリン投与システムなど他の機器とデジタルにつながることを前提にしたCGMを、iCGM(integrated continuous glucose monitoring system)として、クラスII(特別管理つき)に分類しています。規則は 21 CFR 862.1355 です事実[参考資料1]。 規則文の特別管理には、成人の臨床試験で満たすべき数値基準が並びます。基準は「一致率の片側95%信頼区間の下限が、この値を超えること」という形です。
特別管理は、数値基準のほかにも次のような項目を定めています事実[参考資料1]。
- 実験室の測定法(FDAが受け入れ、上位の基準にトレーサブルな方法)で測った同時採血の値との比較
- 装着期間を通じて一貫した性能と、臨床的に問題になるデータの欠落がないこと
- 使用期間を超えて使えないようにする仕組み(使い捨てセンサー)
- 使用性試験、安全で信頼できるデータ送信の戦略、製造時・出荷時の管理
- ラベルに、血糖域別(54未満、54〜70未満、70〜180、180超〜250、250超)の精度、変化速度の精度、データ欠落の頻度、アラートの的中率、挿入部位ごとの性能、観察されたセンサー寿命を記載すること
11. PMA承認から De Novo、そしてOTCへ
CGMの規制上の位置づけは、10年足らずで大きく動きました。FDAの区分は、approval(承認)、grant(De Novo の認可)、clearance(510(k) の適合)がそれぞれ別の手続きです。混同しないよう、図5で整理します。
| 区分(FDAの製品コード) | FDAの分類データベースの記述 |
|---|---|
| QBJ | 統合型CGM、工場校正。自動インスリン投与システムを含むデジタル接続機器とつながることを前提にしたiCGM |
| QLG | 統合型CGM、工場校正、自動インスリン投与システムとの併用を意図しない(利用者が手動で治療行為を行うことが前提) |
| SAF/SBH | 非集中的なブドウ糖モニタリング/管理のためのiCGM、市販(OTC)。インスリンを使用せず、問題となる低血糖のリスクが大きくない人が対象。インスリンの投与を制御する機器は接続先から除かれる |
すべて事実(FDA 製品分類データベース。Stelo の510(k)記録[参考資料9]は分類名と製品コード SAF を示します)。Libre 3 の510(k)は製品コード QBJ・QLG を併記[参考資料6]。
Stelo の適応は「18歳以上でインスリンを使っていない人」で、「ユーザーは、資格のある医療従事者に相談することなく、機器の出力に基づいて医療行為を行うことは想定されていない」と明記されています事実[参考資料9]。 OTCで買えることと、測定値を治療判断に使ってよいことは別の問題で、FDAの区分もこの違いを反映しています(本記事による解説)。 医療機器の区分と家庭用の整理は、本シリーズ「医療機器の承認区分と家庭用」編で扱います。
12. 素材技術者の視点②:「正しい」とは何と比べた値か

- 基準が違う。FDAの特別管理は、FDAが受け入れ、上位の基準にトレーサブルな実験室の測定法を求めます[参考資料1]。Dexcom G6 の試験では、成人は実験室法、年少の子どもの一部は血糖測定器(SMBG)が基準でした事実[参考資料4]。基準が違えば、同じ「一致率」でも意味が変わります(解説)。
- 部位が違う。G6 の審査文書は、成人は腹部のみで評価されており、他の部位での性能は評価されておらず異なる可能性があると記しています事実[参考資料4]。規則文も、ラベルに挿入部位ごとの性能を記載するよう求めます[参考資料1]。皮下組織の状態が部位で違えば、同じセンサーでも結果が変わりうる、ということです(解説)。
- センサー同士でもばらつく。G6 の審査文書では、67人が同じ部位に2台を同時に装着して精度を調べています。2台の値の間の平均絶対相対差は9.6%、平均変動係数は8.4%でした事実[参考資料4]。この数字は、基準の問題を含まないセンサー自身の再現性を示しています(解説)。
- 試験管内と体内は別物。試験管内で良い応答が得られても、体内では酵素の失活、タンパク質の吸着、周囲組織の反応、装着部位の動きが加わります。審査文書が臨床試験を求める理由のひとつです(本記事による解説)。体内でセンサーが受ける反応は、本シリーズ「埋め込み型センサー」編で詳しく扱います。
13. 課題と、本稿で確認できなかったこと
(1) 製品ごとの膜・酵素固定・メディエーターの材料構成
本稿が確認したFDA文書(審査文書・510(k)概要)には、各製品の拡散制限膜の組成、酵素の固定方法、メディエーターの有無は書かれていませんでした。 Libre のSSEDは「グルコース酸化酵素が電子を電極へ渡す」と記すにとどまり、メディエーターの使用は確認できませんでした。そのため、製品ごとの材料の違いは本稿では書いていません。
(2) 製品の最新の公称MARDと取扱説明書の最新版
メーカーが公表するMARDは、参照法・対象・部位・日付ごとに異なり、更新もされるため、本稿では扱いませんでした。 本稿で挙げたMARDは、FDAの審査文書に記載された特定の試験の値に限っています。
(3) 長期の臨床アウトカムと、ラグの製品別の値
CGMの使用による長期の臨床的な効果と、製品ごとのラグの値は、本稿が確認した公的文書・論文からは確認できなかったため記載していません。ラグの数値は、特定の対象と機器による論文値[参考資料15・16]にとどまります。
- CGMは間質液のブドウ糖を酵素電極で測る推定値です。FDA文書は、グルコース酸化酵素による反応が生む電流が、間質液のブドウ糖に比例すると記しています事実
- 遅れには生理学的な部分と機器の部分があります。健常成人の微小透析で5.3〜6.2分、試作センサーの生信号で平均9.5分という報告があります事実
- MARDは試験設計に依存します。血糖域別・試験別に値が変わり、唯一の指標にすべきでないと総説は述べています事実
- FDAのiCGMは、範囲別の一致率の下限で基準を定めています。成人では、70 mg/dL未満の±15 mg/dL以内で85%超など事実
- PMA(承認)→ De Novo(認可)→ 510(k)(適合)、OTCへと、手続きが変わってきました。3つは別の手続きです事実
- 素材の側から見ると、酵素の安定性・滅菌・生体適合性・皮膚接着が同時に要求されます。これは本記事による解説です
14. 用語集
- CGM
- continuous glucose monitoring。皮下の間質液のブドウ糖を、数分おきに連続して測る装置。
- 間質液(ISF)
- 細胞のまわりを満たす液体。血液から毛細血管を通ってブドウ糖が移る。
- グルコース酸化酵素(GOx)
- ブドウ糖を酸化する酵素。現行の電気化学式CGMのセンサーに広く使われる。
- メディエーター
- 酵素と電極の間で電子を運ぶ、人工の電子の受け手。第2世代センサーで使う。
- MARD
- mean absolute relative difference。基準との差を基準で割った絶対値の平均(%)。
- iCGM
- integrated CGM。他の機器と連携することを前提にした、FDAのクラスII(特別管理つき)の区分。
- OTC
- over the counter。処方なしで購入できる区分。
- PMA
- premarket approval。クラスIIIの機器の市販前承認。
- De Novo
- 前例のない低・中リスクの機器を新しく分類する手続き。認可されると新しい区分ができる。
- 510(k)
- 既に市販されている機器と実質的に同等であることを示す市販前届出。適合(clearance)と呼ぶ。
- YSI
- 実験室で使われるブドウ糖分析装置の製品名。CGM試験の基準として使われる。
- ラグ(遅れ)
- 血液のブドウ糖の変化から、CGMの値に反映されるまでの時間差。
- トレーサビリティ
- 測定値が上位の基準(標準物質や標準的な方法)につながっていること。
- 特別管理
- クラスIIの機器に課される、一般管理に加えた個別の要求事項。
15. 参考資料(一次情報)
- 米国FDA(電子連邦規則集)「21 CFR 862.1355 Integrated continuous glucose monitoring system」 — www.ecfr.gov
- 米国FDA(連邦官報)「Medical Devices; Clinical Chemistry and Clinical Toxicology Devices; Classification of the Integrated Continuous Glucose Monitoring System」87 FR 9237、2022年2月18日 — www.federalregister.gov
- 米国FDADe Novo データベース DEN170088(Dexcom G6)。決定日 2018年3月27日(granted)、規則番号 862.1355、製品コード QBJ — www.accessdata.fda.gov
- 米国FDA「DEN170088 Evaluation of Automatic Class III Designation for Dexcom G6 Continuous Glucose Monitoring System: Decision Summary」 — www.accessdata.fda.gov
- 米国FDA「PMA P160030 FDA Summary of Safety and Effectiveness Data(FreeStyle Libre Flash Glucose Monitoring System)」承認 2017年9月27日 — www.accessdata.fda.gov
- 米国FDA「K233537 510(k) 概要・適合通知(FreeStyle Libre 2 / Libre 3)」2024年4月23日 — www.accessdata.fda.gov
- 米国FDA「K234133 510(k) 概要・適合通知(Dexcom G7)」2024年2月26日 — www.accessdata.fda.gov
- 米国FDA「K243214 510(k) 概要・適合通知(Dexcom G7 15 Day)」2025年4月9日 — www.accessdata.fda.gov
- 米国FDA「K234070 510(k) 概要・適合通知(Stelo Glucose Biosensor System)」2024年3月5日 — www.accessdata.fda.gov
- 米国FDA「K233655 510(k) 概要・適合通知(Lingo Glucose System)」2024年5月29日 — www.accessdata.fda.gov
- 米国FDA「K233861 510(k) 概要・適合通知(Libre Rio Continuous Glucose Monitoring System)」2024年6月7日 — www.accessdata.fda.gov
- Dexcom「Interfering substances and risks」(Dexcom G6 / G7 の干渉物質の表示ページ) — www.dexcom.com
- Abbott「What substances could interfere with the results generated by the FreeStyle Libre 2 Plus system?」(サウジアラビア向けサポートページ) — www.freestyle.abbott
- Hatada M, Okuda-Shimazaki J, Sode K.「Glucose Oxidoreductases for Glucose Monitoring: A Bird's Eye View of Glucose-Sensing Enzymes II」J Diabetes Sci Technol (2026)(PMC) — pmc.ncbi.nlm.nih.gov
- Basu A ほか「Time lag of glucose from intravascular to interstitial compartment in humans」Diabetes 62:4083 (2013) — doi.org
- Schmelzeisen-Redeker G ほか「Time Delay of CGM Sensors: Relevance, Causes, and Countermeasures」J Diabetes Sci Technol 9:1006 (2015) — doi.org
- Cobelli C ほか「Interstitial Fluid Glucose Is Not Just a Shifted-in-Time but a Distorted Mirror of Blood Glucose: Insight from an In Silico Study」Diabetes Technol Ther 18:505 (2016) — doi.org
- Cengiz E, Tamborlane WV.「A tale of two compartments: interstitial versus blood glucose monitoring」Diabetes Technol Ther 11 Suppl 1:S-11 (2009) — doi.org
- Heinemann L ほか「Benefits and Limitations of MARD as a Performance Parameter for Continuous Glucose Monitoring in the Interstitial Space」J Diabetes Sci Technol 14:135 (2020) — doi.org
- Vigersky RA, McMahon C.「The Myth of MARD (Mean Absolute Relative Difference): Limitations of MARD in the Clinical Assessment of Continuous Glucose Monitoring Data」Diabetes Technol Ther 26:38 (2024) — doi.org
- CLSI「POCT05 Performance Metrics for Continuous Interstitial Glucose Monitoring」第2版(2020年11月刊、2025年7月再確認)の製品ページ — clsi.org
- Updike SJ, Hicks GP.「The Enzyme Electrode」Nature 214:986 (1967) — doi.org
16. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| CGMが間質液のブドウ糖を測ること。Dexcom G6 のセンサーは間質液のブドウ糖濃度を連続して測り、グルコース酸化酵素がブドウ糖を酸化して過酸化水素を生み、それが間質液のブドウ糖に比例する電流を生むこと。通知は5分ごと、表示範囲は40〜400 mg/dL。最長10日、校正コードか指先血糖の2回入力による校正。臨床比較の基準が実験室法(YSI を含む)で、小児の一部は血糖測定器。試験の規模(380人・11施設)。成人の腹部のみ評価。同一部位2台のMARD 9.6%・CV 8.4%(67人)。酵素電極の安定性試験(保管寿命最長3か月)、生体適合性試験の種類、送信器の外装(エポキシとパラジウム接点)、放射線滅菌規格の参照 | DEN170088 審査文書 出典4 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/reviews/DEN170088.pdf | 事実 |
| 成人159人のMARD(CGM値の範囲別):54未満 13.8%(383対)、54〜69 11.5%(1,537対)、70〜180 10.9%(9,453対)。20%以内の一致率が全体で89.9%。アセトアミノフェン:成人65人で単回1gの最大干渉効果の平均5.2 mg/dL、ベンチ試験での偏り(約2 mg/dLで有意な変化なし、6.5 mg/dLで最大22、20 mg/dLで最大70 mg/dL)。G4/G5での影響。審査当時の使用上の条件(血糖が急に上下している間は治療判断に使わない) | DEN170088 審査文書 出典4 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/reviews/DEN170088.pdf | 事実 |
| iCGM の定義とクラスII(特別管理)。成人の臨床試験の基準(A)〜(K):70未満の±15 mg/dL以内で片側95%下限85%超、70〜180の±15%以内で70%超、180超の±15%以内で80%超、±40%(40 mg/dL)側で98〜99%超、全域±20%以内で87%超、反対範囲の不一致がないこと、変化速度の取り違えが1%以下。実験室法(上位基準にトレーサブル)との比較、装着期間を通じた一貫性、干渉物質の許容性能、使用期間超過の防止、使用性試験、製造時・出荷時の管理、ラベルの記載事項(血糖域別・挿入部位別の精度、変化速度、欠落、アラート、センサー寿命) | 規則文(eCFR) 出典1 https://www.ecfr.gov/current/title-21/chapter-I/subchapter-H/part-862/subpart-B/section-862.1355 | 事実 |
| FDAが iCGM をクラスIIの特別管理つきとして連邦官報で分類した日(2022年2月18日、87 FR 9237) | 出典2 https://www.federalregister.gov/documents/2022/02/18/2022-03504/medical-devices-clinical-chemistry-and-clinical-toxicology-devices-classification-of-the-integrated | 事実 |
| DEN170088(Dexcom G6)の De Novo が認可(granted)されたのは2018年3月27日で、規則番号は862.1355、製品コードはQBJ | 出典3 https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfpmn/denovo.cfm?id=DEN170088 | 事実 |
| FreeStyle Libre の PMA(P160030)の承認日が2017年9月27日であること。グルコース酸化酵素が電子を金属電極に渡し、電流がブドウ糖量に比例すること。工場校正でユーザー校正を要求も受け付けもしないこと。最長10日(初回12時間のウォームアップ後)、読み取り時だけ値を出す方式。医療用粘着層、粘着剤による刺激を含む有害事象。YSI 2300 を基準とした本試験のMARD 9.7%(最初の米国試験は12.5%)。アスコルビン酸・サリチル酸の表示。ISO 10993 の各試験(4週・26週の埋植を含む) | PMA P160030 SSED 出典5 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf16/P160030B.pdf | 事実 |
| FreeStyle Libre 2・3 の510(k)(2024年4月23日):グルコース酸化酵素の原理、電子線滅菌、1分ごとの測定、14日/15日の装着、上腕背側、工場校正、シルバーオキサイド電池、年齢別の適応、製品コード QBJ・QLG・NBW | 出典6 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf23/K233537.pdf | 事実 |
| Dexcom G7 の510(k)(2024年2月26日):ワイヤー型の検知機構、5分ごとの送信、40〜400 mg/dL、最長10日+12時間の猶予期間、粘着テープ(製品コード KGX、クラスI)の併記 | 出典7 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf23/K234133.pdf | 事実 |
| Dexcom G7 15 Day の510(k)(2025年4月9日):最長15日+12時間の猶予期間、対象は18歳以上 | 出典8 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf24/K243214.pdf | 事実 |
| Stelo の510(k)(2024年3月5日):OTC の iCGM、18歳以上でインスリン非使用、小さく柔軟なワイヤー、G7と同じハードウェア設計でファームウェア変更により10日から15日へ延長、工場校正のみ、医療行為の前に医療従事者に相談する旨の記載、製品コード SAF | 出典9 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf23/K234070.pdf | 事実 |
| Lingo の510(k)(2024年5月29日):OTC の iCGM、18歳以上でインスリン非使用、FreeStyle Libre 2 のセンサーに基づき、最長14日 | 出典10 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf23/K233655.pdf | 事実 |
| Libre Rio の510(k)(2024年6月7日):OTC の iCGM、18歳以上でインスリンを使わない人、最長15日、工場校正 | 出典11 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf23/K233861.pdf | 事実 |
| Dexcom の表示:アセトアミノフェン(G6・G7は標準〜最大量でも使用可、超過量で高く出ることがある)、ヒドロキシウレア(高く出る、程度は体内量に依存、治療判断に使わないことを推奨) | 出典12 https://www.dexcom.com/en-us/interference | 事実 |
| Abbott の表示(FreeStyle Libre 2 Plus):アスコルビン酸は推奨される1日の許容量を超えると値が高く、サリチル酸はわずかに低く出ることがある | 出典13 https://www.freestyle.abbott/en-sa/support/what-substances-could-interfere-with-the-results-generated-by-the-freestyle-libre-2-plus-system-1.html | 事実 |
| 酵素電極の3世代(酸素と過酸化水素/メディエーター/直接電子移動)。電気化学式CGMの現行センサーはすべてGOxに基づくこと。GOxがFAD-GDHより長期安定性に優れ、FAD-GDHのCGM適用が限られてきたこと。第2世代の方式が低い印加電位で動作し干渉を小さくできること | 出典14 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC13518614/ | 事実 |
| 血液から間質液へのブドウ糖の生理学的遅れ(健常成人8人、一晩絶食、微小透析で平均5.3〜6.2分) | 出典15 https://doi.org/10.2337/db13-1132 | 事実 |
| 試作センサー37人(108データセット)の生信号の血糖に対する平均遅れ9.5分(SD 3.7)、中央値9分、予測アルゴリズムで平均4分短縮 | 出典16 https://doi.org/10.1177/1932296815590154 | 事実 |
| 間質液のブドウ糖が血液の単なる時間遅れでなく、平衡時間と血糖水準に依存する歪んだ関係であること | 出典17 https://doi.org/10.1089/dia.2016.0112 | 事実 |
| 血液と間質液という2つの区画のブドウ糖の違い、間質液のブドウ糖を正確に測る際の課題の総説 | 出典18 https://doi.org/10.1089/dia.2009.0002 | 事実 |
| MARDがCGMの性能指標として最もよく使われること、メーカー提示の解釈が難しいこと、治療判断に使う用途では唯一の指標にすべきでないこと | 出典19 https://doi.org/10.1177/1932296819855670 | 事実 |
| MARDが試験設計(参加者の属性、装着部位、各血糖域のデータの割合)に左右されること、MARDが安全なセンサーとそうでないセンサーを見分けると示す臨床研究がないこと、エラーグリッド解析などの代替 | 出典20 https://doi.org/10.1089/dia.2023.0435 | 事実 |
| CLSI POCT05 の題名、第2版、刊行日(2020年11月9日)、2025年7月の再確認 | 本文は有料のため、題名・位置づけのみ確認 出典21 https://clsi.org/standards/products/point-of-care-testing/documents/poct05/ | 事実 |
| 1967年に Updike と Hicks が「The Enzyme Electrode」を Nature に発表したこと | 出典22 https://doi.org/10.1038/214986a0 | 事実 |
| MARDの求め方(3対の例で約13.3%)、試験AとBの配分で全体のMARDが11.4%と9.6%になること、遅れを1 mg/dL/分×5.3分、2 mg/dL/分×9.5分で約5、約19 mg/dLと換算したこと | 本稿の計算。血糖域別の誤差(20%・10%・8%)と配分、および「単純な時間遅れ」は本稿が置いた仮定。実在のセンサー・試験の値ではない | 本稿の計算 |
| OTC製品は2024年に3件(Stelo、Lingo、Libre Rio)が510(k)で適合となったという整理。節目の選び方 | 本記事の整理。日付・番号は各510(k)文書[参考資料9〜11]で確認 | 解説 |
| 製品ごとの拡散制限膜の組成・酵素固定法・メディエーターの有無、製品ごとの最新の公称MARD、製品別のラグの値、長期の臨床アウトカム | 本稿が確認した公的文書・論文には記載がなく、本稿では記載していない | 解説 |
| 遅れの大きさが「基準の違い」「部位」「個人」で変わりうること、工場校正が製造管理への移行であること、酵素・滅菌・生体適合性・接着の4つの関門という整理、試験管内と体内の違い、OTCで買えることと治療判断に使うことの違いという読み取り | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各文書の筆者・当局が表明した見解ではない | 解説 |
| 図1・図2・図5が概念図(ベクター作図)、図3が本稿の計算を含む作図、図4が規則文の数値を図にしたもの、ヒーロー画像と図6がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月3日/出典は一次情報(FDAの規則文・審査文書・510(k)概要、メーカーの表示ページ、査読付き論文・総説)に限定しています。市場規模やシェアの推計は使用していません。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 製品ごとの膜の組成・酵素固定法・メディエーターの有無、製品ごとの最新の公称MARDとラグ、長期の臨床アウトカムについては、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。 図1・図2・図5は概念図、図3は本稿の計算を含む作図、図4は規則文の数値を図にしたもの、ヒーロー画像と図6はAI生成イメージであり、いずれも実際の製品・断面・測定データを写したものではありません。 本記事は技術の解説であり、診断・治療・測定値の読み方に関する助言や、特定の製品の推奨ではありません。