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サーマルパッド 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

サーマルパッド(ギャップパッド)
― 同じ「熱伝導率」でも、測り方と圧縮のしかたで別の数字になる

サーマルパッドは、発熱する部品と放熱器のあいだに挟む、柔らかいシート状のTIMです。 シリコーンゴムに熱を通す粉を詰めたもので、高さの違う部品を段差ごと包み込みます。 ただしデータシートの数字は、厚み・硬度・圧縮率・熱伝導率・熱抵抗のどれも、試験法と条件がそろっていないと比べられません。 この記事では、パッドの構造、数字の読み方、圧縮したときの熱抵抗、ブリードとアウトガス、使い方を、素材技術者の目線で整理します。

構成:Henkel(BERGQUIST)・Laird(DuPont)・ARCTIC の公式データシート・製品ページ、ASTM 規格のページを一次情報として使用/最終更新 2026年10月

ヒーロー画像:基板上の高さの違う部品とヒートシンクのあいだで、サーマルパッドが押し縮められる切り欠き断面
概念図(AI生成イメージ)。基板の上の高さの違う部品と、その上に締め付けられたヒートシンクのあいだで、淡い灰色のサーマルパッドが押し縮められて部品の形になじんでいる様子を、切り欠き断面で表現したものです。実際の製品・パッドの厚み・圧縮量・寸法比を示すものではありません。
この記事の構成
  1. サーマルパッドとは何か(3行でつかむ)
  2. 構造としくみ:シリコーンゴム+熱伝導フィラー
  3. データシートの読み方①:厚み・硬度・圧縮率
  4. データシートの読み方②:熱伝導率と熱抵抗
  5. 本稿の計算:「熱伝導率」と「熱抵抗」の差は何か
  6. 素材技術者の視点①:圧力で熱抵抗が変わる
  7. 素材技術者の視点②:ブリード・低分子成分・アウトガス
  8. 消費者向けの型番を読む:ARCTIC TP-4 を例に
  9. 貼り方と選び方:メーカーの案内から
  10. 使われる場所:メモリ・電源・EVバッテリー
  11. 課題と、本稿で確認できなかったこと
  12. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=メーカー・規格団体の公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。
データシートの値は「メーカー公称」と明記し、グレード・試験条件・改訂日を添えます。製品や会社の優劣は論じません。

1. サーマルパッドとは何か(3行でつかむ)

サーマルパッド(ギャップパッド)とは、「剥離フィルムをはがして貼るだけで使える、柔らかく熱を通すシート状のTIM」です。 TIMの全体像(熱の経路、熱抵抗の足し算、7つの形)は、本シリーズ「熱界面材料TIM」編で扱いました。 この記事は、そのうちのシート状に絞ります。

  • 何をするか:Henkel のカタログは、GAP PAD を、高さの異なる部品が実装された基板を、筐体フレームや大型ヒートシンクに熱的に直接つなげる材料と説明しています。段差を吸収して空気の隙間を減らし、極めて低弾性で衝撃や振動も吸収するとしています事実
  • 何でできているか:Henkel のデータシートでは、技術は「シリコーン」、補強材はガラス繊維(グレードによる)と書かれています事実。Laird のデータシートは「フィルドシリコーンシート」(フィラー入りのシリコーンシート)としています事実
  • 数字の落とし穴:同じ「熱伝導率」でも、Henkel のデータシートは ASTM D5470、Laird のデータシートは「Hot Disk」と、測り方が違います事実。数字をそのまま並べると、比べたことになりません
この記事でいちばん大事な一行

サーマルパッドの数字は、「どの試験法で、どの厚みを、どれだけ圧縮して測ったか」とセットでしか意味を持ちません。 Henkel のデータシートは、熱インピーダンスの値について「この値には界面の熱抵抗が含まれる」「参考値であり、実際の性能は表面粗さ・平面度・かけた圧力に直結する」と書いています事実。

この記事と本シリーズの関係

熱の経路、Rth = L/k + Rc1 + Rc2、フィラーが質量で9割を超えるコンポジットであること、ASTM D5470 の考え方は、「熱界面材料TIM」編で詳しく扱いました。この記事では重ねて説明せず、パッド固有の話に集中します。 ペースト状・液状のギャップフィラーは「高熱伝導ペーストとギャップフィラー」編、放熱器は「ヒートシンク」編、シリコーンそのものの化学は「シリコーン」編で扱います。

2. 構造としくみ:シリコーンゴム+熱伝導フィラー

パッドの中身は、シリコーンゴムの中に、熱を通す無機の粉(フィラー)を詰めたものです。 Laird のデータシートは Tflex 700 を「シリコーンとセラミックのフィラー技術」により、高い追従性(柔らかさ)と高い熱性能を両立させたと説明しています事実。 Henkel の GAP PAD TGP 2000 は、ガラス繊維で補強され、「突き刺し・せん断・引き裂き」への耐性を高めたと書かれています事実。

高さの異なる基板上の部品と平らなヒートシンクの間で、柔らかなサーマルパッドが圧縮・変形して段差を埋める様子。実際の製品、厚み、圧縮量、寸法比ではありません。
図1 概念図(ImageGen生成)。高さの異なる基板上の部品と平らなヒートシンクの間で、柔らかなサーマルパッドが圧縮・変形して段差を埋める様子。実際の製品、厚み、圧縮量、寸法比ではありません。
元のSVG模式図と出典の説明を見る
パッドは、部品の高さの違いを「厚みの違い」で吸収する(概念図) 基板の上の3つの部品(高さがそれぞれ違う)と、上から締め付けるヒートシンク。寸法は大きく誇張しています。 締め付け前:均一な厚みのシート 締め付け後:高い部品の上は薄く、低い部品の上は厚く ※ 段差を吸収して空気の隙間を減らすこと、低弾性で衝撃・振動を吸収することは Henkel のカタログ[参考資料1]の記載によります。 ※ 丸い点はフィラー(熱を通す粉)の模式です。個数・大きさ・分布は説明のためのもので、実際の分散状態ではありません。
図1 概念図(ベクター作図)。部品の高さ・パッドの厚み・変形量は模式的に誇張したもので、実際の構造ではありません。「段差を吸収して空気の隙間を減らす」「低弾性で衝撃や振動を吸収する」は Henkel のカタログ[参考資料1]、シリコーンとフィラーの構成は Henkel[参考資料2]・Laird[参考資料7]のデータシートによります。

「ギャップパッド」と「絶縁シート」は別物

Henkel のカタログは、シート状の製品を2つに分けています事実。

種類カタログの説明カタログ掲載品の値(メーカー公称)
SIL PAD(熱伝導性絶縁シート)シリコーン樹脂シートをガラス繊維で補強。難燃性(UL94 V-0)、機械的強度に優れる。電源ユニット、車載電子部品、モーター制御基板、パワー半導体などTSP 900/1600S/1800:厚み 0.18〜0.41 mm、熱伝導率 0.9/1.6/1.8 W/m·K、絶縁破壊電圧 3,500〜6,000 Vac
GAP PAD(ギャップ充填シート)高さの異なる部品を実装した基板を、筐体や大型ヒートシンクに直接熱的に接合できる。ペーストやジェルのような充填性をシートの扱いやすさと併せ持つTGP 1000VOUS/1500R/HC3000:厚み 0.25〜6.4 mm、熱伝導率 1.0/1.5/3.0 W/m·K、バルク硬度(ショア00)5/40/15

すべて事実(ヘンケルジャパン カタログ[参考資料1]。2019年1月現在、試験法・条件はカタログでは確認できませんでした)。厚み・値は掲載品の範囲で、同じ表の中でも試験条件が同じとは限りません。

つまり、薄い絶縁シート(0.2 mm前後)は「絶縁と薄さ」、厚いギャップパッド(0.5〜数 mm)は「段差を埋める柔らかさ」が役目です(本記事による整理)。 検索で多い消費者向けの「サーマルパッド」(メモリや GPU に貼る 0.5〜1.5 mm のもの)は、後者の仲間にあたります。

3. データシートの読み方①:厚み・硬度・圧縮率

厚み

Henkel のデータシートの「厚み」は ASTM D374 で測ると明記されています(GAP PAD TGP 2000 は 0.508〜3.175 mm)事実。 Laird の Tflex 700 は 0.5〜5.0 mm を 0.25 mm 刻みで供給としています事実。 厚みは「入れたい隙間より少し厚い」ものを選ぶのが基本で、これは第9章のメーカーの案内でも述べます。

硬度:数字の前に「どの目盛りか」を見る

パッドの硬度は、ゴムの硬さを測るデュロメータ(ASTM D2240)で表されます。ASTM のページによれば、この規格は A、B、C、D、DO、E、M、O、OO、OOO、OOO-S、R の12種類の硬度計を扱います事実。 柔らかいパッドでは、Type OO(ショア 00 と書かれることが多い)やType OOO(ショア 000)の目盛りが使われます。メーカーによって「Shore 00」「Shore OO」と表記が違いますが、ここでは同じ系統の目盛りを指すと読めます(本記事による解説)。

製品(メーカー)硬度の表記併記された数字出所
BERGQUIST GAP PAD TGP 2000(Henkel)Shore 00:30(30秒後の値、ASTM D2240、バルクゴム)ヤング率 310 kPa(45 psi)データシート(2018年10月)
BERGQUIST GAP PAD TGP 1500R(Henkel)Shore 00:40(同上)ヤング率 310 kPa(45 psi)データシート(2018年10月)
BERGQUIST GAP PAD TGP 12000(Henkel)Shore 000:76(ASTM D2240)ヤング率 593 kPa(86 psi)データシート(2021年6月)
TGP 1000V0US/3000/HC5000(Henkel)Shore 00:5/15/35ヤング率 8/16/17.5 psiEV向け製品情報シート(2020年9月)
Tflex 700(Laird)78(1 mm未満)/66(1 mm超)、「Hardness (3 sec)」、ASTM D2240目盛り(00 など)の記載は確認できなかったデータシート(2016年6月)
Tflex HD90000(Laird)Shore 00:32—製品ページ(2023年8月更新)
ARCTIC TP-450 Shore OO圧縮率 47% @ 50 psiスペックシート

すべて事実(メーカー公称。参考資料2〜5・7・8・10)。異なる目盛り(00、000、OO)・異なる待ち時間(30秒、3秒)の数字は、そのまま比べられません。

素材技術者の読みどころ:硬度は「たわみやすさ」そのものではない

Henkel の EV 向け製品情報シートでは、TGP 3000 は「Shore 00=15、ヤング率 16 psi」、HC5000 は「Shore 00=35、ヤング率 17.5 psi」と並んでいます事実。 硬度の数字は2倍以上違うのに、ヤング率はほとんど違いません。 Laird の発表資料も、「硬度はたわみ(圧縮)ではない。業界で使われている単純化にすぎず、押し込みの試験である」と注意しています事実。

パッドを部品に押し付けたとき、部品や基板にかかる力を決めるのは、押し込みの硬さよりも、圧縮したときの応力(弾性率・応力ー歪み曲線)です(本記事による解説)。 Henkel のデータシートが、硬度に加えてヤング率(0.01 in/min の歪み速度、試料サイズ 0.79 inch² で算出)を載せているのは、そのためと読めます。

圧縮率とたわみ

Henkel のデータシートは熱インピーダンスを「10%・20%・30% のたわみ(deflection)」で示します事実。 ARCTIC のスペックシートは、TP-4 の「圧縮率 47% @ 50 psi」を載せています事実。 Laird の資料は、グラフの歪み速度の違い(10、100、1000 mil/分)で応力が変わることを示し、「利用者は部品を mm/分ではなく mm/秒で組み立てる」ため、試験条件との差に注意が必要としています事実。

4. データシートの読み方②:熱伝導率と熱抵抗

同じ「熱伝導率」という項目名でも、中身が違う例を並べます。

項目Henkel TGP 2000(2018年10月)Laird Tflex 700(2016年6月)ARCTIC TP-4(スペックシート)
熱伝導率2.0 W/(m·K)、試験法 ASTM D54705.0 W/mK、試験法 Hot Disk数値の記載なし(第8章)
熱抵抗の表し方熱インピーダンス(0.040インチ厚、D5470):10%たわみで 0.97、20%で 0.89、30%で 0.80 ℃·in²/W。「界面の熱抵抗を含む」データシートの表には熱インピーダンスの記載なし(本稿が読めた範囲)グラフ:100 W の熱負荷で、接触圧 0.5/0.9/1.2 kgf/cm² のときの熱抵抗(℃/W)(第6章)
硬度Shore 00:30(30秒後)78/66(3秒)50 Shore OO
その他密度 2.9 g/cc、UL 94 V-0、使用温度 −60〜200℃比重 1.73、UL 94 V0、アウトガス TML 1.0%・CVCM 0.13%(ASTM E595)、使用温度 −40〜200℃比重 3.4 g/cm³、UL94 V-0、連続使用温度 −40〜150℃

すべて事実(メーカー公称。参考資料2・7・10)。異なる製品・年・試験法の値で、優劣の比較ではありません。

  • 試験法が違う:ASTM D5470 は、厚みを変えて測り、接触抵抗と分けて見かけの熱伝導率を求める方法として「熱界面材料TIM」編で紹介しました。Laird の発表資料は、熱伝導率の測り方として D5470、ISO 22007-2(ホットディスク)、レーザーフラッシュを挙げ、D5470 は異方性を測れないと注意しています事実。ISO 22007-2:2022 は、プラスチックの熱伝導率・熱拡散率をホットディスク法で求める規格です事実
  • 「参考値」と明記されている:Henkel のデータシートには、値は参考であり、製品仕様として使うものではない(Not for product specifications)と書かれています事実
  • 最新のデータシートが正:改訂日(2018年10月、2021年6月など)と試験条件を必ず確かめます

5. 本稿の計算:「熱伝導率」と「熱抵抗」の差は何か

Henkel のデータシートには、熱伝導率(D5470)と、厚み・たわみごとの熱インピーダンス(接触を含む)が並んでいます。 両者から、熱インピーダンスのうち、材料の厚みと熱伝導率で説明できる分(L/k)と、それ以外(主に接触の分)を計算してみます本稿の計算。

本稿の計算(前提つき)

前提:「n%のたわみ」を、厚みが n% 減ることと読みます(厚み = 公称厚み × (1 − n))。熱伝導率はデータシートの値(D5470)。L/k は、k を W/(in·K) に直して求めます(2.0 W/m·K = 0.0508 W/in·K)。

例(TGP 2000、0.040インチ、10%たわみ):厚み = 0.040 × 0.9 = 0.036 in、L/k = 0.036 ÷ 0.0508 = 0.71 ℃·in²/W。データシートの熱インピーダンス 0.97 との差は 0.26。これが「接触などの分」です。

製品(公称厚み・熱伝導率)たわみ熱インピーダンス(データシート)L/k(本稿の計算)それ以外(本稿の計算)
TGP 2000(0.040 in・2.0 W/m·K)10%0.970.710.26(約27%)
TGP 2000(同上)20%0.890.630.26(約29%)
TGP 2000(同上)30%0.800.550.25(約31%)
TGP 1500R(0.020 in・1.5 W/m·K)10%1.070.470.60(約56%)
TGP 1500R(同上)20%0.880.420.46(約52%)
TGP 1500R(同上)30%0.820.370.45(約55%)

単位はすべて ℃·in²/W。熱インピーダンスは Henkel のデータシート(TGP 2000 と TGP 1500R、2018年10月)の事実、L/k と「それ以外」は本稿の計算です。割合は小数第1位を丸めています。

熱インピーダンスの内訳:L/k と、それ以外(本稿の計算) 棒の長さは熱インピーダンス(℃·in²/W、Henkel のデータシート値)。青は本稿が算出した L/k、橙は残り。 TGP 2000 たわみ 10% 0.97(L/k 0.71 + 他 0.26) TGP 2000 たわみ 20% 0.89(L/k 0.63 + 他 0.26) TGP 2000 たわみ 30% 0.80(L/k 0.55 + 他 0.25) TGP 1500R たわみ 10% 1.07(L/k 0.47 + 他 0.60) TGP 1500R たわみ 20% 0.88(L/k 0.42 + 他 0.46) TGP 1500R たわみ 30% 0.82(L/k 0.37 + 他 0.45) L/k(厚みと熱伝導率で決まる分) それ以外(主に接触の分) ※ 「n%のたわみ = 厚みが n% 減る」と仮定して、TGP 2000 は 0.040 in・2.0 W/m·K、TGP 1500R は 0.020 in・1.5 W/m·K で計算。 ※ 熱インピーダンスと熱伝導率は Henkel のデータシート[参考資料2・3]の値。L/k と「それ以外」は本記事の算出値です。
図2 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。熱インピーダンスと熱伝導率は Henkel のデータシート[参考資料2・3]の記載値です。L/k とそれ以外への分け方は本記事が算出したもので、公表値ではありません。「n%のたわみ = 厚みが n% 減る」という前提を置いています。
素材技術者の読みどころ:圧縮で変わるのは、主に L

TGP 2000 では、たわみを 10% から 30% に増やすと熱インピーダンスは 0.97 から 0.80 へ、約18%下がります本稿の計算((0.97−0.80)÷0.97)。 一方、L/k 以外の分は 0.26 → 0.25 とほとんど変わりません。圧縮の効果の大半は「薄くなること(L の減少)」で説明できるということです。

ところが TGP 1500R(0.020 インチ、ガラス繊維補強)では、「それ以外」の分が 0.45〜0.60 と、TGP 2000 のおよそ2倍で、たわみ10%と20%のあいだで大きく変わります。 材料が薄いほど、また補強材や表面の状態によって、接触の分の比重が変わることを示しています(本記事による解説。製品の優劣ではありません)。

ここで使った k はデータシートの「熱伝導率(D5470)」で、この値は厚みを変えた測定の傾きから求める見かけの値です(「熱界面材料TIM」編)。 つまり「熱伝導率 2.0」は、接触の分を除いたバルクの値で、実際に部品に貼ったときの熱抵抗は、その分だけ必ず大きくなります。

6. 素材技術者の視点①:圧力で熱抵抗が変わる

パッドは押し付ける圧力によって、厚みも接触も変わるので、熱抵抗は圧力の関数です。各社の資料から、その傾向だけを拾います。

資料圧力・たわみ熱抵抗の記載(メーカー公称)
Laird Tflex HD90000 製品ページ10 psi/30 psi/50 psi熱抵抗の最大値 0.539/0.203/0.129 ℃·in²/W、最小値 0.154/0.074/0.061 ℃·in²/W(最小・最大の条件はページに記載なし。厚みの範囲による値と推測されるが未確認)
Henkel TGP 2000 データシート10%/20%/30% たわみ0.97/0.89/0.80 ℃·in²/W(0.040インチ厚)
ARCTIC TP-4 製品ページの性能グラフ0.50/0.90/1.20 kgf/cm²(100 W の熱負荷)グラフ内の2系列とも、圧力が上がるほど熱抵抗(℃/W)が下がる(例:一方の系列は 0.1368 → 0.1158 → 0.1087)。凡例はグラフ画像内では確認できなかった
DuPont 技術資料20〜40 psi(TIM2)最も有利な熱性能を得る圧縮の目安。TIM1 では、チップを壊すので大きな圧力は避ける

すべて事実(参考資料2・8・13・14)。ARCTIC のグラフの数値は、本稿が画像から読み取ったものです。0.5 kgf/cm² は約7.1 psi、1.2 kgf/cm² は約17 psi に相当します本稿の計算。

圧力を上げると、熱抵抗は大きく下がる(Laird Tflex HD90000 の記載値) 棒は、各圧力での熱抵抗の最小値から最大値まで(℃·in²/W)。最小・最大の条件はページに記載がありません。 0 0.2 0.4 0.6 熱抵抗(℃·in²/W) 10 psi 0.154 〜 0.539 30 psi 0.074 〜 0.203 50 psi 0.061 〜 0.129 最小値 最大値 ※ 10→50 psi で最大値は約24%、最小値は約40%に下がる(本記事の計算)。 ※ 数値は Laird の製品ページ[参考資料8]の記載値です。他社製品との比較ではありません。
図3 概念図(ベクター作図)。Laird Tflex HD90000 の製品ページ[参考資料8]に記載された、10・30・50 psi での熱抵抗の最小値と最大値を作図したものです。最小・最大の条件はページに記載がありません。他社製品との比較ではありません。「最大値が約24%、最小値が約40%に下がる」は本記事の計算です。
素材技術者の読みどころ:低い圧力で薄くなる「柔らかさ」が、熱性能に直結する

Laird の HD90000 では、圧力を 10 psi から 50 psi に上げると、熱抵抗の最大値は 0.539 → 0.129、最小値は 0.154 → 0.061 ℃·in²/W へ、それぞれ約24%、約40%に下がります本稿の計算(0.129÷0.539、0.061÷0.154)。 同社は、この製品の特長に「圧力に対する低いたわみ(low pressure versus deflection)」と「低い接触抵抗のための優れた表面ぬれ」を挙げています事実。

圧力を上げれば熱抵抗は下がりますが、部品や基板にかかる力も増えます。メモリやチップの小さな部品、薄い基板では、かけられる力に限りがあります。 だからパッドの設計目標は、少ない力で、よく潰れて、よくなじむこと。Henkel が TGP 12000 の特長に「低い圧縮応力」「超低弾性の樹脂」を挙げ、「低い組み立て応力が求められる高性能用途向け」と説明している事実のは、その要求の表れです(本記事による解説)。

ここに、TIM 編で見たジレンマがあります。熱伝導率を稼ぐにはフィラーを増やしたいが、増やすと弾性率が上がって潰れにくくなる。 Henkel のデータシートにある密度は、TGP 1500R が 2.1 g/cc(熱伝導率 1.5 W/m·K)、TGP 2000 が 2.9 g/cc(同 2.0)、TGP 12000 が 3.1 g/cc(同 12)です事実。 重いフィラーが増えると密度が上がる、という方向は見えますが、12 W/m·K の製品は、フィラーの種類や形・樹脂を変えているはずで、密度だけで説明することはできません(本記事による解説)。 また Laird の Tflex 700 は、比重 1.73 で熱伝導率 5.0 W/mK(Hot Disk)と書かれており事実、メーカーをまたいで密度と熱伝導率を並べても関係は見えません。

7. 素材技術者の視点②:ブリード・低分子成分・アウトガス

パッドの母体はシリコーンです。柔らかさを出すために、樹脂の中には反応していない低分子の成分や油が残りうる、というのが素材側の関心事です(本記事による解説)。 一次資料でも、この点は性能の一部として扱われています。

  • ブリード(にじみ出し):Laird の発表資料は、TIM に望まれる性質として「低アウトガス・低ブリード」を挙げています事実
  • 低分子シロキサン:Laird の Tflex HD90000 の製品ページは、特長に「低アウトガス」「Low D3-D20(20 ppm 未満)」を掲げ、アウトガスは CVCM 0.010%、TML 0.170% と記載しています事実。D3〜D20 の意味はページ内に説明がなく、本稿では環状シロキサン等の低分子成分を指すものと読んでいます(確認できていません)
  • 揮発分の低さをうたう製品:Henkel の EV 向け製品情報シートは、GAP PAD の TGP 3000 と HC5000 に「Low volatility」、GAP FILLER の TGF 1500 に「Low siloxane volatility」と記しています事実
  • シリコーンを使わない選択肢:Henkel は、2026年5月のプレスリリースで、EVバッテリー向けにシリコーンフリーの2液型ギャップフィラー(TGF 2030APS)を発表しています事実。バッテリーのような敏感な用途で、シリコーン由来の成分を避けたいという要求があることの表れと読めます(本記事による解説)
ASTM E595:何を測り、何を測っていないか

データシートの「TML」「CVCM」は、ASTM E595(Standard Test Method for Total Mass Loss and Collected Volatile Condensable Materials from Outgassing in a Vacuum Environment)で測る値です事実。 ASTM のページによれば、試験は真空中で 125℃・24時間、放出された質量(TML)と、25℃の捕集板に凝縮した量(CVCM)を測ります事実。 同じページは、この試験を材料を比べるためのスクリーニングとし、実際の使用中の放出量を予測する意図はないと明記しています事実。 つまり TML/CVCM の小ささは、光学部品やセンサーの近くで使うときの「選別の目安」であり、実機での汚染が起きない保証ではありません(本記事による解説)。

オイルのにじみ出し(オイルブリード)そのものを定量する共通の規格は、本稿が読んだ一次資料では確認できませんでした。 Parker Chomerics に「Low Oil(低オイル)」をうたう製品(THERM-A-GAP PAD 80LO)があることは報道で見つかりましたが、メーカーの公式ページを本稿の作成時には開けなかったため、扱っていません。

8. 消費者向けの型番を読む:ARCTIC TP-4 を例に

検索でよく見られるのは、メモリや GPU、SSD に貼る消費者向けのパッドの型番です。 ここでは ARCTIC TP-4 の公式のスペックシート・製品ページを一次情報として、読めること・読めないことを整理します。製品の優劣は論じません。

項目ARCTIC TP-4 のスペックシートの記載(メーカー公称)
材質・色シリコーン系(製品ページ)。色はグレー
寸法・厚み100×100 mm、120×20 mm。厚み 0.5/1.0/1.5 mm。重ねて 2.0 mm までとする(プレスリリース)
硬度50 Shore OO(試験法の記載は確認できなかった)
圧縮率47% @ 50 psi(試験法の記載は確認できなかった)
その他比重 3.4 g/cm³、引張強さ 1 psi、絶縁破壊電圧 8.62 kV/mm、誘電率 7.2 @ 1 MHz、UL94 V-0、RoHS 適合、連続使用温度 −40〜150℃
熱伝導率記載なし

すべて事実(ARCTIC のスペックシート[参考資料10]、製品ページ[参考資料9]、プレスリリース)。体積抵抗の数字の表記は、スペックシートの抽出テキストでは指数が確認できなかったため省いています。

ARCTIC は、熱伝導率を公表しない理由を自社ページで説明している

ARCTIC のサーマルペースト・パッドの総合ページには、熱伝導率の値を公表しない理由が書かれています。要約すると、 「多くのメーカーが値を誇張しているので、ARCTIC は意図的にサーマルペーストとパッドの熱伝導率を示さない」という趣旨です事実(同社の主張であり、他社に関する記述の真偽を本稿は検証していません)。 同じページには、熱抵抗は「結合層の厚み ÷ 熱伝導率」で決まり、パッドは一般にペーストより熱を通すが、結合層を非常に薄くはできない、とも書かれています事実。

本稿の方針:メーカーが公表していない数値は載せない

小売サイトの商品ページには、TP-4 の熱伝導率として具体的な W/m·K が書かれていることがあります。 しかし、ARCTIC の公式のスペックシート・製品ページ・取扱説明書の本文には、その数値は見当たらず、同社は公表しない方針を述べています。 メーカーが公表していない数値は、一次情報ではないため、本稿では扱いません。数値が必要なときは、試験法と条件が書かれた、メーカーのデータシートを求めてください。

同じ製品の資料で、表記が違う項目がある

  • 製品ページは「Operating Ambient Temperature −40〜200℃」、スペックシートは「Continuous Use Temperature −40〜150℃」です(項目名が違うため、矛盾とは断定できません)事実
  • 絶縁破壊電圧は、製品ページが「8620 V/mil」、スペックシートが「8.62 kV/mm」です。8.62 kV/mm は約219 V/mil に当たる本稿の計算(8.62 × 25.4)ので、同じ値としては読めません。どちらが正しいかは本稿では確認できませんでした
  • 圧縮については、製品ページに「取り付け圧力によって、元の厚みの60%まで圧縮できる」とあります。「60%に」と「60%だけ」の2通りに読めうる表現で、スペックシートの「47% @ 50 psi」との関係は確認できませんでした事実

これは製品の優劣ではなく、数字を使うときは、スペックシートの項目名・単位・条件を確かめることの例です(本記事による解説)。

9. 貼り方と選び方:メーカーの案内から

ARCTIC の取扱説明書は、パッドの選び方と貼り方を次のように案内しています事実。

  • 厚みは隙間より厚いものを:例として、1.2 mm の隙間には 1.5 mm のパッドを1枚、2.6 mm の隙間には 1.5 mm を2枚重ねる
  • 3 mm を超える隙間は設計を見直す:パッドは小さな隙間を埋めるもので、大きな隙間には向かない
  • ほとんど隙間がない(0.2 mm 未満)ときはサーマルグリースを:
  • 面を清掃する:汚れが接触面積を減らして熱の伝わりを悪くする。イソプロピルアルコールをしみ込ませた布などで拭く
  • 使用済みのパッドを外したら厚みを確認する:買ったパッドと同じ厚みかを確かめる
  • 剥離フィルムのはがし方:極めて柔らかいため、パッドを引っ張って破らないよう、カッターで角を起こして180度の角度でフィルムを巻き取るようにはがす
  • 保管:気密容器で、−10〜40℃の冷暗所、湿気を避ける
図4:サーマルパッドの実物(淡い灰色のシート、カット、剥離フィルムをはがして貼る作業)
図4 概念図(AI生成イメージ)。淡い灰色のサーマルパッドのシートを切り出し、剥離フィルムをはがして、グラフィックスカードの基板のメモリチップの上に貼る作業を表現したものです。実際の製品・基板・包装を示すものではありません。
素材技術者の読みどころ:「重ねても性能は変わらない」の読み方

ARCTIC の製品ページは、TP-4 を「低硬度・低界面抵抗のため、複数枚を重ねても熱伝達性能に影響しない(Stackable Without Performance Loss)」と説明しています事実(同社の主張)。 「熱界面材料TIM」編の式 Rth = L/k + Rc1 + Rc2 から言えば、パッドを重ねるとL が増え、界面が1つ増えるので、理屈の上では熱抵抗は増える方向です。 どの程度増えるか(柔らかいほど界面は小さくなる)は材料次第で、本稿が読んだ資料からは数値を確認できませんでした(本記事による解説)。

10. 使われる場所:メモリ・電源・EVバッテリー

  • メモリ・SSD:ARCTIC の取扱説明書は、RAM のチップや M.2 SSD のチップを冷やす用途を案内しています(チップの面を覆う長さと幅に切る、下面にもチップがあれば貼る)事実。Henkel の TGP 1500R のデータシートも、用途に「メモリモジュール/チップスケールパッケージ」を挙げています事実
  • 電源・パワー半導体:Henkel のカタログは、GAP PAD の用途に「通信基地局、PC・周辺機器、パワーコンバーター、ディスクリートFET、車載電子部品」を、SIL PAD の用途に「電源ユニット、モーター制御基板、パワー半導体」を挙げています事実
  • EVの電力変換:Henkel の EV 向け製品情報シート(2020年9月)では、GAP PAD は「熱源から冷却部まで」、GAP FILLER・熱伝導性接着剤は「部品・基板から筐体やヒートシンクまで」に位置づけられています事実
  • EVバッテリー:DuPont の技術資料は、バッテリーパックとヒートシンクのあいだの自動車用TIM2を同社の製品に挙げています事実。Henkel の2026年5月のプレスリリースは、バッテリーセルのスタックから冷却プレートへの放熱用に、液状のギャップフィラー(TGF 2030APS、熱伝導率 1.7 W/m·K)と熱伝導性接着剤を新製品としています事実。バッテリー用途でパッドが使われているかどうかは、本稿が読んだ資料からは確認できませんでした。大量生産の速度(吐出し 40 cc/秒超)といった要求から、液状が選ばれる場面が多いことがうかがえます(本記事による解説)

11. 課題と、本稿で確認できなかったこと

(1) 試験法・条件のそろった比較はできない

Henkel は D5470、Laird は Hot Disk、ARCTIC は熱伝導率を公表しません。年も条件も違うので、パッドの熱性能を製品間で比べる表は作りませんでした。

(2) ARCTIC TP-4 の熱伝導率と、公式資料の表記の違い

熱伝導率は公式資料で確認できませんでした。製品ページとスペックシートで、使用温度の項目名、絶縁破壊電圧の単位、圧縮の表現が異なる点は、本稿では確認・修正できません。

(3) オイルブリードの共通の評価法は確認できなかった

TML/CVCM(ASTM E595)はアウトガスのスクリーニングで、液状成分のにじみ出しを測る規格ではありません。Parker Chomerics の公式ページは本稿作成時に開けませんでした。

(4) Laird の「D3-D20」の定義は確認できなかった

製品ページに説明がなく、本稿は低分子シロキサンを指すと読んでいますが、定義は確認できていません。

(5) パッドのEVバッテリーでの使用実績は確認できなかった

Henkel の2026年のバッテリー向け新製品は液状のギャップフィラーと接着剤です。

(6) 長期の圧縮応力緩和・経時変化は扱っていない

圧縮したまま長期間使ったときの応力の緩和や、熱抵抗の経時変化は、本稿が読んだ資料に数値がなかったため扱っていません。

この記事のまとめ
  • サーマルパッドは、シリコーンにフィラーを詰めた柔らかいシートで、高さの違う部品の段差を厚みの差で吸収します事実
  • 数字は、試験法・条件とセットで読みます。Henkel は D5470、Laird は Hot Disk。硬度は目盛り(00、000、OO)と待ち時間が違えば比べられません事実
  • データシートの熱インピーダンスは接触を含み、熱伝導率はバルクの見かけの値です。TGP 2000 では L/k 以外が約0.25〜0.26 ℃·in²/W、圧縮の効果の大半は薄くなること本稿の計算
  • 圧力で熱抵抗は大きく変わります。Laird HD90000 は 10→50 psi で、最大値が約24%、最小値が約40%に下がります本稿の計算
  • ブリードとアウトガスも性能の一部。ASTM E595 は 125℃・真空・24時間のスクリーニングで、実使用の予測ではありません事実
  • ARCTIC TP-4 は熱伝導率を公表しません。公表されていない数値は一次情報ではないため扱いません事実

12. 用語集

サーマルパッド/ギャップパッド
柔らかいシート状のTIM。高さの違う部品の隙間を埋めるもの。
SIL PAD
Henkel の熱伝導性絶縁シートのブランド。薄く(0.2 mm前後)、絶縁性が役目。
熱インピーダンス
面積あたりの熱抵抗(℃·in²/W など)。接触の熱抵抗を含む値として示されることがある。
見かけの熱伝導率
不均質な材料の熱インピーダンスと厚みから求める熱伝導率(ASTM D5470)。
たわみ(deflection)
パッドがどれだけ圧縮されたか(厚みの減少率)。
ショア 00/OO/000
柔らかいゴムやゲル向けの硬度計(ASTM D2240 の Type OO・OOO)。目盛りが違えば数字は比べられない。
ヤング率
材料の弾性率。小さな変形での応力と歪みの比。
ブリード
材料の中の成分が表面ににじみ出る現象。
アウトガス
材料から出る揮発成分。
TML/CVCM
真空中の質量損失の合計と、凝縮した揮発物の量(ASTM E595)。
Hot Disk
ホットディスク(過渡平面熱源)法。熱伝導率と熱拡散率を測る方法(ISO 22007-2)。
psi/kgf/cm²
圧力の単位。1 psi ≒ 6.9 kPa、1 kgf/cm² ≒ 98 kPa ≒ 14.2 psi。

13. 参考資料(一次情報)

  1. ヘンケルジャパン「放熱用サーマルインターフェース材料 Thermal Solutions」(BERGQUIST 製品カタログ、2019年1月現在、PDF) https://dm.henkel-dam.com/is/content/henkel/brochure-bergquist-thermal-interface-materials-jp
  2. HenkelBERGQUIST GAP PAD TGP 2000 Technical Data Sheet(2018年10月、PDF) https://datasheets.tdx.henkel.com/BERGQUIST-GAP-PAD-TGP-2000-en_GL.pdf
  3. HenkelBERGQUIST GAP PAD TGP 1500R Technical Data Sheet(2018年10月、PDF) https://datasheets.tdx.henkel.com/BERGQUIST-GAP-PAD-TGP-1500R-en_GL.pdf
  4. HenkelBERGQUIST GAP PAD TGP 12000 Technical Data Sheet(2021年6月、PDF) https://datasheets.tdx.henkel.com/BERGQUIST-GAP-PAD-TGP-12000-en_GL.pdf
  5. Henkel"Henkel Thermal Interface Solutions for EV Power Conversion Systems"(製品情報シート、2020年9月、PDF) https://dm.henkel-dam.com/is/content/henkel/Product_information_sheet-thermal-interface-solutions-ev-power-conversion-systems
  6. Henkelプレスリリース "Henkel's EV battery thermal management portfolio grows with new thermal interface materials" 2026年5月12日(PDF) https://www.henkel.com/resource/blob/2157222/2d5f17b3c1296a98c28b8077f3abbb01/data/2026-05-12-henkel-press-release-thermal-interface-materials-for-ev-battery-systems.pdf
  7. LairdTflex 700 Thermal Gap Filler データシート(THR-DS-Tflex 700 17June16、PDF) https://www.laird.com/sites/default/files/tflex-700-datasheet.pdf
  8. LairdTflex HD90000(製品ページ、2023年8月更新のデータシートを掲載) https://www.laird.com/products/thermal-interface-materials/gap-fillers/tflex-hd90000
  9. ARCTICThermal Pad TP-4(製品ページ) https://www.arctic.de/us/TP-4/ACTPD00063A
  10. ARCTICTP-4 Spec Sheet(PDF) https://www.arctic.de/media/0c/7e/5f/1776408477/Spec_Sheet_TP-4_EN.pdf
  11. ARCTICTP-4 User Manual(取扱説明書) https://support.arctic.de/tp-4
  12. ARCTICThermal Paste & Thermal Pads(総合ページ) https://www.arctic.de/us/products/desktop-pc-cooling/thermal-pastes-pads/
  13. ARCTICTP-4 Thermal Resistance Performance Chart(製品ページに掲載のグラフ画像) https://www.arctic.de/media/34/52/d0/1778854293/TP-4_Thermal_Resistance_Performance_Chart_2560x1440px_EN.jpg
  14. DuPont(Claire K. Wemp, Ph.D.)"Advanced Polymer Formulations for Thermal Management of Electronic Devices"(技術資料PDF) https://www.dupont.com/content/dam/dupont/amer/us/en/articles/corporate/Advanced%20Polymer%20Formulations%20for%20Thermal%20Management%20of%20Electronic%20Devices_r1_66.pdf
  15. Laird(J. Strader ほか)"Thermal Interface Materials (TIMs) and Challenges Faced by TIM Suppliers" TFAWS 2014、NASA Glenn Research Center(発表資料PDF) https://s3vi.ndc.nasa.gov/ssri-kb/static/resources/TFAWS-2014-PT-06.pdf
  16. ASTM InternationalD2240-15R21 "Standard Test Method for Rubber Property—Durometer Hardness"(ストアのページ) https://store.astm.org/d2240-15r21.html
  17. ASTM InternationalE595-15(2021) "Standard Test Method for Total Mass Loss and Collected Volatile Condensable Materials from Outgassing in a Vacuum Environment"(ストアのページ) https://store.astm.org/e0595-15r21.html
  18. ASTM InternationalD5470-17R24 "Standard Test Method for Thermal Transmission Properties of Thermally Conductive Electrical Insulation Materials"(ストアのページ) https://store.astm.org/d5470-17r24.html
  19. ISOISO 22007-2:2022 "Plastics — Determination of thermal conductivity and thermal diffusivity — Part 2: Transient plane heat source (hot disc) method" https://www.iso.org/standard/81836.html
  20. ARCTIC"TP-4: Premium Performance Thermal Pad"(プレスリリース、PDF) https://www.arctic.de/media/8a/33/0d/1779179129/PR%20TP-4.pdf

14. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
Henkel のカタログによる GAP PAD・SIL PAD・GAP FILLER の説明(高さの異なる部品を筐体や大型ヒートシンクに直接熱的に接合、段差を吸収して空気の隙間を減らす、極めて低弾性で衝撃や振動を吸収)。SIL PAD TSP 900/1600S/1800 の厚み 0.18〜0.41 mm・熱伝導率 0.9/1.6/1.8 W/m·K・絶縁破壊電圧 3,500〜6,000 Vac。GAP PAD TGP 1000VOUS/1500R/HC3000 の厚み 0.25〜6.4 mm・熱伝導率 1.0/1.5/3.0 W/m·K・バルク硬度(ショア00)5/40/15。用途の記載。カタログが2019年1月現在であることヘンケルジャパン カタログ[参考資料 1]https://dm.henkel-dam.com/is/content/henkel/brochure-bergquist-thermal-interface-materials-jp事実
TGP 2000:シリコーン、ガラス繊維補強、厚み 0.508〜3.175 mm(ASTM D374)、Shore 00 30(30秒後、ASTM D2240)、密度 2.9 g/cc、ヤング率 310 kPa(45 psi)、熱伝導率 2.0 W/m·K(ASTM D5470)、熱インピーダンス 0.97/0.89/0.80 ℃·in²/W(0.040 in、10/20/30% たわみ)、「界面の熱抵抗を含む」「参考値のみ」「製品仕様ではない」。2018年10月Henkel TGP 2000 データシート[参考資料 2]https://datasheets.tdx.henkel.com/BERGQUIST-GAP-PAD-TGP-2000-en_GL.pdf事実
TGP 1500R:厚み 0.254〜0.508 mm、Shore 00 40、密度 2.1 g/cc、ヤング率 310 kPa(45 psi)、熱伝導率 1.5 W/m·K(ASTM D5470)、熱インピーダンス 1.07/0.88/0.82 ℃·in²/W(0.020 in、10/20/30% たわみ)、用途にメモリモジュール/チップスケールパッケージ。2018年10月Henkel TGP 1500R データシート[参考資料 3]https://datasheets.tdx.henkel.com/BERGQUIST-GAP-PAD-TGP-1500R-en_GL.pdf事実
TGP 12000:Shore 000 76(ASTM D2240)、密度 3.1 g/cc、ヤング率 593 kPa(86 psi)、熱伝導率 12 W/m·K(ASTM D5470)、特長に低い圧縮応力・超低弾性の樹脂・低い組み立て応力。2021年6月Henkel TGP 12000 データシート[参考資料 4]https://datasheets.tdx.henkel.com/BERGQUIST-GAP-PAD-TGP-12000-en_GL.pdf事実
EV向け製品情報シート:GAP PAD(TGP 1000V0US/3000/HC5000)の Shore 00 5/15/35、ヤング率 8/16/17.5 psi、TGP 3000 と HC5000 の Low volatility、GAP FILLER TGF 1500 の Low siloxane volatility、GAP PAD は熱源から冷却部まで・GAP FILLER 等は部品・基板から筐体やヒートシンクまでの位置づけ。2020年9月Henkel 製品情報シート[参考資料 5]https://dm.henkel-dam.com/is/content/henkel/Product_information_sheet-thermal-interface-solutions-ev-power-conversion-systems事実
Henkel の2026年5月12日のプレスリリース:EVバッテリー向けにシリコーンフリーの2液型ギャップフィラー TGF 2030APS(熱伝導率 1.7 W/m·K、吐出し 40 cc/秒超、低い圧縮力)と、ポリウレタン系熱伝導性接着剤 TLB 9270APS を発表Henkel プレスリリース[参考資料 6]https://www.henkel.com/resource/blob/2157222/2d5f17b3c1296a98c28b8077f3abbb01/data/2026-05-12-henkel-press-release-thermal-interface-materials-for-ev-battery-systems.pdf事実
Tflex 700:フィルドシリコーンシート、熱伝導率 5.0 W/mK(Hot Disk)、硬度(3秒)78(1 mm未満)/66(1 mm超)(ASTM D2240)、比重 1.73、アウトガス TML 1.0%・CVCM 0.13%(ASTM E595)、厚み 0.5〜5.0 mm(0.25 mm 刻み)、シリコーンとセラミックのフィラー技術。2016年6月Laird Tflex 700 データシート[参考資料 7]https://www.laird.com/sites/default/files/tflex-700-datasheet.pdf事実
Tflex HD90000:熱伝導率 7.50 W/mK、Shore 00 32、密度 3.50、熱抵抗 10/30/50 psi での最大 0.539/0.203/0.129・最小 0.154/0.074/0.061 ℃·in²/W、アウトガス CVCM 0.010%・TML 0.170%、特長に Low pressure versus deflection・低接触抵抗のための優れた表面ぬれ・Low D3-D20(< 20ppm)Laird 製品ページ[参考資料 8]https://www.laird.com/products/thermal-interface-materials/gap-fillers/tflex-hd90000事実
ARCTIC TP-4 の製品ページの記載(シリコーン系、非粘着、電気絶縁、取り付け圧力により元の厚みの60%まで圧縮、0.5/1.0/1.5 mm、重ねても性能に影響しない、動作温度 −40〜200℃、絶縁破壊電圧 8620 V/mil、50 Shore OO、比重 3.4)ARCTIC 製品ページ[参考資料 9]https://www.arctic.de/us/TP-4/ACTPD00063A事実
ARCTIC TP-4 のスペックシート(グレー、50 Shore OO、連続使用温度 −40〜150℃、比重 3.4、圧縮率 47% @ 50 psi、引張強さ 1 psi、絶縁破壊電圧 8.62 kV/mm、誘電率 7.2 @ 1 MHz、UL94 V-0、RoHS 適合)。熱伝導率の記載がないことARCTIC スペックシート[参考資料 10]https://www.arctic.de/media/0c/7e/5f/1776408477/Spec_Sheet_TP-4_EN.pdf事実
ARCTIC の取扱説明書(厚みは隙間より厚いものを、3 mm超は設計見直し、0.2 mm未満はグリース、IPAで清掃、フィルムは180度で巻き取る、保管 −10〜40℃、RAM・M.2 での使い方)。本文に熱伝導率の数値がないことARCTIC 取扱説明書[参考資料 11]https://support.arctic.de/tp-4事実
ARCTIC が熱伝導率を公表しない理由の説明、熱抵抗が結合層の厚み÷熱伝導率で決まること、パッドは一般にペーストより熱を通すが結合層を非常に薄くはできないこと(同社の記述)ARCTIC 総合ページ[参考資料 12]https://www.arctic.de/us/products/desktop-pc-cooling/thermal-pastes-pads/事実
ARCTIC のグラフ:100 W の熱負荷で、接触圧 0.50/0.90/1.20 kgf/cm² のときの熱抵抗(一方の系列 0.1368/0.1158/0.1087 ℃/W、他方 0.2036/0.1936/0.1850 ℃/W)。凡例はグラフ画像内では確認できなかったARCTIC グラフ画像[参考資料 13]https://www.arctic.de/media/34/52/d0/1778854293/TP-4_Thermal_Resistance_Performance_Chart_2560x1440px_EN.jpg事実
TIM2 が 20〜40 psi を有利な圧縮の目安とすること、TIM1 でチップに大きな圧力をかけないこと、DuPont の自動車用 TIM2(バッテリーパックとヒートシンクのあいだ)DuPont 技術資料[参考資料 14]https://www.dupont.com/content/dam/dupont/amer/us/en/articles/corporate/Advanced%20Polymer%20Formulations%20for%20Thermal%20Management%20of%20Electronic%20Devices_r1_66.pdf事実
TIM に望まれる性質(低アウトガス・低ブリード)、硬度(デュロメータ)はたわみ(圧縮)ではないこと、歪み速度の違いと組み立て速度(mm/秒)、熱伝導率の測定法(D5470、ISO 22007-2、レーザーフラッシュ)と D5470 が異方性を測れないことLaird 発表資料(TFAWS 2014)[参考資料 15]https://s3vi.ndc.nasa.gov/ssri-kb/static/resources/TFAWS-2014-PT-06.pdf事実
ASTM D2240 が12種類の硬度計(Types A、B、C、D、DO、E、M、O、OO、OOO、OOO-S、R)を扱うこと、D2240-15R21(Active)ASTM ストアのページ[参考資料 16]https://store.astm.org/d2240-15r21.html事実
ASTM E595 が真空中 125℃・24時間で TML と CVCM を測るスクリーニングで、実使用中の放出量を予測する意図はないことASTM ストアのページ[参考資料 17]https://store.astm.org/e0595-15r21.html事実
ASTM D5470 が熱インピーダンスと見かけの熱伝導率を測る方法であること。ISO 22007-2:2022 がプラスチックの熱伝導率・熱拡散率をホットディスク法で求める規格であることASTM ストアのページ[参考資料 18]https://store.astm.org/d5470-17r24.html、ISO 公式ページ[参考資料 19]https://www.iso.org/standard/81836.html事実
ARCTIC TP-4 が厚み 0.5/1.0/1.5 mm で、重ねて 2.0 mm まで使えるとされることARCTIC プレスリリース[参考資料 20]https://www.arctic.de/media/8a/33/0d/1779179129/PR%20TP-4.pdf事実
TGP 2000 と TGP 1500R の L/k(0.71/0.63/0.55 と 0.47/0.42/0.37 ℃·in²/W)と「それ以外」(0.26/0.26/0.25 と 0.60/0.46/0.45)、その割合。TGP 2000 でたわみ 10%→30% の熱インピーダンスが約18%下がること本稿の計算。「n%のたわみ = 厚みが n% 減る」と本稿が仮定し、データシートの熱伝導率(D5470)を W/(in·K) に換算して L/k を求めた(2.0 W/m·K = 0.0508 W/in·K、1.5 W/m·K = 0.0381 W/in·K)。熱伝導率が接触を除いた見かけの値であることを前提とする本稿の計算
Laird HD90000 の 10→50 psi で熱抵抗の最大値が約24%(0.129÷0.539)、最小値が約40%(0.061÷0.154)に下がること。0.5 kgf/cm² が約7.1 psi、1.2 kgf/cm² が約17 psi、8.62 kV/mm が約219 V/mil であること本稿の計算(単位換算を含む)。1 kgf/cm² = 14.22 psi、kV/mm × 25.4 = V/mil本稿の計算
Henkel の TGP 3000 と HC5000 で硬度の数字は2倍以上違うがヤング率はほとんど違わないという読み取り。圧縮の効果の大半は薄くなること(L の減少)で説明できるという整理。薄いパッドほど接触の分の比重が変わるという読み取り。硬度は圧縮時の応力よりも押し込みの硬さであるという整理。重ねると L と界面が増えるという整理。ブリード・低分子成分の整理。ショア 00 と OO が同系統の目盛りであるという読み取り。シリコーンフリーが求められる背景の読み取り。液状ギャップフィラーが選ばれる場面の読み取り。「サーマルパッド」が後者(ギャップパッド)の仲間であるという整理公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない解説
ARCTIC TP-4 の熱伝導率、小売サイトに書かれた数値、ARCTIC の製品ページとスペックシートの表記の違いのどちらが正しいか、Laird の「D3-D20」の定義、オイルブリードの共通の評価法、Parker Chomerics の「低オイル」製品の公式情報、パッドのEVバッテリーでの使用実績、長期の圧縮応力緩和・経時変化本稿では確認できなかったため記載していない。小売サイトの数値は、メーカーが公表していないため一次情報ではない。Parker の公式ページは作成時に開けなかった解説
図1・図2・図3が実際の断面写真・測定結果ではなく説明のための作図であること。ヒーロー画像と図4がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月3日/出典は一次情報(メーカーの公式データシート・製品ページ・取扱説明書・プレスリリース、規格団体のページ、学会発表)に限定しています。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 ARCTIC TP-4 の熱伝導率、オイルブリードの共通評価法、Laird「D3-D20」の定義、パッドのEVバッテリーでの使用実績、長期の圧縮応力緩和については、一次情報で確認できなかったため記載していません。 図はすべて説明用の概念図です。図1・図2・図3はベクター作図、ヒーロー画像と図4はAI生成イメージであり、いずれも実際の断面写真・測定結果・製品の実物を示すものではありません。