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半導体封止材 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

半導体封止材
― 重さの大半は「粉」。樹脂はそれをつなぎ、固める役

チップを包んで守る黒い樹脂(EMC:エポキシ封止材)は、 公報の例示では、無機の粉(フィラー)が重量の6〜9割台を占める複合材料です。 エポキシ樹脂・硬化剤・粉・少量の添加剤を混ぜて固め、粉や粒、液、フィルムの形で届けられ、 成形のあいだは流れ、成形のあとは反らず、水を吸わず、熱を逃がすことが求められます。 この記事では、組成・成形のための形態・評価の見方・用途別の広がりを、公式資料の範囲で整理します。

構成:住友ベークライト・レゾナックの公式資料、特許公報、標準規格の公式ページ、学術論文を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

ヒーロー画像:封止材の原料の粉・タブレット・成形品と、チップを包んだパッケージの切り欠き断面
概念図(AI生成イメージ)。封止材の原料や成形材料(白い粉、樹脂の薄片、円柱状のタブレット)と、成形されたパッケージ、その切り欠き断面を並べた場面を表現したものです。実際の製品・配合・粒の大きさ・断面構造を示すものではありません。
この記事の構成
  1. 半導体封止材とは何か(3行でつかむ)
  2. 組成 ― 粉と樹脂の複合材
  3. 素材技術者の視点①:最大の敵は水。硬化剤の水酸基がもたらすトレードオフ
  4. 届け方と成形方式 ― タブレット・顆粒・液状・フィルム
  5. 評価 ― 何を測り、どこが比べにくいか
  6. 本稿の計算:シリカをアルミナに替えれば熱伝導率は上がるか
  7. 用途別に広がる銘柄 ― 先端パッケージとパワー半導体
  8. 素材技術者の視点②:硬化のガラス化と、反りに効く物性は工程で変わる
  9. 確認できなかったこと/まとめ
  10. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公式資料・公報・論文の記載にある内容(出典リンクあり。英語の原文は本稿が日本語に要約したもので、逐語の引用ではありません)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・試験供給など、量産実績が確認できていない事項
このほか、材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。 メーカーの製品ページの数値は「メーカー公称(代表値)」であり、試験条件が示されていないものは、他社品や他グレードと並べて優劣を論じません。

1. 半導体封止材とは何か(3行でつかむ)

封止材(EMC:Epoxy Molding Compound)は、チップとその周辺を樹脂で包み、湿気・衝撃・熱から守る材料です。 役割(チップ保護、外部環境からの絶縁、熱の拡散、実装時のハンドリング)は、住友ベークライトが製品ページで挙げているとおりです事実。 隙間を埋める樹脂としての性質、フィラー粒径とCTE・Tgの関係は本シリーズ「アンダーフィル」編、 トランスファ成形と圧縮成形の工程は「モールディング」編、樹脂そのものは「エポキシ樹脂」編で扱っています。 この記事は、材料としての封止材の中身(組成、形態、評価)に絞ります。

  • 何でできているか:住友ベークライトは、シリカなどの無機フィラー、エポキシ樹脂、硬化剤を均一に混ぜて分散させた複合材料と説明しています事実。 特許公報の例では、シリカ粉が組成物全体の60〜95重量%(好ましくは70〜92重量%)です事実。
  • どう使うか:代表的な硬化条件は175 ℃で約60秒、トランスファ成形の圧力は約10 MPaと同社のFAQにあります事実。 成形する場面に合わせて、粉・顆粒・液状・フィルムといった形で供給されます。
  • 何が難しいか:成形中は、細い隙間まで流れて、狙ったタイミングで固まる必要があります。 成形後は、熱膨張・弾性率・吸湿・熱の通りやすさ・難燃性・信頼性が、同時に要求されます(本記事による解説)。
この記事でいちばん大事な一行

封止材は「エポキシ樹脂の製品」ではなく、「粉を主役にした複合材料の製品」です。 性能の多くは、樹脂の化学ではなく、何の粉を、どの大きさで、どれだけ、どう表面処理して入れるかで決まります。 樹脂は、その粉をつなぎ、成形のあいだは流れ、成形後に固まる役を担います(本記事による解説)。

2. 組成 ― 粉と樹脂の複合材

封止材の配合は、各社が詳細を公開していません。 ここでは、公開されている特許公報の記載(米国特許5,756,564、1998年5月26日公開)と、住友ベークライト・レゾナックの製品ページ・FAQから確認できる範囲で、成分を整理します。 公報は一例であり、現在の製品の配合を示すものではありません事実。権利範囲の解釈は書きません。

封止材の組成の考え方(概念図) 帯は、特許公報(米国特許5,756,564)が記すシリカ粉の割合の範囲を、全体(100重量%)の上に重ねたもの 0 60 70 92 95 100 重量% 樹脂・硬化剤・添加剤など(残り) シリカ粉:60〜95(好ましくは70〜92) 薄い青=60〜95重量%(公報が示す範囲)/濃い青=70〜92重量%(好ましい範囲)/黄=その他(樹脂系・添加剤) エポキシ樹脂 クレゾールノボラック型、 ビフェニル型など (結晶性のものを好む例) 硬化剤 フェノールノボラック、 フェノールアラルキル など 硬化促進剤 ホスフィン類、 イミダゾール類、 DBU系など 無機フィラー 溶融・結晶シリカ 破砕状・球状 高熱伝導品はアルミナ 添加剤 エポキシシラン(表面処理) カルナバワックス(離型) 難燃助剤など ※ 割合と成分例は特許公報の記載[参考資料12]、アルミナへの置き換えは住友ベークライトのFAQ[参考資料2]によります。 ※ 公報は1990年代の出願であり、現在の製品の配合を示すものではありません。各社の現行配合は公開されていません。 ※ 四角の大きさ・並びは説明のための模式で、各成分の割合を示すものではありません。
図1 概念図(ベクター作図)。シリカ粉の割合の範囲は特許公報[参考資料12]の記載、成分の例はその公報の記載と、住友ベークライトのFAQ[参考資料2]によります。公報の配合は一例で、現在の製品の配合や各成分の割合を示すものではありません。
成分役割(解説)公開資料で確認できる例
エポキシ樹脂骨格。成形中は溶けて粘度が下がり、フィラーの隙間を流れる。固まると網目になる公報は、各種フェノール類とエピハロヒドリンから作るエポキシ樹脂を挙げ、常温で結晶性の固体で、成形時の溶融で低粘度の液体になる結晶性エポキシ(融点40〜170 ℃)を好ましいとし、特にビフェノール・テトラメチルビフェノール由来のものを挙げる。実施例にはオルソクレゾールノボラック型も使われる事実
硬化剤エポキシ基と反応して網目を作る。吸湿・硬化速度・Tgを左右する公報は、クレゾールノボラック型エポキシとフェノールノボラック硬化剤の組み合わせが当時主流で、低吸湿は十分でないとする事実(次章)
硬化促進剤硬化の速さと、保存中の安定性を決める公報は、ホスフィン類、ホスホニウム塩、イミダゾール類、ジアザビシクロ化合物とその塩を挙げ、ホスフィン類・イミダゾール類・ジアザビシクロ化合物が好ましいとする事実
無機フィラーCTEを下げ、強度を上げ、熱を通す。粘度を大きく上げる公報は溶融シリカまたは結晶シリカで、形は破砕状か球状、割合は組成物全体の60〜95重量%(好ましくは70〜92重量%)とする事実。住友ベークライトは、高熱伝導品ではフィラーをシリカからアルミナに替える、またはフィラー表面の改質技術を導入すると説明している事実
カップリング剤無機の粉と有機の樹脂の界面を結びつける。流動や強度に影響する公報の実施例は、エポキシシランをフィラーの表面処理剤に使う事実。論文は、種類の異なるシランカップリング剤でフィラーを処理すると、スパイラルフロー、混練時のトルク、引張強度が変わることを示している[参考資料16]事実
離型剤金型から外れやすくする公報の実施例は、カルナバワックスを離型剤に使う事実
難燃剤(助剤)燃え広がりを抑える公報は、臭素化エポキシ樹脂の一部使用と、三酸化アンチモンやリン酸などの難燃助剤の併用を挙げる事実。現在は、住友ベークライトがブロム系・アンチモン系の難燃剤を使わずUL 94 V-0を達成したとし事実、レゾナックの製品表では難燃剤の系統が「難燃剤レス」「有機リン系」「金属系」に分けて示されている事実

表1 封止材の成分と、公開資料で確認できる例。右列は[参考資料1・2・3・4・12・16]の記載。公報の配合は一例で、現行の製品の配合を示すものではありません。

つくり方も、公報の実施例に記載があります。 各成分をミキシングロールで70〜130 ℃、5分間、溶かしながら混ぜ、取り出してシート状にし、砕いて成形材料にするという流れです事実[参考資料12]。 つまり封止材は、固まる前の反応をほとんど進めないまま、粉を樹脂へ均一に分散させて、いったん固体にして保存する材料です(本記事による解説)。

3. 素材技術者の視点①:最大の敵は水。硬化剤の水酸基がもたらすトレードオフ

公報は、封止材に低吸湿が求められる理由を、表面実装の事情から説明しています事実[参考資料12]。 半導体を基板にはんだ付けする工程では、パッケージ全体が高温にさらされます。 そのとき、吸っていた水分が膨張して、パッケージ全体に大きな応力がかかり、封止材が割れる、という説明です。

樹脂封止された半導体パッケージの断面。吸湿した水分が加熱時に内部で膨張し、界面のはく離や封止材の割れにつながる経路を表す。実際の製品構造・水分量・破壊形態を再現したものではありません。
図2 概念図(ImageGen生成)。樹脂封止された半導体パッケージの断面。吸湿した水分が加熱時に内部で膨張し、界面のはく離や封止材の割れにつながる経路を表す。実際の製品構造・水分量・破壊形態を再現したものではありません。
元のSVG模式図と出典の説明を見る
吸湿した封止材が、はんだ付けの高温で割れる流れ(概念図) ① 保管中に水分を吸う ② はんだ付けで高温になる ③ 割れ・剥離が起きる 水分が樹脂の中に入る 水分が膨張して内側から押す 封止材のクラック、チップ界面の剥離 対策のひとつが、樹脂の網目そのものを「水を吸いにくく」すること(次の表) ※ 吸湿した水分の膨張で封止材が割れるという説明は、特許公報[参考資料12]の記載によります。評価の規格はJ-STD-020[参考資料14]。 ※ 青い点は水分、橙の円は高温で膨張した水分。サイズ・数・割れ方は模式的で、実際の破壊形態を示すものではありません。
図2 概念図(ベクター作図)。機構の説明は特許公報[参考資料12]の記載によります。パッケージの構造・水分の量と位置・割れ方は模式的なもので、実際の破壊形態を示すものではありません。
素材技術者の読みどころ:「速く固まる」と「水を吸わない」が、同じ官能基で綱引きになる

公報は、一般的なフェノール系硬化剤が持つフェノール性の水酸基が、吸湿の原因になることを前提に書かれています。 エポキシ基がフェノール性水酸基と反応して網目を作るとき、新たに水酸基ができて、それがさらに吸湿を増やす、という説明です事実[参考資料12]。

公報が取り上げた対策は、硬化剤の水酸基の一部を芳香族エステルに置き換えることです。 水酸基が減るので低吸湿になります。ところがエステルとエポキシ基の反応は遅く、急速に固める要求を満たしにくい。 そこで、水酸基を適量だけわざと残して、速さを確保する、というのが公報の考え方です事実。

成形時間を短くしたい(生産性)という要求と、水を吸いにくい網目にしたいという要求が、 同じ「水酸基の量」という1つのつまみの両端にある、ということです。 このような硬化剤の構造設計は、前の章の粉の設計と並ぶ、封止材のもう一つの設計領域です(本記事による解説)。 現行品の硬化剤の構造は、本稿が確認した公開資料では確認できませんでした。

4. 届け方と成形方式 ― タブレット・顆粒・液状・フィルム

封止材は、成形する方式に合わせて、供給する形が違います。 形が違えば、材料に求める性質も変わります。

封止材の4つの届け方と、使う成形方式(本記事による整理・概念図) 粉砕した成形材料 顆粒 液状 フィルム ポットに入れて プランジャで押し込む トランスファ成形 金型に直接撒いて 減圧して成形 圧縮成形 吐出して塗る・流し込む 低粘度が前提の用途 チップや配線の上に 載せてラミネート・硬化 大判パネル・薄型 ※ 供給の仕方は、各社の公式資料[参考資料2・5・6・7・10]の記載を、本記事が整理したものです。 ※ 粉・顆粒・液・フィルムの形や大きさ、色は模式的なもので、実際の製品の外観を示すものではありません。 ※ 本シリーズ「モールディング」編で、トランスファ成形・圧縮成形の工程を詳しく扱っています。
図3 概念図(ベクター作図)。各形態の特徴は住友ベークライト[参考資料2・8・9・10]とレゾナック[参考資料5・6]、日立化成の技術報告[参考資料7]によります。形・大きさ・色は模式的で、実際の外観ではありません。4つに分けた整理は本記事によるものです。
図4用画像:封止材の製造の流れ(原料の粉と樹脂、混ぜるロール、シート、砕いた材料、タブレット)
図4 概念図(AI生成イメージ)。白い粉と樹脂の薄片を、加熱したロールで溶かしながら混ぜてシートにし、砕いて、円柱状のタブレットに固めるまでの流れを、工場の場面として表現したものです。実際の装置・配合・色・工程条件を示すものではありません。
形態成形方式公式資料で確認できること材料側の注意(解説)
粉砕した成形材料(タブレットなど)トランスファ成形特許公報の実施例では、混ぜたシートを砕いて成形材料にする[参考資料12]。住友ベークライトのFAQでは、成形方法はトランスファ成形、圧力は約10 MPa、硬化条件は175 ℃で約60秒[参考資料2]事実ポットの中で溶けて、ランナーとゲートを通る。流動距離が長いほど、粘度と硬化の進みが効く
顆粒圧縮成形日立化成の技術報告:粉状の封止材を金型の凹部に直接供給し、減圧して成形する。粒径分布を0.4〜1.2 mmに制御して微粉を減らし、減圧時の泡立ちによる樹脂漏れを、消泡技術で抑えた[参考資料7]。住友ベークライトは、可使時間と狭いギャップへの充填性に優れた顆粒品をそろえると述べる[参考資料2]事実粒の大きさがそろっているほど、金型に撒く量が安定し、パッケージの厚みがそろう。揮発分や粒子間の空気は、減圧すると泡立ちの原因になる
液状流し込み・塗布(アンダーモールドとオーバーモールドを一体化する用途も)住友ベークライトは、3DS-TSVの狭いギャップには、粘度が低く小粒径のフィラーを入れられる液状樹脂が使われてきたが、パッケージ反りが大きい傾向、生産性、コストに課題があったとする[参考資料8]。同社は2026年4月から先端パッケージ用の液状封止材(EME-Lシリーズ)の供試を開始し、2027年の認定採用を目指す[参考資料10]事実未確定/将来流れやすさを取ると、反りや収縮で不利になりやすい。粉を細かくして多く入れるほど、液は流れにくくなる
フィルムラミネート・硬化レゾナックは、フィルム状EMC(EBシリーズ)は封止層の厚みを均一に保て、厚みムラによる局所的な歪みを排除でき、低温硬化が可能で、大判パネルや薄型パッケージを簡便に一括封止できるとする[参考資料5・6]事実形そのものが性能の一部。厚みの均一性が、反りと後工程の精度に直結する

表2 封止材の形態と成形方式。各社の製品説明は、その会社の主張です。「材料側の注意」の列は本記事による解説です。

5. 評価 ― 何を測り、どこが比べにくいか

封止材のカタログには、多くの数字が並びます。 しかし、試験条件が書かれていない数字は、他の資料と比べられません。 まず、評価の項目と、公式資料で確認できる範囲を整理します。

評価項目何がわかるか(解説)規格・公式資料で確認できること比べるときの注意
スパイラルフロー金型の渦巻き状の溝を、どこまで流れて固まったか(cm)。流れやすさの目安ASTM D3123は、低圧の熱硬化性成形材料のスパイラルフローの試験法で、溶融、溶融粘度、ゲル化の速さの複合した特性の尺度であり、品質管理や受け入れ基準に使うとする。規格は移送圧力6.9 MPa、金型温度150±3 ℃を想定する[参考資料13]事実。レゾナックの製品表には単位cmの値がある[参考資料3]住友ベークライトとレゾナックの製品ページには、試験条件の記載が見当たらない。規格の条件(150 ℃)と、成形時の条件(175 ℃)は異なる。値は同じ条件の同士でしか比べられない
ゲルタイム加熱してから、流動しなくなるまでの時間(秒)。成形で使える時間の目安住友ベークライトの製品表に、グレードごとの秒数がある[参考資料1]事実測定温度の記載が見当たらない
Tg、CTE(α1・α2)、曲げ弾性率、成形収縮率反り・応力・耐熱を決める基本の4つ両社の製品表に値がある[参考資料1・3・4]事実。論文は、混練時のトルク、スパイラルフロー(EMMI法)、DSC、TMAなどで封止材を評価している[参考資料16]測定方法(TMAの昇温速度、曲げ試験の条件)の記載が製品ページに見当たらない。メーカー公称(代表値)
熱伝導率熱の通りやすさ(W/m·K)住友ベークライトの標準的なBGA・CSP向けは0.8、高熱伝導品は3.0[参考資料1]。レゾナックの先端パッケージ向け顆粒状EMCも3.0 W/(m·K)[参考資料5]事実測定法の記載なし。フィラーが異なれば、同じ割合でも値は大きく変わる(第6章)
難燃性燃え広がりにくさUL 94は、デバイスや機器の部品に使うプラスチック材料の燃えやすさを、小さな炎で調べる試験で、V-0・V-1・V-2などの等級がある[参考資料15]事実。住友ベークライトは、ブロム系・アンチモン系の難燃剤を使わずにUL 94 V-0を達成したとする[参考資料1]事実等級は試験片の厚みで変わりうる。厚みの記載が製品ページに見当たらない
耐トラッキング性・誘電特性高電圧での絶縁の信頼性、高周波での損失住友ベークライトの製品表に、パワーモジュール向けの耐トラッキング性(単位V)や、アンテナ・イン・パッケージ向けの比誘電率3.9、誘電正接0.003(1 MHz)がある[参考資料1]事実1 MHzの値であり、高周波帯での値は別に確認が必要
吸湿後のはんだ耐熱(耐リフロー)水を吸った状態で、はんだ付けの高温に耐えるかIPC/JEDEC J-STD-020Fは、非気密の表面実装デバイスの、水分・リフローに対する感度の分類規格で、目次には温湿度槽、はんだリフロー装置、音響顕微鏡、吸湿・脱湿曲線などの項目がある[参考資料14]事実規格の本文は有料のため、本稿は題名と目次の範囲にとどめる

表3 封止材の評価項目と、公式資料で確認できる範囲。右端の列と「何がわかるか」の列は本記事による解説です。

素材技術者の読みどころ:スパイラルフローは「粘度」ではない

ASTM D3123が述べているとおり、スパイラルフローは「圧力下での溶融」「溶融粘度」「ゲル化の速さ」という3つが混ざった1つの数字です事実。 つまり、同じスパイラルフローの2つの材料が、同じ粘度とは限りません。 粘度が低くても、すぐに固まる材料は、遠くまで流れません。粘度が高くても、固まるのが遅ければ、遠くまで届きます。

だから封止材の開発では、スパイラルフローだけでなく、温度に対する粘度の変化、ゲルタイム、硬化の進みを、同じ条件で並べて見る必要があります。 実際の金型で、狭い隙間にどこまで入るかは、これらの組み合わせで決まります(本記事による解説)。 カタログのスパイラルフローは、品質管理の指標としては有効でも、他社品との優劣を決める数字ではありません。

6. 本稿の計算:シリカをアルミナに替えれば熱伝導率は上がるか

住友ベークライトは、高熱伝導品ではフィラーをシリカからアルミナに替える、と説明しています事実[参考資料2]。 同社の標準的なBGA・CSP向けの熱伝導率は0.8 W/m·K、高熱伝導品は3.0 W/m·Kです事実[参考資料1]。 フィラーを替えるだけで、3.75倍になるのでしょうか。簡単なモデルで確かめます。

本稿の計算

粉を樹脂の中に球状に分散させた複合材料の熱伝導率を、マクスウェル・ユーケン式で見積もります本稿の計算。 樹脂が連続した相で、粉が孤立した球として散らばるモデルです。

k = km × [2km + kf + 2φ(kf − km)] ÷ [2km + kf − φ(kf − km)]

  • 本稿の仮定(一般的な値を仮置きしたもの。製品の値ではありません):樹脂の熱伝導率 km = 0.2、シリカ kf = 1.4、アルミナ kf = 30(いずれも W/m·K)。密度は樹脂1.2、シリカ2.2、アルミナ3.9 g/cm³
  • フィラー体積分率 φ = 0.70のとき:シリカ → 約0.73 W/m·K、アルミナ → 約1.5 W/m·K
  • 公表の0.8 W/m·Kになるシリカの体積分率:φ ≒ 0.75(重量では約85重量%)。公報が示すシリカの範囲(60〜95重量%)の中に入る
  • 公表の3.0 W/m·Kに、アルミナで届く体積分率:φ ≒ 0.84(重量では約94〜95重量%)。シリカは、どれだけ入れても(φ = 0.9でも約1.1 W/m·K)3.0に届かない

前提と限界:粒子どうしが接して熱の通り道(ネットワーク)を作ると、このモデルより高い値になります。 実際の製品は、粒径の分布、表面処理、フィラーの混合など、公開されていない設計が入っています。 この計算は桁と傾向を示すためのもので、特定の製品の配合を推定するものではありません。

熱伝導率:本稿のモデルの見積もりと、公表されたグレード(W/m·K) モデルはフィラー体積分率70%、球状分散、仮定値(樹脂0.2/シリカ1.4/アルミナ30)による シリカ系 アルミナ系 本稿のモデル 標準グレード公表値 本稿のモデル 高熱伝導グレード公表値 約0.73 0.8 約1.5 3.0 同じ体積分率なら、モデルは2倍程度。3.0には、さらに多い充填かネットワークの設計が要る ※ 公表値は住友ベークライトの製品ページ[参考資料1]の代表値(メーカー公称。測定条件の記載なし)。モデルの値は本記事の計算です。 ※ 棒の長さは 1 W/m·K あたり約114 pxの共通の縮尺。仮定値は製品の値ではありません。
図5 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。公表値は住友ベークライト[参考資料1]の代表値、モデルの値は本記事の計算です。樹脂・フィラーの熱伝導率は本記事の仮定値で、特定の製品の配合を示すものではありません。
素材技術者の読みどころ:熱を上げるほど、「流れ」が犠牲になる

この計算で、アルミナで3.0 W/m·Kに届くには、単純な分散では体積の約84%、重量の約94〜95%という、非常に多い充填が必要になります。 樹脂の隙間がほとんど無い状態です。ここまで粉を入れると、溶けた樹脂は流れにくくなります。 実際の高熱伝導品は、粒子を接触させて熱の通り道を作る、粒径を混ぜて詰める、といった工夫で、これより少ない充填で高い値を狙っていると考えられます(本記事による解説)。

レゾナックが、先端パッケージ向けの顆粒状EMCについて、3.0 W/(m·K)の熱伝導率だけでなく、流動性が高いため微細な隙間にも樹脂が行きわたり、ボイドを抑えると述べている事実[参考資料5]のは、 この「熱と流れの両立」がどれだけ難しいかを、そのまま売り文句にしているということです。 フィラーの粒径と流動の関係は、本シリーズ「アンダーフィル」編で扱っています。

7. 用途別に広がる銘柄 ― 先端パッケージとパワー半導体

住友ベークライトの製品ページは、封止材のラインナップをどのパッケージ向けかで分け、それぞれに「求められる特徴」を書き添えています事実[参考資料1]。 同じ「エポキシ+粉」でも、行き先によって、前面に出る特徴が違います。

用途ごとに、製品ページが「特徴」として挙げている項目(本記事による整理) ●=住友ベークライトの製品ページのラインナップ表で、その用途向けの特徴として書かれている項目 用途 低反り 狭部充填・高流動 高熱伝導 低応力 高信頼性 高Tg 低誘電 DIS・DIP・SO・QFP向け BGA・CSP向け FCCSP・SiP向け AiP向け WLP/PLP向け パワーモジュール向け ●●● ●●●● ●● ● ●● ●●● ※ 住友ベークライト「スミコン EME」ページの仕様表[参考資料1]の特長欄を、本記事が用途ごとに整理したものです。 ※ 他社・他グレードとの優劣を示すものではありません。
図6 概念図(ベクター作図)。各用途の特徴は住友ベークライトの製品ページの仕様表[参考資料1]の特長欄によります。●は同社のラインナップが掲げる特徴で、他社との比較や各製品の性能順位を示すものではありません。表に整理したのは本記事によるものです。

同ページには、いくつかの代表グレードの数値も出ています。メーカー公称(代表値)で、試験条件は同ページに示されていないため、 グレードの間の優劣をつけるものではありません。

用途・特長品番成形フィラーカット
(µm)
スパイラル
フロー
ゲルタイム
(秒)
Tg
(℃)
CTE α1/α2
(ppm/℃)
曲げ弾性率
(GPa)
熱伝導率
(W/m·K)
BGA・CSP 低反りG750 Type L-Bトランスファ記載なし125351458/3424.50.8
BGA・CSP 高熱伝導A730Eトランスファ記載なし1455014510/3831.03.0
FCCSP・SiP 狭部充填G311Lトランスファ1218560記載なし記載なし記載なし0.8
FCCSP・SiP 狭部充填・高熱伝導A382 Type Bトランスファ2014550記載なし記載なし記載なし2.0
WLP/PLP 低反りG730 Ver. GR圧縮55105401758/2424.5記載なし
WLP/PLP 低反り・狭部充填G380 Ver. GR圧縮12105602056/2512.0記載なし
パワーモジュール 超高TgG785Aトランスファ記載なし803523010(α1のみ)13.5記載なし

表4 住友ベークライト「スミコン EME」の代表グレード(メーカー公称・代表値、[参考資料1])。スパイラルフローの単位、各試験の条件・グレードの改訂は同ページに記載がありません。G785Aの耐トラッキング性は「≧600(V)」と記載されています。

(1) 先端パッケージ:液状から顆粒、フィルム、そしてまた液状へ

住友ベークライトは、2024年に3DS-TSV向けの圧縮成形用顆粒材(5 µmカットフィラー)事実[参考資料8]と、PLP向けの顆粒材の量産販売事実[参考資料9]を発表しました。 いずれも、それまでの液状樹脂から置き換えることで、生産性を上げ、反りを減らすという位置づけです。 一方、同社は2026年5月に、大型化・複雑化する2.xD/3D・チップレット構造のパッケージに向け、低反り・高信頼性の液状封止材(EME-Lシリーズ)の供試を2026年4月から開始したと発表しています事実[参考資料10]。 固形封止材で培った配合技術と、液状製品の工程技術を組み合わせ、アンダーモールドとオーバーモールドを一工程にまとめられるものもそろえるとし、2027年の認定採用を目指すとしています未確定/将来。

流れやすい液状に戻る動きが出てきたのは、パッケージ側の要求(大型化、工程の統合)が変わったためと読めます(本記事による解説)。形態は、固形、液状のどちらが「正解」というものではなく、用途の条件で選び直されています。

(2) パワー半導体:Tgを上げると、硬くなって割れる

住友ベークライトは2026年6月1日に、SiCパワーモジュール向けに、Tg 230 ℃の固形エポキシ封止材料(EME-G785シリーズ)の量産開始を発表しました事実[参考資料11]。 同社は「業界初」としていますが、これは同社の調査(2026年4月)による主張です。 発表では、エポキシのTgを200 ℃以上に上げようとすると架橋密度が高くなって弾性率が上がり、ヒートサイクルで剥離やクラックが生じやすくなる、というトレードオフがあったと述べ、 主鎖骨格の剛直化と架橋密度の最適化でTgを上げ、低応力化技術で弾性率の上昇を抑えたとしています事実。 詳しい比較は、本シリーズ「アンダーフィル」編の第7章を参照してください。

8. 素材技術者の視点②:硬化のガラス化と、反りに効く物性は工程で変わる

(1) 成形温度より高いTgの材料は、成形中に固まり切らない

ある論文は、Tgが195 ℃を超える市販のエポキシフェノール系封止材を、成形に近い165〜185 ℃の等温条件で硬化させ、 誘電特性(イオン粘度)を成形中にその場で測って、反応の進み具合を追いました事実[参考資料18]。 反応の最後の部分で、DSCによる解析との間に大きなずれが生じ、そのずれはガラス化(vitrification)が原因だと述べ、 成形品のTgをTMAで測って、ガラス化の影響を確かめています事実。

素材技術者の読みどころ:成形温度がTgを下回ると、樹脂自身が反応を止める

硬化が進むとTgが上がります。成形温度よりTgが高くなると、網目は動けなくなって(ガラス化)、反応は途中で止まります。 Tg 195 ℃超の材料を165〜185 ℃で成形する場合は、成形を終えた時点では、反応が最後まで進んでいない可能性がある、ということです。 成形後に別途加熱して仕上げる運用(後硬化)が使われる背景のひとつと読めますが、 後硬化の条件は、本稿が確認した公開資料では確認できませんでした(本記事による解説)。 高Tg化は、成形のしやすさと硬化のしやすさにも影響する、ということです。

(2) 反りに効く物性は、「どの温度域の反りか」で入れ替わる

「アンダーフィル」編では、Tgを超えると膨張のしかたが変わり、リフロー温度での反りに効くことを計算しました。 一方、ある論文は、ファンアウト型ウェハレベルパッケージ(FOWLP)で、封止材の物性がウェハの反りにどう効くかをシミュレーションで調べています事実[参考資料17]。 キャリアを外す工程のウェハの反りに対して、Tgより低い温度域のヤング率(25〜35 ℃)とα1が決定的な因子で、 なかでもα1の影響が大きく、Tgより高い温度域のヤング率、α2、Tg、温度変化の幅の影響は小さい、という結果です。 最適化した物性では、ウェハの最大の反りがX方向で7.34 mmから0.545 mm、Y方向で7.189 mmから0.45 mmへ、約93〜94%減ったと報告しています(計算上の値)。

素材技術者の読みどころ:「Tgを上げれば反りが減る」とは限らない

リフロー温度での反りを見るなら、Tgとα2が効きます。キャリアを外した常温でのウェハの反りを見るなら、効くのは常温のヤング率とα1です。 同じ材料でも、工程のどの場面の反りを問題にするかで、効く物性が入れ替わります。 封止材の物性表の中で、どの数字を優先して改善するかは、パッケージの種類と、工程のどこで問題が出ているかで決まります(本記事による解説)。 この論文はシミュレーションで、条件は特定のパッケージ構造に限られます。実際の製品の結果を保証するものではありません。

(3) 粉の種類で効く物性が分かれる

別の論文は、バイオ系エポキシを母材に、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、溶融シリカ、六方晶窒化ホウ素を、同じ含有量で比べています事実[参考資料19]。 熱伝導率、CTE、比誘電率はフィラー自体の性質に左右され、粘度とTgは主にフィラーの大きさに左右され、 硫酸バリウムは母材との相性が悪く、界面の結びつきが弱いために性能が落ちた、と報告しています。 母材は量産品のEMCではないので、数値は製品にそのまま当てはまりませんが、 「何の粉か」と「どの大きさの粉か」が、別々の物性に効くという整理の根拠になります(本記事による解説)。

9. 確認できなかったこと/まとめ

公式資料で確認できなかったこと

  • 現行製品の配合:エポキシ樹脂の種類、硬化剤の構造、フィラーの種類・粒径分布・量、表面処理、難燃剤の配合は、公開資料では確認できませんでした。第2章の配合は、1990年代の特許公報の記載です
  • 着色剤など:黒色の着色に使う成分は、本稿が確認した公式資料・公報では確認できませんでした
  • 試験条件:スパイラルフロー、ゲルタイム、TMA、曲げ試験、熱伝導率の測定条件は、製品ページに記載が見当たりませんでした。数値の優劣は論じません
  • 難燃剤レスの品の難燃等級:レゾナックの製品表には、難燃剤の系統の記載があるが、UL 94の等級の記載は確認できませんでした
  • 後硬化の条件:確認できませんでした
  • 液状封止材(EME-L)の物性値と採用実績:確認できませんでした(2027年の認定採用が目標)
  • 温度サイクル・高温高湿試験などの規格:JEDECの公式ページを自動取得できなかったため、本稿は規格番号を挙げていません。確認できた標準規格は、ASTM D3123、IPC/JEDEC J-STD-020F、UL 94の3つです
  • 市場シェアや採用実績:調査会社の推計や報道の数字は扱っていません
この記事のまとめ
  • 封止材は、粉が主役の複合材料です。公報の例では、シリカ粉が重量の60〜95%を占めます事実
  • 水が最大の敵です。吸った水分がはんだ付けの高温で膨張して割れるため、硬化剤の水酸基をめぐる「低吸湿と速い硬化」の綱引きがあります事実
  • 届け方は成形方式で決まります。粉砕した成形材料、顆粒、液状、フィルムがあり、先端パッケージでは液状に戻る動きも出ています事実
  • カタログの数字は、条件が示されない限り、比べられません。スパイラルフローは、粘度ではなく、溶融・粘度・ゲル化が混ざった1つの数字です事実
  • 熱を上げるほど、流れが犠牲になります。単純な分散モデルでは、アルミナで3.0 W/m·Kに届くには体積の約84%の充填が要ります本稿の計算
  • 反りに効く物性は、工程のどの場面かで入れ替わります。常温での反りにはα1と常温の弾性率、リフロー温度での反りにはTgとα2が効きます事実

10. 用語集

EMC
Epoxy Molding Compound。エポキシ樹脂と粉を主体にした、半導体の封止材。
フィラー
樹脂に混ぜる無機の粉。シリカやアルミナなど。CTEを下げ、強度を上げ、熱を通す。
溶融シリカ
石英を溶かして固めたガラス状のシリカ。結晶シリカよりCTEが低く、球状にもできる。
カップリング剤
無機の粉と有機の樹脂の界面を結びつける薬剤。シラン系が代表的。
硬化剤
エポキシ基と反応して網目を作る成分。EMCではフェノール系が一般的。
硬化促進剤
硬化の反応を速める成分。ホスフィン類やイミダゾール類など。
結晶性エポキシ
常温では結晶の固体で、成形時に溶けると低粘度の液体になるエポキシ樹脂。
スパイラルフロー
金型の渦巻き状の溝を樹脂が流れた長さ。流れやすさの目安。
ゲルタイム
加熱してから流動しなくなるまでの時間。
Tg
ガラス転移温度。これを境に、弾性率やCTEが大きく変わる。
CTE(α1・α2)
熱膨張係数。α1はTgより低い温度、α2は高い温度の値。
ガラス化
硬化中に網目のTgが成形温度に届き、分子が動けなくなって反応が止まること。
後硬化
成形後に別途加熱して、硬化を仕上げる工程。
顆粒
粒状の封止材。圧縮成形で、金型に直接撒いて使う。
トランスファ成形
溶けた材料をプランジャで金型のキャビティへ送り込む成形。
圧縮成形
金型の凹部に置いた材料を、減圧して押し付けて成形する方式。
UL 94
プラスチック材料の燃えやすさを小さな炎で調べる試験。V-0などの等級がある。
J-STD-020
非気密の表面実装デバイスの、水分とリフローに対する感度を分類する規格。
マクスウェル・ユーケン式
母材の中に粒が孤立して分散した複合材料の熱伝導率を見積もる式。

11. 参考資料(一次情報)

  1. 住友ベークライト「半導体封止用エポキシ樹脂成形材料 スミコン® EME」製品ページ — sumibe.co.jp
  2. 住友ベークライト「FAQ about Products, IT Materials Division」(英語) — sumibe.co.jp
  3. レゾナック「エポキシ樹脂封止材 有機基板用(CELシリーズ)」 — resonac.com
  4. レゾナック「エポキシ樹脂封止材 リードフレーム用(CELシリーズ)」 — resonac.com
  5. レゾナック「先端半導体パッケージの熱マネジメントに貢献する材料①」2026年2月25日 — resonac.com
  6. レゾナック「先端半導体パッケージの反り抑制と応力緩和に貢献する材料②」2026年5月20日 — resonac.com
  7. 日立化成(現レゾナック)"Granule-Type Encapsulating Compound for Compression Molding", Hitachi Chemical Technical Report No.61(PDF) — resonac.com
  8. 住友ベークライト「3DS-TSV向け圧縮成形用封止樹脂(顆粒材料)を販売」2024年5月31日 — sumibe.co.jp
  9. 住友ベークライト「先端半導体向けPLPに対応した圧縮成形用封止樹脂(顆粒材料)を量産化」2024年11月19日 — sumibe.co.jp
  10. 住友ベークライト「先端パッケージ用液状封止材の供試開始のお知らせ」2026年5月18日 — sumibe.co.jp
  11. 住友ベークライト「業界初、固形エポキシ樹脂で世界最高クラスのTg230℃を実現したSiCパワーモジュール封止材料向け『G785シリーズ』量産開始」2026年6月1日 — sumibe.co.jp
  12. Murata ほかUS 5,756,564 A "Epoxy resin composition for encapsulation of semiconductors"(優先日1996年2月28日、公開1998年5月26日) — patents.google.com
  13. ASTM International "D3123 Standard Test Method for Spiral Flow of Low-Pressure Thermosetting Molding Compounds" — store.astm.org
  14. IPC/JEDEC "J-STD-020F: Moisture/Reflow Sensitivity Classification for Non-Hermetic Surface Mount Devices (SMDs)"(目次のPDF) — ipc.org
  15. UL Solutions「Combustion (Fire) Tests for Plastics」(UL 94の解説ページ) — ul.com
  16. Šinkovec, Mušič「Effect of Organosilane Coupling Agents on Thermal, Rheological and Mechanical Properties of Silicate-Filled Epoxy Molding Compound」Materials 13(1), 2020(DOI: 10.3390/ma13010177) — doi.org
  17. Chuang ほか「Exploring the Influence of Material Properties of Epoxy Molding Compound on Wafer Warpage in Fan-Out Wafer-Level Packaging」Materials 16(9), 2023(DOI: 10.3390/ma16093482) — doi.org
  18. Franieck ほか「Cure Kinetics Modeling of a High Glass Transition Temperature Epoxy Molding Compound (EMC) Based on Inline Dielectric Analysis」Polymers 13(11), 2021(DOI: 10.3390/polym13111734) — doi.org
  19. Lee ほか「Epoxy Molding Compound for Electronic Packaging: Impact of Inorganic Filler Type and Geometry」Journal of Electronic Packaging, 2026(DOI: 10.1115/1.4071141) — doi.org

12. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
封止材の役割(チップ保護、外部環境からの絶縁、熱の拡散、実装時のハンドリング)。トランスファ・圧縮成形に対応すること。ブロム系・アンチモン系の難燃剤を使わずUL 94 V-0を達成したこと。用途別のラインナップと特長(標準、高熱伝導、低応力、低反り、高流動、狭部充填、低誘電、高Tg など)。代表グレードの値:G750 Type L-B(スパイラルフロー125、ゲルタイム35、Tg145、CTE 8/34、曲げ弾性率24.5、熱伝導率0.8)、A730E(145、50、145、10/38、31.0、3.0)、G311L(フィラーカット12、185、60、0.8)、A382 Type B(20、145、50、2.0)、G730 Ver. GR(55、105、40、175、8/24、24.5)、G380 Ver. GR(12、105、60、205、6/25、12.0)、G785A(80、35、Tg230、CTE 10、13.5、耐トラッキング≧600)。AiP向けG314の比誘電率3.9、誘電正接0.003(1 MHz)住友ベークライト「スミコン EME」製品ページ[参考資料 1]https://www.sumibe.co.jp/product/it-materials/epoxy/sumikon-eme/事実
封止材が、シリカなどの無機フィラー、エポキシ樹脂、硬化剤を均一に混練・分散した複合材料であること。硬化条件が175 ℃で約60秒、成形方法がトランスファ成形、移送圧力が約10 MPaであること。高熱伝導品ではフィラーをシリカからアルミナに替えるか、フィラーの表面改質技術を導入すること。顆粒品が可使時間と狭ギャップ充填性に優れること住友ベークライト FAQ[参考資料 2]https://www.sumibe.co.jp/english/question/product/it-materials/事実
有機基板用EMC(CELシリーズ)の製品表に、スパイラルフロー(単位cm)、Tg、CTE、曲げ弾性率、成形収縮率、熱伝導率、難燃剤の系統(難燃剤レス・有機リン系・金属系)が掲載されていることレゾナック「エポキシ樹脂封止材 有機基板用」[参考資料 3]https://www.resonac.com/jp/products/semi-backend-process/76/012.html事実
リードフレーム用EMC(CELシリーズ)の製品表にも、難燃剤の系統(難燃剤レス・有機リン系)、スパイラルフロー、Tg、CTEが掲載されていることレゾナック「エポキシ樹脂封止材 リードフレーム用」[参考資料 4]https://www.resonac.com/jp/products/semi-backend-process/76/011.html事実
先端パッケージ向けの顆粒状EMCの熱伝導率が3.0 W/(m·K)であり、流動性が高く微細な隙間にも樹脂が行きわたりボイドを抑えること。フィルム状EMCがラミネートして硬化するだけで大型パネルの封止ができ、薄型化に貢献することレゾナック コラム(2026年2月25日)[参考資料 5]https://www.resonac.com/jp/solution/column/005.html事実
フィルム状EMC(EBシリーズ)が封止層の厚みを均一に保ち、厚みムラによる局所的な歪みを排除でき、低温硬化が可能であることレゾナック コラム(2026年5月20日)[参考資料 6]https://www.resonac.com/jp/solution/column/008.html事実
圧縮成形では粉状の封止材を金型の凹部へ直接供給して減圧して成形すること。顆粒の粒径分布を0.4〜1.2 mmに制御して微粉を減らしたこと。減圧時の泡立ちによる樹脂漏れを消泡技術で抑えたこと日立化成 技術報告 No.61[参考資料 7]https://www.resonac.com/sites/default/files/2022-12/en_pdf-rd-report-061-61_tr03.pdf事実
3DS-TSV向けの顆粒材(5 µmカットフィラー)を2024年5月31日に発表したこと。液状樹脂が、狭ギャップへの充填性が良い一方、反りが大きい傾向と生産性・コストの課題があったこと住友ベークライト ニュースリリース(2024年5月31日)[参考資料 8]https://www.sumibe.co.jp/topics/2024/it-materials/0522_02/index.html事実
PLP向けの圧縮成形用顆粒材を量産化し、2024年11月19日に発表したこと。液状封止樹脂に比べ、樹脂の撒き特性が良く、パネルの反りが少ないとすること住友ベークライト ニュースリリース(2024年11月19日)[参考資料 9]https://www.sumibe.co.jp/topics/2024/it-materials/1118_01/事実
先端パッケージ用の液状封止材(EME-Lシリーズ)の供試を2026年4月から開始したこと(2026年5月18日発表)。固形封止材の配合技術と液状製品の工程技術を応用して低反りと加工性能を両立すること。アンダーモールドとオーバーモールドを一体化できる品もそろえること住友ベークライト ニュースリリース(2026年5月18日)[参考資料 10]https://www.sumibe.co.jp/topics/2026/it-materials/0514_01/index.html事実
EME-Lシリーズの2027年の認定採用の目標住友ベークライトが「2027年の認定採用を目指す」とする計画であり、実績ではない[参考資料 10]https://www.sumibe.co.jp/topics/2026/it-materials/0514_01/index.html未確定/将来
G785シリーズ(Tg 230 ℃、SiCパワーモジュール向け)の量産開始(2026年6月1日)。「業界初」は同社調べ(2026年4月)であること。エポキシのTgを200 ℃以上に上げると架橋密度が高くなり、弾性率が上がって、ヒートサイクルで剥離やクラックが生じやすくなるというトレードオフ。主鎖骨格の剛直化と架橋密度の最適化で高Tg化し、低応力化技術で弾性率の上昇を抑えたこと住友ベークライト ニュースリリース(2026年6月1日)[参考資料 11]https://www.sumibe.co.jp/topics/2026/it-materials/0428_01/index.html事実
米国特許5,756,564:エポキシ樹脂・硬化剤・シリカ粉・硬化促進剤が必須成分であること。シリカ粉が溶融または結晶シリカで、破砕状か球状、60〜95重量%(好ましくは70〜92重量%)。結晶性エポキシ(融点40〜170 ℃)が好ましいこと。促進剤の例(ホスフィン類、イミダゾール類など)。難燃助剤(三酸化アンチモンなど)、臭素化エポキシ。実施例のエポキシシラン(フィラー表面処理)、カルナバワックス(離型剤)。ミキシングロールで70〜130 ℃・5分混ぜ、シートにして砕くこと。表面実装で吸湿した水分が膨張して封止材が割れること。フェノール系硬化剤が一般的で低吸湿が不十分であること。硬化剤の水酸基の一部をエステル化すると低吸湿になるが反応が遅く、水酸基を適量残して速さを確保すること米国特許 US 5,756,564 A(Google Patents)[参考資料 12]https://patents.google.com/patent/US5756564事実
スパイラルフローが、圧力下での溶融、溶融粘度、ゲル化の速さの複合した特性の尺度で、品質管理や受け入れ基準に使うこと。規格が6.9 MPa、150±3 ℃を想定することASTM D3123(ASTM International)[参考資料 13]https://store.astm.org/d3123-09r17.html事実
J-STD-020Fが非気密の表面実装デバイスの水分・リフロー感度の分類規格であること。目次に温湿度槽、はんだリフロー装置、音響顕微鏡、吸湿・脱湿曲線などがあることIPC/JEDEC J-STD-020F(目次のPDF)[参考資料 14]https://www.ipc.org/TOC/J-STD-020F_TOC.pdf事実
UL 94が、デバイスや機器の部品に使うプラスチック材料の燃えやすさを小さな炎で調べる試験で、V-0・V-1・V-2などの等級があることUL Solutions「Combustion (Fire) Tests for Plastics」[参考資料 15]https://www.ul.com/services/combustion-fire-tests-plastics事実
シランカップリング剤の種類でフィラーの処理を変えると、スパイラルフロー(EMMI法)、混練時のトルク、引張強度が変わること。DSCとTMAで熱的な挙動を調べていることŠinkovec, Mušič, Materials(2020)[参考資料 16]https://doi.org/10.3390/ma13010177事実
FOWLPで、キャリアを外す工程のウェハの反りに、Tgより低い温度域のヤング率とα1が決定的な因子で、α1の影響が大きく、他の因子(Tgより高い温度域のヤング率、α2、Tg、温度変化の幅)の影響は小さいこと。最適化でウェハの最大の反りがX方向7.34 mmから0.545 mm、Y方向7.189 mmから0.45 mmに減ったこと(シミュレーション)Chuang ほか, Materials(2023)[参考資料 17]https://doi.org/10.3390/ma16093482事実
Tgが195 ℃を超える市販のエポキシフェノール系封止材を165〜185 ℃で硬化させ、イオン粘度で反応を追ったこと。DSCに基づく解析との差が、反応の終盤のガラス化に関わるパラメータに生じたこと。成形品のTgをTMAで測ってガラス化の影響を確かめたことFranieck ほか, Polymers(2021)[参考資料 18]https://doi.org/10.3390/polym13111734事実
バイオ系エポキシにAlN、Al2O3、BaSO4、溶融シリカ、hBNを同じ含有量で入れて比べたとき、熱伝導率・CTE・比誘電率はフィラー自体の性質に、粘度とTgは主にフィラーの大きさに左右されること。BaSO4は母材との相性が悪いことLee ほか, Journal of Electronic Packaging(2026)[参考資料 19]https://doi.org/10.1115/1.4071141事実
第6章の計算:マクスウェル・ユーケン式、仮定値(樹脂0.2、シリカ1.4、アルミナ30 W/m·K。密度1.2、2.2、3.9 g/cm³)で、体積分率0.70のとき、シリカ約0.73、アルミナ約1.5 W/m·K。0.8 W/m·Kになるシリカの体積分率が約0.75(約85重量%)、3.0 W/m·Kになるアルミナの体積分率が約0.84(約94〜95重量%)、シリカはφ=0.9でも約1.1 W/m·K。製品の配合の推定ではない本稿の計算。熱伝導率と密度の値は一般的な値を仮置きした本稿の仮定で、製品の値ではない。0.8と3.0は住友ベークライトの代表値[参考資料 1]本稿の計算
封止材が「粉を主役にした複合材料」であるという整理。現行品の配合が公報の例と異なりうること。硬化剤の水酸基の量が、低吸湿と速い硬化の両端にあるという読み取り。スパイラルフローが粘度ではなく、他社品との優劣の数字ではないという指摘。液状に戻る動きがパッケージ側の要求の変化によるという読み取り。成形温度より高いTgの材料で、成形後に反応が残る可能性があるという読み取り。反りに効く物性が工程の場面で入れ替わるという整理。表1・表2・表3の解説欄公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない解説
現行品の配合、着色剤、試験条件、難燃剤レス品の難燃等級、後硬化の条件、EME-Lの物性・採用実績、JEDEC JESD22の規格番号、市場シェアや採用実績公式資料では確認できなかったため記載していない。調査会社の推計や報道の数字は扱わない解説
図1・図2・図3・図5・図6が実際の構造・製品を示す図ではなく、説明のための作図であること。ヒーロー画像と図4がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月3日/出典は一次情報(住友ベークライト・レゾナックの公式資料、特許公報、標準規格の公式ページ、学術論文)に限定しています。 英語の原文は本稿が日本語に要約・言い換えたもので、逐語の引用ではありません。 メーカーの製品ページの数値は「メーカー公称(代表値)」で、試験条件が示されていないため、グレード間・他社品との優劣は論じていません。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 現行品の配合、試験条件、後硬化の条件、液状封止材の物性と採用実績、JEDEC JESD22の規格番号は、公式資料で確認できなかったため記載していません。 図はすべて説明用の概念図です。図1・図2・図3・図5・図6はベクター作図、ヒーロー画像と図4はAI生成イメージであり、いずれも実際の断面写真・顕微鏡像・製品の実物を示すものではありません。