TECHNOLOGY EXPLAINER
UV-326と紫外線吸収剤の規制
― 「候補物質に載った」と「使えなくなった」は、別の段階です
UV-326(ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤)は、2024年1月23日に EU の REACH 候補物質リスト(vPvB)へ掲載され、2026年2月2日には ECHA が認可対象物質リスト(附属書XIV)への勧告案を公表しました。 一方、同じ系統の UV-328 は、ストックホルム条約、EU の POPs 規則、日本の化審法で、廃絶の枠組みに入っています。 この記事は、ECHA、条約事務局、EU・日本の当局の公式資料で、提案・採択・施行の段階と日付を区別して整理します。

- UV-326とは何か(3行でつかむ)
- 紫外線吸収剤は何をしているのか
- 規制の「段階」を整理する
- UV-326の現在地 ― EU REACH
- UV-328の道のり ― ストックホルム条約と EU
- 日本の化審法 ― UV-320、UV-328、そして UV-326
- 本稿の計算:段階の間隔と、微量混入の上限
- 素材技術者の視点①:同じ物質でも、規制の「かかり方」が違う
- 代替の動き ― 公式資料で確認できる範囲
- 素材技術者の視点②:代替は「同じ土俵」では選べない
- 確認できなかったこと/課題
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・提案であり、決定・施行が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。
規制は提案(勧告案)、採択(決定・合意)、施行(発効)を区別し、それぞれの日付を書きます。特定の物質・製品・会社を推奨・非難するものではありません。法的な判断が必要な場合は、当局の原文と専門家にご確認ください。
1. UV-326とは何か(3行でつかむ)
UV-326 は、化学名 2-tert-ブチル-6-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェノール、別名ビュメトリゾール(bumetrizole)、EC 番号 223-445-4、CAS 番号 3896-11-5 の紫外線吸収剤です。分子式は C₁₇H₁₈ClN₃O、分子量は 315.8 g/mol と、ECHA の支持文書に記されています事実。
- 何のための物質か:ECHA は、2026年2月の発表の付属資料で、UV-326 の用途の例をプラスチック・ゴム製品、コーティング、接着剤・シーリング材、洗浄剤、インキ、香料などへの添加剤とし、認可の対象になりうる範囲の数量を年1,000〜10,000トン未満としています事実
- いまの規制上の位置:EU の REACH で、vPvB(非常に難分解性かつ高い生物蓄積性)として SVHC(高懸念物質)に特定され、2024年1月23日に候補物質リストに掲載されました事実。2026年2月2日には、認可対象物質リストに載せる勧告の案が示され、意見募集は2026年5月2日までです事実。この段階は、まだ使用の禁止ではありません(第3章、第4章)
- UV-328 とは別の扱い:ストックホルム条約の附属書A、EU の POPs 規則、日本の化審法の第一種特定化学物質に入っているのはUV-328 などで、本稿が確認した範囲では、UV-326 はこれらに入っていません(第5章、第6章)
UV-326 は「規制が決まった物質」ではなく、「規制の途中にある物質」です。 同じベンゾトリアゾール系でも、UV-320・UV-327・UV-328・UV-350 は 2020年2月6日に附属書XIVへ収載され、日没日(2023年11月27日)を過ぎており、UV-328 は条約・EU・日本で別の廃絶の枠組みにも入っています事実。 UV-326 は、これらの手前の「候補物質」から「勧告案」の段階にあります(2026年5月15日時点の ECHA の勧告一覧による)事実。 どの段階にあるかを取り違えないことが、規制を読む第一歩です(本記事による解説)。
ECHA の支持文書によると、UV-326 にはCLP 規則附属書VIの調和分類がなく、事業者が届け出た自己分類として、水生環境への有害性(H400、H411、H412、H413)、皮膚刺激(H315)、眼刺激(H319)、気道刺激(H335)、経皮の急性毒性(区分4、H312)などが挙げられています(届出者によって分類が異なります)事実。SVHC への特定は、急性毒性が強いからではなく、環境中で分解されにくく、生物に蓄積しやすいという性質(vPvB)によるものです(第4章)。
2. 紫外線吸収剤は何をしているのか
ECHA の支持文書は、UV-326 をフェノール系ベンゾトリアゾール(UV-ベンゾトリアゾール)の仲間とし、これらは2-(2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールという共通の骨格を持つこと、ヒドロキシ基とベンゾトリアゾール環の窒素の間の分子内水素結合が、紫外線吸収剤としての働きに不可欠であることを述べています事実。
ストックホルム条約の POPs 検討委員会(POPRC)が2022年9月に採択した UV-328 のリスク管理評価は、UV-328 を紫外線を壊れずに全波長で吸収できる紫外線吸収剤とし、主な用途を、自動車の塗料、コーティング、シーリング材、接着剤、プラスチック、ゴムを紫外線による劣化・変色から守ることだと説明しています。プラスチックとコーティングでの典型的な使用濃度は 0.1〜3 重量%です事実(UV-328 についての記載で、UV-326 の数値ではありません)。
同評価は、業界団体の説明として、紫外線吸収剤は物の内部(厚み方向)で働き、変色と接着の低下を防ぐ、HALS は表面のラジカルの攻撃から守り、チョーキングとふくれを防ぐこと、HALS だけでは紫外線吸収剤の代わりにならないことを述べています事実。厚生労働省の2006年の資料も、UV-320(別のベンゾトリアゾール系)が主にプラスチック樹脂用の紫外線吸収剤として使われ、使用された製品がプラスチック建材、自動車部品、塗料など多岐にわたり、各樹脂中の含有量は1%未満程度だったと記しています事実。
本シリーズ「UV硬化樹脂透明タイプ」編と「ガラスのUV接着」編で見たとおり、UV 硬化は特定の波長の光が接着層に届くことを前提にしています。Henkel のガイドは、UV 吸収タイプのポリカーボネートが 365 nm の光を約3%しか通さず、UV 光開始剤だけの製品では硬化に足りない、と述べています事実。 紫外線吸収剤は、紫外線を吸収することが仕事です(本記事による解説)。したがって、耐候性(紫外線を通さない)と、UV 硬化(紫外線を通す)は、同じ光をめぐるトレードオフになります。UV 硬化型の接着剤・コーティングで UV-326 のような吸収剤が実際にどう使い分けられているかは、本稿では一次情報を確認できませんでした(第11章)。
3. 規制の「段階」を整理する
EU の REACH には、SVHC の特定 → 候補物質リスト → 勧告案 → 勧告 → 欧州委員会の決定(附属書XIV)→ 日没日という流れがあります。ECHA の発表資料は、次のように説明しています。
| 段階 | 何が起きるか | ECHA・欧州委員会の説明(要旨) |
|---|---|---|
| ① 候補物質リストに掲載 | SVHC として特定された物質がリストに載る | 候補物質リストへの掲載により、企業に直ちに法的義務が生じうる(REACH の第7条、第31条、第33条) |
| ② ECHA の勧告案(意見募集) | 候補物質から、優先的に認可の対象にすべき物質を ECHA が選び、案を公表して意見を募集する | 意見募集は通常3か月。1.5〜2年に1回程度行われる |
| ③ MSC の意見 → ECHA の最終勧告 | 加盟国委員会(MSC)が意見をまとめ、ECHA が最終勧告を欧州委員会に送る | 最終勧告は、MSC の意見を踏まえて作られる |
| ④ 欧州委員会が附属書XIV に収載 | 欧州委員会が、どの物質を認可対象物質リスト(附属書XIV)に入れるか、条件を決める | 収載された物質は、日没日以降、認可がなければ市場に出すことも使用することもできない(特定の用途の認可を得た場合を除く) |
| ⑤ 日没日の経過 | 認可なしの使用・上市が禁止される | UV-328 についての EU 規則の説明では、EU 内では使用できないが、物品に含まれた形での輸入はなお可能 |
すべて事実(ECHA 発表資料 ECHA/NR/26/05 [参考資料4]、ECHA の候補物質リストのページ[参考資料1]、ECHA の勧告案の意見募集のページ[参考資料6]、委任規則(EU)2025/843 の前文[参考資料14])。段階の番号は本記事の整理です。
4. UV-326の現在地 ― EU REACH
(1) 日付で見る経緯
| 日付 | 出来事 | 段階 |
|---|---|---|
| 2022年9月 | POPRC-18 が UV-328 のリスク管理評価を採択。UV-326 は、代替の候補としても挙げられたが、同評価は、UV-326 が EU でPBT の評価中で、ドイツの当局(BAuA)が2023年に SVHC の提案を出す予定だと記載 | 背景 |
| 2023年12月13日 | 加盟国委員会(MSC)の支持文書が採択される。ドイツが提出した Annex XV 文書は、UV-326 と UV-329 の両方を扱う | 採択(SVHCの特定) |
| 2023年12月19日 | ECHA の決定 D(2023)8585-DC。MSC が第84回会合で、UV-326 と UV-329 が第57条の基準を満たすと全会一致で合意したことを受け、候補物質リストに含める決定 | 採択(決定) |
| 2024年1月23日 | ECHA が候補物質リストに掲載(UV-326:vPvB、第57条(e)) | 発効(掲載) |
| 2026年2月2日 | ECHA が第13次の勧告案を公表(UV-326、UV-329、リン酸トリフェニル、もう1物質)。意見募集は2026年5月2日まで | 提案(勧告案) |
| 2026年5月15日(ページ更新) | ECHA の勧告の一覧で、UV-326 の状態は「勧告案に含まれる」 | 提案(勧告案) |
| その後 | MSC の意見、ECHA の最終勧告、欧州委員会の決定、日没日などは、本稿が確認できた公式ページには掲載がなく、確認できなかった | 未確定/将来 |
すべて事実(POPRC-18 のリスク管理評価の表5[参考資料13]、ECHA の支持文書[参考資料3]と決定 D(2023)8585-DC[参考資料2]、候補物質リスト[参考資料1]、発表資料 ECHA/NR/26/05[参考資料4]、意見募集のページ[参考資料6]、勧告の一覧[参考資料7])。最後の行は、確認できなかったことを示します。
(2) なぜ SVHC なのか ― 「vPvB」の中身
ECHA の支持文書は、UV-326 を、REACH 附属書XIII の基準による証拠の重み付けで、vPvB(非常に難分解性、かつ非常に高い生物蓄積性)と結論しています事実。
- 難分解性(P/vP):水–底質の模擬試験(20 ℃)で100日後に分解が見られず、12 ℃では半減期が212日をはるかに超える、と推定しています(底質での DegT50 は180日超)。底質コアに、数十年前(1960年代以降)の層からも検出されることも、補強情報として挙げています事実
- 生物蓄積性(B/vB):ニジマスの OECD TG 305 の試験で、脂質で補正した動力学的な生物濃縮係数(BCFkgL)が7,093〜14,225 L/kg。同文書は、基準の5,000 L/kg 超に当たるとしています。さらに、人の母乳や、ホッキョクグマを含む生物から検出されたというモニタリング結果を挙げています事実
vPvB は、環境中で分解されにくく、生物に蓄積しやすい物質を指す区分で、短期的な毒性の強さを示す区分ではありません(本記事による解説。定義は上記の ECHA の説明によります)。UV-326 に調和分類がないこと(第1章)と合わせて、「SVHC=すぐ危険」と読むのは誤りです。一方で、「SVHC=問題ない」でもない点も、同じ程度に重要です。
(3) 勧告案の中身 ― ECHA が示した用途
ECHA は、2026年2月の発表の付属資料で、勧告案に含めた4物質の用途と数量を示しています事実。
| 物質 | SVHC の性質 | 認可の対象になりうる範囲の数量 | 用途の例(ECHA) |
|---|---|---|---|
| UV-326(ビュメトリゾール) | vPvB | 1,000〜10,000 t/年未満 | プラスチック・ゴム製品、コーティング、接着剤・シーリング材、洗浄剤、インキ、香料への添加剤 |
| UV-329 | vPvB | 1,000〜10,000 t/年未満 | プラスチック・ゴム製品、コーティングへの添加剤 |
| リン酸トリフェニル | 内分泌かく乱性(環境) | 100〜1,000 t/年未満 | プラスチック、接着剤・シーリング材、コーティングへの添加剤 |
| 2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]ブタン-1-オン | 生殖毒性 | 100〜1,000 t/年未満 | コーティング、インキ、トナーへの添加剤(光開始剤の一種と見られる) |
表のうち「用途の例」までは事実(ECHA 発表資料の付属資料[参考資料5])。括弧内の「光開始剤の一種と見られる」は本記事の読み取りで、付属資料には記載がありません(解説)。
ECHA の発表は、勧告案のあとの流れを、MSC が意見を作り、ECHA が最終勧告を欧州委員会に送り、欧州委員会が収載する物質と個別の条件を決めると説明しています。収載された場合は、日没日以降、認可がなければ上市も使用もできない、とも述べています事実。 つまり、現時点(2026年10月3日)で、UV-326 について確認できた最新の公式の状態は「勧告案」で、収載の決定、日没日、免除の有無は確認できません未確定/将来。
なお、候補物質リストへの掲載そのものにも義務があります。ECHA のリストのページは、掲載により企業に直ちに法的義務が生じうること、特にREACH の第7条、第31条、第33条に触れています事実(各条の内容は本稿では扱いません)。ECHA は、これらのリストのデータを2026年12月まで現在のページで更新し、のちに ECHA CHEM に移ると案内しています事実。リンクが変わる場合があります。
5. UV-328の道のり ― ストックホルム条約と EU
UV-328 は、UV-326 と同じ系統の物質ですが、国際条約の廃絶対象になっています。段階と日付を分けて整理します。
| 日付 | 枠組み | 出来事 | 段階 |
|---|---|---|---|
| 2014年12月17日 | EU REACH | UV-320 とともに候補物質リストに掲載(PBT、vPvB) | 発効(掲載) |
| 2020年2月6日 | EU REACH | 委員会規則(EU)2020/171 で附属書XIV に収載(UV-320、UV-327、UV-328、UV-350)。最終申請期限は2022年5月27日、日没日は2023年11月27日 | 採択・発効 |
| 2022年9月 | ストックホルム条約 | POPRC-18 が UV-328 のリスク管理評価を採択(決定 POPRC-18/2) | 提案(勧告) |
| 2023年5月(1〜12日) | ストックホルム条約 | COP-11 が決定 SC-11/11 で、UV-328 を附属書A(廃絶)に、特定の免除つきで掲載することを決定 | 採択 |
| 2023年11月27日 | EU REACH | UV-328 の日没日。申請は提出されず、認可がなければ EU 内では使用できない(物品での輸入はなお可能) | 発効(日没日) |
| 2024年2月26日 | ストックホルム条約 | 国連事務総長(寄託者)が、COP-11 の附属書A の改正を各国に通知(C.N.77.2024) | 通知(1年の拒否通知期間が始まる) |
| 2025年2月26日 | ストックホルム条約 | SC-11/11 の改正が発効(通知から1年)。EU は2025年2月24日に、この改正を「現時点では受諾できない」と寄託者に通知(C.N.97.2025) | 発効(受諾の扱いは締約国により異なる) |
| 2025年4月28日〜5月9日 | ストックホルム条約 | COP-12 が決定 SC-12/14 で、UV-328 に新たな特定の免除を追加(航空機用の接着剤・コーティングなど。下記) | 採択 |
| 2025年5月5日→7月15日→8月4日 | EU POPs規則 | 委任規則(EU)2025/843(2025年5月5日付、官報 2025年7月15日)で、POPs 規則の附属書I の A部に UV-328 を追加。発効は公布の20日後(2025年8月4日) | 採択→公布→発効 |
| 2025年10月9日 | ストックホルム条約 | 寄託者が SC-12/14 の附属書A の改正を通知(C.N.542.2025)。発効は、通知から1年後(2026年10月9日、計算上)の見込み | 未確定/将来 |
すべて事実(ECHA の候補物質リスト[参考資料1]と認可対象物質リスト[参考資料8]、委員会規則(EU)2020/171[参考資料21]、ストックホルム条約事務局の「新しい POPs」のページ[参考資料9]、国連の寄託者通知 C.N.77.2024[参考資料10]、C.N.97.2025[参考資料11]、C.N.542.2025[参考資料12]、委任規則(EU)2025/843[参考資料14])。最後の行の「2026年10月9日」は、通知から1年という条約第22条の規則による本稿の計算で、発効の確認ではありません。
(1) ストックホルム条約 SC-11/11 ― 何が免除されたか
決定 SC-11/11 の条文(国連の寄託者通知に添付)は、附属書A の第I部に UV-328 を加え、生産は「登録簿に載った締約国に認められる」範囲、使用は新設の第XII部に従うとしています。使用の免除は、自動車の部品(バンパー、ラジエータグリル、スポイラーなど)、自動車・建設機械・鉄道車両の工業用コーティングと、大型鋼構造物の重防食コーティング、採血管の機械式分離器、偏光板のトリアセチルセルロース(TAC)フィルム、印画紙、物品の交換部品です事実。交換部品の免除は、元の物品の製造に UV-328 が使われていた場合に限り、物品の寿命の終わりか2044年のいずれか早いほうまでとされています事実。
2025年のCOP-12 の決定 SC-12/14 は、使用の免除に、航空機の断熱ブランケットと床材の防水テープ、ならびに、航空機の構造・機械・内装・電気の組み立てと、緊急・推進・環境制御・飛行制御の各システムに使うポリウレタン系・ポリアミド系の接着剤とポリウレタン系コーティングを追加しました(条文の要旨)。使用のみに限られ、いずれにしても2030年末までに失効するとされています事実。UV-328 の免除に接着剤が名前を挙げられたのは、この追加が初めてです(本記事による読み取り。SC-11/11 の免除には接着剤は挙がっていません)。
(2) EU の POPs 規則 ― 微量混入の上限と、免除
委任規則(EU)2025/843 は、POPs 規則(EU)2019/1021 の附属書I の A部に UV-328 を加えました。主な内容は次のとおりです事実。
- 微量の不純物としての上限:物質・混合物・物品中で100 mg/kg(0.01重量%)以下が2025年8月4日から、10 mg/kg(0.001%)以下が2027年8月4日から、1 mg/kg(0.0001%)以下が2029年8月4日から
- 物品に含まれる UV-328 の上市と、その物品の使用の免除(2030年8月4日まで):陸上の自動車、自動車・建設機械・鉄道車両の工業用コーティングと大型鋼構造物の重防食コーティング、採血管の機械式分離器、偏光板の TAC フィルム、印画紙、民間・軍用の航空機
- 交換部品:陸上の自動車、農林・建設用の定置産業機械、分析・計測等の機器の液晶ディスプレイ向けは寿命の終わりか2043年12月31日のいずれか早いほうまで。医療機器等の液晶ディスプレイ向けは寿命の終わりまで。航空機の交換部品は2030年12月31日まで
- すでに使われている物品:免除の期限の時点ですでに EU 内で使用されていた物品は、期限後も使い続けてよい
同規則の前文は、POPs 規則の第3条が、附属書I の物質の製造、上市、使用を、単独、混合物中、物品中のいずれでも禁止することを確認しています。上市の免除を5年間とした理由は、UV-328 が完全に代替されるまでの間、特定の物品の輸入を認めるためとされています事実。
6. 日本の化審法 ― UV-320、UV-328、そして UV-326
日本の化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)は、難分解性、高蓄積性、人または高次捕食動物への長期毒性を持つ化学物質を第一種特定化学物質に指定します。指定されると、製造・輸入が許可制(原則禁止)になり、使用が制限され、政令で指定された製品の輸入が禁止されます(経済産業省の発表)事実。
| 物質 | 経緯 | 輸入が禁止される製品(政令の表) |
|---|---|---|
| UV-320 (2-(2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ブチルフェノール、CAS 3846-71-7) | 2004年に第一種監視化学物質。2006年1月13日の審議会で、第一種特定化学物質に指定することが適当と結論。2006年7月に輸入を禁止すべき製品が審議された。現行の施行令第1条第16号に掲載 | 化粧板、接着剤(動植物系のものを除く)、パテ及び閉そく用又はシーリング用の充塡料、塗料及び印刷用インキ、ヘルメット、ラジエータグリルその他の自動車の部品(金属製を除く)、照明カバー、保護用眼鏡のレンズ及び眼鏡のフレーム、防臭剤、ワックス、サーフボード、インキリボン、印画紙、ボタン、管・浴槽その他のプラスチック製品(成形したものに限る) |
| UV-328 (2-(2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、CAS 25973-55-1) | 2023年7月の審議会で、第一種特定化学物質に指定することが適当と結論。2024年12月13日に政令が閣議決定、2024年12月18日に公布(令和6年政令第382号)。2025年2月18日に指定が施行、2025年6月18日に輸入禁止製品の規定が施行。現行の施行令第1条第38号に掲載 | 潤滑油、樹脂に紫外線を吸収する性能を与えるための調製添加剤、塗料及びワニス、接着剤、テープ及びシーリング用の充塡料。政令の概要に、UV-328 の例外的に使用できる用途の記載はない(例外はデクロランプラスのみ) |
| UV-326 | 現行の施行令第1条(第一種特定化学物質)に掲載がない(e-Gov 法令検索のデータ、最新の改正は令和8年政令第171号〔2026年5月22日公布〕、2026年10月3日に確認) | (該当なし) |
すべて事実(経済産業省の発表[参考資料15]、環境省の発表[参考資料16・17]、厚生労働省の2006年の発表[参考資料18]、e-Gov 法令検索の化審法施行令[参考資料19])。UV-320 の指定の政令の公布日・施行日は、本稿では確認できませんでした。
日本の化審法は、物質そのものの製造・輸入のほか、「その物質が使われている製品」の輸入を、政令で品目を決めて止めます。UV-320 と UV-328 のどちらの表にも、接着剤、シーリング用の充塡料が入っています事実。 2006年の審議でも、UV-320 が使われている製品の輸入禁止の対象として、接着剤、シーリング材・補修材などが挙げられていました事実。 海外から完成した接着剤・テープ・シーラントを輸入する場合と、国内で原料から作る場合で、規制のかかり方が違います(本記事による解説)。原料の配合に UV-328 のような吸収剤が入っていないかの確認は、調達側の実務になります。
7. 本稿の計算:段階の間隔と、微量混入の上限
公表された日付の差を計算しました本稿の計算。
- UV-328:候補物質リストへの掲載(2014年12月17日)→ ECHA の最終勧告(2018年2月5日)= 1,146日(約3年1か月)。最終勧告 → 附属書XIV への収載(2020年2月6日)= 731日(約2年)。収載 → 日没日(2023年11月27日)= 1,390日(約3年9か月)。候補物質への掲載から日没日まで = 3,267日(約8年11か月)
- UV-326:候補物質リストへの掲載(2024年1月23日)→ ECHA の勧告案の公表(2026年2月2日)= 741日(約2年)。勧告案の意見募集は89日間(2026年2月2日〜5月2日)。候補物質への掲載から、本稿の確認日(2026年10月3日)まで = 984日(約2年8か月)
前提と限界:各段階の間隔は、物質ごとに事情が異なります。UV-326 の今後の日付を予測するものではありません。UV-328 の勧告案の公表日は、本稿では確認していません(最終勧告の日付のみを使用)。
UV-328 の「微量の不純物」の上限は、100 mg/kg(0.01%)→ 10 mg/kg → 1 mg/kg と下がります(第5章)。一方、POPRC のリスク管理評価は、UV-328 のプラスチックとコーティングでの典型的な使用濃度を 0.1〜3 重量%と述べています事実。mg/kg に直すと、0.1% = 1,000 mg/kg、3% = 30,000 mg/kg です本稿の計算。
- 最初の上限(100 mg/kg)に対して、典型的な使用濃度は 10〜300倍(1,000 ÷ 100、30,000 ÷ 100)
- 最終の上限(1 mg/kg)に対しては 1,000〜30,000倍(1,000 ÷ 1、30,000 ÷ 1)
前提と限界:使用濃度は UV-328 について、POPRC の評価に記載された値です。上限は意図せず混入する微量の不純物についての規定で、意図的な添加を認める水準ではありません(本記事による解説)。
8. 素材技術者の視点①:同じ物質でも、規制の「かかり方」が違う
接着剤・封止材の技術者に必要なのは、どの枠組みが、どの形(物質そのもの、混合物、物品、微量の不純物)に効くかを分けて見ることです。公式資料で確認できた範囲を、表にします(本記事による整理)。
| 形 | EU REACH の認可(附属書XIV) | EU の POPs 規則 | 日本の化審法(第一種特定化学物質) |
|---|---|---|---|
| 物質(原料)そのもの | 日没日以降、認可がなければ EU 内で使用できない | 製造、上市、使用が禁止(免除あり) | 製造・輸入が許可制(原則禁止) |
| 混合物(接着剤、コーティングなど) | 物質を含む混合物の使用も対象(認可の範囲による) | 混合物中でも禁止(微量の上限あり) | 使用が制限される。指定製品(接着剤、塗料など)の輸入は禁止 |
| 物品(成形品、テープなど) | 物品として輸入することは、なお可能(UV-328 についての EU 規則の説明) | 物品中でも禁止(免除は物品ごと、期限つき) | 指定された品目(接着剤、テープ、シーリング用の充塡料など)は輸入禁止 |
| 微量の不純物 | (本稿では確認していない) | 100 → 10 → 1 mg/kg と段階的に低下 | (本稿では確認していない) |
表の記載は事実(委任規則(EU)2025/843 の前文と附属書[参考資料14]、経済産業省の発表[参考資料15]、e-Gov 法令検索[参考資料19])に基づきます。「物質を含む混合物の使用も対象」は、REACH の認可の一般的な仕組みについての本記事の整理(解説)で、個別の附属書XIV の記載の確認ではありません。この表は、UV-328 など、枠組みが確定している物質についてです。UV-326 には、これらの枠組みは現在適用されていません。
ここから、実務で効く3つの読み方が出てきます(本記事による解説)。
- EU の中で作る場合と、EU に持ち込む場合は別です。REACH の認可は物品の輸入を止めませんが、POPs 規則は物品も対象にします。UV-328 は両方に入っているため、認可で止まらない物品の輸入も、POPs 規則で止まりうる状態です
- 「使っていないつもり」でも、微量混入の上限があります。原料の不純物や、リサイクル材、交換部品に含まれる場合があります(上限の段階は第5章)
- 日本は製品の輸入で止めます。完成品の接着剤・テープ・シーラントを輸入する立場では、配合に該当物質が入っていないかを原料メーカーに確認する必要があります。POPRC のリスク管理評価によると、スイスの接着剤工業会のアンケートに答えた会員は、UV-328 を意図的に接着剤に加えていないと回答しています事実(ただし同評価は、原料や製品での UV-328 の分析は行われていないと付記しています)
9. 代替の動き ― 公式資料で確認できる範囲
UV-328 の代替については、POPRC-18 のリスク管理評価が最も詳しく整理しています。要点は次のとおりです事実。
- 代替の分類:UV-328 の代替として広く入手できるのは、ほかのフェノール系ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、HALS、オキサルアニリド、シアノアクリレート。最も関連の深い用途では、より安全な代替が技術的に可能で入手できると思われる、と同評価は述べています
- 「後悔する代替」への警告:同評価は、ほかのフェノール系ベンゾトリアゾールへの置換は、UV-328 と同程度に有害な物質に置き換える「後悔する代替(regrettable substitution)」になりうると注意しています。当時(2022年)の評価は、UV-326 を含むいくつかがEU で PBT の評価中だとし、ドイツの当局がUV-326、UV-234、UV-329 の SVHC 提案を2023年に出す予定だと記載しています。UV-326 は、ある企業が2018年に行った危害評価で「より安全な代替」の一つとされていた、という記載もあります。その後、2024年1月に UV-326 と UV-329 は候補物質リストに掲載されました(第4章)
- 代替の性能:HALS は紫外線吸収剤ではなく、HALS だけでは紫外線吸収剤の代わりにならない。ベンゾフェノンは吸収の幅が狭く、370 nm より長い側の吸収が弱いと、UV-328 の生産者が述べているとされる。ヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系の UV-400 は、ベンゾトリアゾールに比べて光性能・耐熱性・耐薬品性に利点があるとされる。反応性の吸収剤(UV-1300)は、ヒドロキシ基がイソシアネートやメラミンと共有結合し、移行や溶出を減らせるが、残留性・蓄積性・毒性のデータはない、と同評価は述べています
- 接着剤・シーリング材:同評価は、接着剤・シーリング材での UV-328 の代替についての具体的な情報は確認できなかったとしています。一方、スイスの接着剤工業会の回答から、接着剤では効果的な代替が使えると読み取れること、ある企業がUV-328 を UV-928 に置き換える途中であること、接着剤・シーリング材に使える吸収剤や HALS の例が複数あることを記しています。ただし、UV-928 も、同評価の表では PBT の評価中とされています

10. 素材技術者の視点②:代替は「同じ土俵」では選べない
(1) 規制の動き:UV-326 は、2018年の評価で「より安全な代替」の一つとされたあと、2024年に候補物質リストへ載りました事実。「いまの規制の外にある」ことは、「将来も安全に使える」ことを意味しません。代替を選ぶときは、候補物質リストと ECHA の評価中の物質リスト(PBT の評価中のものなど)の動きを、あわせて見る必要があります(本記事による解説)。
(2) 性能:吸収剤は、吸収する波長の範囲、耐熱性、樹脂との相溶性、移行のしやすさが違い、同評価も、それぞれの紫外線吸収剤は固有の吸収スペクトルと物理化学的性質を持つと述べています事実。UV 硬化型の系では、さらに硬化に使う光との競合(第2章)が加わります(本記事による解説)。
(3) 時間:代替の評価には、耐候試験が必要です。同評価によると、日本の提出資料は、代替の選定が、製品の黄変(色の変化)と耐候性の低下のために、一部の用途で時間がかかると述べています。中国の塗料メーカーは、促進耐候試験に1,000〜3,000時間、屋外暴露は1〜2年かけると述べ、UV-328 の生産者は、自動車では屋外暴露が5〜8年続くものがあるとしています事実。促進耐候試験の1,000〜3,000時間は、約42〜125日(1,000 ÷ 24、3,000 ÷ 24)です本稿の計算。
同評価は、欧州自動車工業会(ACEA)が2026年までに新製品から UV-328 を廃止すると述べていること、UK の接着剤・コーティングのメーカーが移行費用(代替の評価と、UV-328 の在庫の安全な管理)を挙げ、定量していないことも記しています事実。
11. 確認できなかったこと/課題
(1) UV-326 の今後の手続き
ECHA の第13次勧告案へのMSC の意見、ECHA の最終勧告、欧州委員会の決定は、本稿が確認できた公式ページ(勧告の一覧は2026年5月15日更新)には掲載がなく、確認できませんでした。UV-326 が附属書XIV に収載されるか、日没日や免除がどうなるかは、現時点の資料から読み取れません未確定/将来。
(2) 他国・他の枠組みでの UV-326
本稿が確認したのは、EU の REACH、ストックホルム条約、EU の POPs 規則、日本の化審法の第一種特定化学物質です。米国、カナダ、中国、韓国、英国など他国の規制や、日本の他の区分(監視化学物質、優先評価化学物質など)、EU の他の枠組み(制限など)での UV-326 の扱いは、確認できていません。
(3) 個別の製品に UV-326 が入っているか
個別の接着剤・封止材・コーティング製品が UV-326 を含むかは、各社の安全データシート(SDS)や適合宣言によります。本稿では個別の製品の配合は確認していません。
(4) 代替の定量的な比較
UV-326 や UV-328 と、代替の吸収剤の耐候性(黄変、接着の維持)の定量比較は、公式資料では確認できませんでした。POPRC の評価は、企業の報告(25の処方のうち5つが耐候性の期待を満たしたなど)を紹介していますが、企業の自己報告であり、条件が公開されていません。UV 硬化型の接着剤・コーティングでの紫外線吸収剤の使い方についても、一次情報を確認できませんでした。
(5) UV-326 の吸収スペクトル
UV-326 の吸収波長の範囲(吸収極大など)の数値は、本稿が参照した公式資料では確認できませんでした。吸収剤が UV 硬化にどう影響するかを、数値で示すことはできません。
- UV-326 は、EU の候補物質リスト(2024年1月23日、vPvB)に載り、2026年2月2日に認可対象物質リストへの勧告案が出た段階です。収載の決定は確認できません事実
- UV-320・UV-327・UV-328・UV-350 は、2020年2月6日に附属書XIV に収載され、日没日(2023年11月27日)を過ぎています事実
- UV-328 は、ストックホルム条約(附属書A)、EU の POPs 規則(2025年8月4日発効)、日本の化審法(2025年2月18日・6月18日施行)で廃絶の枠組みに入っています。UV-326 は入っていません(確認できた範囲)事実
- 日本では UV-320 と UV-328 の指定製品に、接着剤とシーリング用の充塡料が入っています事実
- UV-326 は、2018年の評価で「より安全な代替」とされたあと、2024年に候補物質に載りました。代替の選定には、規制の動きを見続ける必要があります事実
- 微量混入の上限(100 → 10 → 1 mg/kg)は、典型的な使用濃度(1,000〜30,000 mg/kg)より10倍〜30,000倍低い水準です本稿の計算
12. 用語集
- UV-326(ビュメトリゾール)
- フェノール系ベンゾトリアゾールの紫外線吸収剤。EC 223-445-4、CAS 3896-11-5。
- UV-320/UV-327/UV-328/UV-350
- 同じ系統の紫外線吸収剤。UV-328 は条約・EU・日本の廃絶の枠組みにも入っている。
- 紫外線吸収剤(UVA)
- 紫外線を吸収して、樹脂やコーティング、接着層の劣化・変色を防ぐ添加剤。
- HALS
- ヒンダードアミン系光安定剤。表面のラジカルの攻撃を抑える。紫外線吸収剤の代わりにはならない。
- REACH
- EU の化学物質規則(Regulation (EC) No 1907/2006)。登録、評価、認可、制限を定める。
- SVHC(高懸念物質)
- REACH 第57条の基準(発がん性、生殖毒性、PBT、vPvB など)に当たる物質。
- PBT/vPvB
- 難分解性・生物蓄積性・毒性、または非常に難分解性・非常に高い生物蓄積性。
- 候補物質リスト
- SVHC として特定された物質のリスト。掲載により、企業に法的義務が生じうる。
- 附属書XIV(認可対象物質リスト)
- 認可がなければ、日没日以降は上市・使用できない物質のリスト。
- 日没日(sunset date)
- 附属書XIV の物質を、認可なしに上市・使用できなくなる日。
- 最終申請期限
- 日没日以降も使うために、認可を申請する締切。UV-328 は2022年5月27日。
- MSC(加盟国委員会)
- ECHA の委員会。SVHC の特定と、認可対象物質の勧告案について意見をまとめる。
- POPs(残留性有機汚染物質)
- ストックホルム条約が廃絶・削減を求める、難分解性・高蓄積性などの物質。
- 附属書A
- ストックホルム条約で、生産と使用の廃絶を求める物質の附属書。特定の免除を置ける。
- 寄託者通知
- 条約の改正などを、国連事務総長が各締約国に知らせる通知。拒否通知の期間(1年)が示される。
- 微量の不純物
- 意図せず混入する微量の物質。EU の POPs 規則は UV-328 に上限を設けた。
- 化審法
- 日本の「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」。
- 第一種特定化学物質
- 難分解性・高蓄積性・長期毒性の化学物質。製造・輸入は許可制(原則禁止)、使用制限、指定製品の輸入禁止。
- 後悔する代替
- 規制された物質を、同じように有害な物質に置き換えてしまうこと(regrettable substitution)。
13. 参考資料(一次情報)
- ECHA(欧州化学品庁) “Candidate List of substances of very high concern for Authorisation”(候補物質リスト。2026年10月3日に確認) — echa.europa.eu
- ECHA “Inclusion of substances of very high concern in the Candidate List for eventual inclusion in Annex XIV”(決定 D(2023)8585-DC、2023年12月19日)(PDF) — echa.europa.eu
- ECHA(加盟国委員会) “Support document for identification of Bumetrizole (UV-326) as a substance of very high concern because of its vPvB properties”(2023年12月13日採択)(PDF) — echa.europa.eu
- ECHA “ECHA consults on recommending four substances for REACH authorisation”(ECHA/NR/26/05、2026年2月2日) — echa.europa.eu
- ECHA “List of substances proposed for inclusion in the 13th draft recommendation with examples of uses of the substance”(発表資料の付属資料)(PDF) — echa.europa.eu
- ECHA “Consultation on draft recommendation for inclusion in the Authorisation List”(意見募集のページ) — echa.europa.eu
- ECHA “Recommendations for inclusion in the Authorisation List”(勧告の一覧。2026年5月15日更新) — echa.europa.eu
- ECHA “Authorisation List”(認可対象物質リスト、附属書XIV) — echa.europa.eu
- ストックホルム条約事務局 “The new POPs under the Stockholm Convention”(新しい POPs のページ) — chm.pops.int
- 国連(寄託者) Depositary Notification C.N.77.2024.TREATIES-XXVII.15, “Amendments to Annex A”(2024年2月26日。決定 SC-11/9、SC-11/10、SC-11/11 の条文を含む)(PDF) — treaties.un.org
- 国連(寄託者) Depositary Notification C.N.97.2025.TREATIES-XXVII.15(2025年2月26日再発行。EU の非受諾の通知)(PDF) — treaties.un.org
- 国連(寄託者) Depositary Notification C.N.542.2025.TREATIES-XXVII.15, “Amendments to Annex A”(2025年10月9日。決定 SC-12/14 の条文を含む)(PDF) — treaties.un.org
- ストックホルム条約 POPs 検討委員会 UNEP/POPS/POPRC.18/11/Add.2 “Risk management evaluation for UV-328”(第18回会合、2022年9月、2023年3月15日付)(PDF) — chm.pops.int
- 欧州委員会 Commission Delegated Regulation (EU) 2025/843 of 5 May 2025 amending Annex I to Regulation (EU) 2019/1021 as regards UV-328(官報 2025年7月15日) — eur-lex.europa.eu
- 経済産業省 「『化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令』が閣議決定されました」(2024年12月13日) — meti.go.jp
- 環境省 「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令の閣議決定について」(2024年12月13日) — env.go.jp
- 環境省 「中央環境審議会…(第一次答申)及び(第二次答申)について」(2024年8月1日) — env.go.jp
- 厚生労働省 「化学物質審査規制法に基づく第一種特定化学物質に相当する化学物質に係る審議結果について」(2006年7月11日) — mhlw.go.jp
- e-Gov 法令検索(デジタル庁) 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令(昭和49年政令第202号)。条文と改正履歴(2026年10月3日に取得) — laws.e-gov.go.jp
- Henkel Corporation “Light Cure Adhesive Technology Guide”(10731/LT-2013、2013年9月)(PDF) — dm.henkel-dam.com
- 欧州委員会 Commission Regulation (EU) 2020/171 of 6 February 2020 amending Annex XIV to Regulation (EC) No 1907/2006(官報 2020年2月7日) — eur-lex.europa.eu
14. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| UV-320(223-346-6)・UV-328(247-384-8)は2014年12月17日、UV-327(223-383-8)・UV-350(253-037-1)は2015年12月17日に候補物質リストに掲載されたこと。UV-326(bumetrizole、EC 223-445-4、CAS 3896-11-5)と UV-329(EC 221-573-5、CAS 3147-75-9)が2024年1月23日に vPvB(第57条(e))で掲載されたこと(決定 D(2023)8585-DC)。候補物質リストへの掲載が企業に直ちに法的義務を生じうること(第7条、第31条、第33条)。ECHA のリストのデータが2026年12月まで現在のページで更新され、のちに ECHA CHEM に移ること | ECHA 候補物質リスト[参考資料 1]https://echa.europa.eu/candidate-list-table | 事実 |
| ECHA の決定 D(2023)8585-DC(2023年12月19日):MSC が第84回会合で UV-329 と UV-326 が第57条の基準を満たすと全会一致で合意し、2024年1月23日に候補物質リストを更新・発効させること | ECHA 決定 D(2023)8585-DC[参考資料 2]https://echa.europa.eu/documents/10162/05ea7d09-6615-9ac3-be76-5c9cd96b8eb7 | 事実 |
| UV-326 の識別情報(化学名、分子式 C17H18ClN3O、分子量 315.8、CAS・EC 番号)。フェノール系ベンゾトリアゾールの共通骨格と、分子内水素結合が紫外線吸収剤の機能に不可欠であること。調和分類がなく、自己分類(H400、H411、H412、H413、H315、H319、H335、H312)があること。証拠の重み付けによる vPvB の結論:水–底質試験で20 ℃・100日後に分解なし、12 ℃で半減期が212日を大きく超える(DegT50 > 180日)、底質コアからの検出(1960年代以降)、ニジマスの OECD TG 305 試験で BCFkgL 7,093〜14,225 L/kg(基準 5,000 L/kg 超)、人の母乳やホッキョクグマを含む生物からの検出。支持文書は2023年12月13日採択で、ドイツが提出した Annex XV 文書は UV-326 と UV-329 を扱うこと | ECHA 支持文書(UV-326)[参考資料 3]https://echa.europa.eu/documents/10162/94233c79-4de1-80b8-97a0-8ad81d969d84 | 事実 |
| ECHA が2026年2月2日に4物質(UV-326、UV-329、リン酸トリフェニル、もう1物質)の第13次勧告案を公表し、2026年5月2日まで意見を募集したこと。勧告案の後の流れ(MSC の意見、ECHA の最終勧告、欧州委員会の決定、日没日以降は認可がなければ上市・使用不可) | ECHA 発表資料 ECHA/NR/26/05[参考資料 4]https://echa.europa.eu/-/echa-consults-on-recommending-four-substances-for-reach-authorisationECHA 意見募集のページ[参考資料 6]https://echa.europa.eu/draft-recommendation-for-inclusion-in-the-authorisation-list-consulation | 事実 |
| UV-326:vPvB、認可の対象になりうる範囲の数量 1,000〜10,000 t/年未満、用途の例(プラスチック・ゴム製品、コーティング、接着剤・シーリング材、洗浄剤、インキ、香料への添加剤)。UV-329:1,000〜10,000 t/年未満、プラスチック・ゴム製品、コーティング。リン酸トリフェニル:100〜1,000 t/年未満、プラスチック、接着剤・シーリング材、コーティング。もう1物質:生殖毒性、100〜1,000 t/年未満、コーティング、インキ、トナー | ECHA 発表資料の付属資料[参考資料 5]https://echa.europa.eu/documents/d/guest/26_05_annex_xiv_recommendation_consannex | 事実 |
| ECHA の勧告の一覧(2026年5月15日更新)で、UV-326(Bumetrizole)と UV-329 が「第13次勧告・勧告案に含まれる」状態であること。UV-320・UV-327・UV-328・UV-350 が「第8次勧告(最終勧告日 2018年2月5日)・附属書XIVに収載」であること | ECHA 勧告の一覧[参考資料 7]https://echa.europa.eu/recommendations-for-inclusion-in-the-authorisation-list | 事実 |
| 認可対象物質リストの UV-328(項目51)、UV-327(52)、UV-350(53)、UV-320(54)の最終申請期限が2022年5月27日、日没日が2023年11月27日であること。収載日が2020年2月6日(委員会規則(EU)2020/171、2020年2月11日に公表)であること。UV-326 が認可対象物質リストに載っていないこと | ECHA 認可対象物質リスト[参考資料 8]https://echa.europa.eu/authorisation-list委員会規則(EU)2020/171[参考資料 21]https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32020R0171 | 事実 |
| COP-11(2023年5月1〜12日)が決定 SC-11/11 で UV-328 を附属書Aに特定の免除つきで掲載したこと(生産は登録簿に従う、使用の免除の内容、交換部品の免除は物品の寿命の終わりか2044年のいずれか早いほうまで)。寄託者通知が2024年2月26日付であること。通知から1年以内に受諾できない旨を通知しない締約国に、1年後に改正が発効するという条約第22条の規則 | 国連 寄託者通知 C.N.77.2024[参考資料 10]https://treaties.un.org/doc/Publication/CN/2024/CN.77.2024-Eng.pdf | 事実 |
| EU が2025年2月24日に、SC-11/11 の改正を、2025年2月26日の発効の時点で受諾できないと通知したこと | 国連 寄託者通知 C.N.97.2025[参考資料 11]https://treaties.un.org/doc/Publication/CN/2025/CN.97.2025.Reissued.26022025-Eng.pdf | 事実 |
| COP-12(2025年4月28日〜5月9日)が決定 SC-12/14 で UV-328 に新たな特定の免除(航空機の断熱ブランケット・床材の防水テープ、航空機のポリウレタン系・ポリアミド系接着剤とポリウレタン系コーティング)を追加し、使用のみに限り、2030年末までに失効するとしたこと。寄託者通知が2025年10月9日付であること | 国連 寄託者通知 C.N.542.2025[参考資料 12]https://treaties.un.org/doc/Publication/CN/2025/CN.542.2025-Eng.pdf | 事実 |
| ストックホルム条約事務局のページで、UV-328 が決定 SC-11/11 と SC-12/14 によって附属書Aに掲載されていること(附属書Aの使用は第V部に従う) | ストックホルム条約事務局「新しい POPs」[参考資料 9]https://chm.pops.int/TheConvention/ThePOPs/TheNewPOPs/tabid/2511/Default.aspx | 事実 |
| POPRC-18 のリスク管理評価:UV-328 が紫外線を壊れずに吸収できること、主な用途(自動車の塗料、コーティング、シーリング材、接着剤、プラスチック、ゴム)、典型的な使用濃度(プラスチックとコーティングで 0.1〜3 重量%)。紫外線吸収剤と HALS の役割の違い(業界団体のコメントの引用)。代替の分類(ほかのフェノール系ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、HALS、オキサルアニリド、シアノアクリレート)と、後悔する代替への警告。表5(UV-326、UV-329 などが EU で PBT の評価中で、BAuA が2023年に SVHC の提案を出す予定であること)。ある企業の2018年の評価で、UV-326、UV-329、UV-360、UV-928 が安全な代替とされたこと。HPT 系の UV-400、反応性吸収剤 UV-1300 の記述。接着剤・シーリング材の代替についての情報が確認できなかったこと、スイスの接着剤工業会の会員の回答、UV-928 への置き換えの途中の企業。日本の提出資料(黄変と耐候性)、中国のメーカー(促進耐候試験 1,000〜3,000 時間、屋外暴露 1〜2年)、UV-328 の生産者(自動車で5〜8年)、ACEA の2026年の廃止、UK の移行費用の指摘。2022年9月に採択されたこと | POPRC-18 のリスク管理評価(UV-328)[参考資料 13]https://chm.pops.int/Portals/0/download.aspx?d=UNEP-POPS-POPRC.18-11-Add.2.English.pdf | 事実 |
| 委任規則(EU)2025/843(2025年5月5日、官報 2025年7月15日):UV-328 を POPs 規則附属書I A部に追加。微量の不純物の上限(2025年8月4日から 100 mg/kg、2027年8月4日から 10 mg/kg、2029年8月4日から 1 mg/kg)。物品に含まれる UV-328 の上市と使用の免除(陸上の自動車、工業用コーティングなど、採血管、偏光板、印画紙、航空機は2030年8月4日まで)。交換部品の免除(2043年12月31日など)。期限前から使われていた物品は使い続けてよいこと。前文:UV-328 は附属書XIV に収載済みで、認可の申請はなく、EU 内では使用できないが物品での輸入は可能。第3条が単独、混合物中、物品中を禁止すること。発効は公布の20日後 | 委任規則(EU)2025/843[参考資料 14]https://eur-lex.europa.eu/eli/reg_del/2025/843/oj | 事実 |
| 経済産業省:2024年12月13日に化審法施行令の改正政令が閣議決定され、UV-328、メトキシクロル、デクロランプラスが第一種特定化学物質に指定されること。UV-328 の輸入禁止製品(潤滑油、樹脂に紫外線を吸収する性能を与えるための調製添加剤、塗料及びワニス、接着剤、テープ及びシーリング用の充塡料)。例外的使用の用途はデクロランプラスのみ。公布予定日と施行予定日(2025年2月18日、2025年6月18日)。第一種特定化学物質の定義と規制の内容 | 経済産業省の発表(2024年12月13日)[参考資料 15]https://www.meti.go.jp/press/2024/12/20241213002/20241213002.html環境省の発表(2024年12月13日)[参考資料 16]https://www.env.go.jp/press/press_04106.html | 事実 |
| 環境省:2023年7月21日の審議会で UV-328 を第一種特定化学物質に指定することが適当と結論され、2024年8月1日に第一次・第二次答申がなされたこと | 環境省の発表(2024年8月1日)[参考資料 17]https://www.env.go.jp/press/press_03505.html | 事実 |
| 厚生労働省(2006年7月11日):UV-320 が2004年に第一種監視化学物質に指定され、2006年1月13日の審議会で第一種特定化学物質に指定することが適当と結論されたこと。主にプラスチック樹脂用の紫外線吸収剤で、プラスチック建材、自動車部品、塗料などに使われ、各樹脂中の含有量は1%未満程度であったこと。輸入禁止製品の案(接着剤、シーリング材・補修材などの8品目) | 厚生労働省の発表(2006年7月11日)[参考資料 18]https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/07/tp0711-1.html | 事実 |
| e-Gov 法令検索の化審法施行令:第1条第16号が UV-320、第38号が UV-328(別名 UV-328)であること。第7条の表の UV-320(第10項)と UV-328(第22項)の輸入禁止製品の品目。令和6年政令第382号が2024年12月18日公布、2025年2月18日と2025年6月18日施行であること。最新の改正が令和8年政令第171号(2026年5月22日公布)であること。UV-326 が第1条に掲載されていないこと | e-Gov 法令検索(化審法施行令)[参考資料 19]https://laws.e-gov.go.jp/law/349CO0000000202 | 事実 |
| UV 吸収タイプのポリカーボネートが365 nm の光を約3%しか通さず、UV 光開始剤だけの製品では硬化に足りないこと | Henkel Light Cure Adhesive Technology Guide(2013年9月)[参考資料 20]https://dm.henkel-dam.com/is/content/henkel/lt-2730-brochure-light-cure-adhesive-technology-guide | 事実 |
| 段階の間隔:UV-328 の候補物質掲載(2014-12-17)→最終勧告(2018-02-05)=1,146日、→附属書XIV 収載(2020-02-06)=731日、→日没日(2023-11-27)=1,390日、候補物質掲載→日没日=3,267日。UV-326 の候補物質掲載(2024-01-23)→勧告案の公表(2026-02-02)=741日、意見募集89日、→2026-10-03=984日。使用濃度の換算(0.1% = 1,000 mg/kg、3% = 30,000 mg/kg)と、上限との比(100 mg/kg に対し10〜300倍、1 mg/kg に対し1,000〜30,000倍)。1,000〜3,000時間 = 約42〜125日。条約第22条の規則による2026年10月9日 | 本稿の計算。日付は公表された値の差で、将来の日付の予測ではない。UV-328 の勧告案の公表日は未確認。使用濃度は UV-328 についての POPRC の記載で、UV-326 の数値ではない。上限は意図しない微量の混入についての規定 | 本稿の計算 |
| 勧告案の後(MSC の意見、ECHA の最終勧告、欧州委員会の決定、日没日)がまだ起きていない、または確認できないこと | ECHA の勧告の一覧(2026年5月15日更新)以降の手続きは、本稿が確認できた公式ページに掲載がない。本記事の確認日は2026年10月3日 | 未確定/将来 |
| UV-326 の他国・他の枠組みでの扱い。個別の製品への UV-326 の含有。代替の定量比較。UV 硬化型での紫外線吸収剤の使い方。UV-326 の吸収スペクトル。UV-320 の指定の政令の公布日・施行日 | 公開資料で確認できなかったため、本稿では記載していない | 解説 |
| SVHC=すぐ危険ではない、vPvB は環境中の残留性・蓄積性の区分であるという整理。紫外線吸収剤と UV 硬化が同じ光を取り合うという読み取り。規制の「かかり方」(物質・混合物・物品・微量混入)の表の整理。EU 内で作る場合と持ち込む場合の違い。代替は規制・性能・時間を同時に見るという整理。UV-326 の勧告案の物質の1つが光開始剤の一種と見られるという読み取り。UV-328 の免除に接着剤が挙がったのは SC-12/14 が初めてという読み取り | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない。法的な判断を示すものではない | 解説 |
| 図1・図2・図3が説明のための概念図であること。図4が本稿の計算を含む作図であること。ヒーロー画像と図5がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年10月3日(確認日)/出典は、欧州化学品庁(ECHA)、国連(寄託者通知)、ストックホルム条約事務局、EU 官報(EUR-Lex)、経済産業省・環境省・厚生労働省、e-Gov 法令検索の公式資料に限定しています。 規制は変わりうるため、最新の状態は当局の公式ページで確認してください。この記事は法的助言ではなく、特定の物質・製品・会社を推奨・非難するものでもありません。構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 UV-326 の勧告案以降の手続き、他国の規制、個別の製品の配合、代替の定量比較、UV 硬化型での使い方、UV-326 の吸収スペクトルについては、確認できなかったため記載していません。 図はすべて説明用の概念図です。図1・図2・図3はベクター作図、図4は本稿の計算を含むベクター作図、ヒーロー画像と図5はAI生成イメージであり、いずれも実際の装置・製品・試験結果を示すものではありません。