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バイオベースの接着剤・封止材 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

バイオベースの接着剤・封止材
― 「バイオ度」の数字は、何を数えているのか

植物油、でんぷん、リグニン、タンパク質――植物などのバイオマスを原料にした接着剤・封止材は、耐水性、反応性、コストという課題を抱えながら、まず木質接着剤の分野で実用化が進んでいます。 一方で、「バイオ由来○%」という数字には、放射性炭素(14C)で測る炭素の割合、質量で数える割合、そして帳簿上で割り当てるマスバランス方式という、まったく性格の違う3つの数え方が混在しています。 この記事は、規格団体・認証制度・企業と査読論文の公式資料から、何を数えた数字なのかと、どこまで実用化が確認できるのかを整理します。

構成:ISO・ASTM・ISCC の公式ページ、MGC ウッドケムの報告(J-STAGE)、三井化学・Columbia Forest Products の公式資料、査読論文(オープンアクセスの総説)を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

ヒーロー画像:植物の原料から、接着剤、貼り合わせた木材と紙へ
概念図(AI生成イメージ)。植物の原料(ひまし油の種子、大豆、植物油)から、接着剤をつくり、木材と紙を貼り合わせるまでの流れを表現したものです。実際の製品・配合・原料の産地や、バイオ度を示すものではありません。
この記事の構成
  1. バイオベースの接着剤・封止材とは何か(3行でつかむ)
  2. 原料の地図 ― 何が、どんな接着剤になるのか
  3. 「バイオ度」の3つの数え方と、測定規格
  4. 本稿の計算:同じ分子が「28.6%」にも「33.5%」にもなる
  5. マスバランス ― 帳簿で割り当てる方式
  6. 本稿の計算:同じ製品が「10%」「100%」「0%」になりうる
  7. 素材技術者の視点①:「ドロップイン型」と「新素材型」は、課題がまったく違う
  8. 性能と課題 ― 耐水・反応性・コスト
  9. 実用化の例(公式資料で確認できたもの)
  10. 素材技術者の視点②:数字を見たら、まず確かめる3つのこと
  11. 課題と、本稿で確認できなかったこと
  12. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公表資料・規格団体・認証制度・査読論文に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値(仮の数字を含む)
未確定/将来=計画・見通しであり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。 製品の性能値は、グレード・試験条件が異なるため、並べて優劣をつけることはしません。 会社名は出典の所在を示すもので、優劣を論じるものではありません。 バイオ由来であることは、他の素材の優劣を意味するものではありません。

1. バイオベースの接着剤・封止材とは何か(3行でつかむ)

3行でつかむ
  • 原料の一部または全部が、植物などのバイオマスに由来する接着剤・封止材です。「バイオ由来」と「生分解性」は別の性質です(本シリーズ「バイオプラスチック」編を参照)。
  • 課題は、耐水性・反応性・コストです。総説は、バイオ系接着剤の研究の最優先は接着性と耐水性の向上だと述べています事実[参考資料13]。
  • 「バイオ度」の数字は、3つの数え方があります。分析で確かめられる数字と、帳簿上の割り当てが混在するため、数字の意味を確かめることが先です(第3〜6章)。

バイオ系の接着剤は、新しいものではありません。 総説は、バイオ系の接着剤が数千年にわたって使われてきた一方で、湿気や水のある環境での安定性に昔から問題があったとしています事実[参考資料13]。 タンパク質を主成分とする接着剤も、長く使われてきましたが、20世紀の初めに、主に耐湿性の高さから合成接着剤に置き換えられました事実[参考資料14]。 いま改めて関心が集まっているのは、ホルムアルデヒドの規制や、石油由来の高分子への依存を減らしたいという要請があるためです事実[参考資料13・14]。 再生可能であること以外の利点を論じた総説もあります(Heinrich, Green Chemistry 2019。本稿は書誌情報と要旨の確認にとどまり、本文は確認できていません)[参考資料19]。

この記事の対象は、接着剤と、封止・ポッティングなどの材料です。 ただし、封止材については、本稿が確認した範囲で、バイオベースの実用例を公式の資料で確認できたものはありません(第9章)。 このため、記事の中心は、実用化が先行する木質用の接着剤と、バイオ度の数え方です。 バイオ度の測定規格(ASTM D6866、ISO 16620-1)の基本は「バイオプラスチック」編で扱っており、この記事は接着剤・封止材の立場から、さらに踏み込みます。 シリコーンの「バイオ由来」は「シリコーン」編、エポキシは「エポキシ樹脂」編、接着剤の基本は「接着剤」編を参照してください。

2. 原料の地図 ― 何が、どんな接着剤になるのか

接着剤の原料になるバイオマスは、大きく分けて、タンパク質、でんぷん、リグニン、タンニン、植物油などです。 さらに、バイオマス由来のナフサやメタンを使って、従来と同じ化学品(フェノール、メタノールなど)を作る方法もあります。 公式の資料で確認できた範囲を、原料ごとに整理します。

バイオマス原料と、接着剤の系統(本記事による整理) 左から、原料 → おもな加工 → 接着剤の系統。出典で確認できたものだけを実線で示した。 原料 おもな加工・改質 接着剤の系統 大豆などのタンパク質 でんぷん リグニン(パルプの副産物) タンニン 植物油(大豆・ひまし油・アマニ) バイオマスナフサ・バイオメタン 変性・架橋で耐水性を高める エステル化・酸化・架橋 フェノールの一部を置き換える 木質接着剤の原料として検討 ポリオールに変えて使う 従来と同じフェノール・メタノールへ 木質用の接着剤 紙・木質用の接着剤 合板用フェノール樹脂接着剤 木質用の接着剤 ポリウレタン接着剤 フェノール樹脂接着剤(合板) セルロース、フラン系、エポキシ化植物油:本稿の一次情報では、接着剤での実用例を確認できなかった ※ タンパク質[参考資料12・14]、でんぷん[15]、リグニン[11・17]、タンニン[13]、植物油[16]、  バイオマスナフサ・メタン[10・11]の記載にもとづく。 ※ 接着剤の系統は、公表資料が扱う用途の例であり、各原料のすべての用途を示すものではない。
図1 概念図(ベクター作図)。バイオマス原料から接着剤の系統へ向かう流れを、公表資料が扱う例にもとづいて整理した図です。原料ごとの出典は図の注記のとおりで、整理のしかたは本記事によるものです。各原料の成熟度や優劣を示すものではありません。
原料公表内容(出典の記載)出典
タンパク質(大豆など)木質製品の約80%が接着剤を使う。タンパク質系の接着剤は長く使われてきたが、20世紀初めに、主に耐湿性の高さから合成品に置き換えられた。いま、低毒性・再生可能・環境負荷の低さから再び関心が集まる。Columbia Forest Products は、大豆を使うホルムアルデヒド無添加の合板の製法(PureBond)を公表している[14][12]
でんぷん紙や木質の表面向けの石油フリー接着剤の原料として関心が集まる。ただし、水酸基が水と水素結合するため、生でんぷんは耐水性の接着剤にしにくい。エステルなどの疎水基の導入、酸化、架橋などの改質が報告されている[15]
リグニン製紙で副産物として年5,000万トン超が出るが、約95%は燃やされて薬品回収とエネルギーに使われる。難分解で不均一・複雑な構造のため使いにくい。リグニンを使った木質製品は、商品化されたものがごく少ない。MGC ウッドケムは、木材中に20〜30%含まれること、フェノールより反応性が劣ること、フェノールの一部を置き換えた樹脂は現状の合板の製造条件で使えるものがあるが、置換はまだ部分的であることを述べる[17][11]
タンニン総説は、ホルムアルデヒドを使わないバイオ系の木質接着剤の原料として、タンニン、リグニン、タンパク質に注目している。ただし、石油由来の一部の原料より反応性が低いことが、製造コストの上昇、資源の入手性、毒性の確認の必要につながる[13]
植物油大豆油、ひまし油、アマニ油などのトリグリセリドを化学的に変えて、ポリウレタン接着剤をつくる。ポリオールの合成には、エポキシ化と開環、ヒドロホルミル化、チオール–エン反応、オゾン分解、エステル交換などが調べられている。バイオ系ポリウレタン接着剤で再生可能でないイソシアネートを使うことが現状の制約として挙げられ、バイオ由来のイソシアネートの開発が、再生可能な割合を高める研究課題として示されている[16]
バイオマスナフサ・バイオメタン三井化学は、バイオマスナフサをナフサクラッカーに投入し、マスバランス方式で割り当てた化学品(フェノール、アセトン、エチレンオキサイドなど)の販売を始めるとした(2021年)。MGC ウッドケムは、そのバイオマスフェノールと、バイオマスメタン由来のバイオマスメタノールから、合板用のフェノール樹脂接着剤をつくる取り組みを述べている[10][11]

すべて事実(企業・著者・査読論文の記載。企業の取り組みは各社の公表内容で、実績の規模や量は確認できていません)。

3. 「バイオ度」の3つの数え方と、測定規格

「バイオ由来○%」と書かれていても、何を数えた数字かは、規格や制度によって違います。 本稿が公式ページで確認できた範囲では、次の3つの数え方があります。

「バイオ度」の3つの数え方(本記事による整理) 同じ「○%」でも、数えているものが違う。 ① 炭素の割合 放射性炭素(14C)法 ② 質量の割合 14C+元素分析 ③ 帳簿の割り当て マスバランス方式 数えるもの規格・制度分析で確かめられるか 数えるもの規格・制度分析で確かめられるか 数えるもの規格・制度分析で確かめられるか 炭素原子のうち、バイオマス由来の炭素の割合 ASTM D6866ISO 16620-2 確かめられる(14C を測る) 製品の質量のうち、バイオ由来の部分の質量の割合 ISO 16620-4ISO 16620-1(計算法) 組成の記載と14C・元素分析が要る 工場全体の物質収支でバイオ原料の投入量を製品に割り当てる ISO 22095-2ISCC PLUS 製品そのものでは区別できない(解説) ISO 16620-3=バイオ由来の合成ポリマーの含有率、ISO 16620-5=含有率の宣言・表示の要件。 ①②は製品を分析して確かめられる数字、③は帳簿上の割り当てで、性格が違う。 ※ 規格の記載は ISO[参考資料1〜5・7・8]、ASTM[6]、ISCC[9]の公式ページによる。整理のしかたは本記事による。
図2 概念図(ベクター作図)。バイオ度の3つの数え方を並べた図です。規格の内容は ISO[参考資料1〜5・7・8]、ASTM[参考資料6]、ISCC[参考資料9]の公式ページの記載にもとづきます。3つへの整理と、「製品そのものでは区別できない」という読み取りは本記事のもので、規格の記載そのものではありません。
規格公式ページの記載版・状態
ISO 16620-1
Part 1: General principles
プラスチック製品のバイオベース含有率を求める一般原則と計算法。計算は炭素の質量、または各構成要素の質量にもとづく2015年4月、11ページ、2025年に確認(現行)[1]
ISO 16620-2
Part 2: Determination of biobased carbon content
単量体・ポリマー・プラスチックのバイオベース炭素含有率を、14C の測定にもとづいて求める計算法2019年10月、24ページ、2024年に確認。改訂が作成中(ISO/AWI 16620-2)[2]
ISO 16620-3
Part 3: Determination of biobased synthetic polymer content
バイオベースの合成ポリマーの含有率を、その質量にもとづいて求める計算法2015年4月、7ページ、2025年に確認(現行)[3]
ISO 16620-4
Part 4: Determination of biobased mass content
放射性炭素分析と元素分析にもとづいて、プラスチック製品のバイオベース質量含有率を求める。炭素を含み、元素組成とバイオベース炭素含有率の記載があることが条件第2版、2024年2月、14ページ[4]
ISO 16620-5
Part 5: Declaration of biobased carbon content, biobased synthetic polymer content and biobased mass content
上記の含有率の宣言とラベルの要件2017年1月、7ページ。改訂が作成中(ISO/AWI 16620-5)[5]
ASTM D6866
Standard Test Methods for Determining the Biobased Content of Solid, Liquid, and Gaseous Samples Using Radiocarbon Analysis
放射性炭素分析で、固体・液体・気体の試料のバイオベース含有率を求める試験法。作物の収穫のように、大気中の CO2 と平衡にあった炭素を持つ材料に、化石由来の炭素と直接区別して測れるとする。方法 B(加速器質量分析と同位体比質量分析)、方法 C(液体シンチレーション)があり、室間の総合不確かさは最大 ±3%(絶対値)D6866-24(2025年1月更新)[6]
ISO 22095
Chain of custody — General terminology and models
トレーサビリティ(チェーン・オブ・カストディ)の枠組み。一貫した手法、用語、各モデルの一般要件を定める。単独では、組織の材料・製品についての主張を裏づけられない。チェーン・オブ・カストディの仕組みがあるだけでは、製品の特性や生産条件が定まるわけではないと明記している2020年10月、32ページ。2026年の追補あり[7]
ISO 22095-2
Chain of custody — Part 2: Requirements and guidelines for mass balance
マスバランス方式の要求事項と指針。管理混合・ブック&クレームとの違い、システム境界(地理・時間)、換算係数、ローリング平均割合法、クレジット法、透明性と主張を扱う2026年1月、45ページ[8]

すべて事実(規格団体の公式ページの記載。規格本文は有料のため、題名・適用範囲・状態の記載にとどめます。ASTM は題名と適用範囲の要約のみです)。

読み取り:ISO 16620 は「プラスチック」の規格

ISO 16620 の第1〜5部は、いずれも「プラスチック製品、プラスチック材料、ポリマー樹脂、モノマー、添加剤」を適用対象とし[参考資料1〜5]、接着剤という語は適用範囲に出てきません。 接着剤・封止材の多くは樹脂を主成分にしていますが、規格の適用範囲の記載だけからは、接着剤そのものに直接当てはまるかは断定できません(本記事による解説)。 実務では、ASTM D6866 のような試料を選ばない試験法で測る、あるいは、顧客との間で適用する規格と計算法を合意しておく、といった確認が必要になると考えられます。 なお、14C 法で測れるのは、炭素が大気中の CO2 と平衡にあった材料由来かどうかです[参考資料6]。 帳簿上の割り当て(③)は、これでは確かめられません(第5章)。

4. 本稿の計算:同じ分子が「28.6%」にも「33.5%」にもなる

炭素基準(①)と質量基準(②)が、どれくらい違う数字になるのかを、エポキシ樹脂の代表的な分子で確かめてみます本稿の計算。 ここでは、ビスフェノール A のジグリシジルエーテル(DGEBA、n=0)を使い、エピクロロヒドリン由来のグリシジル基(2個)だけが、バイオ由来と仮定します(仮定の例であり、実在の製品の原料構成ではありません)。

同じ分子が「28.6%」にも「33.5%」にもなる(本稿の計算) DGEBA(n=0、C21H24O4)で、グリシジル基2個だけがバイオ由来と仮定した例。実在の製品の組成ではない。 グリシジル基 C3H5O(炭素3、質量57.07) ビスフェノール A 由来の骨格(化石由来と仮定) C15H14O2(炭素15、質量226.28) グリシジル基 C3H5O(炭素3、質量57.07) 全体:炭素 3+15+3 = 21、質量 57.07+226.28+57.07 = 340.42 ① 炭素基準(14C 法に相当) 6 ÷ 21 = 28.6% ② 質量基準 114.14 ÷ 340.42 = 33.5% 同じ分子でも、炭素で数えるか、質量で数えるかで、数字が約5ポイント違う 硬化剤などは含まない。ISO 16620-4 の計算は質量の取り方に規定があり、ここでは単純化している
図3 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。DGEBA(n=0)のうちグリシジル基2個だけがバイオ由来と仮定した場合の、炭素基準と質量基準の値です。仮定にもとづく例であり、実在の製品の原料構成や公表値ではありません。硬化剤は含みません。
本稿の計算:前提と手順
  • 前提:DGEBA(n=0)の分子式は C21H24O4。2個のグリシジル基(C3H5O)がエピクロロヒドリン由来でバイオ由来、残り(ビスフェノール A 由来の C15H14O2)は化石由来と仮定。原子量は C=12.011、H=1.008、O=15.999。
  • 炭素基準:バイオ由来の炭素は 3×2=6 個、全炭素は 21 個。6÷21 = 約28.6%。
  • 質量基準:グリシジル基の質量は 3×12.011+5×1.008+15.999 = 57.072、2個で114.144。分子全体は21×12.011+24×1.008+4×15.999 = 340.419。114.144÷340.419 = 約33.5%。

前提と限界:実際のエポキシ接着剤は、硬化剤、フィラー、添加剤を含み、それらのバイオ由来の割合で数字は変わります。 エピクロロヒドリンを植物由来の原料から作る方法があるとされますが、本稿では企業の公表資料を確認していません(解説)。 ここから言えるのは、「同じものを測っても、数え方で数字が変わる」という点です。 参考として、査読論文は、あるバイオ系エポキシ樹脂(Polar Bear)について「バイオ由来の炭素が28%(全有機炭素に対する割合)」と記載しています事実[参考資料18]。 この例のように、バイオ系をうたうエポキシでも、バイオ由来の炭素は全体の一部にとどまる場合があります。

5. マスバランス ― 帳簿で割り当てる方式

化学品のサプライチェーンでは、バイオマス由来の原料が、石油由来の原料と同じ設備のなかで混ざります。 そこで、投入したバイオ原料の量を、帳簿上で製品に割り当てるのが、マスバランス方式です。

  • ISCC PLUS:ISCC は、ISCC PLUS を代替原料の持続可能性の特性を確認する任意の認証制度とし、物理的な分離、管理混合、マスバランスの3つのトレーサビリティの方法を提供するとしています。サプライチェーンのすべての要素が認証を受ける必要があり、拠点ごとに証明書が発行され、有効期間は12か月です。代替原料は、バイオ循環原料(廃食用油、トール油、農林業の残渣など)、バイオ原料(持続可能に栽培された農作物・森林バイオマス)などに分類されます事実[参考資料9]。
  • 三井化学:2021年11月24日、大阪工場で ISCC PLUS 認証を取得したと発表しました。バイオマスナフサをナフサクラッカーに投入して、その誘導品を認証制度にもとづくマスバランス方式で割り当て、バイオマス化学品・樹脂の販売を始めるとしています(バイオマスナフサのクラッカー投入は日本初とする)。展開可能な製品に、フェノール、アセトン、エチレンオキサイドなどを挙げています。同社は、マスバランス方式を、バイオマス原料の割合を認証された手法で最終製品に割り当て、顧客が自らの意思で使用原料のバイオマス化を選べる方法と説明しています事実[参考資料10]。
  • MGC ウッドケム:三井化学の ISCC PLUS 認証のバイオマスフェノールを使い、合板用フェノール樹脂接着剤の試験製造を始めたと述べています。同社は、このバイオマスフェノールは廃食用油や残渣油などから作ったバイオマスナフサの誘導品で、化石原料のナフサと化学的な差異がないため、できる樹脂は従来の接着剤と性状や構造の違いがなく、従来と変わらない合板の製造条件で使え、接着性能にも差異がないとしています(メーカーの主張)。ホルムアルデヒドの原料のメタノールも、バイオマスメタンなどから作った ISCC PLUS 認証のバイオマスメタノールを使い始めたとしています事実[参考資料11]。
  • ISO 22095:トレーサビリティの仕組みがあるだけでは、製品の特性や生産条件が定まるわけではないとし、単独では製品についての主張を裏づけられないと明記しています[参考資料7]。2026年1月発行の ISO 22095-2 は、マスバランスのローリング平均割合法とクレジット法、システム境界、換算係数などを扱います[参考資料8]。

本稿の計算:同じ製品が「10%」「100%」「0%」になりうる

マスバランスで、割り当て方によって、数字がどう変わるかを、仮の数字で確かめます本稿の計算。 実際の制度(ISCC PLUS や ISO 22095-2)の詳細な規則は本稿で確認できていないため、ごく単純化した例です。

  • 仮定:1つの工場が、年に化石原料900 t とバイオ原料100 t(計1,000 t)を投入し、換算係数は1(収率は同じ)として、製品1,000 tを出荷する。製品は物理的にはどれも同じ。
  • 方式A(ならす):製品1,000 t のすべてに、バイオ割合10%を割り当てる。
  • 方式B(特定の製品に集める):製品のうち100 t に100%、残りの900 t に0%を割り当てる。
マスバランスの割り当て:同じ製品が「10%」「100%」「0%」になりうる(本稿の計算) 仮の数字による単純化した例。実際の ISCC PLUS・ISO 22095-2 の規則を再現したものではない。 投入(年) 化石原料 900 t バイオ原料 100 t 計 1,000 t 同じ設備で混ざる 製品 1,000 t 物理的には どの1トンも同じ 分析しても、 割り当ては見えない 方式A:ならす 1,000 t のすべてが「バイオ10%」 方式B:特定の製品に集める 100 t:バイオ100% 900 t:0% 100 t の購入者は、どちらの方式でも、物理的にはほかの1トンと同じ材料を受け取る 方式A:「10%」 方式B:「100%」(ほかの900 t の購入者は「0%」) 製品を14C 法で分析しても、投入したバイオ原料の割合がならされて現れるだけで、 「どの製品にどれだけ割り当てたか」は、分析では分からない だから、どの数え方か、どの方式で割り当てたかを、数字とセットで確かめる必要がある ※ 換算係数1、収率が同じ、バイオ原料の炭素がすべて現代の炭素という仮定。ローリング平均割合法・クレジット法の名称は ISO 22095-2[参考資料8]による。 ※ 割り当てた量や認証の範囲は、制度ごとに規則がある。本図は理解のための単純化で、実在の制度の割り当てを示すものではない。
図4 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。仮の数字(投入1,000 t のうちバイオ原料100 t)で、割り当て方による「バイオ割合」の違いを示した図です。方式の名称(ローリング平均割合法、クレジット法)は ISO 22095-2[参考資料8]によります。実際の制度の規則を再現したものではなく、製品分析で割り当てが見えないという説明は本記事の解説です。

前提と限界:図の方式A・Bは、ISO 22095-2 が挙げる2つの方法(ローリング平均割合法とクレジット法)をごく単純化した姿で、実際には、システム境界(地理・時間)、換算係数、認証の範囲などの規則があります[参考資料8]。 また、バイオ原料の炭素がすべて現代の炭素で、収率が同じという仮定を置いています。 言えるのは、帳簿上の「○%」は、製品を分析して確かめる数字ではなく、割り当て方で変わるということです(本記事による解説)。 欧州委員会の政策枠組みが、マスバランスによる割り当てを実際のバイオ含有率の確認方法としては慎重に扱っている点は、本シリーズ「バイオプラスチック」編を参照してください。

7. 素材技術者の視点①:「ドロップイン型」と「新素材型」は、課題がまったく違う

素材技術者の読みどころ:同じ「バイオ由来」でも、材料としては別の種類

ここまでの事例を、できあがる分子が従来品と同じかどうかで分けると、課題の種類が大きく2つに分かれます(本記事による整理)。

  • ドロップイン型:バイオマスナフサやバイオメタンから、従来と同じフェノールやメタノールをつくる方法。MGC ウッドケムは、バイオマスフェノールを化石原料のナフサと化学的な差異がないとし、できる樹脂も従来と性状や構造の違いがなく、接着性能にも差異がないとしています(メーカーの主張)[参考資料11]。材料としての課題は小さく、原料コストと供給が残る、と同社は述べます[参考資料11]。
  • 新素材型:リグニン、でんぷん、タンパク質、植物油など、従来の原料とは別の物質を使う方法。MGC ウッドケムは、リグニンについて、複雑で不均一な構造、フェノールに比べて低い反応性のため、適した合成条件と配合条件を見つける必要があったと述べています[参考資料11]。でんぷんは耐水性[参考資料15]、リグニンやタンニン系のポリウレタンは脆さと耐水性[参考資料16]が課題に挙がります。

この違いは、バイオ度の数字の意味にも響きます。 ドロップイン型は、製品が従来品と同じなので、帳簿上の割り当て(マスバランス)で数字をつけることが多いと考えられます。 新素材型は、物理的にバイオマス由来の炭素が入っているので、14C 法で確かめられる数字になります(いずれも本記事による解説)。

ドロップイン型と新素材型(本記事による整理) できあがる分子が従来と同じかどうかで、課題の種類が変わる。 ドロップイン型 バイオ原料から、従来と同じ分子をつくる 新素材型 従来とは別の物質(リグニン・でんぷん等)を使う できる分子性能の作り込みバイオ度の数字公表されている課題 できる分子性能の作り込みバイオ度の数字公表されている課題 従来品と化学的に同一(MGC ウッドケムの説明) 従来の条件で使えるとされる(メーカーの主張) 多くは帳簿上の割り当て製品では区別できない 原料のコストと供給(MGC ウッドケム) 従来品とは別の物質(本記事の整理) 耐水・反応性・脆さを作り込む必要がある 物理的にバイオ炭素を含む14C 法で確かめられる 耐水・反応性・コスト資源の入手性 ※ ドロップイン型の記載は MGC ウッドケム[参考資料11]、新素材型の課題は[11・13・15・16]によります。 ※ 「バイオ度の数字」の欄は、本記事の解説です。実際には、両方を併用する製品もありえます。
図5 概念図(ベクター作図)。できあがる分子が従来品と同じかどうかで、課題の種類を2つに分けた図です。ドロップイン型の説明は MGC ウッドケム[参考資料11]、新素材型の課題は[参考資料11・13・15・16]の記載にもとづきます。「バイオ度の数字」の欄と2分類は本記事の整理・解説で、各社の見解ではありません。

8. 性能と課題 ― 耐水・反応性・コスト

課題公表内容(出典の記載)出典
耐水・耐湿総説:バイオ系接着剤は湿気や水のある環境での安定性に問題があり、パネルの強度と耐久性を損なうことがある。接着性と耐水性の向上が、研究の最優先事項。耐水性の評価には、ASTM D1151、D1183 にもとづく試験があり、たとえば室温(約23℃)の水に48時間浸してすぐにぬれ状態のせん断強さを測る方法、浸したあとに乾燥させて測る方法、煮沸する方法がある。ASTM D1151 は、湿度・温度の連続的な曝露の下での接着の性能を、もとの強さに対する保持率(%)で表す試験の手順。でんぷんは水酸基が水と水素結合するため耐水性にしにくい[13][20][15]
反応性と硬化総説:再生可能な原料は、石油由来の一部の原料より反応性が低く、そのため製造コストが上がる。MGC ウッドケム:リグニンはフェノールより反応性が劣るため、適した合成条件・配合条件が要る。作業性と接着性能を保つ場合、フェノールの置換はまだ部分的。使用率を上げることと、コストアップの抑制が課題[13][11]
材料の均一性・構造リグニンは難分解で、不均一かつ複雑な構造のため、化学品の出発原料として使いにくい[17][11]
脆さリグニン系ポリウレタンは、リグニンの剛直で複雑な芳香族構造のため脆く、柔軟性・延性が限られる。植物油系のポリウレタンは、脂肪族の構造のため、これより柔軟で延性がある、とされる[16]
コストと供給MGC ウッドケム:バイオマスの利用には、バイオマス原料分のコストアップと供給面の課題が残る。総説:資源の入手性の問題[11][13]
安全性の確認総説:代替系は、従来の系と比べるための毒性の確認が必要。ホルムアルデヒドは、毒性と揮発性、使用の制限から、置き換えの要請がある[13]
非バイオ成分の併用Columbia Forest Products の PureBond は、大豆のほか、ポリ酢酸ビニル(白い接着剤)やポリメリック MDI(pMDI)を使う製法を含む。バイオ系ポリウレタン接着剤では、再生可能でないイソシアネートを使うことが現状の制約として挙げられる[12][16]

すべて事実(企業・著者・査読論文の記載)。接着強度などの数値は、グレード・被着体・試験条件が異なるため、本稿では並べていません。

素材技術者の読みどころ:「バイオ由来」は、性能の保証ではない

総説が示す課題は、耐水、反応性、コスト、安全性の確認です。 バイオ由来であることは、これらのどれも解決してくれません。 とくに耐水は、湿熱後の強度の保持率(ASTM D1151 のような試験)で見るのが基本で、バイオ度の数字とは関係のない性能です(本記事による解説)。 また、バイオ由来であっても、毒性の確認は別に必要だとされています[参考資料13]。 接着強度試験の読み方は、本シリーズ「接着強度試験」編を参照してください。

9. 実用化の例(公式資料で確認できたもの)

実用化の例は、企業の公式資料や、企業の報告で確認できたものに限ります。

例公表内容(出典の記載)出典
MGC ウッドケム
(合板・木質ボード用接着剤)
合板用・木質ボード用の熱硬化性接着剤の会社。合板は主にフェノール樹脂、木質ボードは主にユリア・メラミン・ホルムアルデヒド樹脂で、原料はいずれも化石資源由来。リグニン・フェノール樹脂(現状の合板の製造条件で使えるものがあるが、置換は部分的)、ISCC PLUS 認証のバイオマスフェノールによる合板用フェノール樹脂の試験製造(2022年)、バイオマスメタノールからバイオマスホルマリン、木質ボード用のバイオマス接着剤を生産・提供する予定。三菱ガス化学の「環境循環型メタノール」(排ガス CO2 や廃プラスチックなどから製造)にも触れている[11]
三井化学
(バイオマス化学品)
2021年11月24日、大阪工場で ISCC PLUS 認証を取得し、バイオマスナフサを原料とする誘導品をマスバランス方式で割り当てて販売を始めるとした。展開可能な製品にフェノール、アセトン、エチレンオキサイドなど(尿素は2022年4月時点で再審査中)[10]
Columbia Forest Products
(PureBond)
広葉樹合板のホルムアルデヒド無添加の製法で、大豆、ポリ酢酸ビニル、pMDI を使う。2006年からの技術で、2億枚超のパネルを製造した(同社の記載)。同社は、大豆系の PureBond が同社の生産の大部分を占めると記している。ページには、バイオ由来の含有率の数値は記載がない[12]
バイオ系エポキシ樹脂(参考)査読論文は、あるバイオ系エポキシ樹脂(Polar Bear)がバイオ由来の炭素28%(全有機炭素に対する割合)と記載している。これは複合材料のマトリックス樹脂の論文で、接着剤の実用例として確認したものではない[18]

すべて事実(企業・著者の記載。各社の取り組みの規模・量・市場での実績は、本稿では確認できていません)。

図6:合板の貼り合わせ工程(接着剤を塗って熱プレスする)
図6 概念図(AI生成イメージ)。合板の製造で、薄い単板に接着剤を塗り、重ねて熱プレスで貼り合わせる流れを表現したものです。合板用の接着剤の原料の説明は MGC ウッドケム[参考資料11]によります。特定の工場・装置・接着剤の外観を示すものではなく、バイオ由来の接着剤であることを示すものでもありません。
本稿で確認できなかったもの:封止材

半導体や電子部品の封止材・ポッティング材で、バイオベースをうたう製品を、企業の公式資料で確認できたものは、本稿ではありません。 封止材には、耐熱、耐湿、イオン性不純物、熱膨張など、接着剤とは別の厳しい要求があります(本シリーズ「半導体封止材」「アンダーフィル」編)。 そのうえで、バイオ由来の原料が使えるかどうかは、確認できた事実がなく、本稿は評価していません。 また、シリコーン製品のバイオ関連の取り組みは、本稿では確認できていません。

10. 素材技術者の視点②:数字を見たら、まず確かめる3つのこと

素材技術者の読みどころ:「バイオ由来○%」を読む、3つの確認
  1. どの数え方か。「炭素の割合(14C 法)」「質量の割合」「帳簿上の割り当て(マスバランス)」のどれか。最初の2つは製品を分析して確かめられる数字、最後は帳簿上の割り当てです(第3〜6章)。本シリーズ「バイオプラスチック」編のとおり、数字を見たら「14C 法か、質量か、帳簿上の割り当てか」を確かめるのが最初の一歩です。
  2. 何を含む数字か。樹脂だけか、硬化剤や添加剤を含めた製品全体か。たとえばエポキシの例では、樹脂の部分だけを数えると28.6%や33.5%でも、硬化剤が化石由来なら、製品全体の数字は下がります(本記事による解説)。
  3. 性能は別に確かめたか。耐水(湿熱後の強度保持率)、反応性(硬化条件)、脆さ、毒性の確認は、バイオ度の数字とは別です(第8章)。

ISO 22095 は、トレーサビリティの仕組みがあるだけでは、製品の特性が定まらないと明記しています[参考資料7]。 この記事の言葉に直せば、「帳簿上の数字」と「製品の性能」は、別々に確かめるものということです(本記事による解説)。

11. 課題と、本稿で確認できなかったこと

(1) 実用例の範囲

実用例は、木質用の接着剤(MGC ウッドケム、PureBond)と、バイオマス化学品の供給(三井化学)にとどまります。 セルロース、フラン系、エポキシ化植物油を使った接着剤・封止材で、企業の公式資料から確認できた実用例は、本稿ではありませんでした。 電子・半導体向けの封止材、車載、構造接着の分野での実用例も確認できていません。

(2) 規格の適用性と最新の版

ISO 16620 は「プラスチック」の規格で、接着剤そのものに直接当てはまるかは、適用範囲の記載だけからは断定できません。 ISO 16620-2 と -5 は、改訂が作成中です(2026年10月時点)。 ASTM D6866 は版が更新されうるため、使用時は最新版を確認してください。

(3) 数値の比較

接着強度、耐水性(保持率)、硬化条件、バイオ度の具体値を、製品や原料の間で並べて比べることはしていません。 グレード・被着体・試験条件が異なり、公表値の多くは各社の主張だからです。

(4) 制度・法令

日本のバイオマス識別表示制度や、EU・各国の環境表示の規制は、本稿では確認していません。 ISCC PLUS の詳細な規則(割り当ての計算、認証の範囲)も、公式ページの概要の確認にとどまっています。

(5) 文献の確認の範囲

Heinrich(Green Chemistry 2019)は、書誌情報と要旨のみを確認しました。 査読論文の総説は、オープンアクセスの全文で確認できたものに限っています。 タンニンや紙・段ボール用の接着剤の実用例も、一次情報では確認できていません。

この記事のまとめ
  • バイオ系の接着剤は古くからあり、耐水性が課題でした。総説は、接着性と耐水性の向上を研究の最優先とします事実
  • 「バイオ度」には3つの数え方があります。炭素の割合(14C 法)、質量の割合、帳簿上の割り当て(マスバランス)です事実
  • 同じ DGEBA の分子でも、数字が28.6%と33.5%になります。仮定の例です本稿の計算
  • マスバランスでは、同じ製品が「10%」「100%」「0%」になりえます。製品を分析しても、割り当ては見えません本稿の計算
  • ドロップイン型と新素材型で、課題の種類が違います。前者は原料コストと供給、後者は耐水・反応性・脆さです事実
  • 実用例は木質用の接着剤が中心です。封止材の実用例は、本稿では確認できませんでした事実

12. 用語集

バイオベース
原料の一部または全部が、植物などのバイオマスに由来すること。生分解性とは別の性質。
バイオベース炭素含有率
製品の炭素のうち、バイオマス由来の炭素の割合。14C の測定で求める。
バイオベース質量含有率
製品の質量のうち、バイオ由来の構成要素の質量の割合。炭素以外の元素も数える。
14C 法
放射性炭素(14C)を測り、現代の(バイオマス由来の)炭素と、化石由来の炭素を区別する方法。
マスバランス方式
工場全体の物質収支で、投入したバイオ原料の量を、製品に帳簿上で割り当てる方式。
チェーン・オブ・カストディ
材料や製品の流れを、供給網の全体で追跡し、記録する仕組み。
ISCC PLUS
代替原料(バイオ・循環・再生可能エネルギー由来)の持続可能性を確認する任意の認証制度。
ドロップイン
従来品と化学的に同じで、既存の設備・用途にそのまま使えること。
リグニン
木材の主成分のひとつ。製紙の副産物として出る。構造が複雑で不均一。
タンニン
植物に含まれるポリフェノール。木質接着剤の原料として検討されている。
ポリオール
水酸基を2つ以上持つ化合物。イソシアネートと反応してポリウレタンになる。
エピクロロヒドリン
エポキシ樹脂の原料。グリシジル基(エポキシ基を持つ基)を与える。
DGEBA
ビスフェノール A のジグリシジルエーテル。代表的なエポキシ樹脂。
pMDI
ポリメリック MDI。ポリウレタンや木質接着剤に使うイソシアネート。
耐水接着性
湿気や水に触れたあとも、接着の強さを保つ性質。保持率(%)で表す。
ホルムアルデヒド系接着剤
フェノール・ユリア・メラミンなどとホルムアルデヒドから作る、合板・木質ボード用の接着剤。

13. 参考資料(一次情報)

  1. ISO ISO 16620-1:2015 “Plastics — Biobased content — Part 1: General principles” https://www.iso.org/standard/63766.html
  2. ISO ISO 16620-2:2019 “Plastics — Biobased content — Part 2: Determination of biobased carbon content” https://www.iso.org/standard/72474.html
  3. ISO ISO 16620-3:2015 “Plastics — Biobased content — Part 3: Determination of biobased synthetic polymer content” https://www.iso.org/standard/63768.html
  4. ISO ISO 16620-4:2024 “Plastics — Biobased content — Part 4: Determination of biobased mass content” https://www.iso.org/standard/83892.html
  5. ISO ISO 16620-5:2017 “Plastics — Biobased content — Part 5: Declaration of biobased carbon content, biobased synthetic polymer content and biobased mass content” https://www.iso.org/standard/65218.html
  6. ASTM International ASTM D6866-24 “Standard Test Methods for Determining the Biobased Content of Solid, Liquid, and Gaseous Samples Using Radiocarbon Analysis” https://store.astm.org/d6866-24.html
  7. ISO ISO 22095:2020 “Chain of custody — General terminology and models” https://www.iso.org/standard/72532.html
  8. ISO ISO 22095-2:2026 “Chain of custody — Part 2: Requirements and guidelines for mass balance” https://www.iso.org/standard/84427.html
  9. ISCC「ISCC PLUS」(認証制度のページ) https://www.iscc-system.org/certification/iscc-certification-schemes/iscc-plus/
  10. 三井化学ニュースリリース「ISCC PLUS認証(国際持続可能性カーボン認証)の取得について」2021年11月24日 https://jp.mitsuichemicals.com/jp/release/2021/2021_1124/index.htm
  11. 山崎民男(MGC ウッドケム)「木質用接着剤のサステナブル化への取り組み」『木材利用システム研究』第9巻、17–20頁、2023年9月(DOI 10.34494/jwus.9.0_17) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jwus/9/0/9_17/_article/-char/ja
  12. Columbia Forest Products「PureBond」 https://www.columbiaforestproducts.com/purebond/
  13. Gonçalves ほか “Non-Formaldehyde, Bio-Based Adhesives for Use in Wood-Based Panel Manufacturing Industry—A Review”, Polymers 13(23), 4086 (2021). DOI 10.3390/polym13234086(オープンアクセス) https://doi.org/10.3390/polym13234086
  14. Raydan, Leroyer ほか “Recent Advances on the Development of Protein-Based Adhesives for Wood Composite Materials—A Review”, Molecules 26(24), 7617 (2021). DOI 10.3390/molecules26247617(オープンアクセス) https://doi.org/10.3390/molecules26247617
  15. Watcharakitti ほか “Modified Starch-Based Adhesives: A Review”, Polymers 14(10), 2023 (2022). DOI 10.3390/polym14102023(オープンアクセス) https://doi.org/10.3390/polym14102023
  16. Maulana, Wibowo ほか “Eco-Friendly and High-Performance Bio-Polyurethane Adhesives from Vegetable Oils: A Review”, Polymers 16(11), 1613 (2024). DOI 10.3390/polym16111613(オープンアクセス) https://doi.org/10.3390/polym16111613
  17. Karthäuser ほか “Lignin and Lignin-Derived Compounds for Wood Applications—A Review”, Molecules 26(9), 2533 (2021). DOI 10.3390/molecules26092533(オープンアクセス) https://doi.org/10.3390/molecules26092533
  18. Rossitti ほか “Cleavable Bio-Based Epoxy Matrix for More Eco-Sustainable Thermoset Composite Components”, Polymers 17(1), 88 (2025). DOI 10.3390/polym17010088(オープンアクセス) https://doi.org/10.3390/polym17010088
  19. Heinrich “Future opportunities for bio-based adhesives – advantages beyond renewability”, Green Chemistry 21(8), 1866–1888 (2019). DOI 10.1039/C8GC03746A(書誌情報と要旨のみ確認) https://doi.org/10.1039/C8GC03746A
  20. ASTM International ASTM D1151-00(2022) “Standard Practice for Effect of Moisture and Temperature on Adhesive Bonds” https://store.astm.org/d1151-00r22.html

14. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
ISO 16620-1 の題名・内容(一般原則と、炭素質量または各構成要素の質量にもとづく計算法)・版(2015年4月、11ページ、2025年確認)。適用対象(プラスチック製品・材料、ポリマー樹脂、モノマー、添加剤)ISO 16620-1:2015出典1 https://www.iso.org/standard/63766.html事実
ISO 16620-2 の題名・内容(14C の測定にもとづくバイオベース炭素含有率の計算法)・版(2019年10月、24ページ、2024年確認)・改訂作成中(ISO/AWI 16620-2)ISO 16620-2:2019出典2 https://www.iso.org/standard/72474.html事実
ISO 16620-3 の題名・内容(バイオベースの合成ポリマー含有率)・版(2015年4月、7ページ、2025年確認)ISO 16620-3:2015出典3 https://www.iso.org/standard/63768.html事実
ISO 16620-4 の題名・内容(放射性炭素分析と元素分析にもとづくバイオベース質量含有率、炭素を含み元素組成とバイオベース炭素含有率の記載があることが条件)・版(第2版、2024年2月、14ページ)ISO 16620-4:2024出典4 https://www.iso.org/standard/83892.html事実
ISO 16620-5 の題名・内容(含有率の宣言とラベルの要件)・版(2017年1月、7ページ)・改訂作成中(ISO/AWI 16620-5)ISO 16620-5:2017出典5 https://www.iso.org/standard/65218.html事実
ASTM D6866-24 の題名と適用範囲の要約(14C 分析によるバイオベース含有率、大気中の CO2 と平衡にあった炭素と化石由来炭素の直接の区別、方法 B・C、室間の総合不確かさが最大 ±3%)ASTM D6866-24出典6 https://store.astm.org/d6866-24.html事実
ISO 22095:2020 の枠組み(チェーン・オブ・カストディの一貫した手法・用語・一般要件)。単独では主張を裏づけられないこと、仕組みだけでは製品の特性や生産条件が定まらないこと。版(2020年10月、32ページ)ISO 22095:2020出典7 https://www.iso.org/standard/72532.html事実
ISO 22095-2:2026 の内容(マスバランス方式の要求事項と指針、システム境界、換算係数、ローリング平均割合法、クレジット法、透明性と主張)・版(2026年1月、45ページ)ISO 22095-2:2026出典8 https://www.iso.org/standard/84427.html事実
ISCC PLUS が代替原料の持続可能性を確認する任意の認証制度であること。物理的な分離・管理混合・マスバランスの3つの方法。サプライチェーンのすべての要素の認証、拠点ごとの証明書(有効12か月)。代替原料の分類(バイオ循環原料、バイオ原料など)ISCC PLUS のページ出典9 https://www.iscc-system.org/certification/iscc-certification-schemes/iscc-plus/事実
三井化学・プライムポリマー大阪工場の ISCC PLUS 認証取得(2021年11月24日)、バイオマスナフサのクラッカー投入(日本初とする)、マスバランス方式による割り当て、展開可能な製品(フェノール、アセトン、エチレンオキサイドなど、尿素は再審査中)、マスバランスの説明三井化学ニュースリリース出典10 https://jp.mitsuichemicals.com/jp/release/2021/2021_1124/index.htm事実
MGC ウッドケムの報告(合板は主にフェノール樹脂、木質ボードは主にユリア・メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、原料は化石資源由来。リグニンの含有率20〜30%、構造の複雑さ、低い反応性、置換は部分的。ISCC PLUS 認証のバイオマスフェノール・バイオマスメタノールの使用、化学的な差異がないという説明、マスバランスの説明、コストと供給の課題、三菱ガス化学の環境循環型メタノール)山崎民男(MGC ウッドケム)、木材利用システム研究 9, 17–20 (2023)出典11 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jwus/9/0/9_17/_article/-char/ja事実
Columbia Forest Products の PureBond(ホルムアルデヒド無添加の製法、大豆・ポリ酢酸ビニル・pMDI を使う、2006年から、2億枚超、大豆系が生産の大部分)。ページにバイオ含有率の記載がないことColumbia Forest Products「PureBond」出典12 https://www.columbiaforestproducts.com/purebond/事実
ホルムアルデヒド系接着剤の置き換えの要請。バイオ系接着剤の注目原料(タンニン・リグニン・タンパク質)、反応性の低さによるコスト・資源・毒性確認の課題。バイオ系接着剤が数千年使われてきたこと、湿気・水のある環境での安定性、接着性と耐水性の向上が研究の最優先。耐水性試験(ASTM D1151、D1183 にもとづくぬれ試験など)Gonçalves ほか, Polymers 13, 4086 (2021)出典13 https://doi.org/10.3390/polym13234086事実
木質製品の約80%が接着剤を使うこと。タンパク質系接着剤が20世紀初めに主に耐湿性の高さから合成品に置き換えられたこと。低毒性・再生可能・環境負荷の低さによる関心の再燃Raydan ほか, Molecules 26, 7617 (2021)出典14 https://doi.org/10.3390/molecules26247617事実
でんぷんが紙や木質の表面向けの接着剤原料として注目されること、水酸基が水と水素結合するため耐水性の接着剤にしにくいこと、疎水基の導入(エステルなど)・酸化・架橋などの改質Watcharakitti ほか, Polymers 14, 2023 (2022)出典15 https://doi.org/10.3390/polym14102023事実
植物油(大豆油・ひまし油・アマニ油)からのポリウレタン接着剤、ポリオールの合成法(エポキシ化と開環、ヒドロホルミル化、チオール–エン反応、オゾン分解、エステル交換)、再生可能でないイソシアネートの使用が現状の制約であること、リグニン・タンニン系ポリウレタンの脆さと低い耐水性、植物油系の柔軟さMaulana ほか, Polymers 16, 1613 (2024)出典16 https://doi.org/10.3390/polym16111613事実
リグニンが製紙の副産物として年5,000万トン超出ること、約95%が燃やされること、難分解で不均一・複雑な構造、リグニン系木質製品の商品化がごく少ないことKarthäuser ほか, Molecules 26, 2533 (2021)出典17 https://doi.org/10.3390/molecules26092533事実
バイオ系エポキシ樹脂(Polar Bear)が28%のバイオ由来炭素(全有機炭素に対する割合)をもつと記載されていること。複合材料のマトリックス樹脂の論文であることRossitti ほか, Polymers 17, 88 (2025)出典18 https://doi.org/10.3390/polym17010088事実
再生可能であること以外の利点を論じた総説が存在すること(書誌情報と要旨のみ確認)Heinrich, Green Chemistry 21, 1866 (2019)出典19 https://doi.org/10.1039/C8GC03746A事実
ASTM D1151-00(2022) の題名と、湿度・温度の連続的な曝露の下での接着の性能を、もとの強さに対する保持率(%)で表す試験の手順であることASTM D1151-00(2022)出典20 https://store.astm.org/d1151-00r22.html事実
DGEBA(C21H24O4)のうちグリシジル基2個だけがバイオ由来とした場合の炭素基準(6÷21=28.6%)と質量基準(114.144÷340.419=33.5%)。原子量 C 12.011、H 1.008、O 15.999。マスバランスの仮の数字による例(投入1,000 t、うちバイオ原料100 t、方式A:10%、方式B:100 t に100%・900 t に0%)本稿の計算。DGEBA の例は、グリシジル基が植物由来、ビスフェノール A 骨格が化石由来という仮定で、実在の製品の組成ではない。マスバランスの例は、換算係数1、収率が同じという単純化した仮の数字で、実際の制度の規則を再現したものではない本稿の計算
日本のバイオマス識別表示制度、EU・各国の環境表示の規制、ISCC PLUS の詳細な割り当て規則、セルロース・フラン系・エポキシ化植物油の接着剤での企業の実用例、電子・半導体向け封止材のバイオベースの実用例、タンニンや紙・段ボール用接着剤の実用例、シリコーンのバイオ関連の取り組み本稿の調査範囲では一次情報を確認できなかったため記載していない解説
ISO 16620 の適用範囲に接着剤が明記されておらず、直接当てはまるかは断定できないこと。「製品そのものでは区別できない」というマスバランスの読み取り。ドロップイン型と新素材型の2分類、バイオ度の数字の欄の整理。「バイオ由来は性能の保証ではない」という読み取り。3つの確認(どの数え方か、何を含む数字か、性能は別に確かめたか)。エポキシ化合物のバイオ度が硬化剤で下がること公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない解説
図1・図2・図3・図4・図5が説明のための作図であること。ヒーロー画像と図6がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月3日/出典は一次情報(規格団体・認証制度の公式ページ、企業の公式資料・報告、オープンアクセスの査読論文)に限定しています。 製品の性能値は並べて比べていません。企業の取り組みは各社の公表内容で、規模・量・市場での実績は確認していません。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 日本のバイオマス識別表示制度、EU・各国の環境表示の規制、ISCC PLUS の詳細な割り当て規則、セルロース・フラン系・エポキシ化植物油の接着剤での実用例、電子・半導体向け封止材の実用例、シリコーンのバイオ関連の取り組みについては、公開された一次情報で確認できなかった、あるいは扱わない方針のため記載していません。 第4章・第6章の計算は、仮の数字による理解のための例です。 図1・図2・図3・図4・図5はベクター作図、ヒーロー画像と図6はAI生成イメージであり、いずれも実際の製品・工場・配合・バイオ度を示すものではありません。