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シリコーン 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

シリコーン
― 「無機の骨格に有機の枝」をもつ、ゴムにも接着剤にもなる材料

シリコーン(ポリシロキサン)は、ケイ素と酸素が交互につながる Si–O–Si の骨格に、メチル基などの有機基がついた高分子です。 信越化学は、炭素の鎖でできた一般の合成高分子に対し、シリコーンを主鎖がケイ素と酸素の「無機の合成高分子」と説明しています。 耐熱・耐寒・柔らかさ・低い表面エネルギーは、この構造から来ます。 接着・封止の現場では、その柔らかさが応力を逃がす強みであると同時に、接着の難しさや、低分子シロキサンによる接点障害、EU の D4・D5・D6 の制限といった論点にもつながります。

構成:信越化学、Wacker、Dow の公式技術資料、Omron のリレー FAQ、EU 規則 (EU) 2024/1328 を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

ヒーロー画像:シリコーンゴムのシート・チューブ・シーラントを手で曲げて伸ばす
概念図(AI生成イメージ)。シリコーンゴムのシートを引き伸ばし、チューブを曲げ、シーラントを継ぎ目に塗る場面で、柔らかさを表現したものです。実際の製品・色・硬さ・寸法を示すものではありません。
この記事の構成
  1. シリコーンとは何か(3行でつかむ)
  2. Si–O 結合が決める4つの性質 ― 耐熱・耐寒・柔軟性・低表面エネルギー
  3. 素材技術者の視点①:「空気中の耐熱」と「密閉下の耐熱」は別の数字
  4. 硬化の3つの方式 ― 縮合型・付加型・過酸化物
  5. 素材技術者の視点②:付加型の「被毒」と縮合型の「副生成物」
  6. 種類を整理する ― オイル・ゴム・レジン・ゲル、そして接着剤・シーラント
  7. エポキシ・ウレタンとの違い ― 応力緩和と接着性
  8. 低分子シロキサンと接点障害
  9. D4・D5・D6 の REACH 制限
  10. 課題と、本稿で確認できなかったこと
  11. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公表資料・規則に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・見通しであり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。 製品の物性値はメーカー公称(代表値)であり、グレード・試験条件が異なるものを並べて優劣をつけることはしません。 会社名は出典の所在を示すもので、優劣を論じるものではありません。

1. シリコーンとは何か(3行でつかむ)

3行でつかむ
  • 骨格が Si–O–Si の高分子です。信越化学は、一般の有機高分子の主鎖が炭素の繰り返しであるのに対し、シリコーンはケイ素(Si)と酸素(O)が繰り返すポリシロキサンを主鎖とする「無機の合成高分子」で、側鎖には有機の基を導入できると説明しています事実[参考資料1]。
  • 同じ骨格から、オイル・ゴム・レジン・ゲルまで作り分けます。信越化学は、シリコーンを、オイル(フルイド)、ゴム、液状ゴム、レジン、シランに大別しています事実[参考資料2]。
  • 接着・封止では「柔らかさ」が武器にも弱点にもなります。応力を逃がして部品を守る一方、強い接着や低分子成分の管理、化学物質規制への対応が別の課題になります(本記事による整理)。

原料について、信越化学は、シリコーンの主な原料は天然のシリカ(SiO2)、水、天然ガス由来のメタノールで、最も多く作られているポリジメチルシロキサンでは、構成要素の約60%がシリカと水に由来すると説明しています事実[参考資料1]。 Wacker は、約75年前の Müller–Rochow 法の開発によって、金属ケイ素と塩化メチルからメチルクロロシランが得られるようになり、これが工業生産の出発点になったと述べています事実[参考資料12]。 両社の説明は着目する段階が違うため、メタノールと塩化メチルの関係を含む製造工程の詳細は、本稿では扱いません。

この記事は、接着・封止の材料としてのシリコーンに絞ります。 エポキシとの違いの基礎は本シリーズ「エポキシ樹脂」編、ウレタンやゴムの加硫は「ポリウレタンとエラストマー」編、熱応力の基本式は「熱膨張係数」編、封止材の全体像は「アンダーフィル」「モールディング」編で扱っています。 車載向けの用途は「車載用シリコーンと封止材」編、接着剤全般の分類は「接着剤」編で詳しく扱います。

2. Si–O 結合が決める4つの性質 ― 耐熱・耐寒・柔軟性・低表面エネルギー

シリコーンの性質は、骨格の Si–O 結合と、そこから外へ向いたメチル基という、2つの構造から説明されます。 信越化学は、Si–O 結合の結合エネルギーが有機高分子の主鎖を作る C–C や C–O よりはるかに高く、約200℃でも切れないため、耐熱性と耐候性が高いと説明しています事実[参考資料3]。

炭素の骨格とシロキサンの骨格(概念図) 骨格を左右に伸ばして描いた模式。結合角・結合長・側鎖の数は正確ではない。 炭素の骨格(一般の有機高分子) シロキサンの骨格(シリコーン) 主鎖:C–C 結合の繰り返し C–C の結合エネルギー:355 kJ/mol(信越化学) 主鎖:Si–O–Si 結合の繰り返し(青=Si、橙=O) Si–O の結合エネルギー:433 kJ/mol(信越化学) 側鎖のメチル基(白丸)が骨格の外側に並び、自由に回転する → 水をはじく・離型しやすい(低い表面エネルギー)という界面の性質につながる(信越化学) ※ 結合エネルギーは信越化学のカタログ[参考資料6]の記載。同社の別ページには別の数値が載っている(本文の「本稿の計算」を参照)。
図1 概念図(ベクター作図)。炭素骨格とシロキサン骨格を並べた模式です。結合エネルギーと「メチル基が外側で自由に回転する」という説明は信越化学[参考資料3・5・6]の記載によります。原子の配置・結合角・結合長・側鎖の数は正確ではなく、本記事の作図です。
性質公表内容(出典の記載)出典
耐熱信越化学:シリコーンゴムは150℃ではほとんど変化なく使い続けられ、200℃で10,000時間以上耐えるものがあり、短時間なら350℃に耐える製品もある。Wacker:シリコーンは最大300℃の広い温度範囲に耐える[6][12]
耐寒信越化学:一般の有機ゴムの脆化点が−20〜−30℃であるのに対し、シリコーンゴムは−60〜−70℃。−100℃以下に耐える製品もある。Wacker:−50℃まで柔軟で、特殊品は−100℃まで[6][12]
柔軟性信越化学:ジメチルシリコーンはSi–O 結合6個で360度のらせんを描く柔軟な構造で、分子間力が小さく、弾性・圧縮性・耐寒性が高い[4][5]
低い表面エネルギー信越化学:ポリマーの表面は疎水性のメチル基で覆われ、表面エネルギーが低い。ジメチルシリコーンオイルの表面張力は16〜21 mN/m(鉱油 29.7、水 72)、水の接触角は90°超[7][4]

すべて事実(メーカー公表値。製品・グレード・試験条件の違いを含むため、数値の優劣を比べるものではありません)。

本稿の計算:Si–O 結合は C–C 結合より何割強いのか

信越化学の2つの資料に載る結合エネルギーから、比を求めます本稿の計算。

  • カタログ[参考資料6]:Si–O 433 kJ/mol、C–C 355 kJ/mol → 433 ÷ 355 = 約1.22
  • ウェブページ[参考資料5]:Si–O 106 kcal/mol、C–C 85 kcal/mol → 106 ÷ 85 = 約1.25(1 kcal = 4.184 kJ として換算すると、それぞれ約443 kJ/mol と約356 kJ/mol)

前提と限界:同じ会社の資料でも、Si–O の値は 433 と約443 kJ/mol で異なります。 どちらの資料も、どの化合物の何の値(解離エネルギーか平均値か)かを明記していません。 このため、桁や数字の細部ではなく、「Si–O は C–C より約2割強い」という大小関係として読むのが安全です。 結合が強いことは、耐熱性が高いことの一因にすぎず、実際の使用寿命は配合・雰囲気・硬化剤で決まります(次章)。

3. 素材技術者の視点①:「空気中の耐熱」と「密閉下の耐熱」は別の数字

素材技術者の読みどころ:封止に使うと、空気中のデータはそのまま使えない

「シリコーンは150℃で使い続けられる」という数字は、多くが空気中で測ったものです。 信越化学のカタログには、条件による違いが明記されています事実[参考資料6]。

  • 空気中:シリコーンゴムは加熱すると硬くなり、伸びが低下しながら劣化する。
  • 密閉状態:劣化とともに柔らかくなり、高温での寿命は空気中より短くなる。この軟化はシロキサンポリマーの劣化によるとされる。
  • 対策:配合の調整、別の硬化剤の使用、後硬化(ポストキュア)で軟化を防げる。そうした製品もある。
  • 水蒸気:常圧の蒸気ではほとんど劣化しないが、150℃を超える高圧蒸気ではシロキサンポリマーが分解し、ゴムの性質が低下する。

封止は、まさに「空気に触れにくい」使い方です。パッケージ、ポッティング、ハウジング内の充填は、密閉に近い条件になります。 そこで、カタログの耐熱年数を、そのまま封止部の寿命として読めない可能性があります(本記事による解説)。 耐熱温度を見るときは、「どの雰囲気で」「何を指標に(伸び、硬さ、質量変化)」測った値かを確かめるのが最初の一歩です。 信越化学のグラフは、寿命を「破断伸びが初期値の1/2になる時間」と定義しています[参考資料6]。

本シリーズ「ガラス転移点とクリープ」編で扱ったように、ゴム状の材料は使用温度でのふるまいが設計の中心になります。 シリコーンの耐寒性の高さは、ガラス転移温度が低いことと関係すると一般に説明されます(解説)。 ただし、信越化学・Wacker の資料から具体的な Tg の数値は確認できなかったため、本稿では数値を示しません。

4. 硬化の3つの方式 ― 縮合型・付加型・過酸化物

液状のシリコーンや生地状のゴムを、使える固体に変えるのが「硬化」です。 Wacker は、室温で硬化する RTV(room-temperature vulcanizing)を、1液型の RTV-1 と2液型の RTV-2 に分け、固形ゴムは熱で硬化する HTV として扱っています事実[参考資料13・14]。 硬化の化学は、大きく縮合型、付加型、過酸化物の3つに整理できます(この3分類は本記事の整理で、資料の記載を並べ替えたものです)。

シリコーンの3つの硬化方式(本記事による整理) Wacker・信越化学の公表内容を、4つの観点で並べ替えたもの。 縮合型 RTV-1(湿気)・RTV-2 付加型(白金触媒) RTV-2・液状ゴム・ゲル 過酸化物硬化 HTV(固形ゴム) 硬化のきっかけ触媒副生成物特徴 硬化のきっかけ触媒副生成物特徴 硬化のきっかけ触媒・硬化剤副生成物特徴 空気中の湿気(1液)混合(2液) 有機スズ(2液縮合) 酢酸・アミン・アルコールなど 表面に皮膜ができ内部へ進む(1液) 2液を混ぜる(加熱で短縮も) 白金 なし(Wacker) 内部まで均一に硬化触媒の阻害物質に注意 熱で硬化 過酸化物(硬化剤) 本稿の資料では記載を確認できず 押出・圧縮・射出成形カレンダー加工 ※ 縮合型・付加型・過酸化物硬化の記載は Wacker[参考資料13・14]、信越化学[参考資料8・9]によります。 ※ 3つに整理したのは本記事によるものです。1液のアセトン型など、副生成物の種類は製品ごとに異なります[参考資料11]。
図2 概念図(ベクター作図)。硬化方式の違いを4つの観点で並べた表形式の図です。1液・2液の縮合型と付加型の記載は Wacker[参考資料13]、固形ゴムの過酸化物硬化は Wacker[参考資料14]、信越化学の液状ゴムの分類は[参考資料8・9]によります。3つへの整理は本記事によるもので、各社の分類そのものではありません。
方式公表内容(出典の記載)出典
縮合型 RTV-1
(1液・湿気硬化)
Wacker:ポリシロキサン、硬化剤、フィラー、添加剤からなるそのまま使える系。塗布後、空気中の湿気に触れて架橋が始まり、表面に皮膜ができて徐々に内部へ進む。硬化中に副生成物が出る。架橋剤の種類により、少量の酢酸、アミン、またはアルコールなどの中性の副生成物が出る。信越化学:1液の液状ゴムはチューブやカートリッジから出してすぐ作業でき、硬化後は弾性ゴムになり、ほとんどの材料に接着する。使用温度範囲は−40〜+180℃。製品表では多くが縮合型(副生成物はアルコール)、一部はアセトン型[13][8][11]
RTV-2
(2液)縮合型
Wacker:縮合型は有機スズ触媒を要し、常に副生成物が出る[13]
付加型
(2液・液状ゴム・ゲル)
Wacker:付加型は白金触媒を要し、副生成物は出ない。2液の RTV-2 には、紫外線で短時間に硬化させる特殊品もある。信越化学:2液の液状ゴムは、硬化剤を加えて硬化し、厚い部分でも内部まで均一に硬化し(深部硬化性)、硬化剤の種類・量や加熱で硬化時間を調整でき、主剤と硬化剤を別にして長期保管できる。製品表には縮合型と付加型の両方があり、付加型の例で「加熱で硬化時間を短縮」とある[13][9]
過酸化物硬化
(HTV・固形ゴム)
Wacker:固形ゴムには、過酸化物硬化(ELASTOSIL R)と、白金触媒の付加型(ELASTOSIL R plus)がある。過酸化物硬化の生地は、押出、カレンダー、圧縮・トランスファー成形、射出成形で加工でき、熱で硬化する[14]

すべて事実(メーカーの公表内容)。製品名は例示であり、優劣を示すものではありません。縮合型・付加型の化学反応式は本稿の資料に記載がなく、本記事では扱いません。

なお、付加型の反応は、一般には Si–H 基とビニル基(Si–CH=CH2)の間で白金触媒のもとで進むヒドロシリル化として説明されます。 本稿が参照した Wacker・信越化学の資料では、「白金触媒」「副生成物なし」までが確認できる範囲で、反応式そのものは記載を確認できていません(解説)。

5. 素材技術者の視点②:付加型の「被毒」と縮合型の「副生成物」

素材技術者の読みどころ:硬化方式は、接する材料との相性を決める

副生成物が出ない付加型は、厚い部分も内部まで均一に硬化させやすい方式です事実[参考資料9・13]。 その代わりに、白金触媒を妨げる成分が近くにあると硬化しません。 Dow は、付加型の硬化を阻害する成分の分類として、次のものを挙げています事実[参考資料15]。

  • 窒素を含む化合物、硫黄を含む化合物、スズを含む化合物、リンを含む化合物
  • ヒ素・アンチモン・セレン・テルルを含むもの
  • 残留する溶剤やモノマー(ただし、硬化を阻害しない溶剤もある)
  • 一部のプライマー(硬化を阻害しないプライマーもある)

具体的な物質名・濃度・阻害の機構は、同ページの見出しだけでは確認できませんでした。 それでも、設計上の意味は大きいです(本記事による解説)。

  • スズが阻害物質の一つに挙がっていることは、縮合型(有機スズ触媒)のシリコーンと付加型を隣り合わせて使うときの注意点になります。
  • 窒素・硫黄・リンを含む化合物は、他の樹脂・ゴム・フラックス・洗浄剤・プライマーの成分として現場に存在しえます。付加型を選ぶと、被着体や隣接部材との硬化相性の確認が設計項目になります。
  • 信越化学の2液製品表で、縮合型の製品に「硬化阻害なし(No cure inhibition)」が特長として書かれているのは、この問題の裏返しとして読めます[参考資料9](本記事による解釈)。

一方、縮合型は、副生成物が出ることと、1液の場合は湿気が表面から内部へ拡散して進むことが性格を決めます。 厚い部分の硬化に時間がかかる、密閉空間では湿気が届きにくい、といった制約は、Wacker の「表面から皮膜ができて徐々に内部へ進む」という記述から読み取れます[参考資料13]。 また、副生成物の種類(酢酸・アミン・アルコール・アセトンなど)が、周辺の金属や部品に及ぼす影響は、製品ごとに確認すべき項目です。信越化学は、アセトン型の1液品について「金属を腐食しない」としています[参考資料11]。

6. 種類を整理する ― オイル・ゴム・レジン・ゲル、そして接着剤・シーラント

信越化学は、シリコーンの製品をフルイド(オイル)、ゴム、液状ゴム、レジン、シランに大別し、全体で5,000を超える製品があると述べています事実[参考資料2・20]。 接着・封止で使う「接着剤」「シーラント」「ポッティング材」「封止ゲル」という呼び名は、用途による呼び名で、化学的には架橋の密度の違いとして整理すると見通しがよくなります(本記事による整理)。

架橋の密度で並べたシリコーンの種類(本記事による整理) 同じ Si–O 骨格でも、網目の細かさで、液体からゴム、硬い膜まで変わる。 架橋が少ない(柔らかい) 架橋が多い(硬い) オイル ゲル ゴム(エラストマー) レジン 架橋しない液体 離型・消泡・潤滑 グリース・オイルコンパウンド 架橋密度が非常に低い 封止ゲル応力緩和・自己修復をうたう 固形ゴム(HCR)・液状ゴム 1液・2液の RTV シーラント・接着剤ポッティング・封止成形品(LSR・LIMS) 3次元の網目 硬い膜 塗料・コーティング耐熱バインダー 接着剤・シーラント・ポッティング材は、ゲル〜ゴムの領域の配合に付けられた用途名 ※ ゲルの低い架橋密度は Wacker[参考資料13]、レジンの3次元網目は信越化学[参考資料10]、大別は信越化学[参考資料2]によります。 ※ 領域の境目は連続的で、図の幅は硬さや架橋密度の実測値を示しません。
図3 概念図(ベクター作図)。架橋の密度を軸にシリコーンの種類を並べた模式です。ゲルの架橋密度が非常に低いことは Wacker[参考資料13]、レジンが3次元の網目構造であることは信越化学[参考資料10]、製品の大別は信越化学[参考資料2]の記載によります。「用途名は配合に付けられた呼び名」という整理は本記事によるもので、各社の見解ではありません。
種類公表内容(出典の記載)出典
オイル(フルイド)信越化学:ジメチルシリコーンオイルは空気中150℃までほぼ変化せず、−50℃でも流動。メチルフェニル型は250℃で長期使用でき、−65℃でも流動。離型剤・消泡剤・撥水処理などに使われる[7]
ゴム(成形用)信越化学:成形用は、固形のシリコーンゴムコンパウンド(ミラブル)と、液状ゴムを射出成形するLIMSに大別される[5]
液状ゴム(RTV)Wacker:RTV は接着、シール、ポッティング、封止、コーティング、注型の分野に使われる。信越化学:1液はほとんどの材料に接着、2液は長期保管・深部硬化が特長[13][8][9]
ゲルWacker:シリコーンゲルは架橋密度が非常に低く、硬化物はショア硬さの範囲を下回る極めて柔らかいゴムになる。Dow:ゲルは極めて柔らかくなりながら、エラストマーの寸法安定性を持つ特殊なクラスの封止材。信越化学:高耐熱ゲル KE-1066-A/B は使用温度範囲−40〜200℃(メーカー公称)[13][16][19]
レジン信越化学:分子が3次元の網目構造で、硬い膜になる。耐熱性は250℃まで。塗料・コーティング・電気用途に使う[10]

すべて事実(メーカー公称。製品の例示であり、優劣を示すものではありません)。

ゴムは「型で成形する」材料でもある

接着・封止の記事でも、シリコーンのゴムとしての顔は欠かせません。 同じ配合のゴムが、シート・チューブ・ガスケットのような成形品にも、現場で塗るシーラントにもなるからです。 Wacker は、固形シリコーンゴムを押出、カレンダー、圧縮・トランスファー成形、射出成形で、液状ゴムを射出成形や低圧充填で加工できるとしています事実[参考資料14]。

図4:シリコーンゴムを金型で成形する
図4 概念図(AI生成イメージ)。シリコーンゴムを金型に入れて熱と圧力で成形し、取り出す流れを表現したものです。成形法の種類は Wacker[参考資料14]・信越化学[参考資料5]によります。特定メーカーの装置・金型・材料の外観や寸法を示すものではありません。

7. エポキシ・ウレタンとの違い ― 応力緩和と接着性

接着・封止の材料は、「硬くて強い」「しなやかで強い」「とても柔らかく、温度に強い」という具合に、硬さの軸でおおまかに並べられます。 エポキシは前者、ポリウレタンエラストマーは中間、シリコーンは柔らかい側に広がります(本記事による整理)。 本シリーズ「熱膨張係数」編は、熱応力を弾性率 × 熱膨張係数の差 × 温度差とおおまかに見積もる考え方を扱っています。 この式に当てはめると、弾性率が小さい材料ほど、同じ熱膨張の差でも部品にかかる応力が小さくなることになります(解説)。

柔らかさと、接着・保持力のトレードオフ(本記事による整理) 定性的な並べ方で、数値の尺度ではない。位置は材料のグレードで大きく動く。 柔らかい 硬い シリコーンゲル シリコーンゴム ウレタン エポキシ 極めて柔らかい応力を逃がす接着は穏やか シーラント・接着剤柔らかく伸びる接着性は製品ごと 硬さの幅が広い『ポリウレタンとエラストマー』編 硬く高弾性が主強い接着の代表『エポキシ樹脂』編 ← 熱応力・振動を逃がしやすい 微細な部品・ワイヤー・センサーの保護に向く 形を保ち強く保持しやすい → 構造接着・大面積の補強に向く ※ ゲルが「極めて柔らかい」ことは Wacker[参考資料13]・Dow[参考資料16]の記載によります。 ※ ウレタン・エポキシの位置づけは、本シリーズの各編にもとづく本記事の整理で、弾性率の実測値ではありません。 ※ 実際の選定は、強度・Tg・CTE・接着性・耐湿・コストを併せて判断します(用途の例は本文)。
図5 概念図(ベクター作図)。硬さの軸で材料を並べ、応力緩和と接着・保持力が逆向きに動くことを示した模式です。ゲルの柔らかさは Wacker[参考資料13]と Dow[参考資料16]によります。並べ方と「向く用途」は本記事の整理で、各社の見解ではありません。数値の尺度ではなく、グレードにより位置は変わります。

① 応力緩和:柔らかさが武器になる場面

Dow は、シリコーンゲルを極めて柔らかく硬化しながら、エラストマーの寸法安定性を持つ特殊なクラスの封止材と説明し、応力緩和、機械的・環境的な保護を提供するとしています事実[参考資料16]。 同社の2025年9月の発表では、EV の電池や太陽光・風力のインバーターに使う IGBT モジュール向けのシリコーンゲル DOWSIL EG-4175 が、最大180℃に耐え、振動を吸収し、小さな亀裂を自己修復するとしています(メーカーの主張)事実[参考資料16]。 信越化学のゲル KE-1066-A/B は、使用温度範囲−40〜200℃、200℃×2,000時間の後も針入度が30から29にとどまる(メーカー公称)としています事実[参考資料19]。 Dow の選定ガイドは、シリコーンが一般に、ウレタンやエポキシに対して、熱サイクルや熱膨張係数の不一致による機械的応力からの保護(とくにゲル)と、衝撃・振動からの保護で利点があると主張しています(メーカーの主張)事実[参考資料21]。 同社の技術論文は、シリコーンエラストマーに典型的な弾性率を0.1〜2 MPa、シリコーンレジンはフィラーなしで1 GPa 超になりうるとしています事実[参考資料22]。 弾性率は製品ごとに大きく変わるため、他の材料との比較値は、本稿では確認していません。 パワー半導体の封止については、本シリーズ「車載用シリコーンと封止材」編で詳しく扱います。

② 接着性:柔らかさの代償としての「強さ」

信越化学は、シリコーンゴムの室温での強度は有機ゴムより低いが、高温での強度の保持は優れるとしています。 グラフ上で両者は温度が上がると入れ替わり、一般的な引裂強さは約9.8 kN/mとされています事実[参考資料6]。 本稿で確認できた製品の接着に関する公称値は、次のとおりです。

製品(メーカー公称)公表されている値出典・注記
KE-3450(1液縮合型・アセトン型の接着シール材)硬さ(デュロメーター A)42、引張強さ 2.5 MPa、破断伸び 390 %、せん断接着強さ(Al/Al)1.6 MPa信越化学[11]。試験規格・被着体の条件・硬化条件はページに記載がなく確認できなかった
KE-1066-A/B(付加型の高耐熱ゲル)接着強さ 0.4 MPa(Al)、0.4 MPa(Cu)、針入度 30、体積抵抗率 15 TΩ·m、絶縁破壊強さ 16 kV/mm(23℃)。標準硬化条件 80℃×1時間信越化学[19]。接着強さの試験法は記載を確認できなかった
DOWSIL EA-7158(1液・熱硬化の接着剤)/EG-4175(ゲル)EA-7158:1液・高強度のシリコーンで、多くの基材にプライマーなしで良好に接着。EG-4175:プライマーなしの接着(自己プライミング)をうたうDow[16]。数値は記載を確認できなかった

すべて事実(メーカー公称)。製品の種類・被着体・試験条件が異なるため、値を並べて優劣をつけるものではありません。

素材技術者の読みどころ:「プライマーなしで接着」が売り文句になる理由

シリコーンは、表面エネルギーが低く、水をはじき、離型剤にも使われます事実[参考資料4・7]。 そのため、相手の表面にぬれ広がって密着することが、有機系の接着剤より難しい面があると考えられます(本記事による解説)。 Dow が EG-4175 と EA-7158 で「プライマーなしの接着」を特長に挙げ[16]、信越化学が2液製品に「初期接着が2時間以内に発現」「自己接着」といった特長を書いている[9]のは、接着を製品側で作り込む必要があることの表れと読めます(本記事による解釈)。 なお、EU 規則の適用除外には接着促進剤という用途が明記されており[18]、接着の補助成分が、規制・成分管理の対象としても現れることがわかります。

接着強度試験での読み方も変わります。 せん断強さの数値(MPa)だけで比べると、柔らかい材料は小さく出ます。 どこで壊れたか(被着体との界面か、材料の内部か)、変形に追従できたかが、柔らかい接着材では重要になります(本記事による解説)。 試験規格と破壊モードの読み方は、本シリーズ「接着強度試験」編で詳しく扱います。

素材技術者の読みどころ:吸水が小さいことと、水蒸気を通さないことは別

信越化学は、シリコーンゴムを冷水・温水・沸騰水に長く浸けても吸水は約1%で、機械的強度や電気特性にほとんど影響しないとしています事実[参考資料6]。 一方で、同じ資料は、シリコーンゴムの薄膜が有機ゴムやプラスチックフィルムより気体・水蒸気を通しやすいことも述べ、ガスと水の分離膜としての応用が検討されているとしています事実[参考資料6]。

吸水率は「材料の中に取り込む水の量」で、透過性は「材料を通り抜ける水蒸気やガスの量」です。 水を吸わないことと、水蒸気を通さないことは別の性質で、気密・防湿が必要な封止でバリア材として期待してよいかは、別途確認が必要です(本記事による解説)。 バリア性の考え方は、本シリーズ「バリア性とコーティング」編を参照してください。

8. 低分子シロキサンと接点障害

シリコーンの硬化物やオイルには、重合度の低い環状・鎖状のシロキサン(低分子シロキサン)が、わずかに残ります。 これが揮発して電気接点に届くと、接点が働かなくなる接点障害が起こることがあります。 部品メーカーと材料メーカー、双方の公表内容を見てみます。

低分子シロキサンが接点障害に至る流れ(概念図) Omron の FAQ の記載を、流れの形に並べたもの。 ① 発生源 ② 透過・侵入 ③ 接点で変化 ④ 結果 被覆材・ポッティング・充填樹脂などに含まれるシロキサン シロキサンは透過性が高く、樹脂封止型のリレーの内部にまで入り込む 接点の表面に酸化ケイ素の膜ができる 接点障害・動作不良 「低分子シロキサン低減品」でも、侵入までの時間が延びるだけ(Omron の記載) シリコーン系の被覆は、リレーの側面だけに塗っても使えない。シロキサンフリーの被覆材を使う ウレタン・エポキシは使えるが、微量のシロキサンを含むことがあるため、成分を確認する 材料側の対応:低分子シロキサンを減らした製品(信越化学の例) KE-3450:ΣD3–D10 が 300 ppm 未満(メーカー公称)。ただし「ゼロ」ではない ※ ①〜④の流れと対策は Omron のリレー FAQ[参考資料17]、低減品の数値は信越化学[参考資料11]によります。 ※ 接点の開閉に伴う放電との関係は、本稿の一次情報では確認できなかったため図に含めていません。
図6 概念図(ベクター作図)。低分子シロキサンの侵入から接点障害までの流れと、対策の整理です。Omron のリレー FAQ[参考資料17]と信越化学[参考資料11]の記載を並べたもので、反応や侵入の機構を実測で示した図ではありません。

Omron のリレー FAQ(ID FAQE10061E、2021年10月1日更新)は、リレーの側面を、低分子シロキサン低減タイプも含めシリコーン系の被覆材で覆ってよいかという質問に、次のように答えています事実[参考資料17]。

  • 答え:シロキサンを含まない被覆材を使う。低分子シロキサンを減らした被覆材でも、リレーの接点障害を起こすことがある。ウレタン系の被覆材は使える。
  • 理由:シロキサンは透過性が高く、樹脂封止型リレーの内部に入り込む。低減品もシロキサンを含み、内部に入るまでの時間が延びるだけ。入ったあとは、接点に酸化ケイ素の膜ができて接点障害になる。このため、リレーの側面だけでもシリコーン系の被覆は使えない。
  • その他:ウレタン・エポキシの被覆材は使えるが、微量のシロキサンを含むことがあるので、成分を確認する。基板上の成形・ポッティング・パッキンも、シリコーンを含まない樹脂を使う。

一方、信越化学は、1液縮合型のアセトン型製品 KE-3450 について、「電気接点障害の原因となる低分子シロキサンを低減した」としています。 同製品の低分子シロキサン量は ΣD3–D10 で 300 ppm 未満(メーカー公称)と記載されています事実[参考資料11]。

素材技術者の読みどころ:「低減」と「ゼロ」の間に、設計の仕事がある

この2つの資料は、同じ問題を別の立場から述べています。 材料メーカーは、シロキサン量を下げた製品を出します。 部品メーカーは、低減品であっても内部に入るまでの時間が延びるだけだと述べます(上の Omron の記載)。 どちらも事実の記載であり、矛盾はありません(本記事による解説)。

  • ppm は合格基準ではありません。ΣD3–D10 の測定条件(抽出法・加熱条件)は、KE-3450 のページからは確認できませんでした[参考資料11]。数値だけで実機の安全を保証するものではありません。
  • 使えるかどうかは、部品の側が先に決めます。Omron のように、シリコーン系の被覆を使わないと部品側が指定することがあり、その場合は低減品かどうかを論じる前に、材料の選択肢から外れます。
  • 被覆が「どこにあるか」も効きます。リレー本体に塗らず側面だけでも使えない、という記載は、シロキサンが空間を移動することを示します。同じ筐体内の別の部材の被覆も影響の対象です。

9. D4・D5・D6 の REACH 制限

シリコーンの原料・中間体には、環状のジメチルシロキサン、D4(オクタメチルシクロテトラシロキサン)、D5(デカメチルシクロペンタシロキサン)、D6(ドデカメチルシクロヘキサシロキサン)があります。 EU は、この3つを REACH の制限(附属書 XVII の項目70)の対象にしています。 欧州委員会は2024年5月16日に規則 (EU) 2024/1328 を採択し、同年5月17日に官報に掲載されました事実[参考資料18]。

D4・D5・D6 の EU の制限:経緯と適用日 規則 (EU) 2024/1328 の前文と附属書の記載にもとづく。 2018年1月10日2018年6月13日2024年5月16日 2024年6月6日2026年6月6日2027年6月6日 2031年6月6日2034年6月6日 規則 (EU) 2018/35:D4・D5 を洗い流す化粧品で制限(項目70の追加) 欧州化学品庁の加盟国委員会が、D4・D5・D6 を SVHC(vPvB)と特定 規則 (EU) 2024/1328 を採択(項目70を全面的に置き換え)。D6 も対象に 発効(官報掲載の翌日から数えて20日目:本稿の計算) 0.1 重量%以上の上市を禁止(1項)。ドライクリーニング溶剤の使用も禁止(2項) 洗い流し以外の化粧品に1項が適用 医療機器・体外診断用機器・医薬品・動物用医薬品に1項が適用 D5 のドライクリーニング溶剤に1項・2項が適用(密閉系での使用は7項で適用除外) ※ 青=経緯、茶=適用(本稿の調査時点 2026年10月までに到来)、赤=今後の適用日。 ※ 発効日(6月6日)は官報掲載日 2024年5月17日から20日目として本稿が算出した日付です。
図7 概念図(ベクター作図)。規則 (EU) 2024/1328 の前文・附属書[参考資料18]の日付を、時系列に並べた図です。2024年6月6日の発効日は、官報掲載の翌日から数えて20日目という規定から本記事が算出した日付です。適用の詳細・適用除外・個別の遵守は、規則の本文と所管当局の案内で確認してください。

この規則の骨子は、次のとおりです事実[参考資料18]。

  • 背景:2018年6月13日に、欧州化学品庁の加盟国委員会が、D4・D5・D6 を非常に高い懸念を引き起こす物質(SVHC)で、非常に残留性が高く、非常に生物蓄積性が高い(vPvB)と特定した。D4 はPBT(残留性・生物蓄積性・毒性)の性質も持つとされた。D5・D6 も、D4 を0.1重量%以上含む場合は PBT の性質を持つとされた。
  • リスク評価の結論:リスク評価委員会(RAC)は、環境への放出の総量をリスクの代理指標とし、化粧品が主な放出源であるとした。
  • 1項(上市禁止):D4・D5・D6 を、物質そのもの・他の物質の構成成分・混合物として、各物質が0.1重量%以上の濃度で、2026年6月6日以降、上市してはならない。

接着・封止の材料として重要なのは、適用除外(4項〜6項)です。

項適用除外の内容(規則の記載)
4項(a)D4・D5・D6 の上市のうち、シリコーンポリマー製造のモノマー、他のケイ素物質製造の中間体、重合のモノマー、混合物の配合・再包装、物品の製造、非金属の表面処理という産業用途
5項1項(b)(他の物質の構成成分としての上市)は、シリコーンポリマーそのものの構成成分としての D4・D5・D6 には適用しない
6項(a)シリコーンポリマー由来の残留物として D4・D5・D6 を含む混合物で、接着、シール、接合(gluing)、注型の用途では、各物質の濃度が1重量%以下であれば、1項(c)(混合物としての上市)を適用しない
6項(b)同じ残留物で、保護コーティング(船舶用を含む)では、D4 は0.5重量%以下、D5 または D6 は0.3重量%以下
6項(f)同じ残留物で、接着促進剤としての用途は、各物質0.5重量%以下
6項(g)(h)3D プリントは各物質1重量%以下。迅速な試作・型取り・石英フィラーで安定化した高性能用途は、D5 が1重量%以下、D6 が3重量%以下

すべて事実(規則 (EU) 2024/1328 の附属書の記載を要約)。ほかに、医療機器・歯科用印象材・馬用品・パッド印刷・美術品の洗浄などの適用除外があります。

本稿の読み取り:接着・封止の製品にとっての意味

6項(a) は、シリコーンポリマー由来の残留物としての D4・D5・D6 を含む混合物で、接着、シール、接合、注型の用途であれば、各物質の濃度が1重量%以下を適用除外の条件としています[参考資料18]。 このため、接着剤・シーラント・ポッティング材の製品では、環状シロキサンの残留量が、この上限との関係で管理項目になると読めます(本記事による解説)。 ただし、どの製品が適用除外に当たるか、2026年6月6日以降の運用や、欧州化学品庁(ECHA)による案内の内容までは、本稿では確認していません。 規則の遵守は、規則の本文と、所管当局・欧州化学品庁の案内で確認してください。

本稿の計算:「0.1%」「1%」と「300 ppm」は、何が違うのか

前章の KE-3450 の ΣD3–D10(300 ppm 未満)と、この規則の閾値を、同じ単位(ppm)に直して並べてみます本稿の計算。 質量基準を仮定すると、1重量%=10,000 ppm、0.1重量%=1,000 ppm、0.3重量%=3,000 ppm、0.5重量%=5,000 ppm、300 ppm=0.03重量%です。

ppm に換算して並べた数値(本稿の計算) 横軸は対数目盛(100〜100,000 ppm)。質量基準と仮定。 100 ppm1,000 ppm10,000 ppm KE-3450 の ΣD3–D10(300 ppm 未満) REACH 1項の閾値(0.1%) 保護コーティング D5・D6 の上限(0.3%) 接着促進剤・保護コーティング D4(0.5%) 接着・シール・注型の上限(1%) <300 ppm(0.03%) 1,000 ppm 3,000 ppm 5,000 ppm 10,000 ppm 1% ÷ 0.03% ≒ 33 倍、0.1% ÷ 0.03% ≒ 3.3 倍 ただし、指標も目的も違う数値であり、大小を比べて優劣を言うものではない
図8 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。KE-3450 の ΣD3–D10[参考資料11]と、規則 (EU) 2024/1328 の濃度[参考資料18]を ppm に換算して並べた図です。ΣD3–D10 は D3〜D10 の合計、規則は D4・D5・D6 の各物質ごとの値で、測定の対象も目的も異なります。質量基準の仮定は本稿の置いたものです。

前提と限界:KE-3450 の ppm が質量基準かどうかは、ページに明記がないため本稿が質量基準と仮定しました。 ΣD3–D10 は D3〜D10 の合計(接点障害の観点)、規則の閾値は D4・D5・D6 の各物質ごとの濃度(環境への放出の観点)です。 このため、この図から「規制より厳しい」「規制より甘い」といった評価は引き出せません。 言えるのは、同じシリコーン製品の中でも、接点障害と化学物質規制は、別の指標・別の桁で管理されているということです(本記事による解説)。

10. 課題と、本稿で確認できなかったこと

(1) 具体的な数値が確認できなかった項目

シリコーンのガラス転移温度と熱膨張係数の具体値、ゲルの弾性率は、本稿が参照した信越化学・Wacker・Dow の公開資料では確認できなかったため、記載していません。 弾性率については、Dow の技術論文にシリコーンエラストマーに典型的な値が0.1〜2 MPa、レジンが1 GPa 超という記載があるだけで[参考資料22]、製品ごとの値や試験条件は確認していません。 熱応力の見積もり(本シリーズ「熱膨張係数」編)にシリコーンの値を当てはめるには、使う製品のデータシートで、条件を揃えた値を確認する必要があります。

(2) 接着強さの試験条件

KE-3450 のせん断接着強さ(Al/Al)1.6 MPa、KE-1066 の接着強さ 0.4 MPa は、ページに試験規格・被着体の条件・硬化条件の記載を確認できなかったため、メーカー公称値として示すにとどめています。 他社製品や他種の接着剤と値を並べて比べることはしていません。

(3) 低分子シロキサンの機構と測定法

接点で酸化ケイ素の膜ができるという説明は Omron の記載にとどまり、放電との関係などの詳しい機構、ΣD3–D10 の測定法は、本稿の一次情報では確認できませんでした。

(4) 化学物質規制の範囲

本稿が扱ったのはEU の REACH 制限(規則 (EU) 2024/1328)だけです。 日本の化審法を含む他の地域の制度、2026年6月6日以降の運用やガイダンス、個別製品が適用除外に当たるかどうかは、本稿では確認していません。

(5) 確認した企業の範囲

本稿は、信越化学、Wacker、Dow の公式の技術資料を中心に確認しました。 Momentive など他のメーカーの資料は、今回の確認範囲に含めていません。 会社名は出典の所在を示すもので、製品や会社の優劣を示すものではありません。

(6) 結合エネルギーの数値

同じ信越化学の資料でも Si–O の値が異なり(433 kJ/mol と約443 kJ/mol 相当)、どの化合物の何の値かの明記もありません。 本稿は、数値の細部ではなく大小関係(約2割強い)として扱っています。

この記事のまとめ
  • 骨格は Si–O–Si、側鎖はメチル基。信越化学の資料で Si–O は C–C より約2割強い結合エネルギーです事実。比は約1.22〜1.25です本稿の計算
  • 空気中の耐熱と、密閉下の耐熱は別物。密閉では劣化とともに軟化し、寿命が短くなります事実
  • 硬化は3方式。縮合型は副生成物が出る、付加型は副生成物なしで白金触媒、過酸化物は熱で硬化する固形ゴム向けです事実
  • 付加型は、窒素・硫黄・スズ・リンなどに阻害されます。隣接材料との相性確認が設計項目になります事実
  • 柔らかさは応力を逃がし、代わりに接着は製品側で作り込みます。ゲルは「極めて柔らかい」封止材です事実
  • 低分子シロキサンは、低減品でも「ゼロ」ではありません。Omron は、リレーの近くにシリコーン系の被覆を使わないよう求めています事実
  • D4・D5・D6 は、2026年6月6日から0.1%以上の上市が禁止。接着・シール・注型向けの残留物は1%以下が適用除外の条件です事実

11. 用語集

シリコーン
Si–O–Si の骨格(ポリシロキサン)に有機基がついた高分子の総称。オイル・ゴム・レジン・ゲルがある。
シロキサン結合
ケイ素と酸素の結合(Si–O–Si)。シリコーンの主鎖。
PDMS
ポリジメチルシロキサン。メチル基だけを持つ、最も広く使われるシリコーン。
RTV
room-temperature vulcanizing。室温で硬化する液状ゴム。1液型(RTV-1)と2液型(RTV-2)がある。
HTV
熱で硬化する固形のシリコーンゴム。過酸化物硬化や白金触媒の付加型がある。
LIMS/LSR
液状シリコーンゴムの射出成形(LIMS)と、その材料(LSR)。
縮合型
湿気や縮合反応で硬化する方式。副生成物(酢酸・アミン・アルコール・アセトンなど)が出る。
付加型
白金触媒で硬化し、副生成物が出ない方式。硬化阻害物質に注意が要る。
硬化阻害
付加型で白金触媒が働かず、硬化が止まる現象。窒素・硫黄・スズ・リンの化合物などが原因になりうる。
ゲル
架橋密度が非常に低く、極めて柔らかいシリコーン。応力緩和の封止に使う。
低分子シロキサン
重合度の低い環状・鎖状のシロキサン。揮発して電気接点に届くと接点障害の原因になる。
ΣD3–D10
環状シロキサン D3〜D10 の合計。低分子シロキサン量の指標としてメーカーが示す。
D4・D5・D6
環状のジメチルシロキサン(4・5・6量体)。EU の REACH で制限される。
SVHC
非常に高い懸念を引き起こす物質。REACH の候補物質リストに載る。
vPvB/PBT
非常に残留性が高く生物蓄積性が高い/残留性・生物蓄積性・毒性を持つ、という分類。
適用除外(derogation)
制限の条文のうち、特定の用途・条件で制限を適用しないとする規定。
プライマー
接着の前に被着体に塗り、密着を助ける下塗り剤。
脆化点
低温で材料がもろくなる温度。ゴムの耐寒性の目安。

12. 参考資料(一次情報)

  1. 信越化学「What is silicone made of?」 https://www.shinetsusilicone-global.com/info/begin1.shtml
  2. 信越化学「How is silicone made?」 https://www.shinetsusilicone-global.com/info/begin2.shtml
  3. 信越化学「Features attributable to siloxane bonds」 https://www.shinetsusilicone-global.com/info/begin4.shtml
  4. 信越化学「Features attributable to molecular structure」 https://www.shinetsusilicone-global.com/info/begin5.shtml
  5. 信越化学「What is Silicone Rubber for Molding?」(成形用シリコーンゴム選定ガイド) https://www.shinetsusilicone-global.com/guide/rubber/about/
  6. 信越化学「Characteristic properties of Silicone Rubber Compounds」(カタログ PDF) https://www.shinetsusilicone-global.com/catalog/pdf/rubber_e.pdf
  7. 信越化学「Silicone Fluids: The Unique Properties of Silicones」 https://www.shinetsusilicone-global.com/products/type/oil/detail/about/index2.shtml
  8. 信越化学「One-component liquid rubbers」 https://www.shinetsusilicone-global.com/products/type/one_rtv/index.shtml
  9. 信越化学「Two-component liquid rubbers (for electric and electronic applications)」 https://www.shinetsusilicone-global.com/products/type/two_rtv_e/index.shtml
  10. 信越化学「Silicone resins」 https://www.shinetsusilicone-global.com/products/type/resin/index.shtml
  11. 信越化学「One-component condensation cure liquid silicone rubber flame retardant type(KE-3450)」 https://www.shinetsusilicone-global.com/products/notice/168/index2.shtml
  12. Wacker「SILICONES – Definition and Properties」 https://www.wacker.com/cms/en-us/products/product-groups/silicones/silicones.html
  13. Wacker「Room-Temperature-Vulcanizing Silicone Rubber (RTV-1/RTV-2)」 https://www.wacker.com/cms/en-us/products/product-groups/silicone-rubber/room-temperature-silicone-rubber.html
  14. Wacker「Solid Silicone Rubber (HTV)」 https://www.wacker.com/cms/en-us/products/product-groups/silicone-rubber/solid-silicone-rubber.html
  15. Dow「Gels, Encapsulants and Conformal Coatings」 https://www.dow.com/en-us/product-technology/pt-gels-encapsulants.html
  16. Dowプレスリリース「Dow launches DOWSIL™ EG-4175 Silicone Gel to enable higher voltage power electronics in electric vehicles and renewable energy technologies」2025年9月4日 https://corporate.dow.com/en-us/news/press-releases/dow-launches-dowsil-eg-4175-silicone-gel.html
  17. Omronリレー FAQ「If the side of a relay is coated with silicon that contains siloxane (low molecular-weight siloxane reducer) in the coating agent, will contact failure occur? What about urethane coating?」(ID FAQE10061E、2021年10月1日更新。現在は aratas.com のページに転送される) https://components.omron.com/eu-en/faq/relays/FAQE10061
  18. 欧州委員会Commission Regulation (EU) 2024/1328 of 16 May 2024 amending Annex XVII to Regulation (EC) No 1907/2006 (REACH) as regards octamethylcyclotetrasiloxane (D4), decamethylcyclopentasiloxane (D5) and dodecamethylcyclohexasiloxane (D6) https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2024/1328/oj/eng
  19. 信越化学「Highly thermostable silicone gel(KE-1066-A/B)」 https://www.shinetsusilicone-global.com/products/notice/165/index2.shtml
  20. 信越化学「What types of silicone products are available?」 https://www.shinetsusilicone-global.com/info/begin3.shtml
  21. Dow「Encapsulants and gels selection guide」(Form No. 11-3922-01-1123、PDF) https://www.dow.com/documents/11/11-3922-01-silicone-encapsulants-and-gels.pdf
  22. Dow技術論文「Silicone Material Solutions for Battery Fire Protection」(Form No. 80-8541-01-0825、PDF) https://www.dow.com/documents/80/80-8541-01-silicone-material-solutions-for-battery-fire-protection.pdf

13. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
シリコーンが主鎖をケイ素と酸素とする「無機の合成高分子」で、側鎖に有機基を導入できること。主な原料がシリカ・水・メタノールで、ポリジメチルシロキサンの構成要素の約60%がシリカと水に由来すること信越化学「What is silicone made of?」出典1 https://www.shinetsusilicone-global.com/info/begin1.shtml事実
シリコーンがフルイド、ゴム、液状ゴム、レジン、シランに大別されること信越化学「How is silicone made?」出典2 https://www.shinetsusilicone-global.com/info/begin2.shtml事実
Si–O 結合が有機高分子の C–C・C–O より結合エネルギーが高く、約200℃でも切れず、耐熱性・耐候性が高いこと信越化学「Features attributable to siloxane bonds」出典3 https://www.shinetsusilicone-global.com/info/begin4.shtml事実
ジメチルシリコーンが Si–O 結合6個で360度のらせんを描く柔軟な構造であること。ポリマー表面が疎水性のメチル基で覆われ表面エネルギーが低く、耐寒性・撥水性・離型性があること信越化学「Features attributable to molecular structure」出典4 https://www.shinetsusilicone-global.com/info/begin5.shtml事実
Si–O が106 kcal/mol、C–C が85 kcal/mol。分子間力が小さく、メチル基が自由に回転して撥水性・離型性を生むこと。成形用ゴムがミラブルと LIMS に大別されること信越化学「What is Silicone Rubber for Molding?」出典5 https://www.shinetsusilicone-global.com/guide/rubber/about/事実
Si–O が433 kJ/mol、C–C が355 kJ/mol。150℃でほとんど変化なく、200℃で10,000時間以上、短時間350℃に耐える製品があること。脆化点が有機ゴム−20〜−30℃、シリコーンゴム−60〜−70℃で、−100℃以下の製品もあること。空気中では加熱で硬化し、密閉下では軟化して寿命が空気中より短いこと、対策として配合・硬化剤・ポストキュア。150℃超の高圧蒸気でシロキサンポリマーが分解すること。吸水が約1%であること。薄膜の気体・水蒸気透過性が有機ゴム・プラスチックフィルムより高いこと。室温の強度が有機ゴムより低く、高温で逆転すること、引裂強さが約9.8 kN/m。寿命を「破断伸びが初期値の1/2になる時間」と定義していること信越化学「Characteristic properties of Silicone Rubber Compounds」出典6 https://www.shinetsusilicone-global.com/catalog/pdf/rubber_e.pdf事実
ジメチルシリコーンオイルが空気中150℃までほぼ変化せず−50℃でも流動、メチルフェニル型が250℃で長期使用でき−65℃でも流動すること。表面張力が16〜21 mN/m(鉱油 29.7、水 72)、水の接触角が90°超。離型剤・消泡剤・撥水処理に使われること信越化学「Silicone Fluids」出典7 https://www.shinetsusilicone-global.com/products/type/oil/detail/about/index2.shtml事実
1液の液状ゴムがチューブから出してすぐ作業でき、ほとんどの材料に接着し、使用温度範囲が−40〜+180℃であること。製品表で縮合型(副生成物はアルコール)が多く、アセトン型もあること信越化学「One-component liquid rubbers」出典8 https://www.shinetsusilicone-global.com/products/type/one_rtv/index.shtml事実
2液の液状ゴムが深部硬化性・硬化速度の調整・長期保管の特長を持つこと。製品表に縮合型・付加型があり、KE-270 に「硬化阻害なし」、付加型に「加熱で硬化時間を短縮」の記載があること。「初期接着が2時間以内」「自己接着」の記載があること信越化学「Two-component liquid rubbers」出典9 https://www.shinetsusilicone-global.com/products/type/two_rtv_e/index.shtml事実
シリコーンレジンが3次元の網目構造で硬い膜になり、耐熱性が250℃までであること信越化学「Silicone resins」出典10 https://www.shinetsusilicone-global.com/products/type/resin/index.shtml事実
KE-3450 が1液縮合型(アセトン)で、低分子シロキサンを低減し、ΣD3–D10 が300 ppm 未満、せん断接着強さ(Al/Al)1.6 MPa、デュロメーター A 42、引張強さ2.5 MPa、破断伸び390%、UL94 V-0 で、金属を腐食しないこと信越化学 KE-3450 のページ出典11 https://www.shinetsusilicone-global.com/products/notice/168/index2.shtml事実
Müller–Rochow 法により金属ケイ素と塩化メチルからメチルクロロシランが得られ、工業生産の出発点になったこと。シリコーンが最大300℃、−50℃(特殊品−100℃)まで柔軟であることWacker「SILICONES – Definition and Properties」出典12 https://www.wacker.com/cms/en-us/products/product-groups/silicones/silicones.html事実
RTV-1 が湿気で硬化し表面に皮膜ができ内部へ進むこと、副生成物(酢酸・アミン・アルコールなど)が出ること。RTV-2 の縮合型が有機スズ触媒を要し副生成物が出ること、付加型が白金触媒を要し副生成物が出ないこと、紫外線で短時間に硬化する特殊品があること。ゲルの架橋密度が非常に低く極めて柔らかいこと。RTV の用途(接着・シール・ポッティング・封止・コーティング・注型)Wacker「RTV-1/RTV-2」出典13 https://www.wacker.com/cms/en-us/products/product-groups/silicone-rubber/room-temperature-silicone-rubber.html事実
固形シリコーンゴムに過酸化物硬化(ELASTOSIL R)と白金触媒の付加型(R plus)があること。押出・カレンダー・圧縮・トランスファー・射出成形で加工でき、熱で硬化すること。液状ゴムが射出成形と低圧充填で加工できることWacker「Solid Silicone Rubber (HTV)」出典14 https://www.wacker.com/cms/en-us/products/product-groups/silicone-rubber/solid-silicone-rubber.html事実
付加型の硬化阻害物質の分類(窒素・硫黄・スズ・リンの化合物、ヒ素・アンチモン・セレン・テルルを含むもの、残留溶剤・モノマー、一部のプライマー)Dow「Gels, Encapsulants and Conformal Coatings」出典15 https://www.dow.com/en-us/product-technology/pt-gels-encapsulants.html事実
ゲルが極めて柔らかく硬化しながらエラストマーの寸法安定性を持つ特殊なクラスの封止材であること。EG-4175 が最大180℃に耐え、振動を吸収し、小さな亀裂を自己修復し(メーカーの主張)、プライマーなしで接着すること。EA-7158 が1液・高強度で多くの基材にプライマーなしで接着し熱で速く硬化することDow プレスリリース(2025年9月4日)出典16 https://corporate.dow.com/en-us/news/press-releases/dow-launches-dowsil-eg-4175-silicone-gel.html事実
リレーのシリコーン系被覆に関する Omron の回答(シロキサンフリーの被覆材を使う、低減品でも接点障害の可能性、シロキサンは透過性が高く樹脂封止型リレーに侵入、低減品は侵入までの時間が延びるだけ、接点に酸化ケイ素の膜、側面だけでも不可、ウレタン・エポキシは微量のシロキサンを含みうるため成分確認、基板上はシリコーンを含まない樹脂)。ID と更新日Omron リレー FAQ出典17 https://components.omron.com/eu-en/faq/relays/FAQE10061事実
規則 (EU) 2024/1328 が2024年5月16日付で、同年5月17日に官報掲載されたこと。D4・D5・D6 の CAS・EC 番号。2018年6月13日の SVHC 特定(vPvB。D4 は PBT、D5・D6 は D4 を0.1%以上含む場合 PBT)。規則 (EU) 2018/35(2018年1月10日)。RAC の結論(化粧品が主な放出源)。1項(0.1重量%以上、2026年6月6日以降)、2項(ドライクリーニング)、3項(化粧品2027年、機器・医薬品2031年、D5 ドライクリーニング2034年)、4項(a)・5項・6項(a)(b)(f)(g)(h) の適用除外の内容。7項(密閉系ドライクリーニング)Commission Regulation (EU) 2024/1328出典18 https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2024/1328/oj/eng事実
KE-1066-A/B の使用温度範囲−40〜200℃、2成分付加型、標準硬化条件80℃×1時間、針入度30(200℃×2,000時間後29)、接着強さ0.4 MPa(Al・Cu)、体積抵抗率15 TΩ·m、絶縁破壊強さ16 kV/mm信越化学 KE-1066-A/B のページ出典19 https://www.shinetsusilicone-global.com/products/notice/165/index2.shtml事実
信越化学の製品が5,000を超えること信越化学「What types of silicone products are available?」出典20 https://www.shinetsusilicone-global.com/info/begin3.shtml事実
シリコーンがウレタン・エポキシに対して、熱サイクルや熱膨張係数の不一致による機械的応力からの保護(とくにゲル)と、衝撃・振動からの保護で利点があるという Dow の主張Dow 選定ガイド(Form No. 11-3922-01-1123)出典21 https://www.dow.com/documents/11/11-3922-01-silicone-encapsulants-and-gels.pdf事実
シリコーンエラストマーに典型的な弾性率が0.1〜2 MPa、シリコーンレジンがフィラーなしで1 GPa 超になりうることDow 技術論文(Form No. 80-8541-01-0825)出典22 https://www.dow.com/documents/80/80-8541-01-silicone-material-solutions-for-battery-fire-protection.pdf事実
Si–O/C–C の比 433÷355=約1.22、106÷85=約1.25、1 kcal=4.184 kJ による換算(約443 kJ/mol、約356 kJ/mol)。1%=10,000 ppm、0.1%=1,000 ppm、300 ppm=0.03%、1%÷0.03%≒33倍、0.1%÷0.03%≒3.3倍。2024年6月6日の発効日(官報掲載の翌日から数えて20日目)本稿の計算。KE-3450 の ppm を質量基準と仮定した。ΣD3–D10(D3〜D10 の合計)と規則の閾値(D4・D5・D6 の各物質)は指標・目的が異なり、大小を比べる意図はない本稿の計算
2026年6月6日以降の運用、ECHA の案内、個別製品が適用除外に当たるかどうか。日本の化審法など EU 以外の制度本稿の調査範囲では確認しておらず、記載していない解説
シリコーンのガラス転移温度・熱膨張係数の具体値、ゲルの弾性率、製品ごとの弾性率の値。接着強さ(KE-3450、KE-1066)の試験規格・被着体・硬化条件。ΣD3–D10 の測定法。放電と酸化ケイ素膜の関係。Momentive など他のメーカーの資料本稿が参照した公開資料では確認できなかったため記載していない解説
付加型のヒドロシリル化反応の説明(Si–H とビニル基、白金触媒)一般的な化学の説明であり、本稿が参照した Wacker・信越化学の資料には反応式の記載を確認できていない解説
3つの硬化方式への整理。架橋密度による種類の整理と「用途名は配合に付けられた呼び名」という見方。硬さの軸でのエポキシ・ウレタン・シリコーンの位置づけ。空気中の耐熱データが封止部の寿命にそのまま当てはまらない可能性。付加型で隣接材料との相性確認が設計項目になること。「プライマーなし」が売り文句になる理由、接着強度試験の読み方、吸水と透過性が別の性質であること。低分子シロキサンの「低減」と「ゼロ」の間の設計上の読み取り。接着・封止の製品にとっての規制の意味。同一製品内で接点障害と化学物質規制が別の指標で管理されること公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない。ウレタン・エポキシの位置づけは本シリーズ「エポキシ樹脂」「ポリウレタンとエラストマー」「熱膨張係数」編による解説
図1・図2・図3・図5・図6・図7・図8が説明のための作図であること。ヒーロー画像と図4がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月3日/出典は一次情報(メーカーの公式資料、部品メーカーの FAQ、EU 規則)に限定しています。 製品の物性値はメーカー公称値であり、グレード・試験法・条件が異なるため、数値の優劣を比べるものではありません。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 シリコーンのガラス転移温度と熱膨張係数、ゲルの弾性率、製品ごとの弾性率、接着強さの試験条件、ΣD3–D10 の測定法、放電との関係、EU 以外の化学物質規制、2026年6月6日以降の運用については、公開された一次情報で確認できなかった、あるいは扱わない方針のため記載していません。 規制の遵守は、規則の本文と所管当局の案内で確認してください。 図1・図2・図3・図5・図6・図7・図8はベクター作図、ヒーロー画像と図4はAI生成イメージであり、いずれも実際の分子配置・製品の実物・断面を示すものではありません。