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車載用シリコーンと封止材 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

車載用シリコーンと封止材
― 電池パックとパワーモジュールで、材料に求められることは違う

EV のなかでは、バッテリーパック、パワー半導体モジュール、制御ユニット(ECU)に、シリコーンやエポキシなどの接着剤・封止材・ポッティング材が使われています。 同じ「シリコーン」でも、電池パックではセルを固定し、熱を逃がし、熱暴走の広がりを遅らせることが、パワーモジュールではチップとワイヤーを守り、温度サイクルの応力を逃がすことが仕事です。 この記事は、メーカーの公式資料と、AEC・ECPE・ISO・UL の公式資料から、何がどこに使われ、どんな試験で確かめられるのかを整理します。 材料のカタログ値よりも先に、部品・モジュールとしての試験に通ることが来る、という点が車載の特徴です。

構成:Dow・Wacker・信越化学・住友ベークライトの公式資料、AEC・ECPE(AQG 324)・ISO・UL の公式資料を一次情報として使用/最終更新 2026年10月

ヒーロー画像:EV バッテリーパックの内部を切り欠いた展示モデル
概念図(AI生成イメージ)。EV のバッテリーパックの内部を切り欠いた展示モデルで、セルと冷却板の間のギャップフィラーや、ポッティングされたモジュールを表現したものです。実際の製品・構造・材料の色や寸法を示すものではありません。
この記事の構成
  1. 車載で何が違うのか(3行でつかむ)
  2. EV のどこに、何が使われているか
  3. バッテリーパック:セル固定・ギャップフィラー・ポッティング
  4. 熱暴走と熱伝播 ― 材料はどこまで担えるのか
  5. 素材技術者の視点①:熱を通す材料と、熱を通さない材料が、同じパックに要る
  6. パワーモジュール:シリコーンゲルとエポキシ
  7. 素材技術者の視点②:高温化が、ゲルとエポキシに別の問いを立てる
  8. 評価:何をどの試験で確かめるのか
  9. 素材技術者の視点③:材料を変えることの重さ
  10. 課題と、本稿で確認できなかったこと
  11. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公表資料・規格団体の資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。 製品の物性値はメーカー公称(代表値)、試験結果はメーカー自身の試験であり、グレード・条件が異なるものを並べて優劣をつけることはしません。 会社名は出典の所在を示すもので、優劣を論じるものではありません。

1. 車載で何が違うのか(3行でつかむ)

3行でつかむ
  • 使う場所ごとに、求められることが違います。Dow は、EV の電池システム向けの材料を、電池パックの組立、電池の火災保護(BFP)、電子制御ユニット(ECU)の保護、バスバーやホースの絶縁という用途に分けています事実[参考資料1]。
  • 材料はシリコーンだけではありません。同じ Dow の電池向け製品には、熱伝導性のポリウレタン接着剤・ギャップフィラー・ポッティングフォームも並んでいます事実[参考資料1]。
  • 評価は、材料・部品・モジュール・システムの階層で行われます。AEC は部品、ECPE の AQG 324 はパワーモジュール、ISO 16750 は電気・電子のシステムと部品を対象にしています(第8章)。

前の記事「シリコーン」編で、シリコーンの基本(Si–O 結合、硬化方式、種類、低分子シロキサン、D4・D5・D6)を扱いました。 この記事はその続きで、車載という使い方に絞った内容です。 熱を伝える高熱伝導ペースト・ギャップフィラーそのものは、本シリーズ「高熱伝導ペーストとギャップフィラー」編で詳しく扱います。 封止材の基本は「アンダーフィル」「モールディング」「半導体封止材」編、熱応力の基本式は「熱膨張係数」編、エポキシは「エポキシ樹脂」編、ポリウレタンは「ポリウレタンとエラストマー」編を参照してください。

2. EV のどこに、何が使われているか

EV の主な発熱源と保護の対象は、バッテリーパック、パワーモジュール(インバーターなどのスイッチング素子)、制御ユニットです。 Wacker は、車載向けのシリコーンを、熱界面材料(TIM のギャップフィラーやポッティング材)、電池の組立(バスバーの被覆・シール・バルブ・冷却液コネクター)、車載パワーエレクトロニクス(シールと接着、ポッティングと封止)、電池の安全(ポッティング、コーティング、複合材料)に分けて紹介しています事実[参考資料3]。

EV のなかの、接着・封止材の使いどころ(本記事による整理) 場所を3つに分け、メーカーの公表内容から「何のために」「何を」を並べたもの。 バッテリーパック パワーモジュール 制御ユニット(ECU) 守る・つなぐもの守る・つなぐもの守る・つなぐもの セル・モジュール・バスバー 冷却板・上カバー チップ・ワイヤー・基板 冷却器との接合 電子部品・基板 電池管理システム 主な目的主な目的主な目的 セルの固定・組立 熱の伝達 熱暴走の広がりを遅らせる バスバーなどの絶縁 応力・振動・湿気から守る 電気絶縁 高温でも性能を保つ 熱を冷却器へ伝える 電気的な故障からの保護 過熱の抑制 熱を逃がす 材料の例(公表内容)材料の例(公表内容)材料の例(公表内容) 接着剤(ポリウレタン・シリコーン) ギャップフィラー ポッティング・フォーム・被覆 シリコーンゲル・封止材 エポキシ成形材 ギャップフィラー シリコーン(保護) サーマルゲル ※ 電池パックと ECU は Dow[参考資料1]、電池の安全・車載パワーエレクトロニクスの区分は Wacker[参考資料3・4]、  パワーモジュールは Dow[5]・住友ベークライト[7]・Wacker[4]によります。 ※ 3つに分けたこと、目的の整理は本記事によるものです。1つの材料が複数の場所で使われることもあります。
図1 概念図(ベクター作図)。EV のなかで接着・封止材が使われる3つの場所を、守るもの・目的・材料の例の順に並べた表形式の図です。電池パックと ECU は Dow[参考資料1]、電池の安全と車載パワーエレクトロニクスの区分は Wacker[参考資料3・4]、パワーモジュールの材料は Dow[参考資料5]と住友ベークライト[参考資料7]の記載によります。3つへの分け方と目的の整理は本記事によるもので、各社の分類そのものではありません。

3. バッテリーパック:セル固定・ギャップフィラー・ポッティング

Dow は、電池システム向けの材料として、接着剤、ギャップフィラー、ポッティングフォーム、封止材、熱材料を挙げ、これらが電池パックの組立、電池の火災保護、ECU の保護、バスバー・ホースの絶縁を支えるとしています事実[参考資料1]。 同社のページから、役割ごとに公表内容を整理します。

役割公表内容(出典の記載)出典
セルの固定・組立Dow:組立用接着剤は、製造中に電池セルの部品を接着して固定する。熱伝導性のポリウレタン接着剤(VORATRON MA 8300 シリーズ、2液・熱伝導率1.2 W/mK)は、セルからモジュール、セルからパック、セルからシャシーの各設計に使え、「構造用接着剤に匹敵する接着強さ」をうたう(メーカーの主張)。シリコーン系では、RTV 接着剤 DOWSIL EA-3838 が、20分以内に完全な固定時間に達し、オーブンやプライマーを要しないとする[1]
熱の伝達(ギャップフィラー)Dow:DOWSIL TC-5533 は、2液・熱伝導率3.0 W/mKの低密度ギャップフィラーで、電池パックの組立などに向ける。ポリウレタン系の VORATRON GF 1000 は、2液・熱伝導性で、押し付ける力が非常に小さい。Wacker:SEMICOSIL 9649 TC は、パワーエレクトロニクスと冷却系の間に使う、2液・付加硬化・熱伝導率約4 W/mKのギャップフィラー(メーカー公称)[1][4]
セル間のポッティング・フォームWacker:シリコーンのポッティングは、電池セル、セル接続系(コンタクトシステム)、ベント(排気部)を覆い、熱暴走を防いで隣接部品を守る、とする。Dow:シリコーンフォームとポリウレタンのポッティングフォームで、電池を熱イベントから守る[3][1][2]
シールとガスケットDow:DOWSIL 3-8259 RF シリコーンフォームキットは、2液・室温硬化で、部品の上に塗って一体の圧縮ガスケットを作る。液状シリコーンゴム(SILASTIC LSR)は、一体成形のシールや電気コネクター・ハウジング向け[1]
バスバー・カバーWacker:ELASTOSIL R 531/60 は、高電圧電池のバスバーを絶縁する押出成形のシリコーンゴムで、火災時にセラミック化して絶縁を保ち、短絡を防ぐ(メーカーの説明)。ELASTOSIL CM 145 は、電池カバー用の吹き付けのセラミック化コーティング[4][3]

すべて事実(メーカー公称・メーカーの説明。製品の例示であり、優劣を示すものではありません。熱伝導率の試験条件は各社の資料で確認してください)。

電池パックの断面と、材料のおおよその位置(概念図) 円筒形セルを横から見た断面の模式。寸法・層の厚さは実際と異なる。 ①②③④⑤ ① 上カバー・熱バリア(耐熱の被覆・シート) ② バスバー(絶縁・難燃の被覆) ③ セル間のポッティング材・フォーム(円筒セルの間を満たす) ④ ギャップフィラー(セルと冷却板の間) ⑤ 冷却板(冷却液の流路を持つ) セル上部の白丸=ベント(排気部)
図2 概念図(ベクター作図)。円筒形セルの電池パックを横から見た断面の模式で、各材料のおおよその位置を示します。ポッティングがセル・接続系・ベントを覆うこと[参考資料3]、バスバーのセラミック化被覆[参考資料4]、セルと冷却系の間のギャップフィラー[参考資料1・4]という公表内容にもとづきます。実際のパックの構造(セルの種類、配置、層の厚さ、冷却方式)を示すものではなく、本記事の作図です。

このように、一つの電池パックのなかで、接着・熱伝導・絶縁・難燃・シールという別々の役割が、別々の材料に割り当てられています。 次章では、そのうち設計上いちばん重い熱暴走への備えを、メーカー自身の説明と試験の読み方から見ていきます。

4. 熱暴走と熱伝播 ― 材料はどこまで担えるのか

電池の安全で、材料に最も重い役目が回ってくるのが熱暴走への備えです。 Dow の技術資料は、電池の安全上の懸念を2つに分けています事実[参考資料2]。

  • 1つのセルが熱暴走に入ること。原因として、内部短絡、過熱や過充電、衝撃や貫通を挙げ、製造欠陥や、デンドライト(樹枝状の析出)がセパレーターを貫通するような長期の劣化機構もありうるとする。結果は、ガス圧・炎・熱の激しい反応で、ベント(排気部)やケースが破れ、炎・高温ガス・粒子が隣のセルに飛ぶことがある。
  • その熱が隣のセルに伝わり、連鎖すること(熱伝播)。十分な熱が出ると、隣のセルも熱暴走に入り、連鎖反応になる。
規格の動き(Dow の説明)

Dow の資料は、中国の規格 GB 38031-2020 について、モジュールまたはパックでセルの熱的な事象が検知されてから5分以内に、外部への火災・爆発・煙が客室に入ってはならないと定めている、と説明しています。 目的は、乗員が逃げる時間と、消防が火災を抑える時間を確保することで、他の地域でも同様の規格が作られつつあり、OEM が規格を超える社内目標を設ける場合もあるとしています事実[参考資料2]。 本稿では GB 38031-2020 の本文は確認していません。上は Dow の資料による記載です。

材料でできること ― 「2番目の防御」

Dow の資料は、熱暴走と熱伝播を和らげる方法を3つに整理しています事実[参考資料2]。

  1. セルの段階で熱暴走の可能性をなくす。セルの化学や設計の改良は続いているが、熱暴走のリスクをなくすことはおそらくできない。
  2. モジュールやパックの組立で、電池の火災保護(BFP)材料を「2番目の防御」として使う。セルの内外、モジュールやパックの中で、熱暴走を封じ込めたり和らげたりして、熱伝播を防ぐ。
  3. モジュールやパックの段階で、内外にバリア材を使う。

材料の役割は、熱暴走を「なくす」ことではなく、「広がりを遅らせる」ことに置かれています。 Wacker も、熱暴走では熱の経路を断ち、熱の移動を止めること、熱伝播では損傷を限り、火が隣接する電池部品を突き破らないようにすることを目標に挙げています事実[参考資料3]。

メーカーの主張として読む:シリコーンと有機材料の比較

Dow の技術資料は、シリコーンの利点として次を挙げています事実[参考資料2](メーカー自身の主張です)。

  • 塗布・注入が容易で、硬化時の発熱が無視できるほど小さいため、組立中のセルを守れる。
  • 電池の運転中も、セルの強度・安定性・保護を保ち、多数の充放電サイクルに耐える。
  • シリコーンは Si–O 結合の結合エネルギーが高いため、有機材料より熱的に安定。極端な高温(熱暴走時)では、主に二酸化ケイ素(シリカ)に分解し、これは電気絶縁性のまま。一方、有機材料は燃焼して多量の分解ガスを出し、火災の燃料になりうる。
  • 有機材料でも、架橋密度を非常に高くして重量減少を抑えられるが、もろくなりやすく、高温で炭素質のチャー(絶縁性ではない)を残す。また、有機材料の一部は分解時に有毒な副生成物を出しうる。

これらは、メーカーの比較の主張です。具体的な有機材料・グレード・試験条件との比較値は、本稿では確認できていません。 同社の電池向けラインアップにもポリウレタンのポッティングフォームがあること[参考資料1]は、用途や条件により有機材料も使われることを示しています(本記事による解説)。

材料の形と、公表されている代表値

Dow は、BFP に関わるシリコーンの形を、液状シリコーンゴム(LSR)、高粘度シリコーンゴム(HCR)、シリコーンフォーム、シリコーンレジンに整理し、代表的な性質を表にしています。

形公表内容(Dow の技術資料の記載)
LSR
(液状)
硬化時間 1〜15分、粘度 1〜10 Pa·s、密度 1.1〜1.4 g/cm3、熱伝導率 0.3〜1 W/m·K、圧縮性「良」、難燃性「非常に良」。ポッティング材や低弾性率のゲルとして電池セルの間を埋め、電子・電気部品を封止して、セルの故障時に互いを隔離する。運転中は、機械的な振動などから守る。電池パックのカバーに塗って硬化させる使い方もある
シリコーンフォーム硬化時間 2〜15分、粘度 1〜10 Pa·s、密度 0.1〜0.5 g/cm3、熱伝導率 0.1 W/m·K 未満、圧縮性「非常に良」、難燃性「非常に良」。LSR または HCR をもとにした2液で、その場に塗って硬化、あるいはプレキャストのシートに。ガスケット(FIPFG)にも使う。シートは、セル間の振動減衰や、充放電と経年を通じた圧縮の維持に使う
HCR
(高粘度)
過酸化物で熱硬化。硬化時間 0.5〜5分、密度 1.1〜1.5 g/cm3、熱伝導率 0.3〜1 W/m·K、圧縮性「良」、難燃性「優」。高粘度で液状の塗布には向かず、成形品や押出品に向く。5分間の炎にさらしたシートは表面がセラミック化し、できた多孔質のセラミック層は、炎にさらす前よりも熱伝導率が大幅に低く、モジュールやセルの間の断熱層に向く
シリコーンレジンT 単位・Q 単位を多く含み、網目が緊密。シリコーンのなかで難燃性と熱安定性が最も高い。硬化物は、フィラーなしでヤング率が1 GPa 超になりうる。Dow は、M・D・T・Q の組成で、シリコーンエラストマーに典型的な弾性率(0.1〜2 MPa)から硬いレジンまで任意の弾性率を作れるとする。炎にさらされるとセラミック層を作り、炎や高温粒子の貫通に抵抗するコーティングに使う

すべて事実(Dow の技術資料の代表値・説明。試験条件は同資料に記載がなく確認できませんでした。値は Dow 自身のもので、他社製品や他種の材料との比較ではありません)。

Wacker は、薄く柔軟な熱バリア(ELASTOSIL CM シリーズ。熱伝播試験で良好な結果)と、硬いバリア(シリコーンレジン系の積層材や繊維強化複合材。火災時も機能が保たれ、保護用のセラミック層を作れる)を使い分けています事実[参考資料3]。

メーカー自身の試験:ミニモジュール試験

Dow の技術資料は、材料の絞り込みのために、材料物性 → 炎への暴露(UL 94 や、高温の炎と粒子の噴射を含むより高エネルギーの試験)→ 高温の熱伝導試験 → セル間試験 → ミニモジュール(セル群)試験 → モジュール・パック全体の試験という階層的な試験の進め方を挙げています事実[参考資料2]。 そのうちミニモジュール試験の例を、次のように紹介しています。

  • 構成:市販の18650円筒セルを3×3の9個、セル間隔0.8 mm(実際のモジュールで一般的な範囲として0.8〜2.0 mm を挙げる)で缶に入れ、中心のセルを過熱して熱暴走させる。
  • 対照:何も充填しない(ポッティングなし)の試験。何度かの対照試験で、中心セルの熱暴走が、残りのセルへの熱伝播を起こした。
  • シリコーンフォームの結果:中心セルは約130℃で発火し、全体で750℃超に達した。隣のセルは、十字位置(2・4・6・8)で約120℃、角(1・3・7・9)で約100℃、缶のふたは280℃。熱伝播は起きなかった。
Dow のミニモジュール試験:位置ごとの温度(メーカー自身の試験) 3×3 の18650セル、セル間隔0.8 mm、中心セルを過熱して熱暴走を起こした試験。 0200400600800 1,000 ℃ 中心のセル(5) 十字位置のセル(2・4・6・8) 角のセル(1・3・7・9) 缶のふた ポッティングなし:1,000 ℃超1,000 ℃超1,000 ℃超1,000 ℃超 750 ℃超約120 ℃約100 ℃280 ℃ ポッティングなし(対照) シリコーンフォーム(Dow 製品) ※ 数値は Dow の技術資料[参考資料2]の記載。対照は「1,000℃超」としか書かれず、棒の長さは目盛りの上限に合わせた作図です。 ※ 約130℃は中心セルの発火温度。メーカー自身の試験であり、第三者の確認や、他の構成・セルでの結果ではありません。
図3 概念図(ベクター作図)。Dow の技術資料[参考資料2]に載る、ミニモジュール試験の位置ごとの温度を棒で示した図です。対照の「1,000℃超」は実測値ではなく、上限に合わせた作図です。試験は Dow 自身によるもので、特定のセル・間隔・過熱による着火という条件での結果であり、他の構成での性能を保証するものではありません。

Dow は、この結果を、シリコーン封止材がセルを断熱し、熱伝播を防いだ例として示しています。 ただし同資料は、温度や時間のしきい値は、通常は顧客が決めること、セルの種類(円筒・角形・パウチ)が、適した BFP 材料の形を左右することも述べています事実[参考資料2]。 つまり、この結果は、特定の条件での「選別試験」の結果として読むべきものです(本記事による解説)。

UL 94 の限界

Dow の試験の階層には UL 94 が含まれます[参考資料2]。UL Solutions の説明では、UL 94 は小規模の試験で、プラスチック材料を小さな炎や放射熱にさらし、制御された実験室条件で評価します。 水平燃焼(HB)と垂直燃焼(V-0・V-1・V-2)の評価は、約5×1/2インチの試験片に3/4インチ・50 W のバーナーの炎を当てて決めます。 多くの UL 94 の結果は、厚さが13.0 mm を超える、または表面積が1 m2を超える材料には当てはまらないとされています事実[参考資料17]。

したがって、UL 94 V-0 などの評価は、熱暴走への対策を保証するものではありません(本記事による解説)。 材料の絞り込みの最初の段階の指標であり、セル間・ミニモジュール・パックの試験で、別に確かめる必要があります(Dow の階層の趣旨)。

5. 素材技術者の視点①:熱を通す材料と、熱を通さない材料が、同じパックに要る

素材技術者の読みどころ:同じ「シリコーン」でも、熱伝導率の役目が正反対

電池パックのなかには、熱を速く逃がしたい場所と、熱を伝えたくない場所があります。 公表されている代表値を並べると、その差がはっきりします事実[参考資料1・2・4]。

  • セルと冷却板の間(熱を逃がす):ギャップフィラー。Dow DOWSIL TC-5533 は3.0 W/m·K、Wacker SEMICOSIL 9649 TC は約4 W/m·K(いずれもメーカー公称)。
  • セルとセルの間(熱を伝えない):シリコーンフォーム。Dow の代表値は0.1 W/m·K 未満。LSR は 0.3〜1 W/m·K。

ギャップフィラーとフォームの熱伝導率の比は、3.0 ÷ 0.1 = 30 倍以上、4 ÷ 0.1 = 40 倍以上です本稿の計算 (フォームは「0.1 未満」なので、実際の比はさらに大きい。出所の違う資料・試験条件の違う値の比であり、同条件の比較ではありません)。

同じ材料系でも、フィラーを高充填すれば熱を通し、気泡を含ませれば熱を通さないように作り分けられている、ということです(本記事による解説)。 設計の勘所は、「どこで熱を通し、どこで止めるか」を、材料の配置として決めることにあります。 熱を通す側の詳細は、本シリーズ「高熱伝導ペーストとギャップフィラー」編で扱います。

本稿の計算:セル間を埋めるとき、フォームと LSR で質量はどう違うか

密度の差は、電池パックの質量に直結します。 Dow のミニモジュール試験と同じ配置(18650セルの正方配列、セル間隔0.8 mm)で、セル1個あたりの隙間の体積と、それを満たすときの質量を概算します本稿の計算。

  • 前提:18650 セルは直径18 mm・長さ65 mm の円柱(名称が示す寸法)。正方配列で、ピッチ=18+0.8=18.8 mm。隙間をすべて満たすと仮定(実際はセルの上下や外周にも空間があり、全充填はしない)。
  • 隙間の断面積:18.82=353.4 mm2、セルの断面積 π×92=254.5 mm2。差は約99.0 mm2(隙間の割合は約28%)。
  • セル1個あたりの隙間体積:99.0 mm2×65 mm = 約6.4 cm3。
  • 質量:フォーム(密度0.1〜0.5 g/cm3)は約0.64〜3.2 g、LSR(1.1〜1.4 g/cm3)は約7.1〜9.0 g。
  • 1,000セルあたり:フォーム約0.64〜3.2 kg、LSR 約7.1〜9.0 kg。
熱伝導率の差と、セル間を埋める質量の差(本稿の計算) 左:メーカー公称の熱伝導率。右:18650セルの正方配列(間隔0.8 mm)で隙間を全充填したときの、セル1個あたりの質量。 熱伝導率(W/m·K) セル1個あたりの充填質量(g) 01234 0246810 フォーム(Dow) LSR(Dow) TC-5533(Dow) 9649 TC(Wacker) 0.1 未満0.3〜13.0約4 フォームLSR 0.64〜3.27.1〜9.0 隙間の体積:約6.4 cm³/セル (直径18 mm・長さ65 mm、ピッチ18.8 mm と仮定) ギャップフィラーはフォームの30倍以上の熱伝導率。フォームの質量はLSRの約1/14〜約1/2 出所・試験条件の異なる代表値を用いた概算で、全充填は仮定。実際のパックの設計値ではない
図4 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。熱伝導率は Dow[参考資料1・2]と Wacker[参考資料4]の公称値、質量は Dow の密度の代表値[参考資料2]と、本稿が置いた仮定(18650セルの寸法、正方配列、全充填)から算出しました。出所の違う代表値の比較であり、実際のパックの設計値、充填量、質量ではありません。

前提と限界:実際の電池パックは、六方配列や、セルの上下・外周に隙間があり、全充填もしません。 また、Dow の LSR の密度1.1〜1.4 g/cm3 は、配合による幅を含む代表値です。 ここから言えるのは、「フォームのほうが軽い」という方向と、おおよその桁であり、パックの質量を計算するには、各製品のデータシートの値と、実際の充填量が必要です。

6. パワーモジュール:シリコーンゲルとエポキシ

インバーターなどで電力を切り替えるパワーモジュールは、一般に、セラミック基板の上に載ったパワー半導体のチップを、ワイヤーなどで配線し、冷却器につないだ構造です(本記事による説明)。 ECPE の AQG 324 は、この種のモジュールについて、多くの設計は気密封止されておらず、半導体チップとボンディングワイヤーが、たとえば湿気を通すシリコーンゲルに埋め込まれていると述べています事実[参考資料10]。 封止の方式は、大きく2つあります(本記事による整理)。

図5:ゲルで封止したモジュールと、エポキシで成形したモジュールの切り欠き
図5 概念図(AI生成イメージ)。ケース内を透明なゲルで満たしたパワーモジュールと、黒いエポキシで成形したモジュールを並べ、それぞれ一部を切り欠いた展示モデルを表現したものです。特定メーカーの製品の外観・内部構造・寸法を示すものではありません。
パワーモジュールの2つの封止方式(断面の概念図) 要素を単純化した模式。寸法・層の厚さ・チップ数は実際と異なる。 ゲル封止型(ケース型) エポキシ成形型(トランスファー成形) 123457 36 1 底板(冷却器へ接合) 2 セラミック基板(銅付き) 3 チップ 4 ボンディングワイヤー 5 シリコーンゲル(液状で注入・硬化) 7 ケース(壁・ふた) 6 エポキシ成形材(固形材を加熱成形して全体を覆う) 端子は成形材の外へ出る(リードフレームなど) ゲル型は上部に空間やふたがあり、成形型は樹脂が全体を覆う。 ※ ゲル封止の説明は AQG 324[参考資料10]・Dow[5・6]、エポキシ成形材は住友ベークライト[7・8]の記載にもとづく本記事の作図です。
図6 概念図(ベクター作図)。ゲル封止型(ケース型)とエポキシ成形型のパワーモジュールを、断面の模式で並べた図です。チップとワイヤーがゲルに埋め込まれていること[参考資料10]、固形のエポキシ成形材を用いる方式[参考資料7]という公表内容にもとづきます。実在のモジュールの構造を正確に描いたものではなく、層の厚さ・チップ数・端子の形は模式です。

(1) ゲル ― 応力を逃がす柔らかさ

Dow の2025年9月の発表は、EV の電池電圧が400 V から800 V へ上がり、第7世代の IGBT モジュールでは接合温度が上がるため、シリコーンゲルには強い絶縁性と高い耐熱性が必要になる、と述べています事実[参考資料5]。 同社の DOWSIL EG-4175 シリコーンゲルは、最大180℃に耐え、振動を吸収し、小さな亀裂を自己修復し、プライマーなしの接着(自己プライミング)をもち、室温で硬化する(加熱で時間短縮も可能)とされ、シリコーンオイルのにじみ(ブリード)が少ないことも特長に挙げられています(いずれもメーカーの主張)事実[参考資料5]。

Dow の選定ガイドは、ゲルを「最大の応力緩和と自己修復」、封止材(エンカプスラント)を「摩耗や損傷に強く、修理しやすい」と対比しています。 同社のラインアップのほとんどの封止材・ゲルは2液の付加硬化シリコーンで、ゲルの多くは表面に粘着性があり、プライマーなしで一般的な表面に付く。封止材には、標準品(強い接着が必要ならプライミングの工程が必要)と、100℃超で硬化させると多くの表面に付く自己プライミング品があり、硬さはショア 00 20 からショア A 65の範囲です。 また、シリコーンは一般に、ウレタンのように部品を乾燥するオーブンを要さず、エポキシのように発熱(エクソサーム)の心配がない、と主張しています事実[参考資料6]。

(2) エポキシ成形材 ― 硬さで守る

住友ベークライトは、SiC のパワー半導体が200℃を超える高温で動作できる一方、これまでの封止材は耐熱性が足りなかったと述べ、固形エポキシ成形材 SUMIKON EME-G785 シリーズの量産開始を2026年6月1日に発表しました事実[参考資料7]。 同社の説明は次のとおりです。

  • エポキシ成形材のTg を200℃超に上げると、一般に架橋密度が上がり、弾性率(剛性)が上がる。その結果、熱サイクル中の熱応力で、はく離や亀裂が起きうるというトレードオフがあり、高い Tg は理論上は可能でも実用は難しかった。
  • G785 は、主鎖の剛直化と架橋密度の最適化で Tg を高め、低応力化の技術で弾性率の上昇を抑えて、反りを抑え、チップや基板からのはく離と樹脂の亀裂を防ぐとする。
  • 同社の比較表では、Tg は G720・G780 が195℃、G785 が230℃。250℃・1,000時間の重量減少は G720 が2%超、G780・G785 が2%未満。
  • 耐熱が高いことで、焼結材や、冷却部品へのはんだ接合に対応でき、放熱性の向上につながる、とする。

同社は、G785 を次世代パワーエレクトロニクスの戦略製品と位置づけ、2030年度に売上100億円を目指すとしています未確定/将来[参考資料7]。 なお、同社の別のページ(パワー制御モジュール向け成形材)では、G785 の Tg が240℃と記載され、接着性(Ni)や絶縁破壊強さも載っています[参考資料8]。 2つのページで Tg の数値が異なる理由(測定法・改訂など)は、確認できませんでした(第9章)。

観点ゲル封止(ケース型)エポキシ成形(トランスファー成形)
材料の形2液の付加硬化シリコーンを液状で注入し、硬化[6]固形のエポキシ成形材を加熱して成形[7]
硬さ・応力ゲルは最大の応力緩和。封止材は摩耗に強い[6]Tg を上げると弾性率も上がり、熱サイクルではく離・亀裂が課題[7]
耐熱の公表値EG-4175:最大180℃[5]。KE-1066:−40〜200℃(使用温度範囲)[18]G785:Tg230℃(発表)または240℃(製品ページ)。重量減少(250℃/1,000時間)2%未満[7][8]
補修封止材は修理しやすい、ゲルは自己修復をうたう[6][5]本稿の資料では記載を確認できなかった
湿気ゲルは湿気を通す。湿気がパッシベーション層に届く[10]本稿の資料では記載を確認できなかった
絶縁の公表値KE-1066:絶縁破壊強さ 16 kV/mm(23℃)[18]G720・G780・G785:21〜22 kV/mm[8]

すべて事実(メーカー公称・規格団体の記載)。製品・試験条件・測定法が異なるため、値を並べて優劣をつけるものではありません。絶縁破壊強さの試験条件は、各ページで確認できませんでした。

7. 素材技術者の視点②:高温化が、ゲルとエポキシに別の問いを立てる

素材技術者の読みどころ:同じ「高温化」に、材料ごとに違う困難がある

SiC の採用や800 V 化でモジュールの接合温度が上がると、封止材には耐熱の要求が強まります。 ただし、ゲルとエポキシでは、困難の中身が違います(本記事による解説)。

  • ゲルの課題は、高温で柔らかさと接着を保つこと。Dow は、より高い接合温度に耐えるために、EG-4175 の耐熱を180℃とし、プライマーなしの接着とオイルのにじみの少なさを併記しています[5]。信越化学の KE-1066 も、高温でも基材との接着が良いことを特長に挙げます[18]。にじむ低分子成分の管理は、前の記事の低分子シロキサンの話とつながります。
  • エポキシの課題は、Tg を上げても弾性率を上げないこと。住友ベークライトは、これをトレードオフと明言しています[7]。本シリーズ「熱膨張係数」編の熱応力の式(弾性率 × 熱膨張係数の差 × 温度差)に当てはめれば、弾性率が上がると、同じ温度差で生じる応力が増えることになります。
  • 評価の入口が違う。ゲルは、湿気を通し、チップ表面まで水分が届く前提で、H3TRB(高温高湿逆バイアス)のような試験が重い意味を持ちます[10]。エポキシ成形材は、はく離と亀裂を、熱サイクル後の超音波探傷(音響顕微鏡)などで見ます(AEC-Q101 に TC 後の音響顕微鏡検査がある[12])。

本稿の計算:試験の温度幅と、材料の公称温度範囲を並べる

試験の温度幅と、材料の公表温度を、同じ温度軸に並べて温度差(ΔT)を計算してみます本稿の計算。

試験の温度範囲と、材料の公表温度(本稿の計算) ΔT は上限と下限の差。試験条件と材料の公称値は別の指標であり、大小の比較ではない。 −50050100150200250 ℃ AQG 324 熱衝撃試験 AEC-Q101 温度サイクル SEMICOSIL 9649 TC 信越化学 KE-1066 Dow のゲル・封止材(総称) Dow EG-4175 エポキシ G785 の Tg 試験 ΔT=165 K 試験 ΔT=最大205 K 熱衝撃に耐える ΔT=190 K 使用温度範囲 ΔT=240 K 持続使用 ΔT=245 K 上限のみ公表 使用上限ではない −40〜125 −55〜(定格の接合温度、150以下) −40〜150 −40〜200 −45〜200 上限180(下限は記載なし) 230(発表)/240(製品ページ) 計算:125−(−40)=165 150−(−55)=205 150−(−40)=190 200−(−40)=240 200−(−45)=245 青=試験の条件、緑=材料の公表温度、茶=エポキシの Tg(塗りつぶしが発表、白抜きが製品ページ) 試験は部品・モジュールの合否の条件で、材料が単独で認められる範囲ではない。Tg は使用温度の上限ではない
図7 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。AQG 324 の熱衝撃試験[参考資料10]、AEC-Q101 の温度サイクル[参考資料12]、Wacker[参考資料4]・信越化学[参考資料18]・Dow[参考資料5・6]の公称温度、住友ベークライトの Tg[参考資料7・8]を温度軸に並べ、ΔT は本稿が算出しました。試験条件と材料の公称値は別の指標で、エポキシの Tg は使用上限ではありません。数値の優劣を比べるものではありません。

前提と限界:AEC-Q101 の温度サイクルは、下限が−55℃、上限は部品の最大定格の接合温度(150℃を超えない)とされ、条件により400サイクルに短縮できる場合もあります[参考資料12]。 図の205 K は上限が150℃の場合の最大値です。 一方、AQG 324 の熱衝撃試験は−40℃〜+125℃、保持時間は15分超です[参考資料10]。 材料の欄は、Wacker のギャップフィラー(熱衝撃に耐える範囲)、信越化学のゲル(使用温度範囲)、Dow の選定ガイドの総称的な記述(持続使用温度)、EG-4175(上限のみ)と、性格の違う公表値です。 ここから言えるのは、試験の温度幅に比べて、材料の公表温度の幅が同程度かそれ以上で並んでいるという事実の整理にとどまります(本記事による解説)。

8. 評価:何をどの試験で確かめるのか

車載の評価は、対象の階層ごとに別の規格・ガイドラインがあります。 次の図は、本稿が確認できた公式資料の記載を、対象の大きさの順に並べたものです。

車載の評価は、対象の階層ごとに別の規格がある(本記事による整理) 下ほど対象が大きい。各規格の「対象」は、公式資料の記載にもとづく。 材料供給者の選別試験 半導体の部品AEC-Q100・Q101 など パワーモジュールECPE AQG 324 電気・電子の部品とシステムISO 16750 パック・車両規格・OEM の目標 物性 → UL 94 など炎の試験 → 高温の熱伝導試験 → セル間 → ミニモジュール → モジュール・パック(Dow の階層) 部品が「指定のストレス試験に合格」すること。熱サイクル、 高温高湿逆バイアス(H3TRB)、オートクレーブなど モジュールの熱衝撃、振動、機械的衝撃、パワーサイクル、 H3TRB など。チップや製造工程の認定は対象外 機械的負荷(第3部)、気候負荷(第4部)、化学負荷(第5部) 搭載位置ごとの環境ストレスと試験を規定(総則は第1部) 中国 GB 38031-2020 は、電池の熱的な事象の検知から5分の間に、 客室へ火災・爆発・煙が入らないことを定める(Dow の説明) ※ 材料と車両は Dow[参考資料2]、部品は AEC[11・12]、モジュールは ECPE[9・10]、システムは ISO[13〜16]によります。
図8 概念図(ベクター作図)。評価の対象と規格・ガイドラインを、対象の大きさの順に並べた図です。Dow の階層[参考資料2]、AEC の文書の位置づけ[参考資料11・12]、AQG 324 の適用範囲[参考資料10]、ISO 16750 の適用範囲[参考資料13〜16]の記載にもとづきます。階層に並べたのは本記事の整理で、各規格の間に公式の包含関係があるわけではありません。
規格・ガイドライン公表内容(出典の記載)出典
AEC-Q100/Q101/Q104/Q200AEC(Automotive Electronics Council)の技術委員会が定めた、電子部品の共通の認定要件。集積回路は Q100(Rev J1)、ディスクリート半導体は Q101(Rev E)、マルチチップモジュールは Q104(Rev A)、受動部品は Q200。「これらの仕様を満たす部品は、部品レベルの追加の認定試験なしに、厳しい車載環境に適する」とされる[11]
AEC-Q101 Rev E(2021年3月1日)目的は、部品が指定のストレス試験に合格でき、その応用で一定の品質・信頼性が期待できることを確かめること。温度サイクル(TC):1,000サイクル、下限−55℃から最大定格の接合温度(150℃を超えない)、JEDEC JESD22-A104。H3TRB:85℃/85%RH、1,000時間、逆バイアスは定格破壊電圧の80%(最大100 V)、JESD22-A101。UHAST:130℃/85%RH で96時間(または110℃で264時間)。オートクレーブ:121℃・100%RH・15 psig で96時間。TC 後の音響顕微鏡検査(J-STD-035)で、はく離を調べる。各試験は 1ロット77個・3ロット・合格基準は不良0[12]
ECPE AQG 324 Release 04.1/2025自動車(総重量3.5 t まで)のパワーエレクトロニクス変換ユニット用のパワーモジュールについて、要求事項・試験条件・試験を定める。対象はモジュール設計と、モジュール(組立)レベルの部品で、半導体チップの認定や製造工程は対象外。車両の変換ユニットの認定試験を置き換えるものではない。主文書は Si、SiC は付属書。ドイツの納入仕様 LV 324 が出発点[9][10]
AQG 324 の環境・寿命試験熱衝撃(QE-01):IEC 60749-25:2003、−40℃〜+125℃、保持15分超、判定に熱抵抗(Rth,j-c)を加える、音響顕微鏡でのはく離確認を推奨。振動(QE-03):IEC 60068-2-6(正弦波)・IEC 60068-2-64(広帯域ランダム)、搭載位置別のプロファイル(A:エンジン搭載、B:変速機搭載、D:ばね上)、6個。H3TRB(QL-07):1,000時間以上、85℃/85%RH、接合温度81〜90℃、0.8×最大電圧。パワーサイクル(QL-01 PCsec、QL-02 PCmin):通電時間 5秒未満はチップ近傍の接続(ダイアタッチ、上面の接続)、15秒超は冷却側のはんだ付けも含めて試験[10]
ISO 16750 シリーズ(2023年版)第1部(総則)、第3部(機械的負荷)、第4部(気候負荷)、第5部(化学負荷)。いずれも電気・電子のシステムと部品が対象で、電動推進系を含み、電圧クラス B(高電圧)の部品・システムを含む。搭載位置ごとの環境ストレスと、試験・要求を規定する。いずれも改訂の段階(90.92)で、次の版が作成中。第1部22ページ、第3部104ページ、第4部59ページ、第5部9ページ(第5部は第3版、他は第4版)[13][14][15][16]

すべて事実(規格団体・ガイドラインの記載。規格本文は有料のものがあり、ISO 16750 は目次・適用範囲の記載にとどめます。試験条件の詳細は各規格の最新版で確認してください)。

本稿の読み取り:ゲルの H3TRB は、材料の性質に直結している

AQG 324 は、H3TRB の目的を、モジュール構造全体の弱点を見つけることとし、次のように説明しています[参考資料10]。

  • チップやワイヤーは湿気を通すシリコーンゲルに埋まっているため、水分は時間とともにパッシベーション層に届く。
  • 焦点は、湿気・温度・電界で移動する製造由来のイオン性汚染物質と、筐体の熱機械的な応力、腐食性ガスとの相互作用。
  • モジュールの組立工程と、材料の熱膨張係数(CTE)も、パッシベーションの健全性に大きく影響し、機械的な応力は(電気)化学的な腐食への感度を高める。

前の記事「シリコーン」編で見たとおり、シリコーンは水を吸わなくても水蒸気を通す材料です。 ゲルの透過性・ゲルが加える応力・ゲル中の不純物(イオン)が、この試験の結果を左右しうる、と読めます(本記事による解説)。

9. 素材技術者の視点③:材料を変えることの重さ

素材技術者の読みどころ:材料は「認定される」のではなく、「部品として試験に通る」

AEC の資料が対象にするのは部品、AQG 324 が対象にするのはモジュールです[参考資料10・11]。 封止材やゲルそのものが「AEC 認定材」になる、という形ではなく、それを使った部品・モジュールが試験に通ることが、車載での認定の単位です(本記事による解説。本稿が確認した範囲では、封止材単体を認定する車載規格は確認できませんでした)。

この前提から、材料の変更は重い意味を持ちます。AQG 324 の付属書 I.B には、変更管理マトリクス(DeQuMa)があります。 ZVEI の変更通知の指針にもとづき、変更の種類と、再び考慮すべき試験を対応づけています。 その行の一部を挙げると、次のとおりです事実[参考資料10]。

  • PM-PA-13:モールドコンパウンド/封止/ポッティング材料の変更
  • PM-PA-14:成形/封止/ポッティングの工程の変更
  • PM-PA-15:シールまたは接着材料の変更
  • PM-PA-21:熱界面材料(TIM)または接合技術の変更 ほか

マトリクスの各欄には、X(その試験の実施を考慮する)、R(モジュール・基板に固有のリスク評価)、G(汎用データの引き継ぎ)の区分が付けられます[参考資料10]。 どの試験に X が付くかの詳細は、本稿では読み取りの精度が確保できなかったため示していません。 それでも、封止材・ポッティング材・接着剤の変更が、変更管理上の独立した項目として列挙されていること自体が、材料を変えることの重さを示しています(本記事による解説)。

もうひとつ、AQG 324 は、設計の記録として、固体の絶縁材料とゲルについて、指定の温度範囲での性質と、温度・湿度・機械的圧力の長期の影響を示すこと、材料名は「組成」だけでよく、メーカー名や型番は不要であることを求めています[参考資料10]。 材料メーカーにとっては、温度・湿度・圧力の長期の影響に関するデータが、顧客の設計記録に直結することになります(本記事による解説)。

10. 課題と、本稿で確認できなかったこと

(1) 車載規格の本文

AEC-Q101 と AQG 324 は公開文書の記載を確認しましたが、ISO 16750 は有料の規格のため、適用範囲と版・ページ数の記載にとどめ、試験条件は確認していません。 ドイツ OEM の LV 124 は、AQG 324 が振動のプロファイル名の由来として触れているにとどまり、本文は確認していません。 中国の GB 38031-2020 も、本文は確認せず、Dow の説明を引用しています。

(2) 熱暴走対策の効果

ミニモジュール試験の結果は、Dow 自身の試験の、特定の構成での結果です。 他社の材料との比較、実車のパック全体での結果、第三者の確認は、本稿では確認できませんでした。 各社の「実績」「採用」の記述(Dow の「過去10年間に OEM に採用」など)はメーカーの主張として扱い、具体的な車種や台数は確認していません。

(3) 数値の食い違い

住友ベークライトの G785 の Tg は、発表(2026年6月1日)で230℃、製品ページで240℃と記載があり、理由は確認できませんでした。 どちらもメーカー公称値として示し、優劣や真偽の判断はしていません。

(4) 材料の物性値の詳細

ギャップフィラーの熱伝導率は、試験法・条件が資料に記載されておらず確認できませんでした(本稿はメーカー公称値として示すにとどめました)。 ゲル・エポキシの弾性率、熱膨張係数の具体値も、車載向けの比較に足る形では確認できませんでした。

(5) 範囲外としたもの

ギャップフィラー・サーマルパッド・TIM の熱伝導の詳細は別編に任せ、本稿では扱いません。 化学物質規制(D4・D5・D6 など)は、前の記事「シリコーン」編を参照してください。 電池パックの構造(冷却方式、セルの種類ごとの設計)や、リサイクルの観点は扱っていません。

この記事のまとめ
  • 電池パックでは、接着・熱伝導・絶縁・難燃・シールが別の材料に割り当てられています。シリコーンのほか、ポリウレタンも使われます事実
  • 材料の役目は、熱暴走を「なくす」ことではなく、広がりを遅らせることです。Dow は、セルの改良だけでは熱暴走をなくせず、材料は「2番目の防御」とします事実
  • 熱を通す材料(3.0〜約4 W/m·K)と、通さない材料(0.1 W/m·K 未満)が、同じパックに要ります。比は30倍以上です本稿の計算
  • パワーモジュールでは、ゲルは応力を逃がし、エポキシは硬さで守ります。高 Tg と低弾性率のトレードオフが課題です事実
  • ゲルは湿気を通します。H3TRB(85℃/85%RH、1,000時間以上)が、材料の性質に直結する試験です事実
  • 車載の認定の単位は、材料ではなく部品・モジュールです。封止材やポッティング材の変更は、AQG 324 の変更管理で独立した項目です事実
  • UL 94 V-0 は、熱暴走対策を保証しません。小規模の材料試験です事実

11. 用語集

熱暴走
電池のセルが、内部短絡・過熱・過充電・衝撃などをきっかけに、制御できない発熱に入る現象。
熱伝播
1つのセルの熱暴走の熱が、隣のセルに伝わって連鎖すること。
BFP
Battery Fire Protection。電池の火災保護。熱暴走や熱伝播を和らげる材料・構造。
ギャップフィラー
発熱部品と冷却部材の隙間を埋め、熱を伝えるペースト状・弾性の材料。
ポッティング
液状の材料を部品の周りに流し込み、硬化させて固定・保護すること。
セラミック化
炎にさらされたシリコーンが、シリカ主体の硬いセラミック層になる性質。絶縁と断熱に働く。
LSR/HCR
液状シリコーンゴム/高粘度(固形)シリコーンゴム。
パワーモジュール
IGBT や MOSFET などのパワー半導体を基板に載せてまとめた部品。インバーターに使う。
IGBT
絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ。大電力の切り替えに使うパワー半導体。
SiC
炭化ケイ素。高温・高電圧に強いパワー半導体の材料。
EMC
エポキシ成形材(epoxy molding compound)。固形の樹脂を加熱成形して半導体を封止する。
Tg
ガラス転移温度。硬いガラス状態からゴム状態に変わる温度の目安。
H3TRB
高温高湿逆バイアス試験。85℃・85%RH で、逆方向の電圧をかけ続け、湿気による劣化を調べる。
AEC-Q101
AEC が定めた、ディスクリート半導体の車載向けストレス試験の認定要件。
AQG 324
ECPE の車載パワーモジュール認定ガイドライン。
DeQuMa
AQG 324 の付属書にある、変更の種類と再試験の考慮を対応づけた変更管理マトリクス。
ISO 16750
自動車の電気・電子機器の環境条件と試験を定める規格のシリーズ。

12. 参考資料(一次情報)

  1. Dow「Battery Systems」(EV バッテリーシステム向け材料) https://www.dow.com/en-us/market/mkt-mobility/sub-mobility-electronics/app-mobility-elec-battery-systems.html
  2. Dow技術論文「Silicone Material Solutions for Battery Fire Protection」(Form No. 80-8541-01-0825、PDF) https://www.dow.com/documents/80/80-8541-01-silicone-material-solutions-for-battery-fire-protection.pdf
  3. Wacker「Improving battery safety with silicones」 https://www.wacker.com/cms/en-us/products/insights/silicone-battery-safety.html
  4. Wackerプレスリリース「Battery Show Europe 2025 WACKER presents new gap filler for electromobility」2025年6月2日 https://www.wacker.com/cms/en-us/press-and-media/press/press-releases/2025/press-releases-detail-2025-254913.html
  5. Dowプレスリリース「Dow launches DOWSIL™ EG-4175 Silicone Gel to enable higher voltage power electronics in electric vehicles and renewable energy technologies」2025年9月4日 https://corporate.dow.com/en-us/news/press-releases/dow-launches-dowsil-eg-4175-silicone-gel.html
  6. Dow「Encapsulants and gels selection guide」(Form No. 11-3922-01-1123、PDF) https://www.dow.com/documents/11/11-3922-01-silicone-encapsulants-and-gels.pdf
  7. 住友ベークライト「Development of High-Tg Epoxy Molding Compounds for Next-Generation SiC Power Modules」2026年6月1日 https://www.sumibe.co.jp/english/topics/2026/it-materials/0428_01/index.html
  8. 住友ベークライト「Special Molding Compound for Power Control Module」 https://www.sumibe.co.jp/english/solution/mobility/electric_vehicle/power_module.html
  9. ECPE「Automotive AQG 324」(ワーキンググループのページ) https://www.ecpe.org/research/working-groups/automotive-aqg-324/
  10. ECPE ECPE Guideline AQG 324 “Qualification of Power Modules for Use in Power Electronics Converter Units in Motor Vehicles”, Release 04.1/2025(リリース日 2025年3月31日、PDF) https://www.ecpe.org/index.php?eID=dumpFile&t=f&f=46275&token=0d6454cead46e7321e58907672861b3fcd13c0c0
  11. AEC Automotive Electronics Council「AEC Documents」 http://www.aecouncil.com/AECDocuments.html
  12. AEC AEC-Q101 Rev-E “Failure Mechanism Based Stress Test Qualification for Discrete Semiconductors in Automotive Applications”, March 1, 2021(PDF) http://www.aecouncil.com/Documents/AEC_Q101_Rev_E_Base_Document.pdf
  13. ISO ISO 16750-1:2023 “Road vehicles — Environmental conditions and testing for electrical and electronic equipment — Part 1: General” https://www.iso.org/standard/77578.html
  14. ISO ISO 16750-3:2023 “… Part 3: Mechanical loads” https://www.iso.org/standard/77579.html
  15. ISO ISO 16750-4:2023 “… Part 4: Climatic loads” https://www.iso.org/standard/77580.html
  16. ISO ISO 16750-5:2023 “… Part 5: Chemical loads” https://www.iso.org/standard/77581.html
  17. UL Solutions「Understanding UL 94 Rating Certifications and Limitations」(Code Authorities、2019年7月15日) https://code-authorities.ul.com/about/blog/understanding-ul-94-rating-certifications-and-limitations/
  18. 信越化学「Highly thermostable silicone gel(KE-1066-A/B)」 https://www.shinetsusilicone-global.com/products/notice/165/index2.shtml

13. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
Dow の電池システム向け材料(接着剤、ギャップフィラー、ポッティングフォーム、封止材、熱材料。電池パックの組立、BFP、ECU の保護、バスバー・ホースの絶縁)。組立用接着剤が製造中にセルの部品を固定すること。VORATRON MA 8300(2液・1.2 W の熱伝導性ポリウレタン接着剤。セルからモジュール・パック・シャシー)、GF 1000(ポリウレタンのギャップフィラー)、ポッティングフォーム(ポリウレタン)。DOWSIL TC-5533(2液・3.0 W/mK・低密度)、3-8259 RF(シリコーンフォームキット。一体の圧縮ガスケット)、EA-3838(RTV 接着剤。20分以内に固定、オーブン・プライマー不要)、SILASTIC LSR(一体成形のシール・コネクター)、TC-4060(サーマルゲル。ECU 向け)。ECU と BMS の保護Dow「Battery Systems」出典1 https://www.dow.com/en-us/market/mkt-mobility/sub-mobility-electronics/app-mobility-elec-battery-systems.html事実
熱暴走と熱伝播(原因、結果)。Dow による GB 38031-2020 の説明(5分)。熱暴走を和らげる3つの方法(セルでの改良ではなくせないこと、2番目の防御)。シリコーンの利点(塗布の容易さ、硬化時の発熱が小さいこと、シリカへの分解、有機材料の燃焼・チャー)の主張。LSR・フォーム・HCR・レジンの代表値(硬化時間、粘度、密度、熱伝導率、圧縮性、難燃性)と説明(エラストマーの弾性率0.1〜2 MPa、レジン1 GPa 超)。試験の階層(物性、UL 94 など、高温熱伝導、セル間、ミニモジュール、パック)。ミニモジュール試験の構成(3×3、18650、0.8 mm、過熱)と結果(対照は1,000℃超、フォームは中心750℃超、約120℃、約100℃、ふた280℃、約130℃で発火)。しきい値は顧客が決めること、セルの種類が材料の形を左右することDow 技術論文(Form No. 80-8541-01-0825)出典2 https://www.dow.com/documents/80/80-8541-01-silicone-material-solutions-for-battery-fire-protection.pdf事実
Wacker の電池の安全の整理(熱暴走で熱の経路を断つ・熱の移動を止める、熱伝播で損傷を限る)。電池セル・セル接続系・ベントのポッティング。ELASTOSIL CM シリーズ(柔軟な熱バリア)、シリコーンレジン系の硬い熱バリア、CM 145(電池カバーの吹き付けコーティング)、バスバーの被覆。車載向け分類(TIM、電池の組立、パワーエレクトロニクス、電池の安全)Wacker「Improving battery safety with silicones」出典3 https://www.wacker.com/cms/en-us/products/insights/silicone-battery-safety.html事実
SEMICOSIL 9649 TC(2液・付加硬化、熱伝導率約4 W/mK、−40〜+150℃の熱衝撃で熱伝導率がほぼ変わらない、非垂れ、ヒートシンクに塗布して基板を押し付ける)。ELASTOSIL R 531/60(押出成形・火災時にセラミック化してバスバーの絶縁を保つ)Wacker プレスリリース(2025年6月2日)出典4 https://www.wacker.com/cms/en-us/press-and-media/press/press-releases/2025/press-releases-detail-2025-254913.html事実
EV の電池電圧が400 V から800 V に上がること、第7世代 IGBT の接合温度、シリコーンゲルに強い絶縁と耐熱が必要なこと。EG-4175 が最大180℃、振動吸収、自己修復、プライマーなしの接着、室温硬化、オイルのにじみが少ないこと(メーカーの主張)。EA-7158(1液・高強度の接着剤)Dow プレスリリース(2025年9月4日)出典5 https://corporate.dow.com/en-us/news/press-releases/dow-launches-dowsil-eg-4175-silicone-gel.html事実
シリコーンがウレタン・エポキシに対して、熱サイクルや CTE 差による応力からの保護、衝撃・振動、熱安定性(−45〜200℃)、耐薬品性で利点があるという Dow の主張。ゲルが最大の応力緩和と自己修復、封止材が摩耗に強く修理しやすいこと。標準/自己プライミング(100℃超で硬化)の封止材、硬さ Shore 00 20〜Shore A 65。ゲルの粘着性表面。オーブン乾燥やエクソサームの懸念が要らないことDow 選定ガイド(Form No. 11-3922-01-1123)出典6 https://www.dow.com/documents/11/11-3922-01-silicone-encapsulants-and-gels.pdf事実
G785 の発表(2026年6月1日)。SiC の動作温度が200℃超、高 Tg と弾性率のトレードオフ、Tg 230℃、低応力化、比較表(G720・G780:Tg 195℃、重量減少 >2%/<2%、G785:<2%)、焼結・はんだ接合への対応住友ベークライト ニュース出典7 https://www.sumibe.co.jp/english/topics/2026/it-materials/0428_01/index.html事実
2030年度に売上100億円を目指すという同社の計画同社の計画であり、実績ではない出典7 https://www.sumibe.co.jp/english/topics/2026/it-materials/0428_01/index.html未確定/将来
パワー制御モジュール向け成形材のページ(G720:Tg 195℃・重量減少>2%・接着性 1.0・絶縁破壊強さ21 kV/mm、G780:195℃・<2%・1.6・22、G785:240℃・<2%・1.3・22)。HTRB 対応、高 CTI による沿面距離の短縮住友ベークライト 製品ページ出典8 https://www.sumibe.co.jp/english/solution/mobility/electric_vehicle/power_module.html事実
AQG 324 のワーキンググループ(2017年6月設立、LV 324 が出発点、共通の手順を定める)。版(02.1/2019、03.1/2021、04.1/2025)ECPE ワーキンググループのページ出典9 https://www.ecpe.org/research/working-groups/automotive-aqg-324/事実
AQG 324 Release 04.1/2025(2025年3月31日)の適用範囲(3.5 t までの自動車、モジュールレベル、チップ・製造工程は対象外、車両の認定を置き換えない)。絶縁材料とゲルの設計記録(IEC 60664、温度・湿度・機械的圧力の長期影響、組成のみで可)。熱衝撃(IEC 60749-25:2003、−40〜+125℃、保持15分超、Rth、音響顕微鏡)。振動(IEC 60068-2-6・2-64、プロファイル A・B・D、LV 124 由来の名称、6個)。H3TRB の目的(気密封止ではなくゲルが湿気を通す、イオン汚染、熱機械応力、CTE と組立工程)と条件(1,000時間以上、85℃/85%RH、81〜90℃、0.8×最大電圧)。パワーサイクル(PCsec 5秒未満、PCmin 15秒超)。付属書 I.B の変更管理マトリクス(PM-PA-13、-14、-15、-21、X・R・G の区分)ECPE AQG 324 Release 04.1/2025出典10 https://www.ecpe.org/index.php?eID=dumpFile&t=f&f=46275&token=0d6454cead46e7321e58907672861b3fcd13c0c0事実
AEC の文書の位置づけ(共通の認定要件、部品レベルの追加試験なしで車載環境に適する)。Q100 Rev J1、Q101 Rev E、Q104 Rev A、Q200 の区分AEC Documents出典11 http://www.aecouncil.com/AECDocuments.html事実
AEC-Q101 Rev E(2021年3月1日)の目的、参照規格(UL 94、JESD22、J-STD-020 など)、TC(1,000サイクル、−55℃〜定格接合温度で150℃を超えない、400サイクルへの短縮条件)、H3TRB、UHAST、オートクレーブ、TC 後の音響顕微鏡検査、サンプル数(77個・3ロット・不良0)AEC-Q101 Rev E出典12 http://www.aecouncil.com/Documents/AEC_Q101_Rev_E_Base_Document.pdf事実
ISO 16750-1:2023 の適用範囲(電動推進系を含む電圧クラス B の電気・電子システム・部品、搭載位置ごとの環境ストレスと試験)、版・ページ数・状況ISO 16750-1:2023出典13 https://www.iso.org/standard/77578.html事実
ISO 16750-3:2023(機械的負荷)の版・104ページ・状況ISO 16750-3:2023出典14 https://www.iso.org/standard/77579.html事実
ISO 16750-4:2023(気候負荷)の版・59ページ・状況ISO 16750-4:2023出典15 https://www.iso.org/standard/77580.html事実
ISO 16750-5:2023(化学負荷)の第3版・9ページ・状況ISO 16750-5:2023出典16 https://www.iso.org/standard/77581.html事実
UL 94 が小規模の試験であること(小さな炎・放射熱、HB と V-0/V-1/V-2、約5×1/2インチ、3/4インチ・50 W バーナー)、厚さ13.0 mm 超・面積1 m2超には当てはまらないことUL Solutions Code Authorities出典17 https://code-authorities.ul.com/about/blog/understanding-ul-94-rating-certifications-and-limitations/事実
KE-1066-A/B の使用温度範囲−40〜200℃、高温でも基材との接着が良いこと、絶縁破壊強さ16 kV/mm信越化学 KE-1066-A/B のページ出典18 https://www.shinetsusilicone-global.com/products/notice/165/index2.shtml事実
熱伝導率の比(3.0÷0.1=30倍以上、4÷0.1=40倍以上)。セル1個あたりの隙間体積(ピッチ18.8 mm、断面積 353.4−254.5=約99.0 mm2、×65 mm=約6.4 cm3)と質量(フォーム0.64〜3.2 g、LSR 7.1〜9.0 g、1,000セルで0.64〜3.2 kg/7.1〜9.0 kg)。温度差(125−(−40)=165、150−(−55)=205、150−(−40)=190、200−(−40)=240、200−(−45)=245)本稿の計算。18650 セルの寸法(直径18 mm・長さ65 mm)、正方配列、全充填は本稿が置いた仮定。熱伝導率は出所・試験条件の異なる代表値の比で、実際のパックの設計値ではない本稿の計算
GB 38031-2020 の本文、ISO 16750 の試験条件、ドイツ OEM の LV 124 の本文、他社の材料との比較、実車のパック全体での結果、第三者による確認、具体的な車種・台数、ギャップフィラーの熱伝導率の試験法、ゲル・エポキシの弾性率と熱膨張係数、G785 の Tg が230℃と240℃で異なる理由本稿の調査範囲では確認できなかったため記載していない(または公表元の主張として示した)解説
電池パックの材料の配置の整理(図1・図2)。熱を通す材料と通さない材料が同じパックに要るという読み取り。UL 94 V-0 は熱暴走対策を保証しないという読み取り。ミニモジュール試験を選別試験として読むこと。ゲルとエポキシの比較表。高温化が材料ごとに違う困難を立てること。評価の階層の整理(図8)。ゲルの H3TRB が材料の性質に直結するという読み取り。認定の単位が材料ではなく部品・モジュールであること、変更管理の重さ公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない解説
図1・図2・図3・図4・図6・図7・図8が説明のための作図であること。ヒーロー画像と図5がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月3日/出典は一次情報(メーカーの公式資料・発表、AEC・ECPE・ISO・UL Solutions の公式資料)に限定しています。 物性値はメーカー公称値、試験結果はメーカー自身の試験であり、グレード・試験法・条件が異なるため、数値の優劣を比べるものではありません。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 GB 38031-2020 の本文、ISO 16750 の試験条件、LV 124 の本文、他社材料との比較、実車での結果、第三者の確認、ギャップフィラーの熱伝導率の試験法、ゲル・エポキシの弾性率と熱膨張係数、G785 の Tg の食い違いの理由については、公開された一次情報で確認できなかった、あるいは扱わない方針のため記載していません。 2030年度の売上目標は同社の計画です。熱を伝える材料そのものの詳細と、化学物質規制は、本シリーズの別の記事を参照してください。 図1・図2・図3・図4・図6・図7・図8はベクター作図、ヒーロー画像と図5はAI生成イメージであり、いずれも実際の製品の構造・内部・断面を示すものではありません。